JP4200036B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスクの高記録密度化に伴いヘッド浮上量の低下は急速に進み、現在では15nm以下の極低浮上領域に達している。このため磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤は磁気ディスク(以下、ディスクと略す)と磁気ヘッド・スライダー(以下ヘッドと略す)との接触摺動により掻き取られやすく、潤滑膜厚が短時間で減少する。特にディスクの回転に伴って生じる遠心力や気流の剪断力,装置内部の温度上昇による飛散などでも潤滑膜厚の減少は加速される。潤滑膜厚が短時間で急激に減少すると初期に設定したディスクとヘッド間との摺動信頼設計の維持が困難となる。このため、ディスク表面に潤滑剤を塗布する以外に、潤滑剤をディスク表面に供給し摺動耐久性を確保することが行われている。
【0003】
磁気ディスク装置内で潤滑剤をディスク表面に供給する技術として、潤滑剤の供給手段としてフィルターを用い、フィルターに潤滑剤を含浸させ、磁気ディスク装置内の熱と気流によって気体状になった潤滑剤をディスク表面に供給する手法が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−83484号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、磁気ディスク装置の新規市場として車載用磁気ディスク装置(磁気ディスク内蔵カーナビゲーション等)やAV機器等の家電向け磁気ディスクの市場が順調に伸びており、今後もこれら市場は確実に拡大すると予想される。
【0006】
しかしながら、車載用磁気ディスク装置では使用温度が−20℃から90℃と従来の磁気ディスク装置の使用温度(室温〜70℃)よりも広い。このため低温域では潤滑剤の供給量が減少若しくは供給されなくなり、摺動耐久性の低下が懸念される。一方高温下では潤滑剤の分解,劣化による摺動耐久性の低下が懸念される。さらに、高温で湿度も高い状態になると、潤滑剤の分解,劣化が助長されることとなる。なおこれは、車載用磁気ディスク装置に限らず、家電向け磁気ディスクでも同様である。
【0007】
これまでに提案されている潤滑剤供給手段は、主としてPCやRAIDシステム用の磁気ディスク装置を対象としたものであり、車載用磁気ディスク装置,家電向け磁気ディスク装置等の広い使用温度領域に対しては未だ課題を有しており、広い温度領域、特に低温域において十分に安定供給可能な潤滑剤及びそれを用いた磁気ディスク装置は得られていない。
【0008】
以上本発明は、上記課題を解決するものであり、広い温度域にわたって安定供給が可能であり、ヘッドとディスク間の摺動信頼性に優れる磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための一手段として、本願発明は、磁気ディスクと、該磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、前記磁気ディスクにデータを記録再生する磁気ヘッド・スライダーと、該磁気ヘッド・スライダーを支持するサスペンションと、を有する磁気ディスク装置であって、
下記一般式で示されるパーフロロポリエーテルを含む潤滑剤を前記磁気ディスクの表面に供給する潤滑剤供給手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
【化1】
Figure 0004200036
【0011】
式中、R1 ,R2 は炭素数1〜10の直鎖状,分岐状若しくは環状の飽和又は不飽和アルキル基を表し、R1 とR2 はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
低温域で潤滑剤を供給するには供給用潤滑剤として下記一般式1で示される両末端にアルキル基を有するパーフロロエーテル潤滑剤を用いることで達成できる。
【0014】
【化1】
Figure 0004200036
【0015】
式中のR1 及びR2 のアルキル基は、炭素数1〜10の直鎖状,分岐状の若しくは環状の飽和又は不飽和アルキル基であり、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,直鎖または分岐状のブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基や、不飽和のプロペニル基,アリル基,環状のメチルフェニレン基,エチルシクロペンテン基などが挙げられる。本発明の両末端にアルキル基を有する潤滑剤は、磁気ディスク用潤滑剤として用いられるZ−DOL,Z−
TETRAOL(アウジモント社製)等の末端基に水酸基を有するものとは異なり、水素結合による分子間相互作用が無いために低粘度で流動性に優れ、ディスク表面に供給しやすい。式中のR1 及びR2 のアルキル基の炭素数が10を超えると潤滑剤が熱や気流により蒸発しにくく供給困難であること、末端官能基の割合が主鎖に対して多いために潤滑特性が損なわれることから、炭素数10以下の直鎖状,分岐状の若しくは環状の飽和又は不飽和アルキル基により供給が可能となる。両末端にアルキル基を有するエステル変性のZ−DEAL(アウジモント社製)でも低粘度で流動性に優れるためディスク上の潤滑膜厚の減少を防止する上で効果があるが、高温多湿化で容易に加水分解してディスクの腐食を引き起こす虞がある。これに対して本発明の潤滑剤は高温多湿下で分解しがたい若しくは分解しても障害(腐食等)を引き起こすことが無く長期にわたって安定に存在し供給することができる。
【0016】
更にその平均分子量が比較的低分子量であると気流によって供給しやすく有用である。具体的には平均分子量が3000以下で好ましくは500〜2000である。これは分子量が500以下では潤滑作用が不足し、3000を超えると潤滑剤が蒸発しにくくなるためである。分子量分布を狭くするとさらに安定な供給が達成できる。
【0017】
なお、潤滑剤保持手段(例えば供給潤滑剤を含浸させた部材),その設置位置の気流の方向・強さ,温度等によって、供給される潤滑剤の量が大きく異なるため、これらについて考慮する必要がある。磁気ディスク装置の容積,ディスクの回転数によっても、必要な潤滑剤の量が異なる。潤滑剤の供給量を最適化するためには、これらも考慮する必要がある。そこで本発明ではディスクが回転する際の気流を利用して供給するために潤滑剤を塵埃除去用フィルターに含浸させている。塵埃除去用フィルターはディスクの極近傍に配置されており気流の影響を強く受けることから潤滑剤保持手段としても利用することができる。フィルターに潤滑剤を均一に含浸させるためにフッ素系溶媒で希釈して含浸させた。フッ素系溶媒は、住友スリーエム社製のHFE−7100やHFE−7200,三井・デュポンフロロケミカル(株)製のバートレルXF等が望ましいが、潤滑剤を溶解できる溶媒であれば本発明はこれらに限定されるものではない。含浸させる潤滑剤の量は濃度と溶液の量で決定されるが、潤滑剤の量が少なすぎると潤滑剤を含浸させた効果が無くなり、逆に潤滑剤の量が多すぎると供給過剰で正常に作動しなくなる。そこで潤滑剤の量が0.3μリットル 以上になるように濃度と量を制御した。ディスクが回転すると、供給源から潤滑剤が蒸発しディスク表面に供給される。従って潤滑剤を含浸させた潤滑剤保持手段(フィルター,ウィック材等)を磁気ディスク装置内に新たに設置けたり、設置位置が異なっている場合においても気流を効果的に利用できるならば、本発明と同じ効果が得られる。
【0018】
次に本発明に係る磁気ディスクの構成について説明する。
【0019】
磁気ディスクは、非磁性基板上に少なくともシード膜,下地膜,磁性記録膜,カーボンを主体とする保護膜、更にその上にパーフロロポリエーテルからなる潤滑膜を最外層として形成する構成である。潤滑膜は下記一般式2,3で表されるパーフロロポリエーテルで構成されている。
【0020】
【化2】
Figure 0004200036
【0021】
(ここでm,nは正の整数、R3 及びR4 は1価の有機基を表す)
【0022】
【化3】
Figure 0004200036
【0023】
(ここでm,nは正の整数、R5 は1価の有機基を表す)
具体的にはアウジモント社のZ−DOL,Z−TETRAOL,Z−DOL TX2000やダイキン工業社製のSA等の磁気ディスクに対して吸着力を有する潤滑剤が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
広い温度領域、特に低温域において十分に安定供給可能な潤滑剤及びそれを用いた磁気ディスク装置を得るには、供給用潤滑剤として低粘度で流動性に優れる本発明の潤滑剤と、予めディスクに塗布した吸着力を有する潤滑剤とを組み合わせることで達成できる。
【0025】
潤滑剤供給手段を有する磁気ディスク装置の動作方式としては、従来のCSS(Contact Start Stop)方式でもヘッドクラッシュ等を防止する上で効果があるが、ディスク停止時にはディスクの外周側の面外に退避するロード/アンロード(L/UL)方式の方が吸着等の問題が発生しない点でより有利である。
【0026】
(実施例1)
本実施例では、各種供給潤滑剤(パーフロロポリエーテル)の環境温度に対する潤滑剤の供給量を比較検討した。図1に本実施例で使用した試験装置を示す。試験装置1は実際の磁気ディスク装置をベースにしており、実機の動作での評価が可能である。即ち本試験装置での評価は実際の装置を用いた場合と同等の評価ということができる。
【0027】
フィルター6として縦10mm×横20mm×厚さ約2mmの塵埃除去用フィルターを使用し、スピンドルモーター7の回転による空気流に曝されるように磁気ディスク4の近傍に設置した。フィルター6の設置位置を図1に例示する。磁気ヘッド・スライダー2はサスペンション8の先端に取り付けられており、サスペンション8はアーム部3により支持されている。アーム部3には歪みゲージが内蔵されており、ヘッドとディスクの間の摩擦力を測定することが可能である。試験装置1ではディスク回転数やシークの周波数を変えられるように改良している。また、装置内の環境温度を制御するために恒温層中に本試験装置をセットした。なお試験装置1の内容積は450mlである。
【0028】
【表1】
Figure 0004200036
【0029】
試験装置内に表1の潤滑剤を各々含浸させたフィルター6を設置し、磁気ディスク表面に供給される量を測定した。含浸方法は、潤滑剤をフッ素系溶媒(HFE−7100又はバートレルXF)に40wt%溶解させた溶液を作成し、フィルター6に20μリットル滴下することにより含浸させる方法とした。試験は潤滑剤を塗布していない直径63.5mm(2.5インチ)の磁気ディスク4を所定の温度で24時間回転させ、フィルターから供給されたディスク4表面の潤滑剤の量(潤滑膜厚)をフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)にて測定した。なお磁気ディスク4の回転数は5400min-1である。
【0030】
本実施例では各温度での潤滑剤の供給効果を確認するため、試験装置に磁気ヘッド・スライダー,サスペンション,アーム部を装着せずに行った。図2に評価結果を示す。
【0031】
この結果、実施例1に示す潤滑剤は−20℃の低温領域でも0.24nm の供給が可能であった。更に、実施例1の潤滑剤は温度に対する供給量の勾配が小さく(温度による潤滑剤供給能力の差が小さく)、広い温度領域で安定的に供給が可能である。これに対し比較例1の潤滑剤は−10℃以下では0.1nm 以下の供給量しかなく、比較例2,3,4,6の潤滑剤にいたっては0℃以下で0nmの供給量即ち、潤滑剤の供給が不可能であった。特に比較例3,4の潤滑剤では室温(23℃)であっても0.1nm 程度の供給量しか得られていない。実施例1や比較例5は両末端にアルキル基を有し低粘度で流動性に優れることから、低温域においても安定に供給することが可能となった。これに対して、比較例5を除く比較例1〜6は水素結合による分子間或いは分子内相互作用が生じることから、低温域での供給は不可能である。比較例4は吸着特性に優れるピペロニル基を末端に有することから、低温域においてディスクの回転による気流のみでは供給し難い。一方、比較例5の潤滑剤は低温域において実施例1と同程度の供給量と勾配を有しているものの、高温多湿下では加水分解して末端官能基がカルボン酸(−COOH)に変化する。末端官能基が酸になると磁気ディスクの磁性層が酸により腐食することから供給する潤滑剤としては不適である。更に80℃の高温では供給量が多く、使用範囲の90℃では供給量が過剰になると推測できる。従って、実施例1の潤滑剤を用いることで初めて低温域から高温域の広い温度範囲にわたり供給量の勾配が小さく安定な供給が実現できることがわかる。
【0032】
(実施例2)
実施例1の潤滑剤が含浸されているフィルターを試験装置内に設置し供給した際の摺動信頼性効果について検討した。ここではカーボン保護膜の上にZ−DOL(数平均分子量3000)からなる潤滑膜を予め2.0nm形成した直径63.5mm(2.5インチ)の磁気ディスク4を用意して実験を行った。この結果を図3に示す。
【0033】
【化4】
Figure 0004200036
【0034】
各温度環境下で、磁気ディスク4の半径22mmから27mmの面をランダムシーク(ランダムシーク試験)させた。磁気ディスク4の回転数は5400min-1 、磁気ヘッド・スライダー2の接触荷重は49mNである。通常の磁気ディスク装置での接触荷重は15mN〜25mN程度であることから、本試験の接触荷重49mNは実際の磁気ディスク装置の動作条件より過酷な加速評価であるこのため、磁気ヘッド・スライダー2と磁気ディスク4は高い頻度で接触摺動する。装置稼働時間に対する潤滑膜厚の変化を測定し、各測定時間後の磁気ディスク面上の摺動痕を観察することで摺動信頼性を評価した。なお測定は216時間まで行った。この加速評価は装置の使用頻度によって大きく異なるが、装置保証期間稼働したものと相当する。比較例は含浸させる潤滑剤を比較例1の潤滑剤にして試験装置内に設置し、同様な評価を行った。この試験結果を図4に示す。
【0035】
実施例1に係る磁気ディスクでは全ての環境温度下において216時間まで潤滑膜厚の減少或いは増加等の変動が無く、試験終了後もディスクのシーク面に摺動痕が見られなかった(図3)。これに対して図4に示す比較例では、環境温度によって潤滑剤の膜厚変動が異なり、80℃では稼働時間が少ないと膜厚が増加する傾向が見られたが、96時間後を境にして徐々に膜厚が減少した。室温(23℃)においては48時間まで膜厚の変動が見受けられなかったが、それ以後は膜厚が減少し、試験終了後に摺動痕が見られた。さらに−20℃では稼働時間の増加に伴って潤滑膜厚が減少し、72時間後からは摺動痕が発生した。
【0036】
以上、本発明の潤滑剤を供給することにより、ヘッドの掻き採り及び飛散によって減少する潤滑剤の量と供給される潤滑剤の量とのバランスをつりあわせることが可能であり、いずれの温度においても潤滑膜厚の減少を抑制し、摺動信頼性の高い磁気ディスク装置を得ることができる。それに対して、比較例は環境温度の影響を大きく受け、予めディスクに塗布した潤滑剤の減少膜厚の量と供給される潤滑剤の量とが一致せず、摺動信頼性に優れる磁気ディスク装置が得られない。
【0037】
(実施例3)
更に摺動信頼性の効果について検証した。ここではカーボン保護膜の上に下記構造式の潤滑剤(SA)(数平均分子量4000)からなる潤滑膜を予め2.0nm形成した磁気ディスク4を用意して行った。実験は実施例2と同様である。実施例1の潤滑剤が含浸されているフィルターを試験装置内に設置し供給した際の結果を図5に示す。
【0038】
【化5】
Figure 0004200036
【0039】
この実験における比較例は先ほどの摺動信頼性の実験と同様、含浸させる潤滑剤を比較例1の潤滑剤にして試験装置内に設置して行った。この試験結果を図6に示す。
【0040】
この検証において、実施例1の潤滑剤が含浸されているフィルターを試験装置内に設置した場合は磁気ディスク側の潤滑剤に因らず、低温域から高温域までの広い温度範囲にわたって膜厚の大きな変動や摺動痕を生じることは無かった。それに対し、図6の比較例は膜厚の変動が大きく、一部摺動痕が発生した。具体的に説明すると、80℃では試験後72時間までは膜厚の変化が少ないものの、72時間経過後は徐々に減少し、摺動痕が発生した。また23℃では48時間までは膜厚の変化が少ないものの、48時間経過後は徐々に減少し、試験終了後には摺動痕が見られた。更に−20℃では稼働時間の経過に伴って潤滑膜厚が減少した。つまり、本実施例における低粘度で流動性に優れる潤滑剤を用いることではじめて広い温度領域で高い摺動信頼性を有する磁気ディスク装置を得ることができる。
【0041】
(実施例4)
図7に磁気ディスク装置9の上面模式図及び側面模式図を示す。磁気ディスク装置9は直径63.5mm(2.5インチ)の磁気ディスク4,筐体5,スピンドルモーター7,アクチュエーター10,磁気ヘッド・スライダー2,サスペンション8,制御回路11,ランプ12を備える。磁気ディスク4の表面には、Z−DOL(数平均分子量3000)からなる潤滑膜を膜厚2nmで塗布した。
【0042】
【化2】
Figure 0004200036
【0043】
この磁気ディスク装置9はLoad/Unload機構を有する。磁気ディスク装置9は、磁気ディスク4を2枚装着しており、装置内部の容積は30.0ml である。下記構造式の潤滑剤(分子量1800)をフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液1.25μリットル(潤滑剤0.5μリットル含有)を作製し、フィルター6に含浸させた。
【0044】
【化6】
Figure 0004200036
【0045】
なお、分子量の異なる上記構造式の潤滑剤を含浸させたものを比較例7(分子量300)及び比較例8(分子量5000)とする。磁気ディスク装置9に搭載された磁気ディスク4の半径16mmから28mmの面を各温度環境下でランダムシーク(ランダムシーク試験)させた。磁気ヘッド・スライダー2の荷重は25mNで、磁気ディスク4の回転数は4500rpm である。上記の動作条件で3000h運転後に6時間停止させ、再度ロード/アンロードさせたときの記録再生エラーと潤滑膜厚を測定した。記録再生エラーは、磁気ディスクとヘッド間での摩耗に起因する場合が多く、記録再生エラーが発生した場所では摩耗による情報の消失やヘッド浮上が不安定になっている。記録再生エラー数は磁気ディスク装置の記録再生特性の安定性を示すものである。従って、ロード/アンロードの動作状態が安定し、記録再生エラーが少ない磁気ディスク装置は、長期に渡って装置が正常に動作し、装置として最も重要な機能である記憶再生特性が損なわれない信頼性の高い磁気ディスク装置である。表2に各温度における記録再生エラー数を、図8に各温度における3000時間後の潤滑膜厚をそれぞれ示す。
【0046】
【表2】
Figure 0004200036
【0047】
表2から本実施例は、いずれの環境温度においても記録再生エラーが少ないのに対して、比較例7はいずれの場合も記録再生エラーが多く、ヘッド汚れが発生していた。比較例8は、80℃では記録再生エラーが少ないものの、低温域では記録再生エラーが多く発生する。図8に各温度における3000時間後の潤滑膜厚を示す。分子量1800である本実施例は分子量の異なる比較例7,8に比べ、いずれの環境温度においても膜厚の減少が少なく、使用温度間での膜厚変動が小さい。すなわち本実施例の分子量の潤滑剤を供給したことにより膜厚の変動が大幅に低減されている。これは供給する潤滑剤の分子量を適切な値とした効果である。従って、本実施例では供給する潤滑剤の分子構造と適切な分子量を選ぶことにより、再生エラーが少なく且つ正常なロード/アンロードの動作し、安定な記録再生特性を有する信頼性の高い磁気ディスク装置を得ることができる。なお、磁気ディスクを3枚搭載した場合でも、同じ傾向の結果が得られている。
【0048】
なお本実施例においては潤滑剤供給手段として潤滑剤を含浸させたフィルターを用いているが、液だれを起こさずに潤滑剤を保持でき、磁気ディスク装置内の気流によって潤滑剤が容易に移動できるような手段に潤滑剤を含浸させても良い。例えばガス吸着フィルター,ウィック材,不織布,紙などを用いることができる。また、含浸させる潤滑剤の量は、装置容積に応じて変えることにより同様の効果を得ることができる。例えば、直径45.72mm(1.8インチ),33.02mm(1.3インチ),25.4mm(1.0インチ)等のより小径の磁気ディスクを搭載した小型磁気ディスク装置においても十分に対応可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、広い温度域にわたって安定供給が可能であり、ヘッドとディスク間の摺動信頼性に優れた磁気ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における試験装置を示す概略図。
【図2】フィルター供給における各種潤滑剤の供給量を示す図。
【図3】実施例における潤滑剤を用いた場合の潤滑膜厚の変化を示す図。
【図4】比較例における潤滑剤を用いた場合の潤滑膜厚の変化を示す図。
【図5】実施例における潤滑剤を用いた場合の潤滑膜厚の変化を示す図。
【図6】比較例における潤滑剤を用いた場合の潤滑膜厚の変化を示す図。
【図7】実施例4及び比較例7,8記載の磁気ディスク装置の上面模式図と側面模式図である。
【図8】各温度におけるランダムシーク3000時間後の潤滑膜厚を示す。
【符号の説明】
1…試験装置、2…磁気ヘッド・スライダー、3…アーム部、4…磁気ディスク、5…筐体、6…フィルター、7…スピンドルモーター、8…サスペンション、9…磁気ディスク装置、10…アクチュエーター、11…制御回路、12…ランプ。

Claims (7)

  1. 磁気ディスクと、該磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、前記磁気ディスクにデータを記録再生する磁気ヘッド・スライダーと、該磁気ヘッド・スライダーを支持するサスペンションと、を有する磁気ディスク装置であって、下記一般式で示されるパーフロロポリエーテルを含む潤滑剤を前記磁気ディスクの表面に供給する潤滑剤供給手段と、を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
    Figure 0004200036
    (m,nは正の整数、R1 ,R2 は炭素数1〜10の直鎖状,分岐状若しくは環状の飽和又は不飽和アルキル基)
  2. 前記潤滑剤の数平均分子量は3000以下のパーフロロポリエーテルであることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
  3. 前記潤滑剤供給手段は、フィルターであることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
  4. 前記潤滑剤は0.3μリットル 以上含浸されていることを特徴とする請求項3記載の磁気ディスク装置。
  5. 前記磁気ディスクは、下記一般式で示されるパーフロロポリエーテルのうち少なくとも一つからなる潤滑膜を有することを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
    Figure 0004200036
    (m,nは正の整数、R3 ,R4 は1価の有機基)
    Figure 0004200036
    (m,nは正の整数、R5 は1価の有機基)
  6. 下記一般式で示されるパーフロロポリエーテルを含む潤滑剤を保持し、磁気ディスクの表面に供給する潤滑剤供給手段。
    Figure 0004200036
  7. 前記潤滑剤供給手段はフィルターであることを特徴とする請求項6記載の潤滑剤供給手段。
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