JP3862255B2 - 酸化処理カーボンブラックの水性分散体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキジェットプリンター用や水性インキ用等の水性黒色インキとして好適に用いられる酸化処理カーボンブラックの水性分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることは極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボキシル基やヒドロキシル基などの親水性の水素含有官能基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性黒色インキなどに使用する場合にはカーボンブラックの表面性状を改質して水分散性能の向上を図る必要がある。
【0003】
カーボンブラックを酸化処理して表面に親水性の官能基を形成することによりカーボンブラックの水中への分散性能を改良することは古くから知られている。例えば、特開昭48−18186号公報にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理する方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸素プラズマによって酸化処理する方法が開示されている。しかしながら、低温プラズマによる酸化処理は大量のカーボンブラックに対して均一な反応を進めることが難しい難点がある。
【0004】
また、軽い酸化処理を施したカーボンブラックにカップリング剤あるいは界面活性剤などを用いて水への分散性の向上を図る水性インキの製造方法(特開平4-189877号公報、同4-359072号公報、同5-43759 号公報、同5-125306号公報等)も知られているが、温度変化および経時的変化による界面活性剤などの酸化や分解による変質から分散性能を長期間、安定に維持することは困難である。
【0005】
更に、特開平8−3498号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されており、また、特開平8−319444号公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示されている。
【0006】
上記の特開平8−3498号公報及び特開平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有させることにより、水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状態を維持するためには、カーボンブラック粒子表面と水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きな機能を果たし、単にカーボンブラック単位重量当たりの官能基量では分散性の良否を的確に判断することは困難である。
【0007】
そこで、本出願人は分散性能の良否を的確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目し、酸化処理により改質されたカーボンブラックであって、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面積当たり3μeq/m2以上であることを特徴とする易水分散性カーボンブラック(特開平11−148027号公報)を開発した。
【0008】
また、カーボンブラック表面に親水性の官能基を形成するのみでは水中へのカーボンブラックの分散性を高め、長期に亘る分散安定性を維持するためには限界があることから、更に研究を進めた結果、水中への易分散性や分散安定性などの分散性能はカーボンブラック粒子の凝集形態と密接な関係があることを見出し、窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa(nm) との比Dupa /Dstの値が1.5〜2.0の特性を備える易水分散性カーボンブラック(特開平11−148026号公報)を開発提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、引き続き研究を行った結果、酸化改質したカーボンブラックの水分散性能及びインキ性能の向上を図り、水性黒色インキとして好適なカーボンブラック水性分散体の開発に成功したもので、その目的は普通紙、専用紙、OHPシート、アート紙等に優れた紙定着濃度、印字品位、吐出安定性、耐光性を与え、更に、保存安定性が極めて良好であり、インクジェットプリンター用や水性インク用等の水性黒色インキとして好適な酸化処理カーボンブラックの水性分散体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る酸化処理カーボンブラックの水性分散体は、ペルオキソ二酸あるいはペルオキソ二酸塩によりカルボキシル基を2〜5μmol/m2に液相酸化したカーボンブラックのカルボキシル基の一部あるいは全てが解離定数 (pKa)5未満のアルカリ溶液で中和され、残塩を除去精製した酸化処理カーボンブラック水分散液であって、カーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)が50〜130nm、最大粒径Dupa99%(nm)が150〜320nm、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) が1.20以下に分級処理し、水分散液のpHを4〜6に調整して分子量200〜1000のポリエチレンイミンをカーボンブラックに対して1〜6wt%の量比に添加含有させてなることを構成上の特徴とする。
但し、Dupa50%は,カーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射して散乱光の周波数変調度合からアグロメレート粒径の累積度数分布曲線を作成し、同分布曲線における50%累積度数の値を示し、Dupa99%は同分布曲線における99%累積度数の値を示す。また粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) はアグロメレート粒径の分布曲線におけるモード径Dupa(mode) における頻度の1/2に相当する大小2点間の距離を示す。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、カーボンブラックを酸化するための酸化剤にはペルオキソ二酸やペルオキソ二酸塩が限定的に用いられる。ペルオキソ二酸としては、例えばペルオキソ硫酸、ペルオキソ炭酸、ペルオキソ燐酸等が、また塩にはアルカリ金属塩やアンモニウム塩等が例示される。
【0012】
酸化剤をこのように限定する理由は、他の酸化剤、例えば、次亜ハロゲン酸やその塩を使用した場合には、カーボンブラック中にハロゲンが残存するために、印字物を焼却処理する際にダイオキシン等が発生する可能性が生じ、環境に悪影響を与えることになる。また、重クロム酸やその塩、過マンガン酸やその塩等も酸化後のカーボンブラック中あるいは廃液中に重金属が残留し易いために環境汚染上問題が生じる。
【0013】
硝酸による酸化はカーボンブラック表面にニトロソ基が形成され、このニトロソ基を有するカーボンブラックは変異原生を有し、人体に有害であり、また、過酸化水素による酸化は酸化力が弱く、水分散性に有効機能するカルボキシル基の生成量が不充分になり易い。
【0014】
オゾンガスによる気相酸化はチャネリング現象が起こるためカーボンブラック表面に均一にカルボキシル基を生成することが不可能であり、酸化力も弱いためカルボキシル基の生成量も少ない。なお、液相中でオゾンガスをバブリングさせて酸化させる方法ではオゾンガスの水への溶解度が低いため、カルボキシル基の生成がより少なくなる。
【0015】
このような理由から酸化剤にはペルオキソ二酸あるいはペルオキソ二酸塩が用いられ、酸化処理は酸化剤水溶液にカーボンブラックを混合して攪拌する液相酸化により行われる。酸化処理によりカーボンブラックの表面にはカルボキシル基、キノン基、ヒドロキシル基、ラクトン基等が生成するが、水分散に関係する官能基は酸性官能基であるカルボキシル基とヒドロキシル基である。しかし、ヒドロキシル基の解離定数は8〜10で、カルボキシル基の2〜5に比べて非常に大きいので水分散性に関係する官能基はカルボキシル基が支配的となる。
【0016】
したがって、カルボキシル基量を増加させれば水への分散性は向上することになる。しかし、同時に紙の繊維間への浸透性も大きくなり、印字した際に黒色度が低下する傾向が生じる。そこで、水分散性と黒色度を同時に満足するカルボキシル基として液相酸化時の酸化剤濃度、反応温度、反応時間、攪拌速度等を調節することにより、カーボンブラック表面のカルボキシル基量を2〜5μmol/m2に制御する。
【0017】
このように液相酸化して生成したカルボキシル基の一部あるいは全てを解離定数(pKa) が5未満のアルカリ溶液で中和する。解離定数が5以上のアルカリ溶液(炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等)で中和すると、僅かではあるが形成したヒドロキシル基をフェノラート塩に置換することは困難となり、分散体中のカーボンブラックの安定性が経時的に不安定になる可能性が高くなる。
【0018】
解離定数(pKa) が5未満のアルカリ溶液には、例えば無機系としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があり、有機系としては水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等が例示される。
【0019】
アルカリ溶液で中和した酸化カーボンブラックの分散液には、中和により生成した塩類が存在するので、これらの残塩は電気透析あるいは逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズ R.O等の分離膜で分離除去し、酸化カーボンブラックを精製する。カーボンブラック分散液の残塩濃度は、例えばカーボンブラック分散濃度を20wt%として電気伝導度が2mS/cm 未満となるように除去することが好ましい。残塩除去が不充分な場合には水分散液の分散性、保存安定性、粘性等が悪化し、また装置腐食の問題も生じることになる。
【0020】
上記の酸化処理を施したカーボンブラックを水に分散し、更に分級処理してカーボンブラック粒子の凝集体のうち大きな凝集体及び小さい凝集体を除去して、分散液中のカーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)を50〜130nm、最大粒径Dupa99%(nm)を150〜320nm、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode )とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) を1.20以下に分級する。
【0021】
カーボンブラックを水中に分散させる場合、水中への分散が容易で、その分散状態を安定に維持するためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集形態で水中に分散し、かつ再凝集して大きな凝集体を形成し難いことが有利である。一方、カーボンブラック粒子の凝集体が小さくなると分散性能の向上には有利であるが、水性黒色インキとした場合には紙繊維の隙間からカーボンブラックが通過して紙定着濃度が低下する。しかし、凝集形態が大きくなると分散性が悪化し、インキの吐出安定性および濾過性等が低下することになる。また、カーボンブラック粒子凝集体の大きさによって酸化される度合に差異が生じ、大きい粒子凝集体ほど酸化が不充分になり易い等の問題が生じる。
【0022】
そこで、分級処理してカーボンブラック粒子凝集体、すなわちアグロメレート粒径の粒度分布のシャープ化を図るものであり、具体的にはカーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値を50〜130nm、最大粒径Dupa99%(nm)の値を150〜320nm、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値を1.20以下に分級する。なお、分級処理は遠心分離法、機能性膜による分離法、等適宜な方法により行われるが、初めに遠心分離したのち機能性膜により分離することが好ましい。
【0023】
水分散液中におけるカーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値が50nm未満であると紙へ印字した際に紙繊維の隙間をカーボンブラックが通過する割合が大きくなるため黒色度が低下する。一方、130nmを越えると黒色度は高くなるが、分散安定性が低下し、例えば濾過性が悪化し、沈殿残渣率が増大する。また、カーボンブラック粒子凝集体の最大粒径Dupa99%(nm)の値が150nm未満であると紙に印字した場合に黒色度が低くなり、320nmを越えると濾過性、沈殿残渣率、吐出安定性等が不良となる。更に、カーボンブラック粒子凝集体の粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値が1.20を越えると、濾過性、沈殿残渣率、吐出安定性等が悪化することになる。
【0024】
上記のカーボンブラック粒子凝集体の粒度特性は、下記の測定方法によって得られた値が用いられる。
【0025】
(1)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、最大粒径Dupa99%(nm);
カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5kg/m3 の分散液を調製し、ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA mode1 9340) を用いて分散液中においてブラウン運動しているアグロメレート粒子にレーザー光を照射して、ドップラー効果による散乱光の周波数変調の度合いから分散液中のアグロメレートの粒径を測定する。このようにして測定したアグロメレート粒径からその累積度数分布曲線を作成し、この累積度数分布曲線の50%累積度数の値をアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とする。
【0026】
(2)アグロメレートの粒度分布の半値幅ΔDupa(mode)(nm) ;
上記の方法により測定したアグロメレート粒径から粒度分布曲線を作成し、この粒度分布曲線におけるモード径Dupa(mode)(nm) における頻度の1/2に相当する大小2点間の距離を半値幅ΔDupa(mode)(nm) とする。
【0027】
分級処理したカーボンブラック水分散液は、好ましくは再度、電気透析あるいは逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズ R.O等の分離膜で精製する。次いで、水分散液のpHを4〜6に調整して、分子量200〜1000のポリエチレンイミンをカーボンブラックに対して1〜6wt%の量比になるように添加する。
【0028】
pHを4〜6に調整するのは、pHが4未満であるとポリエチレンイミンを添加した場合にポリエチレンイミンのアミンとイオン的な反応をして凝集するためである。また、pHが6を越えるとポリエチレンイミンを添加した際の凝集は起こらないが、分散液が強塩基性を示し経時的に保存安定性が悪化する。
【0029】
分子量が200〜1000のポリエチレンイミンを添加するのは、分子量が1000を越えるとカルボキシル基塩の電気的な反発が阻害され、凝集するためである。しかし、分子量が200未満であるとポリマー鎖が短いために立体障害が小さくなり、充分な黒色度が得られない。
【0030】
また、添加するポリエチレンイミンの分子量が200〜1000であっても、その添加量が水分散液中のカーボンブラックに対して6wt%を越えると水分散液は強塩基性を示すために凝集し易くなり、経時的に保存安定性が悪化することになる。なお、添加量が1wt%を下回る場合にはカーボンブラックに対するポリマー量が相対的に少なく立体障害が起き難くなり、紙への定着性が低下するために結果的に充分な黒色度が得られなくなる。
【0031】
このように、本発明の酸化処理カーボンブラックの水性分散体は優れた分散安定性を備えており、カーボンブラック分散濃度を例えば0.1〜20wt%に設定することにより、インキジェットプリンター用や水性インキ用等の水性黒色インキとして好適に使用することができる。
【0032】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0033】
実施例1、2
窒素吸着比表面積(N2SA)が170m2/g、DBP吸収量が115cm3/100gのカーボンブラック(実施例1)及び窒素吸着比表面積(N2SA)が204m2/g、DBP吸収量が129cm3/100gのカーボンブラック(実施例2)を用いて酸化処理した。酸化処理はカーボンブラック100g を濃度1.0mol/dm3 のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液3dm3 に添加し、反応温度333K 、反応時間10時間、攪拌速度0.12 s-1の条件で行った。反応終了後、酸化カーボンブラックと反応溶液を濾別し、酸化カーボンブラックを濃度1.0mol/dm3 の水酸化ナトリウム溶液で中和した。中和後、遠心分離器(日立工機製 CR22F)で7.5×10-3 S-1、15分間の条件で処理した。その後、上澄み液を限外濾過膜(旭化成製 AHP-1010 、分画分子量 50000)で残存する塩を分離したのちカーボンブラック固形分20wt%に濃縮した。このカーボンブラック分散液の電導度は1.3mS/cm 、pHは6.0であった。次いで、分子量250のポリエチレンイミン(日本触媒社製、SP-103)水溶液をカーボンブラックに対して3wt%の量比になるように添加し、最終的にカーボンブラック濃度17wt%の酸化処理カーボンブラック水性分散体を作製した。
【0034】
比較例1、2
ポリエチレンイミンを添加しない他は、実施例1、2と同じ方法で酸化処理カーボンブラック水性分散体を作製した。但し、カーボンブラック濃度は20wt%に調整した。
【0035】
比較例3、4
添加したポリエチレンイミンの分子量を1200(日本触媒社製、SP-012)とした他は、実施例1、2と同じ方法でカーボンブラック濃度17wt%の酸化処理カーボンブラック水性分散体を作製した。
【0036】
比較例5、6
ポリエチレンイミンの添加量をカーボンブラックに対して10wt%の量比になるように添加した他は、実施例1、2と同じ方法でカーボンブラック濃度17wt%の酸化処理カーボンブラック水性分散体を作製した。
【0037】
比較例7、8
ポリエチレンイミン水溶液を添加する際のカーボンブラック水分散液のpHを8.2に調整した他は、実施例1、2と同じ方法でカーボンブラック濃度17wt%の酸化処理カーボンブラック水性分散体を作製した。
【0038】
このようにして作製した酸化処理カーボンブラック水性分散体について、作製条件を対比して表1に示した。
【0039】
【表1】
Figure 0003862255
【0040】
このようにして作製したカーボンブラック分散濃度17wt%(比較例1、2は分散濃度20wt%に濃縮)の酸化処理カーボンブラック水性分散体について、下記の方法で水分散性能、インキ性能等を測定し、得られた結果を表2、表3に示した。
【0041】
(1)保存安定性;
サンプルを密閉容器に入れ、70℃の温度に保持して1〜4週間の粘度変化を回転振動式粘度計(山一電機株式会社製、VM-100A-L )により測定した。
【0042】
(2)粒子凝集体の粒子径測定;
サンプル及び保存安定性試験を行った各サンプルについて、ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA mode1 9340) を用いてアグロメレートの粒子径を測定した。
【0043】
(3)濾過性;
サンプル200g を90φの濾紙(NO.2)、及び膜孔径3μm 、0.8μm 、0.65μm 、0.45μm の各フィルターを用いて2666.4Paの減圧下で濾過試験を行い、通過量を比較した。
【0044】
(4)沈殿残渣率;
サンプルを20000Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの重量(M0)とを測定して、その重量比(M1/M0) を沈殿残渣率とした。この値が小さいほど分散安定性は良好になる。
【0045】
(5)印字濃度;
サンプルをカーボンブラック濃度4wt%に希釈し、コピー紙としてXEROX 4024紙を使用し、これに#6バーコータにより印字して、マクベス濃度計(コルモーゲン社製 RD-927 )を用いて光学濃度を測定した。
【0046】
(6)その他、カーボンブラック水分散液のpHはJISZ8802、電気伝導度はJISK0130により測定した。
【0047】
【表2】
Figure 0003862255
【0048】
【表3】
Figure 0003862255
【0049】
表2、3の結果から、実施例の酸化処理カーボンブラック水性分散体は、保存安定性、濾過性、沈殿残渣率等に優れ、また印字濃度も高く、高位の水分散性とインキ性能を兼ね備えていることが判る。これに対して、ポリエチレンイミンを添加していない比較例1、2では印字濃度が低く、インキ性能として黒色度に劣ることが認められ、一方、分子量1200のポリエチレンイミンを添加した比較例3、4では凝集が速やかに進行するために粘度の増加が著しく、1週間後にはゲル化した。また、ポリエチレンイミンの添加量が多い比較例5、6は濾過性や沈殿残渣率等の分散性および印字濃度では問題ないものの、経時的に凝集が進むために3週間後にはゲル化が生じ、保存安定性に劣ることが認められ、更に、ポリエチレンイミンを添加する前の水分散液のpHを弱アルカリ性(pH8.2)にした比較例7、8では比較例5、6と同様に濾過性、沈殿残渣率、印字濃度等は良好であったが、経時的に凝集が進んで2週間後にはゲル化が生じ、保存安定性に劣るものであった。
【0050】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の酸化処理カーボンブラックの水性分散体によれば、カーボンブラックの水分散性能が優れており、長期に亘って安定した水分散性状を維持し得るとともに黒色度等のインキ性能にも優れており、インキジェットプリンター用や水性インキ用等に用いる水性黒色インキとして好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. ペルオキソ二酸あるいはペルオキソ二酸塩によりカルボキシル基を2〜5μmol/m2に液相酸化したカーボンブラックのカルボキシル基の一部あるいは全てが解離定数 (pKa)5未満のアルカリ溶液で中和され、残塩を除去精製した酸化処理カーボンブラック水分散液であって、カーボンブラック粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)が50〜130nm、最大粒径Dupa99%(nm)が150〜320nm、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) が1.20以下に分級処理し、水分散液のpHを4〜6に調整して分子量200〜1000のポリエチレンイミンをカーボンブラックに対して1〜6wt%の量比に添加含有させてなることを特徴とする酸化処理カーボンブラックの水性分散体。
    但し、Dupa50%は、カーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射して散乱光の周波数変調度合からアグロメレート粒径の累積度数分布曲線を作成し、同分布曲線における50%累積度数の値を示し、Dupa99%は同分布曲線における99%累積度数の値を示す。また粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) はアグロメレート粒径の分布曲線におけるモード径Dupa(mode) における頻度の1/2に相当する大小2点間の距離を示す。
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