JP2003217344A - 高分子固体電解質 - Google Patents

高分子固体電解質

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JP2003217344A JP2002017735A JP2002017735A JP2003217344A JP 2003217344 A JP2003217344 A JP 2003217344A JP 2002017735 A JP2002017735 A JP 2002017735A JP 2002017735 A JP2002017735 A JP 2002017735A JP 2003217344 A JP2003217344 A JP 2003217344A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性・経時安定性に優れ、室温付近でも1
-3S/cm以上の高いイオン導電性を発揮し、かつ成
形性にも優れた高分子固体電解質を提供する。 【解決手段】 高分子固体電解質を構成する高分子マト
リックスとして、イオン的相互作用と重合性官能基とを
有し、室温で溶融状態にある塩モノマーと、該塩モノマ
ーと相溶性が良くイオン解離基を持たない1種類以上の
重合性モノマーとからなり、塩モノマー成分を均一に分
散した状態のまま固定化した、特定構造の共重合ポリマ
ーを用いる。塩モノマーは、重合性官能基を有するアル
キル四級アンモニウムカチオン,含窒素複素環式カチオ
ン,含酸素カチオン,および含硫黄カチオンの中の1つ
と、重合性官能基を有する有機酸アニオンとから構成さ
れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高分子固体電解
質に関し、さらに詳しくは、室温で溶融状態にある塩モ
ノマーを含有する高分子マトリックス中において、均一
に分散した状態のままマトリックスに固定化された塩モ
ノマーの効果により、電解質成型初期の形態を長期間保
持することが可能となり、かつリチウム系金属化合物の
みを電荷のキャリアとして含有することにより、高いイ
オン導電性を発揮し、かつ漏液等が無く安全性及び経時
安定性、成形性に優れた高分子固体電解質に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やPDA,ノートパソコ
ンに代表される情報携帯機器、屋外における使用頻度の
高いMDプレーヤー,MP3プレーヤー,デジタルカメ
ラ等の携帯機器、あるいはこれからの高齢化社会に需要
が増えることが予測される、携帯用医療器具やPHSタ
イプ福祉機器類などの普及に伴い、より軽量、小容積
で、安価、安全、高出力な二次電池に対する需要が高ま
ってきている。そしてそれらの要求を満たす電源用二次
電池材料として、高分子固体電解質が注目されてきてい
る。
【0003】従来、二次電池用電解質としては一般に、
電気化学的にみて比較的安定な有機溶媒に、イオン性化
合物を溶解させた液体電解質が用いられてきた。しかし
この場合、電池内部に流動性のある液体を含有するた
め、長期間使用した場合や電池自身が何らかの理由によ
り外部から加熱された場合、あるいは機器の故障により
過充電されたり物理的に損壊した場合に、人体に被害あ
るいは使用機器に障害を与えうる電解液が、電池内部か
ら外部に漏出する危険性を常に孕んでいた。
【0004】このため、これまでに種々の方法により、
電解液の外部への漏出を防ぐための試みが為されてき
た。電解液に高分子化合物を含有若しくは含浸させ、電
解液全体をゲル状物とすることによる方法は、その一つ
としてあげられる。ゲル化方法には、ポリマー同士の相
互作用により物理的にゲル化させる方法と、架橋剤を用
いて共有結合により直接的にポリマー同士を連結する方
法とがある。一般に前者を物理ゲル、後者を化学ゲルと
呼称することが多い。これらは柔軟であるため成型が容
易であり、また比較的軽量なものが多く、これらの点が
二次電池用に狭いスペースしか確保できない小型機器類
には、設計上の大きなメリットとなっている。しかし比
較的多くの有機溶媒を含むため、高温域における形態安
定性が不十分なものも多く、例えば、不測の事象に於い
て長時間高温条件にさらされた場合に液漏れを起こした
り、あるいは内圧上昇により電池容器が圧力損壊する例
も見受けられた。
【0005】その一方で、有機溶媒を全く含まないいわ
ゆる「全固体型電解質」の開発もこれまで活発に行われ
てきた。各種リチウム塩とポリエチレンオキサイドの混
合物がその一例としてあげられる。この場合、上記のよ
うな漏液等の被害はほぼ克服されているが、液状部分が
存在しないが故に低温領域での電池特性が悪く、比較的
高温でなければ所定の電導度を発現できない系が多い。
これは人間の活動領域において比較的低温条件にさらさ
れる機会の多い各種携帯機器にとっては、致命的な欠点
と言えよう。
【0006】一方で、ゲル型電解質及び全固体型電解質
にみられる欠点を克服するため、常温で流動性を有する
イオン性化合物、いわゆる「常温溶融塩」を何らかの高
分子化合物と組み合わせて、電解質として用いる試みも
為されている。しかしハロゲン化アルミニウム化合物等
の比較的危険性の高い化合物を利用したものが多く、安
全性の点から問題が大きい。また従来検討されてきたイ
ミダゾリウム型化合物は電位窓を広く確保することが難
しいため、高容量化を目的としてリチウム電池等に適用
する際には、困難を伴うことが多いという欠点を有す
る。
【0007】また、無機化合物をベースポリマーとした
固体電解質の開発も最近活発に行われており、中には室
温付近で比較的高い電導度を示しうる例も報告されてい
る。しかしいずれも、可撓性に乏しいため成型が困難で
あるという欠点を克服しきれておらず、製品化する上で
の最大の障害となっていることは否めない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたように、
二次電池用途の固体電解質としては様々な系がこれまで
提案されてきており、次世代の固体電解質に向けて年々
開発競争も熾烈を極める情勢となってきている。どの様
式においても一長一短があるため一概に優劣を論じるこ
とは出来ないが、成型性に優れ比較的電導度も高い点な
どを理由に、ゲル状電解質に関する研究がこれまで活発
に行われてきている。しかし電導度の問題さえ解決でき
るならば、より安定性/安全性の高い全固体型電解質の
方が望ましいと考えられる。
【0009】ここでいま一度、それぞれの系における問
題点を整理すると、ゲル状固体電解質の場合は、比較
的多量の溶媒を含むことに伴う漏液,発火の危険性,
経時安定性(ゲル骨格の部分結晶化に伴う固液分離が無
いかどうか)等が挙げられ、全固体型電解質の場合は、
低温域における電導度の劣化,成型性等の問題が挙
げられよう。
【0010】そこでこの発明の主たる目的は、室温付近
でも10-3S/cm以上の、高いイオン導電性を発現
し、且つ可尭性、機械強度、柔軟性、経時安定性に優
れ、尚且つ人間の活動圏内に於いて十分に安全な高分子
固体電解質を得ることとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、室温で溶融
状態にある塩モノマーを含有する高分子マトリックス中
に、これらの塩モノマーを均一に分散した状態のまま固
定化することにより、電荷キャリアとして機能する化学
種の移動度を大きく低下させることが無く、高いイオン
導電性を発揮でき、かつ漏液等が無く安全性及び経時安
定性、成形性に優れた高分子固体電解質が得られること
を見出し、さらに検討を進めて本発明を完成させるに至
った。
【0012】即ち本発明は、特定構造のポリマー、金属
塩、および可塑剤からなる高分子固体電解質であって、
特定構造のポリマーが、イオン的相互作用と重合性官能
基とを有する塩モノマーと、該塩モノマーと相溶性が良
くイオン解離基を持たない1種類以上の重合性モノマー
とからなる、高分子共重合体であることを特徴とする高
分子固体電解質である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の高分子固体電解質は、イ
オン的相互作用と重合性官能基とを有する塩モノマー
と、該塩モノマーと相溶性が良くイオン解離基を持たな
い1種類以上の重合性モノマーとからなる、特定構造の
ポリマーを使用して、高分子マトリックス中に、塩モノ
マーを均一に分散した状態のまま固定化することによ
り、高いイオン導電性を発揮すると共に、漏液等が無く
安全性及び経時安定性、成形性に優れた高分子固体電解
質を得る子とを骨子とし、イオン的相互作用と重合性官
能基とを有する塩モノマーは、重合性官能基を有するア
ルキル四級アンモニウムカチオン,含窒素複素環式カチ
オン,含酸素カチオン,および含硫黄カチオンの中の1
つと、重合性官能基を有する有機酸アニオンとから構成
され、室温で溶融状態にあることを特徴とする。
【0014】本発明に用いられるイオン的相互作用を有
する塩モノマーは、自身を構成する正電荷部位、負電荷
部位それぞれに共有結合で結合せしめた重合性官能基を
有するため、高分子固体電解質を成型する際には、高分
子固体電解質に含まれる高分子量成分に共有結合で固定
されることとなる。このような塩モノマーとしては、下
記一般式[I]〜一般式[III]で表される化合物が使用出
来る。
【0015】
【化1】
【0016】一般式[I]で表される化合物は、重合性官
能基を備えたアルキル四級アンモニウムカチオンまたは
含窒素複素環式カチオン、及び重合性官能基を備えた有
機酸アニオンから構成され、式中、P1,P2はそれぞれ
重合性官能基を含む置換基、Ac-はイオン的相互作用に
直接的に関与するイオン性官能基を表し、R1,R2,R
3,R4,R5はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、
アラルキル基、アラルケニル基、アルコキシアルキル
基、アシルオキシアルキル基、スルホアルキル基、アリ
ール基、あるいは芳香族複素環残基等からなる。R2
3,R4,R5は、いずれか一対若しくはそれ以上が相
互に共有結合により連結され、環状構造を形成していて
も構わない。また、R2−N+,R3−N+,R4−N+,R
5−N+に示される共有結合のいづれか一つが、単結合で
なく二重結合である場合は、R3,R4,R5のいづれか
一つは存在しない。また、P1−R1及びP2−R2は、複
数の共有結合により連結されていても良く、P2はR2
ほかR3,R4,R5と同時に共有結合により連結されて
いても構わない。さらに、P1もしくはR1は、P2
2,R3,R4,R5の1つ以上の部位と、一つ以上の共
有結合により連結されていても構わない。同様にP2
しくはR2は、P1,R1の1つ以上の部位と一つ以上の
共有結合により連結されていても構わない。但し、何れ
の場合もこれらの相互連結によりP1及びP2の重合性は
阻害されない。
【0017】
【化2】
【0018】一般式[II]で表される化合物は、重合性官
能基を備えたオキソニウムカチオン及び重合性官能基を
備えた有機酸アニオンから構成され、式中、P3,P4
それぞれ重合性官能基を含む置換基、Ac-はイオン的相
互作用に直接的に関与するイオン性官能基を表し、
6,R7,R8,R9はそれぞれアルキル基、アルケニル
基、アラルキル基、アラルケニル基、アルコキシアルキ
ル基、アシルオキシアルキル基、スルホアルキル基、ア
リール基、あるいは芳香族複素環残基等からなる。
7,R8,R9は、いずれか一対若しくはそれ以上が相
互に共有結合により連結され環状構造を形成していても
構わない。また、R7−N+,R8−N+,R9−N+に示さ
れる共有結合のいづれか一つが、単結合でなく二重結合
である場合は、R 8,R9のいづれか一つは存在しない。
また、P3−R6及びP4−R7は、複数の共有結合により
連結されていても良く、P4はR7のほかR8,R9と同時
に共有結合により連結されていても構わない。また、P
3もしくはR6は、P4,R7,R8,R9の1つ以上の部位
と、一つ以上の共有結合により連結されていても構わな
い。同様にP4もしくはR7は、P3,R6の1つ以上の部
位と、一つ以上の共有結合により連結されていても構わ
ない。但し、何れの場合もこれらの相互連結により、P
3及びP4の重合性は阻害されない。
【0019】
【化3】
【0020】一般式[III]で表される化合物は、重合性
官能基を備えたスルホニウムカチオン及び重合性官能基
を備えた有機酸アニオンから構成され、式中、P5,P6
はそれぞれ重合性官能基を含む置換基、Ac-はイオン的
相互作用に直接的に関与するイオン性官能基をを表し、
10,R11,R12,R13はそれぞれアルキル基、アルケ
ニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アルコキシア
ルキル基、アシルオキシアルキル基、スルホアルキル
基、アリール基、あるいは芳香族複素環残基等からな
る。R11,R12,R13は、いずれか一対若しくはそれ以
上が相互に共有結合により連結され環状構造を形成して
いても構わない。また、R11−N+,R12−N+,R13
+に示される共有結合のいづれか一つが、単結合でな
く二重結合である場合は、R12,R13のいづれか一つは
存在しない。また、P5−R10及びP6−R11は、複数の
共有結合により連結されていても良く、P6はR11のほ
かR12,R13と、同時に共有結合により連結されていて
も構わない。また、P5もしくはR10は、P6,R11,R
12,R13の1つ以上の部位と、一つ以上の共有結合によ
り連結されていても構わない。同様にP6もしくはR11
は、P5,R10の1つ以上の部位と、一つ以上の共有結
合により連結されていても構わない。但し、何れの場合
もこれらの相互連結により、P5及びP6の重合性は阻害
されない。
【0021】重合性官能基による重合反応としては、ラ
ジカル重合、イオン重合、配位重合、縮重合、付加重合
等、種々の既知の重合方法が可能であり、重合操作の簡
便さ故にラジカル重合、配位重合、縮重合、付加重合が
望ましいが、特にこれらに限定されない。また、塩モノ
マーを構成するカチオン部位とアニオン部位のモル比、
すなわちカチオン/アニオン比は10/1から1/10
の範囲にあることが望ましく、さらには1/1であるこ
とが望ましいが、特にこの範囲に限定されない。なお、
この比が1/1でない場合は、金属塩等の高分子固体電
解質の他の構成成分との間で電荷バランスが図られてい
れば良い。
【0022】塩モノマーを構成するカチオンとアニオン
のモル比が1/1でない場合は、電荷バランスを図るた
めに、重合性官能基を備えていない高分子化学種若しく
は低分子化学種若しくは各種金属塩等の添加を行うのが
望ましい。但しこの場合、電解質中におけるカチオン性
キャリアー(例えばリチウムイオン等)の輸率低下を避
けるために、アニオン性キャリアーの移動度は低いか、
もしくは移動度の比較的高いアニオン性化学種(ハロゲ
ンアニオン等)の電解質中に含まれる濃度が低い方が好
ましい。この条件を満たすものであれば如何様な化学種
でも実使用に供することは可能であるが、電導度等の電
気的特性において良好な結果を得るためには、特に移動
度の高いアニオン性化学種、即ちハロゲンアニオン濃度
が、500ppm以下であることが望ましい。常温溶融
塩を使用した従来の固体電解質の場合、対アニオンとし
て例えばAlCl4-等の金属酸アニオンを使用する場合が
あるが、この場合、高分子固体電解質の調製直後はハロ
ゲンイオンが低濃度しか含有されていなくても、長期に
渡る使用に際し、大気中からの吸湿により分解して系中
に大量のハロゲンアニオンを発生し、その結果電池特性
の悪化をもたらす事例が多々見受けられた。本発明者ら
の開発した高分子固体電解質は塩モノマーを使用するこ
とを特徴とするが、塩モノマー合成過程において対アニ
オンを重合性官能基を備えた対アニオンと交換したり、
あるいは対イオンの交換が対カチオンと同時に行えるた
め、移動度の高いフリーのハロゲンアニオン含有量を低
減することが容易であると言う特徴を有する。
【0023】本発明に用いられるイオン的相互作用を有
する塩モノマーの合成方法としては、炭素−炭素二重結
合を有するスルホン酸若しくはカルボン酸の、スルホン
酸銀塩若しくはカルボン酸銀塩と、炭素−炭素二重結合
を有するアンモニウム塩のハロゲン化物とを反応させる
方法(銀塩法)の他、炭素−炭素二重結合を有するスル
ホン酸若しくはカルボン酸の、スルホン酸アルキルエス
テル若しくはアリールアルキルエステル、カルボン酸ア
ルキルエステル若しくはアリールアルキルエステルと、
炭素−炭素二重結合を有する3級アミンとを反応させる
方法(4級化法)等が挙げられるが、特にこれらに限定
されない。
【0024】本発明に用いられる塩モノマーと相溶性が
良くイオン解離基を持たない1種類以上の重合性モノマ
ーは、高分子固体電解質の可塑性、成形性、熱安定性の
調節の目的の他、高分子固体電解質の未硬化原液の粘度
調節の目的のために添加せしめるものである。この目的
のための重合性モノマーとしては、上記塩モノマーとラ
ジカル共重合させる場合は、炭素−炭素二重結合を有す
るカルボン酸エステル、スルホン酸エステル若しくは芳
香族化合物であることが好ましく、さらにはアクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル、スルホン酸エステ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スルホンアミ
ド、若しくは置換基を備えたスチレン誘導体等に代表さ
れるアリール化合物が望ましいが、上記塩モノマーと共
重合可能な化学種であれば特に限定されない。
【0025】前項に述べた、塩モノマー前駆体と重合性
モノマーの相溶性は、塩モノマー前駆体、重合性モノマ
ー、及びその他の構成成分を混合した直後の、未硬化原
液の状態で透明均一な溶液若しくはペーストの形態をと
るものが最も好ましい。但し、実際に高分子固体電解質
を製造する際に、必然的に必要とされる有限な時間の範
囲で、乳化、エマルジョン、コロイド、コアセルベート
などの状態で十分安定に形態維持可能であれば、透明均
一な溶液となり得る重合性モノマーに限らず、種々の重
合性モノマーが適用可能である。
【0026】本発明に用いられる金属塩としては、Li
PF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiB
4、LiN(CF3SO32、C49SO3Li、LiC
(CF3SO23、LiFが挙げられ、これらを単独若し
くは2種以上を混合して用いても構わない。
【0027】本発明に用いられる可塑剤としては、プロ
ピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート
(EC)、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が
挙げられ、これらを単独若しくは2種以上を混合して用
いても構わない。但し、全固体高分子電解質としての特
質を実現するため、可塑剤の添加量は高分子固体電解質
全体に対して30wt%以下であることが望ましい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明はこれによって何ら限定されるもので
はない。
【0029】[実施例] 塩モノマーAの合成 2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホ
ン酸10.36g(50mmol)を、無水メタノール
500mlに溶解し、これに炭酸銀27.6g(100
mmol)を添加して、室温下で穏やかに24時間連続
攪拌し、濾過後、淡黄色透明の溶液を得た。この濾過液
に、100mmol/Lのジアリルジメチルアンモニウ
ムクロリド・メタノール溶液を滴下反応させた。反応は
定量的に進行した。反応生成物である塩化銀を濾別し、
無色透明のメタノール溶液を回収した。この濾液をエバ
ポレーターで減圧濃縮し、さらにオイルポンプで終日減
圧濃縮することにより、粘凋な液状塩モノマーAを得
た。得られた塩モノマーAは示差走査熱分析(DS
C)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴ス
ペクトル(1H−NMR)により組成確認を実施した。
【0030】高分子固体電解質の調製 上記塩モノマーAの80wt%EC/PC溶液を1.3
49ml、N,N−ジメチルアクリルアミド0.102m
l、メチレンビスアクリルアミド0.0911g、EC
/PC混合溶媒0.050ml、および過塩素酸リチウ
ム0.2128gを室温で混合し、終日攪拌して均一に
溶解させた。得られた粘凋な溶液を十分に脱気したの
ち、240mMベンゾイルパーオキサイドEC/PC溶
液0.104mlを加えて攪拌し、均一に溶解させた。
攪拌後、この溶液を80℃で100分加熱し、白色の高
分子電解質を得た。
【0031】高分子固体電解質の電導度評価 上記で得られた高分子電解質について、交流インピーダ
ンス法により電導度を測定した。測定の際の周波数範囲
は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。測定
の結果、室温(20℃)に於ける電導度は5.77×1
-3S/cmであった。この白色固体は2ヶ月経過後も
変色/分解等は観察されなかった。
【0032】[比較例]前記実施例において、高分子固
体電解質を調製する際に、塩モノマーAの代わりに、2
−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン
酸及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロ
ライドを用いて、銀塩法により調製した塩モノマーBを
用いたが、この塩モノマーBは常温常圧では白色結晶で
あるため、加熱硬化に先立ち均一溶液を調製することは
出来なかった。またN,N−ジメチルアクリルアミドの
代わりにメタクリル酸メチルを用いた場合は、硬化反応
前の混合溶液を調製する際に、金属塩(ここでは過塩素
酸リチウム)と他の構成成分との相溶性が著しく悪いた
め、均一な溶液とすることが困難であり、そのまま加熱
硬化すると、塩状の白色固形分と無色透明のガラス状部
位に分離し、組成の均質な高分子固体電解質を得ること
は出来なかった。
【0033】
【発明の効果】本発明に拠れば、室温付近でも10-3
/cm以上の、高いイオン導電性を発現し、且つ可尭
性、機械強度、柔軟性、経時安定性に優れ、尚且つ十分
に安全な高分子固体電解質を得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA031 BG121 EL066 EL106 EP016 EV206 FD026 GT00 5G301 CA08 CA16 CD01 5H029 AJ06 AJ07 AJ11 AJ12 AK00 AL00 AM00 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 DJ09 EJ12 EJ14 HJ10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定構造のポリマー、金属塩、および可
    塑剤からなる高分子固体電解質であって、特定構造のポ
    リマーが、イオン的相互作用と重合性官能基とを有する
    塩モノマーと、該塩モノマーと相溶性が良くイオン解離
    基を持たない1種類以上の重合性モノマーとからなる、
    高分子共重合体であることを特徴とする高分子固体電解
    質。
  2. 【請求項2】 塩モノマーが、重合性官能基を有するア
    ルキル四級アンモニウムカチオンと、重合性官能基を有
    する有機酸アニオンとから構成されることを特徴とす
    る、請求項1記載の高分子固体電解質。
  3. 【請求項3】 塩モノマーが、重合性官能基を有する含
    窒素複素環式カチオンと、重合性官能基を有する有機酸
    アニオンとから構成されることを特徴とする、請求項1
    記載の高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 塩モノマーが、重合性官能基を有する含
    酸素カチオンと、重合性官能基を有する有機酸アニオン
    から構成されることを特徴とする、請求項1記載の高分
    子固体電解質。
  5. 【請求項5】 塩モノマーが、重合性官能基を備えた含
    硫黄カチオンと、重合性官能基を備えた有機酸アニオン
    から構成されることを特徴とする、請求項1記載の高分
    子固体電解質。
  6. 【請求項6】 塩モノマーが、室温で溶融状態にあるこ
    とを特徴とする、請求項2〜請求項5のいずれかに記載
    の高分子固体電解質。
  7. 【請求項7】 塩モノマー中のカチオンの対アニオンと
    して含まれる、ハロゲンイオンすなわちF-、Cl-、Br
    -、又はI-の量が、高分子固体電解質全体に対して50
    0ppm以下であることを特徴とする、請求項2〜請求
    項6のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  8. 【請求項8】 金属塩が、アルカリ金属塩若しくはアル
    カリ土類金属塩を、単独若しくは2種以上を混合したも
    のであることを特徴とする、請求項7記載の高分子固体
    電解質。
  9. 【請求項9】 可塑剤の配合量が、高分子固体電解質全
    体に対して30wt%以下であることを特徴とする、請
    求項1〜請求項8のいずれかに記載の高分子固体電解
    質。
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