JP2003217622A - 燃料電池の運転方法および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

燃料電池の運転方法および固体高分子型燃料電池

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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体高分子型燃料電池のエージング時間を短
縮する。 【解決手段】 コントローラ9は、ガス利用率100%
相当のエージング運転を行い、フラッディングを生じさ
せて燃料電池セル1中の高分子膜の含水を生成水または
凝縮水によって促進する。フラッディングによるセル電
圧の反転を防止するために、コントローラ9は以下の処
置を行う。セル電圧が下限値L1を下回ると、空気流量
調整器5をより開かせてガス流量を増加させて過剰なフ
ラッディングを抑制し、セル電圧を増加に転じさせる。
さらに、セル電圧が前回下限値L2(L2<L1)に達
した時刻と今回下限値L2に達した時刻との間のインタ
ーバルTが予めコントローラ9に設定された基準インタ
ーバルTrefよりも短い場合には、セル電圧の回復を
促進するためにガス圧力も増加させる。ガス流量および
ガス圧力は、セル電圧が下限値L1に到達すると増加が
停止され、その後所期値に戻される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体高分子型燃料電
池およびその予備運転(以下、エージング運転とも呼
ぶ)方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環境問題については近年、特に自動車の
排気ガスによる大気汚染および二酸化炭素による地球温
暖化の問題が重視されている。これに伴い、クリーンな
排気および高いエネルギー変換効率を可能とする燃料電
池技術が注目されている。
【0003】燃料電池は、その燃料となる水素または水
素リッチな改質ガス、および空気を供給することによっ
て電気化学反応を引き起こし、化学エネルギーを電気エ
ネルギーに変換するエネルギー変換システムである。種
々ある燃料電池の中でも特に高い出力密度を有する固体
高分子電解質型の燃料電池が、自動車用の移動体電源あ
るいは家庭用の定置電源として注目されている。
【0004】固体高分子型燃料電池では、セルの組み立
て後において、電池電圧が飽和値を示すまで、いわゆる
エージング運転を行うのが通例である。エージング運転
に要する時間は、数時間から、場合によっては10数時
間となる。このため、セルの評価が迅速に行えず、ま
た、エージング運転用の発電ガスのコストがかさむ等の
問題がある。従って、エージング時間を短縮することが
課題となる。
【0005】エージング時間を決定する要因の一つは、
高分子膜の含水量の増加およびそれに伴う、高分子膜・
触媒・ガス層のいわゆる3層界面の十分な形成と考えら
れる。ここで、セルに供給されるガスを加湿して水蒸気
から高分子膜に給水するという従来からの一般的な膜加
湿では、所要時間がかかりすぎてしまう。そこで、液水
を直接的に高分子膜に供給することが解決策として考え
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、特開平6−1
88008号公報に記載の液体燃料の供給手段を改良し
て、水を直接的に高分子膜に供給することも可能であ
る。しかし、このためには水分供給用のポンプおよび多
孔質部材など、新たな構成要素が必要となる。従って、
系が複雑となりコストが嵩む等の問題点が予想される。
【0007】本発明は上記の問題点を解決するために、
従来の高分子型燃料電池の構成を変えることなく簡便に
液水を供給して高分子膜に含水させる燃料電池の運転方
法および固体高分子型燃料電池を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、保水によ
って燃料イオンの導電性を発揮する固体高分子膜を有す
る燃料電池を運転する方法であって、前記燃料電池の予
備運転時に該燃料電池のセル内にフラッディングが発生
するように、消費されるガスの利用率を向上させる。
【0009】第2の発明は、第1の発明の前記予備運転
時において、前記利用率の向上は、前記燃料電池におけ
るガス流量およびガス圧力ならびに該燃料電池にかけら
れる電力負荷のうちの少なくとも1つの制御によってな
される。
【0010】第3の発明は、第1の発明の前記燃料電池
の前記セルの電圧が警戒電圧に達すると、前記ガスの利
用率を低下させることによって前記フラッディングを緩
和する。
【0011】第4の発明は、第1の発明の前記予備運転
を、前記固体高分子膜の含水量が不足する場合に行う。
【0012】第5の発明は、保水によって燃料イオンの
導電性を発揮する固体高分子膜を有する燃料電池セル
と、前記燃料電池セル、および該燃料電池セルにおいて
消費されるガスを制御するコントローラとを備え、前記
コントローラは、前記燃料電池セルの予備運転時に、該
燃料電池セルにおいてフラッディングが発生するように
前記ガスの利用率を向上させることによって前記固体高
分子膜の含水量を向上させる。
【0013】第6の発明は、第5の発明の前記コントロ
ーラが、前記燃料電池セルの電圧が警戒電圧に達すると
前記ガスの利用率を低下させる。
【0014】
【発明の作用および効果】第1の発明または第5の発明
によると、発生したフラッディングによって固体高分子
膜に水分が与えられ、固体高分子膜の含水量が上昇す
る。これによって3層界面が適切に形成され、予備運転
の促進およびその所要時間の短縮化が達成される。
【0015】第2の発明によると、ガス流量、ガス圧力
および電力負荷の制御によってガスの利用率が向上し、
固体高分子膜に水分が供給される。
【0016】第3の発明または第6の発明によると、セ
ルの電圧の過剰低下の回避および予備運転の促進がトレ
ードオフされる。これによって、セルの電圧低下を避け
つつ好適に予備運転を行うことが可能となる。
【0017】第4の発明によると、例えば新品であった
り一定時間不使用だったりすることによって固体高分子
膜が乾燥している時に行われる予備運転において、固体
高分子膜の含水量がフラッディングによって引き上げら
れる。
【0018】
【発明の実施の形態】代表的な高分子型燃料電池用の高
分子膜として知られるナフィオン膜は、そのプロトン導
電率が膜の含水量に強く依存する。ここで、電池性能に
おいては、膜の加湿、ひいては含水量は重要なパラメー
タである。したがって、エージング時間の短縮は、いか
にこの含水量をすばやく増加させるか、にかかってい
る。
【0019】膜に水を含ませる過程として、(1)水蒸
気から高分子膜に水分を供給する場合と、(2)液水か
ら高分子膜に水分を供給する場合とがある。高分子電解
質膜は、後者(2)の方法のほうがより多くの水を単位
時間当りに吸収できることが、たとえば、ジャーナル・
オブ・エレクトロケミストリー(1993年、第140
巻、第1981ページ目)等の文献に明らかにされてい
る。従って、液水によって高分子膜を加湿する手段をと
ることによって膜含水量はより速やかに飽和値に達し、
エージング時間の短縮を図ることが可能になる。
【0020】そこで、本発明においてはセルエージング
時に、負荷を上げて要求電流量を増加させるとともにガ
ス利用率を高め(〜100%)て、生成水詰まり(フラ
ッディング)を誘発する。そして、その液水によって高
分子膜の湿潤を速やかに行うことによって、エージング
時間の短縮を図る。
【0021】ガス利用率を高めることが3層界面におけ
る水の蓄積あるいはフラッディング現象を引き起こすこ
とは、経験的に知られた事実である。その理由として
は、以下の2点が挙げられる。(1)3層界面の触媒表
面を覆う電気化学的生成水または加湿水蒸気の凝縮水
は、ガス利用率が上がる場合、すなわち必要とされるガ
スがセル出口で“0”となるような場合には、ガス流速
が低下することによって、排除されなくなってしまう。
(2)水蒸気を保持するガスが燃料電池内の水素および
酸素の消費によって少なくなり、水は気体状態を保てず
に液水として凝縮する。
【0022】以上のような理由によって、水のフラッデ
ィングは、水素極および酸素極(空気極)のいずれにお
いても発生する。ここで、フラッディングが発生する
と、セル電圧の反転およびセルの損傷を招来してしまう
おそれがある。従って、故意にフラッディングを引き起
こす場合には、十分な対応策を講ずる必要が生ずる。そ
こで、セル電圧を監視する手段を設け、セル電圧がある
警戒電圧になるとガスの利用率を低下させてセル電圧の
反転を予防する構成を採用する。以下に、図面を用いつ
つ本発明の実施の形態の構成を説明する。
【0023】図1および図2は、本発明の固体高分子膜
型燃料電池の構成および運転方法を例示する模式図であ
る。図1に例示されるように固体高分子膜型の燃料電池
セル1には、水素供給ライン2および空気供給ライン3
からそれぞれ水素および空気(酸素)が供給される。セ
ル1の入り口に設けられた、コントローラ9によって制
御される水素流量調整器4および空気流量調整器5によ
って、それぞれの供給ガスの流量(供給量)がガス利用
率100%近くとなるように燃料電池セル1に供給され
る。燃料電池セル1のガス出口には、供給ガスの圧力を
制御するための水素圧力調整弁6および空気圧力調整弁
7がそれぞれ設けられており、コントローラ9によって
燃料電池セル1の背圧が制御される。
【0024】燃料電池セル1には、電気負荷を取り出す
負荷8が接続されると共に、セル電圧を監視するモニタ
ー兼用のコントローラ9が取り付けられている。コント
ローラ9は、既述のように供給ガスの流量および逃し量
を制御することによって、電気負荷に連動させつつ、セ
ル電圧が安定する範囲内においてガス利用率を決定す
る。詳細には、コントローラ9はまず高利用率でエージ
ング運転を行いながら、自身に設定された臨界電圧値と
燃料電池セル1の実際の電圧値とを比較する。そして、
セル電圧が警戒領域に達するとガスの利用率が低下する
ように各々の調節手段の開度の設定値を変更するととも
にこれに応じた開閉信号を出力し、調整器4および調整
器5、調整弁6および調整弁7ならびに負荷8を再設定
する。これに応じてセル電圧は上昇を開始する。
【0025】以上のように、フラッディングの発生とセ
ル電圧の保持とをバランスを取りつつ行うことによっ
て、エージングを促進させることができる。ここで、エ
ージングに要する時間の短縮のためには、セル電圧の警
戒範囲ぎりぎりの状態でエージングを行うことが好まし
い。さらに、ガス利用率はガス流量、ガス圧力および負
荷という3つの要素によって決定されるが、これらのう
ちのいずれを優先的に調整するかが問題となる。ここ
で、負荷の低減は電圧を上昇させるが、エージング時間
の短縮化の妨げとなる。従って、負荷の低減は、電圧反
転防止策の最後のパラメータにすることが好ましい。
【0026】そこで、フラッディングによるセル電圧低
下が観測されるとき、(1)まず初めにガス流量を増加
させて触媒表面の水を排除する。(2)セル電圧の低下
が頻繁に起こる場合には、ガス圧力等をやや増加させ
て液水中の反応ガス濃度を増加させるか、あるいは瞬
間的なパージ等を行うことで水分を一部除去し、セル電
圧の低下を防ぐことができる。さらに、これらの処置で
も不充分な場合には、最終的な手段として(3)負荷を
軽くする。そして、以上のような処理を過度には行わな
いことによって、なるべくセル電圧の警戒範囲ぎりぎり
の条件でエージング運転を行う。
【0027】図2は、横軸には時間、縦軸にはセル電
圧、ガス流量およびガス圧力がとられたタイミングチャ
ートである。セル電圧に関しては、セル電圧が警戒を要
するレベルに到達したか否かの判断基準である下限値L
1と、これ以上の電圧低下を避けるためにより高度な処
置が必要であることの判断基準である下限値L2とが、
図1のコントローラ9に設定されている。
【0028】まず、エージング運転の開始時(図示され
ず)には、図1においては図示を省略された加湿部から
加湿ガスが燃料電池セル1へと供給される。このとき、
調整器4および調整器5ならびに調整弁6および調整弁
7が所定の初期状態となるようにコントローラ9が開閉
信号を与え、それぞれの開度が設定される。加湿ガスの
供給に伴い燃料電池セル1において電気化学反応が生
じ、コントローラ9はセル電圧が所定値(例えば0.5
5V程度)となるように負荷8の値を逐次設定して負荷
を取り出す。コントローラ9はセル温度の上昇とともに
加湿温度を上昇させるが、例えばガス利用率が100%
となるように諸パラメータが設定されており、燃料電池
セル1内では水が生成あるいは凝縮し始めてフラッディ
ングが生じ、セル電圧が低下し始める。
【0029】セル電圧の降下に対していずれの処置を講
ずるかは、3つの判断基準による。まず、ガス流量の増
加は、セル電圧が下限値L1に到達したことを基準とし
て開始される。セル電圧がセル電圧下限値L1を下回っ
たときに、コントローラ9はセル電圧がセル電圧下限値
L2を下回らぬように空気流量調整器5の開度を高くし
て空気ガス流量を増加させ、セル電圧を調整する。セル
電圧が回復してセル電圧下限値L1を上回ると、コント
ローラ9は空気流量調整器5の開度を低下させてガス流
量を減少させ、所期値(ガス利用率100%に相当)に
戻す。
【0030】次に、ガス圧力の増加は、セル電圧の低下
が頻繁に生ずるか否かを基準として開始される。頻繁か
否かの判断は、例えば、セル電圧が前回に下限値L2
(L2<L1)に達した時刻と今回下限値L2に達した
時刻との間のインターバルTと、予めコントローラ9に
設定された基準インターバルTrefとを比較すること
によって行うことが可能である。基準インターバルTr
efは、適宜設定しておけば良い。具体的には、実際の
インターバルTが設定されたインターバルTrefより
も短い場合には、頻繁であるとしてガス圧力の増加処理
が実行される。すなわち、空気圧力調整弁7の開度がよ
り大きく設定される。もちろん、セル電圧が下限値L2
を下回る場合には当然下限値L1を下回り、この時には
ガス圧力およびガス流量の調整が並行して行われること
になる。ガス圧力は、セル電圧が下限値L1に到達する
と増加が停止され、その後所期値に戻される。
【0031】水素ガス系でもフラッディングは生じ得る
ので、同様の処理が水素流量調整器4および水素圧力調
整弁6について行われる。具体的には、上記の説明にお
いて、「空気流量調整器5」を「水素流量調整器4」
に、「空気圧力調整弁7」を「水素圧力調整弁6」に読
みかえれば良い。
【0032】負荷の軽減は、エージング時間の短縮を犠
牲にしてでもセル電圧の復帰が急務である場合に行われ
るようにコントローラ9に設定することが可能である。
例えば、セル電圧が所定時間以上にわたって下限値L2
を下回った場合、または新たに設定された第3の下限値
L3(L3<L2)を下回った場合である。この場合に
はコントローラ9は、負荷8の要求負荷を低下させる。
【0033】図3は、コントローラ9によって行われる
上述の処理の手順を例示するフローチャートである。ま
ず、ステップS1において、セル電圧が警戒領域に存在
するか否か(セル電圧<下限値L1)が判断される。セ
ル電圧が警戒領域に存在する(YES)場合には、ステ
ップS2においてガス流量の増加処理が実行される。警
戒領域に存在しない(NO)の場合には、ステップS3
において、ガス利用率100%に相当するガス流量に設
定される。
【0034】ステップS2またはステップS3に引き続
き、ステップS11においては、セル電圧の低下が頻繁
か否か(T<Tref)が判断される。頻繁である(Y
ES)と判断された場合には、ステップS12におい
て、ガス圧力の増加が実行される。頻繁ではない(N
O)と判断された場合には、ステップS13において、
ガス利用率100%に相当するガス圧力に設定される。
【0035】ステップS12またはステップS13に引
き続くステップS21においては、セル電圧の復帰を緊
急に行わなければならないか否かが判断される。緊急
(YES)と判断された場合には、ステップS22にお
いて、負荷の軽減が実行される。緊急ではない(NO)
と判断された場合には、ステップS23において、負荷
の設定が、セル電圧の回復が急務ではない通常の場合の
エージング運転の設定フローに任される。
【0036】ステップS22またはステップS23に引
き続くステップS30においては、エージング運転が停
止されるか否かが判断される。運転続行(NO)と判断
された場合には、ステップS1に戻って以上の処理が繰
り返される。運転停止(YES)と判断された場合に
は、処理は終了する。
【0037】本エージング操作によれば、図2に例示さ
れるようにセル電圧の下限値付近での運転ではあるもの
の、燃料電池セル1はセル電圧の異常低下が生じないよ
うに保護されて運転され、かつ、常に液水が3層界面に
在って高分子膜の加湿に使用される。従って、エージン
グ時間を短縮できる。セル電圧の下限値は、例えば0.
3〜0.5Vという範囲の中から選択すれば良い。な
お、以上の説明では判断基準として例えば「実際のセル
電圧<下限値L1,下限値L2」を用いているが、この
中の不等号に限定的な意味があるわけでは無く、“≦”
を用いても良い。
【0038】以上のように、3つのセル保護手法を必要
に応じて適宜組み合わせることによってセル損傷を防ぎ
つつ、かつセルエージング時間の短縮化を可能とするこ
とができる。
【0039】図4は、本実施の形態の構成を用いてセル
エージング操作を行った場合(ガス利用率100%)に
おけるセル電圧の経時変化と、従来例として水素ガス利
用率70%、空気ガス利用率50%とした場合のセルエ
ージング操作におけるセル電圧の経時変化とを比較する
図である。本実施の形態の構成のようにガス利用率を高
めてエージング操作を行うことによって液水がセル内に
蓄積されやすくなり、かかる液水によって高分子膜内の
含水量はすみやかに増加する。これによって、図示され
るように燃料電池セル1の最大電圧を得るまでの時間、
すなわちエージング時間が短縮できる。従って、エージ
ングに要するコストが低下すると共に、燃料電池の性能
の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0040】固体高分子膜の含水量の不足は、組み立て
後の未使用の燃料電池セル、あるいは使用後であっても
一定時間不使用のまま放置されたセルにおいて生じ得
る。すなわち、これらの場合には高分子膜の乾燥および
それによって引き起こされる3層界面の変化による発電
性能の低下がしばしば起こり、エージングが必要であ
る。図4に例示されるように、本発明を適用することに
よって、エージング運転を早々に終了させることが可能
となる。
【0041】以上のような制御を行うコントローラ9
は、従来から燃料電池に設けられているコントローラに
対して、フラッディングを故意に引き起こす条件でエー
ジング運転を継続すると共にセル電圧の反転を回避する
という本発明に特徴的な機能を新たにプログラミングす
ることによって実現可能である。従って、従来の燃料電
池に対して新たな構成要素を付加する必要が無い。言い
かえると、本発明の燃料電池はその実現が容易であるこ
とに加え、安価で済む。
【0042】以上に説明した実施の形態は、本明細書の
特許請求の範囲の事項を限定することを意図したもので
はない。本発明は、様々な改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の固体高分子膜型燃料電池の構
成を例示する模式図である。
【図2】 本実施の形態の固体高分子膜型燃料電池のエ
ージング運転におけるセル電圧、ガス流量およびガス圧
力の経時変化の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】 本実施の形態の処理手順を例示するフローチ
ャートである。
【図4】 本実施の形態および従来のセル電圧それぞれ
の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料電池セル 8 負荷 9 コントローラ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保水によって燃料イオンの導電性を発揮
    する固体高分子膜を有する燃料電池を運転する方法であ
    って、 前記燃料電池の予備運転時に該燃料電池のセル内にフラ
    ッディングが発生するように、消費されるガスの利用率
    を向上させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の燃料電池の運転方法で
    あって、 前記予備運転時において、前記利用率の向上は、前記燃
    料電池におけるガス流量およびガス圧力ならびに該燃料
    電池にかけられる電力負荷のうちの少なくとも1つの制
    御によってなされる燃料電池の運転方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の燃料電池の運転方法で
    あって、 前記燃料電池の前記セルの電圧が警戒電圧に達すると、
    前記ガスの利用率を低下させることによって前記フラッ
    ディングを緩和する燃料電池の運転方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の燃料電池の運転方法で
    あって、前記予備運転を、前記固体高分子膜の含水量が
    不足する場合に行う燃料電池の運転方法。
  5. 【請求項5】 保水によって燃料イオンの導電性を発揮
    する固体高分子膜を有する燃料電池セルと、 前記燃料電池セル、および該燃料電池セルにおいて消費
    されるガスを制御するコントローラとを備え、前記コン
    トローラは、 前記燃料電池セルの予備運転時に、該燃料電池セルにお
    いてフラッディングが発生するように前記ガスの利用率
    を向上させることによって前記固体高分子膜の含水量を
    向上させることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の固体高分子型燃料電池
    であって、 前記コントローラは、前記燃料電池セルの電圧が警戒電
    圧に達すると前記ガスの利用率を低下させる固体高分子
    型燃料電池。
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