JP2003171875A - セリシン・フィブロイン付着セルロース物品とその製造方法 - Google Patents

セリシン・フィブロイン付着セルロース物品とその製造方法

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JP2003171875A
JP2003171875A JP2001370846A JP2001370846A JP2003171875A JP 2003171875 A JP2003171875 A JP 2003171875A JP 2001370846 A JP2001370846 A JP 2001370846A JP 2001370846 A JP2001370846 A JP 2001370846A JP 2003171875 A JP2003171875 A JP 2003171875A
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fibroin
silk
cellulose
adhered
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JP2001370846A
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Yutaka Maruyama
裕 丸山
Yoichi Ueishi
洋一 上石
Masanori Ota
正徳 太田
Hiroshi Saito
宏 齋藤
Hiroko Matsushita
浩子 松下
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MITSUMI TENII KK
Gunma Prefecture
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MITSUMI TENII KK
Gunma Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】農家毛羽や工場毛羽等の副産物から得られるセ
リシンやフィブロインを、簡便な手段によって、汎用物
品の機能高度化のために利用することのできる方策を提
供する。 【解決手段】セルロースを主成分とする物品を養蚕業あ
るいは製糸工場での副産物である絹セリシンまたは絹フ
ィブロインもしくはその両者の水溶液で接触処理してセ
ルロースを主成分とする物品の表面に絹セリシンまたは
絹フィブロインもしくはその両者を付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セリシン・フィブ
ロイン付着セルロース物品とその製造方法に関するもの
である。さらに詳しくは、本発明は、従来より繊維製品
として汎用的に用いられている綿糸、セルロース繊維あ
るいはこれらのセルロースを主成分とする繊維製品や繊
維集合体、不織布、紙などに、蚕糸業や製糸工場の副産
物から得られる絹セリシンや絹フィブロインという絹タ
ンパク成分を付着させることで、肌触りの向上や吸水性
・吸湿性の向上、新たな染色性などの優れた性質を付与
することのできる、セリシン・フィブロイン付着セルロ
ース物品とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維製品の高付加価値加工として、抗菌
性、イージーケア性、防縮性、吸湿性、紫外線遮断性、
皮膚への刺激低減など種々の目的のものが知られてい
る。また、近年は、人間の健康志向、環境への負荷を低
減すること、未利用天然物の有効利用などの立場から、
天然タンパク質を用いた繊維の加工が行われ、シルクプ
ロテイン被覆繊維やシルクプロテインと合成繊維とで紡
糸した糸などが商品化されている。天然繊維として古く
から用いられてきた絹は、生糸の芯であるフィブロイン
とこの周りを覆うセリシンとで構成されており、絹フィ
ブロインは衣料素材として用いられている。また、セリ
シンは精練工程を経ることによって取り除かれ、廃棄物
として処理されてきている。生糸の場合、セリシンとフ
ィブロインとの重量比は、25〜30:75〜70であ
る。ただ、廃棄物として処理されているセリシンにはセ
リン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジンなど親水
性に富むアミノ酸残基が全体の50%以上あることか
ら、その有効利用が求められており、これまでにも、例
えば特許出願公開特許公報「セリシンの分離回収法(特
開平11−131318)」にあるような回収法や、回
収したセリシンを繊維の加工剤として用いる方法「吸収
性物品(特開平9−322911)」、「繊維質肌当て
用品(特開平10−1872)」等が提案されている。
【0003】回収されたセリシンは凍結乾燥法で粉末と
されることが多いが、現在の繊維加工業では、処理方法
が簡便なことや従来からの装置を用いることを理由とし
て、水溶液系での加工方法が一般的である。絹タンパク
質を繊維加工剤として利用する場合も、浸染法、スプレ
ー法など加工方法は種々あるものの、セリシン水溶液と
して加工に供されており、セリシン粉末を再度水溶液と
して用いている。
【0004】一方、絹フィブロインはアラニンやグリシ
ン、セリンを主成分としたタンパク質で、絹糸ではβ構
造をとっている。このような絹フィブロインについて
も、その利用分野の拡大についての検討が進められてき
ており、例えば、坪内らの研究では、このフィブロイン
をアルカリ処理し、次いで力学的な粉砕を行うことによ
って結晶構造を残した微粉末を得、この微粉末をボール
ペンの軸や、腕時計の裏に塗布することが行われてい
る。
【0005】また、力学的な粉砕を行わずにフィブロイ
ンを溶解・粉末化する方法としては、平林らによるアル
カリ加水分解、中和、脱塩、乾燥法が良く知られてい
る。さらには、「シルクパウダーの製造方法(特開平6
−70702)」のように、中性無機塩と強酸とを添加
した水溶液中で、85〜150℃の温度で処理すること
によって、フィブロインの溶解を行い、脱塩後乾燥させ
て粉末を得る例もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、絹セリ
シンや絹フィブロインについての有効利用や利用分野の
拡大が検討されているものの、従来においてはいくつか
の課題が残されていた。例えばセリシンの場合にはこれ
を回収する原料としてはほとんどが生糸や絹布であっ
て、農家等での蚕糸業の副産物としての毛羽や工場での
毛羽等に着目し、これを積極的に利用しようとする試み
や技術的検討はなされていない。農家毛羽や工場毛羽は
セリシン含量が約40%と非常に高く、抗菌性や抗酸化
性を示す物質もまゆ(繭)の表層に近い部分に多いこと
から、このような特徴のあるセリシンを有効活用するこ
とには大きな技術的、経済的な価値がある。
【0007】また、このようなセリシンの利用について
は当然にも農家や工場の毛羽等からのフィブロインの利
用についても考慮されねばならない。
【0008】しかし、残念ながら、従来では、以上のよ
うなセリシン、フィブロインの利用についての提案や開
発技術については知られていないのが実情である。
【0009】そこで、本発明は、上記の点に鑑みて農家
毛羽や工場毛羽などの蚕糸業や製糸業の副産物から得ら
れたセリシンやフィブロインを簡便な手段によって、汎
用物品の機能高度化のために利用することのできる方策
を提供すること、より実際的には、汎用素材としての、
綿糸や麻糸、セルロース繊維あるいはこれらのセルロー
スを主成分とする繊維製品や繊維集合体、不織布、紙な
どの表面加工剤として用いることにより、セリシンが示
す柔軟性や親水性、フィブロインが示すサラサラ感など
の風合いや機能性に優れる製品やその製造方法を提供す
ることを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するものとして、第1には、蚕糸業あるいは製糸工
場での副産物である絹セリシンまたは絹フィブロインも
しくはその両者がセルロースを主成分とする物品に表面
付着されていることを特徴とするセリシン・フィブロイ
ン付着セルロース物品を提供する。
【0011】また、第2には、上記の副産物である絹セ
リシン又は絹フィブロインは、蚕糸業での農家毛羽、製
糸工場での工場毛羽、キャリアおよびきびそのうち少な
くとも1種から得られたものであることを特徴とするセ
リシン・フィブロイン付着セルロース物品を提供し、第
3には、上記のセルロースを主成分とする物品は、綿
糸、麻糸、セルロース繊維およびこれら1種以上のもの
の集合品であることを特徴とするセリシン・フィブロイ
ン付着セルロース物品を提供する。
【0012】そして、本発明は、第4には、セルロース
を主成分とする物品を蚕糸業あるいは製糸工場での副産
物である絹セリシンまたは絹フィブロインもしくはその
両者の水溶液で接触処理してセルロースを主成分とする
物品の表面に絹セリシン又は絹フィブロインもしくはそ
の両者を付着させることを特徴とするセリシン・フィブ
ロイン付着セルロース物品の製造方法を提供する。
【0013】第5には、上記の絹セリシンの分子量は1
0,000〜200,000であり、絹フィブロインの
分子量は5,000〜30,000の範囲であることを
特徴とする、セリシン・フィブロイン付着セルロース物
品の製造方法を、第6には、100℃以上の温度で水溶
液による接触処理を行うことを特徴とするセリシン・フ
ィブロイン付着セルロース物品の製造方法を、第7に
は、染色仕上げ加工に付随して、またはその一部として
水溶液による接触処理を行うことを特徴とするセリシン
・フィブロイン付着セルロース物品の製造方法を提供す
る。
【0014】さらに、第8には、上記の副産物である絹
セリシン又は絹フィブロインは、蚕糸業での農家毛羽、
製糸工場での工場毛羽、キャリアおよびきびそのうちの
少なくとも1種から得られたものであることを特徴とす
るセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の製造方
法を、第9には、上記のセルロースを主成分とする物品
は、綿糸、麻糸、セルロース繊維およびこれらの1種以
上のものの集合体であることを特徴とするセリシン・フ
ィブロイン付着セルロース物品の製造方法を提供する。
【0015】第10には、副産物の絹セリシンまたは絹
フィブロインは、毛羽のカード機もしくはこれと同機能
の手段での開繊による夾雑物の除去後に抽出されたもの
であることを特徴とするセリシン・フィブロイン付着セ
ルロース物品の製造方法を、第11には、セリシンの水
溶液は、毛羽の浴比1:5〜1:100,温度100℃
以上での抽出により得られたものであることを特徴とす
るセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の製造方
法を、第12には、フィブロイン水溶液は、セリシンの
抽出後に浴比1:5〜1:100,温度140℃以上で
の抽出により得られたものであることを特徴とするセリ
シン・フィブロイン付着セルロース物品の製造方法を提
供する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は上記のとおりの特徴を持
つものであるが、以下にその実施の形態について説明す
る。
【0017】本発明の特徴を実現するための形態として
は、例えば以下のように例示することができる。
【0018】(1)綿糸や麻糸、セルロース繊維あるい
はこれらのセルロースを主成分とする繊維製品や繊維集
合体、不織布、紙などに、農家毛羽や工場毛羽から直接
得たセリシン及びフィブロインを含む水溶液、あるいは
どちらか一方を含む所定濃度の水溶液中で、例えば12
0〜130℃で30分〜1時間処理することによって絹
タンパク質を付着させる。
【0019】(2)セリシン及びフィブロインは農家毛
羽や工場毛羽から抽出するが、毛羽の夾雑物を除くた
め、あるいは絹フィラメントの方向を揃えるために、カ
ード機あるいは同じ機能を備える装置で開繊することが
好ましい。このことによって、夾雑物を取り除くことの
みならず、セリシンやフィブロインの抽出効率を増すこ
とができる。
【0020】(3)開繊された毛羽を、チーズ染色機、
ロータリー染色機、オーバーマイヤー染色機などのよう
な染色機や圧力釜、圧力鍋などのような高圧容器に入
れ、例えば浴比(毛羽:水)を1:5〜1:100,望
ましくは1:10〜20で、130℃、1〜2時間処理
する。この操作で、毛羽重量の40%に相当するセリシ
ンが抽出され、浴比に応じた濃度のセリシン水溶液を得
ることができる。
【0021】(4)セリシン水溶液を取り除き、次いで
同じ圧力容器中で、同様の浴比条件、例えば140℃〜
180℃、望ましくは140〜160℃で2時間フィブ
ロインを抽出する。この操作で、フィブロイン重量の約
20%をフィブロイン水溶液として得ることができる。
【0022】(3)のセリシン水溶液及び(4)のフィ
ブロイン水溶液をそれぞれ単独、あるいは適当な割合で
混合した水溶液をチーズ染色機あるいはオーバーマイヤ
ー染色機に入れ、加工される綿糸や麻糸、セルロース繊
維あるいはこれらのセルロースを主成分とする繊維製品
や繊維集合体、不織布、紙などが入ったチーズ染色機あ
るいはオーバーマイヤー染色機に入れ、例えば100〜
140℃、望ましくは120℃で30分処理する。
【0023】上記処理を経た綿糸や麻糸、セルロース繊
維あるいはこれらのセルロースを主成分とする繊維製品
や繊維集合体、不織布、紙などを通常の染色方法で染色
する。あるいは、上記処理以前に染色を施すこともでき
る。
【0024】本発明で利用される主にセルロースからな
る素材は、綿糸や麻糸、各種レーヨン糸やこれらからな
る繊維製品、繊維集合体、不織布、紙などであり、綿に
関してはシルケット加工を施されていても可能である。
また、不織布、紙、繊維集合体に合成樹脂製のバインダ
ー等が用いられていても、セリシン及びフィブロイン水
溶液中で、このセリシンやフィブロインとセルロース繊
維素材が接触することができると、本発明を施すことが
できる。
【0025】本発明で利用される主にセルロースからな
る素材としての、綿糸や麻糸、各種レーヨン糸やこれら
からなる繊維製品、繊維集合体、不織布、紙などは特殊
な前処理を行わずにセリシン・フィブロイン加工に供す
ることができる。
【0026】本発明のセリシン及びフィブロイン水溶液
中の加工温度は、100〜140℃であり、加工時間は
30分〜2時間であるが、加工温度の上昇及び加工時間
の増加と伴に絹タンパク質の分子量が低下することか
ら、望ましくは120℃で30分間処理する。処理水は
一カ所にとどまる静水系ではなく、染色加工機のように
水が循環する機構が望ましい。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によりさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。以下の実施例及び比較例で行った評価方
法は次の通りである。
【0028】タンパク質繊維を染色する酸性染料(Kaya
nol Milling Green BW)を用いて、セリシン及びフィブ
ロイン加工を行った試料について染色試験を行った(染
色試験)。未加工試料では酸性染料の染着座席が無いた
め汚染となるが、タンパク成分が導入された試料では染
色される。
【0029】未加工試料と加工試料との表面観察を、日
本電子(株)走査型電子顕微鏡T−20を用いて行った
(SEM観察)。
【0030】未加工試料と加工試料との赤外分光分析
を、Nicolet 製 MAGNA 560を用いて行った。タンパク質
が付与されると、アミドIなどの特徴ある吸収スペクト
ルが観察される。
【0031】手触りを感覚で評価した。
【0032】糸を同一規格で編み、布の接触冷温感qmax
をカト−テック(株)精密迅速熱物性試験機を用いて測
定した。この値が大きいほど、”冷”と感じる。
【0033】
【実施例1】工場毛羽(群馬県碓氷郡松井田町の製糸工
場から入手)をカード機で開繊して繊維軸を揃えるとと
もに、毛羽に含まれる夾雑物を取り除いた。この工場毛
羽を通常のチーズ染色機を用いて、浴比1:40とし
て、120℃で1時間セリシン抽出を行った。その後の
残渣を同一浴比で、130℃で2時間フィブロイン抽出
を行った。このフィブロイン水溶液を用い、太繊度綿糸
(アスペロ、日清紡積(株))に対して、0.5%フィ
ブロイン水溶液中で、浴比を1:100として、120
℃で30分間処理を行った。次いで、常温の12.5
%水酸化ナトリウム水溶液中に1分間浸漬し、酢酸で中
和後湯洗を充分に行った。さらに、JISL−021
7繊維製品の取り扱いに関する表示記号及びその表示方
法106手洗いに準拠して、洗濯を3回施した。これ
らの試料について、染色試験、SEM観察、手触り、qm
axの結果を表1にまとめる。また、SEM観察写真を図
1に示す。 表1から、フィブロイン加工を上記の方法で行った試料
では、染色は汚染でなく染料が染着していることが分か
る。手触りは未加工と比較してサラサラ感となり、フィ
ブロインの持つ結晶性を反映した結果となった。qmaxは
未加工と比較して値が小さく、触った際に暖かく感じる
ことを示している。SEM観察写真から、フィブロイン
加工試料では、表面に小さなフィブロインの付着を認め
ることができる。
【0034】
【実施例2】カード処理を行った工場毛羽(群馬県碓氷
郡松井田町の製糸工場から入手)500gをチーズ染色
機に詰め、浴比を1:40として、120℃で60分セ
リシン抽出を行った。得られたセリシン水溶液濃度は1
%であった。このセリシン水溶液を用いて綿糸1kgを
浴比1:10、120℃で30分間処理した。残った
工場毛羽300gをチーズ染色機中で浴比を1:40と
して、130℃で2時間フィブロイン抽出を行った。得
られたフィブロイン水溶液濃度は0.7%であった。先
の1%セリシン水溶液5リットルと0.7%フィブロイ
ン水溶液5リットル、さらに水を2リットル加え、1k
gの綿糸をチーズ染色機中で120℃、30分間処理し
た。これらの試料について、実施例と同様の方法で染
色を行った。また、SEM観察と手触り試験を行った。
結果を表2にまとめる。 このように、及びの試料についても実施例1と同様
に、表面に絹タンパク質成分の表面沈着が認められ、酸
性染料で染色可能となり、手触りはフィブロインを付着
させたではフィブロインの性質を反映して、サラサラ
感となった。
【0035】
【実施例3】実施例2と同様な処理条件で、綿糸、綿不
織布、麻不織布、パルプ紙についてセリシン・フィブロ
イン加工を行った。処理後に実施例1と同法で染色試
験、赤外分光分析を行い、手触りを評価した。結果を表
3に示す。 セルロースを主成分とする紙や不織布に対しても、容易
にセリシン・フィブロイン加工を行うことができる。手
触りは、表面に付与された絹タンパク質の性質を反映し
ている。
【0036】従来は架橋剤などを仲介して絹タンパク質
成分を繊維表面に付与していたが、本発明では、容易に
繊維表面に絹タンパク質成分を付与することができ、さ
らに、セリシンやフィブロインの性質を反映した手触り
を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、本発明によ
って、農家毛羽や工場毛羽等の副産物から得られるセリ
シンやフィブロインを、簡便な手段によって、汎用物品
としてのセルロース品の機能高度化のために利用するこ
とのできる方策が提供される。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1におけるSEM観察写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 正徳 群馬県桐生市相生町5丁目46番1号 群馬 県繊維工業試験場内 (72)発明者 齋藤 宏 群馬県桐生市相生町5丁目46番1号 群馬 県繊維工業試験場内 (72)発明者 松下 浩子 群馬県桐生市相生町5丁目46番1号 群馬 県繊維工業試験場内 Fターム(参考) 4L033 AA02 CA01 CA08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蚕糸業あるいは製糸工場での副産物である
    絹セリシンまたは絹フィブロインもしくはその両者がセ
    ルロースを主成分とする物品に表面付着されていること
    を特徴とするセリシン・フィブロイン付着セルロース物
    品。
  2. 【請求項2】副産物である絹セリシン又は絹フィブロイ
    ンは、蚕糸業での農家毛羽、製糸工場での毛羽、キャリ
    ア(繭から糸が正常に解除され、さらに、順調に繰糸さ
    れるようにするために巻き取られた繭外周部の絹糸)及
    びきびそ(絹の糸口を見つけるため取り除かれる繭最外
    周部の絹糸)のうちの少なくとも1種から得られたもの
    であることを特徴とする請求項1のセリシン・フィブロ
    イン付着セルロース物品。
  3. 【請求項3】セルロースを主成分とする物品は、綿糸、
    麻糸、セルロース繊維及びこれら1種以上のものの集合
    品であることを特徴とする請求項1または2のセリシン
    ・フィブロイン付着セルロース物品。
  4. 【請求項4】セルロースを主成分とする物品を蚕糸業あ
    るいは製糸工場での副産物である絹セリシンまたは絹フ
    ィブロインもしくはその両者の水溶液で接触処理してセ
    ルロースを主成分とする物品の表面に絹セリシンまたは
    絹フィブロインもしくはその両者を付着させることを特
    徴とするセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の
    製造方法。
  5. 【請求項5】絹セリシンの分子量は10,000〜20
    0,000であり、絹フィブロインの分子量は5,00
    0〜30,000の範囲であることを特徴とする請求項
    4のセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の製造
    方法。
  6. 【請求項6】100℃以上の温度で水溶液による接触処
    理を行うことを特徴とする請求項4または5のセリシン
    ・フィブロイン付着セルロース物品の製造方法。
  7. 【請求項7】染色仕上げ加工工程に付随して、またはそ
    の一部として水溶液による接触処理を行うことを特徴と
    する請求項4ないし6のいずれかのセリシン・フィブロ
    イン付着セルロース物品の製造方法。
  8. 【請求項8】副産物である絹セリシン又は絹フィブロイ
    ンは、蚕糸業での農家毛羽、製糸工場での工場毛羽、キ
    ャリアおよびきびそのうちの少なくとも1種から得られ
    たものであることを特徴とする請求項4ないし7のいず
    れかのセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の製
    造方法。
  9. 【請求項9】セルロースを主成分とする物品は、綿糸、
    麻糸、セルロース繊維およびこれら1種以上のものの集
    合品であることを特徴とする請求項4ないし8のいずれ
    かのセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の製造
    方法。
  10. 【請求項10】副産物の絹セリシンまたは絹フィブロイ
    ンは、毛羽のカード機もしくはこれと同機能の手段での
    開繊による夾雑物の除去後に抽出されたものであること
    を特徴とする請求項4ないし9のいずれかのセリシン・
    フィブロイン付着セルロース物品の製造方法。
  11. 【請求項11】セリシンの水溶液は、毛羽の浴比1:5
    〜1:100,温度100℃以上での抽出により得られ
    たものであることを特徴とする請求項4ないし10のい
    ずれかのセリシン・フィブロイン付着セルロース物品の
    製造方法。
  12. 【請求項12】フィブロイン水溶液は、セリシンの抽出
    後に浴比1:5〜1:100、温度140℃以上での抽
    出により得られたものであることを特徴とする請求項4
    ないし11のいずれかのセリシン・フィブロイン付着セ
    ルロース物品の製造方法。
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