JP2001164172A - カーボンブラック顔料の水分散体 - Google Patents

カーボンブラック顔料の水分散体

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JP2001164172A
JP2001164172A JP35165599A JP35165599A JP2001164172A JP 2001164172 A JP2001164172 A JP 2001164172A JP 35165599 A JP35165599 A JP 35165599A JP 35165599 A JP35165599 A JP 35165599A JP 2001164172 A JP2001164172 A JP 2001164172A
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dispersion
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Hiroaki Arai
啓哲 新井
Masataka Kono
正孝 河野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下で長時間保存しても分散状態が安定に
保持され、例えばインクジェット用プリンターの記録液
等として好適なカーボンブラック顔料の水分散体を提供
する。 【解決手段】 酸化処理により表面が酸化改質されたカ
ーボンブラックを顔料として分散させた水分散体であっ
て、水分散体中におけるカーボンブラックのアグロメレ
ートの平均粒径Dupa50%の値が130nm以下、アグロメ
レートの最大粒径Dupa99%の値が300nm以下で、か
つ、沈殿残渣率が50%以下であることを特徴とする。
但し、Dupa50%はカーボンブラックの水分散液にレーザ
ー光を照射し、散乱光の周波数変調度合から作成したア
グロメレート粒径の累積度数分布曲線における50%累積
度数の値を、Dupa99%は同分布曲線における99%累積度
数の値を示す。また、沈殿残渣率は水分散体を2000
0Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の
沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前の水分散体中のカー
ボンブラックの重量(M0)との重量比(M1/M0) である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばインクジェ
ット用記録液、水性インク、水性塗料、ブラックマトリ
ックス用塗料等として好適に用いられる、カーボンブラ
ックを顔料とする水分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックは疎水性で水に対する
濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させるこ
とは極めて困難である。これはカーボンブラック表面に
存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボ
キシル基やヒドロキシル基などの親水性の水素含有官能
基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔
料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性黒色
インキなどに使用する場合にはカーボンブラックの表面
性状を改質して水分散性能の向上を図る必要がある。
【0003】水性黒色インキは筆記具をはじめ、特に近
年ではインクジェットプリンター用の記録液などとして
注目されており、例えば特開平3−97770号公報に
は、水性媒体、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル及び一次粒子径が20〜40nm、DBP吸油量が
40〜120ml/100g 、pHが7.0以上であるカーボ
ンブラックを含有することを特徴とするインキジェット
用記録液が提案されている。これは、分散剤としてポリ
オキシエチレンスチリルフェニルエーテルを用いること
により記録液の保存安定性の向上を図るもので、対象と
なるカーボンブラックには市販品が用いられ、カーボン
ブラックの変性については何ら意図されていない。
【0004】また、カーボンブラックを酸化処理して表
面に親水性の官能基を形成することによりカーボンブラ
ックの水中への分散性を改良することは古くから知られ
ており、例えば特開昭48−18186号公報にはカー
ボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理
し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離捕集
するにあたり有機溶剤で洗浄することを特徴とする酸化
カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57−1
59856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラ
ズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボンブ
ラックの製造方法が開示されている。
【0005】更に、特開平8−3498号公報には水と
カーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおい
て、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性
水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボ
ンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法にお
いて、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前
記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更
に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方
法が提案されており、また、特開平8−319444号
公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラック
を水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩
を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含す
る水性顔料インキの製造方法が開示されている。
【0006】上記の特開平8−3498号公報及び特開
平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化
して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有
させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定
性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしな
がら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状
態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分
子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機
能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する
官能基量を規制するのみでは分散性の良否を的確に判断
することは困難である。
【0007】そこで、本発明者らは分散性能の良否を的
確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表
面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目
して研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうち
カルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面
積当たり3μeq/m2以上である易水分散性カーボンブラ
ック、及びその製造方法を開発、提案した(特開平11−
148027号公報)。
【0008】また、カーボンブラック表面に親水性の官
能基を形成するのみでは水中へのカーボンブラックの分
散性を高め、長期に亘る分散安定性を維持するためには
限界があることから、更に研究を進めた結果、水中への
易分散性や分散安定性などの分散性能はカーボンブラッ
ク粒子の凝集形態と密接な関係があることを見出し、窒
素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が
70 ml/100g以下のカーボンブラックを酸化処理したカ
ーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモ
ード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa(nm)
との比Dupa /Dstの値が1.5〜2.0の特性を備え
る易水分散性カーボンブラック(特開平11−148026号公
報)を開発提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の易水分散性カーボンブラックの水分散液を、インクジ
ェット用記録液や水性インク等として使用する場合に
は、例えば、インクジェット記録装置のノズル等からの
吐出安定性が優れていることが必要であり、高温下に長
時間保存しても分散状態が安定で、保存安定性に優れて
いることが重要となる。
【0010】そこで、本発明者らはカーボンブラック顔
料の水への分散性能、特に分散安定性の向上を図るため
に水分散体におけるカーボンブラックの沈降性について
鋭意研究を行い、水分散体中のカーボンブラック顔料に
外力を作用させて強制沈降させた際の沈殿量を評価基準
とすることにより、的確に分散安定性を評価し、その値
を規制することにより、優れた分散安定性を有するカー
ボンブラック顔料の水分散体が得られることを見出し
た。
【0011】すなわち、本発明は上記の知見に基づいて
開発されたものであって、その目的は、高温下で長時間
保存しても分散状態が安定に保持され、例えばインクジ
ェット用プリンターの記録液として使用した場合に、紙
定着濃度、印字品位、耐光性等に優れるとともにインク
ジェット記録装置のノズルからの吐出安定性が高く、分
散性能に優れたカーボンブラック顔料の水分散体を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係るカーボンブラック顔料の水分散体は、酸
化処理により表面が酸化改質されたカーボンブラックを
顔料として分散させた水分散体であって、水分散体中に
おけるカーボンブラックのアグロメレートの平均粒径D
upa50%の値が130nm以下、アグロメレートの最大粒径
Dupa99%の値が300nm以下で、かつ、沈殿残渣率が5
0%以下であることを構成上の特徴とする。但し、平均
粒径Dupa50%はカーボンブラックの水分散液にレーザー
光を照射して、散乱光の周波数変調度合から作成したア
グロメレート粒径の累積度数分布曲線における50%累
積度数の値を、最大粒径Dupa99%は同分布曲線における
99%累積度数の値を示す。また、沈殿残渣率は水分散
体を20000Gの重力加速度で30分間遠心分離処理
を行った後の沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前の水分
散体中のカーボンブラックの重量(M0)との重量比(M1/
M0) である。
【0013】
【発明の実施の形態】カーボンブラックの表面を改質す
る酸化処理は、カーボンブラック粒子の表面に、水分子
との親和性が高いカルボキシル基(−COOH)及びヒ
ドロキシル基(−OH)等の活性水素を含む官能基を形
成させるために行うものであり、好ましくは、カルボキ
シル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)の
カーボンブラック粒子表面に存在する総和量を3μeq/
m2以上の値に設定する。
【0014】酸化剤には、酸素、オゾンによる乾式酸
化、あるいはハロゲン酸、過硫酸、過硼酸、過炭酸、及
びその塩類などの水溶液による湿式酸化など、通常用い
られる酸化剤が使用され、塩としてはアンモニウム塩や
アルカリ金属塩が好ましい。酸化処理は、例えば適宜濃
度の酸化剤水溶液中にカーボンブラックを入れ、攪拌し
ながら温度、時間などを調整することにより行われる。
【0015】本発明のカーボンブラック顔料の水分散体
は、これらの酸化処理により表面に親水性の官能基が形
成されたカーボンブラックを水に分散させ、水性媒体中
におけるカーボンブラック粒子の分散状態が、アグロメ
レートの平均粒径Dupa50%の値が130nm以下、アグロ
メレートの最大粒径Dupa99%の値が300nm以下、の凝
集性状を示すことが必要である。
【0016】カーボンブラックを水中に分散させる場
合、水中への分散が容易で、その分散状態を安定に維持
するためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集
形態で水中に分散し、かつ再凝集して大きな凝集形態を
形成し難いことが必要である。すなわち、カーボンブラ
ックの凝集形態は、数個から数十個のカーボンブラック
の基本微粒子が不規則で複雑な鎖状に融着結合して凝集
体(アグリゲート)を形成し、更にこれらのアグリゲー
トが相互に絡み合ったり、付着して再凝集した集合体
(アグロメレート)から構成されている。
【0017】したがって、水中に分散したカーボンブラ
ックの凝集形態としては、カーボンブラックの最小凝集
単位であるアグリゲートの状態で水中に分散し、アグリ
ゲートが再凝集した集合体であるアグロメレートがより
少ない分散状態が、分散安定性などの分散性能を向上さ
せるために有効であり、アグロメレートが存在しない分
散状態が理想的なものとなる。しかしながら、複雑な三
次元形態を示すアグリゲートは絡み合って再凝集し易
く、アグロメレートの存在しない分散状態を得ることは
不可能に近い。
【0018】一方、カーボンブラックを黒色顔料として
水性媒体中に分散させ、水性黒色インキなどとして用い
た場合には分散性能に優れているのみでは充分でない。
例えば、分散性能が高い場合にはインキの保存安定性、
吐出安定性、粘性、濾過性などの点で有利となるが、印
字した際の紙定着濃度が低くなるために黒色度が低下す
る難点がある。
【0019】そこで、本発明ではカーボンブラック粒子
の凝集形態として、水中におけるアグロメレートの平均
粒径Dupa50%の値を130nm以下、アグロメレートの最
大粒径Dupa99%の値を300nm以下、と設定するもので
ある。アグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が130
nmを越えると水中において再凝集し易く、分散安定性が
低下する。また、アグロメレートの最大粒径Dupa99%の
値が300nmを上回ると水中において大きな凝集体を形
成し易く、沈殿してくるためである。
【0020】このアグロメレートの平均粒径Dupa50%(n
m)及び最大粒径Dupa99%(nm)は、下記の測定方法によっ
て得られた値が用いられる。カーボンブラックを水に分
散して0.1〜0.5g/l の分散液を調製し、ヘテロダ
インレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロ
トラック社製、UPAmodel 9340) を用いて分散液にレー
ザー光を照射して、散乱光の周波数変調の度合いから分
散液中のアグロメレートの粒径を測定する。分散液中の
カーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー
効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大
きさにより散乱光の周波数が変調する。したがって、凝
集体の大きさによるブラウン運動の激しさが異なること
から、水中に分散している状態における凝集体の大き
さ、すなわちアグロメレートの粒径を測定することがで
きる。このようにして測定したアグロメレート粒径から
その累積度数分布曲線を作成し、50%累積度数の値を
アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度
数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とす
る。
【0021】本発明のカーボンブラック顔料の水分散体
は、水分散体中のカーボンブラック粒子の凝集形態とし
て、アグロメレートの平均粒径Dupa50%を130nm以
下、アグロメレートの最大粒径Dupa99%を300nm以
下、と設定するとともに、沈殿残渣率を50%以下に設
定することを特徴とする。
【0022】沈殿残渣率とは、カーボンブラックの水分
散体に外力を作用させた際に、外力によりカーボンブラ
ックが沈降して行き、最終的に沈殿する状況を示すもの
であって、本発明において水分散体におけるカーボンブ
ラック顔料の分散安定性を示すパラメータとして定義し
たものである。
【0023】すなわち、沈殿残渣率は、カーボンブラッ
ク顔料の水分散体を、20000Gの重力加速度で30
分間遠心分離処理を行った後の沈殿残渣量(M1)と、遠心
分離処理前の水分散体中のカーボンブラックの重量(M0)
との重量比(M1/M0) として測定される。
【0024】この沈殿残渣率の値が50%を越える場合
には、水分散体中のカーボンブラック顔料の凝集、沈降
が著しくなって、安定な分散状態を長時間に亘って維持
することができなくなる。
【0025】本発明のカーボンブラック顔料の水分散体
は、下記の方法により作製される。例えば、適宜濃度の
ハロゲン酸塩や過硫酸塩などの酸化剤水溶液中に所定量
のカーボンブラックを添加し、攪拌しながら温度、時間
などを制御して酸化処理を行う。酸化処理を終了した反
応液は、分離膜(逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズR.O膜
等)あるいは電気透析により残塩を分離精製する。
【0026】残塩を分離精製したカーボンブラックが分
散している反応液に15000G以上の遠心力を付加し
て、カーボンブラック粒子の大きな凝集体や酸化処理に
よる表面官能基の生成が不充分なカーボンブラックを沈
殿、除去したのち、pHを7〜11に調整する。次い
で、分離膜(逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズR.O 膜等)
で残塩を分離精製する。この際、残塩濃度はカーボンブ
ラック含有濃度を20%として導電度が3mS/cm 以下に
精製することが好ましい。
【0027】このようにして、カーボンブラック顔料の
水分散体が調製されるが、この場合に水分散体中のカー
ボンブラックの分散濃度は60wt%以下であることが好
ましい。60wt%を越えると水分散体の粘度が上昇し、
表面張力の低下が起こるためである。なお、分散濃度は
15〜30wt%の範囲にあることがより好ましい。ま
た、表面張力は60dyn/cm以上であることが好ましく、
表面張力が60dyn/cm未満ではインクジェット用インク
とした場合、ノズル先端の濡れなどにより印字汚れ等の
好ましくない現象が起こるためである。
【0028】更に、水分散体のpHは6〜9の範囲にあ
ることが好ましい。pHが6未満では分散状態が悪化
し、pHが9を越えると印字した時の耐水性が低下する
傾向にある。また、水分散体中の比重は、カーボンブラ
ックの分散濃度が20wt%時の比重が1.3g/cm3 以下
であることが好ましい。比重が1.3g/cm3 を越えると
チキソトロピー化を起こす可能性があるためである。水
分散体の粘度は分散濃度が20wt%の時で4.5cP以下
であることが好ましく、粘度が4.5cPを越えると表面
張力の低下、ノズルからの吐出安定性が悪化することと
なる。
【0029】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
具体的に説明する。
【0030】実施例1 窒素吸着比表面積(N2SA)108m2/g、DBP吸油量80
ml/100g のカーボンブラック〔東海カーボン(株)製、
#7450F〕150g を、濃度1.5Nの過硫酸アンモニウ
ム水溶液3000ml中に添加して、反応温度60℃、反
応時間10時間、攪拌速度300rpm の条件で酸化処理
した。次いで、限外濾過膜〔旭化成(株)製、AHP-101
0、分画分子量 50000〕により濾別し、連続遠心分離器
により遠心力15000G、流量200ml/minの条件で
処理して、酸化処理による表面変性の不充分なカーボン
ブラックや大きな凝集体のカーボンブラックを除去し
た。次に、カーボンブラックが分散した酸化反応液を水
酸化ナトリウム溶液で中和したのち、限外濾過膜〔旭化
成(株)製、AHP-1010、分画分子量 50000〕により残塩
を分離精製して、カーボンブラック分散濃度が20wt%
の水分散体を作製した。
【0031】比較例1 実施例1と同一のカーボンブラックを用い、分散剤とし
てβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩
〔第一工業製薬社製、ラベリン FHL〕を用い、カーボン
ブラック/分散剤=10/1の重量比で混ぜ、ミキサー
で2時間攪拌混合し、更にサンドミルを用いて八時間混
練して分散させた。次に、No.2濾紙〔東洋濾紙社製〕で
2kg/cm2の圧力で加圧濾過したのち、0.8μm のアセ
チルセルロース製メンブランフィルター〔フジフィルム
社製〕を用いて、1kg/cm2の圧力で加圧濾過し、更に、
グリセリン及びイオン交換水を加えて、カーボンブラッ
ク20wt%、分散剤2wt%、グリセリン4wt%、イオン
交換水74wt%の組成からなるカーボンブラック水分散
体を作製した。
【0032】比較例2 スチレン−マレイン酸ランダム共重合体〔 ARCO Chem.C
o.製、商品名 SMAレジン1440、酸価 175、重量平均分子
量2500〕2重量部、2-エタノールアミン1重量部、イオ
ン交換水71重量部、ジエチレングリコール5重量部の
割合で混合し、ウオーターバスで50℃に加温し、樹脂
分を完全に溶解させた。この溶液に実施例1と同一のカ
ーボンブラック20重量部、イソプロピルアルコール1
重量部を加え、30分間プレミキシングを行った。次い
で、分散機にサンドグラインダー〔五十嵐機械社製〕を
用い、粉砕メディア;ジルコニウムビーズ1mmφ、粉砕
メディアの充填率;50 vol%、粉砕時間;3時間、の
条件で分散処理し、更に、遠心分離処理(10000rpm、20
分間、12300G)して大粒子を除去して水分散体を作製し
た。
【0033】このようにして作製したカーボンブラック
顔料の水分散体について、下記の方法により分散性能を
評価した。得られた結果を表1に示した。
【0034】加温安定性;サンプルを密閉容器(容量
100ml)に入れ、70℃の保温器中にて1週間から4週
間に亘る粘度変化を測定して、加温時の粘度変化から分
散安定性を比較した。なお、粘度は回転振動式粘度計
〔山一電機(株)製、VM-100A-L 〕により測定した。
【0035】粒子径測定;サンプル及び加温安定性の
試験を行ったサンプルの粒子径についてヘテロダインレ
ーザドップラー方式粒度分布測定装置〔マイクロトラッ
ク社製、UPA model9340〕を用いて測定した。この測定
装置は、懸濁液中においてブラウン運動している粒子に
レ−ザ光を当てると、ドップラー効果により散乱光の周
波数が変調する。その周波数の変調度合いからブラウン
運動の激しさ、すなわち粒子径を測定するものである。
【0036】印字濃度;水分散体のカーボンブラック
濃度を3wt%に希釈し、コピー紙としてXEROX 4024紙を
使用し、これに#6バーコータにより印字して、マクベス
濃度計〔コルモーゲン社製 RD-927 〕を用いて光学濃度
を測定した。
【0037】濾過性;水分散体200g を用い、90
φの濾紙(NO.2)および膜孔径3.0 、0.8 、0.65、0.45
μm のメンブレンを用いて、20Torrの減圧下で濾過試
験を行い、濾過通過量を測定した。
【0038】沈殿残渣率;水分散体を20000Gの
重力加速度で30分間遠心分離処理を行い、分離処理後
の沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラッ
クの重量(M0)との重量比(M1/M0) を測定した。この値が
小さいほどカーボンブラックの分散安定性は向上する。
【0039】その他の物理化学的特性として、分散液
のpHはJISZ8802、表面張力は表面張力測定器
〔島津製作所社製、DN〕、電気伝導度は電気伝導度測定
装置〔東亜電波社製、CM-40V〕により各測定した。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上のとおり、本発明のカーボンブラッ
ク顔料の水分散体は、長期間や高温下で保存した場合に
も安定性が良好であり、耐水性の悪化や粘度の上昇を引
き起こさない。なかでも、インクジェット記録用あるい
は筆記具用の記録液として使用した場合には、普通紙に
記録した場合も記録物の耐水性が良好で、高濃度であ
り、印字品位もよく、且つ耐光性等、耐水性以外の堅牢
性も良好であるとともに、記録液として長時間保存した
場合の安定性が良好であり、インクジェット記録用ノズ
ル等からの吐出安定性も良好である。本発明は、上記の
特性を有するのでインクジェット用及び筆記具用の記録
液としての用途に止まらず、他の用途の記録液あるいは
黒色隠蔽液として使用することもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/20 101 B41J 3/04 101Y Fターム(参考) 2C056 EA04 EA13 2H048 BA02 BA57 BA64 BB01 BB02 BB14 BB42 2H086 BA01 BA33 BA35 BA45 BA49 BA53 BA55 BA59 BA60 4J037 AA02 CA05 CA15 CA16 CA20 DD05 DD20 EE19 EE28 EE43 FF05 FF15 4J039 BA04 CA06 EA19 EA41 EA44 GA24

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化処理により表面が酸化改質されたカ
    ーボンブラックを顔料として分散させた水分散体であっ
    て、水分散体中におけるカーボンブラックのアグロメレ
    ートの平均粒径Dupa50%の値が130nm以下、アグロメ
    レートの最大粒径Dupa99%の値が300nm以下で、か
    つ、沈殿残渣率が50%以下であることを特徴とするカ
    ーボンブラック顔料の水分散体。但し、平均粒径Dupa5
    0%はカーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し
    て、散乱光の周波数変調度合から作成したアグロメレー
    ト粒径の累積度数分布曲線における50%累積度数の値
    を、最大粒径Dupa99%は同分布曲線における99%累積
    度数の値を示す。また、沈殿残渣率は水分散体を200
    00Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後
    の沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前の水分散体中のカ
    ーボンブラックの重量(M0)との重量比(M1/M0) である。
JP35165599A 1999-12-10 1999-12-10 カーボンブラック顔料の水分散体 Pending JP2001164172A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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