JP4490359B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は磁気ディスク装置に関する。
磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤の膜厚減少は、磁気ヘッド・スライダーによる掻き取り、磁気ディスクの回転に伴って生じる遠心力や気流の剪断力,装置内部の温度上昇による飛散などが原因で発生する。磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダーとの間での摺動耐久性の確保のために、磁気ディスク表面に潤滑剤を塗布する以外に、潤滑剤をディスク表面に供給することが行われている。磁気ディスク装置内で潤滑剤をディスク表面に供給する方法が、特開昭59−218668号(特許文献1),特開昭60−239921号(特許文献2),特開平8−45238号(特許文献3),特開平10−312660号(特許文献4),特開平8−45239号(特許文献5),特開平6−295579号(特許文献6),特許番号第2796852号(特許文献7)等に提案されている。
特開昭59−218668号公報(特許文献1)は磁気ディスクの回転によって発生する熱空気流により装置下部に設けた潤滑剤含浸部材から潤滑剤蒸気を発生させ、ハブ中心の通気穴より磁気ディスク表面に潤滑剤を供給する。特開昭60−239921号公報
(特許文献2)はミリスチン酸を含浸させた部材に熱風を入射させて蒸発したミリスチン酸蒸気を磁気ディスク表面に付着させ潤滑膜を形成する。特開平8−45238号公報
(特許文献3)は、アームもしくはサスペンションに液体潤滑剤からなる潤滑膜を形成し、ディスク回転に伴う気流によってディスク表面に潤滑剤を供給する。特開平10−
312660号公報(特許文献4),特開平8−45239号公報(特許文献5),登録第2796852号(特許文献7)は、ウィック材に低粘度の液体潤滑剤を含浸させてディスクの近傍に取り付け、ディスク表面に液体潤滑剤を供給する。特開平6−295579号公報(特許文献6)は、加熱素子を内蔵したリザーバーから潤滑剤を供給することを記載する。
特開昭59−218668号公報 特開昭60−239921号公報 特開平8−45238号公報 特開平10−312660号公報 特開平8−45239号公報 特開平6−295579号公報 特許番号第2796852号
掻き取りおよび飛散によって減少する潤滑剤の量と、熱や気流によって供給される潤滑剤の量とのバランスが釣り合った状態ではディスク表面の潤滑膜厚は一定となり、磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダーとの間の摺動耐久性は確保される。しかし、バランスが崩れると潤滑膜厚の減少が続いたり、逆に潤滑膜厚が厚くなりすぎたりして、潤滑性能が低下する。さらに、潤滑性能が低下する他の原因としては装置内外からもたらされるコンタミによるヘッド・スライダーに付着する汚れも挙げられる。
これらの課題を潤滑剤供給によって解決するには、潤滑剤の分子構造や分子量などの物性および磁気ディスク装置内に保持される潤滑剤の量を詳細に検討し、適用しなければならない。上記の従来技術には、熱や気流によって供給される潤滑剤の量の最適化やヘッド・スライダーに付着する汚れを低減するために、潤滑剤の分子構造や分子量などの物性および磁気ディスク装置内に保持される潤滑剤の量についての具体的な検討や提示がされておらず、現行では潤滑剤を熱や気流によって安定に供給することができない。
さらに、磁気ディスク装置の動作方式や構造も考慮しなければならない。例えば、特開昭59−218668号等に記載されているCSS(Contact Start Stop)方式では、潤滑膜厚が厚くなるとヘッド・スライダーと磁気ディスク間で強い吸着が発生し、磁気ディスクが起動できなくなる等の障害が発生する。このため、潤滑剤を供給するにはL/UL(Load/Unload)方式が望ましいと言える。
本発明の目的は、磁気ディスク表面の潤滑膜厚の減少が小さく、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との間の摺動信頼性に優れる磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の発明者等は、磁気ディスク表面の潤滑膜厚の減少を少なくするために、磁気ディスク装置内の熱とディスク回転による気流を利用して、潤滑剤を保持する部品から磁気ディスク表面に供給される潤滑剤について、最適な分子量と分子構造を見出した。また、潤滑剤を保持する部品についても検討し、これを最適化した。
熱や気流によって潤滑剤を供給する場合、供給潤滑剤を保持する部品の材料,その設置位置の気流の方向・強さ,温度等によって、供給される潤滑剤の量が大きく異なる。磁気ディスク装置の容積,ディスクの回転数,搭載される磁気ディスクの枚数によって、必要な潤滑剤の量も異なる。また、分子量や分子構造によって潤滑剤の物性が異なるため、潤滑剤の供給量を最適化するためには、これらも特定する必要がある。
磁気ディスク用潤滑剤であるパーフロロポリエーテルは、一般的な産業機械で使用される鉱油等の炭化水素系潤滑材料と比較して、蒸発しにくい潤滑剤である。分子量が高くなるとより蒸発しにくくなる。従って、熱と気流によってパーフロロポリエーテルをディスク表面に供給するには、蒸発しやすい比較的低分子量成分が必要となる。
また、パーフロロポリエーテル分子の末端基の構造によって、潤滑剤を保持する部品との吸着力や潤滑剤分子同士の相互作用が大きく異なるので、供給量を最適にするためには、末端基の構造を特定する必要がある。潤滑剤を保持する部品と潤滑剤との吸着力は潤滑剤の供給され易さに影響し、潤滑剤分子同士の相互作用はディスク表面の潤滑膜の修復に影響する。
また、磁気ディスク装置の外部から入ったガスや装置内で発生したガス,摩耗粉,塵埃などがスライダーの摺動部やヘッド素子部に付着するのを可能な限り軽減できる潤滑剤を選定するとよい。
本発明の特徴は、磁気ディスク表面以外から磁気ディスク表面へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が、磁気ディスク装置の内部に設けられていて、潤滑剤供給手段が供給する潤滑剤は、構造式1〜5のうち少なくとも1つを含み、含まれるパーフロロポリエーテルの分子量4000以下の成分である、更に望ましくは分子量1000以上であって分子量
4000以下の成分が40%以上含まれていることにある。
Figure 0004490359
潤滑剤供給手段を、潤滑剤を塗布したサスペンションもしくはアームとしてもよい。
潤滑剤供給手段として、潤滑剤を保持する潤滑剤保持手段を用いてもよい。この場合、潤滑剤は構造式1〜5のパーフロロポリエーテルを含むとよい。潤滑剤保持手段は、フィルター,ウィック材など、潤滑剤を液垂れせずに保持できる材料がよい。
前記潤滑剤保持手段は構造式1〜5のパーフロロポリエーテルを含浸させたフィルターであるとよい。この場合、前記磁気ヘッド・スライダーの浮上面への付着物を低減するには構造式1〜5のパーフロロポリエーテルを0.15 μリットル以上含浸させるとよい。
前記磁気ヘッド・スライダーの浮上面への付着物を低減し、さらに潤滑膜厚の減少も低減するには構造式1〜5のパーフロロポリエーテルを0.5 μリットル以上含浸させるとよい。尚、フィルタに含浸させる量は、液垂れ等の装置の動作上不都合を生じない範囲において特に制限は無く、潤滑膜の補修効果を考慮して定める。
磁気ディスクに形成された潤滑膜が、構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうち少なくとも1つを含むと、潤滑剤供給手段から供給された潤滑剤が磁気ディスク表面の潤滑膜に付着しやすく、潤滑膜の補修効果が高い。
潤滑剤供給手段を有する磁気ディスク装置の動作方式としては、従来のCSS(ContactStart Stop) 方式でもヘッドクラッシュ等を防止する上で効果があるが、磁気ヘッド・スライダーが磁気ディスク回転時のみ該磁気ディスクの面上にあり,該磁気ディスク停止時には磁気ディスクの外周側の面外に退避するL/UL(Load/Unload)方式の方が吸着等の問題が発生しない点でより有利である。
以上のように潤滑剤を潤滑剤供給手段から供給することにより、磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダーとの間の摺動耐久性を確保することができる。また、潤滑剤を安定に供給でき、大幅な装置の設計変更や部品数の増加が不要である。
本発明により、磁気ディスク表面の潤滑膜厚の減少が小さく、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との間の摺動信頼性に優れる磁気ディスク装置が得られる。
(1)潤滑剤の供給源
本発明では、磁気ディスク装置内の熱とディスク回転による気流によって潤滑剤を供給するために、以下のようにして潤滑剤の供給源を磁気ディスク装置内に設けた。
(a)サスペンション上、アーム上の表面に潤滑剤を塗布する。または
(b)潤滑剤保持手段(フィルター,ウィック材など)に潤滑剤を含浸させて、磁気ディスク装置内に内蔵する。
ディスクが回転して装置内の温度が上昇すると、供給源から潤滑剤が蒸発しディスク表面に供給される。なお、潤滑剤を含浸させたフィルターは、装置内の気流を効果的に利用できるよう配置した。
(2)潤滑剤の構成
本発明では、供給用潤滑剤としてパーフロロポリエーテルを用いる。安定供給が可能で、かつヘッドによる掻き取りに対して十分な修復機能を達成するために、吸着性の極性基を有するパーフロロポリエーテルを使用する。そして、パーフロロポリエーテルの分子量を、磁気ディスク装置内の温度で蒸発し、気流によって供給できるに十分な値に規定した。具体的なパーフロロポリエーテルとしては以下のものが挙げられる。
Figure 0004490359
これらの潤滑剤はパーフロロポリエーテル鎖の両端に極性基を有しており、ディスク表面に吸着しやすく、潤滑膜の修復効果が高い。また、塗布若しくは含浸させる潤滑剤の量は、装置筐体の構造と容積に応じて調整した。
(3)本発明の磁気ディスクの構成
磁気ディスクは、基板上に下地膜,磁性層,カーボンを主体とする保護膜、更にその上にパーフロロポリエーテルからなる潤滑膜を最外層として形成する構成である。潤滑膜はパーフロロポリエーテルで構成されている。具体的には構造式1〜4の潤滑剤が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(4)本発明の磁気ディスク装置の用途
本発明に記載の磁気ディスク装置の用途としては、電子計算機,ワードプロセッサー等の外部メモリー(具体的にはハードディスク装置等)が挙げられる。またモーバイルコンピューター,ナビゲーションシステム,ゲーム,携帯電話,PHS等の各種情報機器等にも適用可能である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、サスペンション15に潤滑剤の供給源を設けた場合と、潤滑剤の供給源を設けなかった場合とで、潤滑膜厚の変化を測定することにより潤滑剤供給の効果を検証した。
図1に本実施例で使用した試験装置1を示す。試験装置1は実際の磁気ディスク装置をベースにしており、実機の動作での評価が可能である。磁気ヘッド・スライダー2はサスペンション15の先端に取り付けられており、サスペンション15はアーム部3で支持されている。アーム部3には歪みゲージが内蔵されており、ヘッド/ディスク間の摩擦力測定が可能である。スピンドル部とボイスコイルモーター部は、ディスク回転数やシークの周波数を変えられるよう改良している。また、装置内部の温度をコントロールするために装置のカバー5にはコードヒータ6が取り付けられており、室温から80℃まで温度を変化させることが可能である。さらに、潤滑剤を保持し加熱が可能なバーヒータ7とフィルター8も内蔵している。装置の内容積は450mlである。磁気ディスク4は、直径63.5
mm(2.5インチ)のガラス基板上にCr合金からなる下地膜,CoCrTaPtの磁性層,カーボン保護膜を順に成膜して形成されている。カーボン保護膜は、Ar/N2 ガス雰囲気下で成膜して硬度を高めており、膜厚は5nmである。
カーボン保護膜の上に構造式1のパーフロロポリエーテル(数平均分子量3000)からなる潤滑膜2nmを形成した磁気ディスク4を用意した。膜厚はFT−IRによって測定した。
構造式1のパーフロロポリエーテルをHPLC(High Pressure Liquid Chromatography)にて分子量分画した。図2に、パーフロロポリエーテルを8領域に分子量分画した結果を示す。分子量分画したパーフロロポリエーテルの中から、試料1〜5を作成した。
試料1:分子量1340
試料2:分子量2180
試料3:分子量3060
試料4:分子量4640
試料5:分子量7100
これらのパーフロロポリエーテルをサスペンション15の磁気ディスク4と対向する面で、磁気ヘッド・スライダー2から10mmの位置16に1.0 μリットル滴下して、サスペンション15を試験装置1に装着した。
65℃環境下で、磁気ディスク4の半径16mmから28mmの面をランダムシーク(ランダムシーク試験)させた。磁気ディスク4の回転数は5400rpm である。本実施例の試験では磁気ヘッド・スライダー2と磁気ディスク4が接触に近い状態で摺動させ、加速実験を行うために磁気ヘッド・スライダー2の荷重を通常(25mN)の約1.5倍 となる37.5mNで実施した。
図3に測定時間に対する磁気ディスク4表面の潤滑膜厚の変化を示す。パーフロロポリエーテルをサスペンションに滴下しなかった場合を比較例1として示す。
比較例1では120時間後には0.3nmにまで低下しているのに対し、試料1〜5のパーフロロポリエーテルを滴下した場合は、潤滑膜厚の減少が小さい。またこの結果は、分子量が小さいほど潤滑膜厚の減少が小さいという傾向を示している。
比較例1の結果から、ディスク表面以外から潤滑剤が供給されない場合には、潤滑膜厚が平均0.3nm/24h で減少する。実施例1での潤滑剤供給率は図3の結果から、分子量が1340のとき0.34nm/24h,分子量が2180のとき0.3nm/24h,分子量が3060のとき0.26nm/24h,分子量が4640のとき0.19nm/24h,分子量が7100のとき0.08nm/24h であると計算できる。十分な膜厚を保持し装置の信頼性を得るには、少なくとも潤滑剤供給率を約0.2nm/24h 以上にする必要があるが、以上のように分子量が約4000以下のパーフロロポリエーテルを用いることで、磁気ヘッド・スライダー2によって磁気ディスク4表面の潤滑剤が掻き取られた場合であっても、サスペンション15から潤滑剤が熱と気流によって供給されるため、磁気ディスク4表面の潤滑膜厚の減少を大幅に低減することができる。
実施例1は潤滑剤の分子量と供給量の関係を明らかにするためにHPLCによって分子量を分画した潤滑剤を使用した。しかし、実際に装置で使用する場合、市販されている潤滑剤を使用した方がコスト的には有利である。比較例1の結果から潤滑剤が供給されない場合には潤滑膜厚が平均0.3nm/24h で減少することから市販潤滑剤が数平均分子量4000以上であっても潤滑剤の供給量から計算すると数平均分子量が4000以下が全体に対して40%以上あれば、潤滑膜厚の減少を軽減できる。
以上より分子量4000以下の成分が全体に対して40%以上含むパーフロロポリエーテルの使用であれば、熱と気流によって安定に潤滑剤を磁気ディスク表面に供給でき、潤滑膜厚の減少を軽減することができる。
次に先ほどHPLCで分子量分画した試料1〜5を塗布した磁気ディスク4を磁気ヘッド・スライダー2と磁気ディスク4を完全な接触状態で摺動させたときの摺動耐久性を評価した。試験は磁気ヘッド・スライダー2と磁気ディスク4を回転数150rpm ,荷重
11.76mN で連続接触摺動させディスククラッシュが発生するまでの摺動回数で評価した。なお、試験は最高で100k回まで実施し、実際の磁気ディスク装置での摺動耐力の目標値として50k回以上を目安とした。図4に結果を示す。なお、ここでは実施例1と同じパーフロロポリエーテルをHPLCによって分子量分画した分子量850のパーフロロポリエーテルを塗布した磁気ディスク4を同様の条件で試験した結果と比較検討した(試料15)。試料15では、摺動回数7k回でディスククラッシュするのに対し、実施例1の他の試料は何れも50k回以上の摺動耐力を示している。このことから、十分な摺動耐力を確保するには供給する潤滑剤(パーフロロポリエーテル)は少なくとも分子量が1000以上であることが望ましいといえる。但し、図3の結果を考慮する限りにおいて、分子量が1000以下であっても、潤滑膜厚の減少の防止できるという有効な効果が否定されるわけではないことには留意すべきである。
以上の結果より分子量4000以下の成分が全体に対して40%以上含むパーフロロポリエーテルを使用すれば、熱と気流によって安定に潤滑剤を磁気ディスク表面に供給することで潤滑膜厚の減少を軽減でき、さらに少なくとも分子量が1000以上分子量4000以下の成分を40%以上含む潤滑剤(パーフロロポリエーテル)を使用することとすれば、熱と気流によって安定に潤滑剤を磁気ディスク表面に供給でき、潤滑膜厚の減少だけでなく、優れた摺動信頼性をも確保することができる。
(実施例2)
実施例1ではサスペンション15に潤滑剤の供給源を設けたが、実施例2では潤滑剤をフィルター8に含浸させ、潤滑剤の供給源として磁気ディスク装置内に設置した。使用したフィルター8は縦10mm×横20mm×厚さ2mmのシート状である。設置個所の例を図1に示す。
試料1〜5のパーフロロポリエーテルをフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させ、マイクロピペットによりフィルター8に20μリットル滴下し、実施例1と同条件でランダムシーク試験を行った。図5に試験結果を示す。パーフロロポリエーテルを用いなかった場合を比較例1として示す。
比較例1と比較して、パーフロロポリエーテルを含浸させたフィルター8を設置した場合は、潤滑膜厚の減少が小さく、潤滑剤供給による摺動耐久性が優れている。実施例1の結果と同様、分子量が4000以下では潤滑膜厚がほとんど一定である。したがって、分子量4000以下の成分を40%以上含むパーフロロポリエーテルを用いることにより、フィルター8から潤滑剤が熱と気流によって供給されるため、磁気ディスク4表面の潤滑膜厚の減少を大幅に低減することができる。
(実施例3)
実施例3では、試験装置1内に試料6〜11のパーフロロポリエーテルを含浸させたフィルター8を設置し、磁気ディスク表面に潤滑剤がどの程度供給されるかを調べた。試料6〜8は構造式1、試料9は構造式2、試料10は構造式3、試料11は構造式5、試料16は構造式4のパーフロロポリエーテルをそれぞれ分子量分画したものである。試料6〜16のパーフロロポリエーテルをフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液を作り、フィルター8に20μリットル含浸させた。
試料6:分子量2000
試料7:分子量4000
試料8:分子量6000
試料9:分子量2000
試料10:分子量2000
試料11:分子量2000
試料16:分子量2000
潤滑剤を塗布しない磁気ディスク4(無潤滑)を回転させ、24h回転させた後のディスク表面の潤滑膜を測定する。回転数は5400rpm である。試験装置1には磁気ヘッド・スライダー2とアーム部3を装着しない。回転中はコードヒータ6によって試験装置1内部を65℃に加熱した。
図6に結果を示す。実施例3の評価において試料6,7,9,10,11,16の潤滑剤は24h後に潤滑膜厚が0.3nm 以上である。これに対し、試料8の潤滑剤は、潤滑膜厚が0.15nm 以下であり、潤滑剤の供給が非常に少ないことがわかる。
ディスク表面以外から潤滑剤を供給しないとき(比較例1)に潤滑膜厚の減少は24時間で0.3nm であるから、試料6,7,9,10,11,16の潤滑剤をフィルターに含浸させて潤滑剤供給源に用いれば、熱と気流によってディスク表面に潤滑剤を安定に供給することができる。
(実施例4)
図7に磁気ディスク装置14の上面模式図及び側面模式図を示す。磁気ディスク装置
14は直径63.5mm(2.5インチ)の磁気ディスク4,筐体10,スピンドルモーター9,アクチュエーター12,磁気ヘッド・スライダー2,サスペンション15,制御回路13を備える。磁気ディスク4の表面には、構造式1のパーフロロポリエーテルで数平均分子量3000の潤滑剤を膜厚2nmで塗布した。この磁気ディスク装置14はLoad/
Unload機構を有する。磁気ディスク装置14は、磁気ディスク4を2枚装着しており、装置内部の容積は30.0ml である。試料6(分子量2000)と下記構造式の潤滑剤
(分子量4000)をフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液1.25μリットル(パーフロロポリエーテル0.5 μリットル含有)をそれぞれ作製し、フィルター8に含浸させた。
Figure 0004490359
なお、上記構造式の潤滑剤を含浸させたものを比較例2とする。磁気ディスク装置14を半径16mmから28mmの面を65℃環境下で1000hランダムシーク(ランダムシーク試験)させた。また、比較例3として潤滑剤を供給しない場合も同様に試験した。磁気ヘッド・スライダー2の荷重は25mNで、磁気ディスク4の回転数は4500rpm である。
図8に装置稼動時間に対する膜厚の変化を示す。1000hでの膜厚の減少が試料6では約0.18nm 、比較例2では約0.37nm である。これに対し、潤滑剤を供給しない比較例3では1000hでの膜厚の減少が約1.2nm であった。試料6並びに比較例2では潤滑剤の供給により膜厚の減少が大幅に低減されている。これは先述のとおり、分子量の制御による効果である。なお、磁気ディスクを3枚搭載した場合でも、同じ傾向の結果が得られている。
次に、前記ランダムシーク試験1000h後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面を写真撮影した。図9に結果を示す。
比較例2と比較例3(潤滑剤供給無し)では浮上面に汚れが付着しているのが目立つが
、試料6では汚れが全くといってよいほど付着していない。つまり、比較例3は潤滑剤の
供給(膜厚の減少の防止)という有用な効果があるものの、浮上面への汚れ付着防止には
効果が少ないことを意味する。試料6と比較例2の構造上の差異は分子の末端近傍に存在
する極性基の有無である。これは極性基を有する分子の方が浮上面とより強く作用するた
め、比較例2で示されるような無極性潤滑剤よりも汚れ付着防止に効果を奏するものと考
えられる。
以上、分子中に極性ある有機基を有する試料6等の潤滑剤を供給すれば磁気ヘッド・スライダーの浮上面への汚れをも防止できるようになる。
(実施例5)
実施例5では、磁気ディスク4の表面に下記構造の潤滑剤を膜厚2nmで塗布した。
Figure 0004490359
そして試料6,7,8の潤滑剤(パーフロロポリエーテル)を磁気ヘッド・スライダー2を支持しているサスペンションの磁気ディスク4と対向する面で磁気ヘッド・スライダー2から10mmの箇所にそれぞれ1.0μリットル滴下した。
この磁気ヘッド・スライダー2を実施例4に記載の磁気ディスク装置14に装着し、実施例4と同条件で1000hランダムシーク(ランダムシーク試験)させ、装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化の測定を行った。また、測定終了後(1000h終了後)の磁気ヘッド・スライダー2の摺動部に付着した異物を光学顕微鏡で観察した。
図10に装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す。実施例5と同じ磁気ディスク装置14でサスペンションに潤滑剤を滴下せずに(供給無し)同様の試験を実施した場合を比較例4とする。また、分子量が850で実施例5と同じ分子構造の潤滑剤を同様にサスペンションに滴下した場合を比較例5とする。比較例4では、1000hでの膜厚の減少が約1.1nmであった。比較例5では、1000hで膜厚の減少が約0.9nmであった。このことは、本装置の実験においてではあるが、比較例5の潤滑剤は分子量が4000以下であり、膜厚の減少という効果を有し得るものの、摺動耐久性が低いためにディスク表面に供給される潤滑剤の量よりも、磁気ヘッド・スライダー2によって容易に掻き取られる量の方が多かったためであると考えられる。また、試料8では1000hで比較例4より潤滑膜厚の減少が少ないものの、試料6,7と比較して潤滑膜厚の減少量が2倍以上であり潤滑剤供給の効果が小さい。これに対し試料6,試料7は、潤滑膜厚の減少が1000hでも0.25nm 以下であり、潤滑剤の供給による効果が大きく磁気ディスク装置として信頼性に優れると言える。また、比較例4,5では磁気ヘッド・スライダー2の摺動面に汚れが付着していたのに対し、試料6,7では磁気ヘッド・スライダー2の摺動面に汚れの付着は見られなかった。
以上の結果より、分子量が1000以上であって分子量4000以下の成分を40%以上含む潤滑剤(パーフロロポリエーテル)であれば、潤滑剤の安定供給が可能であり、かつ摺動耐力に優れ、正常な動作を維持できる信頼性に優れる磁気ディスク装置を得ることができる。
(実施例6)
実施例6では、サスペンション15に試料6〜8および比較例2のパーフロロポリエーテルを滴下し、実施例3と同様にランダムシーク試験を行い、装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を測定し、また1000h終了後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に付着した汚れを光学顕微鏡で観察した。
磁気ディスク装置は実施例4と同じ図7の装置を使用した。磁気ディスク4の表面には、構造式1のパーフロロポリエーテルで数平均分子量3000の潤滑剤を膜厚2nmで塗布した。ディスク表面以外の潤滑剤供給源として、サスペンション15の磁気ディスク4と対向する面で磁気ヘッド・スライダー2から10mmの箇所に、実施例3で用いた試料6〜8と比較例2のパーフロロポリエーテルを1.0 μリットル滴下した。比較例2のパーフロロポリエーテルを滴下したものを比較例6とする。
図11に装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す。潤滑剤供給無しの場合(比較例3)では、1000hで潤滑膜厚が0.8nm 程度にまで減少している。また、試料8では1000hで比較例3より潤滑膜厚の減少が小さいものの、試料6,7と比較して潤滑膜厚の減少が2倍以上であり潤滑剤供給の効果が小さい。これに対し試料6,試料7は、潤滑膜厚の減少量が1000h経過後でも0.3nm 以下であり、潤滑剤の供給による効果が大きく磁気ディスク装置としての信頼性に優れると言える。
なお、比較例3と比較例6では磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に汚れが付着していたのに対し、試料6,7,8では磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に汚れの付着は見られなかった。
以上の結果から、分子量4000以下の成分を、より望ましくは分子量が1000以であって4000以下の成分を、40%以上含むパーフロロポリエーテルを用いることにより、フィルター8から潤滑剤が熱と気流によって供給されるため、磁気ディスク4表面の潤滑膜厚の減少を大幅に低減することができる。
さらに、極性基を有する潤滑剤(パーフロロポリエーテル)を供給すれば磁気ヘッド・スライダー2の浮上面への汚れの付着も防止でき、信頼性に優れる磁気ディスク装置を得ることができる。
(実施例7)
試料6の潤滑剤を磁気ディスク4と対向するサスペンション表面上で磁気ヘッド・スライダー2のヘッド素子部から8mm(試料12),15mm(試料13),20mm(試料14)の箇所にそれぞれ1.0 μリットル滴下した。これらの磁気ヘッド・スライダー2を磁気ディスク装置14に装着し実施例4と同条件で試験を実施した。
図12に装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す。磁気ヘッド・スライダー2のヘッド素子部から30mmの個所に試料6の潤滑剤を滴下した比較例7では潤滑膜厚の減少が多く、潤滑剤を十分に供給できないのに対し、実施例7では潤滑膜厚の減少が少ない。一方、磁気ヘッド・スライダー2のヘッド素子部から3.0mm の個所に試料6の潤滑剤を滴下した比較例8では、潤滑膜厚の減少は殆ど見られない。しかし、1000hの試験終了後に磁気ヘッド・スライダー2の摺動面を観察した結果、磁気ヘッド・スライダー2のヘッド素子部側の摺動面に汚れの付着が確認された。また、比較例7でも異物の付着が確認された。これに対し、試料12,13,14では汚れの付着は少なく、特に試料12,
13では汚れの付着は全く観察されなかった。比較例8で観察された摺動面の汚れの付着は、潤滑剤を滴下する位置が素子部に近すぎるために潤滑剤がヘッド素子部に滲んだためである。また、ヘッド素子部から30mmの個所に試料6の潤滑剤を滴下した比較例7では潤滑剤を滴下する位置が素子部に遠すぎるめに潤滑剤を十分に供給するための気流の力が弱いためと考えられる。
以上の結果から潤滑剤を滴下するサスペンションの表面はヘッド素子部から5.0mm 以上25mm以下程度が望ましい。
(実施例8)
図13に磁気ディスク装置17の上面模式図及び側面模式図を示す。磁気ディスク装置17は76.2mm(3.0インチ)の磁気ディスク18,筐体10,スピンドルモーター9,アクチュエーター12,磁気ヘッド・スライダー2,制御回路13を備える。この磁気ディスク装置17は、磁気ディスク装置14と同様にLoad/Unload機構を有する。磁気ディスク装置17は、磁気ディスク18を5枚装着しており、装置内部の容積は120mlである。磁気ディスク18には構造式1のパーフロロポリエーテル(数平均分子量6000)からなる潤滑膜2nmを形成した。
試料6と下記構造式の潤滑剤(分子量4000)をフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液2.5μリットル(パーフロロポリエーテル1.0μリットル含有)作製し、フィルター8に含浸させた。
Figure 0004490359
上記構造式の潤滑剤を含浸させたものを比較例9とする。これらのフィルター8を磁気ディスク装置17に装着し、ディスク回転数10000rpm でランダムシーク試験を1000hまで行った。また、比較例10として潤滑剤を供給しない場合も同様に試験した。
図14に装置可動時間に対する膜厚の変化を示す。1000hでの膜厚の減少は試料6では約0.22nm、比較例9では約0.46nmである。これに対し、潤滑剤を供給しない比較例10では1000hでの膜厚の減少が約1.35nm であった。試料6並びに比較例9では潤滑剤の供給により膜厚の減少が大幅に低減される。
また、1000h終了後の磁気ヘッド・スライダー2の摺動面を観察した結果、図9の結果と同様、比較例9と潤滑剤供給無しの比較例10では摺動面に汚れが付着したのに対し、試料6では磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に汚れの付着は見られなかった。
以上の結果より3.0 インチ対応の磁気ディスク装置においても潤滑剤(パーフロロポリエーテル)の供給により膜厚減少の低減効果が発現する。さらに試料6のような極性基を有する潤滑剤(パーフロロポリエーテル)を供給すれば磁気ヘッド・スライダー2の浮上面への汚れの付着も防止でき、信頼性に優れる磁気ディスク装置を得ることができる。
(実施例9)
実施例9では、フィルター8に滴下する試料6のパーフロロポリエーテルの量を変えた場合の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を測定した。また、1000h終了後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に付着した汚れをも比較した。
試験は、実施例4と同じ図7の装置を使用し、ランダムシーク試験を行った。
磁気ディスク4の表面には、構造式1のパーフロロポリエーテルで数平均分子量3000の潤滑剤を膜厚2nmで塗布した。フィルター8に滴下する試料6のパーフロロポリエーテルの量は以下の通りである。
0.1μリットル(パーフロロポリエーテル0.04μリットル含有)
0.25μリットル(パーフロロポリエーテル0.1μリットル含有)
0.375μリットル(パーフロロポリエーテル0.15μリットル含有)
0.7μリットル(パーフロロポリエーテル0.28μリットル含有)
1.25μリットル(パーフロロポリエーテル0.5μリットル含有)
2.5μリットル(パーフロロポリエーテル1.0μリットル含有)
図15に装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す。潤滑剤供給無しの場合(比較例3)では、1000hで潤滑膜厚が0.7nm 程度にまで減少している。これに対し、パーフロロポリエーテルを0.15 μリットル以上含有すれば膜厚の減少を低減することができ、さらに0.5μリットル以上含有すれば膜厚の減少を0.3nm以下に抑えること即ち、膜厚の減少を大幅に抑制することができる。なお、含浸する潤滑剤の量は装置容積や搭載する磁気ディスクの枚数によって調整することは有用であり、この際、装置筐体の構造によって気流の流れ等を考慮することも有用であろう。
図16に磁気ヘッド・スライダー2の浮上面への汚れ付着を観察した結果を示す。図9にも示したとおり、比較例3(潤滑剤供給無し)の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面には多量の汚れが付着していた。また、パーフロロポリエーテル0.1 μリットル含有では比較例3(潤滑剤供給無し)よりは少ないものの、磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に若干の汚れが付着しているのが確認された。これに対し、パーフロロポリエーテル0.15 μリットル含有と0.5 μリットル含有では汚れの付着は見られなかった。
以上の結果から、装置内の様様な部品から発生する微量なガスやミスト等の要因による多少の変動はありうるが、フィルター8に滴下する試料6のパーフロロポリエーテルの量が0.15 μリットル以上であるときは磁気ヘッド・スライダー2の浮上面への汚れ付着を防止でき、さらに、0.5 μリットル以上であれば潤滑膜厚の減少の大幅な抑制という効果をも得ることができる。
(実施例10)
実施例10では磁気ディスク装置の動作方式に対する潤滑剤供給の効果を検証した。実施例10では、アルミ基板表面上にNiP膜,Cr膜からなる下地膜,CoCrTaPtの磁性層,カーボン保護膜を順に形成した磁気ディスクを使用した。なお、NiP膜にはレーザーにより半径10mm〜20mmの範囲にバンプ状の突起を形成しているため、カーボン保護膜表面にも同じ半径位置にバンプ状の突起が帯状(レーザーゾーン)に形成されている。通常この様な形態の磁気ディスクはCSS(Contact Start Stop)方式の磁気ディスク装置で使用される。なお、カーボン保護膜表面には、構造式1のパーフロロポリエーテル(数平均分子量3000)からなる潤滑膜2nmを形成した。まず、上記磁気ディスクを図1の試験装置に装着し、実施例2と同様に120hまでランダムシーク試験を行った。シークはレーザーゾーン以外の平滑な面で行った。フィルター8には、試料2のパーフロロポリエーテルをフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液を、マイクロピペットにより20μリットル滴下している。120hのランダムシーク試験後、磁気ディスクの回転を停止すると同時に、レーザーゾーン上に磁気ヘッド・スライダー2を退避させ、接触状態で24h放置した。24h放置後に磁気ディスクを再度回転させ、その際に発生するスティクションと120hシークした磁気ディスク表面の潤滑膜厚を測定した。
潤滑膜厚の測定では、初期の膜厚に対して膜厚の減少が約0.6nm であり、実施例2の試料2とほぼ同程度の結果が得られた。つまり、潤滑剤供給により膜厚の減少が大幅に軽減されることがわかった。しかし、スティクションは7.8gf となり、非常に高い値を示した。即ち、CSS方式では潤滑剤を供給すると磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダー間での吸着が発生し易くなる。このため、CSS方式において潤滑剤を供給して膜厚減少を防止する効果を得るには、吸着の防止として磁気ヘッド・スライダーの浮上面に突起を形成する等の対策が必要となる。これに対し、磁気ヘッド・スライダーが磁気ディスク停止時には、必ず磁気ディスクの外周側の面外に退避するロード/アンロード方式では、磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダー間での吸着は考慮する必要が無く、潤滑剤供給において有利と言える。
なお、上記した各実施例は、潤滑剤の供給源として、潤滑剤を含浸させたフィルター8を用いたが、液垂れを起こさずに潤滑剤を保持でき、磁気ディスク装置内の温度と気流によって潤滑剤が容易に移動できるような手段に潤滑剤を含浸させてもよい。例えば、ガス吸着フィルター,ウィック材,不織布,紙などを用いることができる。また、サスペンションへの塗布や含浸させる潤滑剤の量は、装置容積に応じて変えることにより同様の効果が得ることができる。例えば、直径45.72mm(1.8インチ),33.02mm(1.3インチ),25.4mm(1.0インチ)等のより小径の磁気ディスクを搭載した小形磁気ディスク装置においても十分に対応可能である。
実施例1の試験装置の上面模式図と側面模式図である。 パーフロロポリエーテルを8領域に分子量分画した結果を示す図である。 実施例1のランダムシーク試験の時間に対する潤滑膜厚変化を示す図である。 実施例1で実施した潤滑剤の分子量と摺動特性との関係を評価した結果である。 実施例2のランダムシーク試験の時間に対する潤滑膜厚変化を示す図である。 実施例3の潤滑剤の分子構造と潤滑剤供給量との関係を示す図である。 実施例4の磁気ディスク装置14の上面模式図と側面模式図である。 実施例4の装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。 実施例4の装置評価試験(図8)1000h後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面を写真撮影した図である。 実施例5及び比較例4,5の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。 実施例6及び比較例6の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。 施例7及び比較例7,8の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。 実施例8の磁気ディスク装置17の上面模式図と側面模式図である。 実施例8及び比較例9の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。 実施例9及び比較例3の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す図である。 実施例9の装置評価試験(図15)1000h後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面を写真撮影した図である。
符号の説明
1…試験装置、2…磁気ヘッド・スライダー、3…アーム、4…磁気ディスク、5…カバー、6…コードヒーター、7…バーヒータ、8…フィルター、9…スピンドルモーター、10…筐体、11…ランプ、12…アクチュエーター、13…制御回路、14,17…磁気ディスク装置、15…サスペンション、16…潤滑剤滴下位置、18…磁気ディスク(3インチ)。

Claims (4)

  1. 磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、磁気ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダーと、筐体と、を有する磁気ディスク装置の潤滑剤供給方法であって、
    前記磁気ディスクに予め潤滑剤を塗布し、数平均分子量が1000以上4000以下の成分が全体に対して40%以上含む下記構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうちの少なくとも1つの潤滑剤を含浸させたフィルターを、前記筐体内の前記磁気ディスクの外周側の面外に設け、前記フィルタに含浸された前記潤滑剤のうち該フィルタから蒸発した潤滑剤を、前記磁気ディスクを回転させて生じる気流により前記磁気ディスクに供給することを特徴とする潤滑剤供給方法。
    Figure 0004490359
  2. 請求項1において、前記予め塗布する潤滑剤は、構造式1または下記構造式7のパーフロロポリエーテルの少なくともいずれかを含むことを特徴とする潤滑剤供給方法。
    Figure 0004490359
  3. 潤滑剤としてパーフロロポリエーテルを塗布された磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、磁気ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダーと、筐体と、を有する磁気ディスク装置であって、
    前記磁気ディスク装置は、前記磁気ディスクが回転している場合には前記ヘッド・スライダーが該磁気ディスクの面上にあるように、該磁気ディスクが停止している場合には前記ヘッド・スライダーが前記磁気ディスクの面外に退避するように、前記ヘッド・スライダーを制御する制御回路部と、前記磁気ディスクの表面に潤滑剤を気流によって供給する潤滑剤供給手段と、を有し、
    前記潤滑剤供給手段として、前記磁気ディスク装置内の前記磁気ディスクの外周側の面外に、数平均分子量が1000以上4000以下の成分が全体に対して40%以上含む下記構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうちの少なくとも1つの潤滑剤を含浸させたフィルターが設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
    Figure 0004490359
  4. 磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、磁気ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダーと、筐体と、を有する磁気ディスク装置であって、
    前記磁気ディスク装置は、前記磁気ディスクが回転している場合には前記ヘッド・スライダーが該磁気ディスクの面上にあるように、該磁気ディスクが停止している場合には前記ヘッド・スライダーが前記磁気ディスクの面外に退避するように、前記ヘッド・スライダーを制御する制御回路部と、前記磁気ディスクの表面に潤滑剤を気流によって供給する潤滑剤供給手段と、を有し、
    前記磁気ディスクは下記構造式1または下記構造式7のパーフロロポリエーテルの少なくともいずれかの潤滑剤を塗布されており、
    前記潤滑剤供給手段として、前記磁気ディスク装置内の前記磁気ディスクの外周側の面外に、数平均分子量が1000以上4000以下の成分が全体に対して40%以上含む下記構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうちの少なくとも1つの潤滑剤を含浸させたフィルターが設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
    Figure 0004490359
    Figure 0004490359
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