JP4490359B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
(特許文献2)はミリスチン酸を含浸させた部材に熱風を入射させて蒸発したミリスチン酸蒸気を磁気ディスク表面に付着させ潤滑膜を形成する。特開平8−45238号公報
(特許文献3)は、アームもしくはサスペンションに液体潤滑剤からなる潤滑膜を形成し、ディスク回転に伴う気流によってディスク表面に潤滑剤を供給する。特開平10−
312660号公報(特許文献4),特開平8−45239号公報(特許文献5),登録第2796852号(特許文献7)は、ウィック材に低粘度の液体潤滑剤を含浸させてディスクの近傍に取り付け、ディスク表面に液体潤滑剤を供給する。特開平6−295579号公報(特許文献6)は、加熱素子を内蔵したリザーバーから潤滑剤を供給することを記載する。
4000以下の成分が40%以上含まれていることにある。
本発明では、磁気ディスク装置内の熱とディスク回転による気流によって潤滑剤を供給するために、以下のようにして潤滑剤の供給源を磁気ディスク装置内に設けた。
(b)潤滑剤保持手段(フィルター,ウィック材など)に潤滑剤を含浸させて、磁気ディスク装置内に内蔵する。
(2)潤滑剤の構成
本発明では、供給用潤滑剤としてパーフロロポリエーテルを用いる。安定供給が可能で、かつヘッドによる掻き取りに対して十分な修復機能を達成するために、吸着性の極性基を有するパーフロロポリエーテルを使用する。そして、パーフロロポリエーテルの分子量を、磁気ディスク装置内の温度で蒸発し、気流によって供給できるに十分な値に規定した。具体的なパーフロロポリエーテルとしては以下のものが挙げられる。
(3)本発明の磁気ディスクの構成
磁気ディスクは、基板上に下地膜,磁性層,カーボンを主体とする保護膜、更にその上にパーフロロポリエーテルからなる潤滑膜を最外層として形成する構成である。潤滑膜はパーフロロポリエーテルで構成されている。具体的には構造式1〜4の潤滑剤が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(4)本発明の磁気ディスク装置の用途
本発明に記載の磁気ディスク装置の用途としては、電子計算機,ワードプロセッサー等の外部メモリー(具体的にはハードディスク装置等)が挙げられる。またモーバイルコンピューター,ナビゲーションシステム,ゲーム,携帯電話,PHS等の各種情報機器等にも適用可能である。
本実施例では、サスペンション15に潤滑剤の供給源を設けた場合と、潤滑剤の供給源を設けなかった場合とで、潤滑膜厚の変化を測定することにより潤滑剤供給の効果を検証した。
mm(2.5インチ)のガラス基板上にCr合金からなる下地膜,CoCrTaPtの磁性層,カーボン保護膜を順に成膜して形成されている。カーボン保護膜は、Ar/N2 ガス雰囲気下で成膜して硬度を高めており、膜厚は5nmである。
試料2:分子量2180
試料3:分子量3060
試料4:分子量4640
試料5:分子量7100
これらのパーフロロポリエーテルをサスペンション15の磁気ディスク4と対向する面で、磁気ヘッド・スライダー2から10mmの位置16に1.0 μリットル滴下して、サスペンション15を試験装置1に装着した。
11.76mN で連続接触摺動させディスククラッシュが発生するまでの摺動回数で評価した。なお、試験は最高で100k回まで実施し、実際の磁気ディスク装置での摺動耐力の目標値として50k回以上を目安とした。図4に結果を示す。なお、ここでは実施例1と同じパーフロロポリエーテルをHPLCによって分子量分画した分子量850のパーフロロポリエーテルを塗布した磁気ディスク4を同様の条件で試験した結果と比較検討した(試料15)。試料15では、摺動回数7k回でディスククラッシュするのに対し、実施例1の他の試料は何れも50k回以上の摺動耐力を示している。このことから、十分な摺動耐力を確保するには供給する潤滑剤(パーフロロポリエーテル)は少なくとも分子量が1000以上であることが望ましいといえる。但し、図3の結果を考慮する限りにおいて、分子量が1000以下であっても、潤滑膜厚の減少の防止できるという有効な効果が否定されるわけではないことには留意すべきである。
実施例1ではサスペンション15に潤滑剤の供給源を設けたが、実施例2では潤滑剤をフィルター8に含浸させ、潤滑剤の供給源として磁気ディスク装置内に設置した。使用したフィルター8は縦10mm×横20mm×厚さ2mmのシート状である。設置個所の例を図1に示す。
実施例3では、試験装置1内に試料6〜11のパーフロロポリエーテルを含浸させたフィルター8を設置し、磁気ディスク表面に潤滑剤がどの程度供給されるかを調べた。試料6〜8は構造式1、試料9は構造式2、試料10は構造式3、試料11は構造式5、試料16は構造式4のパーフロロポリエーテルをそれぞれ分子量分画したものである。試料6〜16のパーフロロポリエーテルをフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液を作り、フィルター8に20μリットル含浸させた。
試料7:分子量4000
試料8:分子量6000
試料9:分子量2000
試料10:分子量2000
試料11:分子量2000
試料16:分子量2000
潤滑剤を塗布しない磁気ディスク4(無潤滑)を回転させ、24h回転させた後のディスク表面の潤滑膜を測定する。回転数は5400rpm である。試験装置1には磁気ヘッド・スライダー2とアーム部3を装着しない。回転中はコードヒータ6によって試験装置1内部を65℃に加熱した。
図7に磁気ディスク装置14の上面模式図及び側面模式図を示す。磁気ディスク装置
14は直径63.5mm(2.5インチ)の磁気ディスク4,筐体10,スピンドルモーター9,アクチュエーター12,磁気ヘッド・スライダー2,サスペンション15,制御回路13を備える。磁気ディスク4の表面には、構造式1のパーフロロポリエーテルで数平均分子量3000の潤滑剤を膜厚2nmで塗布した。この磁気ディスク装置14はLoad/
Unload機構を有する。磁気ディスク装置14は、磁気ディスク4を2枚装着しており、装置内部の容積は30.0ml である。試料6(分子量2000)と下記構造式の潤滑剤
(分子量4000)をフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液1.25μリットル(パーフロロポリエーテル0.5 μリットル含有)をそれぞれ作製し、フィルター8に含浸させた。
、試料6では汚れが全くといってよいほど付着していない。つまり、比較例3は潤滑剤の
供給(膜厚の減少の防止)という有用な効果があるものの、浮上面への汚れ付着防止には
効果が少ないことを意味する。試料6と比較例2の構造上の差異は分子の末端近傍に存在
する極性基の有無である。これは極性基を有する分子の方が浮上面とより強く作用するた
め、比較例2で示されるような無極性潤滑剤よりも汚れ付着防止に効果を奏するものと考
えられる。
実施例5では、磁気ディスク4の表面に下記構造の潤滑剤を膜厚2nmで塗布した。
実施例6では、サスペンション15に試料6〜8および比較例2のパーフロロポリエーテルを滴下し、実施例3と同様にランダムシーク試験を行い、装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を測定し、また1000h終了後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に付着した汚れを光学顕微鏡で観察した。
試料6の潤滑剤を磁気ディスク4と対向するサスペンション表面上で磁気ヘッド・スライダー2のヘッド素子部から8mm(試料12),15mm(試料13),20mm(試料14)の箇所にそれぞれ1.0 μリットル滴下した。これらの磁気ヘッド・スライダー2を磁気ディスク装置14に装着し実施例4と同条件で試験を実施した。
13では汚れの付着は全く観察されなかった。比較例8で観察された摺動面の汚れの付着は、潤滑剤を滴下する位置が素子部に近すぎるために潤滑剤がヘッド素子部に滲んだためである。また、ヘッド素子部から30mmの個所に試料6の潤滑剤を滴下した比較例7では潤滑剤を滴下する位置が素子部に遠すぎるめに潤滑剤を十分に供給するための気流の力が弱いためと考えられる。
図13に磁気ディスク装置17の上面模式図及び側面模式図を示す。磁気ディスク装置17は76.2mm(3.0インチ)の磁気ディスク18,筐体10,スピンドルモーター9,アクチュエーター12,磁気ヘッド・スライダー2,制御回路13を備える。この磁気ディスク装置17は、磁気ディスク装置14と同様にLoad/Unload機構を有する。磁気ディスク装置17は、磁気ディスク18を5枚装着しており、装置内部の容積は120mlである。磁気ディスク18には構造式1のパーフロロポリエーテル(数平均分子量6000)からなる潤滑膜2nmを形成した。
実施例9では、フィルター8に滴下する試料6のパーフロロポリエーテルの量を変えた場合の装置稼動時間に対する潤滑膜厚の変化を測定した。また、1000h終了後の磁気ヘッド・スライダー2の浮上面に付着した汚れをも比較した。
0.25μリットル(パーフロロポリエーテル0.1μリットル含有)
0.375μリットル(パーフロロポリエーテル0.15μリットル含有)
0.7μリットル(パーフロロポリエーテル0.28μリットル含有)
1.25μリットル(パーフロロポリエーテル0.5μリットル含有)
2.5μリットル(パーフロロポリエーテル1.0μリットル含有)
図15に装置可動時間に対する潤滑膜厚の変化を示す。潤滑剤供給無しの場合(比較例3)では、1000hで潤滑膜厚が0.7nm 程度にまで減少している。これに対し、パーフロロポリエーテルを0.15 μリットル以上含有すれば膜厚の減少を低減することができ、さらに0.5μリットル以上含有すれば膜厚の減少を0.3nm以下に抑えること即ち、膜厚の減少を大幅に抑制することができる。なお、含浸する潤滑剤の量は装置容積や搭載する磁気ディスクの枚数によって調整することは有用であり、この際、装置筐体の構造によって気流の流れ等を考慮することも有用であろう。
実施例10では磁気ディスク装置の動作方式に対する潤滑剤供給の効果を検証した。実施例10では、アルミ基板表面上にNiP膜,Cr膜からなる下地膜,CoCrTaPtの磁性層,カーボン保護膜を順に形成した磁気ディスクを使用した。なお、NiP膜にはレーザーにより半径10mm〜20mmの範囲にバンプ状の突起を形成しているため、カーボン保護膜表面にも同じ半径位置にバンプ状の突起が帯状(レーザーゾーン)に形成されている。通常この様な形態の磁気ディスクはCSS(Contact Start Stop)方式の磁気ディスク装置で使用される。なお、カーボン保護膜表面には、構造式1のパーフロロポリエーテル(数平均分子量3000)からなる潤滑膜2nmを形成した。まず、上記磁気ディスクを図1の試験装置に装着し、実施例2と同様に120hまでランダムシーク試験を行った。シークはレーザーゾーン以外の平滑な面で行った。フィルター8には、試料2のパーフロロポリエーテルをフッ素系溶媒(HFE7100)に40wt%溶解させた溶液を、マイクロピペットにより20μリットル滴下している。120hのランダムシーク試験後、磁気ディスクの回転を停止すると同時に、レーザーゾーン上に磁気ヘッド・スライダー2を退避させ、接触状態で24h放置した。24h放置後に磁気ディスクを再度回転させ、その際に発生するスティクションと120hシークした磁気ディスク表面の潤滑膜厚を測定した。
Claims (4)
- 磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、磁気ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダーと、筐体と、を有する磁気ディスク装置の潤滑剤供給方法であって、
前記磁気ディスクに予め潤滑剤を塗布し、数平均分子量が1000以上4000以下の成分が全体に対して40%以上含む下記構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうちの少なくとも1つの潤滑剤を含浸させたフィルターを、前記筐体内の前記磁気ディスクの外周側の面外に設け、前記フィルタに含浸された前記潤滑剤のうち該フィルタから蒸発した潤滑剤を、前記磁気ディスクを回転させて生じる気流により前記磁気ディスクに供給することを特徴とする潤滑剤供給方法。
- 潤滑剤としてパーフロロポリエーテルを塗布された磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、磁気ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダーと、筐体と、を有する磁気ディスク装置であって、
前記磁気ディスク装置は、前記磁気ディスクが回転している場合には前記ヘッド・スライダーが該磁気ディスクの面上にあるように、該磁気ディスクが停止している場合には前記ヘッド・スライダーが前記磁気ディスクの面外に退避するように、前記ヘッド・スライダーを制御する制御回路部と、前記磁気ディスクの表面に潤滑剤を気流によって供給する潤滑剤供給手段と、を有し、
前記潤滑剤供給手段として、前記磁気ディスク装置内の前記磁気ディスクの外周側の面外に、数平均分子量が1000以上4000以下の成分が全体に対して40%以上含む下記構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうちの少なくとも1つの潤滑剤を含浸させたフィルターが設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
- 磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるスピンドルモーターと、磁気ディスクにデータを記録するもしくは再生する磁気ヘッド・スライダーと、筐体と、を有する磁気ディスク装置であって、
前記磁気ディスク装置は、前記磁気ディスクが回転している場合には前記ヘッド・スライダーが該磁気ディスクの面上にあるように、該磁気ディスクが停止している場合には前記ヘッド・スライダーが前記磁気ディスクの面外に退避するように、前記ヘッド・スライダーを制御する制御回路部と、前記磁気ディスクの表面に潤滑剤を気流によって供給する潤滑剤供給手段と、を有し、
前記磁気ディスクは下記構造式1または下記構造式7のパーフロロポリエーテルの少なくともいずれかの潤滑剤を塗布されており、
前記潤滑剤供給手段として、前記磁気ディスク装置内の前記磁気ディスクの外周側の面外に、数平均分子量が1000以上4000以下の成分が全体に対して40%以上含む下記構造式1〜5のパーフロロポリエーテルのうちの少なくとも1つの潤滑剤を含浸させたフィルターが設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
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