JP2003199542A - 食品包装体 - Google Patents

食品包装体

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JP2003199542A
JP2003199542A JP2002002786A JP2002002786A JP2003199542A JP 2003199542 A JP2003199542 A JP 2003199542A JP 2002002786 A JP2002002786 A JP 2002002786A JP 2002002786 A JP2002002786 A JP 2002002786A JP 2003199542 A JP2003199542 A JP 2003199542A
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food
carbon dioxide
packaging
cooked
cooked food
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JP2002002786A
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Masahiko Kawashima
政彦 川島
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品添加剤やアルコール殺菌を用いることな
く保存性の改良された食品包装体の提供。 【解決手段】 下記(a)〜(d)の特徴を有すること
を特徴とする食品包装体。 (a)加熱調理済食品の水分活性(Aw)が0.70以
上であること。 (b)包装材料は、二酸化炭素ガス透過量が1.0〜4
935.0ml/m2・day/MPaのプラスチック
材料からなること。 (c)包装体内空間の二酸化炭素体積含有率が30%以
上であること。 (d)包装体の温度が0〜15℃であること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保存料等を加えて
いない加熱調理済食品の保存性向上に優れ、特に保存前
後における加熱調理済食品の味を変化しない食品包装体
に関する。
【0002】
【従来の技術】スーパーなどで食材を購入し、各家庭で
その購入した食材を調理して食べるという従来の形態に
加え、最近では共働きのため調理の時間がない、自分の
趣味の時間を多く取りたい等の理由により、家事を簡便
に行いたいという意向から調理に関してはスーパー等の
バックヤードやセントラルキッチンなどで調理された加
熱調理済食品等を購入し、家庭で食す形態が増えてきて
いる。一方、スーパーやコンビニエンスストアにおいて
は、加熱調理済食品の利便性を売りに個々の食品の味、
量等、好みに合わせた商品開発が活発になされ、多種類
の加熱調理済食品が市場に投入されている。また、同種
類の商品であってもスーパーやコンビニエンスストア各
社は包装容器の形状やデザインを変えることでディスプ
レイ効果を最大限に駆使して加熱調理済食品の見た目の
おいしさをも追求し、その結果、様々な大きさや形状の
容器が市場に出回っている。
【0003】特に惣菜分野においては、従来の同一品大
量販売ではなく、近頃は食べたい惣菜を食べたい量(小
人数や1回で食べるのに適した量等)や食べたい味付け
(京風味付け等)で選べる形態になってきている。ま
た、デザイン的にもディスプレイ効果を最大限に生かす
ため、容器の色を加熱調理済食品毎に変えたりして、市
場には様々な大きさ、形状、色等の容器が氾濫してい
る。そのため、スーパーやコンビニエンスストア等の惣
菜販売者にとっては少量・多品種にわたる加熱調理済食
品の包装を行う際の装置の切り替えに要する煩雑さやそ
の煩雑さによる生産効率の低下、少量・多品種の加熱調
理済食品容器それぞれに定められた包装機械の部品管理
の煩雑さ等が問題となっている。
【0004】この問題を解決するべく、スーパーやコン
ビニエンスストア等の惣菜販売者は惣菜等の商品寿命を
長期化させ、賞味期限切れ品(いわゆるロス)の低減、
生産銘柄切り替え低減等による生産性向上を模索してい
る。加熱調理済食品の商品性がなくなる原因として、
一般生菌に代表される微生物による腐敗・変敗、食品
成分や油等の酸素による酸化、食品の色彩低下等が挙
げられる。これらの商品劣化を防止するために酸素の除
去が有効な手段であることが判明している。つまり、食
品における酸素の影響は以下の通りである。 一般生菌に代表される微生物による腐敗・変敗におい
て、微生物の活動不可欠な要素であり、真空包装等酸素
を除去することで微生物の活動が抑制され、結果として
加熱調理済食品保存の長期化を達成できる。
【0005】また、食品成分や油等の酸素による酸化
について、一般的には酸化防止剤等の食品添加剤を用い
て食品成分の酸化劣化を防止している。酸素の除去がで
きれば、酸化防止剤は不用であり、できれば健康に影響
の疑いのある食品添加物を使用したくない。さらに食
品の色彩低下について、例えば葉緑素の緑色に起因する
枝豆や葉野菜等の色彩低下は、葉緑素中のクロロフィル
の中心金属元素が酸化によって分子構造から失われるこ
とにより黄変することがわかっている。酸素の除去がで
きれば鮮やかな色彩を保持することが可能である。この
様に加熱調理済食品の商品性劣化において食品中および
食品周辺環境の制御が重要である。
【0006】このような酸素の制御の他に、加熱調理済
食品を長期に保存する他の方法として、加熱調理済食品
に保存料やpH調整剤等の食品添加物を添加したり、加
熱調理済食品を殺菌・無菌化をしたり、さまざまな検討
がされてきている。しかしながら、このように加熱調理
済食品を長期に保存する方法として、食品添加剤の利用
による保存方法は保存料等の食品添加剤の健康への影響
が懸念され、消費者にとってできれば食品添加剤を摂取
したくない傾向がある。近年は食品添加剤を使用してい
ないいわゆる無添加食品が好まれる傾向が強く、殺菌技
術を利用して食品を無菌化したものが開発されている。
【0007】しかしながら、食品の無菌化技術には無菌
空間を作成し、その空間内で殺菌処理を施した食材を用
いて作成したり、通常の工程で作成した食品を殺菌処理
し、密封を保つ方法等を用いられているが、無菌空間を
作成する技術が困難であったり、管理が煩雑だったり、
かなり高度な技術を要し、生産規模の小さな食材製造で
は実質的に困難である。また、無菌化技術においても、
通電加熱殺菌技術、パルス照射殺菌技術、高圧殺菌技術
等これらの殺菌技術を利用した装置は高価であったり、
多量の食品を1度に殺菌処理できない等まだまだ問題が
残されている。このように食品製造業者にとっては食品
添加剤等を使用しない無添加食品を簡便に作成する方法
を探索し、食品を長期保存する方法が模索されている。
【0008】食品の保存性向上を簡便に達成する方法と
して、二酸化炭素を利用した方法が開示されている。例
えば、特開昭56−121470号公報には食品を包装
する際に二酸化炭素とエチルアルコール又はこの両者と
窒素ガスとの混合ガスを封入して食品を保存する方法が
開示されており、二酸化炭素ガスの制菌作用とエチルア
ルコールの殺菌作用を併用して食品を長期に保存し、さ
らに窒素ガスを二酸化炭素ガスとエチルアルコールに混
合することによって二酸化炭素ガス臭やエチルアルコー
ル臭をやわらげる効果があると記述されている。また、
特開昭58−98072号公報には品温を50〜100
℃に加熱して殺菌を施し、ガスバリアー性を有する包材
で二酸化炭素濃度が5%以上、酸素濃度5%以下で10
℃以下の温度で保持する加工食品の腐敗防止方法が開示
されており、レトルト殺菌等の120℃以上の高温殺菌
における香り、味、形状、食感の低下を防止することが
でき、長期保存できると記述されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開昭56−121470号公報に開示されている技術
では殺菌作用としてエチルアルコールを使用しているた
め、包装開封時にアルコール特有なにおいがすることを
避けれない他、二酸化炭素が食品中に溶解して制菌作用
を示すのであるが、二酸化炭素が食品内に溶解し、舌に
炭酸特有のピリピリ感や酸味を感じる等の問題が残され
ている。また、特開昭58−98072号公報には品温
が50〜100℃に加熱殺菌して密封包装するため、包
装容器上面内側に湯気が付着し、外からの目視確認がで
きなくなったり、バキューム式ガス置換包装機を使用し
て包装する際、真空チャンバー内で真空に減圧している
最中に食品内の水分が沸騰し、容器内に食品が飛び散
り、商品性を低下する等の問題が残されている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至
った。すなわち、本発明は下記の通りである。 1)下記(a)〜(d)の特徴を有することを特徴とす
る食品包装体。 (a)加熱調理済食品の水分活性(Aw)が0.70以
上であること。 (b)包装材料は、二酸化炭素ガス透過量が1.0〜4
935.0ml/m2・day/MPaのプラスチック
材料からなること。 (c)包装体内空間の二酸化炭素体積含有率が30%以
上であること。 (d)包装体の温度が0〜15℃であること。
【0011】2)加熱調理済食品中に溶解している二酸
化炭素が加熱調理済食品中の水分1cm3に対して70
℃気体換算で0.4cm3以下であることを特徴とする
1)に記載の食品包装体。 3)加熱調理済食品の包装直前の温度が0〜45℃であ
ることを特徴とする1)または2)に記載の食品包装
体。 4)前記1)〜3)の食品を電子レンジで加熱すること
を特徴とする食品の処理方法。 5)加熱条件が、1500Wの電子レンジで15秒以上
であることを特徴とする4)に記載の食品の処理方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施態様
につき詳細に説明する。本発明が従来技術と最も相違す
るところは、従来の保存技術において殺菌処理(加熱処
理やアルコール殺菌)が必須であることに対し、本発明
は加熱殺菌やアルコール殺菌等の殺菌処理を必要としな
いところにあり、本発明では二酸化炭素の制菌作用を利
用し、喫食前に再加熱することで加熱調理済食品を温め
るとともに加熱調理済食品中の二酸化炭素を除去すると
ころにある。
【0013】本発明によれば、アルコールや食品添加剤
によるにおいや味の変化がない加熱調理済食品が得ら
れ、二酸化炭素特有の味低下を防止でき、さらに加熱調
理済食品の保存性が向上する。本発明でいう加熱調理済
食品とは加熱調理を施した食品などがあり、例えば、ス
ーパーやコンビニエンスストア等で販売される惣菜(煮
物、焼き物、蒸し物、炒め物)、弁当等が挙げられる
が、加熱調理を施した販売目的とした食品である。
【0014】本発明でいう包装体とはこれらの加熱調理
済食品を包装したものを言い、既存の包装形態として容
器包装、カップ包装、深絞り包装、オーバーラップ包装
(シュリンク包装、ストレッチ包装)、トレー包装、ス
キンパック包装、袋包装、等が挙げられるが、包装内の
加熱調理済食品が包装外の空気と隔離されている状態を
維持できるものであればよい。好ましくは商品の見栄え
等の観点より、オーバーラップ包装、容器包装である。
【0015】本発明でいう水分活性(Aw)とは食品中
に存在する微生物の利用できる自由水の割合を示す指標
であり、純水の水蒸気圧を加熱調理済食品の水蒸気圧で
割った商で定義される。すなわち最大数は1であり、例
えば食品の水分活性(Aw)を示すと、鮮魚(0.9
9)、ベーコン(0.91)、羊羹(0.86)、味噌
(0.76)、小麦粉、米、豆(0.61)、クラッカ
ー(0.57)、ビスケット(0.33)、インスタン
トコーヒー(0.30)である。本発明における水分活
性(Aw)は、二酸化炭素の溶解する環境という観点よ
り0.70以上であることが好ましい。水分活性(A
w)が0.70未満では二酸化炭素の溶解する自由水が
乏しく、二酸化炭素が自由水に溶解して制菌効果を発揮
できない。そのため、より好ましくは0.75以上であ
り、さらに好ましくは0.8以上0.99以下である。
【0016】本発明に用いられる包装材料は二酸化炭素
ガス透過量が1.0〜4935.0ml/m2・day
/MPa(=0.1〜500cc/m2・24hr・a
tmに相当)である。様々な包装材料が挙げられるが、
プラスチック包装材料は、ガス透過量を調整しやすい特
性の他に内容物を透視できたり、包装容器を簡単に成形
できたり、印刷にも優れ、形状や美粧性を付与したり、
また容器や包装体を容易に開封できるため好ましい。
【0017】本発明で用いられるプラスチック包装材料
は、包装容器内に存在する二酸化炭素の散逸を防止する
観点から、10℃における二酸化炭素ガス透過量が1.
0〜4935.0ml/m2・day/MPaである必
要がある。本発明で用いられる包装材料の二酸化炭素ガ
ス透過量が4935.0ml/m 2・day/MPaを
越えると包装容器内空間にある二酸化炭素体積含有率が
容器外に散逸して容器内の二酸化炭素体積含有率が少な
くなるため、十分に加熱調理済食品の自由水に溶解する
ことができず、二酸化炭素の制菌作用を発揮できない。
そのため、より好ましくは1.0〜4700.0ml/
2・day/MPaであり、さらに好ましくは1.0
〜4500.0ml/m2・day/MPaである。こ
のようなプラスチック包装材料として、ポリアミドやエ
チレンビニルアルコール共重合体や塩化ビニリデン等一
般に知られているバリアー性樹脂を用いたものや塩化ビ
ニリデン等を塗工処理を行ったフィルムやシートが挙げ
られる。
【0018】具体的にはポリアミド、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアル
コール共重合体、アクリルニトリルやメタアクリルニト
リル等の不飽和ニトリルを主体とする単独重合体もしく
は共重合体からなる延伸や未延伸のフィルムやシートが
挙げられ、これらの樹脂を用いた単層やあるいは上記樹
脂同士の積層やポリエチレン等の他の樹脂との積層やバ
リアーコート等の表面処理等挙げられる。包装体が袋の
場合は屈曲性や透明性の観点より、好ましくはポリオレ
フィンとポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合
体、アクリルニトリルやメタアクリルニトリル等の不飽
和ニトリルを主体とする単独重合体もしくは共重合体か
ら選ばれた多層延伸もしくは未延伸フィルムであり、よ
り好ましくはポリオレフィンとポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体
から選ばれた多層延伸フィルムであり、さらにより好ま
しくはポリプロピレンとエチレンビニル共重合体ケン化
物の多層延伸フィルムである。
【0019】フィルムの厚さは袋の屈曲性や製袋性の観
点より、10〜100μmがより好ましく、さらに好ま
しくは15〜90μm、さらにより好ましくは20〜8
0μmである。また、包装体が容器の場合は剛性や透明
性の観点より、好ましくはポリオレフィンとポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデ
ン、エチレンビニルアルコール共重合体、アクリルニト
リルやメタアクリルニトリル等の不飽和ニトリルを主体
とする単独重合体もしくは共重合体から選ばれた多層延
伸もしくは未延伸シートであり、より好ましくはポリオ
レフィンとポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、
エチレンビニルアルコール共重合体から選ばれた多層延
伸シートであり、さらにより好ましくはポリプロピレン
とエチレンビニル共重合体ケン化物の多層延伸シートで
ある。シートの厚さは樹脂素材の剛性にもよるが、容器
の剛性や成形効率の観点より、50〜700μmがより
好ましく、さらに好ましくは100〜650μm、さら
により好ましくは150〜600μmである。
【0020】本発明でいう包装体内空間とは、包装容器
の内部体積から該包装容器内にある加熱調理済食品の体
積を引いた差であり、二酸化炭素の制菌効果の観点よ
り、包装体内空間の二酸化炭素体積含有率は30%以上
である。二酸化炭素体積含有率が30%未満では加熱調
理済食品中の自由水に溶解するための二酸化炭素の存在
量が不足し、二酸化炭素の制菌効果を発揮できない。そ
のため、より好ましくは35%以上であり、さらに好ま
しくは40%以上である。
【0021】保存温度は、食品包装体を保存するときの
環境温度を言い、本発明でいう保存温度は加熱調理済食
品中の一般生菌の増殖防止と加熱調理済食品中の自由水
に二酸化炭素が溶解する観点より0〜15℃である。0
℃未満であると一般生菌の増殖能力は乏しく加熱調理済
食品の保存という観点では好ましいが、加熱調理済食品
中の自由水が凝固して氷となるため二酸化炭素が溶解す
ることができなくなる。また、15℃を越えると一般生
菌の増殖能力は活発になり加熱調理済食品の腐敗が進行
しやすくなる他、加熱調理済食品中の自由水の温度が高
くなり、二酸化炭素の自由水に対する溶解度が低下する
ため、二酸化炭素の制菌効果を発揮できなくなる。その
ため、より好ましくは2〜13℃であり、さらに好まし
くは3〜12℃である。
【0022】本発明でいう一般生菌数とは、好気性中温
繁殖菌の混合菌種を示し、一般的に食品腐敗に関する指
標となっている。一般生菌数が106個/gが喫食限界
で、106個/g以上であると腐敗している状態といわ
れている。本発明における包装される加熱調理済食品の
一般生菌数は103個/g以下が好ましい。通常、加熱
調理済食品の一般生菌数は10/g以上である。一般生
菌数が103個/gを越えると一般生菌の繁殖能力が二
酸化炭素の制菌作用を上回り、菌の繁殖を抑制すること
が難しくなる。そのため、より好ましくは一般生菌数が
102.7個/g以下であること、さらに好ましくは一般
生菌数が102.5個/g以下である。
【0023】本発明でいう包装時における加熱調理済食
品の温度が0〜45℃であることとは、包装効率を高め
見栄えの良い商品価値の高い食品包装体を得るためであ
る。ガス置換包装を行う際にバキューム式ガス置換包装
機を採用した場合では、加熱調理済食品の温度が45℃
を越えると、真空チャンバー内で真空に減圧している最
中に加熱調理済食品中の水分が気化して減圧にする時間
がかかり、包装効率が低下する他、加熱調理済食品中の
水分が沸騰によって食品の汁分が包装容器上面内側に飛
散して見た目が悪くなり、湯気が付着し目視確認ができ
なくなったり、商品価値を低下してしまう場合がある。
一方、加熱調理済食品の温度が0℃未満の場合、加熱調
理済食品に含まれる自由水が凍結し、二酸化炭素を溶解
することが難しくなり、制菌作用を発揮できない場合が
ある。そのため本発明の包装時における加熱調理済食品
の温度が0〜45℃であることが好ましく、より好まし
くは2〜40℃以下、さらに好ましくは3〜38℃以下
である。
【0024】本発明でいう再加熱後の加熱調理済食品内
に溶解している二酸化炭素は、再加熱した加熱調理済食
品を喫食した際に舌に炭酸特有のピリピリとした刺激感
の原因になるものである。この炭酸特有のピリピリとし
た刺激感は食品の味等を阻害する大きな要因の一つであ
る。食品中の水分1cm3に対して二酸化炭素が気体
(70℃)として0.4cm3越えて溶解するとこのピ
リピリとした刺激感が生じるのである。本発明では加熱
調理済食品内に溶解している二酸化炭素が食品中の水分
1cm3に対して気体(70℃)として0.4cm3以下
であることが、好ましい。より好ましくは食品中の水分
1cm3に対して0.35cm3以下、さらに好ましくは
食品中の水分1cm3に対して0.3cm3以下である。
【0025】再加熱は、加熱調理済食品の殺菌をするた
めではなく、主として加熱調理済食品中の二酸化炭素を
食品内部より取り除くためであり、さらに加熱調理済食
品をおいしく喫食するために温めるためでもある。その
ため、再加熱の加熱温度は微生物の殺菌に必要である1
00℃程度の高温ではなく、加熱調理済食品中の二酸化
炭素を食品内部より取り除く観点より、加熱調理済食品
の最低温度は55℃以上が好ましい。
【0026】再加熱方法は加熱調理済食品を再加熱して
温めることができればいずれの方法を用いても支障はな
く、蒸す、炒める、焼く(オーブン調理、グリル調
理)、温める(温蔵庫、電子レンジ)等が挙げられる。
加熱調理済食品のいずれの場所においても最低温度が5
5℃以上になることがより好ましい。電子レンジ調理以
外は表面より加熱される方式であるため中心温度が最低
温度となる場合が多く、温度確認のためには中心温度を
測定するため熱伝対等の温度測定機器を加熱調理済食品
の中心部に挿入したり、同じ食品で試行して温度確認す
る必要があるが、電子レンジの場合、他の加熱方法に比
べ、加熱調理済食品の加熱ムラが少ないため本発明では
再加熱方法として電子レンジが、より好ましい。電子レ
ンジの加熱条件の一例として1500Wの電子レンジで
15秒以上の条件であると小包装された加熱調理済食品
(内容量120g程度のハンバーグ)において中心温度
が55℃以上となる。
【0027】以下、本説明を実施例にて更に詳しく説明
するが、本発明で述べた準備・調整・評価・測定などの
方法は以下の通りである。 (1)加熱調理済食品作成(ハンバーグ) 牛と豚の合びきひき肉(牛:豚=5:5)1kgと玉子
Mサイズ2個を5℃以下に冷やしながら粘りが出るまで
良く練り合わせ、炒めておいた玉葱0.3kgとパン粉
0.12kgを加えさらに練り合わせた。1個120g
にとりわけ、小判型に成形し、120℃のオーブンに入
れ中心温度が70℃になるまで加熱調理し、ハンバーグ
を作成した。
【0028】(2)水分活性測定 日本ゼネラル(株)社製デカゴンCX−2を用いて水分
活性を測定した。加熱調理済食品10gを用いて10℃
における水分活性を測定した。 (3)二酸化炭素ガス透過量測定 (株)東洋精機製作所社製ガス透過率測定機MT−03
を用いて10℃における二酸化炭素ガス透過量を測定し
た。
【0029】(4)容器内空間の二酸化炭素含有量測定 PBI Dansensor(株)社製チェックポイン
トを用いて10℃における容器内空間の二酸化炭素含有
量を測定した。 (5)保存温度測定 三洋電機(株)社製ボタン型クールメモリーを用いて1
0分毎の温度を測定した。加熱調理済食品を包装後、三
菱電機(株)社製オープンショーケースEA−MSに保
存した。
【0030】(6)一般生菌数測定 加熱調理済食品1gを希釈水によって10倍段階希釈を
順次行い,希釈試料液の調製を行った。同一希釈段階に
ついて2枚ずつの深型シャーレを用意して,それぞれに
各希釈試料液を1mlずつ分注した。あらかじめ高圧蒸
気滅菌した後,約45℃に保持しておいた標準寒天培
地,15mlを無菌的に各シャーレに注ぎ、直ちに希釈
試料液と培地がよく混ざり合うように静かに混和し,培
地が完全に固化するまで静置した。希釈試料液をシャー
レに分注してから培地と混和するまでの操作は,20分
間以内に終了し、培地が凝固したら、シャーレを倒置し
てふ卵器内で30分間,培地の表面を乾燥し、培養は3
5℃,48時間行った。その後1平板当たり30〜30
0個の発育が認められた平板の発育集落を計測し,2枚
の平板の集落数を平均し,希釈倍数を乗じて,食品1g
の生菌数を算出した。
【0031】(7)加熱調理済食品の温度測定 CUSTOM社製防滴型デジタル温度計を用い加熱調理
済食品の中心部分の温度を測定した。 (8)食品内に溶解している二酸化炭素含有量測定 加熱調理したハンバーグより50gを取り分け、そのハ
ンバーグ50gを凍結乾燥し、加熱調理済食品後の重量
と凍結乾燥後の重量との差より加熱調理済食品内の水分
量を測定した。一方、10℃の純水に二酸化炭素を十分
にバブリングし、二酸化炭素水溶液を作成し、その二酸
化炭素水溶液を70℃まで加熱し、70℃における飽和
二酸化炭素水溶液を作成した。この70℃の飽和二酸化
炭素水溶液を用い、水上置換法によって発生したガスの
体積量を測定し、そのガスの中に含有する二酸化炭素含
有量測定を行い、二酸化炭素量を算出した。なお、水上
置換法に用いたすべての水は70℃における飽和二酸化
炭素水溶液を用いた。このようにして測定した水分量と
二酸化炭素量を用いて加熱調理済食品中の水分1cm3
における二酸化炭素含有量を求めた。
【0032】
【実施例】加熱調理済食品の一例としてハンバーグを内
容量200cm3の容器材質の異なる容器(容器+トッ
プフィルム)に入れ、二酸化炭素と窒素の各種混合ガス
を用いてバキューム式ガス置換包装を行った。また、ハ
ンバーグの水分活性が異なるように、あらかじめ40℃
の熱風を当てて乾燥させたハンバーグを用意し、乾燥状
態の異なるハンバーグも同様にガス置換包装を行った。
このように調整したサンプルを数個用意し、各種温度に
て1週間保存し、一般生菌数を暫時測定した。一般生菌
測定は同一条件で用意した数個のサンプルより無作為に
選び、測定を行った。条件および結果を表1に示す。包
装時と3日目に1500Wの電子レンジを用い表1に示
す条件にて再加熱を行い、その後に加熱調理済食品内に
溶解している二酸化炭素分析と食味テストを行った。
【0033】
【比較例】二酸化炭素ガス透過量(比較例1)、二酸化
炭素体積含有率(比較例2)、水分活性(比較例3)、
保存温度(比較例4)を表2に示したように本発明の範
囲外の条件に変化させて実施例1と同様に包装し、保存
実験を行った。結果を表2に示す。比較例1〜4は5日
後もしくは7日後の一般生菌数が106を越え、加熱調
理済食品が腐敗していた。また、比較例6は包装時の加
熱調理済食品の温度が高温であり、バキューム式ガス置
換包装機にてガス置換作業中、食品中の汁が沸騰し、汁
が包装容器内に飛散して容器内側に汁跡が多数ついてし
まった。加熱調理済食品は全く問題は無かったが、商品
価値が低下して販売できない商品になってしまった。さ
らに比較例7は再加熱時の電子レンジ加熱が不十分で二
酸化炭素が加熱調理済食品内に残存し、喫食時にすっぱ
い感じがした。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明は二酸化炭素の制菌作用を利用
し、喫食前に再加熱することで加熱調理済食品を温める
とともに加熱調理済食品中の二酸化炭素を除去し、加熱
調理済食品の味等を良好に保たれ、かつ、保存性向上を
するものであり、従来技術に比べ、食品添加剤やアルコ
ール殺菌による味やにおいの低下を防止できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AA11 AB01 BA10A BA12A BA17A BB14A BC02A CA04 CA11 CA17 EA01 EA03 EB22 FA01 FB13 GA19 GC02 GD01 GD02 4B021 LA01 LP10 MC04 4B035 LC05 LC12 LE11 LE20 LP45 4B036 LC05 LE05 LF13 LP14 LP19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)〜(d)の特徴を有すること
    を特徴とする食品包装体。 (a)加熱調理済食品の水分活性(Aw)が0.70以
    上であること。 (b)包装材料は、二酸化炭素ガス透過量が1.0〜4
    935.0ml/m2・day/MPaのプラスチック
    材料からなること。 (c)包装体内空間の二酸化炭素体積含有率が30%以
    上であること。 (d)包装体の温度が0〜15℃であること。
  2. 【請求項2】 加熱調理済食品中に溶解している二酸化
    炭素が加熱調理済食品中の水分1cm3に対して70℃
    気体換算で0.4cm3以下であることを特徴とする請
    求項1に記載の食品包装体。
  3. 【請求項3】 加熱調理済食品の包装直前の温度が0〜
    45℃であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の食品包装体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の食品を電子レンジで加熱
    することを特徴とする食品の処理方法。
  5. 【請求項5】 加熱条件が、1500Wの電子レンジで
    15秒以上であることを特徴とする請求項4に記載の食
    品の処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018052585A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 日清オイリオグループ株式会社 容器充填液状食品の製造方法
US11229095B2 (en) 2014-12-17 2022-01-18 Campbell Soup Company Electromagnetic wave food processing system and methods
JP7299495B2 (ja) 2019-08-30 2023-06-28 キョーラク株式会社 包装袋に充填された内容物の加熱方法

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