JP2003183541A - 酸化処理カーボンブラックの水性分散液 - Google Patents

酸化処理カーボンブラックの水性分散液

Info

Publication number
JP2003183541A
JP2003183541A JP2001387804A JP2001387804A JP2003183541A JP 2003183541 A JP2003183541 A JP 2003183541A JP 2001387804 A JP2001387804 A JP 2001387804A JP 2001387804 A JP2001387804 A JP 2001387804A JP 2003183541 A JP2003183541 A JP 2003183541A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
mode
aqueous dispersion
ctab
dbp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001387804A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Arai
啓哲 新井
Hidenao Nakada
英尚 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai Carbon Co Ltd filed Critical Tokai Carbon Co Ltd
Priority to JP2001387804A priority Critical patent/JP2003183541A/ja
Publication of JP2003183541A publication Critical patent/JP2003183541A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキジェットプリンター用や水性インキ用
等の黒色水性インキとして好適な酸化処理カーボンブラ
ックの水性分散液を提供する。 【解決手段】 CTAB比表面積(103m2/kg)とDBP吸
収量 (10-5m3/kg)が下記およびの関係を満たすカー
ボンブラックが、ペルオキソ2酸あるいはペルオキソ2
酸塩によりカルボキシル基が2〜5μmol/m2に液相酸化
され、生成したカルボキシル基の一部あるいは全てが解
離定数(pKa) 5未満のアルカリ溶液で中和され、中和後
残塩が除去精製され、更に水に分散した状態におけるカ
ーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%が50〜
130nm、最大粒径Dupa99%が150〜320nm、粒度
分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) と
の比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) が1.20以下の粒
子凝集性状に分級処理されたカーボンブラックが、水分
散媒に分散されてなることを特徴とする酸化処理カーボ
ンブラックの水性分散液。 CTAB×DBP<185 (m5/kg) … 5(nm)<DBP/CTAB<12(nm)…

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インキジェットプ
リンター用や水性インキ用等の水性黒色インキとして好
適な酸化処理カーボンブラックの水性分散液に関する。 【0002】 【従来の技術】カーボンブラックは疎水性で水に対する
濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させるこ
とは極めて困難である。これはカーボンブラック表面に
存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボ
キシル基やヒドロキシル基などの親水性の水素含有官能
基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔
料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性黒色
インキなどに使用する場合には、カーボンブラックの表
面性状を改質して水分散性能の向上を図る必要がある。 【0003】カーボンブラックを酸化処理して表面に親
水性の官能基を形成することによりカーボンブラックの
水中への分散性能を改良することは古くから知られてい
る。例えば、特開昭48−18186号公報にはカーボ
ンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理する
方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカ
ーボンブラックを低温酸素プラズマによって酸化処理す
る方法が開示されている。しかしながら、低温プラズマ
による酸化処理は大量のカーボンブラックに対して均一
な反応を進めることが難しい難点がある。 【0004】また、軽い酸化処理を施したカーボンブラ
ックにカップリング剤あるいは界面活性剤などを用いて
水への分散性の向上を図る水性インキの製造方法(特開
平4-189877号公報、同4-359072号公報、同5-43759 号公
報、同5-125306号公報等)も知られているが、温度変化
および経時的変化による界面活性剤などの酸化や分解に
よる変質から分散性能を長期間、安定に維持することは
困難である。 【0005】更に、特開平8−3498号公報には水と
カーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおい
て、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性
水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボ
ンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法にお
いて、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前
記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更
に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方
法が提案されており、また、特開平8−319444号
公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラック
を水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩
を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含す
る水性顔料インキの製造方法が開示されている。 【0006】上記の特開平8−3498号公報及び特開
平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化
して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有
させることにより、水分散性が良好で、長期間の分散安
定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかし
ながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散
状態を維持するためには、カーボンブラック粒子表面と
水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大き
な機能を果たし、単にカーボンブラック単位重量当たり
の官能基量では分散性の良否を的確に判断することは困
難である。 【0007】そこで、本出願人は分散性能の良否を的確
に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面
積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目
し、酸化処理により改質されたカーボンブラックであっ
て、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル
基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面積当たり3μ
eq/m2以上であることを特徴とする易水分散性カーボン
ブラック(特開平11−148027号公報)を開発した。 【0008】また、カーボンブラック表面に親水性の官
能基を形成するのみでは水中へのカーボンブラックの分
散性を高め、長期に亘る分散安定性を維持するためには
限界があることから、更に研究を進めた結果、水中への
易分散性や分散安定性などの分散性能はカーボンブラッ
ク粒子の凝集形態と密接な関係があることを見出し、窒
素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が
70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカ
ーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモ
ード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa(nm)
との比Dupa /Dstの値が1.5〜2.0の特性を備え
る易水分散性カーボンブラック(特開平11−148026号公
報)を開発提案した。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、引き続き研
究を行った結果、特定のコロイダル物性を有するカーボ
ンブラックを酸化改質した酸化処理カーボンブラックを
水分散媒に分散させることにより、水性黒色インキとし
て好適なカーボンブラック水性分散液の開発に成功した
ものである。すなわち、本発明は普通紙、専用紙、OH
Pシート、アート紙等に優れた紙定着濃度、印字品位、
吐出安定性、耐光性を与え、更に、保存安定性が極めて
良好であり、インクジェットプリンター用や水性インク
用等の水性黒色インキとして好適な酸化処理カーボンブ
ラックの水性分散液を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る酸化処理カーボンブラックの水性分散液
は、CTAB比表面積(103m2/kg)とDBP吸収量 (10-5
m3/kg)が下記およびの関係を満たすカーボンブラッ
クが、ペルオキソ2酸あるいはペルオキソ2酸塩により
カルボキシル基が2〜5μmol/m2に液相酸化され、生成
したカルボキシル基の一部あるいは全てが解離定数 (pK
a)5未満のアルカリ溶液で中和され、中和後残塩が除去
精製され、更に水に分散した状態におけるカーボンブラ
ック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)が50〜130
nm、最大粒径Dupa99%(nm)が150〜320nm、粒度分
布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) との
比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) が1.20以下の粒子
凝集性状に分級処理されたカーボンブラックが、水分散
媒に分散されてなることを構成上の特徴とする。 CTAB×DBP<185(m5/kg2) … 5(nm)<DBP/CTAB<12(nm) … 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の水性分散液において、酸
化処理するカーボンブラックとしては、CTAB比表面
積(103m2/kg)とDBP吸収量 (10-5m3/kg)が下記およ
びの関係を満たすものを対象とする。 CTAB×DBP<185(m5/kg2) … 5(nm)<DBP/CTAB<12(nm) … 【0012】CTAB比表面積はカーボンブラック粒子
表面の微細孔を含まない外部比表面積を表す指標であ
り、この値が大きくなると粒子径も小さくなる。したが
って、CTAB比表面積が大きくなるほど、水分散状態
におけるカーボンブラック単位重量当たりのカーボンブ
ラックの粒子数が増大することとなり、カーボンブラッ
ク分散濃度が同一の水分散液中のカーボンブラック粒子
間の距離は短くなり、水分散液の粘度を増大させること
になる。 【0013】DBP吸収量はカーボンブラック基本粒子
が結合したストラクチャーの大きさを示す指標であり、
この値が大きいほど水分散液中のカーボンブラック粒子
間距離は近接し、三次元ネットワークが形成され易くな
り、またネットワークの空隙に吸藏される水が多くな
る。したがって、ストラクチャーが発達し、DBP吸収
量が大きくなると、カーボンブラック分散濃度が同一の
水分散液の粘度は増大することになる。 【0014】すなわち、CTAB×DBPで表される値
が大きいほど水分散液の粘度が高くなり、水性黒色イン
キとした場合に、例えば吐出安定性が低下することにな
る。そのため、カーボンブラック特性としてCTAB×
DBPが185(m5/kg2)未満のカーボンブラックが適用
される。 【0015】また、CTAB比表面積が大きくなると粒
子径が小さくなるために水性黒色インキとした場合に紙
繊維間の空隙をカーボンブラック粒子が通過し易くな
り、黒色度が低下する。一方、DBP吸収量が大きくな
ると、発達したストラクチャーにより紙繊維間の空隙を
カーボンブラック粒子が通過し難くなるため、黒色度が
高くなる。したがって、DBP/CTABの値が大きい
カーボンブラックほど、インキとして黒色度が高いこと
になる。 【0016】しかし、CTAB比表面積が一定で、DB
P吸収量が大きくなると、カーボンブラック分散濃度が
同一の水分散液中におけるカーボンブラック間の距離が
接近するためにカーボンブラックの凝集が進行し、大き
な凝集塊(アグロメレート)を形成して、沈殿し易くな
る。 【0017】そのため、本発明では、カーボンブラック
特性として、5(nm)<DBP/CTAB<12(nm)のカ
ーボンブラックを対象とする。DBP/CTABの値が
5nm以下であると、水分散液中においてカーボンブラッ
クの凝集が抑制されるので沈殿し難く、分散性は良好で
あるが、印字した際の黒色度が低下する。一方、DBP
/CTABの値が12nm以上となると、印字した際の黒
色度は良好であるが、沈殿し易いので、分散安定性が損
なわれることになるためである。 【0018】本発明において、カーボンブラックを酸化
するための酸化剤にはペルオキソ二酸やペルオキソ二酸
塩が限定的に用いられる。ペルオキソ二酸としては、例
えばペルオキソ硫酸、ペルオキソ炭酸、ペルオキソ燐酸
等が、また塩にはアルカリ金属塩やアンモニウム塩等が
例示される。 【0019】酸化剤をこのように限定する理由は、他の
酸化剤、例えば、次亜ハロゲン酸やその塩を使用した場
合には、カーボンブラック中にハロゲンが残存するため
に、印字物を焼却処理する際にダイオキシン等が発生す
る可能性が生じ、環境に悪影響を与えることになる。ま
た、重クロム酸やその塩、過マンガン酸やその塩等も酸
化後のカーボンブラック中あるいは廃液中に重金属が残
留し易いために環境汚染上問題が生じる。 【0020】硝酸による酸化はカーボンブラック表面に
ニトロソ基が形成され、このニトロソ基を有するカーボ
ンブラックは変異原生を有し、人体に有害であり、ま
た、過酸化水素による酸化は酸化力が弱く、水分散性に
有効機能するカルボキシル基の生成量が不充分になり易
い。 【0021】オゾンガスによる気相酸化はチャネリング
現象が起こるためカーボンブラック表面に均一にカルボ
キシル基を生成することが難しく、酸化力も弱いためカ
ルボキシル基の生成量も少ない。なお、液相中でオゾン
ガスをバブリングさせて酸化させる方法ではオゾンガス
の水への溶解度が低いため、カルボキシル基の生成がよ
り少なくなる。 【0022】このような理由から酸化剤にはペルオキソ
二酸あるいはペルオキソ二酸塩が用いられ、酸化処理は
酸化剤水溶液にカーボンブラックを混合して攪拌する液
相酸化により行われる。酸化処理によりカーボンブラッ
クの表面にはカルボキシル基、キノン基、ヒドロキシル
基、ラクトン基等が生成するが、水分散に関係する官能
基は酸性官能基であるカルボキシル基とヒドロキシル基
である。しかし、ヒドロキシル基の解離定数は8〜10
で、カルボキシル基の2〜5に比べて非常に大きいので
水分散性に関係する官能基はカルボキシル基が支配的と
なる。 【0023】したがって、カルボキシル基量を増加させ
れば水への分散性は向上することになる。しかし、同時
に紙繊維間への浸透性も大きくなり、印字した際に黒色
度が低下する傾向が生じる。そこで、水分散性と黒色度
を同時に満足するカルボキシル基として液相酸化時の酸
化剤濃度、反応温度、反応時間、攪拌速度等を調節する
ことにより、カーボンブラック表面のカルボキシル基量
を2〜5μmol/m2に制御する。 【0024】このように液相酸化して生成したカルボキ
シル基の一部あるいは全てを解離定数(pKa) が5未満の
アルカリ溶液で中和する。解離定数が5以上のアルカリ
溶液(炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等)で中和
すると、僅かではあるが形成したヒドロキシル基をフェ
ノラート塩に置換することは困難となり、カーボンブラ
ックの分散状態が経時的に不安定化するためである。 【0025】解離定数(pKa) が5未満のアルカリ溶液に
は、例えば無機系としては水酸化リチウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等があり、有機系としては水酸
化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアン
モニウム等が例示される。 【0026】アルカリ溶液で中和した酸化カーボンブラ
ックの分散液には、中和により生成した塩類が存在する
ので、これらの残塩は電気透析あるいは逆浸透膜、限外
濾過膜、ルーズ R.O等の分離膜で分離除去し、酸化カー
ボンブラックを精製する。カーボンブラック分散液の残
塩濃度は、例えばカーボンブラック分散濃度を20wt%
として電気伝導度が2mS/cm 未満となるように除去する
ことが好ましい。残塩除去が不充分な場合には水分散液
の分散性、保存安定性、粘性等が悪化し、また装置腐食
の問題も生じることになる。 【0027】上記の酸化処理を施したカーボンブラック
を水に分散し、更に分級処理してカーボンブラック粒子
の凝集体のうち大きな凝集体及び小さい凝集体を除去し
て、分散液中のカーボンブラック粒子凝集体の平均粒径
Dupa50%(nm)を50〜130nm、最大粒径Dupa99%(nm)
を150〜320nm、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode)
とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa
(mode) を1.20以下に分級する。 【0028】カーボンブラックを水中に分散させる場
合、水中への分散が容易で、その分散状態を安定に維持
するためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集
形態で水中に分散し、かつ再凝集して大きな凝集体を形
成し難いことが有利である。一方、カーボンブラック粒
子の凝集体が小さくなると分散性能の向上には有利であ
るが、水性黒色インキとした場合には紙繊維の隙間から
カーボンブラックが通過して紙定着濃度が低下する。し
かし、凝集形態が大きくなると分散性が悪化し、インキ
の吐出安定性および濾過性等が低下することになる。ま
た、カーボンブラック粒子凝集体の大きさによって酸化
される度合に差異が生じ、大きい粒子凝集体ほど酸化が
不充分になり易い等の問題が生じる。 【0029】そこで、分級処理してカーボンブラック粒
子凝集体、すなわちアグロメレート粒径の粒度分布のシ
ャープ化を図るものであり、具体的にはカーボンブラッ
ク粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値を50〜13
0nm、最大粒径Dupa99%(nm)の値を150〜320nm、
粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mod
e) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値を1.2
0以下に分級する。なお、分級処理は遠心分離法、機能
性膜による分離法、等適宜な方法により行われるが、初
めに遠心分離したのち機能性膜により分離することが好
ましい。 【0030】水分散液中におけるカーボンブラック粒子
凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値が50nm未満である
と紙へ印字した際に紙繊維の隙間をカーボンブラックが
通過する割合が大きくなるため黒色度が低下する。一
方、130nmを越えると黒色度は高くなるが、分散安定
性が低下し、例えば濾過性が悪化し、沈殿残渣率が増大
する。また、カーボンブラック粒子凝集体の最大粒径D
upa99%(nm)の値が150nm未満であると紙に印字した場
合に黒色度が低くなり、320nmを越えると濾過性、沈
殿残渣率、吐出安定性等が不良となる。更に、カーボン
ブラック粒子凝集体の粒度分布の半値幅ΔDupa(mode)
とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa
(mode) の値が1.20を越えると、濾過性、沈殿残渣
率、吐出安定性等が悪化することになる。なお、分級処
理したカーボンブラック水分散液は、好ましくは、再度
電気透析あるいは逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズ R.O等
の分離膜で精製する。 【0031】上記のカーボンブラック粒子凝集体の粒度
特性は、下記の測定方法によって得られた値が用いられ
る。 【0032】(1)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(n
m)、最大粒径Dupa99%(nm);カーボンブラックを水に分
散して0.1〜0.5kg/m3 の分散液を調製し、ヘテロ
ダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイク
ロトラック社製、UPA mode1 9340) を用いて分散液中に
おいてブラウン運動しているアグロメレート粒子にレー
ザー光を照射して、ドップラー効果による散乱光の周波
数変調の度合いから分散液中のアグロメレートの粒径を
測定する。このようにして測定したアグロメレート粒径
からその累積度数分布曲線を作成し、この累積度数分布
曲線の50%累積度数の値をアグロメレートの平均粒径
Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレートの
最大粒径Dupa99%(nm)とする。 【0033】(2)アグロメレートの粒度分布の半値幅Δ
Dupa(mode)(nm) ;上記の方法により測定したアグロメ
レート粒径から粒度分布曲線を作成し、この粒度分布曲
線におけるモード径Dupa(mode)(nm) における頻度の1
/2に相当する大小2点間の距離を半値幅ΔDupa(mod
e)(nm) とする。 【0034】このように、本発明の酸化処理カーボンブ
ラックの水性分散液によれば、CTAB比表面積及びD
BP吸収量が特定の関係にあるカーボンブラックを対象
としてペルオキソ2酸あるいはその塩で酸化処理を施
し、生成したカルボキシル基を中和後残塩を除去精製
し、更に水分散液中のカーボンブラックの粒子凝集体の
性状を特定範囲に分級処理したもので、優れた水分散性
及びインキ性能を備えている。したがって、インキジェ
ットプリンター用や水性インキ用等の水性黒色インキと
して好適に使用することができる。 【0035】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
具体的に説明する。 【0036】実施例1〜2、比較例1〜3 CTAB比表面積及びDBP吸収量の異なるカーボンブ
ラックを用いて酸化処理した。酸化処理はカーボンブラ
ック100g を濃度1.0mol/dm3 のペルオキソ2硫酸
ナトリウム水溶液3dm3 に添加し、反応温度333K 、
反応時間10時間、攪拌速度0.12 s-1の条件で行っ
た。反応終了後、酸化カーボンブラックと反応溶液を濾
別し、酸化カーボンブラックを濃度1.0mol/dm3 の水
酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後、遠心分離器
(日立工機製 CR22F)で7.5×10-3 S-1、15分間
の条件で分級処理した。その後、上澄み液を限外濾過膜
(旭化成製 AHP-1010 、分画分子量 50000)で残存する
塩を分離したのち、カーボンブラックの分散濃度を20
wt%に濃縮した。このカーボンブラック分散液の電導度
は1.3mS/cm であった。 【0037】比較例4 実施例1と同じカーボンブラック100g を濃度1.0
mol/dm3 の過マンガン酸カリウム水溶液3dm3 に添加
し、反応温度343K 、反応時間3時間、攪拌速度0.
12 s-1の条件で酸化処理した。反応終了後、酸化カー
ボンブラックと反応溶液を濾別し、酸化カーボンブラッ
クを濃度1.0mol/dm3 の炭酸水素ナトリウム溶液で中
和した。中和後、実施例1と同じ方法で分級処理及び残
存する塩を分離したのちカーボンブラックの分散濃度を
20wt%に濃縮した。このカーボンブラック分散液の電
導度は1.5mS/cm であった。 【0038】比較例5 実施例1と同じカーボンブラック100g を次亜塩素酸
ナトリウム水溶液(有効塩素濃度4%)3dm3 に添加
し、反応温度373K 、反応時間5時間、攪拌速度0.
12 s-1の条件で酸化処理した。反応終了後、塩酸でp
H2に調整して、酸化カーボンブラックと反応溶液を濾
別し、次いで酸化カーボンブラックを濃度1.0mol/dm
3 の炭酸水素ナトリウム溶液で中和した。中和後、実施
例1と同じ方法で分級処理及び残存する塩を分離したの
ちカーボンブラックの分散濃度を20wt%に濃縮した。
このカーボンブラック分散液の電導度は1.2mS/cm で
あった。 【0039】比較例6 実施例1と同じカーボンブラック100g をオゾン処理
器に入れ、オゾン発生機(日本オゾン株製 IOT-4A6)に
より発生電圧200V、オゾン発生量18g/hの条件で
1時間処理したのち水中に分散させ、濃度1.0mol/dm
3 の炭酸水素ナトリウム溶液で中和した。中和後、実施
例1と同じ方法で分級処理及び残存する塩を分離したの
ちカーボンブラックの分散濃度を20wt%に濃縮した。
このカーボンブラック分散液の電導度は0.8mS/cm で
あった。 【0040】比較例7 ペルオキソ2硫酸ナトリウム水溶液の濃度を2.0mol/
dm3 とした他は、実施例1と同じ方法で酸化処理、中和
処理、分級処理及び残塩処理を行って、カーボンブラッ
ク分散液を作製した。 【0041】比較例8 実施例1の水酸化ナトリウム水溶液に変えて、炭酸水素
ナトリウム水溶液で中和した他は、実施例1と同じ方法
で処理して、カーボンブラック分散液を作製した。 【0042】比較例9 分級処理を行わない他は、実施例1と同じ方法でカーボ
ンブラック分散液を作製した。 【0043】このようにして作製したカーボンブラック
水性分散液について、作製条件を対比して表1、表2に
示した。 【表1】 表注; *1 A ; Na2S2O8 【0044】 【表2】 表注; *1 A ; Na2S2O8、B ; KMnO4、C ; NaClO、D ; O3 、 *2 有効塩素 4% *3 濃度0.976Nの炭酸水素ナトリウム50ml中に、酸化処理カーボンブラック ( 110℃で 5時間乾燥) 2〜5gを入れて 6時間程度振とう後、カーボンブラック と反応液を分離し、濾液を 1/20Nの水酸化ナトリウムによって滴定試験を行って 、カーボンブラック表面のカルボキシル基量を測定する。この値を該当する未酸 化カーボンブラックの窒素吸着比表面積で除して、カーボンブラック単位表面積 当たりのカルボキシル基とする。 【0045】このようにして作製したカーボンブラック
分散濃度20wt%の酸化処理カーボンブラック水性分散
液について、下記の方法で水分散性能、インキ性能等を
測定し、得られた結果を表3、表4に示した。 【0046】(1)保存安定性;サンプルを密閉容器に入
れ、70℃の温度に保持して1〜4週間の粘度変化を回
転振動式粘度計(山一電機株式会社製、VM-100A-L )に
より測定した。 【0047】(2)粒子凝集体の粒子径測定;サンプル及
び保存安定性試験を行った各サンプルについて、ヘテロ
ダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイク
ロトラック社製、UPA mode1 9340)を用いてアグロメレ
ートの粒子径を測定した。 【0048】(3)濾過性;サンプル200g を90φの
濾紙(NO.2)、及び膜孔径3μm 、0.8μm 、0.6
5μm 、0.45μm の各フィルターを用いて266
6.4Paの減圧下で濾過試験を行い、通過量を比較し
た。 【0049】(4)沈殿残渣率;サンプルを20000G
の重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿
残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの重
量(M0)とを測定して、その重量比(M1/M0) を沈殿残渣率
とした。この値が小さいほど分散安定性は良好になる。 【0050】(5)印字濃度;サンプルをカーボンブラッ
ク濃度4wt%に希釈し、コピー紙としてXEROX 4024紙を
使用し、これに#6バーコータにより印字して、マクベス
濃度計(コルモーゲン社製 RD-927 )を用いて光学濃度
を測定した。 【0051】(6)残留重金属、残留ハロゲン濃度の測
定;サンプルを限外濾過膜により電導度が0.5mS/cm
まで精製した後、30g を精秤し、20000Gの重力
加速度で1時間遠心分離して固−液を分離する。分離し
たカーボンブラックを真空乾燥機中に入れ、温度313
Kで24時間真空乾燥する。乾燥後のカーボンブラック
を超音波浴槽にて、再度20wt%の分散濃度に再分散さ
せ、次いで再び遠心分離により固−液を分離する。その
上澄み液を下記の方法により上澄み液中の重金属及びハ
ロゲンを測定し、液中に存在するカーボンブラック量で
除して残留重金属濃度、残留ハロゲン濃度を測定した。 残留重金属測定 マンガンの定量は、JISK0101の過ヨウ素酸吸光
光度法による。 残留ハロゲン測定 JISK0122のイオン電極法による。 【0052】 【表3】【0053】 【表4】【0054】表1〜4の結果から、実施例の水性分散液
は保存安定性、濾過性、沈殿残渣率等に優れ、また印字
濃度も高く、高位の水分散性能とインキ性能を兼ね備え
ていることが判る。これに対して、本発明で選択、特定
したカーボンブラックのコロイダル物性のうち、DBP
/CTABが13.1と大きいカーボンブラックを使用
した比較例1の水性分散液は沈殿残渣率が著しく大き
く、分散安定性に劣り、また、CTAB×DBPが22
3と大きいカーボンブラックを使用した比較例2の水性
分散液は初期粘度が高く、全体に高粘度であり、更に、
DBP/CTABが3.9と小さいカーボンブラックを
使用した比較例3の水性分散液も高粘度であり、また印
字濃度が低く、印字した際の黒色度に劣ることが判る。 【0055】また、酸化剤として過マンガン酸カリウム
を用いた比較例4、次亜塩素酸ナトリウムを用いた比較
例5の水性分散液は、保存安定性、濾過性、沈殿残渣
率、印字濃度等良好であるが、比較例4は残留重金属が
多く、比較例5は残留ハロゲンが多く、環境汚染及び安
全性で問題がある。比較例6のオゾンにより酸化処理し
たカーボンブラックの水性分散液は、酸化が不充分なた
めゲル化が生じて安定な分散状態を維持することができ
なかった。 【0056】カルボキシル基が多い酸化処理カーボンブ
ラックを分散させた比較例7の水性分散液は、水分散性
は良好であるが印字濃度が低下した。また、中和剤に解
離定数(pKa) が5以上の炭酸水素ナトリウムを用いた比
較例8の水性分散液は、粘度や粒子凝集体の粒度分布が
経時的に増大傾向にあり、分散安定性が劣り、分級処理
を行わなかった比較例9の水性分散液では、濾過性の低
下が著しいことが認められた。 【0057】 【発明の効果】以上のとおり、本発明の酸化処理カーボ
ンブラックの水性分散液によれば、カーボンブラックの
水分散性能が優れており、長期に亘って安定した水分散
性状を維持し得るとともに黒色度等のインキ性能にも優
れており、インキジェットプリンター用や水性インキ用
等に用いる水性黒色インキとして好適に使用することが
できる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 CTAB比表面積(103m2/kg)とDBP吸
    収量 (10-5m3/kg)が下記およびの関係を満たすカー
    ボンブラックが、ペルオキソ2酸あるいはペルオキソ2
    酸塩によりカルボキシル基が2〜5μmol/m2に液相酸化
    され、生成したカルボキシル基の一部あるいは全てが解
    離定数 (pKa)5未満のアルカリ溶液で中和され、中和後
    残塩が除去精製され、更に水に分散した状態におけるカ
    ーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)が5
    0〜130nm、最大粒径Dupa99%(nm)が150〜320
    nm、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa
    (mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) が1.2
    0以下の粒子凝集性状に分級処理されたカーボンブラッ
    クが、水分散媒に分散されてなることを特徴とする酸化
    処理カーボンブラックの水性分散液。 CTAB×DBP<185(m5/kg2) … 5(nm)<DBP/CTAB<12(nm) …
JP2001387804A 2001-12-20 2001-12-20 酸化処理カーボンブラックの水性分散液 Pending JP2003183541A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001387804A JP2003183541A (ja) 2001-12-20 2001-12-20 酸化処理カーボンブラックの水性分散液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001387804A JP2003183541A (ja) 2001-12-20 2001-12-20 酸化処理カーボンブラックの水性分散液

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003183541A true JP2003183541A (ja) 2003-07-03

Family

ID=27596522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001387804A Pending JP2003183541A (ja) 2001-12-20 2001-12-20 酸化処理カーボンブラックの水性分散液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003183541A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126437A1 (ja) * 2005-05-24 2006-11-30 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性分散体の製造方法
WO2006137254A1 (ja) * 2005-06-24 2006-12-28 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性分散体とその製造方法
WO2007017999A1 (ja) * 2005-08-09 2007-02-15 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性分散体及びその製造方法
WO2012087542A2 (en) 2010-12-20 2012-06-28 Eastman Kodak Company Inkjet ink composition with jetting aid
CN103415582A (zh) * 2011-03-10 2013-11-27 东海炭素株式会社 表面处理炭黑颗粒水性分散体的制造方法和表面处理炭黑颗粒水性分散体

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126437A1 (ja) * 2005-05-24 2006-11-30 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性分散体の製造方法
JP2006328137A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック水性分散体の製造方法
WO2006137254A1 (ja) * 2005-06-24 2006-12-28 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性分散体とその製造方法
JP2007002107A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック水性分散体とその製造方法
JP4692740B2 (ja) * 2005-06-24 2011-06-01 東海カーボン株式会社 カーボンブラック水性分散体とその製造方法
WO2007017999A1 (ja) * 2005-08-09 2007-02-15 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性分散体及びその製造方法
JP2007045901A (ja) * 2005-08-09 2007-02-22 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック水性分散体及びその製造方法
WO2012087542A2 (en) 2010-12-20 2012-06-28 Eastman Kodak Company Inkjet ink composition with jetting aid
CN103415582A (zh) * 2011-03-10 2013-11-27 东海炭素株式会社 表面处理炭黑颗粒水性分散体的制造方法和表面处理炭黑颗粒水性分散体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5057261B2 (ja) カーボンブラック水性分散体及びその製造方法
WO2006126437A1 (ja) カーボンブラック水性分散体の製造方法
JP4826886B2 (ja) カーボンブラック水性顔料とその水性分散体の製造方法
JP3862255B2 (ja) 酸化処理カーボンブラックの水性分散体
JP2003183539A (ja) 酸化処理カーボンブラック、製造方法及びその水性分散体
JP2003183541A (ja) 酸化処理カーボンブラックの水性分散液
JP3691947B2 (ja) 易水分散性カーボンブラック及びその製造方法
JP3749406B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料
JP3933303B2 (ja) カーボンブラック及びその製造方法並びにカーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2004107513A (ja) 酸化処理カーボンブラック、製造方法及びその水分散体
JP4771247B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP4208221B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラックとそれを用いた水性顔料インキ
JP2003096333A (ja) カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP3905681B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料
JP4038004B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP4099263B2 (ja) 易水分散性カーボンブラックの製造方法
JP3703621B2 (ja) 易水分散性カーボンブラック及びその製造方法
JP2004224955A (ja) 水分散性カーボンブラック、該カーボンブラック水分散体及びそれを用いた水性インキ
JPH11323175A (ja) 易水分散性カーボンブラックとその製造方法
JP2004051691A (ja) 水分散性カーボンブラックと該カーボンブラック水分散体
JP5126757B2 (ja) 水性インキ
JP3665459B2 (ja) 易水分散性カーボンブラック
JP2001164172A (ja) カーボンブラック顔料の水分散体
JP2001081386A (ja) 水性黒色インキ
JP3874538B2 (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040412

A977 Report on retrieval

Effective date: 20060925

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061002

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070216