JP2003212655A - 低熱膨張黒鉛材及びその製造方法 - Google Patents

低熱膨張黒鉛材及びその製造方法

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JP2003212655A
JP2003212655A JP2002017991A JP2002017991A JP2003212655A JP 2003212655 A JP2003212655 A JP 2003212655A JP 2002017991 A JP2002017991 A JP 2002017991A JP 2002017991 A JP2002017991 A JP 2002017991A JP 2003212655 A JP2003212655 A JP 2003212655A
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Tatsunori Aida
辰則 合田
Yoshihisa Onishi
吉久 大西
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Toyo Tanso Co Ltd
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Toyo Tanso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低熱膨張係数と一定水準以上の固有抵抗値及
び強度を兼備した低熱膨張黒鉛材及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 平均粒径40μm以下の針状コークス4
0〜65質量部と、平均粒径0.04μm以上のカーボ
ンブラック10〜30質量部と、平均粒径40μm以下
のレギュラーコークス10〜40質量部と、をフィラー
原料とし、バインダーと捏合処理後、微粉砕し、成形、
焼成及び黒鉛化する。これにより、室温から400℃に
おける平均熱膨張係数が2.0〜3.0×10-6/℃
で、固有抵抗が12〜20μΩ・mで、且つ曲げ強度が
25〜50MPaとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱膨張係数の低い
低熱膨張黒鉛材及びその製造方法に関し、特に、原子吸
光用キュベット等に用いられる熱分解炭素を被覆するの
に適した低熱膨張黒鉛材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】黒鉛材の熱膨張係数を低減する方法とし
ては、易黒鉛化性の針状コークスを配合したフィラー原
料を用いることが知られている。ところが、単一のコー
クスをフィラー原料として用いた場合、固有抵抗値及び
強度は低くなり、熱膨張係数とこれらを独立して制御す
ることは困難である。
【0003】この問題を解決するために、易黒鉛化性の
針状コークスと黒鉛化度合が進行した天然黒鉛を配合し
たフィラー原料を用いて、熱膨張係数を低下させた黒鉛
材の製造方法が特開平7−165467号公報に開示さ
れている。しかしながら、ここに開示されているような
天然黒鉛微粉末の配合は、材質強度が低下しやすく、ま
た、原料価格の上昇を招くことから、工業的には不利で
ある。
【0004】また、特開平10−203869号公報に
は、原料フィラー種の選択及びフィラー粒径の制御によ
り熱膨張係数が低く、同時に緻密性や材料強度に優れた
高密度な等方性黒鉛材の製造方法が開示されている。し
かしながら、ここに開示されているものは、緻密性、材
料強度には優れているが、固有抵抗値が10μΩ・m程
度と低い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、原子吸光分
析用キュベットの表面に存在する開放気孔が大きいと、
液状試験試料が気孔内に一部滲入し、気化に要する時間
に時間差が生じるので感度低下や誤差発生の遠因ともな
る。したがって、黒鉛材からなるキュベット基材をより
緻密、不滲透的にするために、熱分解炭素が被覆され
る。しかし、熱分解炭素の被覆面に平行方向の熱膨張係
数は、1.7×10-6/℃と低く、黒鉛基材との熱膨張
の差により、熱分解炭素の剥離が発生し易い。そのた
め、熱分解炭素の熱膨張係数に近い低熱膨張材が望まれ
ている。また、原子吸光装置の加熱方式は通電加熱が一
般的である。このため、これに用いられる原子吸光用キ
ュベットには、熱膨張係数が低いのは勿論であるが、各
装置に合わせた固有抵抗値にしなければ温度制御が困難
となり、高い強度とともに高い固有抵抗値のものが要求
されている。
【0006】本発明は、低熱膨張係数と一定水準以上の
固有抵抗値及び強度を兼備した低熱膨張黒鉛材及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明に係る低熱膨張黒鉛材は、針状コークスと、カ
ーボンブラックと、レギュラーコークスと、をフィラー
原料とするものである。また、前記フィラー原料は、平
均粒径40μm以下の針状コークス40〜65質量部
と、平均粒径0.04μm以上のカーボンブラック10
〜30質量部と、平均粒径40μm以下のレギュラーコ
ークス10〜40質量部と、を含んでなるものである。
また、室温から400℃における平均熱膨張係数が2.
0〜3.0×10-6/℃で、固有抵抗が12〜20μΩ
・mで、且つ曲げ強度が25〜50MPaであるもので
ある。
【0008】針状コークスとしては、平均粒径40μm
以下、好ましくは平均粒径20μm以下に微粉砕したも
のが用いられる。ここで、平均粒径が40μmを超える
と、均質な組織が得られない。また、固有抵抗値が小さ
くなり好ましくない。この針状コークスは、40〜65
質量部、好ましくは50〜60質量部配合することが好
ましい。針状コークスの配合量が40質量部よりも少な
い場合、針状コークスの特徴である低熱膨張性が損なわ
れる。また、65質量部よりも多い場合、他に配合する
レギュラーコークス及びカーボンブラックの配合比率が
小さくなり、固有抵抗値が低下すると共に、強度が低下
する傾向となる。
【0009】カーボンブラックは、平均粒径0.04μ
m以上、好ましくは平均粒径0.06μm以上のものが
好ましい。平均粒径が0.04μmよりも小さいもので
あると、吸油量が大きくなり、捏合時の練りが困難とな
る。難黒鉛化性のカーボンブラックをフィラー原料とし
て使用することで、カーボンブラックの配合量を10〜
30質量部となるように調整して固有抵抗値を制御する
ことが可能となる。
【0010】レギュラーコークスは、針状コークスと同
様に平均粒径40μm以下、好ましくは平均粒径20μ
m以下のものが好ましい。レギュラーコークスをフィラ
ー原料として用いることで、焼成及び黒鉛化工程で収縮
し、黒鉛の緻密性及び強度が向上する。レギュラーコー
クスは、このように、黒鉛材の強度を向上させる効果が
あり、フィラー原料中の配合量が10質量部よりも少な
い場合ではその効果が十分に発揮されない。また、その
配合量が40質量部よりも多い場合は、他に配合する針
状コークス及びカーボンブラックの配合比率が小さくな
るため、低熱膨張の特徴が損なわれると共に、固有抵抗
値が低くなる。
【0011】また、本発明に係る低熱膨張黒鉛材の製造
方法は、平均粒径40μm以下の針状コークス40〜6
5質量部と、平均粒径0.04μm以上のカーボンブラ
ック10〜30質量部と、平均粒径40μm以下のレギ
ュラーコークス10〜40質量部と、を含んでなるフィ
ラー原料と、バインダーとを捏合処理後、微粉砕し、成
形、焼成及び黒鉛化するものである。
【0012】本発明に係る低熱膨張黒鉛材は、前述の針
状コークス、カーボンブラック、レギュラーコークスと
を含んでなるフィラー原料と、バインダーとを捏合処理
する。バインダーには、コールタール系ピッチ又は石油
系ピッチ等のピッチ系バインダーを使用することが好ま
しい。このバインダーは、フィラー原料100質量部に
対して20〜100質量部となるように配合する。バイ
ンダー量がフィラー原料100質量部に対して20質量
部未満であると、結合力が不十分となる。また、100
質量部を超えると焼成後の黒鉛材に亀裂や破損が発生す
ることがあるため好ましくない。なお、捏合処理に用い
られる捏合装置は、フィラー原料とバインダーとを均一
に分散混合できるものであれば、特に限定されない。
【0013】捏合処理後、混練された混練物を再度、機
械的粉砕装置により、平均粒径20〜50μmとなるよ
うに微粉砕する。そして、この微粉砕した粉末を任意の
形状に成形後、800〜1200℃で焼成し、引き続き
2600〜3000℃で熱処理を行い、黒鉛化処理す
る。これにより、室温から400℃における平均熱膨張
係数が2.0〜3.0×10-6/℃で、固有抵抗が12
〜20μΩ・mで、且つ曲げ強度が25〜50MPaの
黒鉛材を得ることが可能となる。
【0014】このように、フィラー原料となる針状コー
クス、カーボンブラック、レギュラーコークスとを、特
定範囲の比率で配合し、捏合、焼成、黒鉛化することに
よって、低熱膨張係数でありながら、高い固有抵抗値及
び強度を有する黒鉛材とすることができる。これによっ
て、これらの特性が要求される原子吸光用キュベットや
その他の用途に、また、熱分解炭素被覆用黒鉛材や、熱
分解窒化ホウ素等の低熱膨張係数材料の被覆用黒鉛材と
して利用することが可能となる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0016】(実施例1)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス65質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック10質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス25質量部とをフィラ
ー原料とし、バインダーとしてコールタールピッチを5
0質量部と、を混合し、捏合処理を行った。捏合処理
後、混練された混練物を平均粒径40μmに微粉砕し
た。この粉末を所定の形状に成形後、1000℃で、5
時間焼成し、その後、2800℃で1時間熱処理を行っ
て黒鉛化して黒鉛材を作製した。
【0017】(実施例2)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス50質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック20質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス30質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0018】(実施例3)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス40質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック30質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス30質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0019】(実施例4)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス40質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック20質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス40質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0020】(実施例5)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス60質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック30質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス10質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0021】(比較例1)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス70質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック20質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス10質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0022】(比較例2)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス30質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック20質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス50質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0023】(比較例3)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス50質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック5質量部と、平均粒径15μmに微
粉砕されたレギュラーコークス45質量部とをフィラー
原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製し
た。
【0024】(比較例4)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス50質量部と、平均粒径0.08μm
のカーボンブラック40質量部と、平均粒径15μmに
微粉砕されたレギュラーコークス10質量部とをフィラ
ー原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製
した。
【0025】(比較例5)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス40質量部と、平均粒径15μmに微
粉砕されたレギュラーコークス60質量部とをフィラー
原料とし、以下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製し
た。
【0026】(比較例6)平均粒径15μmに微粉砕さ
れた針状コークス100質量部をフィラー原料とし、以
下、実施例1と同様にして黒鉛材を作製した。
【0027】実施例1乃至5及び比較例1乃至6の各黒
鉛材の室温から400℃の平均熱膨張係数と、室温にお
ける固有抵抗値及び曲げ強度を表1にまとめて示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示すように、フィラー原料に針状コ
ークス、カーボンブラック、レギュラーコークスを用
い、夫々を特定範囲の配合量比となるように配合するこ
とで、室温から400℃における平均熱膨張係数が2.
0〜3.0×10-6/℃で、固有抵抗が12〜20μΩ
・mで、且つ曲げ強度が25〜50MPaの黒鉛材とす
ることができることがわかる。
【0030】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され、フィラ
ー原料となる針状コークス、カーボンブラック、レギュ
ラーコークスとを、特定範囲の比率で配合し、捏合、焼
成、黒鉛化することによって、低熱膨張係数でありなが
ら、高い固有抵抗値及び強度を有する黒鉛材とすること
ができる効果を奏する。これによって、これらの特性が
要求される原子吸光用キュベットや熱分解炭素被覆用黒
鉛材として利用することが可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針状コークスと、カーボンブラックと、
    レギュラーコークスと、をフィラー原料とする低熱膨張
    黒鉛材。
  2. 【請求項2】 前記フィラー原料は、平均粒径40μm
    以下の針状コークス40〜65質量部と、平均粒径0.
    04μm以上のカーボンブラック10〜30質量部と、
    平均粒径40μm以下のレギュラーコークス10〜40
    質量部と、を含んでなる請求項1に記載の低熱膨張黒鉛
    材。
  3. 【請求項3】 室温から400℃における平均熱膨張係
    数が2.0〜3.0×10-6/℃で、固有抵抗が12〜
    20μΩ・mで、且つ曲げ強度が25〜50MPaであ
    る請求項1又は2に記載の低熱膨張黒鉛材。
  4. 【請求項4】 平均粒径40μm以下の針状コークス4
    0〜65質量部と、平均粒径0.04μm以上のカーボ
    ンブラック10〜30質量部と、平均粒径40μm以下
    のレギュラーコークス10〜40質量部と、を含んでな
    るフィラー原料と、バインダーとを捏合処理後、微粉砕
    し、成形、焼成及び黒鉛化する低熱膨張黒鉛材の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019065018A1 (ja) * 2017-09-28 2019-04-04 新日本テクノカーボン株式会社 黒鉛材料
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