JP2003190727A - バグフィルタの運転方法及びこの方法を実施する装置 - Google Patents

バグフィルタの運転方法及びこの方法を実施する装置

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JP2003190727A JP2001399603A JP2001399603A JP2003190727A JP 2003190727 A JP2003190727 A JP 2003190727A JP 2001399603 A JP2001399603 A JP 2001399603A JP 2001399603 A JP2001399603 A JP 2001399603A JP 2003190727 A JP2003190727 A JP 2003190727A
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Keizo Hamaguchi
敬三 浜口
Hiroshi Osada
容 長田
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JFE Engineering Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス中の有害成分を一定の除去水準で安定
して得ると同時に、ろ布の目詰まりを未然に回避するこ
とができるバグフィルタの運転方法及びこの方法を実施
する装置を提供すること。 【解決手段】 排ガスに薬剤を噴霧してパルスジェット
式バグフィルタ装置11で捕集するとともに排ガス中の
有害成分を除去する方法において、バグフィルタろ布1
2表面の各種粉体からなる粉体層4を、ほとんど反応に
関与せず通常運転時に払い落としが困難な一次層2とこ
れ以外の二次層3とに分割し、稼働当初または安定運転
時の逆洗性能を示す物性値にもとづいて一次層2の差圧
または該差圧の全差圧に対する比率を推定し、前記差圧
または前記比率が所定値以上となったときにバグフィル
タろ布12の目詰まり開始と判定し、逆洗手段による逆
洗を強化するように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却、加熱、溶融
等の各種操作から排出される有害成分を含む排ガスに薬
剤を噴霧してパルスジェット式バグフィルタ装置を用い
て処理する際のバグフィルタの運転方法及びこの方法を
実施する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ、産業廃棄物を焼却、溶融処理
する過程や、これらの処理過程で排出される灰を溶融処
理する過程から排出される排ガス、さらには金属精練工
場などでスクラップを予熱、溶融する際に排出される排
ガスには、ばいじん、HClやSOX 等の酸性成分、窒
素酸化物、水銀等の重金属、ダイオキシン類及びその前
駆物質など、さまざまな有害物質が含まれている。
【0003】これらの有害物質の内、HClやSOX
どの酸性成分は、中和剤である粉末消石灰を排ガス中に
吹き込み、反応器やバグフィルタで中和反応させて排ガ
スから除去する乾式法が広く用いられる。また、窒素酸
化物であるNOX は、焼却炉内や炉出口にアンモニアま
たは尿素水を噴霧してNOX を選択的に除去する無触媒
脱硝法が広く用いられている。さらに、必要に応じて、
窒素酸化物は脱硝触媒を用いた脱硝塔によりアンモニア
を噴霧して除去する触媒脱硝法が用いられている。ま
た、水銀やダイオキシン類は、排ガス中に粉末活性炭を
吹き込み、反応器やバグフィルタで吸着除去させる活性
炭吹込法が広く用いられている。
【0004】上記のように、薬剤である消石灰粉や活性
炭粉は、バグフィルタ装置内または上流側で排ガスに噴
霧され、バグフィルタ装置のろ過集塵過程で、排ガス中
の有害成分が実質的に除去される。ここで用いるバグフ
ィルタ装置は、取扱いの容易性から、圧縮空気を間欠的
(周期的)にろ布内側より噴射して集塵灰を払い落とす
パルスジェット式バグフィルタ装置が一般的である。該
バグフィルタ装置は、パルスジェットを複数のろ布に噴
射する工程(逆洗)をほぼ一定間隔で全ろ布に順次繰り
返す逆洗方式を採用していた。
【0005】バグフィルタ装置の逆洗に関する運転方法
として、特開平6−205918号公報に開示された技
術は、排ガス中の酸性成分を除去するためのアルカリ中
和剤の添加量に基づいて、ダスト払い落とし周期を制御
する方法である。その他、バグフィルタ装置の逆洗方法
に係る公知文献として、特開平7−100319号公
報、特開平8−173734号公報、特開平7−213
839号公報等が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
広く採用されている、上述したような一定間隔での逆洗
(パルスジェット噴射)では、長期にわたる運転の際、
徐々にバグフィルタ差圧が上昇し、ろ布の目詰まりに至
ってしまう不具合を生じていた。これを解決するため、
差圧が一定値以上となったときに、逆洗頻度を上昇させ
るなどして、差圧を所定値以下に抑える制御も実施され
ているが、次の問題点を有している。
【0007】すなわち、差圧が一定値以上(例えば20
0mmAq以上)となって初めて逆洗頻度を増加させた
としても、このときすでにろ布の目詰まりが深く進行し
ていることが多く、逆洗頻度を増加させても差圧を回復
できない(所定値に維持できない)おそれがあること、
あるいは、一時的に差圧が回復したとしても、その後の
連続運転の過程で恒常的に差圧を安定して低くすること
が困難となる場合が多かった。言い換えると、ろ紙の目
詰まりがある程度進行してしまった後では、逆洗頻度を
増加させても目詰まりを容易には解消できず、その結
果、最終的にろ紙の著しい目詰まりを誘発してしまう不
具合があった。
【0008】このため、著しい目詰まりに到達していな
くても、逆洗頻度を増加させて運転を継続しなければな
らないが、これによりパルスジェット空気(圧縮空気)
の消費量が甚大なものとなると同時に、ろ布表面には粉
体による一次層(反応に関与せず通常払い落とし困難と
される層)が多くなり、反応に関与する二次層の割合が
極端に少なくなり、有害成分の除去性能が極端に低下し
てしまう不具合を生じてしまう。
【0009】あるいは、差圧を一定範囲に抑えるよう、
頻繁に逆洗頻度を変更して制御する方法も実施すること
ができるが、この場合も、差圧が見かけ上一定範囲内に
納まっていたとしても、長期の運転の過程で、逆洗頻度
が初期と比較して著しく上昇してしまっていることがあ
る。すなわち、差圧が見かけ上一定範囲内にあっても、
ろ布の目詰まりが進行してしまっている場合がある。こ
のような場合、逆洗頻度が不所望に上昇しているので、
パルスジェット空気の消費量が不当に多くなっている不
具合や、頻繁に逆洗を実施するので、ろ布に堆積される
二次層(反応に関与する払い落とし可能な薬剤等からな
る層)のろ布における滞留時間が短くなり、有害成分の
除去性能が低下してしまうので、所望の除去性能を維持
するためには薬剤の噴霧量を増加させなければならない
という不具合を生じてしまう。
【0010】ここで、バグフィルタろ布表面に堆積する
粉体層について説明する。排ガス中の有害成分を除去す
るための消石灰粉や活性炭粉は、排ガス中に噴霧され、
バグフィルタろ布に捕集されるとともに、ろ布表面にて
中和反応、吸着反応がなされる。また、排ガス中にはば
いじんが含まれており、これも同時に捕集される。捕集
された消石灰粉(未反応)、反応生成物(CaCl
2 等)、活性炭、ばいじんからなる粉体層は、一次層と
二次層に分割することができる。
【0011】図4に示すとおり、一次層2はろ布12の
表面に近い側に形成され、二次層3はガスとの接触側に
形成される。一次層2は、反応には関与しないほぼ反応
生成物からなる層で、ろ布12表面に比較的強い力で付
着しており、進行程度にもよるが、一部は凝集性、潮解
性等により固着している。このため、通常の払い落とし
(パルスジェット噴射)では、払い落としが困難な層で
ある。二次層3は、反応に関与する層で、未反応消石
灰、反応生成物、活性炭およびばいじんからなり、払い
落としが可能な層である。
【0012】本発明者らは、文献(日本機械学会第6回
環境工学総会シンボジウム,96講演論文集pp.10
6−108)に開示したとおり、二次層3をさらに二つ
の層に分割し、ろ布12側を非反応二次層5、ガス接触
側を反応二次層6と称した。前者(非反応二次層5)は
反応生成物を多く含む層であり、払い落としは可能であ
るが、通常の払い落としでは払い落とされないまま経過
してしまう層である。後者の反応二次層6は未反応消石
灰を多く含む反応に大きく関与する層であり、通常の逆
洗操作にて払い落とされ、更新される層である。但し、
これらは実際のろ布12表面の粉体層4内で、物理的に
明確に分離されているものではない。
【0013】バグフィルタ差圧上昇の原因は、一次層2
の成長によるものが支配的であり、この一次層2の成長
はすでにのべたとおり、長期の運転により徐々に進行す
る。一次層2の成長は、上記非反応二次層5が、払い落
としをなされない時間経過とともに反応生成物が凝集し
て付着性の強い粉体となることにより一次層2に移行し
て、一次層2が成長する。一次層2が成長すると、ろ布
12表面の通気孔はほぼ閉塞されるとともに、付着ある
いは固着程度が増加し、バグフィルタのろ布12の目詰
まりに到達してしまう。さらに目詰まりが深く進行した
状態では、逆洗を強化しても目詰まりを回避することが
できず、もはや通ガスを継続することができない深刻な
状況に至ることとなる。
【0014】さて、バグフィルタ立ち上げ当初に、珪藻
土などの無機質粉体を噴射してろ布をプレコートするこ
とにより一次層を形成させて、この珪藻土により粉体の
剥離性(払い落とし)を向上させる工夫、すなわち、ろ
布の目詰まり防止を行うことがあるが、剥離性がよいた
めに剥離剤である珪藻土は、運転時間の経過とともにろ
布から分離され、珪藻土による一次層は比較的早期に消
滅してしまう。本発明で言う一次層とは、プレコート方
法などにより意図的に作成した一次層を意味するのでは
なく、運転の経過とともに、バグフィルタに堆積する粉
体の性状変化から誘発され、払い落としされないまま徐
々に成長していく粉体の層のことである。但し、このよ
うに意図的にプレコートする場合、あるいは継続的に剥
離剤を噴霧する場合であっても、生成または進行過程に
程度の差はあるものの、時間の経過とともに一次層は生
成され進行するのである。
【0015】もとに戻って本発明が解決しようとする課
題を説明すると、上記の如くバグフィルタのろ布12表
面では一次層2の成長が時間経過とともになされるの
で、一次層2の成長が進行してしまう前、すなわち、ろ
布1の目詰まりの進行の以前(あるいは目詰まり開始時
点)に一次層2の成長を回避することが重要である。
【0016】先に例示した、特開平6−205918号
公報に開示された方法は、排ガス中の酸性成分を除去す
るためのアルカリ中和剤の添加量に基づいて、ダスト払
い落とし周期を制御する方法であるが、構成要件から明
らかなように、この方法を実施しても、立ち上げ下げ時
の差圧の上昇回避の効果はあるが、通常運転時における
着々と進行する一次層形成を回避することができず、比
較的早い時期、例えばろ布の物理強度が低下する以前
に、ろ布の目詰まりに到達してしまう問題点を指摘でき
る。同様に公知文献である、特開平7−100319号
公報、特開平8−173734号公報、特開平7−21
3839号公報のいずれにおいても、ろ布の早期の目詰
まりあるいはろ布の目詰まりに到達する前に、これを検
知して制御することができないので、上記と同様の問題
点を有する。
【0017】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、排ガス中の有害成分を一定の除去水準で
安定して得ると同時に、ろ布の目詰まりを未然に回避す
ることができるバグフィルタの運転方法及びこの方法を
実施する装置を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係るバグフィル
タの運転方法は、排ガスに薬剤を噴霧してパルスジェッ
ト式バグフィルタ装置で捕集するとともに排ガス中の有
害成分を除去する方法において、バグフィルタろ布表面
の各種粉体からなる粉体層を、ほとんど反応に関与せず
通常運転時に払い落としが困難な一次層とこれ以外の二
次層とに分割し、稼働当初または安定運転時の逆洗性能
を示す物性値にもとづいて一次層の差圧またはこの差圧
の全差圧に対する比率を推定し、前記差圧または前記比
率が所定値以上となったときにバグフィルタろ布の目詰
まり開始と判定し、逆洗手段による逆洗を強化するよう
に制御する(請求項1に係る発明)。
【0019】このように、通常時に払い落としが困難と
される一次層を定義し、該一次層に相当する差圧を推定
するか、又は全差圧の内の比率を推定して、この推定値
をもとにバグフィルタの目詰まり開始を判定して逆洗を
強化するので、一次層が運転日数の経過とともに成長し
てやがてろ布の目詰まりに到達してしまう不具合を未然
に回避することが可能となる。すなわち、ろ布の機械的
強度が保たれる範囲内の長期にわたり、ろ布の目詰まり
を誘発させることなく、安定した運転が可能となる。こ
こで、粉体層を一次層と二次層に分割するのは、もちろ
ん機械的な分離でなく、呼称上の便宜的な分割である。
【0020】次に、逆洗を強化して運転を継続する時間
は、上記一次層の差圧または比率がほぼ所定値以下とな
るまでの時間でよく、ろ布の目詰まりが進行していない
ので、相対的に短い時間において差圧の回復が可能であ
る。また、通常運転時は逆洗条件を相対的に緩やかに維
持しているので、薬剤が払い落とされずに粉体層に滞留
している時間が十分長く、有害成分の除去率を高いまま
維持できる。また、逆洗を強化している時間帯は、強化
の開始時に薬剤の噴霧量を増加してもよいが、ろ布の目
詰まりが進行していない時点であるので、反応に係る二
次層内の未反応薬剤の量は十分確保されており、しかも
短時間に限るので、通常の出口濃度監視によるフィード
バック制御を継続するだけでも十分である。
【0021】次に、上記一次層差圧は、基準通ガス条件
に換算した値を用いることが望ましい。差圧の補正は、
例えば定格通ガス量を基準通ガス量(基準通ガス条件)
とし、現時点でのガス量を基準ガス量に比例換算して補
正差圧とする。バグフィルタろ布を通過する処理ガスの
ろ過速度(線速度)は通常0.5〜1.5m/minと
低速度であるため、ほぼ層流となっており、層厚みが一
定時では、差圧はガス量にほぼ比例することが判明して
いるので、補正は比例換算でよい。ここでは通ガス量に
着眼して換算したが、温度の負荷変動の大きい場合は、
ガスの粘性が変化すると差圧も変化するため、温度補正
(具体的にはガスの粘性を標準時に換算して差圧を補
正)を実施してもよく、この場合は基準時の通ガス温度
に補正する計算を行うことになる。但し、温度変動が少
ない場合や簡便手段をとる場合は、通ガス量による前記
補正のみで十分である。
【0022】差圧を基準通ガス条件に補正しないでその
まま用いると、例えば焼却施設で焼却量の負荷変動等に
よりガス量が多くなった場合、一次層が目詰まり開始に
到達していないにもかかわらず、見かけの差圧は上昇し
てしまい、所定値に達してしまったと不必要に誤認する
おそれや、ガス量が少なくなった場合は逆に一次層の目
詰まりが開始されているにもかかわらず、これを見落と
してしまい、目詰まりが進行してしまうおそれがある。
したがって差圧は基準通ガス条件に補正することが望ま
しい。また、基準ガス条件として、定格時のバグフィル
タろ過速度を採用してもよい。
【0023】次に、一次層の差圧の推定は、以下の例示
した方法によりなされる。まず、バグフィルタ立ち上げ
当初の性能試験時等に、パルスジェット空気の噴射圧
(以下単に噴射圧という)とバグフィルタ差圧との関
係、パルスジェット空気の噴射間隔(以下、単に噴射間
隔という)とバグフィルタ差圧との関係を、予め確認し
ておく。以後の運転では、噴射圧、噴射頻度、バグフィ
ルタ差圧の各値を採取する。ここで差圧は、基準ガス条
件に換算したときの差圧を用いる。バグフィルタ差圧の
採取は、連続的に行うのが好ましいが、採用するバグフ
ィルタ差圧の値は、一定時間における移動平均値を用い
るのがよい。続いて、初期(運転開始時)の一次層差圧
はほぼゼロであるとする。そして上記各種性能図をもと
に、現在の運転時の噴射頻度と噴射圧とバグフィルタ差
圧をプロットして、差圧のズレ(増加分)を認識する。
この差圧の増加分が一次層の差圧である。このようにし
て一次層の差圧を推定する。例えば、廃棄物施設で薬剤
として消石灰粉を用いた場合の運転では、1カ月以上経
過しないと一次層の差圧は観測されないことが多く、そ
の後、徐々に一次層の差圧が検出されることが多い。
【0024】次に、逆洗を強化開始する際の、上記一次
層差圧の所定値としては、例えば10〜50mmAqの
範囲の何れかの値が採用できる。上記一次層差圧の全差
圧に対する比率とは、例えば0.1〜0.5の範囲の何
れかの値が採用できる。ただし、被焼却物や排ガスの性
状、噴霧する薬剤の種類、上記性能図の採取時期等によ
り、適した範囲は必ずしも上記に限られない。逆洗を強
化する際の一次層の差圧(または比率)の所定値は低く
設定する方がより安全にろ布の目詰まりを回避できる
が、ごく低い値に設定すると、比較的頻繁に逆洗を強化
することになり、逆洗用圧縮空気を余分に消費し、かつ
反応に係る二次層の厚みが相対的に少なくなるので、有
害成分の除去効果を維持しようとすると薬剤の量が増大
してしまうおそれがある。
【0025】一方、逆洗を強化する際の一次層の差圧
(または比率)の所定値を高く設定すると、一次層の性
状により異なるが、すでに目詰まり開始に至って進行過
程にあるおそれが増大するため、好ましくない。逆洗の
強化を実施したあと強化を停止するタイミングは、上述
したように、一次層差圧(または比率)が上記所定値以
下に回復したときでよいが、実際の制御では、所定値の
例えば半分以下となったときに停止するように制御する
ことが望ましい。この停止段階では徐々に逆洗条件を緩
やかにするようにPID制御を実施してもよい。
【0026】次に、所定値に達したとき、逆洗を強化す
る手段として、噴射頻度を増加させる、噴射圧を増加さ
せる、通ガス量を一時的に減少または通ガスを停止させ
て逆洗を実施する、剥離剤を噴霧する、あるいはこれら
の組み合わせが採用できる。これらの内、逆洗手段によ
る逆洗の強化は、パルスジェット空気の噴射圧力を上昇
させる手段によることが効果的である(請求項2に係る
発明)。なぜならば、図6の性能図に示すように、パル
スジェット空気の噴射圧を高くするとバグフィルタの差
圧が顕著に減少する効果があり、噴射頻度を増加させる
効果より大きい。
【0027】高パルスジェット圧とすることによる逆洗
効果は大きく、付着性・凝集性を高めつつある一次層の
一部、あるいは、二次層内の非反応二次層における反応
生成物の付着性・凝集性が増加して一次層に移行しつつ
ある部分の層を、パルスジェット噴射により効果的に払
い落とすことができる。すなわち、目詰まり開始または
進行を効果的に回避できる。噴射圧力を例えば2倍と増
加させても、噴射空気量はおよそ1.4倍(2の平方
根)程度で抑えることができ、噴射頻度を増加させるよ
りも好適である。さらに、上記の例である、通ガス量を
一時的に減少させたり停止させて逆洗を実施する場合
や、珪藻土などの剥離剤を噴霧することも効果的である
が、通ガスを減少させたり一時停止するといった面倒な
操作を回避でき、剥離剤を噴霧する設備を設置しないで
済む、簡便な方法で、効率よくろ布の目詰まりの進行を
回避できる。
【0028】本発明に係るバグフィルタ装置は、上述の
方法を実施するためのもので、逆洗手段を備えたバグフ
ィルタ装置本体と、該バグフィルタ装置本体の排ガス導
入側に設けられて該排ガス導入側に薬剤を噴霧する薬剤
噴霧手段と、前記バグフィルタ装置本体の近傍に設けら
れた排ガスの温度検出器、流量検出器と、前記バグフィ
ルタ装置本体の排ガス導入側と排ガス排出側の差圧を検
出する差圧検出器と、前記温度検出器、流量検出器及び
差圧検出器からの情報に基いて前記逆洗手段に制御信号
を送る演算器とを備えたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は本発明の基本的構成を示す
バグフィルタ装置の実施の形態の模式図である。なお、
周辺機器や詳細機器は説明の簡略化のため省略してある
場合がある(以下、同様)。図において、11はバグフ
ィルタ装置(本体)、31は演算器、32はバグフィル
タ装置11の近傍(又はガス排出側)に設けた温度検出
器、33はガス流量検出器、34は有害成分濃度検出
器、35はガス導入側とガス排出側との間に設けられた
差圧検出器、36は薬剤噴霧手段、37は薬剤吹込口、
38は噴霧量制御手段、39は逆洗制御信号である。
【0030】図に示すように、焼却炉等からの排ガスは
バグフィルタ装置11に導入され、該装置11より排ガ
ス中のばいじんおよび有害成分が除去されて、清浄ガス
となって排出される。このとき、バグフィルタ装置11
の排ガスの導入ダクト21には、排ガス中の酸性成分を
除去するためのアルカリ剤としての消石灰粉が薬剤噴霧
手段36より空気搬送されて噴霧される。消石灰の噴霧
量はバグフィルタ11の排出ダクト22に設置された有
害成分濃度検出器34により連続的に検出され、この値
に基づいて消石灰粉の噴霧量が制御される。必要に応じ
て、バグフィルタ上流側の温度や焼却量を制御信号とし
て用いるフィードフォワード制御が採用される。
【0031】次に、パルスジェット式バグフィルタ装置
11の概要を図2、図3を用いて説明する。図2はバグ
フィルタ装置11の構成を示す簡略図である。図おい
て、12はバグフィルタ装置11のろ布、21は排ガス
の導入ダクト、22は排出ダクト、23は逆洗手段、2
4はダスト排出部、37は薬剤吹込口である。図に示す
ように、排ガスの導入ダクト21により導入された有害
成分を含む排ガスは、バグフィルタ装置11内に導入さ
れ、耐熱ガラス繊維からなるろ布12によってろ過集塵
される。このとき、導入ダクト21に設置された薬剤吹
込口37より消石灰粉が空気搬送されて噴霧され、噴霧
された消石灰粉はバグフィルタ11内およびろ布12表
面にて捕集されるとともに、排ガス中の酸性成分を中和
反応により除去する。この例では薬剤として消石灰粉を
用いたが、噴霧経路をひとつ以上として、排ガス中のダ
イオキシン類を吸着除去するための活性炭粉を噴霧して
もよい。
【0032】消石灰粉の噴霧量の制御は出口濃度の監視
によるフィードバック制御としてもよいし、上流側の排
ガス温度や焼却量にもとづいてフィードフォワード制御
を組み合わせてもよい。また、必要となる消石灰分の噴
霧量の計画値は、排ガス中の酸性成分をHClで代表し
たとき、図7に示す当量比とHCl除去率の関係より、
処理対象の濃度を設定すれば、概ね噴霧必要量を決定で
き、吹込装置や消石灰サイロの容量を決定できる。活性
炭吹込量は、例えば0.1g/Nm3 程度でよく、消石
灰粉と混合させて噴霧してもよく、別経路で噴霧しても
よい。また、ろ布12はガラス繊維を例示したが、その
他にフェルト、ポリイミドや表面にフッ素をコーティン
グしたものなどが用いられ、これらは排ガスの温度や性
状により適宜採択される。
【0033】さて、ろ布12の表面には図4で述べた如
く、粉体層4が形成される。この粉体層4において排ガ
ス中の有害成分は効率よく除去されるのである。次に、
ろ布12に堆積した粉体層4は、逆洗手段23により逆
洗され、ろ布12の粉体層4は少なくとも一部が払い落
とされる。払い落とされた粉体(飛灰)は、下部のダス
ト排出装置24より系外に排出される。ろ布12を通過
した排ガスは、清浄ガスとなって排出ダクト22を介し
て系外に排出される。なお、脱硝処理その他の処理が必
要な場合は、これらの処理を経たのち煙突(図示せず)
から大気放散される。ろ布12の粉体層4を払い落とす
際の逆洗手段23の一例を、図3に示す。
【0034】図3は、バグフィルタ装置11の上部の断
面状態を示す簡略図であり、簡単のため、ろ布12を5
本×5列とした場合を示す。図において、12はバグフ
ィルタ装置11のろ布、13は噴射管、14は電磁弁、
15はヘッダ、16はコンプレッサ、17は圧力調整
弁、18は圧力ゲージである。
【0035】図に示すように、施設内のコンプレッサ1
6より、圧縮空気がヘッダ15に供給され、電磁弁14
aを開として、噴射管13aのろ布12に対応する5つ
の噴射口(図示せず)から圧縮空気が噴射され、このパ
ルスジェット空気により噴射管13aに対応する5つの
ろ布12の粉体層4が払い落とされる。電磁弁14の開
放時間は例えば0.05〜0.5秒の短時間であり、2
〜6kg/cm2 G程度の圧縮空気が噴射管13aを介
して噴射される。次に所定の時間(噴射間隔)後に、2
列目のろ布12が電磁弁14b、噴射管13bを介して
同様にパルスジェットが噴射される。これを順次繰り返
すことにより、すべてのろ布12の粉体層4が払い落と
される。この後も同様に操作が継続される。
【0036】ここでは簡単のためろ布の本数などを少な
めに記載したが、例えば排ガス量が40000Nm3
h程度であれば、ろ布12は数百本必要となる。1本の
噴射管13がパルスジェットを噴射するろ布12の本数
は、例えば5本〜20本程度である。また、噴射管13
の数、すなわちろ布12の列は、5〜50列程度であ
る。同図ではヘッダ15を1つ設置したが、複数設置し
て、1つのヘッダ15に対応する噴射管13の数を少な
めに設定することもできる。パルスジェット空気の噴射
圧は、圧力調整弁17により調整され、圧力ゲージ18
に噴射圧が表示される。パルスジェットの噴射間隔(あ
る列の噴射から次の列の噴射にいたるまでの時間)は、
例えば1分〜20分程度が採用され、タイマー(図示せ
ず)により設定される。以上のように、パルスジェット
式のバグフィルタ装置11は構成される。
【0037】図1を参照して本発明の説明に戻ると、バ
グフィルタ装置11の後段に設置された例えばタービン
流量計からなるガス流量検知器33、および例えばK熱
電対からなる温度検出器32により、処理ガスの流量お
よび温度が検出され、該検出されたデータ(信号)は、
演算器31に送信される。また、バグフィルタ装置11
の入口と出口の差圧(バグフィルタ差圧、実質粉体層の
差圧)は例えばデジタルマノメータからなる差圧検出器
35により検出され、同様に演算器31に送信される。
【0038】演算器31では、上記ガス流量と温度によ
り、上記差圧が基準条件下に補正され、補正差圧が算定
される。また、演算器31には予め初期データとして、
逆洗性能を示す物性値が入力されている。次に、前記補
正差圧のうち、粉体層4内の一次層2に係る差圧を上記
逆洗性能を示す物性値と比較することにより演算し、表
示する。またこのとき、全粉体層差圧(バグフィルタ差
圧)に対する一次層2の差圧の比率を算出してもよい。
前記一次層2の差圧が所定値、例えば30mmAqとな
ったとき、ろ布12の目詰まり開始と判断し、バグフィ
ルタ装置11における逆洗手段23に、逆洗を強化する
ための逆洗制御信号39を送信する。この逆洗制御信号
39は、現在、設定し実施しているパルスジェットの噴
射間隔をさらに短くする信号または/および噴射圧をさ
らに上昇させる信号である。
【0039】噴射間隔をどの程度短くするか、噴射圧を
どの程度上昇させるかは、予め演算器31に入力してお
くことが必要である。あるいは、所定値に達したとき
は、自動制御とせずに、中央制御室や係員に一次層差圧
上昇を知らせるように構成し、マニュアル制御としても
よい。現在の噴射間隔が例えば6分間隔であれば、半分
の3分間隔とすることができる。3分間隔の逆洗を少な
くともろ布12全体に一巡する時間(20列であれば6
0分)、継続して実施する。その後、差圧の改善が見ら
れ、例えば前記所定値30mmAqに対して、例えば一
次層差圧がその5割以下の値である10mmAqに回復
した場合に、3分間隔とした逆洗の強化を解除し、もと
の逆洗条件(この場合6分間隔)に戻す。但し、逆洗強
化の解除においては、緩やかにもとに戻すべくPID制
御を用いてもよいし、もとの条件よりやや強化した条
件、例えば5分間隔などとしてもよい。
【0040】逆洗を短くすることの効果は、図5に示し
た。図5はパルスジェットの噴射間隔とバグフィルタ差
圧の関係を示した線図であるが、ここで例示した通り、
逆洗間隔を短くしても、相対的に大きな差圧の改善(低
下)は見られない。したがって、逆洗を強化する際に
は、パルスジェットの噴射圧力を上昇させることの方が
相対的に望ましい。図6はパルスジェット噴射圧力とバ
グフィルタ差圧の関係を例示した線図であるが、同図に
よれば、噴射間隔を短くすることにより、噴射圧力を上
昇させた方が効果が大きいことが分かる。
【0041】次に、パルスジェット噴射圧力を増加させ
る制御を例示する。現在の噴射圧力が例えば2kg/c
2 Gであれば、4kg/cm2 Gと上昇させることが
できる。この4kg/cm2 Gによる逆洗を少なくとも
ろ布12全体に一巡する時間(噴射間隔が6分、ろ布列
が20列であれば120分)、継続して実施する。その
後、差圧の改善が見られた場合は、もとの逆洗条件(こ
の場合2kg/cm2G)に戻すことにより、逆洗の強
化を解除すればよい。噴射間隔で説明したとおり、元の
条件に戻す際は、必ずしも初期値の2kg/cm2 Gで
なくともよく、やや強化した条件、2.5kg/cm2
Gとしてもよく、PID制御を用いてもよい。
【0042】逆洗制御信号39を受信した逆洗の強化を
実施する逆洗手段23は、噴射間隔を短くする場合は、
逆洗手段23内の設定タイマーの値を短くするように自
動的に作動し、噴射圧を上昇する場合は、逆洗手段23
内の圧力調整弁が噴射圧を上昇するように自動的に作動
する。但し、上述したように、このような自動制御でな
く、中央制御室に一次層圧上昇を表示することにより、
係員によるマニュアル操作としてもよい。また、演算器
31は、バグフィルタ装置11の既存の制御盤に組み入
れてもよいし、中央制御室に信号を送信するよう配線
し、中央制御室内の制御システムに組み入れてもよい。
【0043】ここで、演算器31による一次層2の推定
演算方法について、説明する。まず、バグフィルタ装置
11の立ち上げ当初の性能試験時、あるいは安定運転時
に採取した、パルスジェット空気の噴射圧(以下単に噴
射圧という)とバグフィルタ差圧の関係(図6)、パル
スジェット空気の噴射間隔(以下、単に噴射間隔とい
う)とバグフィルタ差圧の関係(図5)を初期データと
して、演算器31に予め入力する。これらの関係(性
能)をもとに、現在の運転時の噴射圧と噴射時間とバグ
フィルタ差圧を同図にプロットし、初期性能に対する現
在の差圧のズレ(増加分)を認識する。このズレが一次
層の差圧である。
【0044】例えば、図6はパルスジェット噴射間隔が
5分のときの性能図であるが、現在、噴射圧が2kg/
cm2 G、5分間隔の条件で運転していて、現在の差圧
が80mmAqであったとすると、図6にこれらの点を
プロットすると、性能曲線とのズレは80−50=30
mmAqと算定され、この値が一次層2の値である。こ
の例では噴射間隔の変更がないためこの影響を考慮しな
くてもよいが、噴射間隔が2分であったとすると、図5
より噴射間隔5分に対して2分の場合は、ほぼ1割減で
あるので、図6における曲線を1割下方に修正して算定
し、80−50×0.9=35mmAqと一次差圧を算
定できる。このように、初期の逆洗に係る性能図を初期
データとして演算器に入力しておけば、この性能との比
較により、一次層2の差圧を推定できる。但し、計算方
法は上記に限られるものではなく、数学的に類似の各手
法が用いられる。
【0045】次に、基準通ガス条件下に差圧を換算する
方法について説明する。差圧の補正は、例えば基準通ガ
ス条件として、定格時の通ガス量を基準ガス量とする場
合は、現時点での通ガス量を基準ガス量に比例換算して
補正差圧とする。例えば、基準通ガス量を40000N
3/hとして、現在の通ガス量が50000Nm3
h、差圧が100mmAqであったとすると、換算後の
差圧は、100×40000/50000=80mmA
qと算定される。さらに温度についても換算する場合
は、ガスの粘性が変化しこの粘性に比例して差圧が変化
するので、基準時の温度における粘性値を用いて差圧を
補正することができる。但し、温度変動が少ない場合や
簡便手段をとる場合は、通ガス量による前記補正のみで
十分である。また、基準時のろ過速度との比較により比
例補正して差圧を補正してもよい。ろ過速度はろ布12
を通過する実流速であるので、温度の要素も考慮される
ことになる。
【0046】このような差圧の補正は、演算器31によ
って実施する。差圧を基準通ガス条件に補正しないでそ
のまま用いると、例えば焼却施設で焼却量の負荷変動等
によりガス量が多くなった場合、一次層2が目詰まり開
始に到達していないにもかかわらず、見かけの差圧は上
昇してしまい、所定値に達してしまったと不必要に誤認
するおそれや、ガス量が少なくなった場合は逆に一次層
2の目詰まりが開始されているにもかかわらず、これを
見落としてしまい、目詰まりが進行してしまうおそれが
ある。したがって、差圧は上述の如く、基準通ガス条件
に補正することが望ましい。
【0047】次に、逆洗を強化開始する際の一次層2の
差圧(または比率)の所定値について説明する。一次層
差圧の所定値とは、例えば10〜50mmAqの範囲の
いずれかの値が採用できる。上記一次層差圧の全差圧に
対する比率とは、例えば0.1〜0.5の範囲の何れか
の値が採用できる。ただし、被焼却物や排ガスの性状、
噴霧する薬剤の種類、上記性能図の採取時期等により、
必ずしも適した範囲は上記に限られない。逆洗を強化す
る際の一次層2の差圧(または比率)の所定値は低く設
定する方がより安全にろ布12の目詰まりを回避できる
が、ごく低い値に設定すると、比較的頻繁に逆洗を強化
することになり、逆洗用圧縮空気を余分に消費し、かつ
反応に係る二次層3の厚みが相対的に少なくなるので、
有害成分の除去効果を維持しようとすると、薬剤の量が
増大してしまう可能性がある。一方、逆洗を強化する際
の一次層2の差圧(または比率)の所定値を高く設定す
ると、一次層2の性状により異なるが、すでに目詰まり
開始に至って進行過程にあるおそれが増加するため、好
ましくない。
【0048】逆洗の強化を実施したあと強化を停止する
タイミングは、上述したように、一次層差圧(または比
率)が上記所定値以下に回復したときでよいが、実際の
制御では、所定値の例えば半分以下となったときに強化
を停止するように制御することが望ましい。この停止段
階では、徐々に逆洗条件を緩やかにするように、PID
制御を実施してもよい。また、図5、図6に例示した逆
洗性能を採取する時点が運転を開始してから十分日数が
経過している場合は、すでに一次層2が形成されている
ことが多く、この場合は、上記範囲内外で低めの値を所
定値として採用することが望ましい。この所定値は運転
の都合で任意に変更してもよいが、演算器31には予め
設定した所定値を入力しておく。
【0049】次に、逆洗を強化する手段、方法について
説明する。一次層差圧(または比率)が所定値に達した
とき、逆洗を強化する手段として噴射頻度を増加させ
る、噴射圧を増加させる、通ガス量を一時的に減少また
は通ガスを停止させて逆洗を実施する、剥離剤を噴霧す
る、あるいはこれらの組み合わせが採用できる。これら
の内、逆洗手段による逆洗の強化は、パルスジェット空
気の噴射圧力を上昇させる手段によることが効果的であ
る(請求項2に係る発明)。なぜならば、すでに例示し
た図6の性能図に示したように、パルスジェット空気の
噴射圧を高くするとバグフィルタの差圧が顕著に減少す
る効果があり、噴射頻度を増加させる効果より大きい。
すなわち、高パルスジェット圧とすることによる逆洗効
果は大きく、付着性・凝集性を高めつつある一次層2の
一部、あるいは、二次層3内の非反応二次層5における
反応性生物の付着性・凝集性が増加して一次層2に移行
しつつある部分の層を、パルスジェット噴射により効果
的に払い落とすことができる。すなわち、目詰まり開始
または進行を効果的に回避できる。
【0050】噴射圧力を例えば2倍と増加させても、噴
射空気量はおよそ1.4倍(2の平方根)程度で抑える
ことができ、噴射頻度を増加させるよりも好適である。
さらに、上記の例示である、通ガス量を一時的に減少さ
せたり停止させて逆洗を実施する場合や、珪藻土などの
剥離剤を噴霧することも効果的であるが、通ガスを減少
させたり一次停止するといった面倒な操作を回避でき、
剥離剤を噴霧する設備を設置しないで済む、簡便な方法
で、効率よくろ布12の目詰まりの進行を回避できる。
【0051】以上例示して述べた本発明に係る制御を実
施すれば、ろ布12表面の粉体層における一次層2の成
長を抑制でき、目詰まりを発生させないので、長期にわ
たって安定運転が可能である。なお、ろ布12は何れの
材質であれ、逆洗時や通ガス時の機械的磨耗等により強
度が徐々に劣化するので機械的寿命が存在し、使用条件
にもよるが寿命あるいは交換時期は、例えば2〜10年
の範囲であることが多い。本発明はこの物理的強度が保
たれる範囲の長期にわたり、目詰まりをほとんど発生さ
せないで安定した連続運転を達成することが可能であ
る。
【0052】本発明は、焼却、加熱、溶融等の各種操作
から排出される有害成分を含む排ガスに薬剤を噴霧して
パルスジェット式バグフィルタ装置を用いて処理する方
式であれば採用できる。排ガスの種類として、例えば、
都市ごみ、産業廃棄物を焼却、溶融処理する過程や、こ
れらの処理過程で排出される灰を溶融処理する過程から
排出される排ガス、さらには金属精練工場などスクラッ
プを予熱、溶解する際に排出される排ガスに採用できる
が、これに限定されるものでない。
【0053】ここで、HCl濃度に対するSOX 濃度の
比率が1割以上で消石灰粉を噴霧して処理する廃棄物焼
却施設の排ガス、集塵後すなわち焼却由来のばいじんを
含まない排ガスに消石灰粉を噴霧してバグフィルタで反
応集塵する際の排ガス(二段集塵における後段側の排ガ
ス)、酸性成分の当量比または当量比以下の少量にて消
石灰を噴霧してバグフィルタで反応集塵する際の排ガス
(規制値の緩い施設または後段に湿式処理を備える施設
の排ガス)、都市ごみ等廃棄物や焼却残査や飛灰を溶融
する施設から排出される重金属や塩類からなる微粉ばい
じんを多く含む排ガス、の反応集塵においては、ろ布の
目詰まりを誘発する傾向が高いことが判明しているが、
本発明を採用することにより、確実にろ布の目詰まりを
回避、抑制し、長期にわたって安定した稼働を達成でき
る。
【0054】また、本発明はパルスジェット式バグフィ
ルタを用いた運転方法を提供したが、逆風式、振動式、
リバースジェット式の各種バグフィルタであっても、採
用することが可能であり、効果も相当に得られるが、一
次層差圧の推定に各種の工夫を要する。
【0055】また、本発明における排ガス中の有害成分
を除去するための薬剤は、HCl、SOX 、HF等の酸
性成分除去剤として、消石灰、CaCO3 、Na2 CO
3 、NaHCO3 等のアルカリ性中和剤が用いられ、ダ
イオキシン類や水銀の除去剤として、活性炭、活性コー
クス、ゼオライト、触媒粉が用いられるが、これらに限
定するものではなく、有害成分に対応した各種薬剤が用
いられる。これらの薬剤は粉体状であれば、バグフィル
タろ布に到達して粉体層を形成するが、液体状、スラリ
ー状の薬剤であっても、蒸発過程を経て結果としてバグ
フィルタろ布に粉体として到達する態様であればよく、
本発明を好適に採用でき、本発明の作用・効果を得るこ
とができる。
【0056】
【発明の効果】排ガス中に薬剤を噴霧してパルスジェッ
ト式バグフィルタ装置で捕集するとともに排ガス中の有
害成分を除去する方法において、本発明のバグフィルタ
の運転方法及びこれを実施するバグフィルタ装置によれ
ば、以下の効果が得られる。 (1) 通常時に払い落としが困難とされる一次層を定
義し、該一次層に相当する差圧を推定するか、全差圧の
内の比率を推定して、この推定値をもとにバグフィルタ
の目詰まり開始を判定して逆洗を強化するので、一次層
が運転日数の経過とともに成長し、やがてろ布の目詰ま
りに到達してしまう不具合を未然に回避することができ
る。すなわち、ろ布の機械的強度が保たれる範囲内の長
期にわたり、ろ布の目詰まりを誘発させることなく、安
定した運転が可能となる。
【0057】(2) 逆洗を強化する際にパルスジェッ
ト噴射圧を上昇させる簡易な方法を採用するので、付着
性・凝集性を高めつつある一次層の一部、あるいは、二
次層内の非反応二次層における反応生成物の付着性・凝
集性が増加して一次層に移行しつつある部分の層を、パ
ルスジェット噴射により効果的に払い落とすことができ
る。同時に、通ガスを減少させたり一次停止するといっ
た面倒な操作を回避でき、剥離剤を噴霧する設備を設置
しないで済み、簡便な方法で、効率よくろ布の目詰まり
の進行を回避できる。
【0058】(3) 差圧は、基準通ガス条件下に換算
して得られる補正差圧を用いるが、このようにして一次
層の差圧を正確に読まないと目詰まり判断が鈍るので、
差圧を補正して評価することにより、より優れた効果を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の簡略図である。
【図2】バグフィルタ装置の構成を示す簡略図である。
【図3】バグフィルタ装置の逆洗手段を説明するための
簡略図である。
【図4】ろ布表面の粉体層の模式図である。
【図5】パルスジェット噴射間隔とバグフィルタ差圧の
関係を示す線図である。
【図6】パルスジェット噴射圧力とバグフィルタ差圧の
関係を示す線図である。
【図7】消石灰のHClに対する当量比とHCl除去率
との関係を示す線図である。
【符号の説明】
2 一次層 3 二次層 4 粉体層 5 非反応二次層 6 反応二次層 11 バグフィルタ装置(本体) 12 ろ布(層) 21 導入ダクト 22 排出ダクト 23 逆洗手段 24 ダスト排出部 31 演算器 32 温度検出器 33 ガス流量検出器 34 有害成分濃度検出器 35 差圧検出器 36 薬剤噴霧手段 37 薬剤吹込口 38 噴霧量制御手段 39 逆洗制御信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D002 AA02 AA19 AC04 BA03 BA14 CA11 DA05 DA12 GA02 GA03 GB02 GB04 GB06 4D058 JA04 MA25 MA52 MA53 MA54 PA04 TA02 UA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排ガスに薬剤を噴霧してパルスジェット
    式バグフィルタ装置で捕集するとともに排ガス中の有害
    成分を除去する方法において、 バグフィルタろ布表面の各種粉体からなる粉体層を、ほ
    とんど反応に関与せず通常運転時に払い落としが困難な
    一次層とこれ以外の二次層とに分割し、稼働当初または
    安定運転時の逆洗性能を示す物性値にもとづいて一次層
    の差圧または該差圧の全差圧に対する比率を推定し、前
    記差圧または前記比率が所定値以上となったときにバグ
    フィルタろ布の目詰まり開始と判定し、逆洗手段による
    逆洗を強化するように制御することを特徴とするバグフ
    ィルタの運転方法。
  2. 【請求項2】 逆洗手段による逆洗の強化を、パルスジ
    ェット空気の噴射圧力を上昇させることにより行うこと
    を特徴とする請求項1記載のバグフィルタの運転方法。
  3. 【請求項3】 差圧は、基準通ガス条件下に換算して得
    られる補正差圧を用いることを特徴とする請求項1記載
    のバグフィルタの運転方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの方法を実施す
    る装置であって、 逆洗手段を備えたバグフィルタ装置本体と、 該バグフィルタ装置本体の排ガス導入側に設けられて排
    ガスに薬剤を噴霧する薬剤噴霧手段と、 前記バグフィルタ装置本体の近傍に設けられた排ガスの
    温度検出器、流量検出器と、前記バグフィルタ装置本体
    の排ガス導入側と排ガス排出側の差圧を検出する差圧検
    出器と、 前記温度検出器、流量検出器及び差圧検出器からの情報
    に基いて前記逆洗手段に制御信号を送る演算器とを備え
    たことを特徴とするバグフィルタ装置。
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