JP3427077B2 - 低浸炭黒鉛材とその製造方法 - Google Patents
低浸炭黒鉛材とその製造方法Info
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Description
部品をガラス封止するための冶具、あるいは金属焼結用
冶具等のように、高温で金属と接触する場合に用いられ
る低浸炭黒鉛材とその製造方法に関する。
こと、溶融ガラスに濡れないこと等の理由で、例えばト
ランジスターやダイオード等のハーメチックシール用の
ステム冶具材として利用されている。しかしながら、ハ
ーメチックシールの工程は1,000℃付近の高温下で
なされるため、金属リングやリード線(これらは鉄、ニ
ッケル、コバルト、あるいはそれらの合金からなる)と
黒鉛材冶具との接触面より浸炭現象が発生し、製品歩留
りを低下させるという問題があった。これらの用途向け
には、例えば特公昭54−34,312号公報、特開平
4−114,967号公報等に見られるように、黒鉛材
にカーボンブラックを添加する方法が提案されている。
しかしながら、カーボンブラックを添加した黒鉛材にお
いては、金属に対する浸炭現象を一時的に抑制するもの
の、長期の使用においてはその効果が低下し、黒鉛材表
面からカーボンダストが発生して封止ガラスを汚染する
といった別の問題が発生する。
材の特性である易加工性の特性を生かしながら、金属に
対する浸炭現象の発生を長期に亘って防止し、更に同時
にカーボンダストの発生による封止ガラスの汚染をも防
止することのできる低浸炭黒鉛材とその製造方法を提供
することにある。
を構成する黒鉛材中に、カーボンブラックを含み、か
つ、ガラス状炭素が黒鉛材中に含まれるガラス状炭素の
面積率として5〜60%の含有割合で分散した組織であ
る低浸炭黒鉛材である。また、本発明は、黒鉛化可能な
炭素質原料に対し、1〜25重量%のカーボンブラック
と5〜200重量%の炭素化可能な樹脂とを添加し、成
型した後、焼成して黒鉛化することからなる上記低浸炭
黒鉛材の製造方法である。
る。この発明において使用される黒鉛化可能な炭素質材
料とは、石油系あるいは石炭系の骨材コークス及び結合
材としてのバインダーピッチを意味し、これらにカーボ
ンブラック及び炭素化可能な樹脂を配合することにより
低浸炭黒鉛材が得られる。カーボンブラックと炭素化可
能な樹脂の配合は、これらが黒鉛材中に均一に分散可能
な方法であればよく、一般的な方法としては、骨材コー
クスとバインダーピッチとを混練し、次いで粉砕して得
られた粉砕粉に、カーボンブラックと粉体樹脂を添加し
てヘンシェルミキサー等で均一に混合した後、常法によ
り成型し、焼成して黒鉛化する方法がある。また、炭素
化可能な樹脂が粉体あるいは液体であっても、ニーダー
等により骨材コークスとバインダーピッチに混練混合が
可能であるが、樹脂の混合比率が多くなると液体樹脂は
作業性が悪くなる。この場合、炭素化可能な樹脂は固体
粉末の状態で利用することが望ましい。カーボンブラッ
クもニーダー等により混練混合が可能である。
原料に対して1〜25重量%の範囲で添加され、1重量
%未満では添加の効果が少なく、25重量%を超えると
黒鉛材料の硬度が上がり脆くなると共に加工性が悪くな
る。望ましくは、5〜15重量%の配合割合とするのが
よい。
気下で熱処理した時に炭素化する樹脂であればよく、具
体的には、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイ
ミド、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、ユリア樹
脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、あるいはこれらの各種
変性物等を挙げることができる。また、これらの樹脂は
単独であっても、また、2種以上の混合物としても使用
できる。これらの樹脂は、炭化後の炭素化歩留りが20
%以上のものがよく、これより歩留りが低いと得られた
黒鉛材に気孔が多く発生し、強度的に弱いものとなる。
ス状炭素)は、それ自身が浸炭し難いため、炭素化可能
な樹脂を添加するだけでも低浸炭黒鉛材を得ることがで
きる。しかしながら、樹脂単独の添加により低浸炭黒鉛
材を得るには、その添加率を多くする必要があり、コス
トの点で不利となる。従って、カーボンブラックと組み
合わせて添加することで、低浸炭黒鉛材としての物性
(浸炭及びカーボンダストの発生の抑制)を満足し、し
かも安価に製造することができる。炭素化可能な樹脂の
配合割合は、黒鉛化可能な炭素質原料に対して5〜20
0重量%とすることで、黒鉛材中でのガラス状炭素が、
黒鉛材中に含まれるガラス状炭素の面積率として5〜6
0%の含有割合で分散した低浸炭黒鉛材を得ることがで
きる。この樹脂の添加率が5重量%より少ないとカーボ
ンダストの抑制効果が小さい。また、200重量%より
多いと、硬度が高くなり黒鉛材の特徴である易加工性を
損ない、しかもコストの点で不利となる。望ましくは1
0〜60重量%がよい。
炭黒鉛材中では光学的異方性組織であるのに対して、炭
素化可能な樹脂から生成するガラス状炭素はアモルファ
ス組織を有する。これらの組織の違いは偏光顕微鏡の観
察により確認することができ、本発明の低浸炭黒鉛材に
おいては、光学的異方性組織の中にガラス状炭素のアモ
ルファス組織が均一に分散している様子を観察すること
ができる。黒鉛材中でのアモルファス組織の含有割合
は、偏光顕微鏡の画像を画像解析装置で処理することに
より、面積率で数値化することができる。一方、黒鉛材
中のカーボンブラックについては、走査型電子顕微鏡で
黒鉛材を直接的に観察する限りでは困難であるが、本発
明の黒鉛材を二酸化炭素で酸化することにより、その表
面に骨材である黒鉛粉と共にこのカーボンブラックが羽
毛状に浮き上がるので、その存在を走査型電子顕微鏡で
確認することができる。
対して、カーボンブラックと樹脂を混合分散させたもの
は、金型プレスあるいはラバープレスの何れで成型して
もよく、成型後は常法通りに非酸化性雰囲気中900〜
1,200℃で焼成して炭化し、更に2,000〜3,
000℃で黒鉛化することにより、低浸炭黒鉛材を製造
することができる。
は、金属との繰り返しの接触による摩耗でカーボンブラ
ックが脱落し、このために長期に亘って浸炭を抑制する
ことは困難であったが、これに炭素化可能な樹脂を添加
することにより、カーボンブラックを黒鉛材中に強く固
定して長期の使用に耐え得るようにすることができる。
また、炭素化可能な樹脂を炭化して生成する樹脂炭は、
ガラス状炭素であるため、カーボンダストを発生し難く
する。従って、本発明により製造される低浸炭黒鉛材
は、長期の使用において浸炭現象を抑制することができ
る。更に、この低浸炭黒鉛材は、良好な加工性を備えて
おり、ハーメチックシール用冶具材等に使用する場合で
も対応可能であり、黒鉛材からのカーボンダストの発生
が少ないため、ハーメチックシール時のガラスへの汚染
も減らすことが可能である。また、ハーメチックシール
の用途だけではなく、金属焼結用冶具等の高温で金属と
接触する用途等においても浸炭現象の発生を防止するよ
うに作用する。
しながら説明する。 実施例1 骨材コークス100重量部とバインダーピッチ35重量
部とを加熱混練した後これを粉砕して粉砕粉とし、この
粉砕粉に、混練前の原料である骨材コークスとバインダ
ーピッチの総重量に対して6.75重量部のカーボンブ
ラック〔新日鐵化学(株)製商品名:ニテロン#10〕
及び6.75重量部の粉末フェノール樹脂(炭化歩留り
50重量%、平均粒径15μm)を加えてヘンシェルミ
キサーで混合した後、冷間静水圧プレス(CIP)によ
り成型し、1,000℃で焼成した後、2,800℃で
黒鉛化を行い、低浸炭黒鉛材を得た。
たところ、光学的異方性組織の中にフェノール樹脂から
生成したアモルファス組織のガラス状炭素が分散してい
ることが確認できた。また、この黒鉛材を二酸化炭素雰
囲気中で1,000℃、30分間酸化を行い、走査型電
子顕微鏡を使用してその表面を1,000倍の倍率で観
察したところ、骨材である黒鉛粉と共に羽毛状に存在す
るカーボンブラックを確認することができた。
ル樹脂の添加量を13.5重量部とした以外は、実施例
1と同様の操作で低浸炭黒鉛材を得た。
ル樹脂の添加量を81重量部とした以外は、実施例1と
同様の操作で低浸炭黒鉛材を得た。
ル樹脂の添加量を135重量部とした以外は、実施例1
と同様の操作で低浸炭黒鉛材を得た。
ル樹脂の添加量を202.5重量部とした以外は、実施
例1と同様の操作で低浸炭黒鉛材を得た。
ール樹脂の添加量を270重量部とした以外は、実施例
1と同様の操作で低浸炭黒鉛材を得た。
部を加え、加熱混練した後これを粉砕し、CIPにより
成型した後、1,000℃で焼成し、2,800℃で黒
鉛化を行って黒鉛材を得た。この黒鉛材の研磨面を偏光
顕微鏡で観察したところ、光学的異方性組織が存在する
だけであった。また、この黒鉛材を二酸化炭素雰囲気中
で1,000℃、30分間酸化を行い、走査型電子顕微
鏡を用いてその表面を1,000倍の倍率で観察したと
ころ、骨材である黒鉛粉だけが存在していた。
部とを加熱混練した後これを粉砕して得られた粉砕粉
に、混練前の原料である骨材コークスとバインダーピッ
チの総重量に対して6.75重量部のカーボンブラック
を加え、ヘンシェルミキサーで混合した後、CIPによ
り成型し、1,000℃で焼成、2,800℃で黒鉛化
を行って黒鉛材を得た。
は、比較例2と同様の操作で黒鉛材を得た。
は、比較例2と同様の操作で黒鉛材を得た。
部を加熱混練した後これを粉砕して得られた粉砕粉に、
混練前の原料である骨材コークスとバインダーピッチの
総重量に対して40.5重量部のカーボンブラック〔新
日鐵化学(株)製商品名:ニテロン#10〕及び33
7.5重量部の粉末フェノール樹脂(炭化歩留り50重
量%、平均粒径15μm)を加えてヘンシェルミキサー
で混合した後、CIPにより成型し、1,000℃で焼
成、2,800℃で黒鉛化を行って黒鉛材を得た。以上
のようにして得られた各実施例及び比較例の黒鉛材の物
性を表1に示す。
有割合は、得られた黒鉛材の研磨面を光学的異方性組織
解析装置〔日鉄テクノス(株)製MODEL MTA
2000〕を用いて、200倍で観察した光学顕微鏡の
画像を処理することにより面積率で求めた。また、得ら
れた黒鉛材を使用して、コバール金属について白ガラス
でハーメチックシールを繰り返し行い、耐浸炭性を評価
した。結果を表2に示す。
おける低浸炭黒鉛材は、ハーメチックシール時に浸炭す
ることがなく、しかも、カーボンダストが発生し難い。
比較例2、3、4に示されているように、カーボンブラ
ックを添加しただけでは、長期に亘って浸炭を抑制する
ことができず、しかも、カーボンダストが発生し易い欠
点があることが判る。なお、比較例5に示されているよ
うに、本発明の範囲を越す場合は、加工時に黒鉛材が欠
け易くなり、その加工性が悪くなった。
ーボンブラックとガラス状炭素とを含有せしめたもので
あり、その使用においては長期に亘って低浸炭性を示す
ことができる。しかも、この低浸炭黒鉛材は、カーボン
ダストを発生し難く、特にハーメチックシール用途にお
いては、得られる製品の不良率を著しく低下させること
ができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 マトリックスを構成する黒鉛材中に、カ
ーボンブラックを含み、かつ、ガラス状炭素が黒鉛材中
に含まれるガラス状炭素の面積率として5〜60%の含
有割合で分散した組織であることを特徴とする低浸炭黒
鉛材。 - 【請求項2】 黒鉛化可能な炭素質原料に対し、1〜2
5重量%のカーボンブラックと5〜200重量%の炭素
化可能な樹脂とを添加し、成型した後、焼成して黒鉛化
することを特徴とする請求項1記載の低浸炭黒鉛材の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33118392A JP3427077B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 低浸炭黒鉛材とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33118392A JP3427077B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 低浸炭黒鉛材とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06157017A JPH06157017A (ja) | 1994-06-03 |
JP3427077B2 true JP3427077B2 (ja) | 2003-07-14 |
Family
ID=18240821
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33118392A Expired - Fee Related JP3427077B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 低浸炭黒鉛材とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3427077B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4772947B2 (ja) * | 2000-06-13 | 2011-09-14 | 東洋炭素株式会社 | 低浸炭黒鉛材料及びこれを用いた封着用治具 |
-
1992
- 1992-11-18 JP JP33118392A patent/JP3427077B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06157017A (ja) | 1994-06-03 |
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