JP2003176315A - 高分子乳化剤、その製造法及びそれを用いる乳化重合法 - Google Patents
高分子乳化剤、その製造法及びそれを用いる乳化重合法Info
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Abstract
を用いる乳化重合法を提供すること。 【解決手段】スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル
酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれらの三
元共重合体を合成し、次いで該三元共重合体のメチルエ
ステル基をアルカリ加水分解して、スチレン−アクリル
酸二元共重合体に変換してなる高分子乳化剤、その製造
法及びそれを用いる乳化重合法。
Description
剤、その製造法及びそれを用いる乳化重合法に関する。
エマルションは、塗料、接着剤等の樹脂成分として、塗
膜形態にて幅広く用いられている。
合時に使用した低分子乳化剤が塗膜中に残留することに
起因して、塗膜の耐水性、接着性等の物性が低下すると
いう問題があった。
溶剤中でカルボキシル基含有モノマー等を重合して得ら
れた高分子物質のアルカリ水溶液を、高分子乳化剤とし
て用いて、ラジカル重合性不飽和モノマーを乳化重合し
て水性樹脂エマルションを得る方法が開示されている
(特開平7−316470号公報、特開平8−3895
号公報及び特開平8−176486号公報)。
る高分子乳化剤が、カルボキシル基含有モノマー等を有
機溶剤中で溶液重合後、生成した高分子物質を分離しア
ルカリ水溶液に溶解して得られるものであることから、
重合時に有機溶剤を大量に使用するため、有機溶剤の回
収、処理が煩雑であること、有機溶剤により環境問題を
引き起こすこと、資源節約の観点からも好ましくないこ
と等の問題がある。
剤等が、要望されているのが、現状である。
従来技術の諸問題が解消された、新規な高分子乳化剤、
その製造法及び該乳化剤を用いる乳化重合法を提供する
ことにある。
た結果、特定の三種のモノマーを、有機溶剤及び乳化剤
を使用することなく、乳化重合して得られる三元共重合
体をアルカリ加水分解してなる高分子乳化剤により、上
記課題を全て達成できることを見出し、これに基づき本
発明を完成するに至った。
の製造法及び乳化重合法に係るものである。
リル酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれら
の三元共重合体を合成し、次いで該三元共重合体のメチ
ルエステル基をアルカリ加水分解して、スチレン−アク
リル酸二元共重合体に変換してなる高分子乳化剤。
リル酸のモノマー比率が、これらのモノマーの合計モル
量に対して、スチレンが5〜20モル%、アクリル酸メ
チルが94〜65モル%及びアクリル酸が1〜15モル
%である上記項1に記載の高分子乳化剤。
リル酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれら
の三元共重合体を合成し、次いで該三元共重合体のメチ
ルエステル基を、アルカリ加水分解して、スチレン−ア
クリル酸二元共重合体に変換することを特徴とする高分
子乳化剤の製造法。
リル酸のモノマー比率が、これらのモノマーの合計モル
量に対して、スチレンが5〜20モル%、アクリル酸メ
チルが94〜65モル%及びアクリル酸が1〜15モル
%である上記項3に記載の高分子乳化剤の製造法。
下に、ラジカル重合性不飽和モノマーを乳化重合して、
樹脂エマルションを得ることを特徴とする乳化重合法。
リル酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれら
の三元共重合体を合成し、該三元共重合体のメチルエス
テル基をアルカリ加水分解して、スチレン−アクリル酸
二元共重合体に変換して得られた高分子乳化剤を分離す
ることなく用い、その存在下で、ラジカル重合性不飽和
モノマーを乳化重合する上記項5に記載の乳化重合法。
チレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リルアミド系モノマー、シリル基含有(メタ)アクリレ
ート、ニトリル基含有モノマー、ビニル系モノマー、オ
レフィン系モノマー、ポリアルキレングリコールモノ
(メタ)アクリレート及びカルボキシル基含有モノマー
からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマーであ
る上記項5又は6に記載の乳化重合法。
ン、アクリル酸メチル及びアクリル酸の三種のモノマー
を、乳化剤の不存在下に、有機溶剤を実質的に使用する
ことなく、水中で、乳化共重合してこれらの三元共重合
体を合成し、次いで該三元共重合体中のアクリル酸メチ
ルに由来するメチルエステル基を、アルカリ加水分解し
て、スチレン−アクリル酸二元共重合体に変換すること
により、製造されるものである。
リル酸のモノマー比率は、これらのモノマーの合計モル
量に対して、スチレンが5〜20モル%、アクリル酸メ
チルが94〜65モル%及びアクリル酸が1〜15モル
%であるのが好ましい。疎水性モノマーであるスチレン
が上記範囲よりも多くなると、無乳化剤乳化重合の完結
に長時間を要すると共に、得られる高分子乳化剤の乳化
性能が低下する傾向にあり、一方この範囲より少なくな
っても得られる高分子乳化剤の乳化性能が低下する傾向
にある。水溶性モノマーであるアクリル酸が上記範囲よ
り多くなると凝集粒子が発生し、乳化重合が進み難くな
る傾向にあり、一方この範囲より少ないとアクリル酸メ
チルに由来するメチルエステル基のアルカリ加水分解の
完結に長時間を要する傾向にある。また、親水性モノマ
ーであるアクリル酸メチルは、上記範囲内に調整するこ
とにより、スチレン及びアクリル酸と共に、三元乳化共
重合をすることを容易にする作用を有すると共に、重合
後のアルカリ加水分解を受けてアクリル酸成分に変わ
り、重合体を水中に溶解乃至分散させて、乳化剤として
の機能を発現させる役割を有する。
酸のモノマー比率は、より好ましくは、これらのモノマ
ーの合計モル量に対して、スチレンが10〜15モル
%、アクリル酸メチルが89〜75モル%及びアクリル
酸が1〜10モル%である。
リル酸である三種のモノマーを、無乳化剤乳化共重合す
る際には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応
じて、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸、α−メチルスチレ
ン等のその他のモノマーを、適宜、代用又は併用するこ
とも可能である。
ジカル重合開始剤、還元剤、緩衝剤等を使用することが
できる。該重合開始剤としては、例えば、開始剤切片と
して硫酸基を重合体末端に導入できる、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩類;アニオン性のカルボキシル基を重合体末端に導入
できる、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸
塩;カチオン性のアミジニウム基を重合体末端に導入で
きる、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸
塩等のアゾ化合物類を使用できる。4,4’−アゾビス
−4−シアノバレリン酸塩の塩としては、ナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができ
る。還元剤としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、硫
酸第一鉄等を使用できる。また、緩衝剤としては、例え
ば、炭酸水素ナトリウム、硼酸ナトリウム等を使用でき
る。
カル重合性不飽和モノマーを乳化重合して得られる樹脂
エマルションの塗膜の物性低下を、防止するため、乳化
剤は使用しない。
ー濃度は、特に限定されず、適宜決定される。通常は、
1〜30重量%程度とするのが適当である。
ン、アクリル酸メチル及びアクリル酸の三元ランダム共
重合体の水分散液を得る。該共重合体である分散粒子の
粒径は、流体力学的径(hydrodynamic diameter)で、
通常、50〜1,000nm程度である。
られた、スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル酸の
三元共重合体をアルカリ加水分解する。これにより、ア
クリル酸メチルに由来するメチルエステル基が、加水分
解されてカルボキシル基に変換される。即ち、上記三元
共重合体が、スチレン−アクリル酸二元共重合体に変換
することになる。この二元共重合体が、本発明の高分子
乳化剤の有効成分である。この際、アクリル酸成分は、
アルカリ添加により直ちに中和されて粒子のアルカリ膨
潤を生じさせることに働き、結果として迅速な加水分解
反応の進行に寄与する。
化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、
有機アミン等を挙げることができる。アルカリ金属水酸
化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等が挙げられる。また、有機アミンとしては、例えば
ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン
等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、エチルエ
タノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールア
ミン等が挙げられる。これらのアルカリ化合物の一種又
は二種以上を使用する。
して用いたアクリル酸メチル1モル当たり、0.5〜1
0モル量程度とするのが適当である。
元共重合体の水分散液又は水溶液として、本発明の高分
子乳化剤を得る。但し、当該乳化剤中に、スチレン−ア
クリル酸メチル−アクリル酸三元共重合体の一部が、ア
ルカリ加水分解されずに残存していても何ら差し支えな
い。
発明高分子乳化剤における上記二元共重合体の濃度は、
通常、1〜30重量%程度である。当該乳化剤は、通
常、上記二元共重合体中のアクリル酸に基づくカルボキ
シル基が、用いたアルカリ化合物との塩を形成した状態
で、水中で、イオン化しているものである。
することなく、そのまま水分散液又は水溶液の状態で、
好適に使用できる。この際、必要に応じて、適宜、所望
の濃度に希釈又は濃縮して用いることもできる。希釈
は、通常、水希釈により行われる。更に、必要に応じ
て、水を分離して固体状にして使用することもできる。
いて、ラジカル重合性不飽和モノマーを乳化重合するこ
とにより、樹脂エマルションを好適に得ることができ
る。
液から分離することなく、そのまま又は適宜希釈若しく
は濃縮して、ラジカル重合性不飽和モノマーの乳化重合
に、好適に使用することができる。
クリル酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれ
らの三元共重合体を合成し、該三元共重合体のメチルエ
ステル基をアルカリ加水分解して、スチレン−アクリル
酸二元共重合体に変換して得られた本発明の高分子乳化
剤を分離することなく用い、その存在下で、ラジカル重
合性不飽和モノマーを乳化重合することにより、樹脂エ
マルションを、より好適に得ることができる。
ジカル重合性不飽和モノマーとしては、特に限定され
ず、広い範囲から適宜使用できる。
は、例えば、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミド、シリル基含有(メタ)ア
クリレート、ニトリル基含有モノマー、ビニル系モノマ
ー、オレフィン系モノマー、ポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマ
ー等を挙げることができる。これらのモノマーは、いず
れか一種を単独で用いてもよいし、いずれか二種以上を
任意の組み合わせ及び割合で、混合して用いてもよい。
は、例えば、スチレン及びα−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン等のス
チレン誘導体を挙げることができる。
しては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
ベへニル(メタ)アクリレート等を挙げることができ
る。
の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙
げることができる。
例としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メ
タ)アクリルアミド等を挙げることができる。
例としては、例えば、アクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン等を挙げることができる。
は、例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニ
リデン、α−シアノエチル(メタ)アクリレート等を挙
げることができる。
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステ
ル系モノマー、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリ
デン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系モノマ
ー、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等を挙げること
ができる。
例えば、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等を挙
げることができる。
クリレートの具体例としては、例えば、ポリエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレング
リコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることがで
きる。
ては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタ
コン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸のハ
ーフアルキルエステル、マレイン酸のハーフアルキルエ
ステル等を挙げることができる。
飽和モノマーを乳化重合させる際には、ラジカル重合開
始剤、還元剤、緩衝剤等を使用することができる。該重
合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナ
トリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;4,
4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸塩、2,2’−
アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩等のアゾ化合物
類;過酸化水素、tert-ブチルハイドロペルオキシド、
クメンハイドロペルオキシド等の過酸化物類等を使用で
きる。還元剤としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、
硫酸第一鉄等を使用できる。また、緩衝剤としては、例
えば、炭酸水素ナトリウム、硼酸ナトリウム等を使用で
きる。
水性部分とを併有する高分子物質であることから、ラジ
カル重合性不飽和モノマーを乳化重合する場合の重合の
場として機能するため、重合速度を向上させることがで
き、又生成した樹脂エマルションの分散安定性に優れ
る。
体的に説明する。
に、脱イオン水190g、スチレン1.2g、アクリル
酸メチル8.4g、アクリル酸0.4g及び過硫酸カリ
ウム0.05gを入れ、窒素雰囲気下、半円型攪拌棒に
よる120rpmの撹拌下に、70℃で24時間、乳化
共重合反応を行って、これらのモノマーの三元共重合体
の5重量%水分散液を得た。ここで、スチレン、アクリ
ル酸メチル及びアクリル酸のモノマー比率は、これらの
モノマーの合計モル量に対して、スチレンが10モル
%、アクリル酸メチルが85モル%及びアクリル酸が5
モル%であった。上記水分散液は乳白色であった。ま
た、上記三元共重合体が生成していることを、1H−N
MRスペクトルにより、確認した。また、この水分散液
中の上記共重合体粒子の流体力学的径を、動的光散乱装
置(以下「DLS」と略す)により測定したところ、2
50nmであった。
化カリウム水溶液70gを入れ、撹拌下に、80℃で1
2時間、アルカリ加水分解反応を行って、スチレン−ア
クリル酸二元共重合体のカリウム塩水溶液である高分子
乳化剤を得た。この加水分解反応において、三元共重合
体を構成するアクリル酸メチルと水酸化カリウムとのモ
ル比は、アクリル酸メチル1モル当たり水酸化カリウム
5モルであった。上記水溶液は透明であった。また、こ
の二元共重合体が生成していることを、1H−NMRス
ペクトルにより、確認した。更に、この二元共重合体の
多くが水中において会合体を形成しており、水難溶性の
疎水性モノマーのいわゆる可溶化能を有することが、ピ
レンのUVスペクトルにより、確認された。
して、スチレンの乳化重合を行った。即ち、別の300
mlの四ツ口セパラブルガラス製重合フラスコに、スチ
レン5.3g、過硫酸カリウム13mg、該高分子乳化
剤2.7mg(濃度0.025g/l)及び水100g
の配合割合の混合液(当初pH9.8)を、窒素雰囲気
下、半円型攪拌棒による120rpmの撹拌下に、70
℃で6時間、乳化重合反応を行って、ポリスチレンを得
た。6時間後の重合率は、約90%であり、高かった。
これに対して、該高分子乳化剤を使用しない場合は、6
時間後の重合率は約45%であり、低かった。
に、脱イオン水190g、スチレン1.8g、アクリル
酸メチル7.9g、アクリル酸0.4g及び過硫酸カリ
ウム0.05gを入れ、窒素雰囲気下、半円型攪拌棒に
よる120rpmの撹拌下に、70℃で24時間、乳化
共重合反応を行って、これらのモノマーの三元共重合体
の5重量%水分散液を得た。ここで、スチレン、アクリ
ル酸メチル及びアクリル酸のモノマー比率は、これらの
モノマーの合計モル量に対して、スチレンが15モル
%、アクリル酸メチルが80モル%及びアクリル酸が5
モル%であった。上記水分散液は乳白色であった。ま
た、上記三元共重合体が生成していることを、1H−N
MRスペクトルにより、確認した。また、この水分散液
中の上記共重合体粒子の流体力学的径を、DLSにより
測定したところ、270nmであった。
化カリウム水溶液65gを入れ、撹拌下に、80℃で1
2時間、アルカリ加水分解反応を行って、スチレン−ア
クリル酸二元共重合体のカリウム塩水溶液である高分子
乳化剤を得た。この加水分解反応において、三元共重合
体を構成するアクリル酸メチルと水酸化カリウムとのモ
ル比は、アクリル酸メチル1モル当たり水酸化カリウム
5モルであった。上記水溶液は青みがかった透明液であ
った。また、この二元共重合体が生成していることを、
1H−NMRスペクトルにより、確認した。
度に調整して、スチレンの乳化重合を行った。即ち、別
の300mlの四ツ口セパラブルガラス製重合フラスコ
に、スチレン5.3g、過硫酸カリウム13mg、該高
分子乳化剤の濃度が0.025g/l、0.05g/l
又は0.5g/lとなる量の乳化剤及び水100gの配
合割合の混合液を、窒素雰囲気下、半円型攪拌棒による
120rpmの撹拌下に、70℃で6時間、乳化重合反
応を行って、ポリスチレンを得た。
経時変化を示すグラフである。図1の縦軸は重合率
(%)を、横軸は重合時間(hr)を、それぞれ示す。
図1において、○はコントロール(乳化剤なし)を、●
は乳化剤濃度0.5g/lを、▲は乳化剤濃度0.05
g/lを、■は乳化剤濃度0.025g/lを、それぞ
れ示す。図1の結果より、本発明の高分子乳化剤を用い
ることにより、重合速度が増大し、重合率も高くなるこ
とが明らかである。
に、脱イオン水190g、スチレン2.3g、アクリル
酸メチル7.3g、アクリル酸0.4g及び過硫酸カリ
ウム0.05gを入れ、窒素雰囲気下、半円型攪拌棒に
よる120rpmの撹拌下に、70℃で24時間、乳化
共重合反応を行って、これらのモノマーの三元共重合体
の5重量%水分散液を得た。ここで、スチレン、アクリ
ル酸メチル及びアクリル酸のモノマー比率は、これらの
モノマーの合計モル量に対して、スチレンが20モル
%、アクリル酸メチルが75モル%及びアクリル酸が5
モル%であった。上記水分散液は乳白色であった。ま
た、上記三元共重合体が生成していることを、1H−N
MRスペクトルにより、確認した。また、この水分散液
中の上記共重合体粒子の流体力学的径を、DLSにより
測定したところ、230nmであった。
化カリウム水溶液60gを入れ、撹拌下に、80℃で1
2時間、アルカリ加水分解反応を行って、スチレン−ア
クリル酸二元共重合体のカリウム塩水分散液である高分
子乳化剤を得た。この加水分解反応において、三元共重
合体を構成するアクリル酸メチルと水酸化カリウムとの
モル比は、アクリル酸メチル1モル当たり水酸化カリウ
ム5モルであった。上記乳化剤は乳白色の分散液であっ
た。また、この二元共重合体が生成していることを、1
H−NMRスペクトルにより、確認した。
て用いてスチレンの乳化重合を行った。即ち、別の30
0mlの四ツ口セパラブルガラス製重合フラスコに、ス
チレン5.3g、過硫酸カリウム13mg、該高分子乳
化剤2.7mg及び水100gの配合割合の混合液を、
窒素雰囲気下、いかり型攪拌棒の120rpmの撹拌下
に、70℃で6時間、乳化重合反応を行って、ポリスチ
レンを得た。6時間後の重合率は、約90%であり、高
かった。これに対して、該高分子乳化剤を使用しない場
合は、6時間後の重合率は約50%であり、低かった。
果が奏される。
化重合により、製造されるため、有機溶剤の使用に基づ
く煩雑な工程が不要であり、又環境問題、資源問題等を
生じない。また、水分散液又は水溶液の状態で得ること
ができるため、そのまま又は適宜希釈若しくは濃縮し
て、ラジカル重合性不飽和モノマーの乳化重合に好適に
使用できる。
ル重合性不飽和モノマーを乳化重合する場合には、重合
速度が増大し、重合率も高くなる。
重合性不飽和モノマーを乳化重合して得られる樹脂エマ
ルションは、低分子乳化剤を含んでいないため、その塗
膜の耐水性、接着性等の物性が優れている。
重合性不飽和モノマーを乳化重合して得られる樹脂エマ
ルションは、高い分散安定性を有している。従って、該
樹脂エマルションの樹脂濃度を高くすること、即ちハイ
ソリッド化することが容易にできる。また、ハイソリッ
ド化が必要でない場合には、該乳化剤の使用量を少なく
することができる。
を用いて、スチレンを乳化重合した場合における、重合
率の経時変化を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル
酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれらの三
元共重合体を合成し、次いで該三元共重合体のメチルエ
ステル基をアルカリ加水分解して、スチレン−アクリル
酸二元共重合体に変換してなる高分子乳化剤。 - 【請求項2】スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル
酸のモノマー比率が、これらのモノマーの合計モル量に
対して、スチレンが5〜20モル%、アクリル酸メチル
が94〜65モル%及びアクリル酸が1〜15モル%で
ある請求項1に記載の高分子乳化剤。 - 【請求項3】スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル
酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれらの三
元共重合体を合成し、次いで該三元共重合体のメチルエ
ステル基を、アルカリ加水分解して、スチレン−アクリ
ル酸二元共重合体に変換することを特徴とする高分子乳
化剤の製造法。 - 【請求項4】スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル
酸のモノマー比率が、これらのモノマーの合計モル量に
対して、スチレンが5〜20モル%、アクリル酸メチル
が94〜65モル%及びアクリル酸が1〜15モル%で
ある請求項3に記載の高分子乳化剤の製造法。 - 【請求項5】請求項1に記載の高分子乳化剤の存在下
に、ラジカル重合性不飽和モノマーを乳化重合して、樹
脂エマルションを得ることを特徴とする乳化重合法。 - 【請求項6】スチレン、アクリル酸メチル及びアクリル
酸を、乳化剤の不存在下に、乳化共重合してこれらの三
元共重合体を合成し、該三元共重合体のメチルエステル
基をアルカリ加水分解して、スチレン−アクリル酸二元
共重合体に変換して得られた高分子乳化剤を分離するこ
となく用い、その存在下で、ラジカル重合性不飽和モノ
マーを乳化重合する請求項5に記載の乳化重合法。 - 【請求項7】ラジカル重合性不飽和モノマーが、スチレ
ン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド系モノマー、シリル基含有(メタ)アクリレー
ト、ニトリル基含有モノマー、ビニル系モノマー、オレ
フィン系モノマー、ポリアルキレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート及びカルボキシル基含有モノマーから
なる群から選ばれる少なくとも一種のモノマーである請
求項5又は6に記載の乳化重合法。
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---|---|---|---|
JP2001377446A JP3747249B2 (ja) | 2001-12-11 | 2001-12-11 | 高分子乳化剤、その製造法及びそれを用いる乳化重合法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2001377446A JP3747249B2 (ja) | 2001-12-11 | 2001-12-11 | 高分子乳化剤、その製造法及びそれを用いる乳化重合法 |
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