JP2009054387A - 燃料電池スタックの初期化方法及び初期化装置 - Google Patents

燃料電池スタックの初期化方法及び初期化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アノード触媒の界面を効率的に形成できる燃料電池スタックの初期化方法及び初期化装置を提供する。
【解決手段】電解質膜を挟んでアノード及びカソードを配設した単電池が複数積層された燃料電池スタック10を初期化するために、カソードに燃料ガスを導入して、アノードに酸化剤ガスを導入することにより、所定の電流値で発電する。これにより、通常発電とは逆向きに電流が流れ、アノードにおいて反応生成水を発生させて、アノード触媒の界面を効率的に形成できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルと呼ばれる単電池を積層した燃料電池スタックを、所定の性能を得るために初期化する初期化方法及び初期化装置に関する。
燃料電池は、水素等の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスを、電池本体に供給することにより、電気化学的に反応させ、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して外部へ取り出す発電装置である。
より具体的には、燃料電池は、電解質膜を挟んでアノード(燃料極)、カソード(酸化剤極)が配設されており、水素リッチな燃料ガスをアノード(燃料極)に導入し、空気などの酸化剤ガスをカソード(酸化剤極)に導入し、以下の(1)(2)式の電気化学反応を生じさせることにより電気と熱と水とを発生するものである。
→ 2H + 2e …(1)
+ 4H + 4e → 2HO …(2)
このように、燃料電池は電気化学反応により発電するために、発電効率が高く、騒音が無く、有害ガスを排出しないなどの特徴があり、環境に対して負荷が小さく優れた性能を持つ。さらに、発電と同時に出る熱を利用し、電気と温水を供給するコージェネレーションシステムとしての開発も進んでいる。
かかる燃料電池のうち、電解質としてプロトン導電性の高分子膜を用いたものが、固体高分子型燃料電池である。その一例を、以下に説明する。すなわち、固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜の両面に、触媒層を有する電極を一体化することにより、MEA(膜・電極接合体)が構成されている。
さらに、このMEAを、ガス流路を表面に形成した一対のセパレータで挟むことにより、セルと呼ばれる単電池が形成されている。そして、単電池を複数積層することで燃料電池スタックが構成されている。
また、電極上あるいは電解質膜上には、両電極がガス拡散電極を構成するように、触媒層が形成されている。触媒層は、白金などの貴金属微粒子がカーボン担体上に担持された触媒を、電解質溶液中に混合してスラリーを作製し、このスラリーを、電極上あるいは電解質膜上に塗布することにより形成されている。
このように形成された触媒層においては、反応ガスが、カーボン粒子間のマクロポアを拡散することにより触媒表面に供給される。また、電気化学反応の媒体であるプロトンは、カーボン粒子及び触媒微粒子上にコーティングされた電解質中を移動する。電解質の成分は電解質膜と同様であり、一般にはパーフルオロスルフォン酸が用いられる。電解質がプロトン導電性を維持するためには、水が必要である。すなわち、電解質中に保持された水の中をプロトンが伝導していく。
ところで、燃料電池スタックにおいて所定の性能を得るためには、運転前に初期化操作を行って、触媒の反応界面を形成する必要がある。この初期化操作は、触媒の直近に存在する電解質に水を保持させることによって、三相界面を形成することを意味している。三相界面とは、触媒と水と反応ガスの3つの要素が接した界面であり、上述の電気化学反応が生じる箇所である。
このような燃料電池スタックの初期化技術として、負荷電流を増減させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これは、燃料電池スタックを運転することで、発電による生成水で触媒近傍に水を保持させる方法である。但し、この運転においては、反応界面はまだ十分に形成されていないために、電池性能は所定の性能を満たさない。さらに、負荷電流を一定に保持するよりも、サイクル電流を印加することによって、より効率的に反応界面を形成できる。
燃料電池スタックの初期化を行うための初期化装置の一例としては、例えば、図11に示すようなものがある。この初期化装置は、燃料電池スタック10に接続された反応ガス供給ライン(配管)、冷却水循環ライン(配管)、電子負荷装置30及びこれらの制御装置32等によって構成されている。
反応ガス供給ラインには、電磁弁19、逆止弁41、マスフローコントローラー42、加湿器43が配設されている。燃料電池の発電には加湿が必要となるので、外部加湿方式の場合には、反応ガス中に蒸気を混入させるために、加湿器43を設けている。内部加湿方式の場合には、冷却水が加湿水を兼ねる。
冷却水循環ラインには、水タンク44、調節弁45、流量計46、ヒーター47、ポンプ48が配設されている。初期化装置においては、電池の運転温度を冷却水の温度で制御するため、燃料電池スタック10の上流にヒーター47が設けられている。そして、ヒーター47の出口の水温を制御することで、運転温度を管理している。
負荷としては、固定抵抗を用いることもできるが、発電時の電流制御に優れる電子負荷装置30を適用することが一般的である。なお、図中、25は窒素ガス、21は水素ガス、23は可燃ガス排気、24は空気排気である。
特開2007−66666号公報 特開2005−158734号公報
上記のような従来の燃料電池の初期化方法は、カソード触媒の界面を形成することを主眼においた方法である。このため、アノード触媒の界面が有効に形成されない。これは、燃料電池の性能にはカソードの性能の寄与が大きく、アノードは過電圧が小さく電池性能に与える影響が表れにくいため、アノード触媒の界面形成が注目されていなかったことによる。
しかし、アノード触媒についても、界面が形成されない場所では反応が停滞し、電流密度がその他の場所に集中するので、十分な電池性能を引き出すことができない。従って、アノード触媒の界面を形成することも、電池性能を引き出すためには重要である。
さらに、燃料電池内においては、プロトンの移動に伴って、水分子がアノードからカソードに移動する。アノードの界面形成が不十分な領域では、水の供給が不足し、乾燥傾向になる。その結果として、発電を継続すると、アノードが乾燥して界面が形成されない領域、すなわち触媒が有効に活用されない領域が広がっていく。従って、アノード界面の形成は、燃料電池の経時特性を向上させるためにも重要である。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、アノード触媒の界面を効率的に形成できる燃料電池スタックの初期化方法及び初期化装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、電解質膜を挟んでアノード及びカソードを配設した単電池が複数積層された燃料電池スタックの初期化方法において、前記カソードに燃料ガスを導入して、前記アノードに酸化剤ガスを導入することにより、所定の電流値で発電することを特徴とする。
以上のような本発明では、カソードに燃料ガス、アノードに酸化剤ガスを導入して発電することにより、通常発電とは逆向きに電流が流れるため、アノードにおいて反応生成水を発生させることができ、アノード触媒の界面を効率的に形成できる。
以上のような本発明によれば、アノード触媒の界面を効率的に形成できる燃料電池スタックの初期化方法及び初期化装置を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態とする)を、図面を参照して、具体的に説明する。なお、以下の実施形態における初期化操作時には、通常発電とは逆向きに電流が流れるように発電する。このため、電極の役割が通常とは逆になるが、説明を一貫したものにするため、通常発電における役割に合わせた名称を用いる。
[第1の実施形態]
[初期化操作の手順]
本発明の燃料電池スタックの初期化方法の第1の実施形態を、図1のフローチャートを参照して説明する。初期化操作の概要は、次の通りである。
(1) 不活性ガスにより両極をパージする
(2) カソードに燃料ガスを導入する
(3) アノードに酸化剤ガスを導入する
(4) 負荷を接続して所定の電流値で発電する
次に、上記の初期化操作の詳細を説明する。まず、アノード・カソードの両極を、窒素Nなどの不活性ガスでパージする(ステップ101)。次いで、カソードに燃料ガスとして水素Hを導入する(ステップ102)。燃料電池発電システムにおいては、改質器における改質反応で得られる水素リッチな改質ガスを燃料ガスとして発電する。しかし、改質ガス中にはCOが被毒成分として含まれている。一般にアノードには、CO耐性のあるPtRuなどを触媒として適用する。しかし、カソードには一般にCO耐性の無いPtを用いることが多く、被毒する恐れがある。従って、本発明においては、燃料ガスとして水素を導入する。
以上のように、カソードに水素、アノードに窒素を導入した状態で保持すると、0.08〜0.13V/セルの自然電位で安定する。目安として、0.2V/セル以下の電位になった時点で、カソードが十分に水素で置換されたものと判断する(ステップ103)。所定時間を経過しても0.2V/セル以下の電位にならない場合には、初期化を中止する(ステップ104)。
次に、アノードに空気を導入する(ステップ105)。このとき、アノードの電位は開回路電圧になる。0.9V/セル以上で、アノードが十分に水素で置換されたものと判断する(ステップ106)。所定時間を経過しても0.9V/セル以上にならない場合には、初期化を中止する(ステップ107)。
次に、負荷を接続し、電流を流す(ステップ108)。生成水によって界面を形成するためには、電流ができるだけ高いことが望ましい。目安として、0.6A/cm以上の電流密度で発電する。本実施の形態においては、例えば、100分間発電状態を保持する(ステップ109)。ただし、本発明は、この時間に限るものではない。その後、負荷を遮断し(ステップ110)、アノード・カソードの両極を不活性ガスでパージする(ステップ111,112)。
[効果]
以上のような本実施形態によれば、カソードに燃料ガス、アノードに酸化剤ガスを導入して発電することにより、通常発電とは逆向きに電流が流れるため、アノードにおいて反応生成水を発生させることができる。したがって、アノード触媒の界面を効率的に形成することができ、電池性能を向上させることが可能となる。
[第2の実施形態]
[初期化操作の手順]
本発明の燃料電池スタックの初期化方法の第2の実施形態を、図2のフローチャート、図3のグラフを参照して説明する。まず、カソードに水素を導入、アノードに空気を導入して発電する点は、上記の実施形態と同様である。但し、本実施形態においては、負荷の接続と遮断を数回繰り返し、負荷サイクルをかけることが特徴である。
次に、上記の初期化操作の詳細を説明する。まず、第1の実施形態のステップ101〜108と同様に、不活性ガスパージから負荷接続のよる発電までの処理を行う(ステップ201〜208)。そして、10分経過後(ステップ209)、負荷を遮断し(ステップ210)、1分間保持する(ステップ211)。さらに、nをインクリメントすることにより回数をカウントし(ステップ212)、負荷の接続、発電以降のサイクルを繰り返す(ステップ208〜211)。繰り返しのサイクル数が10回(n>10)となったら(ステップ212)、アノード・カソードの両極を不活性ガスでパージする(ステップ213,214)。
本実施形態においては、ガス流量は発電時を基準にして、一定流量を流し続ける。例えば、図3に示すように、発電時の電流密度は0.8A/cmとし、ガス利用率を燃料利用率70%、空気利用率60%となるガス流量を設定した。負荷電流は、0.8A/cmと0A/cmを繰り返す。保持時間は上記のように、それぞれ10分間、1分間で、サイクル数は10サイクルとしている。
[効果]
以上のような本実施形態によれば、負荷サイクル操作を行うことによって、定電流保持運転よりも高い電池電圧が得られ、界面を効率良く形成することができるので、電池性能の向上に繋がる。
このような効果を、図4及び図5の測定結果に基づいて説明する。まず、図4に、負荷サイクル時の電池電圧の変化を示す。この図4によれば、サイクルを重ねるにつれて、界面が形成されて、電池電圧が向上していくことがわかる。また、図5に、負荷サイクル後の電池電圧と、100分間一定電圧で保持した後の電池電圧とを比較した結果を示す。この図5によれば、発電時間が同じでも、負荷サイクルによって、高い電池電圧を引き出すことができる。すなわち、負荷サイクル操作は、定電流保持運転よりも有効に界面を形成できる。
なお、負荷サイクルが初期化操作において有効である理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように推測される。すなわち、一定電流運転においては、反応に寄与している触媒は変化しないと考えられる。燃料電池発電において使用されている触媒は、担持された触媒の一部であり、全てが有効に反応に寄与しているわけではない。しかし、負荷サイクル操作によって、反応に寄与する触媒が、サイクル毎に変化すれば、生成水が発生する触媒の面積が増えて、発電に機能する触媒の面積が大きくなるものと考えられる。
[第3の実施形態]
[初期化操作の手順]
本発明の燃料電池スタックの初期化方法の第3の実施形態を、図6のフローチャート、図7のグラフを参照して説明する。まず、両極を窒素などの不活性ガスでパージした後、アノードに水素、カソードに空気を導入することにより、カソードを初期化する点は、従来技術と同様である。但し、本実施形態においては、前記の発電後に、両極を窒素パージし、カソードに水素、アノードに空気を導入して、負荷の極性を切り換えて発電を行い、アノード触媒を初期化することが特徴である。
次に、上記の初期化操作の詳細を説明する。まず、アノード・カソードの両極を窒素などの不活性ガスでパージする(ステップ601)。次いでアノードに水素を導入する(ステップ602)。アノードに水素、カソードに窒素を導入した状態で保持すると、自然電位で安定する。目安として、0.2V/セル以下の電位になった時点で、アノードが十分に水素で置換されたものと判断する(ステップ603)。所定時間を経過しても0.2V/セル以下の電位にならない場合には、初期化を中止する(ステップ604)。
次に、カソードに空気を導入する(ステップ605)。このとき、カソードの電位は開回路電圧になる。0.9V/セル以上で、カソードが十分に空気で置換されたものと判断する(ステップ606)。所定時間を経過しても0.9V/セル以上にならない場合には、初期化を中止する(ステップ607)。
次に、負荷を接続し、電流を流す(ステップ608)。本実施形態においては、例えば、100分間発電状態を保持する(ステップ609)。但し、本発明は、この時間に限るものではない。その後、負荷を遮断し(ステップ610)、アノード・カソードの両極を不活性ガスでパージする(ステップ611)。
さらに、カソードに水素を導入する(ステップ612)。0.2V/セル以下の電位になった時点で、カソードが十分に水素で置換されたものと判断する(ステップ613)。所定時間を経過しても0.2V/セル以下の電位にならない場合には、初期化を中止する(ステップ614)。
次に、アノードに空気を導入する(ステップ615)。0.9V/セル以上で、アノードが十分に空気で置換されたものと判断する(ステップ616)。所定時間を経過しても0.9V/セル以上にならない場合には、初期化を中止する(ステップ617)。
そして、負荷の極性を切り換えて接続し、電流を流す(ステップ618,619)。本実施形態では、例えば、100分間発電状態を保持する(ステップ620)。但し、本発明は、この時間に限るものではない。その後、負荷を遮断し(ステップ621)、アノード・カソードの両極を不活性ガスでパージする(ステップ622)。なお、上記の各々の発電の間に行う窒素パージによって、完全に反応ガスを除去できない場合には、水素と空気が触媒上で燃焼反応を起こし、触媒層を損傷する。従って、十分に窒素パージをする必要がある。
[効果]
以上のような本実施形態の効果は、以下の通りである。すなわち、カソードの初期化操作によって、カソード触媒で発生した生成水は、極性を逆にして発電する過程において、アノードへと移動する。燃料電池の発電時には、外部から加湿するため、本来は十分に水が存在する。しかし、このように最初にカソードに生成水を発生させることによって、触媒層内の全領域に渡って十分に水が供給されるため、反応面の全面が反応に寄与し、効率的に広い範囲を初期化することができる。また、カソードの界面を形成した後に、アノードの界面も形成することができるので、アノードだけを初期化するよりも、良好な電池性能を得ることができる。
このような本実施の形態の効果を実証する試験の結果を、図7に示す。試験は5セルスタックで行った。まず、両極を窒素でパージしながら、スタックの冷却水を昇温し、運転温度70℃までスタックを昇温した。次に、アノードに水素、カソードに空気を導入し、負荷サイクルを10サイクル行って、カソードを初期化した。再度、両極を窒素パージした後に、カソードに水素、アノードに空気を導入し、0.4A/cmで30分間保持した。保持後、再度、両極を窒素パージした後、アノードに水素、カソードに空気を導入し、電池特性を測定し、カソード初期化後のセル電圧と比較した。
この試験結果より明らかな通り、セル電圧は、わずかであるが向上している(図中矢印参照)。これは、カソードばかりでなく、アノードにも界面が形成されたことによる効果を示している。すなわち、アノードの界面の面積が広くなったために、反応面が有効に使われ、局所的な電流密度が低くなり、セル電圧が高くなったものである。
[第4の実施形態]
[構成]
本発明の燃料電池スタックの初期化装置の第4の実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。本実施形態は、第1〜3の実施形態の初期化方法を実現することができる初期化装置であり、図8は初期化装置の構成図、図9は初期化操作時の弁の開閉状態を示すテーブルである。なお、図11に示した従来技術と同様の部材は、説明を簡略化する。
すなわち、図8に示すように、本実施形態の初期化装置においては、アノード、カソードの両極に、それぞれ水素ガス21、空気22、窒素ガス25の3種のガスを導入可能な反応ガス供給ライン(反応ガス導入手段)が接続されている。水素ガス21、空気22、窒素ガス25の3つのラインは、燃料電池スタック10の手前で合流している。一方、アノード、カソードの両極には、ガス排気ラインが接続され、それぞれ可燃ガス排気23、空気排気24のラインに分岐している。
上記の各ラインには、電磁弁11〜19が設けられている。図8の電磁弁11〜18と図9の電磁弁A〜D、A´〜D´との対応関係は、次の通りである。
電磁弁11,15(A,A´)
電磁弁12,16(B,B´)
電磁弁13,17(C,C´)
電磁弁14,18(D,D´)
このように、燃料電池スタック10への反応ガス供給ラインのみならず、燃料電池スタック10からの可燃ガス排気23、空気排気24の排気ラインも、電磁弁15〜18により切り替え可能に構成されている。
なお、本実施形態の初期化装置は屋内に設置されることを前提としており、可燃性ガスは屋外への排気が必要である。排気の容量についても水素の爆発下限界以下の濃度に希釈する必要がある。あるいは、排気のためのブロアなどの装置も、防爆などの処置を考慮する必要がある。一方の空気排気については、爆発の危険は無い。従って、排気ラインを独立させ、切り替え可能としている。
また、電子負荷装置30には、極性を切り換えるための切り替えスイッチ31が設けられている。制御装置32は、プログラムにより制御されるコンピュータにより若しくは専用の電子回路により、図8に示す各部によって、各電磁弁11〜19、切り替えスイッチ31等を制御するように構成されている。図8における供給弁制御部321は、電磁弁11〜14,19の開閉を制御する手段であり、排気弁制御部322は、電磁弁15〜18の開閉を制御する手段であり、切り替え制御部323は、切り替えスイッチ31を制御する手段である。
なお、図示はしないが、制御装置32は、電流、電位の検知手段、タイマによる時間の計測手段、電流、電位のしきい値や設定時間等、各種設定の記憶手段等を有している。
[作用効果]
以上のような本実施形態の作用効果は、以下の通りである。すなわち、本実施形態は、上記の実施形態におけるカソード初期化操作時及びアノード初期化操作時において、制御装置32における供給弁制御部321及び排気弁制御部322が、電磁弁11〜19を開閉することによって、それぞれの電極に導入されるガス種を制御することができる。同時に、制御装置32における切り替え制御部323が、切り替えスイッチ31によって、電子負荷装置30の極性を制御することができる。
つまり、図9に示すように、カソードを初期化するときには、電磁弁A、Dを開いて、アノードに水素ガス、カソードに空気を導入する。負荷装置の極性は、カソードが正極、アノードが負極である。逆に、アノードを初期化するときには、電磁弁B、Cを開いて、カソードに水素ガス、アノードに空気を導入する。負荷装置の極性は、カソードが負極、アノードが正極である。なお、不活性ガスパージ時には、各極の電磁弁19を開閉する。
本実施形態は、以上の操作によって、上記の第1〜3の実施形態の初期化方法を実現でき、アノード及びカソードに界面を形成して、良好な電池性能を得ることができる。
[第5の実施形態]
第5の実施形態である燃料電池スタックの初期化装置を、図10を参照して説明する。なお、第4の実施形態と同様の部位については、説明を省略する。すなわち、本実施形態においては、図10に示すように、従来と同様に水素ガス21の供給ラインと空気22のラインを、それぞれ1系統として両極で共有させているが、途中で分岐して再び1系統に合流する配管に、電磁弁11〜14を設けている。かかる構成により、第4の実施形態と同様に、図9に示すような電磁弁11〜18の開閉によって、導入ガス種を切り替えることができる。
以上のような本実施形態によれば、第4の実施形態と同様の効果が得られるとともに、反応ガスの供給系統及び供給源の簡素化を図ることができる。
[他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、電流、電位、設定時間等の具体的な数値は、上記の実施形態で例示したものには限定されない。また、上記の第4及び第5の実施形態で示した初期化装置は、本発明の初期化方法を実現するための装置の一例に過ぎない。したがって、例えば、ラインの配管の数や構成、弁の数等についても、他の態様により実現可能である。また、本発明は、固体高分子形燃料電池には限定されず、初期化を必要とする燃料電池に広く適用可能である。
本発明の第1の実施形態の初期化方法の手順を示すフローチャート 本発明の第2の実施形態の初期化方法の手順を示すフローチャート 図2の実施形態における時間毎の電流密度を示す説明図 図2の実施形態における時間毎の電圧を示す説明図 図2の実施形態における負荷サイクル後の電圧の変化を示す説明図 本発明の第3の実施形態の初期化方法の手順を示すフローチャート 図6の実施形態における電圧の測定結果を示す説明図 本発明の第4の実施形態の初期化装置を示すガス配管図 図8及び図10の実施形態における弁の開閉状態を示す説明図 本発明の第5の実施形態の初期化装置を示すガス配管図 従来の初期化装置の一例を示すガス配管図
符号の説明
10…燃料電池スタック
11〜14…電磁弁A〜D
15〜18…電磁弁A’〜D’
19…電磁弁
21…水素ガス
22…空気
23…可燃ガス排気
24…空気排気
25…窒素ガス
30…電子負荷装置
31…切り替えスイッチ
32…制御装置
41…逆止弁
42…マスフローコントローラー
43…加湿器
44…水タンク
45…調節弁
46…流量計
47…ヒーター
48…ポンプ
321…供給弁制御部
322…排気弁制御部
323…切り替え制御部

Claims (5)

  1. 電解質膜を挟んでアノード及びカソードを配設した単電池が複数積層された燃料電池スタックの初期化方法において、
    前記カソードに燃料ガスを導入して、前記アノードに酸化剤ガスを導入することにより、所定の電流値で発電することを特徴とする燃料電池スタックの初期化方法。
  2. 電解質膜を挟んでアノード及びカソードを配設した単電池が複数積層された燃料電池スタックの初期化方法において、
    前記アノードに燃料ガスを導入して、前記カソードに酸化剤ガスを導入することにより、所定の電流値で発電し、
    前記アノード及び前記カソードに不活性ガスを導入してパージした後に、
    前記カソードに燃料ガスを導入して、前記アノードに酸化剤ガスを導入することにより、所定の電流値で発電することを特徴とする燃料電池スタックの初期化方法。
  3. 前記所定の電流値を周期的に変動させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池スタックの初期化方法。
  4. 前記燃料ガスとして水素を導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池スタックの初期化方法。
  5. 電解質膜を挟んでアノード及びカソードを配設した単電池が複数積層された燃料電池スタックに、燃料ガス及び酸化剤ガスを導入する反応ガス導入手段、前記燃料電池スタックの発電電流を消費する負荷手段及び発電電流を制御する制御手段を有する燃料電池スタックの初期化装置において、
    前記反応ガス導入手段は、アノードに燃料ガス及び酸化剤ガスを導入する手段と、カソードに燃料ガス及び酸化剤ガスを導入する手段とを有し、
    前記負荷手段に流れる電流の極性を切り替える切り替え手段を有することを特徴とする燃料電池スタックの初期化装置。
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