JP2003203327A - 磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク装置

Info

Publication number
JP2003203327A
JP2003203327A JP2002001895A JP2002001895A JP2003203327A JP 2003203327 A JP2003203327 A JP 2003203327A JP 2002001895 A JP2002001895 A JP 2002001895A JP 2002001895 A JP2002001895 A JP 2002001895A JP 2003203327 A JP2003203327 A JP 2003203327A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic disk
lubricant
perfluoropolyether
magnetic
structural formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002001895A
Other languages
English (en)
Inventor
Mina Amo
美奈 天羽
Takayuki Nakakawaji
孝行 中川路
Hiroyuki Matsumoto
浩之 松本
Kouji Tani
谷  弘詞
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2002001895A priority Critical patent/JP2003203327A/ja
Publication of JP2003203327A publication Critical patent/JP2003203327A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気ディスク表面の潤滑膜厚の減少が小さく、
磁気ヘッドと磁気ディスク表面との間の摺動信頼性に優
れる磁気ディスク装置を提供する。 【解決手段】フィルターにパーフロロポリエーテルを含
浸させたフィルターを磁気ディスク装置内に設置し、磁
気ディスク装置内の熱と気流を使ってパーフロロポリエ
ーテルを磁気ディスク表面に供給する。この際、磁気ヘ
ッド・スライダーと磁気ディスクとの接触摺動に対して
高い摺動耐久性を確保できる分子構造のパーフロロポリ
エーテルを含浸させる。また、十分な供給量を確保する
ために数平均分子量は4000以下とする。これにより
信頼性に優れる磁気ディスク装置が得られる。 【効果】磁気ディスク表面の潤滑膜厚の減少が小さく、
磁気ヘッドと磁気ディスク表面との間の摺動信頼性に優
れる磁気ディスク装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気ディスク装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクの高記録密度化に伴い、ヘ
ッド浮上量は低下の傾向にある。このため、磁気ディス
ク表面に塗布された潤滑剤は、磁気ディスクと磁気ヘッ
ド・スライダーとの接触摺動により掻き取られ易く、潤
滑膜厚が短時間で減少する。さらに、磁気ディスクの回
転に伴って生じる遠心力や気流の剪断力,装置内部の温
度上昇による飛散などでも潤滑膜厚の減少は加速され
る。そこで磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダーとの
間での摺動耐久性の確保のために、磁気ディスク表面に
潤滑剤を塗布する以外に、潤滑剤をディスク表面に供給
することが行われている。磁気ディスク装置内で潤滑剤
をディスク表面に供給する方法に関する技術として特開
昭59−218668号公報,特開昭60−23992
1号公報,特開平8−45238号公報,特開平10−
312660号公報,特開平8−45239号公報,特
開平6−295579号公報,特許第2796852号
等が開示されている。
【0003】特開昭59−21866号公報には磁気デ
ィスクの回転によって発生する熱空気流により装置下部
に設けた潤滑剤含浸部材から潤滑剤蒸気を発生させ、ハ
ブ中心の通気穴より磁気ディスク表面に潤滑剤を供給す
る技術が開示されている。特開昭60−239921号
公報にはミリスチン酸を含浸させた部材に熱風を入射さ
せて蒸発したミリスチン酸蒸気を磁気ディスク表面に付
着させ潤滑膜を形成する技術が開示されている。特開平
8−45238号公報には、アームもしくはサスペンシ
ョンに液体潤滑剤からなる潤滑膜を形成し、ディスク回
転に伴う気流によってディスク表面に潤滑剤を供給する
技術が開示されている。特開平10−312660号公
報,特開平8−45239号公報,特許第279685
2号には、ウィック材に低粘度の液体潤滑剤を含浸させ
てディスクの近傍に取り付け、ディスク表面に液体潤滑
剤を供給する技術が開示されている。特開平6-295579号
公報には、加熱素子を内蔵したリザーバーから潤滑剤を
供給することを記載する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気ディスクと磁気ヘ
ッド・スライダーが高速で接触摺動すると、磁気ヘッド
・スライダーによる掻き取りと高い摩擦熱により潤滑剤
の分解が発生する。このため、潤滑膜厚は短時間で減少
する。なお摩擦熱による潤滑剤の分解は磁気ヘッド・ス
ライダーの構成材料であるAl23やTiCの触媒作用
により更に加速される。
【0005】この場合において、掻き取りおよび飛散に
よって減少する潤滑剤の量と、熱や気流によって供給さ
れる潤滑剤の量とのバランスが釣り合った状態であれば
ディスク表面の潤滑膜厚は一定となり、磁気ディスクと
磁気ヘッド・スライダーとの間の摺動耐久性を確保する
ことができる。またより高い摺動耐久性を確保するに
は、供給による潤滑膜厚の維持だけでなく摩擦熱による
潤滑剤の分解を低減する耐熱性の高い潤滑剤を供給する
必要もある。なお磁気ディスク表面の潤滑膜に耐熱性の
高い潤滑剤を選択することもより効果的である。
【0006】これらの課題を解決するには、耐熱性が高
く、安定な供給が可能な潤滑剤の分子構造や分子量など
の物性および磁気ディスク装置内に保持される潤滑剤の
量を詳細に検討し、適用しなければならない。しかし上
記の従来技術には、耐熱性が高く、安定な供給を実現す
るための潤滑剤の分子構造や分子量などの物性等につい
て具体的な検討や提示がされておらず、現行では上記課
題を解決することにおいて未だ課題を有しているといわ
ざるを得ない。
【0007】更に、摺動耐久性を確保するには上記検討
に加え磁気ディスク装置の動作方式や構造も考慮しなけ
ればならない。例えば特開昭59−218668号公報
等に記載されているCSS(Contact Start Stop)方式
では、潤滑膜厚が厚くなるとヘッド・スライダーと磁気
ディスク間で強い吸着が発生し、磁気ディスクが起動で
きなくなる等の障害が発生する場合がある。このため、
潤滑剤を供給するにはL/UL(Load/Unload)方式が
望ましい。
【0008】以上、本発明の目的は、磁気ディスク表面
の潤滑膜厚の減少が小さく、磁気ヘッドと磁気ディスク
表面との間の摺動信頼性に優れる磁気ディスク装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、磁
気ディスク表面の潤滑膜厚の減少を少なくするために、
磁気ディスク装置内の熱とディスク回転による気流を利
用して、潤滑剤を保持する部品から磁気ディスク表面に
供給される潤滑剤について、最適な分子量と耐熱性の高
い分子構造を見出した。
【0010】その一方で熱や気流によって潤滑剤を供給
する場合、供給潤滑剤を保持する部品の材料、その設置
位置の気流の方向・強さ,温度等によって、供給される
潤滑剤の量が大きく異なる。さらに磁気ディスク装置の
容積,ディスクの回転数,搭載される磁気ディスクの枚
数によっても必要な潤滑剤の量も異なる。尚、潤滑剤の
供給量を最適化するためには、分子量や分子構造によっ
て異なる潤滑剤の物性を考慮し、特に供給された潤滑剤
が磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダーとの接触摺動
により分解されることを防止するために、耐熱性の高い
分子構造を選択すべきである。具体的には、本発明にお
いて用いる潤滑剤であるパーフロロポリエーテルのパー
フロロポリエーテル鎖の耐熱性は分子構造によって大き
く異なるため、耐熱性に優れるパーフロロポリエーテル
の分子構造を特定する必要がある。
【0011】磁気ディスク用潤滑剤であるパーフロロポ
リエーテルは、一般的な産業機械で使用される鉱油等の
炭化水素系潤滑材料に比べて蒸発しにくい潤滑剤であ
り、分子量が高くなるとより蒸発しにくくなる性質を有
する。従って、熱と気流によってパーフロロポリエーテ
ルをディスク表面に供給するには、蒸発しやすい比較的
低分子量成分が必要となり、分子量の制御をうまく行う
必要がある。
【0012】上記課題を解決する本発明の具体的な手段
は以下の通りである。
【0013】第1の手段は、磁気ディスクと、前記磁気
ディスクを回転させるスピンドルモーターと、前記磁気
ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッ
ド・スライダーと、筐体とを有する磁気ディスク装置で
あって、前記磁気ディスク装置は、前記ヘッド・スライ
ダーが前記磁気ディスク回転中には該磁気ディスクの面
上にあるように、該磁気ディスクが停止中には前記磁気
ディスクの面外に退避するように、前記ヘッド・スライ
ダーを制御する制御回路部と、前記磁気ディスクの表面
に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段とを有し、該潤滑剤
供給手段は、潤滑剤として下記一般式のパーフロロポリ
エーテルを含み、かつ、前記潤滑剤は数平均分子量が4
000以下の前記パーフロロポリエーテルを含むことを
特徴とする磁気ディスク装置。
【0014】
【化1】 (ここで、Rは一価の有機基、nは正の整数) 第2の手段は、前記潤滑剤供給手段が、構造式1のパー
フロロポリエーテルを含浸させたフィルターであること
を特徴とする第1の手段に記載の磁気ディスク装置。
【0015】
【化2】 (ここで、nは正の整数) なお、含浸させる物体としてはフィルターに限らず、ウ
イック材や紙,スポンジ等、潤滑剤を保持できる物でも
使用できる。この際、塵埃やガスなどの発生が無いこと
等を考慮すべきである。
【0016】第3の手段は、前記磁気ディスクの潤滑膜
が構造式1,2のパーフロロポリエーテルのうち少なく
とも1つを含むことを特徴とする第1の手段に記載の磁
気ディスク装置。
【0017】
【化2】
【化3】 (ここで、m,nは正の整数) 潤滑剤供給手段を有する磁気ディスク装置の動作方式と
しては、従来のCSS(Contact Start Stop)方式でも
ヘッドクラッシュ等を防止する上で効果があるが、磁気
ヘッド・スライダーが磁気ディスク回転時のみ該磁気デ
ィスクの面上にあり、該磁気ディスク停止時には磁気デ
ィスクの外周側の面外に退避するL/UL(Load/Unlo
ad)方式の方が吸着等の問題が発生しない点でより有利
である。
【0018】以上のように潤滑剤を潤滑剤供給手段から
供給することにより、磁気ディスクと磁気ヘッド・スラ
イダーとの間の摺動耐久性を確保することができる。ま
た、装置の構造や容量に応じてフィルターに含浸させる
潤滑剤量を変えることにより、潤滑剤を安定に供給で
き、大幅な装置の設計変更や部品数の増加が不要であ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】(1)潤滑剤の供給源 本発明では、磁気ディスク装置内の熱とディスク回転に
よる気流によって潤滑剤を供給するため、潤滑剤を含浸
させた潤滑剤保持手段(フィルター,ウィック材等)を
磁気ディスク装置内に設けた。
【0020】ディスクが回転して装置内の温度が上昇す
ると、供給源から潤滑剤が蒸発しディスク表面に供給さ
れる。なお潤滑剤を含浸させたフィルターは、装置内の
気流を効果的に利用できるよう配置することとした。
【0021】(2)潤滑剤の構成 本発明では、供給用潤滑剤としてパーフロロポリエーテ
ルを用いた。より具体的には安定供給が可能で、かつヘ
ッドによる掻き取りに対して十分な修復機能を達成する
ために、吸着性の極性基を有するパーフロロポリエーテ
ルを使用した。パーフロロポリエーテルの数平均分子量
は、磁気ディスク装置内の温度で蒸発し、気流によって
供給できるよう十分な値に規定した。さらに、磁気ディ
スクと磁気ヘッド・スライダーとの接触摺動によって発
生する摩擦熱による潤滑剤の分解を防止するため、パー
フロロポリエーテル鎖に耐熱性の高い分子構造を選択し
た。具体的なパーフロロポリエーテルとしては以下のも
のが挙げられる。
【0022】
【化1】 (ここで、Rは一価の有機基、nは正の整数) この潤滑剤はパーフロロポリエーテル鎖の末端に極性基
を有しており、ディスク表面に吸着しやすく、潤滑膜の
修復効果が高い。また、パーフロロポリエーテル鎖は耐
熱性の高い分子構造である。含浸させる潤滑剤の量は、
装置筐体の構造と容積に応じて調整した。
【0023】(3)本発明の磁気ディスクの構成 磁気ディスクは、基板上に下地膜,磁性層,カーボンを
主体とする保護膜、更にその上にパーフロロポリエーテ
ルからなる潤滑膜を最外層として形成する構成である。
潤滑膜はパーフロロポリエーテルで構成されている。具
体的には構造式1,2の潤滑剤が挙げられるが、本発明
はこれらに限定されるものではない。
【0024】(4)本発明の磁気ディスク装置の用途 本発明に記載の磁気ディスク装置の用途としては、電子
計算機,ワードプロセッサー等の外部メモリー(具体的
にはハードディスク装置等)が挙げられる。またモーバ
イルコンピューター,ナビゲーションシステム,ゲー
ム,携帯電話,PHS等の各種情報機器等にも適用可能
である。
【0025】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0026】(実施例1)実施例1では、接触摺動にお
ける耐力について供給させる潤滑剤(パーフロロポリエ
ーテル)の構造を比較し、耐熱性の高いパーフロロポリ
エーテル鎖を供給潤滑剤として選択した場合の効果を検
証した。
【0027】図1に実施例1で使用した試験装置1の構
成を示す。
【0028】試験装置1は実際の磁気ディスク装置をベ
ースにしており、実機の動作での評価が可能である。従
って、本試験装置での評価は、実際の磁気ディスク装置
を使った場合と同等の評価を得ることができる。磁気ヘ
ッド・スライダー2はサスペンション10の先端に取り
付けられており、サスペンション10はアーム部3で支
持されている。アーム部3には歪みゲージが内蔵されて
おり、ヘッド/ディスク間の摩擦力測定が可能となって
いる。スピンドル部とボイスコイルモーター部は、ディ
スク回転数やシークの周波数を変えられるよう改良して
いる。また装置内部の温度をコントロールするため、試
験装置1のカバー5にはコードヒーター6が取り付けら
れており、室温から80℃まで温度を変化させることが
可能である。さらに、試験装置は潤滑剤を保持し加熱が
可能なバーヒーター7及びフィルター8をも内蔵してい
る。試験装置の内容積は450mlである。磁気ディス
ク4は、直径63.5mm(2.5インチ)のガラス基板上に
Cr合金からなる下地膜、CoCrTaPtの磁性層,
カーボン保護膜を順に成膜して形成した。カーボン保護
膜は、Ar/N2 ガス雰囲気下で成膜して硬度を高めて
おり、膜厚は5nmである。カーボン保護膜の上にはパ
ーフロロポリエーテルとして以下に示す構造式1で表わ
されるSA(ダイキン工業社製)と構造式2で表わされ
るZ−DOL(アウジモント社製)からなる潤滑膜1.
7nm を形成した磁気ディスク4を用意した。潤滑剤
の数平均分子量はいずれも4000である。なお潤滑膜
厚の測定にはフーリエ変換赤外分光光度計(FT−I
R)を用い、−CF2−の伸縮振動バンドの強度を測定
し、これを潤滑膜の厚さに換算した。
【0029】
【化2】
【化3】 (ここで、m,nは正の整数) 次に、図2及び図3を用いて実施例1の効果について説
明する。
【0030】図2は磁気ディスク4の表面に構造式2の
潤滑剤を塗布した場合における磁気ディスク4表面の潤
滑膜厚の時間変化を、図3は磁気ディスク4の表面に構
造式1の潤滑剤を塗布した磁気ディスク4表面の潤滑膜
圧の時間変化をそれぞれ示している。尚測定環境は以下
で説明する。
【0031】測定環境は常温/0.2 気圧であり、ラン
ダムシーク(ランダムシーク試験)は磁気ディスク4の
半径16mmから28mmの面において行った。磁気ディス
ク4の回転数は5400rpm である。なお実施例1の試
験は、0.2 気圧に減圧しているため、磁気ヘッド・ス
ライダー2と磁気ディスク4は接触状態で摺動し、通常
の磁気ディスク装置の動作条件より過酷なものとなって
いる。また、ランダムシーク試験では磁気ヘッド・スラ
イダー2の接触荷重を9.8mN〜68.6mNで変化さ
せたときの装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を測定
した。測定時間は216時間(216h)経過まで行
い、ディスククラッシュした場合はその時点で測定を中
止した。
【0032】構造式2の潤滑剤を塗布した磁気ディスク
4表面の測定時間に対する潤滑膜厚の変化を図2に示
す。構造式1の潤滑剤を塗布した磁気ディスク4表面の
測定時間に対する潤滑膜厚の変化を図3に示す。
【0033】図2が示す試験結果について説明する。
【0034】構造式2の潤滑剤(Z−DOL)を塗布し
た磁気ディスク4において、荷重が9.8mN,29.4
mNの場合には、時間の経過とともに潤滑膜厚の多少の
減少があるものの、216h経過してもディスククラッ
シュには至っていない。しかし荷重が49mNの場合に
は72hで、荷重が68.6mN の場合には24hでそ
れぞれディスククラッシュを起こした。
【0035】これに対し、図3のランダムシーク試験に
おいて用いた構造式1(SA)の潤滑剤を塗布した磁気
ディスク4では荷重9.8mN 〜49mNの範囲であれ
ば216h経過してもディスククラッシュは起こらなか
った。なお荷重68.6mNの場合には120hでディ
スククラッシュを起こした。
【0036】以上、図2及び図3の結果から構造式1の
潤滑剤(SA)の方が接触摺動における耐力に優れてい
ることがわかった。これは構造式1の潤滑剤のパーフロ
ロポリエーテル鎖の方が構造式2のパーフロロポリエー
テル鎖より耐熱性に優れ、摩擦熱によって分解し難いこ
とを意味する。従って、構造式1(SA)の潤滑剤の供
給を選択することで磁気ヘッド・スライダーと磁気ディ
スクとの接触摺動に対する摺動耐久性を向上できた。
【0037】(実施例2)実施例2では構造式1(S
A)及び構造式2(Z−DOL)の潤滑剤をフィルター
に含浸させ、各温度における潤滑剤の供給量を比較し
た。フィルターの設置箇所の例は図1に示されたとおり
である。フィルター8は縦10mm×横20mm×厚さ2mm
のシート状である。フィルター8に含ませた溶液はフッ
素系溶媒(スリーエム株式会社製のHFE−7100)
に構造式1(SA),構造式2(Z−DOL)の潤滑剤
を40wt%溶解させたものであり、マイクロピペット
によりフィルター8に20μリットル滴下し、試験装置
1内に設置した。使用した構造式1,2のパーフロロポ
リエーテル潤滑剤の数平均分子量(Mn)は、約2000
である。
【0038】
【化2】
【化3】 (ここで、m,nは正の整数) 実施例2では、潤滑剤を塗布しない磁気ディスク4を常
圧下/室温(23℃)、45℃,65℃の各温度におい
てそれぞれ24h回転させ、供給された磁気ディスク4
表面の潤滑剤の量(潤滑膜厚)を測定した。磁気ディス
ク4の回転数は5400rpm である。なお、分子量の効
果を確認するために数平均分子量(Mn)3800,65
00の構造式1の潤滑剤(SA)についても65℃で同
様の試験を行った(比較例1)。図4に試験結果を示
す。
【0039】図4は、構造式1(SA),構造式2(Z
−DOL)の潤滑剤とも各温度で潤滑剤が磁気ディスク
4表面に供給されるという結果を示している。そして構
造式1の潤滑剤(SA)の方が構造式2の潤滑剤(Z−
DOL)より温度に対する供給量の傾き(変化)が小さ
く、比較的広い温度域で安定に供給が可能であることが
わかる。一方、構造式1の潤滑剤(SA)の65℃におけ
る分子量の影響を見ると、分子量が大きいほど供給量が
少なくなっている。特に、数平均分子量(Mn)が650
0では殆ど供給されない。従って、供給する潤滑剤とし
ては少なくとも数平均分子量(Mn)6500以下であ
る必要があり、十分必要な供給量を考慮すると数平均分
子量(Mn)4000以下であることがより望ましい。
【0040】実施例1の結果からも構造式1の潤滑剤の
方が接触摺動に対する耐力に優れていることがわかって
いる。摺動耐力に優れる構造式1の潤滑剤を供給するこ
とでより効率的に潤滑膜厚の減少を低減でき、摺動信頼
性の高い磁気ディスク装置を得ることができる。
【0041】(実施例3)実施例3では、実施例1にお
いて構造式1の潤滑剤(SA)を供給した場合の効果を
検証した。ここで磁気ディスクには実施例1と同様、カ
ーボン保護膜の上に構造式2で表わされる数平均分子量
4000の潤滑剤(Z−DOL)からなる潤滑膜1.7
nm を形成したものを用いた。潤滑膜厚の測定には実
施例1と同様にFT−IRを用い、−CF2− の伸縮振
動バンドの強度から潤滑膜厚に換算した。
【0042】
【化3】 (ここで、m,nは正の整数) また潤滑剤の供給手段としては実施例2と同様のフィル
ターを用いた。含ませた潤滑剤は、フッ素系溶媒(HF
E−7100)に構造式1の潤滑剤(SA)を40wt
%溶解させた溶液を、マイクロピペットによりフィルタ
ー8に20μリットル滴下したものであり、フィルター
は図1に例示した試験装置1の設置位置と同様である。
なお使用した構造式1の潤滑剤(SA)の数平均分子量
(Mn)は、約2000である。フィルター8の大きさ
は縦10mm×横20mm×厚さ2mmのシート状である。
【0043】
【化2】 (ここで、nは正の整数) ランダムシーク(ランダムシーク試験)は65℃/大気
圧環境下で磁気ディスク4の半径16mmから28mmの面
において行った。磁気ディスク4の回転数は5400rp
m 、磁気ヘッド・スライダー2の接触荷重は68.6m
N であった。通常の磁気ディスク装置での接触荷重は
15mN〜25mN程度であり、本試験の接触荷重6
8.6mN は、実際の磁気ディスク装置の動作条件より
過酷であり、加速評価である。このため、磁気ヘッド・
スライダー2と磁気ディスク4は高い頻度で接触摺動す
ることとなる。なお、測定は216hまで行った。また
比較例として潤滑剤を供給しない試験(比較例2)も行
い、比較した。尚、比較例の他の条件は実施例3と同様
である。
【0044】図5は本試験における装置稼動時間に対す
る潤滑膜厚の変化を示す。
【0045】潤滑剤を供給しない場合(比較例2)で
は、時間と共に潤滑膜厚が減少し、216hでは膜厚が
0.4nm 程度となる。また、試験終了後(216h
後)に比較例2の磁気ディスクのシーク面を観察した結
果、一部に摺動痕の発生が認められた。これに対し構造
式1の潤滑剤(SA)を供給した場合は、216hまで
潤滑膜厚が殆ど変化せず、試験終了後もシーク面に摺動
痕も見られなかった。
【0046】以上の結果より、接触摺動耐久性に優れる
構造式1のパーフロロポリエーテル潤滑剤(SA)を供
給することにより潤滑膜厚の減少を低減でき、摺動信頼
性の高い磁気ディスク装置が得られた。
【0047】なお、上記した各実施例においては、潤滑
剤の供給源として潤滑剤を含浸させたフィルター8を用
いたが、液垂れを起こさずに潤滑剤を保持でき、磁気デ
ィスク装置内の温度と気流によって潤滑剤が容易に移動
できるような手段に潤滑剤を含浸させてもよい。例え
ば、ガス吸着フィルター,ウィック材,不織布,紙など
を用いることができる。また、含浸させる潤滑剤の量
は、装置容積に応じて変えることにより同様の効果が得
ることができる。例えば、直径45.72mm(1.8イン
チ),33.02mm(1.3インチ),25.4mm(1.0
インチ)等より小径の磁気ディスクを搭載した小形磁気
ディスク装置においても十分に対応可能である。
【0048】
【発明の効果】本発明により、磁気ディスク表面の潤滑
膜厚の減少が小さく、磁気ヘッド・スライダーと磁気デ
ィスク間の摺動信頼性に優れる磁気ディスク装置が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における試験装置の上面模式図と側面
模式図である。
【図2】構造式2における潤滑剤を塗布した磁気ディス
ク4の測定時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図であ
る。
【図3】構造式1の潤滑剤を塗布した磁気ディスク4の
測定時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。
【図4】各装置内温度下での構造式1,2の潤滑剤の供
給量を測定した図である。
【図5】構造式1を供給した場合としない場合での装置
稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…試験装置、2…磁気ヘッド・スライダー、3…アー
ム部、4…磁気ディスク、5…カバー、6…コードヒー
ター、7…バーヒーター、8…フィルター、9…スピン
ドルモーター、10…サスペンション。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 33/12 313 G11B 33/12 313C // C10N 40:18 C10N 40:18 (72)発明者 松本 浩之 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 谷 弘詞 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 Fターム(参考) 4H104 BD06A CD04A PA16 5D006 AA01 AA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転
    させるスピンドルモーターと、前記磁気ディスクにデー
    タを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダー
    と、筐体とを有する磁気ディスク装置であって、 前記磁気ディスク装置は、前記ヘッド・スライダーが前
    記磁気ディスク回転中には該磁気ディスクの面上にある
    ように、該磁気ディスクが停止中には前記磁気ディスク
    の面外に退避するように前記ヘッド・スライダーを制御
    する制御回路部と、 前記磁気ディスクの表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給
    手段と、を有し、 該潤滑剤供給手段は、潤滑剤として下記一般式のパーフ
    ロロポリエーテルを含み、かつ、前記潤滑剤は数平均分
    子量が4000以下の前記パーフロロポリエーテルを含
    むことを特徴とする磁気ディスク装置。 【化1】 (ここで、Rは一価の有機基、nは正の整数)
  2. 【請求項2】前記潤滑剤供給手段は、構造式1のパーフ
    ロロポリエーテルを含浸させたフィルターであることを
    特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。 【化2】 (ここで、nは正の整数)
  3. 【請求項3】前記磁気ディスクの潤滑膜が構造式1,2
    のパーフロロポリエーテルのうち少なくとも1つを含む
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。 【化2】 【化3】 (ここで、m,nは正の整数)
JP2002001895A 2002-01-09 2002-01-09 磁気ディスク装置 Pending JP2003203327A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002001895A JP2003203327A (ja) 2002-01-09 2002-01-09 磁気ディスク装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002001895A JP2003203327A (ja) 2002-01-09 2002-01-09 磁気ディスク装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003203327A true JP2003203327A (ja) 2003-07-18

Family

ID=27641900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002001895A Pending JP2003203327A (ja) 2002-01-09 2002-01-09 磁気ディスク装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003203327A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4654339B2 (ja) 磁気ディスク
JP5483050B2 (ja) 磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法、並びに磁気ディスク
JP5465454B2 (ja) 磁気ディスク及びその製造方法
JP5631604B2 (ja) 磁気ディスクの製造方法
JP2009146511A (ja) 磁気ディスク及び磁気ディスク装置
US7146710B2 (en) Two stage lubrication process for disk drive
JP4984444B2 (ja) 潤滑剤、磁気ヘッドスライダ、磁気記録媒体および磁気記録装置
WO2010084548A1 (ja) 潤滑剤、および、それを用いた磁気ディスク装置
JP4490359B2 (ja) 磁気ディスク装置
JP2002083484A (ja) 磁気ディスク装置
JP2006147012A (ja) 磁気記録媒体および情報再生装置
JP2003203327A (ja) 磁気ディスク装置
JP2007058935A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4220529B2 (ja) 磁気ディスク用潤滑剤組成物及びその製造方法
US7624496B2 (en) Method for efficient slider burnishing during drive build
JP4545867B2 (ja) 磁気記録媒体における潤滑膜形成方法、磁気記録媒体及び磁気記録装置
US6917495B2 (en) Magnetic disk drive
JP4200036B2 (ja) 磁気ディスク装置
JP2003123232A (ja) 磁気ディスク装置およびその製造方法
JP3888625B2 (ja) 磁気ディスクおよびその製造方法
JP2000514903A (ja) 不拡散性潤滑剤で潤滑した軸受を有するディスクドライブ用モータ
JP2768047B2 (ja) 磁気ディスク装置
JPH07182652A (ja) 磁気記録媒体
JP2568984B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH09102118A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031128

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040123

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060119

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060124

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20060327

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20060510

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Effective date: 20060510

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070612

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

A521 Written amendment

Effective date: 20070713

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070809

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20070822

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20080307