JP2001081386A - 水性黒色インキ - Google Patents

水性黒色インキ

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JP2001081386A
JP2001081386A JP26349699A JP26349699A JP2001081386A JP 2001081386 A JP2001081386 A JP 2001081386A JP 26349699 A JP26349699 A JP 26349699A JP 26349699 A JP26349699 A JP 26349699A JP 2001081386 A JP2001081386 A JP 2001081386A
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Hiroaki Arai
啓哲 新井
Masataka Kono
正孝 河野
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Tokai Carbon Co Ltd
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Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中への分散性能に優れたカーボンブラック
を黒色顔料として水性媒体中に分散し、紙定着濃度が高
く、黒色度が向上した水性黒色インキを提供すること。 【解決手段】 N2SAが120 〜150m2/g 、DBP が70〜110m
l/100g、Tintが120 %以上、カルボキシル基とヒドロキ
シル基の和が 3μeq/m2以上であって、(1) アグロメレ
ートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が80〜110nm 、(2) ア
グロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値が300nm 以
下、の特性を備えるカーボンブラックを水性媒体中に分
散してなる水性黒色インキ。ただし、Dupa50%はカーボ
ンブラックの水分散液にレーザー光を照射し、散乱光の
周波数変調度合から作成したアグロメレート粒径の累積
度数分布曲線における50%累積度数の値を、Dupa99%は
同分布曲線における99%累積度数の値を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中への分散性能
に優れた易水分散性カーボンブラックを黒色顔料として
用いた水性黒色インキに関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックは疎水性で水に対する
濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させるこ
とが極めて困難である。これはカーボンブラック表面に
存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボ
キシル基やヒドロキシル基などの親水性の水素含有官能
基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔
料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性黒色
インキなどに使用する場合にはカーボンブラックの表面
性状を改質して水分散性能の向上を図る必要がある。
【0003】水性黒色インキは筆記具をはじめ、特に近
年ではインクジェットプリンター用の記録液などとして
注目されており、例えば特開平3−97770号公報に
は、水性媒体、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル及び一次粒子径が20〜40nm、DBP吸油量が
40〜120ml/100g 、pHが7.0以上であるカーボ
ンブラックを含有することを特徴とするインキジェット
用記録液が提案されている。これは、分散剤としてポリ
オキシエチレンスチリルフェニルエーテルを用いること
により記録液の保存安定性の向上を図るもので、対象と
なるカーボンブラックには市販品が用いられ、カーボン
ブラックの変性については何ら意図されていない。
【0004】また、カーボンブラックを酸化処理して表
面に親水性の官能基を形成することによりカーボンブラ
ックの水中への分散性を改良することは古くから知られ
ており、例えば特開昭48−18186号公報にはカー
ボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理
し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離捕集
するにあたり有機溶剤で洗浄することを特徴とする酸化
カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57−1
59856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラ
ズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボンブ
ラックの製造方法が開示されている。
【0005】更に、特開平8−3498号公報には水と
カーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおい
て、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性
水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボ
ンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法にお
いて、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前
記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更
に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方
法が提案されており、また、特開平8−319444号
公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラック
を水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩
を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含す
る水性顔料インキの製造方法が開示されている。
【0006】上記の特開平8−3498号公報及び特開
平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化
して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有
させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定
性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしな
がら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状
態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分
子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機
能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する
官能基量を規制するのみでは分散性の良否を的確に判断
することは困難である。
【0007】そこで、本発明者らは分散性能の良否を的
確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表
面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目
して研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうち
カルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面
積当たり3μeq/m2以上である易水分散性カーボンブラ
ック、及びその製造方法を開発、提案した(特開平11−
148027号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カーボ
ンブラック表面に親水性の官能基を形成するのみでは水
中へのカーボンブラックの分散性を高め、また長期に亘
る分散安定性を維持するためには限界がある。そこで、
更に研究を進めた結果、水中への易分散性や分散安定性
などの分散性能はカーボンブラック粒子の凝集形態と密
接な関係があることを見出し、窒素吸着比表面積(N2SA)
が80m2/g以上、DBP吸油量が70 ml/100g以下のカ
ーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであっ
て、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグ
ロメレートの平均粒径DUPA(nm) との比DUPA /Dstの
値が1.5〜2.0の特性を備える易水分散性カーボン
ブラック(特開平11−148026号公報)を提案した。
【0009】更に、本発明者らは窒素吸着比表面積(N2S
A)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下の
カーボンブラックであって、(1)カーボンブラックのア
グリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレ
ートの平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値
が1.1〜1.5、(2)アグロメレートの平均粒径Dupa
50%(nm)の値が40〜140(nm)、(3)アグロメレートの
最大粒径Dupa99%(nm)の値が250(nm)以下、であり、
かつ表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル
基とヒドロキシル基の総和量が単位表面積当たり3μeq
/m2以上の特性を備えることを特徴とする易水分散性カ
ーボンブラックを開発した(特願平10−78481 号)。
【0010】しかしながら、水性黒色インキ用の顔料と
してこれらの易水分散性カーボンブラックを用いた場合
にはインキ性能上更に改良する必要があることが判明し
た。例えば、印字した際に紙定着濃度が低いために黒色
度が低下し、インキ性能として不充分となる難点があ
る。
【0011】そこで、本発明者らは水性黒色インキ用の
顔料として更に好適な易水分散性カーボンブラックの開
発について鋭意研究を行った結果、本発明の完成に至っ
たもので、その目的は普通紙、専用紙、OHPシート、
アート紙などに印字する場合に、優れた紙定着濃度、印
字品位、吐出安定性、耐光性、保存安定性などをバラン
スよく付与することのできる水性黒色インキを提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による水性黒色インキは、窒素吸着比表面積
(N2SA)が120〜150m2/g、DBP吸油量が70〜1
10ml/100g 、着色力(Tint)が120以上、表面に存在
するカルボキシル基とヒドロキシル基の和が3μeq/m2
以上であって、下記の特性を備えるカーボンブラックを
黒色顔料として水性媒体中に分散してなることを構成上
の特徴とする。 (1)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が、8
0〜110nm、(2)アグロメレートの最大粒径Dupa99%
(nm)の値が、300nm以下、ただし、Dupa50%はカーボ
ンブラックの水分散液にレーザー光を照射し、散乱光の
周波数変調度合から作成したアグロメレート粒径の累積
度数分布曲線における50%累積度数の値を、Dupa99%
は同分布曲線における99%累積度数の値を示す。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水性黒色インキの黒色顔
料となるカーボンブラックには、窒素吸着比表面積(N2S
A)が120〜150m2/g、DBP吸油量が70〜110
ml/100g 、着色力(Tint)が120以上の特性を備えた
カーボンブラックが対象となる。N2SAが小さくなる
と粒子径が大きくなるので水中における分散安定性が低
下し、インキとした場合に吐出安定性が低下する。一
方、N2 SAが大きくなると粒子径が小さくなるのでカ
ーボンブラック自体の黒色度は増加するが、水性黒色イ
ンキとした場合には紙定着濃度が低下するので、印字し
た際の黒色度が低くなる。そのために、本発明の水性黒
色インキにおいてはN2 SAが120〜150m2/gのも
のを対象とする。
【0014】DBP吸油量が小さい場合には分散性能は
向上するが紙定着濃度が低下するので、印字した際の黒
色度が低くなる。逆に、DBP吸油量が大きくなると分
散液の流動性や分散安定性が低下し、また濾過性が悪化
する。そのため、DBP吸油量は70〜110ml/100g
の範囲に設定する。また、着色力(Tint)はカーボンブ
ラックの粒子径(比表面積 N2SA )やストラクチャー
(DBP)、更にアグリゲート径に関連した特性であ
り、水性黒色インキの黒色度の低下を防止するためにT
int は120以上に設定される。
【0015】また、水中への分散性を向上させるために
はカーボンブラック粒子の表面に水分子との親和性が高
い官能基を存在させることが有利である。本発明におい
ては水中への分散性に大きく機能する活性水素を含む官
能基として、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロ
キシル基(−OH)のカーボンブラック粒子表面に存在
する総和量を3μeq/m2以上の値に設定するものであ
る。この値が3μeq/m2を下回る場合には親水性の官能
基量が少ないために水分子との界面濡れ性を向上させて
分散性能の向上を図ることが困難である。この表面官能
基はカーボンブラックを酸化処理することにより形成す
ることができ、酸化処理は酸素、オゾンあるいはハロゲ
ン酸、過硫酸、及びその塩類など通常用いられる酸化剤
が使用される。なお、これらの官能基の末端水素の一部
あるいは全てをアルカリ金属やアミノ基で置換すると水
分散性を一層向上させることができる。
【0016】なお、これらの官能基は下記の方法により
測定した値が用いられる。 カルボキシル基量:0.976N炭酸水素ナトリウム
50ml中にカーボンブラック2〜5g を添加して6時間
振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾別し、濾
液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0
になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和
滴定試験を行ってカルボキシル基を測定する。この測定
値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA ;m2/g)
で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに
形成されたカルボキシル基量(μeq/m2)とする。
【0017】ヒドロキシル基量:2、2′-Diphenyl-
1-picrylhydrazyl(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して濃度
5×10-4mol/l の溶液を作成し、該溶液にカーボンブ
ラックを0.1〜0.6g添加し、60℃の恒温槽中で
6時間攪拌する。その後、反応液からカーボンブラック
を濾別し、濾液を紫外線吸光光度計によりヒドロキシル
基を測定する。このようにして測定した値をカーボンブ
ラックの窒素吸着比表面積(N2SA ;m2/g)で除した値を、
カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたヒド
ロキシル基量(μeq/m2)とする。
【0018】これらの窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP
吸油量、着色力(Tint)、カルボキシル基及びヒドロキシ
ル基の官能基量などの特性要件に加えて、本発明の水性
黒色インキは下記の特性を備えたカーボンブラックを水
性媒体中に分散することが必須の要件となる。 (1)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が、8
0〜110nm、(2)アグロメレートの最大粒径Dupa99%
(nm)の値が、300nm以下、
【0019】カーボンブラックを水中に分散させる場
合、水中への分散が容易で、その分散状態を安定に維持
するためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集
形態で水中に分散し、かつ再凝集して大きな凝集形態を
形成し難いことが必要である。すなわち、カーボンブラ
ックの凝集形態は、数個から数十個のカーボンブラック
の基本微粒子が不規則で複雑な鎖状に融着結合して凝集
体(アグリゲート)を形成し、更にこれらのアグリゲー
トが相互に絡み合ったり、付着して再凝集した集合体
(アグロメレート)から構成されている。
【0020】したがって、水中に分散したカーボンブラ
ックの凝集形態としては、カーボンブラックの最小凝集
単位であるアグリゲートの状態で水中に分散し、アグリ
ゲートが再凝集した集合体であるアグロメレートがより
少ない分散状態が、分散性能を向上させるために有効で
あり、アグロメレートが存在しない分散状態が理想的な
ものとなる。しかしながら、複雑な三次元形態を示すア
グリゲートは絡み合って再凝集し易く、アグロメレート
の存在しない分散状態を得ることは不可能に近い。
【0021】一方、カーボンブラックを黒色顔料として
水性媒体中に分散させ、水性黒色インキとして用いた場
合には分散性能に優れているのみでは充分でない。例え
ば、分散性能が高い場合にはインキの保存安定性、吐出
安定性、粘性、濾過性などの点で有利となるが、印字し
た際の紙定着濃度が低くなるために黒色度が低下する難
点がある。
【0022】そこで、本発明ではカーボンブラック粒子
の凝集形態として、 (1)アグロメレートの平均粒径Dup
a50%(nm)の値を80〜110nm、 (2)アグロメレートの
最大粒径Dupa99%(nm)の値を300nm以下、に設定する
ものである。アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の
値が80nm未満であると、水性媒体中に分散させてイン
キとした場合に紙繊維の隙間をカーボンブラックが通過
する割合が多くなって紙定着濃度が低くなり、したがっ
て印字濃度が低下する。一方、Dupa50%(nm)の値が11
0nmを越えると沈殿残渣率が増大し、濾過性が低下す
る。また、アグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値
が300nmを上回ると吐出安定性や濾過性など、インキ
性能の低下を招くためである。
【0023】このアグロメレートの平均粒径Dupa50%(n
m)及び最大粒径Dupa99%(nm)は、下記の測定方法によっ
て得られた値が用いられる。カーボンブラックを水に分
散して0.1〜0.5g/l の分散液を調製し、ヘテロダ
インレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロ
トラック社製、UPAmodel 9340) を用いて分散液にレー
ザー光を照射して、散乱光の周波数変調の度合いから分
散液中のアグロメレートの粒径を測定する。分散液中の
カーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー
効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大
きさにより散乱光の周波数が変調する。したがって、凝
集体の大きさによるブラウン運動の激しさが異なること
から、水中に分散している状態における凝集体の大き
さ、すなわちアグロメレートの粒径を測定することがで
きる。このようにして測定したアグロメレート粒径から
その累積度数分布曲線を作成し、50%累積度数の値を
アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度
数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とす
る。
【0024】これらの特性を備えたカーボンブラックを
水などの水性媒体中に所望の濃度で分散させることによ
り本発明の水性黒色インキが得られる。なお、カーボン
ブラックの分散濃度は分散性能及びインキ性能とを考慮
して設定されるが、分散安定性を図るためには60重量
%以下に設定することが望ましい。
【0025】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
具体的に説明する。
【0026】実施例1〜3、比較例1〜3 窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、着色力(Tint)
の異なるカーボンブラック150g を、濃度1.5Nの
過硫酸アンモニウム水溶液3000mlに入れ、温度60
℃、回転数300rpm 、反応時間10時間の条件で酸化
処理した。次いで、濾過により分離したカーボンブラッ
クを純水中に分散させて水酸化ナトリウム水溶液 (濃度
0.5N)で中和し、限外濾過膜により精製処理して残存す
る塩を分離したのち、濾過してカーボンブラックを分離
し、水洗乾燥して官能基量の異なるカーボンブラックを
得た。
【0027】このようにして得た各カーボンブラックに
ついて、窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、着色
力(Tint)、カルボキシル基(C基)及びヒドロキシル基
(H基)、アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)及び
最大粒径Dupa99%(nm)、を測定し、得られた結果を表1
に示した。
【0028】
【表1】
【0029】次に、これらのカーボンブラックを純水中
に20重量%の濃度で分散して水性黒色インキを調製
し、下記の方法により分散性能及びインキ性能を評価し
た。得られた結果を表2に示した。
【0030】加温安定性;サンプルを密閉容器に入
れ、70℃の保温器中にて1週間から4週間の粘度変化
を測定して、加温時の分散安定性を比較した。なお、粘
度は回転振動式粘度計〔山一電機(株)製、VM-100A-L
〕により測定した。
【0031】粒子径測定;サンプル及び加温安定性の
試験を行ったサンプルの粒子径についてヘテロダインレ
ーザドップラー方式粒度分布測定装置〔マイクロトラッ
ク社製、UPA model9340〕を用いて測定した。この測定
装置は、懸濁液中においてブラウン運動している粒子に
レ−ザ光を当てると、ドップラー効果により散乱光の周
波数が変調する。その周波数の変調度合いからブラウン
運動の激しさ、すなわち粒子径を測定するものである。
【0032】印字濃度;水性黒色インキのカーボンブ
ラック分散濃度を4重量%に希釈し、コピー紙としてXE
ROX 4024紙を使用し、これに#6バーコーダにより印字し
て、マクベス濃度計〔コルモーゲン社製 RD-927 〕を用
いて光学濃度を測定した。
【0033】濾過性;水性黒色インキ200g を90
φの濾紙(NO.2)及び膜孔径 3、 0.8、0.65、0.45μm
のフィルターを用いて20Torrの減圧下で濾過試験を行
い、通過量を測定した。
【0034】沈殿残渣率;水性黒色インキを2000
0Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の
沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラック
の重量(M0)との重量比(M1/M0) を沈殿残渣率とした。こ
の値が低いほどカーボンブラックの分散安定性は良好と
なる。
【0035】
【表2】
【0036】水性顔料インキに要求される保存安定性、
濾過性、紙印字濃度(黒色度)および沈殿残渣率は、カ
ーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油
量、着色力(Tint)に依存する性質がある。さらに、実施
例1〜3に示したように酸化処理により水への分散性を
良好とした状態でのカーボンブラックのアグロメレート
形態は、Dupa50%が80〜110nm、Dupa99%が300
nm以下であると水性顔料インキとして良好な性質を示し
ていることが判る。
【0037】比較例1は、DBP吸油量を満たさず、ア
グロメレート形態は平均粒径が70.2nm、最大粒径が
175.8nmとなり、水中に分散している状態は細かい
状態である。このような状態であるために濾過性は良好
で、沈殿残渣率は小さくなるが、紙への浸透性が良いた
め黒色度が低下することが判る。比較例2は、窒素吸着
比表面積(N2SA)が小さく、またDBP吸油量が大きく、
さらにアグロメレート形態は平均粒径が146.4nm、
最大粒径が368.4nmとなっている。この場合、濾過
性は膜孔径0.8μm フィルターで全量濾過されず、沈
殿残渣量も多いものとなった。しかし、沈殿残渣率が大
きく、濾過性が劣るものの黒色度は良好であった。
【0038】比較例3は、窒素吸着比表面積(N2SA)およ
び着色力(Tint)が小さく、カーボンブラックの粒径が大
きくしかも粒径分布がブロードである例である。またア
グリゲート形態が、大粒径になり平均粒径176.5n
m、最大粒径407.6nmとなる。この場合も、沈殿残
渣率が増大し、濾過性が低下するが、黒色度は良好とな
る。このように、実施例を外れる場合、保存安定性、濾
過性、沈殿残渣率、黒色度の特性のうち全てあるいは一
部が満たされなくなることが判る。
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の水性黒色インキ
によれば、カーボンブラックの特性、特に粒子の凝集形
態を特定して水中への分散性能に優れた易水分散性カー
ボンブラックを水性媒体中に分散したものであるから、
安定な分散状態を維持することができるとともに紙定着
濃度の増大、すなわち黒色度を向上させることが可能と
なり、普通紙、専用紙、OHPシート、アート紙などに
印字する場合に、優れた紙定着濃度、印字品位、吐出安
定性、耐光性、保存安定性などをバランスよく備えた水
性顔料インキを提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J037 AA02 DD07 DD08 FF05 FF15 FF22 FF23 4J039 BA04 BC73 BC75 BE01 CA06 EA19 EA35 EA42 EA43 EA44 EA46 GA24 GA26

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素吸着比表面積(N2SA)が120〜15
    0m2/g、DBP吸油量が70〜110ml/100g 、着色力
    (Tint)が120以上、表面に存在するカルボキシル基と
    ヒドロキシル基の和が3μeq/m2以上であって、下記の
    特性を備えるカーボンブラックを黒色顔料として水性媒
    体中に分散してなることを特徴とする水性黒色インキ。 (1)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が、8
    0〜110nm、(2)アグロメレートの最大粒径Dupa99%
    (nm)の値が、300nm以下、ただし、Dupa50%はカーボ
    ンブラックの水分散液にレーザー光を照射し、散乱光の
    周波数変調度合から作成したアグロメレート粒径の累積
    度数分布曲線における50%累積度数の値を、Dupa99%
    は同分布曲線における99%累積度数の値を示す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003020419A (ja) * 2001-07-06 2003-01-24 Tokai Carbon Co Ltd 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP2007106997A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Ricoh Co Ltd 記録用インク、並びにインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2013056965A (ja) * 2011-09-07 2013-03-28 Ricoh Co Ltd 顔料分散液、記録用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置

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