JP3368751B2 - 反応バグフィルターシステム及びその運転方法 - Google Patents

反応バグフィルターシステム及びその運転方法

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JP3368751B2
JP3368751B2 JP16017696A JP16017696A JP3368751B2 JP 3368751 B2 JP3368751 B2 JP 3368751B2 JP 16017696 A JP16017696 A JP 16017696A JP 16017696 A JP16017696 A JP 16017696A JP 3368751 B2 JP3368751 B2 JP 3368751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ焼却処理
施設および可燃性廃棄物焼却処理施設に付属する反応バ
グフィルターシステム及びその運転方法に関し、詳しく
は、排ガス中に含まれる酸性ガスを効率よく除去するた
めの反応バグフィルターの最適運転方法がなし得る反応
バグフィルターシステム及びその運転方法に係るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】バグフィルターは、従来から燃焼排ガス
中のダストを除去する集塵機として広く使用されてい
る。最近では都市ごみ焼却施設にも用いられている。こ
のような施設におけるバグフィルターでは、バグフィル
ター内にアルカリ剤を噴霧して、排ガス中のHCl、S
X 等の有害ガスを除去する有害ガス除去装置として用
いられる場合が多い。このような除塵および酸性ガス除
去機能を備えているバグフィルターを反応バグフィルタ
ーと呼ぶことにする。反応バグフィルターの酸性ガス除
去性能は、通常、反応バグフィルター内の反応温度やア
ルカリ剤添加当量比といった因子によって評価したり、
パルスジェット方式、逆洗方式といった濾布洗浄方式の
違いで評価されていた。
【0003】反応バグフィルターシステムにおける運転
制御では、温度、濾過速度、バグフィルター差圧を固定
して、アルカリ剤添加量を制御して、バグフィルター出
口の酸性ガス濃度を監視しているケースが多かった。即
ち、出口酸性ガス濃度が基準値を越えるような時に、ア
ルカリ剤添加量を増加させるといった制御方法であっ
た。また、バグフィルター内の温度が変化した際に、出
口酸性ガス濃度を制御する上で、出口酸性ガス濃度が基
準値を越えない限り、新たな制御を特に系統的に行わな
いことが多かった。これは濾過速度やバグフィルター差
圧が変化したときにも同様であった。また、バグフィル
ター差圧を上昇させたり、濾過速度や温度を下げたりし
て酸性ガス除去効率を向上させるような試みは、単独の
制御因子についてはなされることがあった。しかし、複
数の因子を定量的に把握し関連づけて、酸性ガス除去の
制御に活かすことはなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】都市ごみ焼却処理施設
および可燃性廃棄物焼却処理施設の排ガス中に含まれる
バグフィルター入口又は炉出口の酸性ガス濃度(以下、
入口酸性ガス濃度と称する)の計測には、ガスクロマト
グラフィ等の分析計で計測する方法があるが、機器が高
価なものであることと、連続的に計測することは通常困
難である欠点がある。また、半導体ガスセンサは耐久性
に問題があるので好ましいものではない。勿論、出口と
同様に連続測定機を用いて、入口濃度を監視することが
好ましいが、このような観点から排ガス中の入口酸性ガ
ス濃度を推測して中和剤の当量比を設定する制御方法が
可能であれば理想的である。
【0005】また、バグフィルターで処理された排ガス
中の酸性ガス濃度(出口酸性濃度)の推測は、反応バグ
フィルターの酸性ガス除去効率が推測できれば可能であ
るが、反応バグフィルターの酸性ガス除去効率を決定す
る因子はさまざまなものが存在する。例えば、アルカリ
剤添加量、アルカリ剤添加当量比、アルカリ剤種類、バ
グフィルター内の温度、濾布における濾過速度、排ガス
流量、バグフィルター差圧、濾布の反応層の厚み、濾布
の種類、排ガス中水分濃度、飛灰の性状、ごみ質、洗浄
方式(払い落とし方式)、パルスジェット圧、パルスジ
ェット間隔、逆洗間隔、バグフィルター内の流速分布等
数多く存在する。
【0006】これらの因子は相互に関連していたり、実
際にこれらの因子を総合的に制御することが困難であっ
たり、これらの因子の酸性ガス除去効率に与える影響度
が正確に把握できないのが現状であった。このようなこ
とから、従来、これらの因子を特定して最適な反応バグ
フィルターの運転を系統的に行うことは困難な状況にあ
った。
【0007】従って、従来技術で述べたように、単独の
制御因子による出口酸性ガス濃度の制御にとどまった
り、複数の因子を系統的に制御して、出口酸性ガス濃度
を最適に制御することができなかった。更には、出口酸
性ガスをサンプリングしてその濃度が基準値を越えてか
ら運転制御を行うという事後処理的な制御であった。こ
のような事後処理的に出口酸性ガス濃度を制御する場
合、例えば、アルカリ剤添加量によって出口酸性ガス濃
度を制御するにあたり、出口酸性ガス濃度が基準値を越
えたと判断して、アルカリ剤添加当量比を増大させたと
すると、時間的なずれによって、既に、出口酸性ガス濃
度が基準値以下であるにもかかわらず、過剰にアルカリ
剤を添加し続けることがあり、アルカリ剤を余分に消費
することになる欠点があった。
【0008】また、アルカリ剤添加量を一定のままに維
持した場合は、反応バグフィルター温度や排ガス流量が
低下したとすると、酸性ガス除去効率が上昇し出口酸性
ガス濃度が基準値を越えることがないにもかかわらずア
ルカリ剤添加量は一定に維持されるために過剰なアルカ
リ剤が消費される欠点があった。
【0009】また、出口酸性ガス濃度が基準値を越える
場合または越えることが予想される場合、例えばバグフ
ィルター差圧を増加させることで、アルカリ剤添加量を
増加させずに済むことが考えられる。しかし、従来は、
このような操作をすることなくアルカリ剤を一定量を添
加しており、その結果、アルカリ剤の消費量が多くなる
欠点があった。
【0010】更に、反応バグフィルターの酸性ガス除去
効率を評価する上で、例えば、濾過速度が10%増加し
た分が、アルカリ剤添加量の増加分の幾らに相当する
か、また、バグフィルター内温度が何度上昇分に相当す
るか、などの各因子による酸性ガス除去分率に対する定
量的な評価をすることなく、酸性ガス除去がなされてい
た。言い換えると従来の反応バグフィルターは最適制御
することなく運転されており、エネルギーが無駄に消費
される場合が多い欠点があった。
【0011】本発明は、これらの課題を解決するために
なされたものであり、先に述べた酸性ガス除去効率に影
響を与える因子の中で、反応バグフィルターの酸性ガス
除去率が制御可能な因子によって、酸性ガス除去率を推
定した制御することによって最適制御するようにした反
応バグフィルターシステム及びその運転方法を提供する
ことを目的とするものである。また、本発明は、先に述
べた酸性ガス除去効率に影響を与える因子の中で、都市
ごみ焼却処理施設および可燃性廃棄物焼却処理施設が建
設された時点で変更不可能な因子、及び制御が困難な因
子を除いて、日常の運転の中で制御可能な制御因子と、
他の不確定な因子による総括因子(酸性ガス除去効率に
大きな影響を与えない因子を一つにまとめた因子)とに
よって、反応バグフィルターシステム及びその運転方法
を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであり、第一の発明は、焼却
炉等の燃焼排ガス中の塵埃及び酸性ガスを除去する反応
バグフィルターと、前記反応バグフィルターに供給され
る前記焼却炉等の燃焼排ガスの温度を低下させて調温す
る減温塔と、前記反応バグフィルターに供給される排ガ
ス中にアルカリ剤を注入するアルカリ剤供給装置と、前
記反応バグフィルターの濾布に付着するダストを払い落
とす払い落とし装置と、前記反応バグフィルターの排ガ
ス入側と出側の圧力を検出する第1と第2の圧力検出器
と、前記反応バグフィルターのバグハウス内温度を検出
する温度検出器と、前記反応バグフィルターの排ガス流
量を検出する流量検出器と、制御装置とを具備する反応
バグフィルターシステムに於いて、前記制御装置が、前
記焼却炉等を運転するための制御手段を備えるととも
に、前記焼却炉等の燃焼排ガス中の酸性ガス濃度と前記
アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤添加量と排ガス流
量とによって排ガス中に供給するアルカリ剤の添加当量
比Mを設定するアルカリ剤添加当量比算出手段と、前記
第1と第2の圧力検出手段によってバグフィルター差圧
Pを算出するバグフィルター差圧算出手段と、前記反応
バグフィルター内温度Tを計測するバグハウス内温度計
算手段と、前記流量検出器の出力に基づいて反応バグフ
ィルターの濾過速度Lを算出する濾過速度算出手段と、
補正因子である総括因子設定手段とを具備し、これら手
段の出力に基づいて前記反応バグフィルター出力側排ガ
スの酸性ガス濃度を推定して、排出される排ガス中の酸
性ガス濃度を所定値または所定値以下に設定することを
特徴とする反応バグフィルターシステムである。
【0013】第二の発明は、焼却炉から排出される酸性
ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応
バグフィルターの運転方法に於いて、前記排ガスの酸性
ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ剤添加当量比M、
バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度
L、およびバグフィルター差圧Pの制御因子と、他の総
括因子Sとによる関係式からバグフィルターの酸性ガス
除去率Rを算出し、前記酸性ガス除去率Rによって酸性
ガスの反応バグフィルター出力濃度を推定し、酸性ガス
の反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定
濃度値以下になるように制御することを特徴とする反応
バグフィルターシステムの運転方法である。
【0014】R=f(M,T,L,P,S) 但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),
M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排
ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min
),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の
総括因子
【0015】第三の発明は、焼却炉から排出される酸性
ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応
バグフィルターの運転方法に於いて、前記排ガスの酸性
ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ剤添加当量比M、
バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度
L、およびバグフィルター差圧Pの制御因子と、他の総
括因子Sとの5つの因子の酸性ガス除去率Rに与える影
響度に応じた係数を求める各除去率推定係数式(FM
T ,FL ,FP ,FS)による総合的な除去率推定係
数式Fに基づいてバグフィルターの酸性ガス除去率Rを
求めて、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度を推定
して、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃
度値または所定濃度値以下になるように制御することを
特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法であ
る。
【0016】FM =g(M) FT =h(T) FL =i(L) FP =j(P) FS =k(S) F=FM ×FT ×FL ×FP ×FS R=(100×A)/(A+1) A=A0 ×F A0 =R0 /(100−R0 ) 但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),
M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排
ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min
),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の
総括因子,FM :Mの除去率推定係数式,FT :Tの除
去率推定係数式,FL :Lの除去率推定係数式,FP
Pの除去率推定係数式,FS :Sの除去率推定係数式,
F:M,T,L,P,Sによる除去率推定係数式,A:
酸性ガス除去率誘導式(酸性ガス除去能),A0 :酸性
ガス除去能基準値または初期値(定数),R0:酸性ガ
ス除去率基準値または初期値(定数),
【0017】第四の発明は、第3の発明において、前記
除去率推定係数式(FM ,FT ,F L ,FP )は、それ
ぞれの制御因子による一価関数であり、指数関数または
整式、およびこれらの組み合わせによって、それぞれの
制御因子ごとに設定することを特徴とするに記載の反応
バグフィルターシステムの運転方法である。
【0018】第五の発明は、第2,3または4の発明に
おいて、前記制御因子(M,T,L,P)の制御範囲
が、アルカリ剤添加当量比0〜10、温度120〜25
0℃、濾過速度0.3〜3.0 m/min、バグフィルター
差圧30〜300 mmAq とする反応バグフィルターシス
テムの運転方法である。
【0019】第六の発明は、第2,3,4または5の発
明において、前記制御因子の内に3つ制御因子を固定
し、残りの1つの制御因子の値を制御して酸性ガスの反
応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度
値以下になるように制御することを特徴とする反応バグ
フィルターシステムの運転方法である。
【0020】以下、本発明の作用について説明する。本
発明は、反応バグフィルターシステムにおいて、酸性ガ
ス除去効率に影響を与える数多くの因子の中から4つの
制御可能な制御因子(アルカリ剤添加当量比M、バグハ
ウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、バグ
フィルター差圧Pと、総括因子Sの合計5つ(以下、5
つの説明因子)を抽出して、酸性ガス除去率が推定でき
るとともに、上記5つの説明因子の内、総括因子を除く
4つの因子(以下、4つの制御因子)で酸性ガス出口濃
度を制御することができる。
【0021】酸性ガス除去効率に影響を与える因子とし
て、総括因子FS を設定することによって、4つの制御
因子以外の酸性ガス除去効率に影響を与える因子の変
更、例えば、異なる性能等を有する濾布に交換、バグハ
ウスの改造等が発生した場合には、総括因子FS の値を
適宜変更することのみによって、4つの制御因子による
制御方法を変更することなくても制御できる簡便さがあ
る。更に、ある焼却施設で制御に用いた除去率推定係数
式を、類似した別の焼却施設で用いる場合には、総括因
子FS の値の変更のみで、運転が可能である。このよう
に総括因子FS は制御因子の補正因子としての機能を有
する。
【0022】4つの制御因子毎に除去率推定係数式で与
えるので、4つの制御因子間の酸性ガス除去効率への影
響度を定量的に比較できる。反応バグフィルターの酸性
ガス除去率Rを評価する際に、酸性ガス除去能Aを定義
し、同式を導入することにより、5つの説明因子の積で
FおよびAを表すことができるから、酸性ガス除去率R
を算定することができる。
【0023】ここで、酸性ガス除去能Aは次のように
も、表現することができる。 A=(入口酸性ガス濃度)/(出口酸性ガス濃度)−1 即ち、酸性ガス除去能Aは、出口濃度が小さくなれば除
去能は上昇し、除去率が0%のとき、除去能Aは0、除
去率が50%のとき、除去能は1、除去率が100%の
とき、除去能は無限大といったような意味を持つ導入式
である。
【0024】さて、酸性ガス除去率の示強関数であるF
M 等の5つの除去率推定係数式は、相対的な強度即ち強
度比を表しており、一方、酸性ガス除去能Aも入口濃度
と出口濃度の比であることから、これらの式は、式の意
味上よく類似しているから結合して用いることができ
る。よって、酸性ガス除去能AはFで容易に説明できる
から、酸性ガス除去率Rを評価するにあたり、酸性ガス
除去能Aを導入することは、有効なことである。
【0025】次に、各4つの制御因子による除去率推定
係数式は、経験式としてか、あるいは、理論計算式とし
て、各制御因子による一価関数として、指数関数または
整式およびこれらの組み合わせで与えることによって、
上記第二,第三の発明の方法によって、推定する酸性ガ
ス除去率が算出される。一度設定した除去率推定係数式
は、他の焼却施設のバグフィルターシステムにもそのま
ま応用が可能であり、汎用的なものである。
【0026】以上から、酸性ガス除去率の推定方法が確
立されるために、酸性ガス除去率を簡便な式によって、
容易にしかも定量的に推定することが可能である。
【0027】次に、各制御因子の制御範囲について述べ
る。アルカリ剤添加当量比を10以上とすると、アルカ
リ剤供給装置の能力に限界があることと、アルカリ剤供
給量の増大によってコストが増大するので好ましくな
い。
【0028】温度を120 ℃以下とすると、酸性ガスの酸
露点に達し、配管等の腐食が著しくなるから好ましくな
く、250 ℃以上とすると、多くの場合バグフィルター濾
布の耐熱限界を越えることと、排ガス中の有害有機塩素
化合物が発生するので好ましくない。
【0029】また、濾過速度を0.3m/min以下とすると、
アルカリ剤吹込が粉末の場合は濾布に付着せずに重力に
より落下し、効果的な酸性ガス除去が達成できなくなる
から好ましくない。また、3.0m/min以上とすると、濾布
表面での酸性ガスとアルカリ剤と接触時間が短くなり、
効果的な中和反応が達成できないことと、バグ差圧が大
幅に上昇して運転上、支障をきたす場合があるので好ま
しくない。
【0030】また、バグフィルター差圧は、30mmAq以上
300mmAq 以下とする。30mmAq以下であると、30mmAq以下
になることは立ち上げ時を除けば、通常の運転ではあり
得ないことと、濾布でのアルカリ剤による反応層の厚み
が小さくなりすぎて、酸性ガス除去効率が大幅に減少す
るから好ましくなく、300mmAq 以上とすると、誘引送風
機に負担がかかるか大型の誘引送風機を使用しなければ
ならないので好ましくない。
【0031】4つの制御因子の範囲は、実際に実現可能
な制御を達成することができる。出口濃度を制御する場
合に、4つの制御因子の内、3つを固定し、残りの一つ
の制御因子を、推定する酸性ガス除去率R式により求め
て制御することによって、残りの一つの制御因子の値が
同酸性ガス除去率R式によって、正確に決定され、この
制御因子値に近づける制御を行うことによって、出口濃
度が効率的に素早く制御さることができる。
【0032】この制御に於いて、例えば、アルカリ剤添
加量比を上昇させずに、他の制御因子を同式から推定し
た値に制御することによって、出口濃度を制御すること
ができる。
【0033】実際の出口濃度と、推定出口濃度が異なる
場合が、バグフィルターシステム内の何らかの因子の影
響で、発生した場合には、総括因子Sの除去率推定係数
式F S の値を変更することによって、運転中における推
定出口濃度と実際出口濃度を一致させて、上記の同じ制
御が可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るご
み焼却施設等に備えられた反応バグフィルターシステム
の一実施形態を示す概要図である。同図に於いて、ごみ
焼却炉1からボイラ2を介して送られた燃焼排ガスの温
度を下げる減温塔3と、減温塔3に供給される水の供給
量を調節する水供給量制御弁8と、燃焼排ガスが反応バ
グフィルター4に送られる際に、燃焼排ガス中の酸性ガ
スを中和するアルカリ剤を噴霧するアルカリ剤供給装置
9と、減温塔3で温度を低下させた燃焼排ガス中のダス
ト及び酸性ガスを除去する反応バグフィルター4と、反
応バグフィルター4に設けられた濾布(フィルター)に
付着する灰塵を除去する払い落とし装置5と、反応バグ
フィルター4によって燃焼排ガス中の灰塵を除去して清
浄ガスを煙突7を介して屋外に放出する誘引送風機6
と、燃焼排ガスの反応バグフィルター4への流入口と清
浄ガスの流出口にそれぞれ設けられた圧力計12,13
と、反応バグフィルター4内の温度を計測する温度計1
4と、排ガス流量計15と、制御装置10と、制御プロ
グラムが書き込まれた記憶装置11とから構成されてい
る。
【0035】本実施形態の反応バグフィルターシステム
を備えるごみ焼却設備について説明する。ごみ焼却炉1
に投入されたごみは、燃焼用空気と2次燃焼用空気を導
入しながら焼却され、燃焼により温度は800〜100
0℃程度に達する。高温の排ガスは、ボイラ2に導入さ
れて熱交換され、300〜400℃となる。続いて、燃
焼排ガスは減温塔3に送られ、反応バグフィルター4の
濾布の耐熱温度以下、即ち250℃以下に設定するため
に、水噴霧により調温される。減温塔3で温度を低下さ
せて燃焼排ガスは反応バグフィルター4に送られる。燃
焼排ガスが反応バグフィルター4に送られる際、その途
中のダクトに設けられたアルカリ剤供給装置9から酸性
ガスの中和剤として消石灰等の粉末アルカリ剤が吹き込
まれる。反応バグフィルターに導入された排ガスは、バ
グフィルター濾布に堆積したアルカリ剤を通過すること
によって、排ガス中に含まれるダストおよび酸性ガスが
除去される。このときダストとともに重金属やダイオキ
シン類等も一緒に除去される。反応バグフィルター4に
は濾布(フィルター)に付着する塵は払い落とし装置5
によって除去されている。除去されたダストおよび酸性
ガスの反応生成物は、払い落とし装置5によるパルスジ
ェット圧及びパルスジェット間隔を調整することによっ
て払い落とされ、反応バグフィルター4の下部飛灰排出
ホッパーにより系外へ排出される。反応バグフィルター
4を出た排ガスは、酸性ガス濃度を所定値または所定値
以下の清浄なガスとして誘引送風機6で誘引されて煙突
7より大気へ放出される。なお、減温塔3には水噴霧量
を制御する水供給量制御弁8を経て水が減温塔3内に供
給され、その噴霧流量によって燃焼排ガスの温度が制御
され、フィルター等の耐熱温度以下に下げる効果と、反
応バグフィルター4内の反応温度の制御に寄与してい
る。
【0036】本実施形態の反応バグフィルターシステム
では、制御装置10により屋外に排出される排ガス中の
有害酸性ガス量を所定値あるいは所定値以下にするよう
に制御して含塵排ガスを清浄ガスとして排出している。
排ガス中の有害酸性ガス量を所定値あるいは所定値以下
にするに当たり、制御装置10には、反応バグフィルタ
ー4の入出口に設けられた圧力計12,13、燃焼排ガ
ス中の酸性ガス除去率を制御する因子である反応バグフ
ィルター4内の排ガス温度(バグハウス内温度)Tを計
測する温度計14、及び排ガス流量計15等の出力が入
力され、それらの計測値等によって、アルカリ剤添加当
量比Mを設定するアルカリ剤供給装置9、水供給量制御
弁8、払い落とし装置5を制御して、出口濃度監視点B
の酸性ガス濃度を所定濃度または所定濃度以下に制御さ
れる。
【0037】本実施形態では、反応バブフィルター4の
酸性ガスの出力濃度を所定値または所定値以下にするに
は、制御対象とし4つの制御因子、即ちアルカリ剤添加
当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター
濾過速度L、バグフィルター差圧Pと、総括因子Sとを
含めた5つの説明因子を制御することによってなし得
る。これらの因子から反応バグフィルター4の酸性ガス
除去率R(%)が求められる。これらの因子を制御する
ことにより、反応バグフィルター4から排出される排ガ
ス中の酸性ガス除去率R(%)を一定に制御することで
反応バグフィルター4の出力濃度を所定値または所定値
以下に制御することができる。総括因子Sは酸性ガス除
去効率に大な影響を与えない因子を一つにまとめたもの
であり、酸性ガス除去率Rの補正因子でもある。酸性ガ
ス除去率R(%)は以下の関数で表される。
【0038】 R=f(M,T,L,P,S) ……………………(1) また、M,T,L,P,Sの各因子が酸性ガス除去率に
与える影響度を除去率推定係数式で示し、各除去率推定
係数式FM ,FT ,FL ,FP ,FS は以下の関数で表
される。
【0039】 FM =g(M) ……………………(2) FT =h(T) ……………………(3) FL =i(L) ……………………(4) FP =j(P) ……………………(5) FS =k(S) ……………………(6)
【0040】(2)乃至(6)において、FM はMによ
る除去率推定係数式、FT はTによる除去率推定係数
式、FL はLによる除去率推定係数式、FP はPによる
除去率推定係数式、FS はSによる除去率推定係数式で
あり、それらの詳細については、以下に説明する。
【0041】先ず、図1中に、各因子を制御装置10の
入力として示したアルカリ剤添加当量比M、バグハウス
内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、バグフィ
ルター差圧P(但し、P1−P2)のそれぞれの因子に
ついて詳細に説明する。
【0042】Tは温度計14で計測されるバグハウス内
排ガス温度である。バグハウス内排ガス温度Tは、バグ
フィルターでの温度勾配が小さい場合は反応バグフィル
ター入口温度または出口温度でもよい。バグハウス内排
ガス温度Tに影響を与える因子として、反応バグフィル
ター4より上流の様々な因子、例えばごみ焼却量、燃焼
用空気量、減温塔水噴霧量等が考えられるが、通常、減
温塔3による水噴霧量によって、バグハウス内排ガス温
度Tが制御される。
【0043】Mはアルカリ剤添加当量比であり、酸性ガ
スである塩化水素ガス(以下、HCl)と亜硫酸ガス及び
硫酸ガス(以下、SOx )を対象とし、これらとの中和に
おけるアルカリ剤反応当量比を意味する。当量比とは酸
性ガスの中和に必要な以下の反応式を満たす理論上の消
石灰(Ca(OH)2 )添加量に対する実際添加量の比
である。
【0044】
【数1】2HCl + Ca(OH)2 → Ca
Cl2 + 2H2 O SO2 +Ca(OH)2 →CaSO3 +H2 O、 CaSO3 +1/2O2 → CaSO4 SO3 +Ca(OH)2 → CaSO4 + H2 O 但し、SO3 はSO2 に対して少量なので測定では無視
することができる。
【0045】但し、ごみ焼却炉から排出される排ガス中
のSOx濃度は、HCl濃度に対してSOx 濃度が1/1
0以下(例えば、入口HCl 濃度が700ppm に対し、入
口SOx濃度は50ppm )と小さい場合が多く、従っ
て、HCl のみを考慮した添加当量比を用いてもよい。ア
ルカリ剤添加当量比Mは、バグフィルターで処理する前
の入口濃度監視点Aでの濃度(入口濃度)、アルカリ剤
添加量、排ガス流量によって決定される。入口濃度の監
視は酸性ガス計測器で計測してそのデータを用いるが、
常時設置していない場合は、ごみ焼却炉1の定常運転に
おける酸性ガス濃度の設計基準値や代表値で代用するこ
ともできる。または、ごみ投入量やごみの発熱量等と、
入口酸性ガス濃度の相関が予め判明している場合は、こ
れらの推定値を用いて入口濃度を設定してもよい。
【0046】アルカリ剤添加量は、例えばアルカリ剤供
給装置9のアルカリ剤を供給するフィーダの回転数によ
って制御することができる。排ガス流量は、通常ごみ焼
却量によって略決定される量であるが、制御する際に
は、例えば誘因送風機6のダンパ開度、またはごみ焼却
炉1に供給される燃焼用空気量や2次燃料用空気量によ
って制御することができる。排ガスは通常水分を含んで
いるため、ドライ換算する必要があるが、水分濃度を常
時計測している場合はこれを用いるものとし、設置され
ていない場合は設計基準値か代表値を用いる。また、監
視点Aの入口濃度を酸素12%換算値で示す場合は、排ガ
ス流量は代表値を用い、排ガス流量の変化をアルカリ剤
添加当量比Mの算定に加えなくても良い。
【0047】Lはバグフィルター濾過速度であり、全濾
布の濾過面積と濾布を通過する排ガス流量によって決定
される。濾過面積は通常一定であるから、バグフィルタ
ー濾過速度Lは排ガス流量によって制御することができ
る。排ガス流量の制御は前記と同じであり、誘因送風機
6のダンパ開度または燃焼用空気量や2次燃料用空気量
によって制御される。
【0048】Pはバグフィルター差圧であり、バグフィ
ルターの入口と出口に設けた圧力計12,13の圧力値
の差によって求められる。バグフィルター差圧Pは濾布
に付着したダスト層の厚み、ガス流量、温度、濾布の種
類によって影響される。反応バグフィルター4にパルス
ジェット式を用いた場合、バグフィルター差圧Pを制御
するには、払い落とし装置5におけるパルスジェット
圧、パルスジェット間隔の調整および排ガス流量によっ
て制御される。また、逆圧式のバグフィルターの場合
は、洗浄間隔および排ガス流量によって制御することが
できる。排ガス流量の制御は前記と同じである。
【0049】酸性ガス出口濃度は、反応バグフィルター
4の出口(監視点B)で計測した値を用いて制御する
が、排出規制等で換算値が必要な場合は、換算値を用い
て酸性ガス出口濃度を制御する。なお、出口酸性ガス濃
度とは、HCl 濃度およびSOx 濃度であり、計測値として
は瞬時値、移動平均値または一時間平均値を用いる。
【0050】次に、本発明における反応バグフィルター
システムの運転方法の他の実施形態について説明する。
図1のごみ焼却施設における反応バグフィルターシステ
ムで、例えば中和剤であるアルカリ剤として粉末消石灰
を用い、反応バグフィルターはパルスジェット式を用い
た。この反応バグフィルターシステムでは、M=2.0
(M0 と称する)、T=180℃(T0 と称する)、L
=0.8 m/min(L0と称する)、P=120 mmAq
(P0 と称する)の条件下で、HCl 除去率が90%(R
0 )であった。この時の各因子に対する除去率推定係数
式(FM ,FT ,FL ,FP ,FS )は実験的に下記式
が得られた。
【0051】 FM =(M/M0 1.5 (但し、0.3 <M<5) …(7) FT =1−0.018 ×(T−T0 ) (但し、160 <T<200 )…(8) FL =exp [−(L−L0 )/0.65](但し、0.5 <L<1.2 )…(9) FP =exp [(P−P0 )/60] (但し、50<P<200 ) …(10) FS =1 …(11)
【0052】M0 ,T0 ,L0 ,P0 は、実施する焼却
施設における設立時の設計基準値であり、通常運転モー
ドである。この焼却施設でのHCl 出口濃度の管理値は10
0ppmで、入口濃度は1000ppm を代表値としており、この
場合、HCl 除去率R0 は90%となり一致した。M,
T,L,Pの各制御範囲は、アルカリ剤添加当量比Mが
0〜10、温度Tが120〜250℃、濾過速度Lが
0.3〜3.0 m/min、バグフィルター差圧Pが30〜
300 mmAq とする制御範囲内で、かつ、実施する焼却
施設の周辺機器等に支障のない範囲で、上記のように適
宜制御範囲に定める。
【0053】上記各除去率推定係数式(7)〜(11)
は、同焼却施設の立ち上げ性能試験等に4つの制御因子
について、それぞれの因子ごとに上記制御範囲内で条件
を変えながら、HCl 除去率特性を調べた結果に基づい
て、最もよく一致する経験的に得た式を与えたものであ
る。FM はアルカリ剤添加当量比Mの値を増加させるこ
とにより単調増加、FT はバグハウス内排ガス温度Tの
増加により単調減少、FLはバグフィルター濾過速度L
により単調減少、FP はバグフィルター差圧Pの増加に
より単調増加となる。酸性ガス除去率Rはこれと同じ傾
向を示す。入口HCl濃度を一定値とすると、出口HCl 濃
度はこれら因子によって、逆の傾向を示す。すなわち、
除去率が高いときは、出口酸性ガス濃度は低い。代表値
0 ,T0 ,L0 ,P0 の各値をこれら除去率推定係数
式(2)乃至(6)に代入するとそれぞれ1になり、酸
性ガス除去率に大きな影響を与える場合は1から離れた
係数となる。なお、FS の値は出口監視点Bの出口HCl
濃度管理値と達成値が等しい場合、或いは焼却施設の改
造や運転条件の大幅な変更がない場合は酸性ガス除去率
に大きな影響を与えないので1に設定する。
【0054】このように、M,T,L,Pに対する各除
去率推定係数式を下記(12)〜(15)のように与える
と、HCl 除去率およびHCl 出口濃度は、例えば表1のよ
うに算定される。
【0055】 F =FM ×FT ×FL ×FP ×FS ……………(12) R =(100×A)/(A+1) ……………(13) A =A0 ×F ……………(14) A0 =R0 /(100−R0 ) ……………(15)
【0056】但し、FM ,FT ,FL ,FP ,FS
M,T,L,P,Sによる除去率推定係数式,A:酸性
ガス除去率誘導式(酸性ガス除去能に対応),A0 :酸
性ガス除去能基準値または初期値(定数),R0 :酸性
ガス除去能基準値または初期値(定数)
【0057】
【表1】 (但し,入口HCl 濃度1000ppm の場合)
【0058】以下に、表1に示したケース1乃至7につ
いて説明する。ケース1は、代表値(設計基準値)
0 ,T0 ,L0 ,P0 の条件を与えたときの(13)
式による計算結果と、その時の反応バグフィルターの酸
性ガスの出口濃度が示されている。ケース2は、ケース
1に対して、アルカリ剤添加当量比を4.0にした計算
結果であり、除去率Rが96.2%であり、出口濃度が
38ppm となっている。ケース3は、ケース1に対し
て、温度を160℃に設定した計算結果である。ケース
4は、ケース1に対して、濾過速度を1.0 m/minにし
た計算結果である。ケース5は、ケース1に対して、バ
グフィルター差圧を150mmAq にした計算結果である。ケ
ース6は、ケース1と同じ除去率が得られるようにバグ
フィルター差圧を変化させた計算結果である。ケース7
は、ケース1と同じ除去率が得られるように温度とバグ
フィルター差圧を変化させた計算結果である。
【0059】これらの結果は、4つの制御因子を変化さ
せると、それに対応するHCl 除去率および出口濃度が定
量的に推定されたことを示している。ケース6および7
は、アルカリ剤添加量を減らす場合に、例えば、バグフ
ィルター差圧を26mmAq上昇させるか、温度を20℃下
げ、かつ、バグフィルター差圧を8mmAq上昇させること
によって、ケース1と同じ除去効率が得られることを示
している。即ち、投入するアルカリ剤量を節約すること
ができることを意味している。
【0060】これは、また出口濃度監視点Bでの所定の
出口濃度が4つの制御因子の条件で定量的に決定し得る
ことを意味している。実際には、3つの制御因子を固定
し、残りの1つを算出し、この制御因子値に近づけるよ
うな制御を行えば、出口濃度を推定出口濃度に近づける
ことが可能となる。算出された制御因子値に近づけるた
めの制御方法は前述したとおりである。
【0061】次に、本実施形態に関して次のように補足
する。先ず、各制御因子の除去率推定係数式の設定は、
立ち上げ性能試験時の実データから導いてもよいし、理
論計算値から導いてもよい。実際の制御で有効に活用す
るために、これらの設定した式が現実の除去効率と食い
違いが大きく生じた場合は、現実のデータを再度整理し
て設定しなおす必要があるが、以下の実施例によって検
証する。
【0062】以下の実施例で詳しく述べるが、本発明者
らは、試験プラントの数多くの試験結果やごみ焼却工場
の実データをもとに、除去率推定係数式の算定を慎重に
行った。本発明による除去率推定係数式を用いた酸性ガ
ス除去率推定方法は、多くの反応バグフィルターを有す
るごみ焼却施設に適用できることを確認している。この
ことは、反応バグフィルターの酸性ガス除去率が、4つ
の制御因子およびこれらを含めた5つの説明因子で説明
できることが裏付けされている。
【0063】本発明による推定値と実際値がずれるよう
な場合には、総括因子FS を用いることにより、実際に
則した制御が可能となる。推定値と実際値がずれる原因
は、例えば同一焼却施設で運転継続中の場合、反応バグ
フィルターの形状の改造、濾布の交換、ごみ質の大きな
変化等が考えられる。これらの要因は、4つの制御因子
の酸性ガス除去効率への影響度をほとんど変化させるこ
とがないため、総括因子Sの除去率推定係数式FS の値
を変更すれば推定値と実際値を常に一致させることがで
きる。
【0064】また、ある焼却施設で用いた除去率推定係
数式を他の焼却施設に適用した場合には、ずれが生じる
ことがあるが、これは焼却施設規模その他周辺機器のさ
まざまな条件が異なるために、違いが生じている。この
場合も4つの制御因子による酸性ガス除去効率への影響
度はほとんど変化がないために、同様に除去率推定係数
式FS の値を設定することで、同じ除去率推定係数式を
採用することが可能である。無論、材質の異なる濾布を
交換したり、バグフィルター差圧の立ち方が異なると、
酸性ガス除去効率へのバグフィルター差圧の影響がやや
異なる場合がある。
【0065】次に、除去率推定係数式は、本実施形態で
は、上述のように設定したが、例えば、制御因子の範囲
によって場合分けして設定してもよい。また、制御因子
の制御範囲は、実際の運転に支障がない限り、各因子の
制御範囲が、アルカリ剤添加当量比0〜10、温度12
0〜250℃、濾過速度0.3〜3.0m/min 、バグフ
ィルター差圧30〜300mmAqの範囲のどの値であって
もかまわない。
【0066】更に、制御に用いる本発明の酸性ガス除去
率推定方法は、例えば、焼却施設の制御室の制御装置
(コンピュータ)に計算プログラムとして組み込んでお
き、常時、推定出口濃度と実際出口濃度とを比較監視で
きるようにすることで、推定出口濃度を酸性ガス除去率
推定式に基づいて、算出して各制御量を最適な値に制御
することが可能となる。また、制御装置による制御が推
定値と実際値とが大きくずれる場合は、焼却施設内のア
ルカリ剤供給不良等の何らかのトラブルが発生したこと
を素早く予見することが可能である。
【0067】また、入口HCl 濃度に対して、入口SOx 濃
度が1/10以下と小さい場合は、HCl 濃度のみについ
て推定式を立てればよい。また、実際にHCl 出口濃度が
管理値以下の場合であって、常にSOx 濃度が管理値以下
の場合である場合は、HCl 濃度のみの制御を実施する。
【0068】無論、本発明では、燃焼排ガス中にHCl を
含む排ガスを処理するにあたり、アルカリ剤を噴霧し
て、バグフィルターで中和反応除去する施設であれば、
パルスジェット式、逆圧式あるいはその他の洗浄方式の
バグフィルターであっても同様の効果があり、適用する
ことができる。
【0069】以下、本発明について実施例に基づいて説
明する。 (実施例1)実施例1は、パルスジェット式バグフィル
ターを用い、中和剤として噴霧するアルカリ剤としては
消石灰粉末(JIS特号)を用い、濾布材質としてはガ
ラス繊維を用いた。処理ガス量は約500Nm3/h、入口HC
l 濃度は500 〜1000ppm 、入口SOx 濃度は20〜50ppm に
設定するものとして制御を実施した。入口濃度を常に連
続測定して監視を行った。設定した各除去率推定係数式
のパラメータは以下のとおりである。
【0070】 FM =(M/M0 1.8 但し、0.1 <M<2 =1.82×(M/M0 1/1.8 −2.24 但し、2<M<8 FT =1−0.0175×(T−T0 ) 但し、140 <T<180 =0.475 ×exp [0.0175×(180-T )/0.0475] 但し、180 <T<220 FL =exp [−(L−L0 )/0.65] 但し、0.5 <L<1.2 FP =exp [(P−P0 )/45] 但し、70<P<100 =(P−P0 )/45+1 但し、100 <P<220 FS =1 R0 =94.2 ここで、M0 =2、T0 =150 、L0 =0.7 、P0 =100
【0071】上記除去率推定係数式FM ,FT ,FL
P ,FS について説明する。FM はアルカリ剤添加量
比の増加とともに、2までは急激に増加し、2を越える
と緩やかに増加することを示している。FT は、温度の
増加とともに、180℃までは、急激に減少し、180
℃を越えると緩やかに減少することを示している。FL
は、濾過温度が増加するとともに、減少することを示し
ている。FP は、バグフィルター差圧が増加するととも
に、100mmAqまでは急激に増加し、100mmAqを越え
ると、緩やかに増加することを示している。
【0072】これらの除去率推定係数式を用いて、HCl
除去率を推定した計算結果と、実際に様々な運転条件を
用いて反応バグフィルターを運転して得られたHCl 除去
率を比較した結果を、図2、図3、図4、図5に例示し
た。
【0073】比較例を示す図について説明すると、図2
は消石灰添加量比MとHCl 除去率の関係を表す図、図3
はバグハウス内排ガス温度TとHCl 除去率Rの関係を表
す図、図4はバグフィルター濾過速度LとHCl 除去率R
の関係を表す図、図5はバグフィルター差圧PとHCl 除
去率Rの関係を表す図である。
【0074】これらの図は、本発明による酸性ガス除去
率推定方法によって得られた酸性ガス除去率の計算値
が、実際のデータとよく一致することを示している。従
って、本発明の推定方法である5つの説明因子(M,
T,L,P,S)を用いる酸性ガス除去率推定方法は、
実際の酸性ガス除去率および出口濃度を推定する方法と
して極めて有効であることを示している。
【0075】(実施例2)本発明を逆圧式バグフィルタ
ーで実施した場合を以下に示す。噴霧するアルカリ剤と
しては粉末消石灰(微粉消石灰)を用い、濾布としては
ポリイミド系繊維を用いた。処理ガス流量は30000Nm3
hとし、入口濃度は実施例1と同じ程度であった。各除
去率推定係数式のパラメータを以下のように設定した。
【0076】 FM =(M/M0 1.8 但し、0.1 <M<2 =1.82×(M/M0 1/1.8 −2.24 但し、2<M<8 FT =1−0.0175×(T−T0 ) 但し、140 <T<180 =0.475 ×exp [0.0175×(180-T )/0.0475] 但し、180 <T<220 FL =exp [−(L−L0 )/1.0 ] 但し、0.4 <L<0.9 FP =exp [(P−P0 )/60] 但し、70<P<100 =(P−P0 )/60+1 但し、100 <P<220 FS =1 R0 =97.1 ここで、M0 =2、T0 =150 、L0 =0.7 、P0 =100
【0077】上記除去率推定係数式FM ,FT は実施例
1と同じである。異なる点は、FL式中のパラメータが
実施例1が0.65であるのに対して、実施例2では
1.0である。また、除去率推定係数式FP 式中のパラ
メータが実施例1では45であるのに対して、実施例2
では60である。これは用いた中和剤である消石灰の種
類が異なることと、濾布が異なるために、バグフィルタ
ー差圧のたちかたが実施例1とは異なっている。これに
伴って、濾過速度も影響を受ける。このようなことによ
って、濾過速度Lおよびバグフィルター差圧Pによる酸
性ガス除去率への影響度が若干異なる。即ち、実施例1
で用いた各数式を実施例2の運転条件に適応する場合に
は、除去率推定係数式の係数を変更する必要があること
を示すものである。
【0078】(実施例3)実施例3では、実施例1で設
定した各パラメータを焼却規模の大きなプラントに当て
はめて、本発明を実施した。ここで用いた除去率推定係
数式FM 等のパラメータはすべて、実施例1と同じもの
を用いた。以下に説明するように、これらを用いて、HC
l 除去率を推定した結果と実際のデータとの比較を行っ
たところ、ほぼ一致した。
【0079】実施例1に用いた推定係数式により、出口
HCl 濃度を制御した。制御の手順を示すにあたって、図
1を用いて説明する。アルカリ剤添加当量比Mは、先
ず、アルカリ剤供給装置(粉末消石灰供給機)9のフィ
ーダによる切り出し回転数によってアルカリ剤供給量を
制御する。また、入口濃度をボイラ出口(入口濃度監視
点A)にて常時測定し、アルカリ剤添加当量比Mを決定
する。アルカリ剤供給装置(粉末消石灰供給機)9のフ
ィーダによるアルカリ剤の切り出し回転数は制御装置1
0によって設定され、反応バグフィルターの入口濃度お
よびMの値は制御装置10の制御パネルに常時表示され
る。入口濃度監視点Aの入口濃度は瞬時値および一時間
平均値の両方が表示され、アルカリ剤添加当量比Mの算
定には一時間平均値を用いられる。
【0080】バグハウス内排ガス温度Tの制御は、先
ず、バグフィルター入口の温度を温度計14で計測し
て、その計測値に基づいて減温塔3における水噴霧量を
調整してバグフィルター入口の温度を調整する。バグハ
ウス内排ガス温度Tは常時制御装置10の制御パネルに
表示され、水噴霧量の調整は制御装置10で操作が可能
である。
【0081】バグフィルター濾過速度Lは、バグフィル
ター出口に設けられた流量計15の計測値によって排ガ
ス流量によって制御する。排ガス流量は燃料用空気、二
次燃料用空気、および誘引送風機6のダンパ開度によっ
て調整する。これらの値は制御装置10に入力されて最
適制御されるとともに、それらの計測値は制御パネルに
表示される。制御パネルに表示した値によって管理する
ことができる。バグフィルター差圧Pの制御は、バグフ
ィルター払い落とし装置5によって、パルスジェット圧
およびパルスジェット間隔によって制御することができ
る。これらの値は制御装置10の制御パネルで監視する
ことができるとともに、制御装置10によって制御する
ことが可能である。
【0082】これらM,L,Pの制御は、ある目標値を
設定した場合に、制御装置10に自動で設定値に近づけ
ることが可能なシーケンスが組み込んであり、マニュア
ル制御が可能であるとともに、自動制御が可能である。
【0083】また、監視点Bにおける酸性ガス推定出口
濃度、実際出口濃度および目標出口濃度(設定出口濃
度)は、制御装置10の制御パネルに常時表示され、設
定出口濃度は制御装置10によって入力が可能である。
以下、ケース1〜3に従って説明する。
【0084】(ケース1)監視点BのHCl 出口濃度の管
理値は50ppm である。今、推定濃度と実際濃度がとも
に略50ppm 程度であったが、消石灰消費量を低減する
必要性が生じたため、出口濃度を50ppm のまま変化さ
せずに、アルカリ剤添加当量比Mを減らして運転した。
このとき、運転の諸事情からバグフィルター濾過速度L
およびバグハウス内排ガス温度Tは変更させたくないた
め、バグフィルター差圧Pを変えることにした。制御装
置10の制御パネル上で、バグフィルター濾過速度Lお
よびバグハウス内排ガス温度Tの設定値はそのままの値
に設定し、アルカリ剤添加当量比Mを30%減の値を入
力し、設定出口濃度は50ppm の設定値を入力した。制
御装置10の制御計算プログラムによって、出口濃度が
50ppm となるための必要な値が計算され、制御パネル
に表示される。制御装置10の制御スタートスイッチを
ONにし、制御が開始される。約1時間後に所定のバグ
フィルター差圧Pの値が達成され、監視点BのHCl 濃度
もほぼ50ppm に維持できた。ここでの具体的な制御因
子の値は表2のとおりであった。
【0085】
【表2】
【0086】(ケース2)HCl 濃度の管理値は50ppm
である。現在のところ、ごみの量が減少しているため
に、定格100 t/dayのごみ焼却量に対して、定格80
%の80t/day でごみを焼却する必要性が生じた。この
場合に酸性ガス除去制御を定格時と同じにすると過剰に
消石灰を吹き込むことになり消石灰が無駄に消費される
ので、出口濃度50ppm を維持しながら、消石灰を節約
する運転を試みた。即ち、Tは定格時と同じ値、Lは8
0%負荷のため、定格時の80%の値、Pは何の制御も
行わなければ定格時より低くなるが、定格時と同じ値と
して、入力した。すると制御計算プログラムによって、
Mは定格時の40%減の値と算出された。これらのモー
ドによって運転制御をスタートした。すると出口濃度は
50ppm をほぼ維持できた。これによって消石灰の消費
量を約40%節約することができた。ここでの具体的な
制御因子の値は表3のとおりであった。
【0087】
【表3】
【0088】(ケース3)バグフィルターの反応効率を
よくするためにバグハウスの改造を行った。この結果、
出口濃度が推定出口濃度よりも低くなり、系統的な差が
生じるようになった。このような場合では、4つの制御
因子による酸性ガス除去率への影響度(除去率推定係数
式)は変化しないため、FS の値を変更するのみでよ
い。FS の値を変更すると、出口濃度と推定濃度の差が
ほとんどなくなった。このように何らかの大きなプラン
トの変化があり、推定値と実際値に大きな差が生じた場
合に、FS の値を設定し直すことが可能である。FS
値を変更するリセットスイッチをONにすれば、現在の
推定値と実際値が同じになるように、FS の値が計算さ
れ、設定される。その後、出口管理濃度(目標出口濃
度)が50ppm であるため、Mの値を減少させることに
よって制御した。ここでの具体的な制御因子の値は以下
の表4のとおりであった。
【0089】
【表4】
【0090】(実施例4)実施例3での制御方法は、プ
ラントの何らかの設定を変更した場合に、各制御因子ま
たは総括因子の除去率推定係数式FS を変更する制御の
方法である。即ち、推定出口濃度が目標出口濃度(管理
出口濃度)と等しい場合の制御であって、プラントの設
定条件等の変更前における事前制御ということができ
る。実施例4は、実施例3と同じパラメータおよび同じ
焼却施設に適用した場合の以下の特徴を持つ制御方法で
ある。
【0091】即ち、一度各パラメータの値を設定する
と、実際出口濃度と推定出口濃度は、常に一致する性格
を持つものであるが、実際のバグフィルターの運転に於
いて、すでに述べたようなさまざまな因子が酸性ガス除
去率に影響しているため、これらの不特定因子の影響に
よって、実際出口濃度と推定出口濃度にややズレが生じ
る場合がある。このような場合にFS の値を実施例3の
ケース(3)のように変更することを、マニュアル操作
で行うと事実上不便な場合が多い。そこで、実際出口濃
度と推定出口濃度が常に一致するように、FS の値を自
動的に設定する制御方法が有効となる。このときFS
値は常に制御パネルに表示されるものとする。
【0092】具体的には、今、実際出口濃度および推定
出口濃度が70ppm で、FS が1.05であったとし、
目標出口濃度を例えば50ppm とすると、例えばアルカ
リ剤添加当量比で制御する場合は、計算される必要なア
ルカリ剤添加当量比となるように、制御すればよい。こ
の場合、実際出口濃度が50ppm に達するまで、アルカ
リ剤添加量を増加させて実際出口濃度が50ppm となる
ように実行され、目標濃度が容易に達成される。このよ
うな制御を行ってもFS の値は、通常は初期値1に近い
値をとることになる。FS の値が1にくらべて例えば
0.5や1.8などかけ離れた値をとるときは、プラン
トの何らかの異常であることが逆に判明する。従って、
S の値を、例えば0.9〜1.1に設定し、この範囲
を越えるときは制御装置10で検知して警報が鳴るよう
にすると、制御室でアルカリ剤供給不良等の異常を素早
く察知することが可能である。
【0093】さて、このような観点に基づいて以下のよ
うな運転条件で出口濃度の制御を実施した。
【0094】
【表5】 (なお、制御因子の値は一時間平均値)
【0095】このような運転条件にて、本発明の監視点
Bの酸性ガス出口濃度を制御した場合と、従来の場合
(比較例)とで実際出口濃度の変化を比較した図を図6
に示す。図6に示したように、本発明の実施例(イ)に
よる制御を実施すると、略目標の60ppm が達成される
ことが確認できる。比較例(ロ)が出口濃度が目標値を
越えたときにアルカリ剤添加量を増加させる制御である
ために、アルカリ剤を増加させた場合は過剰に吹き込む
ことになり、出口濃度は60ppm を大きく下回ってい
る。このとき、アルカリ剤は無駄に消費されることにな
る。本実施例の場合、10時間頃から出口濃度がやや6
0ppm を上回っているが、これはアルカリ剤添加量比M
が3.0であても、目標値(60ppm )を達成できず、
バグフィルター差圧Pを上昇させたものである。しか
し、このような操作を行ったとしてもバグフィルター差
圧Pの制御による効果がすぐに表れなかったために、一
時的に目標値(60ppm )を上回ったためである。この
比較試験で消費された消石灰の量を比較してみると、実
施例(イ)の場合は比較例(ロ)に対して約80%の量
であったことが確認された。図6は、本発明によれば、
監視点Bの酸性ガス出口濃度を一定に保つことができる
ことを示し、消石灰量の消費量を節減できることを意味
している。
【0096】上記のように、本発明の反応バグフィルタ
ーシステム及びその運転方法は、酸性ガス除去効率に影
響を与える数多くの因子の中から4つの制御可能な制御
因子(アルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温
度T、バグフィルター濾過速度L、バグフィルター差圧
P)と、総括因子Sの合計5つの因子(説明因子)を抽
出して、酸性ガス除去率が推定できるとともに、上記5
つの説明因子の内、総括因子を除く4つの因子(制御因
子)で酸性ガス出口濃度を制御することができる。
【0097】また、酸性ガス除去効率に影響を与える因
子として、総括因子Sの除去率推定係数式FS を設定す
ることによって、4つの制御因子以外の酸性ガス除去効
率に影響を与える因子の変更、例えば、異なる性能等を
有する濾布に交換やバグハウスの改造等が行った場合に
は、除去率推定係数式FS の値を適宜変更することによ
って、4つの制御因子による制御方法を変更しなくても
制御できる。更に、ある焼却施設で制御に用いた除去率
推定係数式を、類似した別の焼却施設で用いる場合に
は、FS の値の変更のみで、運転が可能である。このよ
うにFS は制御因子の補正因子としての機能を有する。
【0098】また、4つの制御因子毎に除去率推定係数
式で与えるので、4つの制御因子間の酸性ガス除去効率
への影響度を定量的に比較できる。酸性ガス除去率Rを
評価する際、酸性ガス除去能Aを定義し、5つの説明因
子の積でFおよび酸性ガス除去能Aを表すことができる
ので酸性ガス除去率Rを算定することができる。
【0099】また、4つの制御因子による除去率推定係
数式は、経験式、あるいは、理論計算式として、各制御
因子による一価関数として、指数関数または整式および
これらの組み合わせで与えることができる。上記に記載
の方法によって、推定する酸性ガス除去率が算出され
る。一度設定した除去率推定係数式は、他の焼却施設の
バグフィルターシステムにもそのまま応用が可能であ
り、汎用的な運転方法である。以上から、酸性ガス除去
率の推定方法が確立されるために、酸性ガス除去率を簡
便な式によって、容易にしかも定量的に推定できる。
【0100】また、バグフィルター差圧Pは、通常の運
転では立ち上げ時を除いて30mmAq以下になることはあ
り得ないが、濾布でのアルカリ剤による反応層の厚みが
小さくなり過ぎて、酸性ガス除去効率が大幅に減少する
から好ましくない。300mmAq以上とすると、誘引送風
機に負担がかかるか大型の誘引送風機を使用しなければ
ならないから、好ましくない。
【0101】反応バグフィルターの監視点Bは4つの制
御因子の範囲を設定することで、実際に実現可能な制御
を達成することができる。監視点Bの出口濃度を制御す
る場合には、4つの制御因子の内、3つを固定して、残
りの一つの制御因子を、酸性ガス除去率Rを算出する除
去率推定係数式によって求めて制御することにより、残
りの一つの制御因子の値が上記式によって、正確に決定
される。この制御因子値に近づけるように制御を行うこ
とによって、出口濃度が効率的に実際の出口酸性ガス濃
度の結果を待たずに素早く制御することができる。
【0102】例えば、アルカリ剤添加量比Mを上昇させ
ずに、他の制御因子を同式から推定される値により制御
することによって、出口濃度を制御することができる。
実際の出口濃度と、推定出口濃度が異なる場合は、バグ
フィルターシステム内の何らかの因子の影響で、発生し
た場合には、総括因子の除去推定係数式FS の値を変更
することで、運転中における推定出口濃度と実際出口濃
度を一致させることができる。
【0103】
【発明の効果】上記説明したように、本発明は、焼却炉
から排出される酸性ガスを含む排ガスの除塵および酸性
ガスの除去を行うバグフィルターの運転制御において、
酸性ガス除去率推定方法によって、先ず、5つの説明因
子によって、正確な酸性ガス除去率および出口濃度を推
定することが可能となり、これを用いて、出口濃度が所
定の濃度または所定の濃度以下になるように、4つの制
御因子を用いて制御可能であることが明らかになった。
この酸性ガス出口濃度の制御方法によって、定量的に各
制御因子を制御することが可能となり、出口濃度を効率
的かつ正確に制御することが可能となった。即ち、酸性
ガス出口濃度を制御するにあたり、実際の出口酸性ガス
濃度を計測した後に、制御するのではなく、酸性ガス出
口濃度が推測されて、アルカリ剤の添加量が正確に把握
できるので、必要以上のアルカリ剤を供給されることが
ないので、アルカリ剤の消費量を節減することができ
る。また、制御装置の制御パネルにバグハウス内温度を
最適温度、濾過速度、バグフィルター差圧のそれぞれ最
適な値を正確に把握できるので、運転をするうえでエネ
ルギーの節減ができる利点がある。
【0104】更に、本発明の運転方法によれば、さまざ
まな運転条件の制約の中で、最適な制御条件が設定でき
るので、出口濃度を一定に保ちながらしかもごみ焼却炉
等の運転が容易になり、酸性ガス濃度を高水準に制御す
ることが可能となる利点がある。
【0105】また、本発明によれば、アルカリ剤添加当
量比Mの上限値を10とすることによって、アルカリ剤
供給量の増大を防止できる利点がある。また、バグハウ
ス内排ガス温度Tを120〜250℃とすると、酸性ガ
スの酸露点に達し、配管等の腐食を防止できるととも
に、250℃以下とすることで、多くの場合バグフィル
ター濾布の耐熱限界を越えることと、排ガス中の有害有
機塩素化合物の発生を抑えることができる。
【0106】また、バグフィルター濾過速度Lは0.3
〜3.0m/min とすることで、0.3m/min 以下とする
と、アルカリ剤吹込が粉末の場合は濾布に付着せずに重
力による落下が防止できるとともに、効果的な酸性ガス
除去が達成できる利点がある。濾過速度Lを3.0m/mi
n 以上とすると、濾布表面での酸性ガスとアルカリ剤と
接触時間が短くなり、効果的な中和反応が達成できなく
なるが、バグフィルター差圧Pが大幅に上昇して運転
上、支障をきたすことがない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反応バグフィルターシステムの一
実施形態を示す図である。
【図2】消石灰添加量比Mに対するHCl除去率を、計
算値と実測値とで比較して説明する図である。
【図3】バグハウス内排ガス温度Tに対するHCl除去
率を、計算値と実測値とで比較して説明する図である。
【図4】バグフィルター濾過速度Lに対するHCl除去
率を、計算値と実測値とで比較して説明する図である。
【図5】バグフィルター差圧Pに対するHCl除去率
を、計算値と実測値とで比較して説明する図である。
【図6】経過時間に対する出口HCl濃度の変化を、比
較例と実施例とで比較して説明する図である。
【符号の説明】
1 ごみ焼却炉 2 ボイラ 3 減温塔 4 反応バグフィルター 5 払い落とし装置 6 誘引送風機 7 煙突 8 水供給量制御弁 9 アルカリ剤供給装置 10 制御装置 11 記憶装置 12,13 圧力計 14 温度計 15 排ガス流量計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01D 53/81 (56)参考文献 特開 平3−87511(JP,A) 特開 平3−229607(JP,A) 特開 平6−254326(JP,A) 特開 平2−251224(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/34 - 53/83 B01D 46/02,46/04,46/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却炉等の燃焼排ガス中の塵埃及び酸性
    ガスを除去する反応バグフィルターと、前記反応バグフ
    ィルターに供給される前記焼却炉等の燃焼排ガスの温度
    を低下させて調温する減温塔と、前記反応バグフィルタ
    ーに供給される排ガス中にアルカリ剤を注入するアルカ
    リ剤供給装置と、前記反応バグフィルターの濾布に付着
    するダストを払い落とす払い落とし装置と、前記反応バ
    グフィルターの排ガス入側と出側の圧力を検出する第1
    と第2の圧力検出器と、前記反応バグフィルターのバグ
    ハウス内温度を検出する温度検出器と、前記反応バグフ
    ィルターの排ガス流量を検出する流量検出器と、制御装
    置とを具備する反応バグフィルターシステムに於いて、 前記制御装置が、前記焼却炉等を運転するための制御手
    段を備えるとともに、前記焼却炉等の燃焼排ガス中の酸
    性ガス濃度と前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤
    添加量と排ガス流量とによって排ガス中に供給するアル
    カリ剤の添加当量比Mを設定するアルカリ剤添加当量比
    算出手段と、前記第1と第2の圧力検出手段によってバ
    グフィルター差圧Pを算出するバグフィルター差圧算出
    手段と、前記反応バグフィルター内温度Tを計測するバ
    グハウス内温度計算手段と、前記流量検出器の出力に基
    づいて反応バグフィルターの濾過速度Lを算出する濾過
    速度算出手段と、補正因子である総括因子設定手段とを
    具備し、これら手段の出力に基づいて前記反応バグフィ
    ルター出力側排ガスの酸性ガス濃度を推定して、排出さ
    れる排ガス中の酸性ガス濃度を所定値または所定値以下
    に設定することを特徴とする反応バグフィルターシステ
    ム。
  2. 【請求項2】 焼却炉から排出される酸性ガスを含む排
    ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応バグフィルタ
    ーの運転方法に於いて、 前記排ガスの酸性ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ
    剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィ
    ルター濾過速度L、およびバグフィルター差圧Pの制御
    因子と、他の総括因子Sとによる関係式からバグフィル
    ターの酸性ガス除去率Rを算出し、前記酸性ガス除去率
    Rによって酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度を推
    定し、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃
    度値または所定濃度値以下になるように制御することを
    特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法。 R=f(M,T,L,P,S) 但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),
    M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排
    ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min
    ),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の
    総括因子
  3. 【請求項3】 焼却炉から排出される酸性ガスを含む排
    ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応バグフィルタ
    ーの運転方法に於いて、 前記排ガスの酸性ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ
    剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィ
    ルター濾過速度L、およびバグフィルター差圧Pの制御
    因子と、他の総括因子Sとの5つの因子の酸性ガス除去
    率Rに与える影響度に応じた係数を求める各除去率推定
    係数式(FM ,FT ,FL ,FP ,FS)による総合的
    な除去率推定係数式Fに基づいてバグフィルターの酸性
    ガス除去率Rを求めて、酸性ガスの反応バグフィルター
    出力濃度を推定し、酸性ガスの反応バグフィルター出力
    濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制
    御することを特徴とする反応バグフィルターシステムの
    運転方法。 FM =g(M) FT =h(T) FL =i(L) FP =j(P) FS =k(S) F=FM ×FT ×FL ×FP ×FS R=(100×A)/(A+1) A=A0 ×F A0 =R0 /(100−R0 ) 但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),
    M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排
    ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min
    ),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の
    総括因子,FM :Mの除去率推定係数式,FT :Tの除
    去率推定係数式,FL :Lの除去率推定係数式,FP
    Pの除去率推定係数式,FS :Sの除去率推定係数式,
    F :M,T,L,P,Sによる除去率推定係数式,A
    :酸性ガス除去率誘導式(酸性ガス除去能),A0
    酸性ガス除去能基準値または初期値(定数),R0 :酸
    性ガス除去率基準値または初期値(定数),
  4. 【請求項4】 前記除去率推定係数式(FM ,FT ,F
    L ,FP )は、それぞれの制御因子による一価関数であ
    り、指数関数または整式、およびこれらの組み合わせに
    よって、それぞれの制御因子ごとに設定することを特徴
    とする請求項3に記載の反応バグフィルターシステムの
    運転方法。
  5. 【請求項5】 前記制御因子(M,T,L,P)の制御
    範囲が、アルカリ剤添加当量比0〜10、温度120〜
    250℃、濾過速度0.3〜3.0 m/min、バグフィル
    ター差圧30〜300 mmAq とする請求項2,3または
    4に記載の反応バグフィルターシステムの運転方法。
  6. 【請求項6】 前記制御因子の内に3つ制御因子を固定
    し、残りの1つの制御因子の値を制御して酸性ガスの反
    応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度
    値以下になるように制御することを特徴とする請求項
    2,3,4または5に記載の反応バグフィルターシステ
    ムの運転方法。
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