JP2010118288A - 燃料電池スタックを備える燃料電池システムおよび燃料電池スタックの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加湿不足の燃料電池セルを速やかに加湿することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池システムは、(A)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタック、(B)前記燃料電池スタックの加湿不足を検出する検出手段、(C)前記検出手段により加湿不足が検出されたときに、前記燃料電池スタックに水分を供給する水供給手段、(D)前記供給された水分を加熱するための加熱手段、および(E)前記供給された水分を冷却するための冷却手段を備える。本発明の燃料電池システムにおいては、前記供給された水分の、前記加熱手段により加熱と前記冷却手段により冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として、燃料電池スタックを備える燃料電池システムに関し、特に、燃料電池スタックが加湿不足の際に、燃料電池スタックを速やかに加湿することができる燃料電池システムに関する。
家庭用電源、電気自動車用電源、または携帯電話、ノートブック型パーソナルコンピュータなどのモバイル機器用の電源として、高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池の早期実用化が期待されている。
固体高分子型燃料電池(以下単に「燃料電池」とする)は、膜電極接合体(以下「MEA」とする)と、MEAの両側に配置された一対のセパレータと、を含む燃料電池セルを少なくとも1つ有している。MEAは、アノード、カソード、およびそれらの間に配置された高分子電解質を含む。アノードおよびカソードは、それぞれ触媒層とガス拡散層とを含む。アノードは、高分子電解質膜の厚み方向における一方の面に接合され、カソードは、他方の面に接合される。一対のセパレータは、MEAを厚み方向の両面から挟持するように設けられる。燃料電池においては、アノードに水素などの燃料を供給し、カソードに空気などの酸化剤を供給することにより、発電が行われる。
燃料電池を携帯電話などの小型機器以外の電源として用いる場合、燃料電池とともに、空気および燃料の供給手段ならびに発電の制御手段を備えた燃料電池システムが構成される。燃料電池システムにおいて、複数の燃料電池セルを含む燃料電池スタックが用いられている。供給手段は、カソードに空気およびアノードに燃料をそれぞれ供給する。供給手段には、具体的には、ブロワ、ポンプなどが用いられる。制御部は、燃料電池スタックの発電電力や温度、空気および燃料の供給と停止などを制御する。
しかしながら、燃料電池の実用化にはいくつかの課題が存在している。
その1つは、燃料電池セルの加湿状態の制御である。燃料電池セルに用いられている高分子電解質は、加湿状態になければプロトン伝導性が大幅に低下する。このため、高分子電解質膜が加湿不足状態にある場合、燃料電池スタックの出力が大きく低下する。また、高分子電解質膜が加湿不足の状態で燃料電池を運転すると、電極に大きな過電圧がかかり、電極電位の上昇や副反応などによって、電極に用いられている触媒材料やカーボン材料、あるいは高分子電解質膜などの劣化を促進することが分かってきている。
燃料電池スタックの製造直後では、通常、燃料電池セルの加湿状態は十分ではなく、その後工程で燃料電池セルを加湿する必要がある。また、燃料電池システムが長期間にわたって休止状態にあった場合などには、燃料電池セルが含有する水分が徐々に散逸していき、上記のような加湿不足状態になることがある。このような場合、通常では、発電を行うことによって燃料電池セルを加湿する方法が採られている。
燃料が水素である場合には、通常、カソードに供給する空気とアノードに供給する水素はどちらも加湿器を通過して加湿される。また、燃料がメタノール水溶液である場合には、メタノール水溶液の水分がアノードに直接供給される。いずれにしても、発電を行うために燃料が供給されれば、燃料電池セル内に水分が供給されることになる。これに加えて、カソードでは、発電に伴う電極反応によって、水が生成される。発電を行うことによって燃料電池セルが加湿されるのは、上記のような理由による。
発電を行うことで燃料電池セルを加湿する方法では、比較的短時間で加湿することができるが、たとえ短時間であっても加湿不足状態で発電を行うことは、燃料電池セルの寿命特性の観点からは好ましくない。
こうした問題に対する解決策としては、発電を行わずに燃料電池セルを加湿する方法が考えられる。例えば、特許文献1には、燃料電池セルに、燃料電池スタックの動作温度より高温の水または弱酸性水を導入すること、アルコールを導入した後に水や弱酸性水で洗浄することなどが提案されている。特許文献1に開示される技術は、燃料電池スタックの製造直後の工程内での加湿を主目的としていると考えられる。なお、特許文献1に開示される技術により、長期間の休止後の燃料電池セルを加湿することもできる。
特許文献2には、温度80℃〜200℃で、相対湿度50%〜100%で燃料電池セルを加湿することが提案されている。特許文献2には、具体的な加湿手段については述べられていないが、燃料ガスを上記の範囲で加温および加湿することなどが開示されている。
特開2000−003718号公報 特開2005−294173号公報
上記のような加湿方法であれば、発電を行わずに燃料電池セルを加湿することはできるが、いずれも別の問題点がある。具体的には、発電を行わない場合、加湿に必要な時間が、発電を行う場合に比べて大幅に長くなる点である。通常、燃料電池セルの電極は、撥水処理が施されるため、高い撥水性を有する。特許文献1および特許文献2の方法のように、燃料電池セルの外部から水分を供給しても、電極の撥水性が高いため、簡単には電極の内部に浸入していかない。発電を行うなどの大きな状態変化もなく、定常的に水分を供給するだけでは、たとえ高温であったとしても、燃料電池セルを速やかに加湿することは困難である。
また、特許文献2に開示される技術においては、80℃〜200℃程度で加湿を行っている。燃料電池スタックの通常の運転温度は50℃〜80℃程度であり、これよりも高温で加湿を行うことは、製品使用の安全上の観点からは好ましくない。さらに、通常の運転温度では必要のない、高温に対する安全対策および耐久性対策が必要となる。このため、燃料電池システムの簡易化および軽量化、ならびにコスト面が不利となる。
特許文献1に開示されるアルコールを導入して加湿する方法では、触媒層で酸化反応が生じてCOなどの中間分解物を生成し、触媒を被毒してしまう。カソード触媒にはこうした触媒被毒に対する耐性の低いPtが用いられていることが多く、また燃料が水素である場合には、アノード触媒もアルコールによる触媒被毒に対する耐性は高くない。燃料がメタノール水溶液である場合には、アノード触媒はアルコールへの耐性が高いが、通常の発電で用いるような低濃度のメタノール水溶液を供給しただけでは燃料電池セルを速やかに加湿することは困難である。高濃度のアルコール水溶液を供給すると、電極、電解質膜などの劣化を引き起こす可能性がある。
以上のような点から、特許文献1および特許文献2に開示される技術では、燃料電池セルを速やかに加湿することは困難である。
そこで、本発明は、主として、加湿不足状態の燃料電池セルを速やかに加湿することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために、燃料電池セルの加湿方法について鋭意研究を行った。その結果、発電を行わなくても、燃料電池セルに水分を供給し、前記水分の加熱と冷却を繰り返すことで、加湿不足の燃料電池セルを速やかに加湿することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタック、
(B)燃料電池スタックの加湿不足を検出する検出手段、
(C)前記検出手段により加湿不足が検出されたときに、前記燃料電池スタックに水分を供給する水供給手段、
(D)前記供給された水分を加熱するための加熱手段、および
(E)前記供給された水分を冷却するための冷却手段
を備え、前記供給された水分の前記加熱手段により加熱と前記冷却手段により冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する、燃料電池システムに関する。ここで、前記水分は、主成分として水を含んでいればよい。例えば、前記水分は、水(例えばイオン交換水)であってもよいし、低濃度のアルコール水溶液であってもよい。前記アルコール水溶液に含まれるアルコール濃度は、8mol/L以下であることが好ましく、6mol/L以下であることがさらに好ましい。
前記アノードに水素ガスが燃料として供給される場合、前記燃料電池システムは、前記燃料電池スタックを加熱するための燃料電池スタック加熱手段を有しており、前記燃料電池スタック加熱手段が、前記供給された水分を加熱するための加熱手段として機能することが好ましい。
前記アノードにメタノール水溶液が燃料として供給される場合、前記燃料電池システムは、前記燃料を前記アノードに供給するための燃料供給手段および前記燃料電池セルを冷却するための冷却手段を有しており、前記燃料供給手段が前記水供給手段として機能し、前記冷却手段が、前記供給された水分を冷却するための冷却手段として機能することが好ましい。
前記検出手段は、
(F)前記燃料電池スタックの出力または内部抵抗、あるいは前記燃料電池スタックの休止時間を計測するための計測手段、および
(G)前記計測手段で得られた情報に基づいて、前記燃料電池スタックの加湿不足の有無を判定するための判定手段
を備えることが好ましい。
前記燃料電池システムは、
(H)前記加熱手段による加熱により、前記供給された水分の温度を前記燃料電池スタックの運転温度付近に調節し、前記冷却手段よる冷却により、前記供給された水分の温度を室温付近に調節する温度制御手段
を備えることがさらに好ましい。
本発明は、また、
(i)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタックを作製する工程、
(ii)前記燃料電池スタックに、水分を供給する工程、および
(iii)前記供給された水分の加熱と冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する工程
を含む、燃料電池スタックの製造方法に関する。前記工程(iii)において、前記水分が前記燃料電池スタックの運転温度付近まで加熱され、加熱の後の前記水分が室温付近まで冷却されることが好ましい。
本発明の燃料電池システムによれば、加湿不足の燃料電池スタック(燃料電池セル)を、発電を行うことなく、速やかに加湿することができる。よって、本発明の燃料電池システムは、燃料電池スタックが加湿不足状態であったとしても、速やかに加湿することができるため、燃料電池システムを起動してから短時間のうちに通常と同等の出力を得ることができる。
さらに、加湿を行うために、弱酸性水または高濃度のアルカリ水溶液を燃料電池スタックに供給する必要もない。このため、発電および弱酸性水または高濃度のアルカリ水溶液の供給によって生じる燃料電池スタックの劣化を抑制することができる。つまり、本発明の燃料電池システムにおいては、加湿を繰り返し行うような状況にあっても、燃料電池スタックの劣化が抑制される。よって、燃料電池スタックの寿命特性を向上させることができる。
本発明の燃料電池システムは、燃料として水素ガスを用いる燃料電池システムとしてもよいし、直接メタノール型燃料電池システムとしてもよい。燃料として水素ガスを用いる燃料電池システムの場合には、通常の燃料電池システムに、水供給手段と冷却手段をさらに設けることにより、燃料電池スタックの加湿を行うことができる。直接メタノール型燃料電池システムの場合には、通常の燃料電池システムに、加熱手段をさらに設けることより、燃料電池スタックの加湿を行うことができる。
以上のように、本発明によれば、大掛かりな設備を追加する必要がないため、燃料電池システムを小型化および/または簡略化することができる。
さらには、本発明の燃料電池システムにおいては、燃料電池スタックに供給された水分が、前記燃料電池スタックの運転温度付近まで加熱され、加熱の後の水分が室温付近まで冷却されることが好ましい。通常の運転温度と同程度まで加熱することにより、燃料電池スタックの加湿を行うことができるため、燃料電池システムに、高温に対する特別な対策を施す必要がない。
本発明の燃料電池システムは、
(A)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタック、
(B)前記燃料電池スタックの加湿不足を検出する検出手段、
(C)前記検出手段により加湿不足が検出されたときに、燃料電池スタックの前記燃料電池スタックに水分を供給する水供給手段、
(D)前記供給された水分を加熱するための加熱手段、および
(E)前記供給された水分を冷却するための冷却手段
を備える。本発明の燃料電池システムにおいては、前記供給された水分の加熱手段による加熱と前記冷却手段による冷却とを繰り返して、燃料電池スタックの加湿が行われる。
以下、本発明の燃料電池システムを、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の燃料電池システムは、後述するような加湿不足の検出手段、水供給手段、加熱手段、および冷却手段以外は、従来から知られている燃料電池システムと同じ構成を採ることができる。
(実施の形態1)
図1に本発明の一実施形態に係る燃料電池システムのブロック図を示す。図1の燃料電池システム1は、燃料としてメタノール水溶液を用いる。
図1の燃料電池システム1は、直接メタノール型燃料電池システムの一般的な構成要素である燃料電池スタック2、酸化剤供給手段5、燃料供給手段6、発電制御手段7および冷却手段8を備える。燃料電池スタック2は、少なくとも1つの燃料電池セル3を含む。前記冷却手段8は、燃料電池スタック2を冷却する。さらに、燃料電池システム1は、加熱手段4および燃料電池スタック2の加湿不足を検出する検出手段9を備える。本実施形態において、燃料供給手段6が水供給手段として機能し、冷却手段8が燃料電池スタック2に供給された水分を冷却するための冷却手段として機能する。なお、燃料供給手段6とは別に、水供給手段を設けてもよい。
上記のように、燃料電池スタック2は、少なくとも1つの燃料電池セル3を含む。燃料電池セル3は、カソード3a、アノード3b、およびカソード3aとアノード3bとの間に配置された高分子電解質膜3cを含む膜電極接合体、ならびに膜電極接合体を挟み込む一対のセパレータ(つまり、カソードセパレータおよびアノードセパレータ)(図示せず)を含む。燃料電池スタック2に複数の燃料電池セル3が含まれる場合、燃料電池セル3は、直列に接続される。なお、図1においては、燃料電池スタック2に含まれる1つの燃料電池セル3のみを示している。
カソード3aは、例えば、カソード触媒層とカソード用ガス拡散層(以下、カソード拡散層という)とを含む。カソード触媒層は、高分子電解質膜3cの厚さ方向における一方の面に接触している。カソード触媒層はカソードセパレータに接触している。カソード触媒層としては、直接メタノール型燃料電池の分野で常用されるものを使用できる。カソード触媒層は、例えば、カソード触媒と、導電材料と、高分子電解質とを含有することができる。カソード触媒としては、当該分野で公知の材料を用いることができ、例えば、PtRu合金などを用いることができる。導電材料には、例えば、炭素材料などを使用できる。高分子電解質には、燃料電池の分野で従来折り用いられている材料を用いることができる。例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子、炭化水素系高分子などを用いることができる。また、市販の燃料電池用高分子電解質膜を構成する高分子電解質(例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン(株)製))を用いてもよい。
カソード拡散層としては、燃料電池の分野で常用されるものを使用できる。例えば、導電材料を含む拡散層などが挙げられる。カソード拡散層の具体例としては、たとえば、カーボン不織布、カーボンペーパー、カーボンクロスなどが挙げられる。
カソード3aには、酸化剤が供給される。前記酸化剤としては、通常は空気が用いられる。
アノード3bは、アノード触媒層と、アノード用ガス拡散層(以下、アノード拡散層という)とを含む。アノード触媒層は、高分子電解質膜3cの厚み方向における他方の面に接触している。アノード拡散層は、アノードセパレータに接触している。アノード触媒層およびアノード拡散層の構成は、カソード3aの触媒層および拡散層の構成と同様である。
アノード触媒としては、当該分野で公知の材料を用いることができ、例えば、Pt金属などを用いることができる。
アノード3bには、メタノール水溶液またはメタノールが燃料として供給される。
高分子電解質膜3cは、カソード3aおよびアノード3bにより挟持されるように配置されている。高分子電解質膜3cとしては、燃料電池の分野で常用される材料を使用できる。高分子電解質膜3cとしては、例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜、炭化水素系高分子膜などが挙げられる。また、市販の燃料電池用高分子電解質膜を用いても良い。市販品としては、たとえば、ナフィオン(登録商標、デュポン(株)製)などが挙げられる。
カソードセパレータおよびアノードセパレータは、それぞれカソード3aおよびアノード3bの高分子電解質膜3cに接する面とは反対側の面に接するように設けられている。カソードセパレータのカソード3aに接する面には、酸化剤流路が形成されている。アノードセパレータのアノード3bに接する面には燃料流路が形成されている。
なお、燃料電池スタック2には、燃料電池スタック2の積層方向において、燃料電池スタック2を挟み込むように、一対の集電板、絶縁板、端板などがさらに積層されてもよい。
酸化剤供給手段5は、酸化剤送り出し手段5aおよび酸化剤配管5bを含む。酸化剤供給手段5は、酸化剤を燃料電池スタック2に含まれる燃料電池セル3のカソード3aに供給する。具体的には、酸化剤送り出し手段5aによって送り出された酸化剤が、酸化剤配管5bを通って、カソード3aに供給される。
酸化剤送り出し手段5aとしては、例えば、ブロワ、ポンプなどの送風機を使用できる。前記送風機は、酸化剤である空気を取り込んで、酸化剤配管5bに送り込む。酸化剤送り出し手段5aは、加湿器(図示せず)を備えていてもよい。
酸化剤送り出し手段5aは、発電制御手段7と電気的に接続されており、発電制御手段7により制御される。
燃料供給手段6は、燃料貯留手段6a、燃料送り出し手段6bおよび燃料配管6cを含む。燃料供給手段6は、燃料を燃料電池スタック2に含まれる燃料電池セル3のアノード3bに供給する。
燃料貯留手段6aとしては、燃料を貯留することができる容器を特に限定することなく用いることができる。燃料貯留手段6aには、例えば、メタノール水溶液またはメタノールを収容した燃料タンクなどを使用できる。また、定置型の家庭用電源として燃料電池システム1を用いる場合などには、燃料貯留手段6aを用いず、外部から燃料を燃料電池システム1に直接供給してもよい。
燃料送り出し手段6bは、燃料貯留手段6aに貯留される燃料を、燃料配管6cを通して、アノード3bに供給する。燃料送り出し手段6bには、例えば、流量コントローラ、燃料弁、燃料ポンプなどを使用できる。
燃料送り出し手段6bは、発電制御手段7と電気的に接続されており、発電制御手段7により制御される。
なお、燃料供給手段6が水供給手段として機能する場合、燃料としては、0.5〜6mol/Lのメタノール水溶液を用いることが好ましい。
発電制御手段7は、燃料電池スタック2による発電を制御するだけでなく、燃料電池スタック2に供給された水分の加熱と冷却とが繰り返されるように加熱手段4および冷却手段8とを制御する。つまり、発電制御手段7は、燃料電池スタック2に供給された水分の加熱と冷却とが繰り返されるように加熱手段4および冷却手段8を制御する手段としても機能する。
発電制御手段7は、例えば、中央処理装置(CPU)、記憶手段などを備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路から構成できる。記憶手段としては、当該分野で公知の手段を用いることができる。記憶手段としては、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、フラッシュメモリなどを用いることができる。記憶手段には、各種制御を実施するためのプログラム、各種制御を開始するための基準数値などが予め入力されている。
なお、燃料電池スタック2に供給された水分の加熱と冷却とが繰り返されるように加熱手段4および冷却手段8を制御する手段は、発電制御手段7とは別に設けてもよい。この場合にも、前記加熱手段4および冷却手段8を制御する手段は、中央処理装置(CPU)、記憶手段などを備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路から構成できる。
加熱手段4は、燃料電池スタック2の外周に設けられている。加熱手段4としては、例えば、ラバーヒーターなどのヒーターを用いることができる。
燃料電池スタック2の温度は、例えば、熱電対を用いて測定されており、その測定温度に基づいて、燃料電池スタック2の温度が所定の温度となるように、加熱手段4が発電制御手段7により制御されている。
なお、加熱手段4は、燃料電池スタック2の内部に設けてもよい。
冷却手段8は、燃料電池スタック2の外周部に空気を送ることにより、燃料電池スタック2を冷却してもよい。または、セパレータに冷却用流路を設け、冷却手段8により、前記冷却用流路に空気を送って、燃料電池スタック2を冷却してもよい。冷却手段8としては、例えば、ブロワ、ファンなどの送風機を用いることができる。
加熱手段4の場合と同様に、燃料電池スタック2の測定温度に基づいて、燃料電池スタック2の温度が所定の温度となるように、冷却手段8は発電制御手段7により制御されている。
以下、本実施形態に係る燃料電池システムの作動について、説明する。
まず、燃料電池システム1に含まれる燃料電池スタック2の加湿不足の有無が、検出手段9により検出される。前記検出手段9は、例えば、前記燃料電池スタック2の出力または内部抵抗、あるいは前記燃料電池スタック2の休止時間を計測するための計測手段9a、ならびに前記計測手段9aからの情報に基づいて、前記燃料電池スタック2の加湿不足を判定するための判定手段9bを備えることができる。前記判定手段9bとしては、発電制御手段7と同様に、中央処理装置、記憶手段などを備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路から構成できる。なお、発電制御手段7が、前記判定手段9bを兼ねてもよい。
計測手段9aは判定手段9bに電気的に接続されており、計測手段9aからの情報が判定手段9bに送られる。判定手段9bは、発電制御手段7に電気的に接続されている。
発電を開始する命令が発電制御手段7へ入力されると(燃料電池システム1が起動されると)、発電制御手段7からの信号に基づいて、判定手段9bでは、計測手段9aからの情報に基づき、燃料電池スタック2の加湿不足の有無が判定される。具体的には、計測手段9aから判定手段9bに送られてきた情報値が、判定手段9bに記憶された所定の範囲内にない場合に、燃料電池スタック2が加湿不足の状態にあると判定される。判定手段9bにおいて、燃料電池スタック2が加湿不足であると判定された場合、判定手段9bからの情報に基づいて、発電制御手段7により燃料電池スタック2の加湿が行われる。
燃料電池スタック2の出力を計測する場合、計測手段9aとしては、当該分野で公知の出力を測定することができる手段を用いることができる。
燃料電池スタック2の内部抵抗を測定する場合、計測手段9aとしては、内部抵抗を測定することができる当該分野で公知の装置を用いることができる。このような装置としては、例えば、交流抵抗測定装置を用いることができる。
燃料電池スタック2の休止時間を測定する場合、計測手段9aとしては、燃料電池スタック2が休止されてからの時間を記憶しておくことができる装置を特に限定することなく用いることができる。
計測手段9aが、燃料電池スタック2の出力を測定する場合、測定された出力値が、所定の出力値よりも低いときに、燃料電池スタック2の加湿が行われる。
計測手段9aが、燃料電池スタック2の内部抵抗値を測定する場合、測定された内部抵抗値が所定の内部抵抗値よりも高いときに、燃料電池スタック2の加湿が行われる。
計測手段9aが、燃料電池スタック2の休止時間を計測する場合、計測された休止時間が所定の休止時間よりも長いときに、燃料電池スタック2の加湿が行われる。
なお、計測手段9aが燃料電池スタック2の出力を測定する場合、発電制御手段7により燃料電池スタック2を作動させて、燃料電池スタック2の出力が測定される。燃料電池スタック2を加湿する必要がある場合、一旦発電を停止し、燃料電池スタック2の加湿を行ったのち、再び発電を開始する。なお、燃料電池スタック2の出力を測定するための発電は、短時間しか行われないため、加湿不足状態での発電による電極の劣化はほとんど生じない。
加湿不足の有無の判定に用いられる所定の情報値の範囲、つまり、出力値、内部抵抗値、または休止時間の範囲は、燃料電池セル3の構造や材料、燃料電池スタック2の大きさや形状、燃料電池システム1の構成や形状、発電の制御状態などによって異なる。一つの目安としては、例えば、燃料電池スタック2の出力が過去数回起動時の平均値の半分以下まで低下した場合、燃料電池スタック2の内部抵抗が過去数回起動時の平均値の2倍以上まで上昇した場合、または休止時間が1ヶ月よりも長い場合に、燃料電池スタック2の加湿を行うことが好ましい。
検出手段9により、燃料電池スタック2が加湿不足であると判定された場合、燃料電池スタック2の加湿が行われる。燃料電池スタック2の加湿は、例えば、以下のようにして行われる。まず、発電制御手段7からの信号に基づいて、水供給手段(燃料供給手段6)が、燃料電池スタック2に水分を供給する。次に、発電制御手段7からの信号に基づいて、加熱手段4が燃料電池スタック2に供給された水分を加熱し、冷却手段8が加熱された水分を冷却する。発電制御手段7が、加熱手段4および冷却手段8を制御して、加熱と冷却とが繰り返される。こうして、燃料電池スタック2の加湿が行われる。
本実施形態の燃料電池システム1において、水分は、燃料供給手段6により、燃料電池セル3のアノード3bのみに供給してもよい。または、さらなる水供給手段を設けて、水分をアノード3bとカソード3aの両方に供給してもよい。あるいは、燃料供給手段6を水供給手段として用いず、別に水供給手段を設けて、カソード3aのみに水分を供給してもよい。なお、別の水供給手段を設ける場合、水供給手段は、以下の実施の形態2に示されるように、水貯留手段、水送り出し手段および水配管から構成することができる。なお、水供給手段を別途設ける場合、用いられる水分は、水(例えばイオン交換水)であってもよいし、0.1〜2mol/Lのアルコール水溶液であってもよい。
つまり、水供給手段は、燃料電池スタック2に含まれる燃料電池セル3のカソード3aおよびアノード3bの少なくとも一方に水分を供給する。
燃料電池スタック2(つまり燃料電池セル3)に供給された水分は、加熱手段4で加熱され、加熱後の水分が冷却手段8により冷却される。供給した水分の加熱と冷却を繰り返すことにより、燃料電池スタック2を速やかに湿潤させることができる。
加熱状態を維持する場合よりも、加熱と冷却を繰り返した場合に燃料電池セル3の加湿が速やかに進行することの詳細な原因については、現在鋭意研究中であるが、以下のように考えられる。燃料電池セル3内部において、加熱状態では、供給された水分の多くが気化しており、気化した水分が、燃料電池セル3全体に速やかに拡散すると考えられる。次に、気化した水分が冷却されると、結露が生じ、次いで生じた液滴が成長する。つまり、燃料電池セル3全体において、液滴が生じ、よって、燃料電池セル3全体に水分が浸透すると考えられる。以上のように、燃料電池セル3内部の液体が拡散しにくいような箇所にも、水分が拡散することができるために、燃料電池セル3が速やかに湿潤されると考えられる。
燃料電池スタック2を加熱したときの燃料電池スタック2の到達温度(つまり、加熱された水分の温度)は、燃料電池スタック2の運転温度付近である50℃〜80℃程度であることが好ましい。加熱後の燃料電池スタック2を冷却したときの燃料電池スタック2の到達温度(冷却された水分の温度)は、室温付近である15℃〜35℃程度であることが好ましい。加熱の際の到達温度が高いほど、水分が気化し、燃料電池セル3の内部に拡散しやすいが、80℃よりも高い温度まで加熱すると、高温に対する対策が必要になる。また、加熱と冷却の温度差が大きいほど加湿が速やかに進むが、15℃よりも低い温度まで冷却するには、長い時間がかかる。
加熱と冷却の繰り返し回数は、燃料電池セル3の構造や材料によっても異なるが、例えば3回〜10回程度が好ましい。
加湿不足状態にある燃料電池スタック2を加湿できるまでの加湿時間は、燃料電池セル3の構造や材料、燃料電池スタック2の大きさや形状、燃料電池システム1の構成や形状、発電の制御状態などによって異なる。一つの目安として、例えば、加湿時間を30分間以下とすることを挙げることができる。燃料電池スタック2の加湿は、燃料電池システム1が発電開始の命令を受けてから実際に発電を開始するまでの間に行われる。その間に必要とされる電力は、併設される蓄電池やAC電源でまかなうことになるため、加湿を長時間続けることはできない。よって、燃料電池スタック2の加湿時間は、30分間以下であることが好ましく、15分間以下であることがさらに好ましい。なお、燃料電池スタック2を加熱したときの到達温度および冷却したときの到達温度を上記範囲とし、さらに水分の供給速度、ならびに燃料電池スタック2の加熱および冷却の速度などを適切に制御することにより、燃料電池スタック2を短い時間で加湿できる。
なお、前記検出手段9により、少なくとも、燃料電池スタック2が加湿不足の状態にあることがわかればよい。具体的には、前記検出手段9により、例えば、燃料電池スタック2の出力または内部抵抗、あるいは燃料電池スタック2の休止時間がわかればよい。例えば、前記検出手段9は、計測手段9aのみを含み、計測手段9aからの情報に基づいて、手動により、水供給手段から燃料電池スタック2に水分を供給してもよい。このことは、以下の実施形態2においても同様である。
加熱手段4および冷却手段8による燃料電池スタック2の到達温度の制御は、前記加熱手段4による加熱により、供給された水分の温度を前記燃料電池スタック2の運転温度付近に調節し、前記冷却手段8による冷却により、供給された水分の温度を室温付近に調節する温度制御手段を用いて行うことができる。本実施形態において、発電制御手段7が、温度制御手段としても機能する。なお、温度制御手段は、発電制御手段7とは別に設けてもよい。この場合、温度制御手段としては、発電制御手段7と同様に、中央処理装置、記憶手段などを備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路から構成できる。
なお、計測手段9aにより燃料電池スタック2の出力または内部抵抗が測定されている場合、燃料電池スタック2の出力が所定の値以上となったとき、または燃料電池スタック2の内部抵抗が所定の値以下となったときに、燃料電池スタック2の加湿を終了してもよい。
通常、燃料電池システムは、電源として適用されるほとんどの用途において、一週間に少なくとも一回程度起動されることが想定されている。こうした使用状態での燃料電池セルの加湿は、通常の運転で実現されるものであり、燃料電池スタックの形状などによらず、燃料電池セルの加湿が別途行うことは少ないと言える。つまり、燃料電池セルが加湿不足状態となり、燃料電池スタックの出力が大きく低下したり内部抵抗が大きく上昇したりすることはない。燃料電池システムに含まれる燃料電池セルの加湿は、上記運転方法における休止時間よりも長い休止時間の場合に必要になると言える。
本発明において、水供給手段、加熱手段4、および冷却手段8を駆動するための電力は、例えば、燃料電池システム1に併設される蓄電池から供給されることとなる。本実施形態の燃料電池システム1では、燃料電池スタック2の加湿を速やかに行うことができるため、蓄電池への負担を軽減することができ、システム全体としての長期寿命特性や発電効率を低下させることがない。
本実施形態の燃料電池システム1において、燃料電池スタック2により発電された電力は、発電制御手段7を介して、外部負荷10に供給される。
(実施の形態2)
本発明の別の実施形態に係る燃料電池システムのブロック図を、図2に示す。図2の燃料電池システム20は、水素ガスを燃料とする燃料電池システムの一般的な構成要素である燃料電池スタック22、燃料電池スタック加熱手段24、酸化剤供給手段25、燃料供給手段26、および発電制御手段27を備える。実施の形態1と同様に、燃料電池スタック22は、少なくとも1つの燃料電池セル23を含む。燃料電池セル23は、カソード23a、アノード23b、およびそれらの間に配置された高分子電解質膜23cを含む。なお、図2においても、燃料電池スタック22に含まれる1つの燃料電池セル23のみを示している。
さらに、図2の燃料電池システム20は、冷却手段28、燃料電池スタック22の加湿不足を検出する検出手段29、および水供給手段30を備える。前記検出手段29は、計測手段29aおよび燃料電池スタック22の加湿不足の有無を判定する判定手段29bを備える。計測手段29aは、実施の形態1と同様に、燃料電池スタック22の出力または内部抵抗、あるいは燃料電池スタック22の休止時間を計測する。
本実施形態においては、前記燃料電池スタック加熱手段24が、燃料電池スタック22に供給された水分を加熱するための加熱手段としても機能する。
燃料電池スタック22、燃料電池スタック加熱手段24、酸化剤供給手段25、発電制御手段27、冷却手段28、計測手段29aおよび判定手段29bは、基本的に、実施の形態1と同様なものを用いることができる。本実施形態においても、発電制御手段27が判定手段29bとして機能してもよい。また、検出手段29は、計測手段29aのみを含んでいてもよい。
酸化剤供給手段25は、酸化剤送り出し手段25aおよび酸化剤配管25bを含む。酸化剤供給手段25は、空気などの酸化剤を燃料電池セル23のカソード23aに供給する。酸化剤送り出し手段25aは、加湿器33を備えていてもよい。酸化剤送り出し手段25aとしては、実施の形態1と同様なものを用いることができる。
燃料供給手段26は、燃料貯留手段26a、燃料送り出し手段26bおよび燃料配管26cを含む。燃料供給手段26は、水素ガスなどの燃料ガスを燃料電池セル23のアノード23bに供給する。燃料送り出し手段26bは、加湿器34を備えていてもよい。
燃料貯留手段26aとしては、燃料ガスを貯留することができる容器を特に限定することなく用いることができる。燃料貯留手段26aとしては、例えば、燃料ボンベ、燃料タンクなどを使用できる。
燃料送り出し手段26bとしては、燃料ガスを送り出すことができる手段を特に限定することなく用いることができる。燃料送り出し手段26bとしては、例えば、ガス流量コントローラ、弁、ポンプ等を用いることができる。
なお、燃料供給手段26は、燃料改質器(図示せず)を含んでいてもよい。
水供給手段30は、燃料電池セル23のカソード23aおよびアノード23bの少なくとも一方に水分を供給する。燃料電池セル23に供給される水分としては、イオン交換水、低濃度のアルコール水溶液などを用いることができる。
図2の燃料電池システム20において、水供給手段30は、水貯留手段30a、水送り出し手段30bおよび水配管30cを含む。水貯留手段30aとしては、イオン交換水または低濃度のアルコール水溶液を貯留することができる容器を特に限定することなく用いることができる。水送り出し手段30bは、水貯留手段30aに貯留される水分を、水配管30cを通して、燃料電池セル23に供給する。水送り出し手段30bには、例えば、流量コントローラ、弁、ポンプなどを使用できる。水送り出し手段30bは、発電制御手段27と電気的に接続されており、発電制御手段27により制御される。
水配管30cは、切り替え弁31を介して酸化剤配管25bに接続され、切り替え弁32を介して燃料配管26cに接続されている。切り替え弁31を操作して、水配管30cを酸化剤配管25bに連通させると、水分をカソード23aに供給することができる。同様に、切り替え弁32を操作して、水配管30cを燃料配管26cに連通させると、水分をアノード23bに供給することができる。
水分は、カソード23aまたはアノード23bのいずれか一方に供給してもよいし、カソード23aおよびアノード23bの両方に供給してもよい。
切り替え弁31および32の操作は、発電制御手段27により自動で行われるようにしてもよいし、手動で行ってもよい。
図2の燃料電池システム20においても、燃料電池スタック22の加湿方法は、実施の形態1と同様である。具体的には、燃料電池システム20が起動されると、判定手段29bにおいて、計測手段29aからの情報に基づいて、燃料電池スタック22の加湿不足の有無が判定される。判定手段29bにおいて、燃料電池スタック22の加湿が必要であると判断されると、判定手段29bから、発電制御手段27に信号が送られる。次に、発電制御手段27からの信号に基づいて、水供給手段30が、燃料電池スタック22(つまり、燃料電池セル23)に水分を供給する。次いで、発電制御手段27からの信号に基づいて、燃料電池スタック加熱手段24が燃料電池スタック22に供給された水分を加熱し、冷却手段28が加熱された水分を冷却する。発電制御手段27が、燃料電池スタック加熱手段24および冷却手段28を制御して、加熱と冷却とが繰り返される。こうして、燃料電池スタック22の加湿が行われる。
(実施の形態3)
本発明による燃料電池スタック(燃料電池セル)の加湿方法は、
(a)燃料電池スタックに、水分を供給する工程、および
(b)前記供給された水分の加熱と冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する工程
を含む。なお、前記加湿方法は、工程(a)の前に燃料電池スタックの加湿不足の有無を判定する工程を有していてもよい。
前記加湿方法は、一般的な構成の燃料電池システムの製造工程において、製造直後の燃料電池スタックを加湿するためにも有効である。一般的に、燃料電池セルは、通常運転時よりも乾燥した状態で製造され、その後に加湿を行っている。この加湿をする工程において、本発明による加湿方法のように、燃料電池セルに水分を供給し、加熱と冷却を繰り返す操作を行うことで、燃料電池セルを速やかに加湿することができる。製造工程で燃料電池セルのみを扱えばよいため、最終的な燃料電池システムの構成によらず、通常の構成の燃料電池システムの製造においても、本発明の加湿方法を適用することができる。これにより、燃料電池システムの製造にかかる時間を短縮することができる。
具体的には、本発明の燃料電池スタックの製造方法は、
(i)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタックを作製する工程、
(ii)前記燃料電池スタックに、水分を供給する工程、および
(iii)前記供給された水分の加熱と冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する工程
を含む。なお、上記と同様の理由から、工程(iii)において、前記水分が前記燃料電池スタックの運転温度付近まで加熱され、加熱の後の前記水分が室温付近まで冷却されることが好ましい。
本発明の燃料電池システムは、実施の形態1および2で説明したように、直接メタノール型燃料電池であってもよいし、水素ガスを燃料として用いる燃料電池システムであってもよい。直接メタノール型燃料電池システムは、主にモバイル機器用電源として用いられる。水素ガスを燃料として用いる固体高分子型燃料電池は、定置電源としてだけでなく、自動車用電源などとしても用いられることになる。
本発明の燃料電池システムは、直接メタノール型燃料電池システムとすることが好ましい。メタノール水溶液を燃料として用いる直接メタノール型燃料電池システムの場合には、水供給手段を別に設けることなく、燃料電池スタックに供給される水分として、水よりも電極への親和性の高いメタノール水溶液を用いることができる。さらに、加熱手段として例えば薄型軽量のラバーヒーターなどを用いることができるため、燃料電池システムを小型化することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
[触媒層の作製]
カソード用触媒をイソプロパノール水溶液に分散させた分散液6mlと、高分子電解質分散液(ナフィオン(登録商標)5重量%溶液、アルドリッチジャパン(株)製)5mlとを混合して、触媒インクを調製した。この触媒インクをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗布し、乾燥して、カソード触媒層を作製した。カソード用触媒としては、Pt触媒を用いた。前記Pt触媒は、ケッチェンブラック(商品名:ECP、ケッチェンブラックインターナショナル社製)に担持させた。Pt触媒とケッチェンブラックとの合計に占めるPt触媒の量を50重量%とした。
カソード用触媒に代えてアノード用触媒を用いたこと以外は、カソード触媒層と同様にして、アノード触媒層を作製した。アノード用触媒としては、PtRu触媒(原子比Pt:Ru=1:1)を用いた。前記PtRu触媒は、ケッチェンブラック(ECP)に担持させた。PtRu触媒とケッチェンブラックとの合計に占めるPtRu触媒の量を50重量%とした。
[ガス拡散層の作製]
アセチレンブラック(商品名:デンカブラック、電気化学工業(株)製)とPTFE分散液(固形分60重量%、アルドリッチジャパン(株)製)と、所定の量のイオン交換水とを混合して、ガス拡散層インクを調製した。このインクを、カーボンペーパー(商品名:AvCarb(登録商標)1071HCB、バラードマテリアルプロダクツ社製)の片面に塗布し、乾燥して、カソード用ガス拡散層を得た。
別のカーボンペーパー(東レ(株)製の商品名:TGP−H−090)を用いたこと以外は、カソード用ガス拡散層と同様にして、アノード用ガス拡散層を作製した。
[MEAおよび燃料電池セルの作製]
高分子電解質膜(商品名:ナフィオン(登録商標)112、デュポン(株)製)の一方の面にカソード触媒層を積層し、他方の面にアノード触媒層を積層した。得られた積層体をホットプレスし、この後PTFEシートを引き剥がして、カソード触媒層およびアノード触媒層を高分子電解質膜へ転写した。
次に、カソード触媒層の上にカソード用ガス拡散層を積層し、アノード触媒層の上にアノード用ガス拡散層を積層した。ホットプレスにより、拡散層を拡散層に接合した。
このようにして、MEAを作製した。
得られたMEAにおいて、高分子電解質膜の両面の、電極(触媒層+ガス拡散層)が接合されていない部分に、ゴム製ガスケットを装着した。次に、それぞれ一対の黒鉛製セパレータ、集電板、加熱手段であるラバーヒーター、絶縁板および端板でこの順番に挟み込むようにして、これらをMEAに積層した。この後、セパレータ部分に熱電対を装着した。こうして、燃料電池セルを作製した。
得られた燃料電池セルを用いて、図1に示されるような燃料電池システムを作製した。
具体的には、得られた燃料電池セルに、空気供給手段、水供給手段でもある燃料供給手段、冷却手段、発電制御手段、および燃料電池セルの加湿不足を検出する検出手段である内部抵抗計測手段を装着した。
酸化剤送り出し手段には、空気ポンプを用いた。
燃料として1mol/Lメタノール水溶液を用い、燃料貯留手段には燃料タンクを用い、燃料送り出し手段には燃料ポンプを用いた。
冷却手段には送風ファンを用い、燃料電池セルの外周に空気を流すようにした。
発電制御手段および燃料電池システムにより生成された電力を消費する外部負荷として、電子負荷装置を用いた。
内部抵抗計測手段には、交流抵抗測定装置を用いた。
[評価]
得られた燃料電池システムを、60℃、100mA/cm2の定電流で、予備発電させて、出力および内部抵抗を安定化させた。この後、次のような加湿の評価試験を行った。
休止状態の燃料電池セルの温度を60℃に保ち、空気および燃料の供給口に窒素を流入させて、燃料電池セルの内部を乾燥させて、加湿不足状態とした。本実施例では、燃料電池セルの内部抵抗を内部抵抗測定手段により測定しておき、測定された内部抵抗値が、窒素流入開始時の抵抗値(第1内部抵抗値)の2倍となったときに、燃料電池セルが加湿不足状態にあるとみなした。
次に、燃料電池セルのアノードに水分であるメタノール水溶液を供給し、ラバーヒーターを用いて、約1分間かけて燃料電池セルを60℃まで加熱した。次いで、燃料電池セルを、冷却手段により、約2分間かけて燃料電池セルの温度が30℃となるまで冷却した。この加熱と冷却を繰り返した。前記加熱と冷却を繰り返しながら、燃料電池セルの温度が60℃のときの内部抵抗値を測定しておいた。測定した内部抵抗値が、(第1内部抵抗値)〜(第1内部抵抗値よりも5%大きい値)の範囲にまで低下した時間(加湿時間)を求めた。得られた結果を、表1に示す。なお、メタノール水溶液の供給、ラバーヒーターによる加熱、および冷却手段による冷却は手動で行った。
次に、加湿後の燃料電池セルを、電子負荷装置により150mA/cm2の定電流で60分間、連続発電させた。前記発電において、セル温度は60℃に保ち、空気の利用率は50%、燃料の利用率は70%とした。このような連続発電を1サイクルとし、100サイクルの発電試験を行った。1サイクル目の平均電圧に対する100サイクル目の平均電圧の比率を、電圧維持率とした。得られた結果を表1に示す。表1において、電圧維持率は、百分率値として表している。
(実施例2)
カソードに水分を供給する第2の水供給手段を設けたこと以外、実施例1と同様にして、燃料電池システム2を作製した。具体的に、切り替え弁を介して、酸化剤配管に、水配管、水送り出し手段(ポンプ)および水貯留手段(タンク)を接続した。カソードに供給される水分としては、イオン交換水を用いた。
燃料電池システム2を、実施例1と同様の評価試験に供した。結果を表1に示す。
(実施例3)
燃料供給手段を水供給手段としては用いず、カソードおよびアノードに水分を供給する第1の水供給手段を設けたこと以外、実施例1と同様にして、燃料電池システム3を作製した。具体的には、水貯留手段(タンク)に水送り出し手段(ポンプ)を接続し、水送り出し手段から延びた水配管を、第1の切り替え弁および第2の切り替え弁を介して、それぞれ酸化剤配管および燃料配管に接続した。
燃料電池システム3においては、カソードおよびアノードの両方に、水分を供給した。本実施例において、水分としては、イオン交換水を用いた。
燃料電池システム3を、実施例1と同様の評価試験に供した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で作製した燃料電池セルを用いて、図2に示されるような燃料電池システムを作製した。得られた燃料電池システムを、燃料電池システム4とした。
具体的には、作製した燃料電池セルに、空気供給手段、燃料供給手段、冷却手段、水供給手段、発電制御手段、および内部抵抗計測手段を装着した。
空気送り出し手段には、空気ポンプを用いた。空気配管には、加湿器を装着しておいた。
燃料として水素ガスを用い、燃料貯留手段にはガスボンベを用い、燃料送り出し手段には流量コントローラを用いた。燃料配管には、加湿器を装着しておいた。
冷却手段には送風ファンを用い、燃料電池セルの外周に空気を流すようにした。
水送り出し手段には、ポンプを用いた。
発電制御手段および燃料電池システムが生成した電力を消費する外部負荷として、電子負荷装置を用いた。
内部抵抗計測手段には、交流抵抗測定装置を用いた。
燃料電池システム4において、カソードおよびアノードの両方に水分を供給した。本実施例において、水分としては、イオン交換水を用いた。
燃料電池システム4を、実施例1と同様の評価試験に供した。結果を表1に示す。
(比較例1)
燃料電池システム1を用い、加熱と冷却の繰り返しは行わず、60℃、150mA/cm2の定電流で発電を行ったこと以外は、実施例1と同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
燃料電池システム1を用い、加熱と冷却の繰り返しは行わず、燃料電池セルの温度を60℃に維持したこと以外は、実施例1と同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
燃料電池システム2を用い、加熱と冷却の繰り返しは行わず、燃料電池セルの温度を60℃に維持したこと以外は、実施例1と同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。なお、本比較例においては、燃料電池セルのカソードに、イオン交換水の代わりに、メタノールを供給した。
(比較例4)
燃料電池システム4を用い、加熱と冷却の繰り返しは行わず、60℃、150mA/cm2の定電流で発電を行ったこと以外は、実施例1と同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。
なお、表1には、各燃料電池システムに用いられる燃料および加湿方法も示す。ここで、加湿方法としては、カソードおよび/またはアノードに供給される水分の種類、加湿を行うときの操作が示されている。
Figure 2010118288
燃料電池セルを加湿するために発電を行った比較例1および4では、加湿時間は比較的短いが、電圧維持率(つまり、寿命特性)が大きく低下している。これは、加湿不足の燃料電池セルを用いて発電を行ったことによって、電極材料、高分子電解質膜などが劣化したためと考えられる。
発電を行わずに水分の供給のみで加湿を行った比較例2では、加湿に時間を要することがわかる。この結果から、燃料電池セルを一定温度に保ったままで、燃料電池セルに水分を供給したとしても、電極内部まで水分が拡散するのに時間を要することがわかる。
メタノールの供給により加湿を行った比較例3では、加湿時間は比較的短いが、寿命特性が大きく低下している。高濃度のアルコールを流入したことで、電極材料、高分子電解質膜などが劣化したためと考えられる。
実施例1〜4で用いた本発明の燃料電池システムにおいては、加湿時間が短く、かつ寿命特性も良好である。これらの結果から、本発明の燃料電池システムによって、燃料電池セルをほとんど劣化させることなく、速やかに燃料電池セルを加湿できることがわかる。
特に、アノードの加湿にメタノール水溶液を用いた実施例1および2は、アノードの加湿にイオン交換水を用いた実施例3および4よりも、加湿時間が短い。これは、イオン交換水よりも電極材料への親和性の高いメタノール水溶液を用いているためであると考えられる。
さらに、実施例1と比較例1との電圧維持率の差を、実施例4と比較例4との電圧維持率の差と比較すると、実施例1において寿命特性の低下を抑制する効果が大きくなっていることがわかる。燃料としてメタノール水溶液を用いる燃料電池セルの場合には、カソードへ供給される空気は未加湿のため、燃料電池セルが加湿不足状態のままで発電を行うと、特にカソードの劣化が大きくなると考えられる。よって、本発明は、燃料としてメタノール水溶液を用いる燃料電池システムの場合に、より大きな効果が得られることがわかる。
以上の結果から、本発明により、加湿不足の燃料電池セルを速やかに加湿ができ、さらに加湿不足による燃料電池セルの寿命特性の低下を抑制することが可能な直接メタノール型燃料電池システムおよび固体高分子型燃料電池システムが得られることがわかる。
本発明の燃料電池システムは、燃料電池セル(燃料電池スタック)が加湿不足となった場合でも、燃料電池セルの劣化を抑制しながら燃料電池セルを速やかに加湿することができる。このため、本発明の燃料電池システムは、優れた出力特性と長期寿命特性を有する。よって、本発明の燃料電池システムは、例えば、家庭用電源、電気自動車用電源、ノートブック型パーソナルコンピュータなどのモバイル機器用の電源として好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の別の実施形態に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
符号の説明
1 直接メタノール型燃料電池システム
2、22 燃料電池スタック
3、23 燃料電池セル
3a、23a カソード
3b、23b アノード
3c、23c 高分子電解質膜
4 加熱手段
5、25 酸化剤供給手段
5a、25a 酸化剤送り出し手段
5b、25b 酸化剤配管
6、26 燃料供給手段
6a、26a 燃料貯留手段
6b、26b 燃料送り出し手段
6c、26c 燃料配管
7、27 発電制御手段
8、28 冷却手段
9、29 検出手段
9a、29a 計測手段
9b、29b 判定手段
10 外部負荷
20 水素を燃料として用いる燃料電池システム
24 燃料電池スタック加熱手段
30 水供給手段
30a 水貯留手段
30b 水送り出し手段
30c 水配管
31、32 切り替え弁
33、34 加湿器

Claims (7)

  1. (A)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタック、
    (B)前記燃料電池スタックの加湿不足を検出する検出手段、
    (C)前記検出手段により加湿不足が検出されたときに、前記燃料電池スタックに水分を供給する水供給手段、
    (D)前記供給された水分を加熱するための加熱手段、および
    (E)前記供給された水分を冷却するための冷却手段
    を備え、前記供給された水分の前記加熱手段により加熱と前記冷却手段により冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する、燃料電池システム。
  2. 前記アノードに水素ガスが燃料として供給される場合、前記燃料電池システムは、前記燃料電池スタックを加熱するための燃料電池スタック加熱手段を有しており、前記燃料電池スタック加熱手段が、前記供給された水分を加熱するための加熱手段として機能する、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記アノードにメタノール水溶液が燃料として供給される場合、前記燃料電池システムは、前記燃料を前記アノードに供給するための燃料供給手段および前記燃料電池セルを冷却するための冷却手段を有しており、前記燃料供給手段が前記水供給手段として機能し、前記冷却手段が、前記供給された水分を冷却するための冷却手段として機能する、請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記検出手段が、
    (F)前記燃料電池スタックの出力または内部抵抗、あるいは前記燃料電池スタックの休止時間を計測するための計測手段、および
    (G)前記計測手段で得られた情報に基づいて、前記燃料電池スタックの加湿不足の有無を判定するための判定手段
    を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  5. (H)前記加熱手段による加熱により、前記供給された水分の温度を前記燃料電池スタックの運転温度付近に調節し、前記冷却手段より冷却により、前記供給された水分の温度を室温付近に調節する温度制御手段
    を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池システム。
  6. (i)カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間に配置された高分子電解質膜を備える燃料電池セルを少なくとも1つ含む燃料電池スタックを作製する工程、
    (ii)前記燃料電池スタックに、水分を供給する工程、および
    (iii)前記供給された水分の加熱と冷却を繰り返して、前記燃料電池スタックを加湿する工程
    を含む、燃料電池スタックの製造方法。
  7. 前記工程(iii)において、前記水分が前記燃料電池スタックの運転温度付近まで加熱され、加熱の後の前記水分が室温付近まで冷却される、請求項6に記載の燃料電池スタックの製造方法。
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