JP2003188882A - 通信装置、通信デバイス、基板実装方法および触覚センサ - Google Patents

通信装置、通信デバイス、基板実装方法および触覚センサ

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JP2003188882A
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    • G01L5/228Apparatus for, or methods of, measuring force, work, mechanical power, or torque, specially adapted for specific purposes for measuring the force applied to control members, e.g. control members of vehicles, triggers to manipulators, e.g. the force due to gripping using tactile array force sensors
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    • H04B13/00Transmission systems characterised by the medium used for transmission, not provided for in groups H04B3/00 - H04B11/00

Abstract

(57)【要約】 【課題】 個別の配線を形成することなく、複数の素子
が信号を中継することにより信号を伝達する通信装置を
提供する。 【解決手段】 この通信装置は、分散して配置された複
数の通信素子を備える。各通信素子は、周辺に配置され
ている他の通信素子とのみ通信する機能を有する。通信
距離は周辺に配置された他の通信素子と局所的な通信を
行える程度に設定されており、この局所的な通信により
通信素子間で信号を順次伝達することによって、目的と
する通信素子まで信号を伝達することが可能となる。複
数の通信素子は管理機能により階層に分けられ、各階層
において経路データを設定することにより、効率よく最
終目的地まで信号を伝達することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、信号を伝達する通
信装置および信号の伝達を実現するための通信デバイス
に関し、特に複数の通信デバイスを用いて信号の伝達を
行う通信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】LAN(Local Area Network)やWAN
(Wide Area Network)などの通信ネットワークにおい
て、複数の通信端末が同軸ケーブルや光ファイバなどを
用いて接続されている。これらの通信端末は、ネットワ
ーク中のアドレスを指定することにより、所望の通信端
末に信号を伝達する。また、従来の基板実装技術におい
ては、基板にアルミニウムや銅などで配線を形成し、こ
の配線によりLSIやメモリなどの回路素子を電気的に
接続する。
【0003】このように、従来の通信ネットワークや基
板実装などの技術分野においては、素子間を接続する配
線を形成することが前提とされており、これらの配線を
介して信号の送受が実現されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、存在す
る全ての素子を個別配線により接続することは、特にそ
の数が膨大な場合に非常に困難となる。例えばLANに
おいては複数の端末をケーブルにより接続するが、ケー
ブルを差し込むポート数やIPアドレスの設定数などの
問題により、接続可能な端末の数に制約が生じる。また
基板の実装技術を考えた場合、素子数が多くなると配線
数も多くなるため、基板面積の問題から配線を細くする
など非常に複雑な回路設計が必要となり、やはり搭載可
能な素子数に制約が生じる。
【0005】さらに、通信ネットワークや実装基板にお
いては端末や素子などを個別配線により物理的に接続し
ているため、仮に配線が切断された場合には信号を伝達
することができなくなり、通信機能が停止する事態も生
じうる。
【0006】そこで本発明は、このような従来の通信技
術に関する問題を解決するべく、通信装置および通信デ
バイスに関する新規な通信技術を提供することを目的と
する。また、本発明は、この新規な通信技術を応用した
基板実装技術やセンサ技術を提供することも目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の一つの態様は、導電層あるいは電磁作用伝
達層に電気的に接続した複数の通信素子を備えた通信装
置であって、各通信素子がその周辺に配置された他の通
信素子に対して導電層を介して信号を伝達する通信機能
を有することを特徴とする通信装置を提供する。この通
信装置において、各通信素子の通信距離は有限に設定さ
れ、その通信距離内に存在する通信素子のみに信号が伝
達されることが好ましい。さらに、この通信距離は、通
信装置における通信素子密度ないしは信号伝達のスルー
プットに応じて設定されることが好ましい。電磁作用伝
達層は、交流信号を伝達可能な層を意味し、例えば直流
抵抗は絶縁体としての性質を有していても、交流的には
容量性のインピーダンスとして機能する層を含む。
【0008】本発明の別の態様は、分散して配置された
複数の通信素子を備える通信装置であって、各通信素子
の通信距離は周辺に配置された他の通信素子と局所的な
通信を行える程度に設定されており、この局所的な通信
により通信素子間で信号を順次伝達することによって、
目的とする通信素子まで信号を伝達することを特徴とす
る通信装置を提供する。この通信距離は、通信装置にお
ける通信素子密度ないしは信号伝達のスループットに応
じて設定されることが好ましい。
【0009】これらの態様において、通信素子間には個
別の配線が形成されていないことが好ましい。個別配線
を形成しないことによって、従来問題であった断線のリ
スクを回避することが可能となる。
【0010】複数の通信素子は、通信の管理機能の低い
ものから順に1次からN次までの階層に分類されてもよ
い。それぞれの通信素子にはIDが設定されてもよく、
高次の通信素子は、自身が管轄する低次の通信素子をI
Dによって見分けることができる。各階層の通信素子が
その周囲の一定の距離までに存在する他の通信素子に信
号を伝達する1次通信素子としても機能することによ
り、1次の階層で周辺の通信素子との局所的な通信を実
現することが可能となる。M次通信素子は、(M−1)
次通信素子が有する通信管理に必要な機能を少なくとも
有しており、M次通信素子の配置密度は、(M−1)次
通信素子の配置密度よりも低く設定することが可能であ
る。
【0011】M次通信素子は、自身から所定の範囲内に
配置された(M−1)次通信素子を管轄することが好ま
しい。ここで所定の範囲は、自身からの距離であっても
よく、また信号を中継する通信素子の個数により設定さ
れてもよい。M次通信素子は、自身が管轄する(M−
1)次通信素子までの経路を、他の(M−1)次通信素
子を経由する経路として記憶することが好ましい。さら
にM次通信素子は、自身から所定の範囲内に配置された
他のM次通信素子までの経路を、(M−1)次通信素子
を経由する経路として記憶することが好ましい。
【0012】M次通信素子は、2次からM次までの各階
層の通信素子として機能することができ、ある階層の通
信素子として機能する場合には、その階層において設定
された範囲内に配置された1階層下の通信素子を管轄す
ることができる。この範囲は各階層ごとに設定されるこ
とが好ましい。(M−1)次通信素子は、自身を管轄す
るM次通信素子までの経路の少なくとも一部を、他の
(M−1)次通信素子を経由する経路として記憶するこ
とが好ましい。
【0013】2次通信素子は近傍応答要求を発信し、こ
の近傍応答要求を受け取った1次通信素子から返信され
る応答に基づいて、該応答を返信した1次通信素子に対
してIDを設定してもよい。IDとは、通信素子を識別
するための数字、コード、記号などを含み、一般にアド
レスと呼ばれるものも含む概念である。
【0014】2次通信素子は、IDを設定した1次通信
素子に対して近傍調査要求を発信し、この近傍調査要求
を受け取った1次通信素子は、近傍応答要求を発信して
周辺の1次通信素子の存在を調査し、該2次通信素子
は、応答を返信した1次通信素子に対してIDを設定し
てもよい。2次通信素子は、近傍調査要求を繰り返し発
信して、IDを設定して管轄する1次通信素子の数を増
やしていき、且つ、自身が管轄する1次通信素子との間
の経路を順次設定していくことが好ましい。
【0015】3次以上の通信素子は、2次通信素子とし
ても機能して、1次通信素子に対してIDを設定するこ
とが好ましい。3次以上の通信素子は、3次から自身の
階層までの各階層の通信素子として機能することがで
き、各階層の通信素子として連鎖近傍応答要求を発信し
て、各階層ごとに管轄する1階層下の通信素子をそれぞ
れ設定することが好ましい。3次以上の通信素子は、管
轄する通信素子との間の経路を設定することが好まし
い。
【0016】データ信号のパケットには、最終目的地で
ある通信素子に到達するために利用される各階層内の経
路データが含まれる。(M−1)次の階層内の経路デー
タは、送信元の通信素子から最終目的地である通信素子
までの経路の途中に位置するM次通信素子までの経路デ
ータを含むことが好ましい。パケットには、次にパケッ
トを受け取るべき通信素子を特定するための受信IDが
含まれる。通信素子は、受信IDに基づいてパケットを
受け取ると、次にパケットを受け取るべき通信素子の受
信IDを設定して前記パケットを発信することが好まし
い。通信素子は、パケットに含まれる経路データに基づ
いて受信IDを設定することが好ましい。各通信素子
は、受信IDに基づいてパケットを受け取ると、経路デ
ータを更新して前記パケットを発信することが好まし
い。各通信素子にはIDが割り当てられており、高次の
通信素子はパケットに含まれるIDを参照することによ
って、そのIDにより特定される通信素子が自身の管轄
下にあるか否かを判断することができてもよい。例え
ば、パケットに送信先の通信素子を特定するIDが含ま
れており、そのIDが自身の管轄下の通信素子であるこ
とを示す場合には、その通信素子までの経路を設定し
て、パケットを転送することが好ましい。
【0017】本発明のさらに別の態様は、有効通信距離
内に存在する他の通信素子に対して信号を発信する通信
デバイスであって、絶縁された第1信号層および第2信
号層と、これらの層に電気的に接続する通信素子を備
え、通信素子の抵抗および容量とに基づいて有効通信距
離が定められ、通信素子が前記第1信号層または第2信
号層に電荷を放出することにより信号を発信することを
特徴とする通信デバイスを提供する。この有効通信距離
は、さらに第1信号層および/または第2信号層の抵
抗、インダクタンス、これら2層間の容量に基づいて定
められてもよい。
【0018】本発明のさらに別の態様は、有効通信距離
内に存在する他の通信素子に対して信号を発信する通信
デバイスであって、第1信号層および第2信号層と、こ
れらの層に電気的に接続する通信素子を備え、該通信素
子内において前記第1信号層および第2信号層を導通さ
せることによって信号を発信することを特徴とする通信
デバイスを提供する。第1信号層および第2信号層は適
当なインピーダンスを介して導通されることが好まし
く、この導通には、短絡(ショート)させる場合も含ま
れる。
【0019】この通信デバイスは、前記第1信号層およ
び第2信号層よりも高い抵抗を有し、且つこれらの層を
導通させる高抵抗層を更に備えてもよい。また前記第1
信号層よりも高い抵抗を有し且つ前記第1信号層に電気
的に接続する高抵抗層と、この高抵抗層に電気的に接続
して前記通信素子に電力を供給する電源層とを備えても
よい。前記有効通信距離は、前記第1信号層の抵抗に基
づいて定められる。さらに、この有効通信距離は、高抵
抗層の抵抗および第1信号層と第2信号層間の容量に基
づいて定められてもよい。該通信素子は、前記第1信号
層および第2信号層を短絡させることによって信号を発
信してもよい。
【0020】前記第2信号層は接地されたグランド層で
あってもよい。通信素子に電力を供給する方法として、
信号発信を行っていない間に前記通信素子のコンデンサ
を充電してもよい。前記第1信号層および第2信号層
は、導電性の柔軟体あるいは網状物体により形成されて
いることが好ましい。通信デバイスを柔軟体あるいは網
状物体で形成することにより、伸縮自在な通信装置を構
成することが可能となる。
【0021】本発明のさらに別の態様は、所定の有効通
信距離の範囲内で信号を伝達する通信機能を有する複数
の回路素子を導電性基板上に分散して配置させることに
より、回路素子間に個別の配線を形成することなく回路
素子を基板に搭載する基板実装方法を提供する。配線を
形成しないため、回路素子の搭載場所を任意に設定する
ことができ、ユーザがカスタムLSIなどを自由に作製
することが可能となる。
【0022】本発明のさらに別の態様は、応力あるいは
温度を測定しそれを符号化された信号に変換する回路を
備えたセンサ素子と、該センサ素子からの出力信号を伝
達するための導電性の柔軟体から構成されることを特徴
とする触覚センサを提供する。
【0023】前記センサ素子の電気的に連続した導電性
ゴム領域に複数のセンサ素子の信号端子が接続されてい
てもよい。また前記センサ素子に2つの電極が設けら
れ、前記柔軟体の2層の導電性ゴムにそれらが電気的に
接触していてもよい。前記センサ素子から突き出された
ピン状突起物によって、前記柔軟体の2層以上の導電性
ゴムに、前記センサ素子の電極が電気的に接触していて
もよい。前記センサ素子の1面に2つあるいは3つの電
極があり、前記柔軟体の単一層内に形成された導電性ゴ
ムの複数の領域に各電極が電気的に接触していてもよ
い。
【0024】前記センサ素子のLSIチップとそれに接
続された電極部品間の容量の変化から周囲応力を検出し
てもよい。前記センサ素子に接続する電極部品をその中
心近くの微小面積で支持することにより、電極表面にお
ける圧力の不均一に対して感度よく電極を変形させるこ
とが可能となる。
【0025】前記センサ素子のLSIチップとそれに接
続された感圧導電性ゴムの抵抗変化から周囲応力を検出
してもよい。また前記センサ素子のLSIチップ上の光
センサに到達する光量変化から周囲応力を検出してもよ
い。
【0026】本発明のさらに別の態様は、有効通信距離
内に存在する他の通信素子に対して信号を伝達する通信
デバイスであって、絶縁された第1信号層および第2信
号層と、これらの層に電磁的に接続する通信素子を備
え、電磁波の減衰率に基づいて有効通信距離が定めら
れ、通信素子が前記第1信号層または第2信号層に電磁
波を放出するかまたは光を放出することにより信号を発
信することを特徴とする通信デバイスを提供する。
【0027】なお、本発明の表現を装置、方法、システ
ムの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効
である。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による通信技術の
方式を説明するための図である。本発明による通信技術
は、大別すると連鎖伝達型と直接伝達型の方式に分けら
れる。いずれの場合も環境内に複数の通信素子が存在
し、この環境内には通信素子間を物理的に接続するため
の個別配線が形成されていないことが好ましい。例え
ば、これらの通信素子は平坦な導電層または導電性基
板、交流信号を伝達可能な電磁作用伝達層などに接続さ
れた構成であってもよく、また無線により信号の送受が
行えるように構成されてもよい。信号の送信は、導電層
における電荷の放出により実現されてもよく、また光や
電磁波を放出することにより実現されてもよい。ここで
通信素子は、チップとして構成されるものに限定され
ず、本発明の実施の形態において説明する通信機能を備
えたものを含む概念であり、その形状は問わない。連鎖
伝達型の通信技術とは、近傍に位置する通信素子間で局
所的に信号を順次連鎖的に伝達することによって、信号
を最終目的地である通信素子まで伝達する方式であり、
直接伝達型の通信技術とは、信号を最終目的地である通
信素子まで直接伝達する方式である。
【0029】各通信素子は、信号の伝達可能な距離(以
下、「有効通信距離」とも呼ぶ)を比較的短く設定され
ていることが好ましい。信号の通信距離を長くすること
は、それだけ電力消費量を大きくし且つ通信に寄与しな
い他の通信素子に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
そのため特に連鎖伝達型の通信方式では自身の近傍に存
在する通信素子に信号を伝達できれば十分であるため、
有効通信距離は周辺の通信素子までの平均距離に応じて
設定されることが好ましい。また直接伝達型の通信方式
であっても環境内における通信素子間の最長距離よりも
無用に長く有効通信距離を設定することは好ましくな
い。そのため、有効通信距離は、通信素子間の距離に応
じて設定されることが好ましい。
【0030】本発明の通信技術は、様々な用途に応用す
ることができる。例えば、LSIやメモリなどの電子部
品(回路素子)に本発明の通信機能をもたせることによ
って、各電子部品を個別に配線することなく、複数の電
子部品を基板実装する技術を提供することが可能であ
る。また、近年、皮膚の感覚を持つロボットの研究が盛
んに行われているが、ロボットの触覚センサに本発明の
通信機能をもたせ、触覚センサの検知情報をロボットの
頭脳コンピュータに送信する技術を提供することも可能
である。また建物の床に本発明の通信機能を有するセン
サを点在させることにより、一人暮らしの老人の行動を
監視したり、留守中の防犯に役立てることも可能であ
る。また、発光素子に本発明の通信機能をもたせること
により、布状の表示装置などを製造することも可能とな
る。また、タグに本発明の通信機能をもたせることによ
り、安価で精度のよい情報の読み取りを可能とするタグ
を作製することも可能となる。さらに無線通信素子に本
発明の通信機能をもたせて例えばコンピュータにそれを
装備させ、無線通信素子の近傍に相手方のコンピュータ
の無線通信素子を配置することによって、コンピュータ
間の情報の送受信を容易に行うことも可能となる。
【0031】この通信技術は、比較的短い距離に配置さ
れた通信素子間で信号を伝達するため、距離による信号
の減衰および劣化がなく、高いスループットでノード数
によらない高速伝送を可能とする。また環境内に多くの
通信素子を分散して配置させることにより、センサなど
の所定の機能をもつチップとの情報交換媒体として広範
囲の信号伝達領域を実現する。また、通信素子を比較的
自由な位置に配置することができるため、簡易な設計に
より所望の機能を備えた人工皮膚や表示装置などを実現
することも可能である。また、各チップに通信機能をも
たせるため、配線などの基板回路設計を不要とし、少な
いプロセスで基板回路を製造することも可能である。通
信素子を導電層で挟持する場合には電磁ノイズ放射がな
くなるため、特に病院などの公共性の高い場所において
はその有用性が高い。さらに、導電層などに障害が生じ
た場合であっても、チップ間の経路を再設定することが
でき、新たな通信経路を確立することができるという自
己修復機能もあわせ持つ。
【0032】図2は、本発明による通信方式を説明する
ための図を示す。
【0033】図2(a)は連鎖伝達型の通信方式の概念
図であり、小さな円で示す複数の通信素子が環境内に分
散して配置されている状態を示している。各通信素子
は、その周辺に配置された他の通信素子に対して信号を
伝達する通信機能を有している。通信素子の有効通信距
離は、周辺に配置された他の通信素子と局所的な通信を
行える程度に設定されているのが好ましく、この局所的
な通信により通信素子間で信号を順次伝達することによ
って、最終目的地である通信素子まで信号を伝達する。
【0034】信号の送信元が通信素子200aであり、
最終目的地が通信素子200bである場合、連鎖伝達型
の通信方式においては、信号が、通信素子200aから
通信素子200cおよび200dを介して通信素子20
0bに伝達される。信号の伝達方法としては、例えば通
信素子200aが、信号が届く範囲にある周辺の全ての
通信素子に信号を伝達し、それからこの信号を受けた全
ての通信素子が更に周辺の通信素子に信号を伝達するこ
とによって、信号を最終目的地まで同心円状に伝達させ
てもよい。さらに好ましい方法としては、通信素子20
0aおよび200b間の経路を予め設定しておき、この
経路を用いて特定の通信素子のみを介して信号を伝達し
てもよい。特に後者の方法を採用する場合には、信号伝
達に必要な通信素子のみが発信するため、電力消費を少
なくすることができ、また他の通信素子の通信に対する
干渉を低減することも可能となる。連鎖伝達型の通信方
式における経路の設定方法および信号伝達の方法につい
ては、後に詳細に説明する。
【0035】図2(b)は、直接伝達型の通信方式の概
念図であり、送信元である通信素子200aから送信先
である通信素子200bまで信号が直接伝達される。送
信元である通信素子200aは他の通信素子と同様の構
成を有していてもよく、また外部から接続されたホスト
コンピュータなどであってもよい。直接伝達型の通信方
式における信号伝達の方法についても後述する。
【0036】図3は、本発明の第1の実施の形態にかか
る通信装置100の外観構成を示す図である。この通信
装置100においては、複数の通信素子200が2枚の
導電層16および18によって挟持されている。各通信
素子200は、この2枚の導電層16および18に電気
的に接続される。導電層16および18は、単層構造を
有していても、また多層構造を有していてもよく、この
例では二次元的に一面に広がった構成を有している。図
3では、通信素子200が挟持されていることを説明す
るために、導電層16と導電層18とを開いた状態が示
されている。
【0037】例えば、本発明による通信装置100をロ
ボットの表面を覆う人工皮膚として応用する場合、導電
層16および18は導電性のゴム材料により形成される
ことが好ましい。可撓性のあるゴム材料で人工皮膚を形
成することにより、この人工皮膚はロボットの動作に合
せて自在に伸縮することが可能となる。また、個別配線
が存在せず、伸縮性のある導電層16および18を介し
て信号を伝達するため、断線などにより通信機能に障害
が生じる可能性を低減し、安定した通信機能を実現する
ことも可能となる。また、本発明による通信装置100
を回路基板として応用する場合、導電層16および18
を導電性のゴム材料で形成することによって、フレキシ
ブルな回路基板を実現することも可能となる。
【0038】各通信素子200は通信機能以外に、さら
に他の機能を有していてもよい。通信装置100をロボ
ットの人工皮膚として応用する場合には、通信素子20
0のいくつかが触覚センサとしての機能も有し、外部か
ら受けた刺激を検出した後、他の通信素子と協同して検
出した信号を目的の通信素子まで伝達する。また通信装
置100を基板の実装技術として応用する場合には、通
信素子200が、例えばLSIやメモリなどの回路素子
としての機能を有してもよい。このように、本明細書に
おいて「通信装置」は少なくとも通信機能を有する装置
の意味で用い、これに付加した他の機能、例えば人工皮
膚としてのセンサ機能や電子回路としての演算機能など
を有してもよいことは、当業者に理解されるところであ
る。
【0039】図4は、通信素子200の機能ブロック図
である。通信素子200は、通信部50、処理部60お
よびメモリ70を備える。通信部50は、導電層16お
よび18(図3参照)を介して、他の通信素子との間で
信号の送受を行う。処理部60は、通信素子200の通
信機能を制御する。具体的に処理部60は、周囲の信号
の監視、受信信号の解析や、送信信号の生成および信号
の送信タイミングなど他の通信素子200との間の信号
伝達に関する行為を自発的に行うことが好ましい。ま
た、処理部60は、センサ機能や演算機能など通信機能
以外の他の機能を実現してもよい。メモリ70は、通信
機能や他の機能を実現するために必要な情報を予め記憶
し、また必要に応じて順次記憶していく。
【0040】図5は、通信装置100の断面を示し、局
所的通信を実現する通信デバイスの構造の一例を説明す
るための図である。本明細書において「通信デバイス」
は、通信機能を実現するための構造の意味で用い、具体
的には有効通信距離内に存在する他の通信素子に対して
信号を伝達する構造を示す。
【0041】この例において通信デバイスは、第1信号
層20および第2信号層30と、これらの層に電気的に
接続する通信素子200を備える。第1信号層20およ
び第2信号層30は絶縁されており、第2信号層30は
接地されたグランド層であってもよい。この通信デバイ
スにおいて、有効通信距離は通信素子200の抵抗およ
び容量に基づいて定められ、第1信号層20または第2
信号層30に電荷を放出することにより信号を発信す
る。各通信素子はコンデンサを有しており、放出された
電荷は有効通信距離内に配置されている周辺の通信素子
のコンデンサに蓄積され、その電圧変化により周辺の通
信素子が信号を認識する。このように図5に示した通信
デバイスはコンデンサを駆動するように振る舞うことか
ら、この通信デバイスを「電荷蓄積型」の通信デバイス
と呼んでもよい。なおこの呼び名は、説明の便宜上、後
述する「電流拡散型」の通信デバイスと区別するために
名付けたものであって、図5に示した通信デバイスの特
性および構成が、この呼び名の意味により限定されるも
のではない。
【0042】図6は、電荷蓄積型の通信デバイスが信号
を発信する原理を説明するための図である。図6(a)
は、駆動用コンデンサ34bを充電する通信素子200
の状態を示す。主コンデンサ34aは、通信素子200
全体を駆動するために必要な電荷を蓄積し、駆動用コン
デンサ34bは、通信層36を駆動するために必要な電
荷を蓄積する。通信層36は、第1信号層20および第
2信号層30(図5参照)を模式的に表したものであ
る。駆動用コンデンサ34bの充電時には、スイッチ3
2aを開き、スイッチ32bを閉じる。なお、各スイッ
チ32aおよび32bは、処理部(図4参照)により所
定のタイミングで開閉される。なお本方式により、後述
の電流拡散型の通信デバイスを駆動することも可能であ
る。
【0043】図6(b)は、駆動用コンデンサ34bを
放電する通信素子200の状態を示す。駆動用コンデン
サ34bの放電時には、スイッチ32aを閉じ、スイッ
チ32bを開く。この通信デバイスは、駆動用コンデン
サ34bの電荷を通信層36に放電することによって信
号を発信する。1ビットの送信ごとに、主コンデンサ3
4aから駆動用コンデンサ34bに電荷を移動し、駆動
用コンデンサ34bの電荷を通信層36に放電すること
によって、連続した通信を実現することが可能となる。
【0044】通信層36の面抵抗率がρ[Ω]、単位面
積あたりの容量がC[F/m2]である場合、角周波数ω
[rad/s]の信号の有効伝達距離(有効通信距離)D
[m]は、
【0045】
【数1】 のように与えられる。このように、通信デバイスの有効
通信距離は、通信層36の抵抗および容量に基づいて定
められる。そのため、通信層36の抵抗および容量を適
宜設定することにより、所望の有効通信距離を実現する
ことが可能となる。
【0046】特に連鎖伝達型の通信方式においては、近
傍の通信素子200との間で信号の送受を行うことがで
きればよいため、有効通信距離を可能な限り短く設定す
ることが好ましい。例えば通信装置100内において、
通信素子200間の距離が10cm以内となるような密度
で複数の通信素子200が配置されている場合には、有
効通信距離が10cm程度となるように通信層36の抵抗
および容量を設定することが好ましい。有効通信距離を
短く設定することによって、他の通信素子200への干
渉や無用な電力消費を低減することが可能となる。
【0047】以上の原理を数式を用いて説明する。説明
の簡単のため、1次元問題とし、原点に存在する微小電
極に電圧V V=V0exp(jωt) が印加されたとすると、位置xにおける電圧Vは、
【数2】 として表現される。
【0048】図7は、V/V0の実部を縦軸、x/Dを
横軸とするグラフであって、電荷蓄積型の通信デバイス
における電圧と通信距離の関係を示す図である。原点か
ら離れるにつれ、電圧の振幅は指数関数的に減少するた
め、有効通信距離Dを大きく越える距離への影響は無視
できることが分かる。したがって、この有効通信距離D
を通信素子200の密度に応じて好適に設定することに
より、効率よい通信を実現することが可能となる。
【0049】図8は、通信装置100の断面を示し、局
所的な通信を実現する通信デバイスの構造の別の例につ
いて説明するための図である。この通信デバイスは、ス
イッチング動作によって通信素子200を導通させ、そ
の電圧降下によって信号を発信することから、この通信
デバイスを「電流拡散型」の通信デバイスと呼んでもよ
い。なおこの呼び名は、説明の便宜上、前述した「電荷
蓄積型」の通信デバイスと区別するために名付けたもの
であって、図8に示す通信デバイスの特性および構成
が、この呼び名の意味により限定されるものではない。
【0050】図8(a)は、電流拡散型の通信デバイス
の構造の一例を示す図である。この通信デバイスは、第
1信号層20および第2信号層30と、これらの層に電
気的に接続する通信素子200を備える。第2信号層3
0は接地されたグランド層であってもよい。第1信号層
20および第2信号層30は、これらの層よりも高い抵
抗値を有する高抵抗層40によって導通される。具体的
には、通信素子200の周囲に高抵抗層40が設けら
れ、この通信素子200および高抵抗層40とが第1信
号層20および第2信号層30に挟持される。高抵抗層
40の抵抗値を第1信号層20および第2信号層30の
抵抗値と比較して適切に設定するか、または通信素子2
00の2つの電極間を素子内部において適切な抵抗値で
常時導通させることにより、通信素子200内において
第1信号層20および第2信号層30をスイッチング動
作により導通させた場合に、発信した信号が遠くまで広
がらず、有効通信距離を近傍の通信素子までの短い距離
に設定することが可能となる。
【0051】図8(b)は、電流拡散型の通信デバイス
の構造の別の例を示す図である。この通信デバイスは、
第1信号層20および第2信号層30と、これらの層に
電気的に接続する通信素子200を備える。第2信号層
30は接地されたグランド層であってもよい。第1信号
層20および第2信号層30は絶縁されており、第1信
号層20には、第1信号層20よりも高い抵抗値を有す
る高抵抗層42が電気的に接続され、この高抵抗層42
には、通信素子200に電力を供給する電源層44が電
気的に接続されている。具体的には、第1信号層20上
に、高抵抗層42および電源層44とがこの順に積層さ
れている。第1信号層20および第2信号層30が絶縁
されることにより、これらの層間において電流が定常的
に流れる状態を回避することができる。第2信号層30
と電源層44は、その抵抗値が非常に小さくなるように
形成される。
【0052】第1信号層20の抵抗は、有効通信距離に
基づいて設定される。すなわち第1信号層20の抵抗を
高抵抗層42との関係において適切に定めることによっ
て、電流の拡散範囲を設定することが可能となる。なお
単位面積あたりで、高抵抗層42の縦方向インピーダン
スが、第1信号層20と第2信号層30および電源層4
4との間の静電容量によるインピーダンスZよりも大き
い場合には、拡散距離は第1信号層20の抵抗とインピ
ーダンスZによって決まる。
【0053】以上の原理を数式を用いて説明する。説明
の簡単のため、第1信号層20の厚みは無視できるほど
薄いものとする。第1信号層20と電源層44の間の静
電容量と、第1信号層20と第2信号層30の間の静電
容量の和がC[F/m2]、高抵抗層42の抵抗率および厚
さがそれぞれη[Ωm]およびd[m]、第1信号層20
の面抵抗がρ[Ω]、角周波数がω[rad/s]である場
合、第1信号層20の電位V(x,y)の非定常成分
は、
【0054】
【数3】 を満たす。したがって、 ηd<1/ωC (電流拡散条件) の場合には、1/ηdの寄与が支配的となり、電流拡散
型の信号伝達を実現することができる。これを1次元問
題として考えると、原点に存在する微小電極に印加され
る電圧V V=V0exp(jωt) に対して、位置xにおける電圧Vは、
【0055】
【数4】 として表現される。この式により明らかなように、信号
が到達する範囲内において信号の位相遅れは発生しな
い。ここで、有効通信距離Dは、
【0056】
【数5】 である。
【0057】この数式に含まれる各要素、例えば第1信
号層20の抵抗を適宜設定することにより、所望の有効
通信距離を得ることが可能となる。
【0058】図8(c)は、電流拡散型の通信デバイス
の構造の別の例を示す図である。この通信デバイスは、
第1信号層20および第2信号層30と、これらの層に
電気的に接続する通信素子200を備える。第1信号層
20および第2信号層30は絶縁されており、第1信号
層20には、第1信号層20よりも高い抵抗値を有する
高抵抗層42が電気的に接続され、この高抵抗層42に
は、通信素子200に電力を供給する電源層44が電気
的に接続されている。同様に、第2信号層30には、第
2信号層30よりも高い抵抗値を有する高抵抗層46が
電気的に接続され、この高抵抗層46には、通信素子2
00に電力を供給する電源層48が電気的に接続されて
いる。具体的には、第1信号層20の上面に、高抵抗層
42および電源層44とがこの順に積層されており、第
2信号層30の下面に、高抵抗層46および電源層48
とがこの順に積層されている。図8(b)に示した通信
デバイスは、通信素子200の片面のみに積層構造を形
成していたが、図8(c)のように、通信素子200の
両面に上下対称な積層構造を形成してもよい。各層の構
成および特性については、図8(b)において説明した
とおりである。
【0059】図9は、電流拡散型の通信デバイスが信号
を発信する原理を説明するための図である。主コンデン
サ34は、通信素子200全体を駆動するために必要な
電荷を蓄積する。通信層36は、第1信号層20および
第2信号層30(図8参照)を模式的に表したものであ
る。この通信素子200は、スイッチ32のスイッチン
グ動作により電極間インピーダンスを変化させ、信号を
発信する。なおスイッチ32は処理部(図4参照)によ
り所定のタイミングで開閉される。なお本方式で、電荷
蓄積型の通信デバイスを駆動することも可能である。
【0060】スイッチ32を閉じると、第1信号層20
および第2信号層30とが短絡する。その結果、第1信
号層20と第2信号層30の間に電圧降下が生じ、近傍
の通信素子がその影響を受け、この電圧降下を信号とし
て認識する。前述のとおり、連鎖伝達型の通信方式にお
いては、この電圧降下の影響は、近傍の通信素子に伝達
されればよく、遠くに位置する通信素子にまで伝達され
る必要はない。有効通信距離を近傍に位置する他の通信
素子の距離程度に設定することにより、電力消費を少な
くすることができ、また他の通信素子との干渉を低減す
ることも可能となる。
【0061】次に、通信素子200に電力を供給する方
法について説明する。その一つの方法として、図8
(b)を参照して、通信デバイスを多層構造に形成する
ことにより、電源層44から電力を通信素子200に供
給することが可能である。通信素子200と電源層44
との間に高抵抗層42を介在させることにより、電荷が
低抵抗である電源層44全面に供給されるため、通信装
置100全体に分布している通信素子200のコンデン
サを安定して充電し、且つ通信距離を適切な距離まで拡
大するとともに信号伝達の際の電力消費を抑えることが
できる。
【0062】図10は、通信素子に電力を供給する別の
構成を示す図である。この例では、通信装置100に電
力供給線52と給電点54とが形成され、電力が電力供
給線52から給電点54を介して、通信装置100内の
通信素子に供給される。このときの電力供給方法とし
て、例えば、通信素子の信号送受信期間と充電期間とを
時間的に分けてもよい。ある通信素子が信号を送信する
際には、周囲の素子の端子間インピーダンスを高く保
ち、電力を供給する際には、全ての素子の信号送信を停
止して、通信素子のコンデンサに一斉に充電する。特
に、通信素子が第1信号層および第2信号層からなる2
層構造を有し、電源層を含む多層構造をとらない場合に
は、このような電力供給線52を形成してもよい。
【0063】以上、図5から図10を通じて、通信デバ
イスの具体的な構造について説明したが、通信デバイス
は上述した構造に限らず、周辺の通信素子との間で信号
を送受できるものであればよい。以下に、局所的な通信
を行う通信デバイスを用いた連鎖伝達型の通信方式の詳
細について説明する。
【0064】本実施の形態において、連鎖伝達型の通信
アルゴリズムには「論理波動伝播モード」と、「アドレ
ス連鎖伝達モード」とが存在する。論理波動伝播モード
は、発信元の通信素子から全ての通信素子に信号をブロ
ードキャストする通信アルゴリズムであり、アドレス連
鎖伝達モードは、経路を定めて、発信元の通信素子から
目的地である通信素子まで経路に沿って信号を伝達する
通信アルゴリズムである。まず、論理波動伝播モードに
ついて説明する。
【0065】図11は、通信装置において論理波動伝播
モードにより信号が伝播する状態を説明するための図で
ある。図中、小さな円は通信素子を示し、中央の黒塗り
の円は、信号の発信元である通信素子を示す。通信素子
を囲んでいる同心円は、信号を受信した通信素子の領域
を示す。
【0066】論理波動伝播モードにおいては、信号待機
中、全ての通信素子が周囲の信号を監視する。信号を受
信した通信素子は、その信号をメモリに格納し、確率1
/nで同一の信号系列を送信する。送信確率1/nは、
確実に信号が通信装置全体に伝播するように予め設定さ
れる。各信号系列は「信号ID」を有しており、通信素
子が同一の信号IDをもつ信号を受信した場合には、そ
の信号の転送を行わないことが好ましい。以上の動作を
各通信素子が実行することにより、任意の通信素子から
発生した論理波動伝播信号が、図示されるようにほぼ同
心円状に広がっていき、通信装置全体に伝達されること
になる。
【0067】次に、アドレス連鎖伝達モードについて説
明する。
【0068】図12は、アドレス連鎖伝達モードにおけ
る通信素子の階層構造を説明するための図である。アド
レス連鎖伝達モードにおいては、複数の通信素子が、通
信の管理機能の低いものから順に1次からN次までの階
層に分類される。2≦M≦Nとした場合、M次通信素子
の配置密度は、(M−1)次通信素子の配置密度よりも
低く設定される。M次通信素子は、自身から所定の範囲
内に配置された(M−1)次通信素子を管轄し、またM
次通信素子は、(M−1)次通信素子が有する通信管理
に必要な機能を少なくとも有している。ここで管轄する
とは、他の通信素子のIDの管理などを行うことを意味
する。便宜上、管轄する側の通信素子を「親素子」、管
轄される側の通信素子を「子素子」と呼んでもよい。通
信処理を行う際、M次通信素子は、M次の階層の通信素
子として機能するだけではなく、1次から(M−1)次
の階層の通信素子としても機能することができる。M次
通信素子がある階層の通信素子として機能する場合に
は、その階層において設定された所定の範囲内に配置さ
れた1階層下の通信素子を管轄することになる。M次通
信素子は、管轄下にある(M−1)次通信素子が管轄す
る(M−2)次通信素子についても管轄してよいが、
(M−2)次通信素子について管轄していない場合であ
っても(M−1)次通信素子に対して適宜問い合わせを
行うことにより、この(M−2)次通信素子を把握する
ことが可能である。
【0069】連鎖伝達型の通信装置において、全ての通
信素子は、その有効通信距離を、周辺に配置された他の
通信素子と局所的な通信を行える程度に設定されてい
る。素子間隔が大体10cmとなるように通信素子が分散
して配置されている場合には、通信素子の有効通信距離
も10cm程度に設定される。
【0070】このときの各階層における通信素子の配置
間隔について説明すると、1次通信素子は大体10cm間
隔で配置されており、M次通信素子の配置間隔は(M−
1)次通信素子の配置間隔の数倍程度となるように配置
されるのが好ましい。したがって、2次通信素子の配置
間隔は、数10cm程度となる。なお、この配置間隔は厳
密である必要はなく、大体の間隔が把握されていればよ
い。1次通信素子は最も高密度に配置されて、その周囲
の一定の距離までに存在する他の通信素子に信号を伝達
し、本通信装置における信号伝達の基本素子として機能
する。なお、前述のように2次以上の通信素子であって
も、信号の連鎖伝達時には1次通信素子として機能する
ことができる。通信装置における信号の転送を考えた場
合に、1次通信素子は、他の通信素子を管轄する機能を
有しなくてよい。なお、後述するが、例えば1次通信素
子の周辺にセンサなどが配置される場合には、1次通信
素子は、これらのセンサを管轄する機能を有することに
なる。
【0071】まず、通信装置において階層構造の最上位
に一つのN次通信素子が存在する場合の通信アルゴリズ
ムについて説明する。このアルゴリズムによると、送信
元と送信先の通信素子の階層構造の上位に共通の通信素
子が存在するとき、その上位の通信素子が送信元から信
号を受け取り、送信先までの経路を作成して信号を転送
する。通信装置において階層構造最上位のN次通信素子
が一つしか存在しない場合には、このN次通信素子は少
なくとも上位の共通の通信素子となりうるため、この通
信アルゴリズムが有効に機能することが明らかである。
【0072】M次通信素子が信号の送信元であるとする
と、送信先が自分の階層構造の下位に所属する場合に
は、自分で送信先までの経路を作成して信号を送信す
る。一方、送信先が自分の階層構造の下位に所属しない
場合には、自分の親素子である(M+1)次通信素子に
信号を送信する。この親素子は、送信先が自分の階層構
造の下位に所属しているか否かを確認して、所属する場
合には送信先までの経路を作成し、所属しない場合には
さらに自分の親素子である(M+2)次通信素子に信号
を送信する。この作業を繰り返して、最上位のN次通信
素子まで信号が伝達された場合には、N次通信素子が、
送信先までの経路を作成する。この通信アルゴリズムに
よると、あるM次通信素子が他のM次通信素子の子素子
に信号を送信する場合、共通の親素子である(M+1)
次通信素子に一旦信号を送信して、この(M+1)次通
信素子が、他のM次通信素子に転送するという手法をと
る。
【0073】一方、最上位であるN次通信素子が複数存
在する場合には、送信元と送信先の通信素子が、一つの
N次通信素子における階層内に所属しない場合も生じう
る。このとき、N次通信素子が、自身の階層内に送信先
の通信素子が存在しないことを確認すると、別のN次通
信素子に対して調査要求を送信し、送信先の通信素子を
階層下とするN次通信素子を探索する。探索の結果、送
信元の上位素子であるN次通信素子は、送信先の上位素
子であるN次通信素子までの経路を定め、その経路に沿
って信号を送信する。この通信アルゴリズムは、最上位
のN次においてだけでなく、下位の通信素子の階層にお
いて利用されてもよい。すなわち、この通信アルゴリズ
ムによると、あるM次通信素子が他のM次通信素子の子
素子に信号を送信する場合、M次通信素子が(M+1)
次通信素子を介することなく、他のM次通信素子を直接
探索して、そのM次通信素子に信号を送信することがで
きる。信号の伝達効率を高めるために、M次通信素子
は、適当な範囲において存在する他のM次通信素子のI
Dや経路などをキャッシュ等に記憶しておいてもよい。
なお、送信元の上位素子であるN次通信素子は、送信先
までの経路を設定すると、図13に示す送信パケットを
生成して信号を送信する。
【0074】図13は、送信パケットの構成の一例を示
す図である。この送信パケットは、信号の転送(伝達)
に使われるものであって、 (1) コマンド (2) 受信ID (3) 送信先ID (4) 送信元ID (5) 階層数 (6) N次階層内連鎖数 (7) N次階層内経路データ (8) 1次階層内連鎖数 (9) 1次階層内経路データ (10) 送信データ のデータ項目を有している。
【0075】この送信パケットのことを「転送パケッ
ト」と呼んでもよい。省略しているが、この送信パケッ
トには、2次から(N−1)次までの各階層内の連鎖数
および経路データも含まれる。以下、各データ項目の内
容を説明する。この送信パケットは、N次通信素子が複
数存在する環境において、送信元の階層上位のN次通信
素子と送信先の階層上位のN次通信素子とが異なる場合
に、N次通信素子により生成されるものと説明した。な
お、送信元の通信素子と送信先の通信素子とが一つの
(N+1)次通信素子の階層に所属する場合にも、この
(N+1)次通信素子が、図13に示される送信パケッ
トを生成する。
【0076】コマンドは、送信パケットの処理方法を指
示するものである。上の例は信号を転送するための転送
パケットであるため、このコマンドには、転送指示に関
するコードなどが記述される。受信IDは、この送信パ
ケットを次に受信するべき通信素子のIDである。送信
先IDは、送信パケットの最終目的地である通信素子の
IDである。送信元IDは、データ信号の発信元である
通信素子のIDである。階層数は、信号伝達に携わる通
信素子の階層の数であり、この項目には「N」が記述さ
れる。
【0077】N次階層内連鎖数は、最終目的地までの経
路に存在するN次通信素子の連鎖数であり、N次階層内
経路データは、最終目的地までの経路に存在するN次通
信素子のIDおよび順序に関するデータである。具体的
にN次階層内経路データは、最終目的地である通信素子
を管轄するN次通信素子へ至るために、どのような順で
N次通信素子を経由すればよいかを順にそのIDを並べ
て記述したものである。経由地であるN次通信素子は、
このパケットを受け取ると、自分のIDをN次階層内経
路データから削除し、N次階層内連鎖数を1だけ減ら
す。
【0078】同様に、2≦M≦Nとしたとき、(M−
1)次階層内経路データは、次のM次以上の通信素子に
至るために、どのような順で(M−1)次通信素子を経
由すればよいかを順にそのIDを並べて記述したもので
あり、(M−1)次階層内連鎖数はそのIDの個数であ
る。具体的に1次階層内連鎖数は、次の2次以上の通信
素子までの経路に存在する1次の階層における通信素子
の連鎖数であり、1次階層内経路データは、次の2次以
上の通信素子までの経路に存在する1次通信素子のID
および順序に関するデータである。次の2次以上の通信
素子がない場合には、1次階層内経路データは、最終目
的地までの経路に存在する1次通信素子のIDおよび順
序に関するデータとなる。送信データは、伝達すべきデ
ータである。
【0079】図14は、各階層内の経路データを概念的
に示した図である。この例では、階層数を3に設定し、
左端の3次通信素子から右端の3次通信素子まで信号を
送信する場合を仮定する。
【0080】3次の階層において、信号は左端の3次通
信素子から中央の3次通信素子を経由して右端の3次通
信素子に伝達される。したがって3次階層内経路データ
は、中央と右端の3次通信素子のIDをこの順に並べて
構成される。
【0081】2次の階層において、信号が左端の3次通
信素子から中央に位置する次の3次通信素子に中継され
る場合に、信号はこれら3次通信素子間に存在する3つ
の2次通信素子を経由する。したがって、2次階層内経
路データは、3つの2次通信素子のIDと、中央の3次
通信素子のIDとを左から順に並べて構成される。
【0082】1次の階層において、信号が左端の3次通
信素子から次の2次通信素子に中継される場合に、信号
はこれらの通信素子間に存在する3つの1次通信素子を
経由する。したがって、1次階層内経路データは、3つ
の1次通信素子のIDと、次の2次通信素子のIDとを
左から順に並べて構成される。
【0083】M次通信素子は、自身が管轄する(M−
1)次通信素子までの経路を、他の(M−1)次通信素
子を経由する経路としてメモリに記憶する。またM次通
信素子は、自身から所定の範囲内に配置された他のM次
通信素子までの経路を、(M−1)次通信素子を経由す
る経路としてメモリに記憶する。ここで、M次通信素子
は、2次から(M−1)次の通信素子としても機能する
ことができ、ある階層の通信素子として機能する場合に
は、その階層において設定される所定の範囲内に配置さ
れた1階層下の通信素子を管轄する。例えば2次通信素
子として機能する場合には、M次通信素子が、2次通信
素子として管轄する全ての1次通信素子までの経路を、
1次通信素子を経由する経路としてメモリに記憶してい
る。具体的には、ある1次通信素子までの経路は、複数
の1次の通信素子を経由した経路として定められる。図
14を参照して、左端の3次通信素子は、3次通信素子
として2次通信素子を管轄する場合には、これら2次通
信素子および隣の中央の3次通信素子までの経路を把握
し、また2次通信素子として1次通信素子を管轄する場
合には、これら1次通信素子および隣の2次通信素子ま
での経路を把握している。
【0084】また逆に、(M−1)次通信素子は、自身
を管轄するM次通信素子までの経路の少なくとも一部
を、他の(M−1)次通信素子を経由する経路としてメ
モリに記憶する。すなわち、子素子は、他の子素子を経
由して親素子へ向かう経路を認識している。
【0085】データ信号の送信パケットには、最終目的
地である通信素子に到達するために利用される各階層内
の経路データが含まれ、この経路データは、信号の伝達
に携わる各通信素子によって適宜更新される。M次通信
素子は、(M−1)次の階層内経路データを設定する。
【0086】また送信パケットには、次に送信パケット
を受け取るべき通信素子を特定する受信IDが含まれて
おり、各通信素子は、この受信IDにより、この信号が
自身に対するものであるか否かを判別する。通信素子
は、この受信IDに基づいて送信パケットを受け取る
と、次に送信パケットを受け取るべき通信素子の受信I
Dを設定して、送信パケットを発信する。経路データに
は、次に受け取るべき通信素子のIDが含まれており、
通信素子は、経路データからこのIDを抽出して受信I
Dを設定する。このように各通信素子は、送信パケット
を受け取ると、経路データを更新して、順次その送信パ
ケットを転送していく。
【0087】図15は、アドレス連鎖伝達モードにおい
て、送信元の通信素子からその親素子に信号を伝達する
状況を説明するための説明図である。全ての通信素子
は、自身を識別するためのIDを有する。このIDの設
定方法については後述し、以下では、各通信素子がID
を有していることを前提として、信号伝達において、発
信元から自身の上位の通信素子に信号を伝達する通信ア
ルゴリズムについて説明する。ここでは通信に携わる通
信素子のみを示すが、実際の通信装置では他の通信素子
も分散して配置されていることに留意されたい。また、
理解を容易にするために、階層数を3、すなわち3次通
信素子が最高次として設定されている場合について説明
する。以下では、具体的に、ID1の1次通信素子から
別の1次通信素子まで信号を伝達する例について説明す
る。
【0088】まず、1次通信素子(ID1)が、自分の
親素子である2次通信素子(ID2−1)に信号を送信
する。1次通信素子(ID1)は、他の1次通信素子を
介して自分の親素子である2次通信素子(ID2−1)
に至る経路の少なくとも一部をメモリに記憶している。
ここでは、1次通信素子(ID1)から2次通信素子
(ID2−1)に向かう経路が、1次通信素子(ID
1)から1次通信素子(ID2)および1次通信素子
(ID3)を中継して2次通信素子(ID2−1)に到
達するように設定されており、1次通信素子(ID1)
は、この経路のうち、直接信号を伝達することになる1
次通信素子(ID2)を少なくとも認識していればよ
い。同様に、1次通信素子(ID2)も、自分の親素子
である2次通信素子(ID2−1)に向かう経路の少な
くとも一部を認識している。この経路は、1次通信素子
(ID2)から1次通信素子(ID3)を中継して2次
通信素子(ID2−1)に到達するように設定されてい
る。1次通信素子(ID2)は、この経路のうち、直接
信号を伝達することになる1次通信素子(ID3)を少
なくとも認識していればよい。同様に、1次通信素子
(ID3)は、直接2次通信素子(ID2−1)に信号
を伝達することが可能であることを認識している。
【0089】親素子である2次通信素子(ID2−1)
に至る経路のうち、1次通信素子(ID1)が1次通信
素子(ID2)のみを認識している場合、1次通信素子
(ID1)は信号を1次通信素子(ID2)に伝達し、
1次通信素子(ID2)は、この信号が親素子である2
次通信素子(ID2−1)に伝達すべき信号であること
を検出して、1次通信素子(ID3)に伝達する。同様
に、1次通信素子(ID3)もこの信号を2次通信素子
(ID2−1)に伝達する。このように、子素子が、親
素子への伝達経路のうち、次に信号を伝達する同一階層
の子素子のみを認識している場合には、信号を受け取っ
た子素子が自身で認識する子素子宛てに信号の行き先を
書き換え、信号を伝達する。
【0090】一方、1次通信素子(ID1)が親素子へ
至る経路中の全ての1次通信素子のIDおよび順序を認
識している場合には、1次通信素子(ID1)が経路中
の1次通信素子のIDおよび順序を特定する信号パケッ
トを生成し発信してもよい。1次通信素子(ID1)が
2次通信素子(ID2−1)までの経路を設定するた
め、信号を中継する1次通信素子(ID2)および1次
通信素子(ID3)の処理負担が軽減され、高速な通信
を実現することが可能となる。
【0091】2次通信素子(ID2−1)は信号を受け
取ると、この信号の最終目的地である1次通信素子(例
えば、ID17)が自身の管轄下にあるかどうかをメモ
リに記憶したテーブルを参照して調査する。2次通信素
子は、自身の管轄下にある1次通信素子のIDおよび経
路を全てメモリに記憶しており、送信先の通信素子が自
身の管轄下にあれば、メモリからその経路を読み出し
て、信号を最終目的地に伝達する。
【0092】最終目的地である1次通信素子(ID1
7)が自身の管轄下にない場合、2次通信素子(ID2
−1)は、自身の親素子である3次通信素子(IDma
x)に信号を転送する。2次通信素子(ID2−1)は
自身の親素子への経路を予めメモリに記憶している。親
素子との間における1次通信素子を中継する経路の持ち
方は、上述したとおりである。このようにして、最高次
である3次通信素子(IDmax)まで信号が送信され
る。3次通信素子(IDmax)は、1次通信素子(ID
17)までの経路を設定して、信号を送信する。
【0093】図16は、アドレス連鎖伝達モードにおい
て、上位の通信素子から送信先の通信素子に信号を伝達
する状況を説明するための説明図である。図15におい
て3次通信素子(IDmax)まで信号が転送されると、
この3次通信素子(IDmax)は自身の管轄下にある2
次通信素子を経由した経路を作成する。図示される例で
は、2次階層内経路として、2次通信素子(ID2−
2)、2次通信素子(ID2−3)、2次通信素子(I
D2−4)を順に並べた経路と、1次階層内経路とし
て、3次通信素子(IDmax)から2次通信素子(ID
2−2)までの1次通信素子を順に並べた経路とを設定
する。3次通信素子(IDmax)は、2次通信素子(I
D2−4)から最終目的地である1次通信素子(ID1
7)までの経路については把握していなくてもよく、こ
の経路については2次通信素子(ID2−4)が後に設
定すればよい。同様に、3次通信素子(IDmax)は、
2次通信素子間の1次通信素子の経路については把握し
ていなくてもよく、この経路については各2次通信素子
が後に設定すればよい。この通信アルゴリズムでは、高
次の通信素子が下位の通信素子を管理して経路を設定す
る。
【0094】図17は、アドレス連鎖伝達モードにおい
て、管理用の高次の通信素子を経由することなく、送信
先の通信素子に信号を伝達する状況を説明するための説
明図である。この例では、信号をID2−1の2次通信
素子から3次通信素子を経由させることなく、2次通信
素子を経由してID17の1次通信素子まで伝達する。
理解を容易にするために、階層数を2、すなわち2次通
信素子を最高次とする場合について説明する。なお、こ
の通信アルゴリズムは図16に関連して説明した通信ア
ルゴリズムと併用することが可能であり、その場合には
通信装置において3次以上の通信素子が存在することに
なる。また説明の便宜上、1次通信素子および2次通信
素子のIDが連続して示されているが、実際の通信装置
においてIDはランダムに設定されてもよい。
【0095】2次通信素子(ID2−1)は、この信号
の最終目的地である1次通信素子(ID17)がどの2
次通信素子によって管轄されているかを探索する。まず
2次通信素子(ID2−1)は、1次通信素子(ID1
7)が自身の管轄下にあるかどうかをメモリに記憶した
テーブルを参照して調査する。2次通信素子は、自身の
管轄下にある1次通信素子のIDおよび経路を全てメモ
リに記憶しており、送信先の通信素子が自身の管轄下に
あれば、メモリからその経路を読み出して、信号を最終
目的地に伝達する。
【0096】最終目的地である1次通信素子(ID1
7)が自身の管轄下にない場合、2次通信素子(ID2
−1)は、管轄範囲に位置する他の2次通信素子に対し
て、1次通信素子(ID17)を管轄しているか否かの
調査要求を送信する。図17では説明の便宜上、1つの
2次通信素子(ID2−2)しか示されていないが、実
際には2次通信素子(ID2−1)の管轄範囲には複数
の2次通信素子が存在し、2次通信素子(ID2−1)
は、管轄下にある全ての2次通信素子に対して調査要求
を送信する。調査要求を受け取った2次通信素子のそれ
ぞれは、1次通信素子(ID17)が自身の管轄下にあ
るかどうかをメモリに記憶したテーブルを参照して調査
する。調査の結果、自身の管轄下に存在しないことを確
認すると、各2次通信素子は、その調査結果を2次通信
素子(ID2−1)に報告する。
【0097】2次通信素子(ID2−1)は、この調査
報告を受け、さらに調査範囲を広げるために、自身の管
轄下にある複数の2次通信素子に対して、それらの管轄
下にある2次通信素子に調査要求を送信する旨を指示す
る。このように調査要求は2次通信素子の階層内で連鎖
的に伝達される。最終的に、調査要求が2次通信素子
(ID2−2)から2次通信素子(ID2−3)を介し
て2次通信素子(ID2−4)に送信されたときに、1
次通信素子(ID17)が2次通信素子(ID2−4)
の管轄下にあることが判明し、2次通信素子(ID2−
4)はその確認結果を2次通信素子(ID2−1)に返
信する。これにより2次通信素子(ID2−1)は、1
次通信素子(ID17)の大まかな位置を認識し、また
2次通信素子(ID2−4)までの経路を、2次通信素
子を経由する経路として取得する。信号の転送処理は1
次の階層で実現されるが、2次通信素子(ID2−1)
は、自身の管轄範囲以外の1次通信素子に関する情報を
持つ必要はなく、2次通信素子(ID2−4)から1次
通信素子(ID17)までの経路を把握しないでよい。
【0098】この通信アルゴリズムは、図16において
説明した通信アルゴリズムと併用することが可能であ
る。例えば、図17における通信アルゴリズムにおい
て、2次通信素子(ID2−1)の所定の距離以内に2
次通信素子(ID2−4)が存在しない場合に、3次通
信素子(IDmax)にパケットを送信して、3次通信素
子(IDmax)に経路の作成を依頼するようにしてもよ
い。
【0099】それから2次通信素子(ID2−1)は、
2次の階層における2次通信素子(ID2−4)への経
路データと、1次の階層における2次通信素子(ID2
−2)への経路データを設定して送信パケットを生成す
る。具体的に、2次の階層における2次通信素子(ID
2−4)への経路データとは、2次通信素子(ID2−
2)、2次通信素子(ID2−3)、2次通信素子(I
D2−4)をこの順に並べたデータであり、1次の階層
における2次通信素子(ID2−2)への経路データと
は、1次通信素子(ID4)、1次通信素子(ID
5)、1次通信素子(ID6)、1次通信素子(ID
7)、2次通信素子(ID2−2)をこの順に並べたデ
ータである。
【0100】図18(a)は、2次通信素子(ID2−
1)が生成する転送パケットの構成を示す図である。デ
ータ項目の詳細な内容については、図13に関連する説
明を参照されたい。データ項目(1)にはコード「000
1」が記述されており、このコードにより転送指示であ
ることが示される。データ項目(2)には「ID4」が記
述されており、このIDにより、パケットを次に受信す
るべき通信素子が特定される。このデータ項目(2)は、
通信素子がこのパケットを受信するたびに更新される。
データ項目(3)には「ID17」が記述されており、こ
のIDにより、パケットの最終目的地が特定される。デ
ータ項目(4)には「ID1」が記述されており、このI
Dにより信号の発信元が特定される。データ項目(5)に
は「2」が記述されており、この数字により階層数が特
定される。
【0101】データ項目(6)には「3」が記述されてお
り、この数字により2次階層内の連鎖数が特定される。
データ項目(7)には「ID2−2,ID2−3,ID2
−4」が記述されており、これらのIDおよび記述され
た順序により、2次階層内の経路が特定される。データ
項目(6)および(7)は、2次通信素子がこのパケットを受
信するたびに更新される。データ項目(8)には「5」が
記述されており、この数字により1次階層内の連鎖数が
特定される。データ項目(9)には「ID4,ID5,I
D6,ID7,ID2−2」が記述されており、これら
のIDおよび記述された順序により、次の2次通信素子
までの1次階層内の経路が特定される。データ項目(9)
の最後に記述されるIDは、その素子が1次の最終目的
地である場合以外は、2次以上の通信素子のIDとな
る。データ項目(8)および(9)は、1次通信素子がこのパ
ケットを受信するたびに更新される。
【0102】図18(a)に示された転送パケットは、
2次通信素子(ID2−1)から有効通信距離内に発信
される。その結果、データ項目(2)の受信ID(ID
4)の記述に基づいて、1次通信素子(ID4)が、こ
の転送パケットを受け取り、所定のデータ項目の内容を
更新して転送パケットを1次通信素子(ID5)に送信
する。
【0103】図18(b)は、1次通信素子(ID4)
が生成する転送パケットの構成を示す図である。1次通
信素子(ID4)はデータ項目(9)(図18(a)参
照)を参照して、データ項目(2)に、次に受け取るべき
通信素子のIDである「ID5」を書き込む。同時に1
次通信素子(ID4)は、データ項目(9)の先頭に記述
されている自身のIDをデータ項目(9)から消去し、デ
ータ項目(8)の1次階層内連鎖数を1だけ減らす。1次
通信素子(ID4)は、以上の転送処理により転送パケ
ットを生成し発信する。この転送パケットは、複数の1
次通信素子を中継され、1次階層内経路データにより指
示される経路に沿って、2次通信素子(ID2−2)に
供給される。
【0104】図18(c)は、2次通信素子(ID2−
2)が生成する転送パケットの構成を示す図である。2
次通信素子(ID2−2)は、データ項目(9)を参照し
て、自身が1次階層内経路データの最後の素子であるこ
とを認識すると、データ項目(7)において自身のIDを
消去し、データ項目(9)に、2次通信素子(ID2−
3)に至る1次階層内経路データを書き込む。具体的に
は、データ項目(9)に「ID8、ID9、ID10、I
D11、ID2−3」を1次階層内経路データとして書
き込み、データ項目(8)の1次階層内連鎖数を「5」に
設定する。また、データ項目(6)の2次階層内連鎖数を
「2」に設定する。同時に、データ項目(2)に、次に受
け取るべき通信素子のIDである「ID8」を書き込
む。2次通信素子(ID2−2)は、以上の転送処理に
より転送パケットを生成し発信する。この転送パケット
は、1次階層内経路データにより指示される経路に沿っ
て、2次通信素子(ID2−3)に供給される。以上の
転送処理が繰り返し行われ、転送パケットが2次通信素
子(ID2−4)に供給される。
【0105】図18(d)は、2次通信素子(ID2−
4)が生成する転送パケットの構成を示す図である。2
次通信素子(ID2−4)は、データ項目(9)を参照し
て、2次通信素子(ID2−3)から2次通信素子(I
D2−4)に至る経路において自身が1次階層内経路デ
ータの最後の素子であることを認識すると、データ項目
(7)において自身のIDを消去し、データ項目(6)の2次
階層内連鎖数を「0」に設定する。それから、データ項
目(9)に、最終的な目的地である1次通信素子(ID1
7)に至る1次階層内経路データを書き込む。具体的に
はデータ項目(9)に「ID16、ID17」を1次階層
内経路データとして書き込み、データ項目(8)の1次階
層内連鎖数を「2」に設定する。同時に、データ項目
(2)に、次に受け取るべき通信素子のIDである「ID
16」を書き込む。その後、2次通信素子(ID2−
4)は、この転送パケットを発信する。この転送パケッ
トは、1次階層内経路データにより指示される経路に沿
って、1次通信素子(ID17)に供給される。
【0106】以上の動作により、送信データが最終目的
地に伝達される。この例では通信装置の階層数が2の場
合について説明したが、階層数はこれに限らず、3以上
であっても同一のデータ伝達機能を実現することができ
る。
【0107】以上、各通信素子がIDを有し、親素子が
全ての子素子に至る経路を予め認識し、子素子が親素子
への経路を予め認識していることを前提として、アドレ
ス連鎖伝達モードにおける通信装置の通信アルゴリズム
について説明した。以下では、本実施の形態における通
信装置において、各通信素子にIDを設定し、また自分
の子素子への経路および親素子への経路を自発的に取得
するアルゴリズムについて説明する。
【0108】通信装置の電源がONになると、全ての通
信素子が、所定の桁数の乱数を発生し、IDとしてメモ
リに記憶する。この桁数は、通信素子間で偶然に一致す
る可能性が少なくなるように、十分な大きさであること
が好ましい。各通信素子は、予め組み込まれたプログラ
ムにより各階層に分類される。この時点では、自分の周
囲にどの通信素子が存在するかについて何の情報も有し
ていない。
【0109】まず2次通信素子が、「近傍応答要求」を
発信する。1次通信素子は、この近傍応答要求を受け取
ると、自身のIDを2次通信素子に対して返信する。1
次通信素子のIDは、1次通信素子を暫定的に特定する
ものとして利用される。ここで2次通信素子とは、2次
通信素子としての機能を実現できる通信素子を意味し、
3次以上の通信素子も含めた概念として扱う。前述した
ように、各通信素子の有効通信距離は、自身の周辺に配
置された他の通信素子に到達できる程度に設定されてお
り、したがって2次通信素子の周辺に配置された1次通
信素子のみがこの「近傍応答要求」を受け取ることがで
きる。2次通信素子は、このIDを返信した1次通信素
子を「距離1の通信素子」としてメモリに記録し、返信
のあった順に新たにIDを割り付ける。この割り付けら
れたIDと、親素子である2次通信素子の2次の階層内
でのIDを合わせたものが、2次以下の階層におけるI
Dとなる。この後、近傍応答要求を3回繰り返し、2回
以上返信のあった1次通信素子を「距離1の通信素子」
として確定する。このようにして最上位まで各階層ごと
にIDを割り付けていき、最終的に最上位までのIDを
合わせたものが、その通信素子の通信装置におけるID
となる。
【0110】図19は、近傍応答要求のパケットの構成
を示す。このパケットは「コマンド」、「応答すべき素
子の次数」、「親素子ID」のデータ項目を有してい
る。具体的に「コマンド」には、近傍応答要求のコー
ド、例えば「0010」が記述される。「応答すべき素
子の次数」には、1次通信素子に対するコマンドである
ため、「1」が記述される。また「親素子ID」には、
近傍応答要求を発信した2次通信素子のIDが記述され
る。
【0111】それから、2次通信素子は、IDを設定し
た「距離1の通信素子」に対して「近傍調査要求」を発
信する。この近傍調査要求を受け取った1次通信素子
は、近傍応答要求を発信して周辺の1次通信素子の存在
を調査する。周辺の1次通信素子は、この近傍応答要求
を受け取ると、自身の暫定的なIDを、近傍応答要求を
発信した1次通信素子に対して返信する。周辺の1次通
信素子からの応答を受け取った1次通信素子は、この応
答を2次通信素子に送信し、2次通信素子はこの応答を
受けて、IDを返信した1次通信素子を「距離2の通信
素子」として設定し、新たなIDを割り付ける。すでに
2次通信素子から新たなIDを設定された1次通信素子
は、この近傍応答要求に応答しないことが好ましい。こ
のようにして、2次通信素子は、距離2までの1次通信
素子のIDおよび経路をメモリに記録する。2次通信素
子は、近傍調査要求を繰り返し発信して、自身がIDを
設定して管轄する1次通信素子の数を増やしていき、自
身が管轄する1次通信素子との間の経路を順次設定す
る。
【0112】図20は、近傍調査要求のパケットの構成
を示す図である。このパケットは「コマンド」、「受信
ID」、「応答すべき素子の次数」、「親素子ID」、
「1次階層内連鎖数」、「1次階層内経路データ」のデ
ータ項目を有している。具体的に「コマンド」には、近
傍調査要求のコード、例えば「0110」が記述され
る。「応答すべき素子の次数」には、1次通信素子に対
するコマンドであるため、「1」が記述される。また
「親素子ID」には、近傍応答要求を発信した2次通信
素子のIDが記述される。「受信ID」、「1次階層内
連鎖数」、「1次階層内経路データ」については、図1
3に関連して説明したとおりである。1次階層内経路デ
ータの最後に記述された1次通信素子は、この近傍調査
要求を受け取ると、周辺に対して近傍応答要求を発信す
る。
【0113】1次通信素子に対して新たなIDを設定し
た段階で、2次通信素子は、子素子となった1次通信素
子に対して、「親素子からその素子に至る経路」および
「連鎖回数」を「近傍コピー要求」によって伝達し記録
させる。
【0114】図21は、近傍コピー要求のパケットの構
成を示す図である。このパケットは「コマンド」、「受
信ID」、「親素子ID」、「1次階層内連鎖数」、
「1次階層内経路データ」、「データ」のデータ項目を
有する。「コマンド」には、近傍コピー要求のコード、
例えば「1000」が記述される。「受信ID」には、
設定したIDが記述され、「データ」には「親素子から
その素子に至る経路」および「連鎖回数」が記述され
る。1次通信素子は近傍コピー要求を受け取ると、その
情報を「調査報告」によって親素子である2次通信素子
に送信する。
【0115】図22は、調査報告のパケットの構成を示
す図である。このパケットは「コマンド」、「受信I
D」、「親素子ID」、「1次階層内連鎖数」、「1次
階層内経路データ」、「実親、非実親の別」、「送信元
ID」のデータ項目を有する。「コマンド」には、調査
報告のコード、例えば「1001」が記述される。「親
素子ID」には、IDを設定した2次通信素子のIDが
記述される。「受信ID」、「1次階層内連鎖数」、
「1次階層内経路データ」については前述のとおりであ
る。「送信元ID」は、親素子により新たに設定された
IDが記述される。実親、非実親については後述する。
【0116】調査報告を受け取った2次通信素子は、
「連鎖確認通知」を発信する。この連鎖確認通知を受け
取った1次通信素子は、親素子となる2次通信素子のI
Dおよび経路を確定し、メモリに記録する。なお、非常
に少ない確率ではあるが、複数の1次通信素子のIDが
同一となる場合も想定される。したがって、親素子であ
る2次通信素子は、同じIDをもつ1次通信素子から異
なる経路の報告を2度受けた場合、「連鎖ID変更要
求」を発信して、一方の1次通信素子のIDを変更す
る。
【0117】図23は、連鎖確認通知のパケットの構成
を示す図である。このパケットは「コマンド」、「受信
ID」、「親素子ID」、「1次階層内連鎖数」、「1
次階層内経路データ」のデータ項目を有する。「コマン
ド」には、連鎖確認通知のコード、例えば「1010」
が記述される。
【0118】図24は、連鎖ID変更要求のパケットの
構成を示す図である。このパケットは「コマンド」、
「受信ID」、「親素子ID」、「1次階層内連鎖
数」、「1次階層内経路データ」、「新規ID」のデー
タ項目を有する。「コマンド」には、連鎖ID変更要求
のコード、例えば「1011」が記述される。「新規I
D」は、IDの重複を回避するために設定したIDであ
る。
【0119】1次通信素子は、自分の親素子が確定した
後も、他の2次通信素子からのコマンドに応答する。最
初に確定した親素子のことを「実親」と呼び、1次通信
素子は、実親以外の2次通信素子に対して、実親がすで
に存在することを通知する。2次通信素子は、自身を実
親とする1次通信素子を「実子」として登録する。
【0120】以上の手続により、2次通信素子が、距離
Lまでの1次素子を子素子とする階層構造を形成する。
この1次素子には、他の2次通信素子も含まれる。最終
的に、2次通信素子は、実子以外の子素子のうち、別の
2次通信素子に至る経路に含まれないものをすべて削除
してもよい。
【0121】このように、2次通信素子は、所定の距離
内に位置する1次通信素子を子素子として設定し、各子
素子のIDおよび各子素子への経路をメモリに記録す
る。この手続きは、全ての階層において実行される。な
お、3次以上のM次通信素子と(M−1)次通信素子間
においては、近傍応答要求は発信されない。この近傍応
答要求は、周辺の通信素子が直接受け取ることを前提と
した信号であり、3次以上のM次通信素子と(M−1)
次通信素子間の距離は、信号の有効通信距離よりも長い
ため、M次通信素子から発信した近傍応答要求を(M−
1)次通信素子が直接受信することはできない。
【0122】3次以上のM次通信素子は、隣の(M−
1)次の通信素子に「連鎖近傍応答要求」を送信する。
なお、この隣の(M−1)次通信素子は、M次通信素子
が(M−1)次通信素子として(M−2)次の子素子の
テーブルを作成したときに、自身の近傍に存在する(M
−1)次素子として登録されている。階層構造は、低次
の階層から順に形成されていく。この連鎖近傍応答要求
を受け取った(M−1)次通信素子は、自分の子素子で
ある他の(M−1)次通信素子に連鎖近傍応答要求を送
信する。3次以上の通信素子は、3次から自身の階層ま
での各階層の通信素子として機能することができ、各階
層の通信素子として連鎖近傍応答要求を発信して、管轄
する1階層下の通信素子およびその通信素子に至る経路
をそれぞれ設定する。
【0123】図25は、連鎖近傍応答要求のパケットの
構成を示す図である。このパケットは「コマンド」、
「受信ID」、「送信先ID」、「応答すべき素子の次
数」、「親素子ID」、「(M−1)次階層内連鎖
数」、「(M−1)次階層内経路データ」、・・・「1
次階層内連鎖数」、「1次階層内経路データ」のデータ
項目を有する。
【0124】N次の通信素子まで上述したIDおよび経
路の設定アルゴリズムを繰り返すことによって、通信素
子の階層構造が生成され、子素子への経路および親素子
への経路が確定する。このように、本実施の形態の通信
装置は、各通信素子のIDおよび各通信素子へ至る経路
を自動的に設定することができ、特に予めIDが設定さ
れていない通信素子を導電層上にランダムに配置する場
合には、この自動設定アルゴリズムが非常に有用とな
る。また、このIDおよび経路の自動設定アルゴリズム
により、通信素子の故障や導電層の破断などが生じた場
合であっても、適宜IDおよび経路を変更して通信機能
を回復することが可能となり、従来の回路基板などで配
線の断絶により通信不能となる課題を解決することがで
きる。
【0125】例えば、この通信技術を用いると、所定の
有効通信距離の範囲内で信号を伝達する通信機能を有す
る複数の回路素子を導電性基板上に分散して配置させる
ことにより、回路素子の実装を行うことが可能となる。
配線を形成しないため、回路素子の搭載場所を任意に設
定することができ、従来の配線面積が大きくなる問題を
回避することが可能となる。
【0126】次に、この通信装置に、センサ機能を付加
した本発明の第2の実施の形態について説明する。以下
では、この通信装置に触覚センサを搭載し、人工皮膚な
どの用途に本発明による通信装置を応用する具体例を示
す。なお、通信装置に搭載するセンサは触覚センサ以外
にも、温度センサや聴覚センサなど、様々なセンサであ
ってよいことは当業者であれば容易に理解されるところ
である。
【0127】一つの例として、触覚センサは、第1の実
施の形態による通信装置において1次通信素子の周辺に
配置される。通信装置において、触覚センサは、0次通
信素子として機能し、信号の転送処理などの機能は有し
なくてよい。触覚センサは、自身の周辺に配置されてい
る1次通信素子を親素子とし、この親素子との間で通信
できるように設定される。触覚センサは、各通信素子と
同じ有効通信距離を有し、親素子である1次通信素子に
直接信号を伝達することができる。人工皮膚に応用する
場合には、触覚センサの配置密度を1次通信素子の配置
密度よりも高く設定し、人間の肌の感覚にできるだけ近
づけることが好ましい。なお、触覚センサのIDは、1
次通信素子が近傍応答要求を発信し、それに応答した触
覚センサに対して新たなIDを順次割り当てることによ
り設定される。触覚センサの面積が小さい場合、親素子
の1次通信素子をホストコンピュータで代用してもよ
い。この場合、ホストコンピュータと触覚センサの通信
は、直接伝達型の通信方式に相当する。以下、第2の実
施の形態において利用することのできる触覚センサにつ
いて説明する。
【0128】第2の実施の形態は、対象物との接触によ
って生じる圧力の分布、さらにそこから対象物の触感や
滑りなどの運動を検出する触覚センサに関するものであ
り、ロボットハンドの触覚センサ、ペットロボットや介
護ロボットの人工皮膚、質感などの感性評価用センサ、
触感を検出し触覚ディスプレイで人間に体感させるバー
チャルリアリティの技術分野に属する。
【0129】触覚センサとしては、フィルム状の感圧セ
ンサアレイなど、数多くの方法が提案されているが、い
まだに人間の触感と同等な情報を検出可能なデバイスは
存在していない。その主な原因は高い密度で応力分布を
検出し、かつ伸縮が可能な柔軟センサが実現できていな
いためである。
【0130】この問題の解決方法として、特開平11−
245190号公報「触覚センサ及び触感検知システ
ム」等が提案されているが、この方法では自由空間を介
して触覚素子に電力供給し、また信号送信を行うため、
その際のエネルギーロスが大きかった。また、それ自身
が他のセンサや通信に対するノイズ源となっていた。
【0131】触覚センサの製作においては、皮膚の変形
を検出する微小なセンサ素子を高い密度で広範囲に配置
する必要がある。しかしながら、各素子から信号を読み
出すための配線は、変形によって破損しやすく、また触
覚センサ自体の柔らかさを損なうものであった。また、
小さな素子からの信号を高いSN比で読み出すことも困
難であった。
【0132】第2の実施の形態は、上記状況に鑑みて、
各素子から信号を読み出すための変形に強い導電性構造
を有し、かつ、小さな素子からの信号を高いSN比で読
み出すことができる触覚センサを提供することを目的と
する。
【0133】第2の実施の形態によれば、次のような触
覚素子、すなわち検出した触覚の信号を素子の内部の回
路で符号化し、シリアル信号として送出可能な触覚チッ
プによって、従来の問題を解決する。触覚チップは表と
裏に1つずつの電気的接点をもち、それらはそれぞれ2
層の導電性ゴム状弾性体に接続される。全ての触覚チッ
プを共通の導電性ゴムに接続すればよく、必要な数の触
覚チップを2枚の導電性ゴムでサンドイッチして電気的
接触をとることによって各素子への電気的接続が完了す
る。各触覚チップはそれぞれのID番号をもち、2層の
導電性ゴムに接続されたコンピュータによって触覚チッ
プを指定し、そのデータを読み出す。このような構成に
よって、各素子へ個別の配線をすることなく、高密度に
配置された触覚素子からデータを読み出すことができ
る。また応力を検出した場所でそれを符号化して伝送す
るため、高いSN比で計測を行うことができる。
【0134】以下、第2の実施の形態について詳細に説
明する。
【0135】図26は、第2の実施の形態における触覚
チップ1と導電性ゴム2および3を用いた触覚センサの
模式図である。この触覚センサは、触覚チップ(以下、
「触覚素子」ともいう)1が導電性ゴム2および3に挟
まれた構造を有している。触覚チップ1は、外部からの
圧力を電気信号に変換する。ホストコンピュータ4は、
導電性ゴム2および3に電圧を印加する機能を有する。
【0136】図27は、触覚センサの断面図である。触
覚チップ1の上面および下面には電極6aおよび6bが
設けられる。電極6aおよび6bは、それぞれ導電性ゴ
ム2および3と電気的に接触する。導電性ゴム2および
3の間には絶縁層7aが設けられ、また導電性ゴム2の
上面には、絶縁層7bが設けられている。絶縁層7bの
表面5は、外部に露出してもよい。
【0137】次にこの触覚センサの全体の動作を説明す
る。
【0138】図28は、第2の実施の形態の触覚センサ
のコンピュータから各素子へ送信される信号電圧、及び
各素子の端子間入出力インピーダンスを示す図である。
【0139】図28(a)は、導電性ゴムに接続された
コンピュータから、その導電性ゴムに印加される電圧を
示している。図28(b)および図28(c)は各触覚
チップの電極間の入力および出力インピーダンスを表し
ており、電源投入時には全てのチップの2つの端子間の
インピーダンスは小さく、電圧印可によって電流が各チ
ップに流入し、動作のためのエネルギーが蓄えられる。
一定時間経過後に動作可能状態となり、2層の導電性ゴ
ム2および3に接続されたコンピュータ4から16ビッ
トのID信号が送出される。
【0140】なお、この例において、チップの通信回路
は5MHzで動作し、コンピュータと触覚チップとで送受
信される信号は1MHzであるものとする。コンピュータ
のクロックと触覚チップ上のクロックは同期しておら
ず、電源投入直後にコンピュータから32個のパルスを
送出し、各触覚チップはその32個のパルスが到来する
間にカウントされた自身のチップ上のクロック数を記録
することで、コンピュータからの信号のクロックと自身
のクロックとの周波数の比を測定する。この動作は電源
投入後に一度だけ行い、以後この比を用いて通信を行
う。
【0141】コンピュータからID信号を受け取った触
覚チップは、そのIDが自身のIDと異なる場合には、
図28(b)に示すように、端子間インピーダンスを高
くしたまま次のID信号受信までの一定時間を待機す
る。受け取ったIDが自身のIDと一致した場合には、
図28(c)に示すように、保持していた32ビットの
触覚データを送信する。一つのチップがIDを受信し、
信号を送信するのに要する合計時間は60μ秒である。
また、各素子の応力計測は通信とは独立して行われてお
り、1m秒ごとにチップ内部の保持データを更新する。
なお、この通信方式は、前述した直接伝達型の通信方式
に相当する。
【0142】図29は、第2の実施の形態における人工
皮膚の構造原理を示す。図29(a)は、直接伝達型の
通信方式の信号送信の原理を説明するための図である。
触覚素子1は上面と底面に電気的な接点をもち、2層の
通信層36に電気的に接触している。触覚素子1内部の
スイッチ38を開放、短絡することによって、通信層3
6間の電位を変化させ信号を送信する。いま、人工皮膚
の面積をSとし、通信層36間の静電容量をC[F]と
すると、C=ε0S/dであるから(dは通信層36の
間隔)、S=0.1[m2]、d=1[mm]とするとC=1
[nF]程度である。いま通信層36の面抵抗(正方形を
切り出したときの対辺間の抵抗)をρとすると、τ=ρ
C以上の時定数においては図29(b)のような集中定
数で現象を記述することができる。図29(b)は、通
信層36の電位を一定とみなせる周波数における等価回
路を示す図である。いまρ=100[Ω]とすると、τ=
0.1[μs]であるから、人工皮膚の面積が30cm角程度で
あれば、この方法により触覚素子1から1MHz程度の信
号を送信し、それを通信層36の任意点で観測すること
ができる。
【0143】図29(c)は、触覚素子1の回路の基本
構成を示す図である。図のようにダイオードを介して触
覚素子1を動作させるのに必要な電流i(10[MHz]動作
時において30[μW]程度)を信号層から受け取る。素子
の総数をn=1,000程度とすれば全素子が待機中に消費
する電流はni=30[mA]程度であり、この電流による通
信層36間の等価抵抗は100[Ω]程度である。例えば各
素子の出力がハイである時間が全体のa倍を占めている
場合、ハイである間に全素子に流入すべき電流の合計は
J=ni/aであり、これによる電圧降下分を差し引い
ても2層間に動作電圧が確保できるのであれば信号の送
受信と電力供給を同時に行うことができる。
【0144】各素子とホストコンピュータとの通信は例
えば以下のように行えばよい。各素子はスイッチをオフ
の状態に維持しながら外部の信号を観察する。無信号時
の信号層の電位はハイであり、全てのデータ、およびコ
マンドは原則としてmビットごと(例えばm=4)にハ
イとなる。この規則によって素子への電力供給を確保す
る。
【0145】m+1ビット以上のローの連続は、直後に
ホストコンピュータから信号が送信される目印となる。
その後最初の立下りから16ビットをアドレスデータと
し、それがあらかじめ設定されている自身のIDと一致
する場合に触覚データを送信する。ホストコンピュータ
はそのデータを読み込む。
【0146】なお、ホストコンピュータから送信される
信号のクロック周波数Fと、素子のクロック周波数G
(>F)の比率はばらつきがあるため、電源投入直後に
以下の手続きによってFとGの比を観測して保存する。
【0147】図29(d)は、電源の投入を検出する回
路を示す図である。この回路は、電源投入直後であるこ
とを検出し、その直後から一定数の入力パルスをカウン
トする。ホストコンピュータ側は電源投入直後に通信の
クロック信号を通信層36に印加する。決まった数の信
号クロックをカウントする間に、素子内部のクロック数
を同時にカウントして入力パルスの周期と自身のクロッ
ク周期の比を算出する。以後はこの比率をもとに通信層
36の信号を読む。また自身が信号を発生する場合も、
ホストコンピュータが発生するのと同じ周期で信号を発
生させる。
【0148】AおよびG間に電圧が印加されるとC1<C
2としてまず端子Bがハイとなり次に端子Dが立ち上が
る。端子Bの立ち上がりと同時に触覚素子1のクロック
をオンし、BとDが両方ハイとなったときに主回路が動
作する。クロック比の算出動作は、Bがハイでありかつ
Dがローであるときに開始されることとしておくと、電
源投入直後に1度だけ実行されることになる。
【0149】触覚センサチップの構造、および応力検出
の原理は、図30〜図32に示されている。ここで、図
30(a)は触覚チップの側面図、図30(b)は触覚
チップの分解図、図30(c)はLSIチップ1bの表
面図及びLSIチップ1bに付加する部品の図である。
図30(a)におけるd1は100μm、d2は100μ
m、図30(c)におけるd3は3mm、d4は1mmであ
る。図30(c)において電極6が示されている。
【0150】LSIチップ1bの表面にはE1からE4
までの4つの電極が形成されており、LSIチップの内
部には通信用のデジタル回路とともに、図31に示すよ
うな自励発振用回路が組み込まれている。このようなL
SIチップ1bの上面には金属製(りん青銅製)の部品
1aが接続される。
【0151】図31に示すように、発振回路の端子S1
およびS2はLSI内部のスイッチによって電極E1か
らE4までのうち2つを選んで接続され、金属部品1a
を介して両電極の間に生じる容量Cと、回路中の抵抗R
で与えられる時定数CRで発振が生じる。容量CはLS
I上の電極と、それに接着された金属部品1aまでの距
離によって決まるため、この発振回路の周波数を知るこ
とによって指定された電極と金属部品1aまでの距離を
得ることができる。したがって、ここからチップ全体へ
の応力に対する金属部品1aの変形を知ることができ
る。なお電極E1からE4までとLSIのグランド層と
の容量が大きい場合には、各電極Eと金属部品1aの
対応領域とでそれぞれ個別の発信回路を組み、4つのサ
イトごとに発信周波数を観測してもよい。
【0152】以上の測定原理を数式を用いて再度説明す
る。
【0153】いま電極E(i=1〜4)と金属部品1
aとの間の容量をCと表すことにし、発振回路の端子
S1およびS2を電極EおよびEに接続したとす
る。このとき端子S1およびS2に接続された容量Cは 1/C=1/C+1/C で与えられ、発振回路はこの容量Cを用い、周波数f
ij=α/CRで発振する。ただし、αは定数である。
したがって、電極Eと部品1aとの間の平均距離をd
とすると、EおよびEをS1およびS2に接続し
たときの発振周波数は fij=α/R・(1/εS)・(d+d) で与えられる。εは空気の誘電率、Sは各電極の面積
である。
【0154】したがって、この発振周波数から選択した
2つの電極と金属部品1aとの平均距離を知ることがで
きる。
【0155】次に、図31のようにx−y軸をとり、金
属部品1aの表面上にp(x,y)なる垂直応力の分布
が与えられたとする。そのときの平均圧力p0とそのx
方向およびy方向微分pおよびpは発振周波数と p0=−β(Δf12+Δf34) p≡(∂/∂x)p=−γ(Δf24−Δf13) p≡(∂/∂y)p=−γ(Δf12−Δf34) のような関係をもつ。Δfijは、応力が働いていない
ときの発振周波数fijを基準としたときの、そこから
の変化分である。部品1aとLSIチップを接続する部
分の直径d4(図30参照)を小さくすることによっ
て、圧力分布の空間微分pおよびpに対する感度を
pの感度に対して相対的に高めることができる。なお試
作回路において、図31の抵抗Rは100kΩであり、
発振周波数は約10MHzである。
【0156】触覚素子は図32のように埋め込まれる。
なお、空洞1cには空気が存在する。触覚チップ1の厚
みHが有限の場合には、pおよびpが、素子周囲に
一様に与えられるせん断応力TxzおよびTyzに比例す
る。基礎実験として汎用の回路基板上に電極E1〜E4
を形成し、金属部品1aを接続した構造物を、試作した
LSIチップ1bに外付けし、発振回路の動作を確認し
た実験の様子を図33に示す。この図33において、剛
体壁8、柔軟ゴム9、回路基板10が示されている。d
5は10mmである。
【0157】図34はLSIチップのマスクパターン
(代用図)、図35(a)は、基礎実験として汎用の回
路基板上に作成した電極E1〜E4から部品1aを取り
外した状態を上方から撮影した写真(代用図)、図35
(b)は電極E1〜E4に部品1aを接続した状態を撮
影した写真(代用図)である。
【0158】図36は無負荷時に観測された発振波形で
あり、横軸に時間(μs)、縦軸に電圧(V)を示してい
る。
【0159】図37は、構造物の表面に柔軟体を設置
し、表面全体に変位を与えていったときに観測された発
信周波数を示す図である。図37(a)は、構造物の表
面に厚さ3mmの柔軟体(ヤング率は4.4×105Pa)を設置
し、表面全体に垂直変位を与えていったときに観測され
た発振周波数f13およびf24を示す。垂直負荷によって
金属部品1aと電極との距離が全体に減少し、両方の発
振周波数が減少することがわかる。図37(a)におい
て、横軸はZ変位[mm]、縦軸は周波数[MHz]を示し
ている。
【0160】図37(b)は、表面に水平方向(x方
向)変位を与えていったときに観測されたf13およびf
24を示す。横軸はX変位[mm]、縦軸は周波数[MHz]
を示している。ステージを+x方向に移動し、表面は相
対的に左方向に変位させたとき、左側電極に対する発振
周波数f24は減少し、右側電極に対する発振周波数f13
は増加する傾向が見られた。
【0161】以上で観測された周波数についてf13およ
びf24の和および差をプロットし直したものを図38に
示す。図38(a)は、垂直変位を与えていったときに
観測されたf13およびf24の和および差を横軸にZ方向
変位をとりプロットした図であり、図38(b)は、表
面に水平方向(x方向)変位を与えていったときに観測
されたf13およびf24の和および差を横軸にX方向変位
をとりプロットした図である。図38(a)において、
横軸はZ変位[mm]、縦軸は周波数[MHz]を示し、図
38(b)において、横軸はX変位[mm]、縦軸は周波
数[MHz]を示している。
【0162】垂直応力を与えた場合には和信号が変化し
て差信号は変化せず、水平応力を与えた場合にはその逆
に和信号が変化せず、差信号が変化した。
【0163】この結果から、本触覚チップは垂直応力と
せん断応力を分解して検出することができることがわか
る。
【0164】また、発振周波数の安定性は、1msの観測
時間に対し変動1kHzであり、誤差率は0.01%であった。
弾性体表面の1mmの変位に対し、発振周波数は約10%
程度変化し、検出可能な最小表面変位は1μmであっ
た。すなわち応力測定レンジとして10ビット以上を実
現することができた。
【0165】なお、導電性ゴム2および3と触覚チップ
1の接続方法は、ここに示したものの他、図39のよう
にチップ上の電極6aおよび6bを同一面に配置し、ピ
ン状突起11aおよび11bによって複数の層と電気接
触を確保する方法や、図40のように単一層の内部に導
電領域をパターニングする方法も考えられる。図40で
は単一層内の複数の導電領域にチップの電極を電気的に
接触させている。図39において、ピン状突起11aお
よび11bは、チップ上の電極6aおよび6bと導電性
ゴム層2および3との電気接触をそれぞれ確保するため
に設けられる。導電性ゴム層3の下面および上面には、
絶縁層7aおよび7bがそれぞれ設けられる。図40に
おいて、単一ゴム層内の絶縁領域12、および単一ゴム
層内の導電領域13が示されている。
【0166】センサシートの面積が大きい場合、2層の
導電層間の容量が大きくなるため、同一層内部でも、導
電性が必要ない部分は非導電性材料に置き換えておくこ
とは有効である。
【0167】また、個別の配線を用いずに多数の触覚チ
ップからの信号を導電性ゴムを介して読み出すことによ
って、柔らかさと丈夫さを保ったまま高密度に触覚セン
サを配置することができ、また局所的に検出した変形デ
ータを符号化して信号送信することにより、触覚信号を
SN比良く読み出すことが可能となる(実験においては
測定レンジは10ビット以上)。これを用いて人間の触
覚と同様に柔らかいセンサが実現されると期待され、こ
れらをロボットの表面全体に被覆することも可能であ
る。
【0168】以上、第2の実施形態によれば、高密度に
多数の触覚素子が配置された柔軟な触覚センサを実現す
ることができる。
【0169】以上、本発明をいくつかの実施の形態をも
とに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それ
らの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな
変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範
囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0170】
【発明の効果】本発明によれば、新規な通信装置および
これを応用した新規な触覚センサなどを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 通信技術の方式を説明するための図である。
【図2】 (a)は連鎖伝達型の通信方式の概念図であ
り、(b)は直接伝達型の通信方式の概念図である。
【図3】 第1の実施の形態にかかる通信装置の外観構
成を示す図である。
【図4】 通信素子の機能ブロック図である。
【図5】 局所的通信を実現する通信デバイスの構造の
一例を説明するための図である。
【図6】 (a)は駆動用コンデンサを充電する通信素
子の状態を示す図であり、(b)は駆動用コンデンサを
放電する通信素子の状態を示す図である。
【図7】 電荷蓄積型の通信デバイスにおける電圧と通
信距離の関係を示す図である。
【図8】 (a)は電流拡散型の通信デバイスの構造の
一例を示す図であり、(b)は電流拡散型の通信デバイ
スの構造の別の例を示す図であり、(c)は電流拡散型
の通信デバイスの構造のさらに別の例を示す図である。
【図9】 電流拡散型の通信デバイスが信号を発信する
原理を説明するための図である。
【図10】 通信素子に電力を供給する構成を示す図で
ある。
【図11】 論理波動伝播モードにより信号が伝播する
状態を説明するための図である。
【図12】 アドレス連鎖伝達モードにおける通信素子
の階層構造を説明するための図である。
【図13】 送信パケットの構成の一例を示す図であ
る。
【図14】 各階層内の経路データを概念的に示した図
である。
【図15】 アドレス連鎖伝達モードにおいて、送信元
の通信素子からその親素子に信号を伝達する状況を説明
するための説明図である。
【図16】 アドレス連鎖伝達モードにおいて、上位の
通信素子から送信先の通信素子に信号を伝達する状況を
説明するための説明図である。
【図17】 アドレス連鎖伝達モードにおいて、管理用
の高次の通信素子を経由することなく送信先の通信素子
に信号を伝達する状況を説明するための図である。
【図18】 (a)は転送パケットの一例を示す図であ
り、(b)は転送パケットの別の例を示す図であり、
(c)は転送パケットのさらに別の例を示す図であり、
(d)は転送パケットのさらに別の例を示す図である。
【図19】 近傍応答要求のパケットの構成を示す図で
ある。
【図20】 近傍調査要求のパケットの構成を示す図で
ある。
【図21】 近傍コピー要求のパケットの構成を示す図
である。
【図22】 調査報告のパケットの構成を示す図であ
る。
【図23】 連鎖確認通知のパケットの構成を示す図で
ある。
【図24】 連鎖ID変更要求のパケットの構成を示す
図である。
【図25】 連鎖近傍応答要求のパケットの構成を示す
図である。
【図26】 触覚センサの模式図である。
【図27】 触覚センサの断面図である。
【図28】 (a)は導電性ゴムに接続されたコンピュ
ータから、その導電性ゴムに印加される電圧を示す図で
あり、(b)は触覚チップの電極間の入力および出力イ
ンピーダンスを表す図であり、(c)は別の触覚チップ
の電極間の入力および出力インピーダンスを表す図であ
る。
【図29】 (a)は直接伝達型の通信方式の信号送信
の原理を説明するための図であり、(b)は導電層の電
位を一定とみなせる周波数における等価回路を示す図で
あり、(c)は触覚素子の回路の基本構成を示す図であ
り、(d)は電源の投入を検出する回路を示す図であ
る。
【図30】 (a)は触覚チップの側面図であり、
(b)は触覚チップの分解図であり、(c)はLSIチ
ップの表面図及びLSIチップに付加する部品の図であ
る。
【図31】 応力検出のための発信回路の説明図であ
る。
【図32】 触覚素子の実装状態を示す断面図である。
【図33】 触覚センサの動作確認実験装置の模式図で
ある。
【図34】 試作したテスト用LSIチップのマスクパ
ターンの代用図である。
【図35】 (a)は外付けした電極から部品を取り外
した状態を上方から撮影した写真の代用図であり、
(b)は電極に部品を接続した状態を撮影した写真の代
用図である。
【図36】 テストチップで観測された発信波形図であ
る。
【図37】 (a)は構造物の表面全体に垂直変位を与
えていったときに観測された発振周波数f13およびf24
を示す図であり、(b)は表面に水平方向(x方向)変
位を与えていったときに観測されたf13およびf24を示
す図である。
【図38】 (a)は、垂直変位を与えていったときに
観測されたf13およびf24の和および差を横軸にZ方向
変位をとりプロットした図であり、(b)は、表面に水
平方向(x方向)変位を与えていったときに観測された
13およびf 24の和および差を横軸にX方向変位をとり
プロットした図である。
【図39】 チップ上の同一面に電極を配置し、ピン状
突起によって2層の導電性ゴムと接触をとる方法の説明
図である。
【図40】 チップ上の同一面に電極を配置し、単一層
の内部に導電領域をパターニングしたものと、それらの
電極を電気的に接触する方法の説明図である。
【符号の説明】
16・・・導電層、18・・・導電層、20・・・信号
層、30・・・信号層、36・・・通信層、40・・・
高抵抗層、42・・・高抵抗層、44・・・電源層、4
6・・・高抵抗層、48・・・電源層、50・・・通信
部、60・・・処理部、70・・・メモリ、100・・
・通信装置、200・・・通信素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 王 欣雨 東京都八王子市みなみ野1−11−4−413 (72)発明者 浅村 直也 東京都練馬区桜台4−23−7 Fターム(参考) 5K033 CB01 DA13 5K034 AA12 DD03 FF02 HH01 HH02 HH06 KK01

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電層あるいは電磁作用伝達層に電気的
    に接続した複数の通信素子を備えた通信装置であって、
    各通信素子がその周辺に配置された他の通信素子に対し
    て導電層を介して信号を伝達する通信機能を有すること
    を特徴とする通信装置。
  2. 【請求項2】 分散して配置された複数の通信素子を備
    える通信装置であって、各通信素子の通信距離は周辺に
    配置された他の通信素子と局所的な通信を行える程度に
    設定されており、この局所的な通信により通信素子間で
    信号を順次伝達することによって、目的とする通信素子
    まで信号を伝達することを特徴とする通信装置。
  3. 【請求項3】 通信素子間には個別の配線が形成されて
    いないことを特徴とする請求項1または2に記載の通信
    装置。
  4. 【請求項4】 複数の通信素子は、通信の管理機能の低
    いものから順に1次からN次までの階層に分類されるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信
    装置。
  5. 【請求項5】 各階層の通信素子が、その周囲の一定の
    距離までに存在する他の通信素子に信号を伝達する1次
    通信素子として機能することにより、周辺の通信素子と
    の局所的な通信を実現することを特徴とする請求項4に
    記載の通信装置。
  6. 【請求項6】 M次通信素子は、(M−1)次通信素子
    が有する通信管理に必要な機能を少なくとも有してお
    り、 M次通信素子の配置密度は、(M−1)次通信素子の配
    置密度よりも低く設定することが可能であることを特徴
    とする請求項4または5に記載の通信装置。
  7. 【請求項7】 M次通信素子は、自身から所定の範囲内
    に配置された(M−1)次通信素子を管轄することを特
    徴とする請求項4から6のいずれかに記載の通信装置。
  8. 【請求項8】 M次通信素子は、自身が管轄する(M−
    1)次通信素子までの経路を、他の(M−1)次通信素
    子を経由する経路として記憶することを特徴とする請求
    項7に記載の通信装置。
  9. 【請求項9】 M次通信素子は、自身から所定の範囲内
    に配置された他のM次通信素子までの経路を、(M−
    1)次通信素子を経由する経路として記憶することを特
    徴とする請求項4から8のいずれかに記載の通信装置。
  10. 【請求項10】 M次通信素子は、2次からM次までの
    各階層の通信素子として機能することができ、ある階層
    の通信素子として機能する場合には、その階層において
    設定された範囲内に配置された1階層下の通信素子を管
    轄することを特徴とする請求項4から9のいずれかに記
    載の通信装置。
  11. 【請求項11】 (M−1)次通信素子は、自身を管轄
    するM次通信素子までの経路の少なくとも一部を、他の
    (M−1)次通信素子を経由する経路として記憶するこ
    とを特徴とする請求項4から10のいずれかに記載の通
    信装置。
  12. 【請求項12】 2次通信素子は近傍応答要求を発信
    し、この近傍応答要求を受け取った1次通信素子から返
    信される応答に基づいて、該応答を返信した1次通信素
    子に対してIDを設定することを特徴とする請求項4か
    ら11のいずれかに記載の通信装置。
  13. 【請求項13】 2次通信素子は、IDを設定した1次
    通信素子に対して近傍調査要求を発信し、この近傍調査
    要求を受け取った1次通信素子は、近傍応答要求を発信
    して周辺の1次通信素子の存在を調査し、該2次通信素
    子は、応答を返信した1次通信素子に対してIDを設定
    することを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  14. 【請求項14】 2次通信素子は、近傍調査要求を繰り
    返し発信して、IDを設定して管轄する1次通信素子の
    数を増やしていき、且つ、自身が管轄する1次通信素子
    との間の経路を設定することを特徴とする請求項13に
    記載の通信装置。
  15. 【請求項15】 3次以上の通信素子は、2次通信素子
    としても機能して、1次通信素子に対してIDを設定す
    ることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記
    載の通信装置。
  16. 【請求項16】 3次以上の通信素子は、3次から自身
    の階層までの各階層の通信素子として機能することがで
    き、各階層の通信素子として連鎖近傍応答要求を発信し
    て、各階層ごとに管轄する1階層下の通信素子をそれぞ
    れ設定することを特徴とする請求項4から15のいずれ
    かに記載の通信装置。
  17. 【請求項17】 3次以上の通信素子は、管轄する通信
    素子との間の経路を設定することを特徴とする請求項1
    6に記載の通信装置。
  18. 【請求項18】 データ信号のパケットには、最終目的
    地である通信素子に到達するために利用される各階層内
    の経路データが含まれていることを特徴とする請求項4
    から17のいずれかに記載の通信装置。
  19. 【請求項19】 (M−1)次の階層内の経路データ
    は、送信元の通信素子から最終目的地である通信素子ま
    での経路の途中に位置するM次通信素子までの経路デー
    タを含むことを特徴とする請求項18に記載の通信装
    置。
  20. 【請求項20】 パケットには、次にパケットを受け取
    るべき通信素子を特定するための受信IDが含まれてい
    ることを特徴とする請求項18または19に記載の通信
    装置。
  21. 【請求項21】 通信素子は、受信IDに基づいてパケ
    ットを受け取ると、次にパケットを受け取るべき通信素
    子の受信IDを設定して前記パケットを発信することを
    特徴とする請求項18から20のいずれかに記載の通信
    装置。
  22. 【請求項22】 通信素子は、パケットに含まれる経路
    データに基づいて、受信IDを設定することを特徴とす
    る請求項21に記載の通信装置。
  23. 【請求項23】 各通信素子は、受信IDに基づいてパ
    ケットを受け取ると、経路データを更新して前記パケッ
    トを発信することを特徴とする請求項18から22に記
    載の通信装置。
  24. 【請求項24】 各通信素子にはIDが割り当てられて
    おり、高次の通信素子は、パケットに含まれるIDを参
    照することによって、そのIDにより特定される通信素
    子が自身の管轄下にあるか否かを判断することを特徴と
    する請求項4から23のいずれかに記載の通信装置。
  25. 【請求項25】 有効通信距離内に存在する他の通信素
    子に対して信号を伝達する通信デバイスであって、絶縁
    された第1信号層および第2信号層と、これらの層に電
    気的に接続する通信素子を備え、通信素子の抵抗および
    容量に基づいて有効通信距離が定められ、通信素子が前
    記第1信号層または第2信号層に電荷を放出することに
    より信号を発信することを特徴とする通信デバイス。
  26. 【請求項26】 有効通信距離内に存在する他の通信素
    子に対して信号を伝達する通信デバイスであって、第1
    信号層および第2信号層と、これらの層に電気的に接続
    する通信素子を備え、該通信素子内において前記第1信
    号層および第2信号層を導通させることによって信号を
    発信することを特徴とする通信デバイス。
  27. 【請求項27】 前記第1信号層および第2信号層より
    も高い抵抗を有し、且つこれらの層を導通させる高抵抗
    層を更に備えることを特徴とする請求項25または26
    に記載の通信デバイス。
  28. 【請求項28】 前記第1信号層よりも高い抵抗を有し
    且つ前記第1信号層に電気的に接続する高抵抗層と、こ
    の高抵抗層に電気的に接続して前記通信素子に電力を供
    給する電源層とを備えることを特徴とする請求項25ま
    たは26に記載の通信デバイス。
  29. 【請求項29】 前記有効通信距離は、前記第1信号層
    の抵抗に基づいて定められることを特徴とする請求項2
    8に記載の通信デバイス。
  30. 【請求項30】 該通信素子は、前記第1信号層および
    第2信号層を短絡させることによって信号を発信するこ
    とを特徴とする請求項26から29のいずれかに記載の
    通信デバイス。
  31. 【請求項31】 前記第2信号層は接地されたグランド
    層であることを特徴とする請求項25から30のいずれ
    かに記載の通信デバイス。
  32. 【請求項32】 信号発信を行っていない間に前記通信
    素子のコンデンサを充電することを特徴とする請求項2
    5から31のいずれかに記載の通信デバイス。
  33. 【請求項33】 前記第1信号層および第2信号層は、
    導電性の柔軟体あるいは網状物体により形成されている
    ことを特徴とする請求項25から32のいずれかに記載
    の通信デバイス。
  34. 【請求項34】 所定の有効通信距離の範囲内で信号を
    伝達する通信機能を有する複数の回路素子を導電性基板
    上に分散して配置させることにより、回路素子間に個別
    の配線を形成することなく回路素子を基板に搭載する基
    板実装方法。
  35. 【請求項35】 応力あるいは温度を測定しそれを符号
    化された信号に変換する回路を備えたセンサ素子と、該
    センサ素子からの出力信号を伝達するための導電性の柔
    軟体から構成されることを特徴とする触覚センサ。
  36. 【請求項36】 前記センサ素子の電気的に連続した導
    電性ゴム領域に複数のセンサ素子の信号端子が接続され
    ていることを特徴とする請求項35に記載の触覚セン
    サ。
  37. 【請求項37】 前記センサ素子に2つの電極が設けら
    れ、前記柔軟体の2層の導電性ゴムにそれらが電気的に
    接触していることを特徴とする請求項35に記載の触覚
    センサ。
  38. 【請求項38】 前記センサ素子から突き出されたピン
    状突起物によって、前記柔軟体の2層以上の導電性ゴム
    に、前記センサ素子の電極が電気的に接触していること
    を特徴とする請求項35に記載の触覚センサ。
  39. 【請求項39】 前記センサ素子の1面に2つあるいは
    3つの電極があり、前記柔軟体の単一層内に形成された
    導電性ゴムの複数の領域に各電極が電気的に接触してい
    ることを特徴とする請求項35に記載の触覚センサ。
  40. 【請求項40】 前記センサ素子のLSIチップとそれ
    に接続された電極部品間の容量の変化から周囲応力を検
    出することを特徴とする請求項35に記載の触覚セン
    サ。
  41. 【請求項41】 前記センサ素子に接続する電極部品を
    その中心近くの微小面積で支持することにより、電極表
    面における圧力の不均一に対して感度よく電極が変形す
    ることを特徴とする請求項40に記載の触覚センサ。
  42. 【請求項42】 前記センサ素子のLSIチップとそれ
    に接続された感圧導電性ゴムの抵抗変化から周囲応力を
    検出することを特徴とする請求項35に記載の触覚セン
    サ。
  43. 【請求項43】 前記センサ素子のLSIチップ上の光
    センサに到達する光量変化から周囲応力を検出すること
    を特徴とする請求項35に記載の触覚センサ。
  44. 【請求項44】 有効通信距離内に存在する他の通信素
    子に対して信号を伝達する通信デバイスであって、絶縁
    された第1信号層および第2信号層と、これらの層に電
    磁的に接続する通信素子を備え、電磁波の減衰率に基づ
    いて有効通信距離が定められ、通信素子が前記第1信号
    層または第2信号層に電磁波を放出するかまたは光を放
    出することにより信号を発信することを特徴とする通信
    デバイス。
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