JP2006008879A - カーボンブラック黒色顔料とその水分散体 - Google Patents

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繁美 戸田
Ryusuke Harada
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Abstract

【課題】 水中への分散性能に優れたカーボンブラック黒色顔料、および、このカーボンブラック黒色顔料を水中に分散させた水性インキなどとして好適な水分散体を提供すること。
【解決手段】 外部比表面積(STSA)が40〜250m2/g、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstが30〜200nm、同分布における半値幅ΔDstが150nm以下のカーボンブラックが、カーボンブラック粒子表面のカルボキシル基量がカーボンブラック粒子の外部比表面積(STSA)当たり1.0μmol/m2以上に湿式酸化処理されたカーボンブラック黒色顔料。また、このカーボンブラック黒色顔料を水中に分散させた分散体であって、カーボンブラックの分散濃度が20wt%の水分散体におけるカーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜400nm、最大粒径Dupa99%が80〜1200nmであるカーボンブラック黒色顔料水分散体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水中への分散性能に優れたカーボンブラック黒色顔料と、この黒色顔料を用いた、例えば、インクジェットプリンターなどの黒色水性インキとして好適に使用されるカーボンブラック黒色顔料水分散体に関する。
カーボンブラックは疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることは極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボキシル基やヒドロキシル基などの親水性の官能基が極めて少ないことに起因する。そこで、カーボンブラックの水分散性能を向上させるために、カーボンブラックを酸化改質して表面に親水性の官能基を形成する方法が古くから知られている。
例えば、特許文献1にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理する方法が、また、特許文献2にはカーボンブラックを低温酸化プラズマ処理する水分散性改質カーボンブラックの製造方法が開示されている。
水分散性に優れたカーボンブラックは水性黒色インキ用顔料として有用されており、筆記具をはじめ、特に近年ではインクジェットプリンター用の記録液などとしても注目されており、例えば特許文献3には、水性媒体、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及び一次粒子径が20〜40nm、DBP吸油量が40〜120ml/100g、pHが7.0以上であるカーボンブラックを含有することを特徴とするインクジェット用記録液が提案されている。これは、分散剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルを用いることにより記録液の保存安定性の向上を図るものである。しかし、カーボンブラックの変性については何ら意図されていない。
カーボンブラックを酸化変性して水分散性能を向上させた水分散性カーボンブラックを用いた水性インキとして、例えば特許文献4には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されている。
また、特許文献5には吸収量100ml/100g以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が提案されている。
上記の特許文献4や特許文献5はカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の活性水素含有官能基を多く生成させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する官能基量を規制するのみでは分散性の良否を的確に判断することは困難である。すなわち、カーボンブラックには比表面積が異なる多様な品種があり、例えばカーボンブラック1g中に存在する官能基量が同じであっても、水中への分散性能に大きく影響する水分子との接触界面に存在するこれらの官能基量は比表面積によって異なるものとなる。
そこで、本出願人は分散性能の良否を的確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目して研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面積当たり3μeq/m2 以上である易水分散性カーボンブラック、及び、酸化改質するその製造方法を開発、提案した(特許文献6)。
特許文献6はカーボンブラックの比表面積として窒素吸着比表面積(N2 SA)を用いるものであるが、N2 SAはカーボンブラック粒子表面の外周部だけでなく細孔部の面積をも含んだ、外部比表面積と内部比表面積の和である全比表面積を示すものである。しかし、水中におけるカーボンブラックの分散性には細孔部の表面積は殆ど関与しないため、細孔面積を除いた外部比表面積が測定されるCTAB比表面積によるものがより適していることになる。
この観点から、本出願人は酸化処理するカーボンブラックとして、CTAB比表面積とDBP吸収量が、CTAB×DBP<185…(1)、5<DBP/CTAB<12…(2)の関係を満たすカーボンブラックを対象とするカーボンブラックの水性分散体(特許文献7)を提案した。
特開昭48−018186号公報 特開昭57−159856号公報 特開平03−097770号公報 特開平08−003498号公報 特開平08−319444号公報 特開平11−148027号公報 特開2003−183541号公報
CTAB表面積は、界面活性剤の一種であるCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)の吸着量からカーボンブラックの表面積を測定するものである。しかし、カーボンブラック粒子表面にカルボキシル基などの官能基が存在すると、官能基とCTABが反応してCTABが消費されるため見掛け状のCTAB吸着量が増大することになる。
したがって、カーボンブラックを酸化処理した場合、酸化処理の前後で測定したCTAB比表面積が変わり、酸化処理後では粒子表面に生成したカルボキシル基によりCTAB比表面積は実際の値より大きな値を示すことになる。
また、カーボンブラック粒子表面にカルボキシル基を生成させるためには強い湿式酸化処理が必要であり、湿式酸化処理したカーボンブラック粒子の表面には微細なポアが形成されやすい。その結果、窒素吸着比表面積(N2 SA)で測定される比表面積は、この酸化処理により1.10〜1.15倍程度に増大することになる。この比表面積の増大は、カルボキシル基が生成する表面だけでなく、官能基の生成に関与しない表面積をも測定することになる。
そこで、本発明者らはカーボンブラック粒子表面に存在するカルボキシル基量を的確に評価するために鋭意検討した結果、窒素ガスを用いて測定する外部比表面積(STSA)は酸化処理の前後で殆ど変化することなく、ほぼ同等の値を示すことを確認した。
すなわち、本発明はこの知見に基づいて完成したもので、水中に分散したカーボンブラック粒子と水分子との界面におけるカーボンブラック粒子表面に存在するカルボキシル基量を的確に評価するとともにカーボンブラック基本微粒子の凝集構造の大きさを特定することにより、優れた水分散性能を有するカーボンブラック黒色顔料、および、その水分散体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明によるカーボンブラック黒色顔料は、外部比表面積(STSA)が40〜250m2 /g、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstが30〜200nm、同分布における半値幅ΔDstが150nm以下のカーボンブラックを、カーボンブラック粒子表面のカルボキシル基がカーボンブラック粒子の外部比表面積(STSA)当たり1.0μmol/m2 以上に湿式酸化処理されたものであることを特徴とする。
また、本発明によるカーボンブラック黒色顔料水分散体は、上記のカーボンブラック黒色顔料を水中に分散させた分散体であって、カーボンブラックの分散濃度が20wt%の水分散体におけるカーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜400nm、最大粒径Dupa99%が80〜1200nmであることを特徴とする。
本発明によれば、水中に分散したカーボンブラック粒子と水分子との界面におけるカーボンブラック粒子表面に存在するカルボキシル基量を的確に評価するとともにカーボンブラック基本微粒子の凝集構造の大きさを特定することにより、優れた水分散性能を有するカーボンブラック黒色顔料、および、水性黒色インキなどとして好適なその水分散体が提供される。
本発明のカーボンブラック黒色顔料は、特定された外部比表面積(STSA)およびアグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dst、同分布における半値幅ΔDstを有するカーボンブラックが湿式酸化処理され、生成したカーボンブラック粒子表面のカルボキシル基量を特定した点を特徴とする。
すなわち、カーボンブラックの特性として、外部比表面積(STSA)が40〜250m2 /g、モード径Dstが30〜200nm、半値幅ΔDstが150nm以下に特定したカーボンブラックが用いられる。
ここで、外部比表面積(STSA)は、自動比表面積測定装置(島津製作所製、Gemini2375)を用いて、ASTM D6556“Standard Test Methods for Carbon Black−External Surface Area by Multipoint Nitrogen Adsorption ”に記載の方法に準拠して測定した値であり、カーボンブラック粒子表面の微細なポア、例えば20オングストローム以下の微細ポアを含まない外部表面積が測定される。
外部比表面積(STSA)が40m2 /g未満であると、水中にカーボンブラックを分散させた場合にカーボンブラック粒子と水分子との接触界面の面積が小さくなるので分散性能が低下し、水分散体とした場合に安定な分散状態を維持し難く、また沈殿残渣率が増加したり、濾過性や吐出安定性の低下を招くことになる。一方、250m2 /gを越えると、水分散体としてインキなどに使用した場合に印字した際の紙定着濃度が低くなり、更に、表面積が大きいため表面を均一に酸化することが難しくなる。
本発明のカーボンブラック黒色顔料には、外部比表面積(STSA)に加えてアグリゲートの大きさを表すストークス相当径分布のモード径Dstが30〜200nm、同分布における半値幅ΔDstが150nm以下のアグリゲート構造を有するカーボンブラックが適用される。
カーボンブラック粒子は、カーボンブラックの基本微粒子が複雑に、鎖状に融着結合した凝集体(アグリゲート)から構成されており、このアグリゲートの大きさを表すストークス相当径分布のモード径Dstが30nmを下回ると、水分散状態における凝集体の大きさが小さいために、水分散体としてインキなどに使用した場合に印字濃度(黒色度)が低くなり、一方200nmを越えると印字濃度(黒色度)は高くなるが、水中における再凝集の頻度も増大し、安定した水分散状態を長期に維持することができなくなる。また、ストークス相当径分布における半値幅ΔDstが150nmを越えるとアグリゲートの粒度分布がブロード化するために、大きなアグリゲートの存在確率も高くなり、水分散体中で再凝集や自然沈降が生じ易く、例えばインクジェットプリンターの印刷インキに使用した場合にノズル閉塞トラブルなどが生じることになる。
なお、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dst(nm)および同分布における半値幅ΔDst(nm)は、下記の方法によって測定される。
乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度0.1kg/m3 の分散液を作製し、これを超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobel 社製)を100s-1の回転数に設定し、スピン液(2重量%グリセリン水溶液、25℃)を0.015dm3 加えた後、0.001dm3 のバッファー液(20容量%エタノール水溶液、25℃)を注入する。次いで、温度25℃のカーボンブラック分散液0.0005dm3 を注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸;カーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時間、縦軸;カーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応するストークス相当径を算出する。
Figure 2006008879
数1において、ηはスピン液の粘度(0.935×10-3Pa・s)、Nはディスク回転スピード(100s-1)、r1 はカーボンブラック分散液注入点の半径(0.0456m)、r2 は吸光度測定点までの半径(0.0482m)、ρCBはカーボンブラックの密度(kg/m3 )、ρ1 はスピン液の密度(1.00178kg/m3 )である。
このようにして得られたストークス相当径と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストークス相当径をアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とする。また、最大頻度の1/2値における大小2点のストークス相当径の差をアグリゲートの半値幅ΔDst(nm)とする。
本発明のカーボンブラック黒色顔料は、上記の特性を有するカーボンブラックが、その粒子表面に存在する官能基としてカルボキシル基量が、外部比表面積(STSA)当たり1.0μmol/m2 以上に湿式酸化処理されたものである。
カーボンブラックを酸化処理すると、酸化条件によってカルボキシル基(−COOH)やヒドロキシル基(−OH)、キノン基(>C=O)などの種々の官能基が粒子表面に生成する。これらの官能基のうち水分子との親和性が高く、水中で安定した分散状態を形成するためには、活性水素を含む酸性官能基であるカルボキシル基とヒドロキシル基の存在量が大きく関係する。しかし、ヒドロキシル基の解離常数は8〜10で、カルボキシル基の2〜5に比べて非常に大きいので、水分散性に影響する官能基はカルボキシル基が支配的となる。
すなわち、カーボンブラックが水中に分散する過程および水中に分散した状態においては、カーボンブラック粒子と水分子との接触界面に存在するカルボキシル基量が重要な機能を発揮することになり、カーボンブラックの粒子表面に存在する官能基として、カルボキシル基の量を増加させれば水への分散性能も向上することとなる。そこで、本発明は水分子と接触するカーボンブラックの表面積として、カーボンブラック粒子表面の微細なポアを含まない外部比表面積(STSA)に存在するカルボキシル基量を1.0μmol/m2 以上に設定する。
なお、上記カルボキシル基量は、下記の方法によって測定される。
0.976mol/dm3 の炭酸水素ナトリウム0.5dm3 中にカーボンブラック2〜5gを添加して6時間程度振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾過分離し、濾液を0.05mol/dm3 の水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行い、カルボキシル基を定量する。次に、この測定値をカーボンブラックの外部比表面積(STSA;m2 /g)で除して、カーボンブラック粒子の外部比表面積(STSA)当たりのカルボキシル基量 (μmol/m2 )とする。
酸化は均一かつ十分に酸化するめに湿式酸化処理が適用される。酸化剤としては、例えば、ペルオキソ2硫酸塩、ペルオキソ2硼酸塩、ペルオキソ2炭酸塩、ペルオキソ2燐酸塩などのペルオキソ2酸塩が好適に用いられ、ペルオキソ2酸塩中の塩としてはアルカリ金属塩やアンモニウム塩などが好ましい。
湿式酸化処理は酸化剤水溶液中にカーボンブラックを入れて攪拌、加熱することにより行われ、酸化処理の程度は酸化剤水溶液の濃度、カーボンブラックの添加量、反応温度、反応時間などを適宜に設定、制御することにより行われる。具体的には、カーボンブラックの外部比表面積(STSA)でカルボキシル基量を除した値が1.0μmol/m2 以上になるまで湿式酸化処理される。この値が1.0μmol/m2 未満では水分散性が低く分散液中において凝集し易く、自然沈降などが起こる。なお、湿式酸化処理前後における外部比表面積(STSA)の測定値は略同等の値を示し、処理前後の変化は実質的に無視することができる。
湿式酸化処理されたカーボンブラック分散液は限外濾過膜により分散液中に残存する塩を分離した後、アルカリで中和し、次いで遠心分離などにより粗大粒を除去したのち、所定のカーボンブラック分散濃度に濃縮する。なお、中和時に生成した塩は分散性を阻害する要因となるため、電気透析あるいは分離膜(限外濾過膜、逆浸透膜など)で分離除去する。分離除去処理での終点の目安は、例えばカーボンブラックの分散濃度20wt%で、電気伝導度が5mS/cm以下となるまで分離除去を繰り返すことが望ましい。
更に、カーボンブラック粒子表面に生成したカルボキシル基の末端水素の全てあるいは一部を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化第4級アミン、エタノールアミンなどの有機系アミンなどの塩基性水溶液を添加し、pHを調整してアルカリ金属やアミノ基などで置換することにより、水分散性をさらに向上させることができる。このように処理したカーボンブラック分散液は、濃縮、濾過した後、乾燥し、ミキサーなどにより粉砕してカーボンブラック黒色顔料が得られる。
本発明のカーボンブラック黒色顔料水分散体は、上記の酸化処理を施したカーボンブラックを黒色顔料として所定の濃度、例えば20wt%以下の濃度で水中に分散させた分散体からなるものであり、この水分散体をベースにして、例えば黒色水性インキなどが調製される。
そして、カーボンブラック黒色顔料水分散体のカーボンブラック分散濃度を20wt%に調整したときの、カーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜400nm、最大粒径Dupa99%が80〜1200nmであることを特徴とする。
カーボンブラック粒子の凝集構造には、カーボンブラックの基本微粒子が複雑に鎖状に融着結合した凝集体(アグリゲート)と、このアグリゲート同士がVan derWaals力や集合、付着、絡み合いなどによって二次的に凝集したアグロメレートの2つの形態がある。そして、カーボンブラック水分散体中のカーボンブラックは、主にアグロメレートの状態で分散している。
すなわち、カーボンブラックを黒色顔料として水中に分散させた水分散体の水分散性能や水分散体のインキ性能などは、アグロメレートの大きさに影響されるところが少なくない。そこで、本発明のカーボンブラック黒色顔料水分散体は、水分散体中のカーボンブラック分散濃度を20wt%に調整したときのカーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%を50〜400nm、最大粒径Dupa99%を80〜1200nmに設定するものである。
アグロメレートの平均粒径Dupa50%が50nm未満であると水分散体中のカーボンブラック凝集体が小さいため、分散体中において再凝集などによる分散安定性が損なわれることは少ないが、例えばインキなどを調製した場合に紙繊維の隙間からカーボンブラックが通過し、紙表面に捕捉されるカーボンブラック量が減少するため印字濃度(黒色度)が低下することになる。一方、400nmを越えると紙表面に捕捉されるカーボンブラック量が増加するため印字濃度(黒色度)は向上するが、濾過性が悪化して、例えばインクジェットプリンター用のインキとした場合にはインクノズルからの吐出安定性が低下したり、目詰まりが生じ、また、再凝集し易くなり、沈殿残渣率が増大することになる。
同様に、水分散体中のアグロメレートの最大粒径Dupa99%を80〜1200nmに設定するのは、最大粒径Dupa99%が80nmを下回るとインキとした場合に印字濃度(黒色度)が低下し、1200nmを越えると濾過性、吐出安定性の低下および沈殿残渣率の増大が著しくなるためである。
なお、Dupa50%(nm)、Dupa99%(nm)は下記の方法によって測定される。
カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5kg/m3 の分散液を調製し、ヘテロダインレーザードップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA mode1 9340)を用いて分散液にレーザー光を照射して、散乱光の周波数変調の度合いから分散液中のアグロメレートの粒径を測定する。分散液中のカーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大きさにより散乱光の周波数が変調する。したがって、凝集体の大きさによってブラウン運動の激しさが異なることから、水中に分散している状態における凝集体の大きさ、すなわちアグロメレートの粒径を測定することができる。このようにして測定したアグロメレート粒径から、その累積度数分布曲線を作成し、50%累積度数の値をアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とする。
以下、本発明を具体的に説明する。
酸化処理による比表面積の変化について;
比表面積およびモード径Dst、半値幅ΔDstが異なるカーボンブラック試料を用い、酸化剤としてペルオキソ2硫酸ナトリウム(Na2 2 8 )を用いて、下記の条件で湿式酸化処理を行った。
〔湿式酸化処理〕
カーボンブラック100gを、濃度1.5および2.5mol/dm3 のペルオキソ2硫酸ナトリウム水溶液3dm3 中に入れて、温度60℃、攪拌速度0.12s-1の条件で10時間攪拌して酸化処理を行った。次いで、濾別したカーボンブラックを純水中に分散させ水酸化ナトリウムで中和し、限外濾過膜〔旭化成(株)製、AHP−1010、分画分子量50000〕で残存する塩を精製除去した後、濾過、乾燥し、ミキサーで粉砕して酸化処理程度の異なるカーボンブラック試料(黒色顔料)を得た。
〔酸化処理よる特性の変化〕
酸化処理後のカーボンブラックの特性を測定して、湿式酸化処理前後のカーボンブラック特性の変化を表1および表2に示した。また、表1に示したサンプルNo.1〜6のカーボンブラック試料について、比表面積の測定法による湿式酸化処理前後のカーボンブラック粒子の単位表面積当たりのカルボキシル基量を対比して表3に示した。
Figure 2006008879
Figure 2006008879
Figure 2006008879
表1、2および3から湿式酸化処理の前後において、CTAB比表面積(CTAB)および窒素吸着比表面積(N2 SA)は著しく変化しており、湿式酸化処理前のCTAB比表面積やN2 SAから酸化処理後の比表面積当たりのカルボキシル基量を算定することは困難であることが分かる。一方、外部比表面積(STSA)は酸化処理前後において殆ど変化しておらず、その差異は実質的に無視できるものと考えられる。したがって、水中に分散させた際の分散性能に大きな影響を与えるカーボンブラック粒子の比表面積当たりのカルボキシル基量を的確に評価するためには、外部比表面積(STSA)で評価することがCTAB比表面積や窒素吸着比表面積(N2 SA)に比べて、より妥当であることが分かる。なお、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstや半値幅ΔDstは湿式酸化処理による変化は実質的に認められない。
次に、表1に示したサンプルNo.1〜6の酸化処理後のカーボンブラックを水中に分散させて、カーボンブラック分散濃度を20wt%に調整したカーボンブラック水分散体を作製して、下記の方法により水分散性能およびインキ性能を測定、評価し、その結果を表4に示した。
1.水分散性能;
(1)平均粒径Dupa50%(nm)および最大粒径Dupa99%(nm)の測定
水分散体作製時、および、水分散体を密閉容器に入れ70℃の温度に4週間保持した時の平均粒径Dupa50%および最大粒径Dupa99%を測定して、水分散体中のカーボンブラックアグロメレートの大きさの変化から凝集体の形成状況を比較した。すなわち、アグロメレートが大きくなる程、水分散体中において大きな凝集体が生成し、分散状況の不安定化が進行していることになる。
(2)沈殿残差率の測定
水分散体作製時、および、水分散体を密閉容器に入れ70℃の温度に4週間保持した時の沈殿残差率を測定した。なお、沈殿残差率は水分散体を20000Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿残渣量(M 1)と遠心分離処理前のカーボンブラックの重量(M 0)との重量比(M 1/M 0)を沈殿残渣率とした。この値が低い程、分散安定性は良好になる。
(3)濾過試験
水分散体作製時、および、水分散体を密閉容器に入れ70℃の温度に4週間保持した時の水分散体200gを90φの濾紙〔アドバンテックTOYO(株)製No.2〕、および、膜孔径3μm、0.8μm、0.65μm〔富士フィルム(株)製〕のフィルターを用いて,2666.4Paの減圧下で濾過試験を行い、通過量を測定した。
2.インキ性能;
(4)光学濃度(OD値)の測定
水分散体作製時、および、水分散体を密閉容器に入れ70℃の温度に4週間保持した時の水分散体をカーボンブラック分散濃度を4wt%に希釈し、プレーンペーパーコピー紙(XEROX 4024)に#6バーコータにより印刷して、マクベス濃度計(コルモーゲン社製RD−927)を用いて光学濃度(OD値)を測定した。
Figure 2006008879
表4より、外部比表面積(STSA)が40〜250m2 /g、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstが30〜200nm、同分布における半値幅ΔDstが150nm以下のカーボンブラックを湿式酸化処理して、カーボンブラック粒子表面のカルボキシル基量をカーボンブラック粒子の外部比表面積(STSA)当たり1.0μmol/m2 以上に処理したカーボンブラックサンプルを、分散濃度20wt%で水中に分散した分散体は、70℃の温度に4週間保持した後においてもアグロメレートの凝集構造の増大は小さく、また、沈殿残差率の増加や濾過性の低下も少ないことが認められる。更に、インキ性能を示す光学濃度も良好なレベルにある。
Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降による吸光度の変化を示した分布曲線である。 Dstの測定時に得られるストークス相当径と吸光度の関係を示す分布曲線である。

Claims (2)

  1. 外部比表面積(STSA)が40〜250m2 /g、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstが30〜200nm、同分布における半値幅ΔDstが150nm以下のカーボンブラックが、カーボンブラック粒子表面のカルボキシル基量がカーボンブラック粒子の外部比表面積(STSA)当たり1.0μmol/m2 以上に湿式酸化処理されたものであることを特徴とするカーボンブラック黒色顔料。
  2. 請求項1のカーボンブラック黒色顔料を水中に分散させた分散体であって、カーボンブラックの分散濃度が20wt%の水分散体におけるカーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜400nm、最大粒径Dupa99%が80〜1200nmであることを特徴とするカーボンブラック黒色顔料水分散体。
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