JP2003171478A - ポリウレタン樹脂系脆質フィルム、その製造方法および脆質接着シート - Google Patents

ポリウレタン樹脂系脆質フィルム、その製造方法および脆質接着シート

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JP2003171478A
JP2003171478A JP2001373592A JP2001373592A JP2003171478A JP 2003171478 A JP2003171478 A JP 2003171478A JP 2001373592 A JP2001373592 A JP 2001373592A JP 2001373592 A JP2001373592 A JP 2001373592A JP 2003171478 A JP2003171478 A JP 2003171478A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性、保存性、耐久性に優れ、焼却により
ダイオキシンの発生がなく、また、熱により軟化して脆
質性が極端に低下するという現象が生じない脆質フィル
ム、その製造方法、およびそれを用いた偽造防止用ラベ
ル等に好適な脆質接着シートを提供する。 【解決手段】 脆質フィルムは、23℃における破断時
伸び率が800%以下で、軟化点80℃以上のポリウレ
タン樹脂100重量部に対して、無機フィラー200〜
500重量部を含有する樹脂組成物からなり、23℃に
おける破断時伸び率が2〜20%で、破断時引っ張り強
度が10N/10mm以下であり、70℃における破断
時伸び率が100%以下で、破断時引っ張り強度が8.
0N/10mm以下である。脆質接着シートは、上記脆
質フィルム上に、接着剤層および剥離性シートが順次積
層された構成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偽造、開封、改竄を
防止するための偽造防止用ラベル、法定プレート、コー
ションラベル、意匠用マーキング等に使用する脆質接着
ラベルに好適な脆質フィルムおよび脆質接着シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、偽造防止用ラベルおよび再使用防
止用ラベルには、フィルム基材としてその脆く裂け易い
という特徴を生かして、脆質フィルムが使用されてい
る。脆質フィルムに要求される特性としては、単にその
脆質性による偽造防止、再使用防止効果だけでなく、加
工性(印刷性、形状カット性、不要部分のかす上げ性な
ど)、保存性、貼り付け適性(曲面での追従性など)、
耐久性(耐熱性、耐光性、耐水性、耐油性など)が要求
される。
【0003】従来、樹脂に対する可塑剤、無機フィラー
の比率を調整することにより容易に要求される特性を持
つ脆質フィルムが得られることから、塩化ビニル系樹脂
を用いた脆質フィルムが使用されている。しかしなが
ら、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムは、塩化ビ
ニル系樹脂の性質として、加熱により容易に軟化し、非
常に伸び易くなるため、高温化での脆質性能が低下する
という問題があった。
【0004】また、このような塩化ビニル系樹脂を用い
た脆質フィルムは、可塑剤を樹脂分に対し多量に(通
常、樹脂100部に対して20部以上)配合させる必要
があり、偽造防止用ラベルおよび再使用防止用ラベルの
基材として用いた場合、可塑剤の移行による接着力の低
下が起こり、場合によっては再使用防止性能への致命的
な影響が生じるという問題があった。
【0005】また、被着物を廃棄する必要が生じた場
合、そのラベルの性質上剥がすことが容易ではないため
に、被着物とラベルを一体として処理される場合が多
い。そのような場合、最終処分が焼却を伴うものである
と、組成に多量の塩素を含むためダイオキシンの発生に
つながる恐れのある塩酸ガスが発生し、環境上好ましく
ないという問題もあった。
【0006】これらの点を解決するものとして、塩化ビ
ニル系樹脂以外の樹脂を用いた脆質フィルムが検討さ
れ、アクリル樹脂系およびポリオレフィン樹脂系の脆質
フィルムが提案されている。例えば、特開平10−18
2917号公報には、破断時伸び率10〜180%のア
クリル樹脂100重量部に対し、無機フィラー10〜7
0重量部および可塑剤0〜30部を配合した、引っ張り
強度1.0〜3.0kg/mm2、かつ破断伸度2.0
〜20%のアクリル樹脂系の脆質フィルムが開示されて
いる。
【0007】しかしながら、これら公報に記載のアクリ
ル樹脂系の脆質フィルムは、芳香族系溶剤に容易に溶解
し、耐ガソリン性等の耐溶剤性が劣るために、塩化ビニ
ル系樹脂を用いた脆質ラベルの主用途の1つである自動
車および自動二輪車用のコーションラベルまたはマーキ
ング材には使用することができず、用途が限定されると
いう問題がある。また、強度を下げる目的で可塑剤の配
合量を増加すると、塩化ビニル系樹脂を用いた場合と同
様に、可塑剤の移行による粘着剤の劣化が生じるという
問題もある。
【0008】他方、特開2000−72910号公報に
は、無機フィラーが分散されたポリオレフィン樹脂製シ
ートを少なくとも一軸方向に延伸した破断時伸び率20
%以下、引っ張り強度30N/15mmの脆質フィルム
が開示されている。また、特開2000−143835
号公報には、結晶性のオレフィン系樹脂100重量部
に、核剤を0.01〜5重量部、無機フィラーを5〜1
50重量部の割合で含有させた脆質フィルムが開示され
ている。これら公報に記載のポリオレフィン樹脂系の脆
質フィルムは、その製膜が溶解押出法によるために、フ
ィルムの等方性を確保することが困難であるという問題
がある。また、ポリオレフィン樹脂は難接着性であるた
めに、印刷加工を行なう場合、フィルム表面に、コロナ
放電、プラズマ処理、プライマー処理、強酸による酸化
処理などの表面処理を施して印刷適性を向上させる必要
があり、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムの場合
と同様に加工性に劣るという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような問題点を改善することを目的とし
てなされたものであって、その目的は、偽造防止、再使
用防止に十分な脆質性を有するともに、塩化ビニル系樹
脂を用いた脆質フィルムと同等以上の加工性(印刷性、
形状カット性、不要部分のかす上げ性等)、保存安定
性、貼り付け適性(曲面への追従性など)、耐久性(耐
熱性、耐光性、耐水性、耐油性など)を有する脆質フィ
ルムを提供することにある。本発明の他の目的は、塩化
ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムとは異なり、加熱に
より脆質性能が極端に低下せず、かつ可塑剤移行による
接着力の低下が起こらず、ダイオキシンの発生の問題も
ない脆質フィルムを提供することにある。本発明のさら
に他の目的は、偽造防止用ラベル等に好適な、脆質接着
シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々研究を
重ねた結果、溶剤可溶な特定の特性を有する線状ポリウ
レタン樹脂と特定量の無機フィラーを併用すると、高温
下での脆質性低下が少なく、塩素を含有しない脆質性フ
ィルムが塩化ビニル系樹脂を用いると同様の工程で容易
に作製し得るという新たな事実を見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち、本発明の脆質フィルムは、23
℃における破断時伸び率が800%以下で、軟化点80
℃以上のポリウレタン樹脂100重量部に対して無機フ
ィラー200〜500重量部を含有する樹脂組成物から
なることを特徴とする。本発明の上記脆質フィルムは、
23℃における破断時伸び率が2〜20%で、破断時引
っ張り強度が10N/10mm以下であり、70℃にお
ける破断時伸び率が100%以下で、破断時引っ張り強
度が8.0N/10mm以下であることが好ましい。
【0012】本発明の上記の脆質フィルムは、剥離性支
持体上に、23℃における破断時伸び率が800%以下
で、軟化点80℃以上のポリウレタン樹脂100重量部
および無機フィラー200〜500重量部を含有する塗
布液を溶液コーティング法により塗布して製膜すること
によって製造することができる。また、本発明の脆質接
着シートは、上記の脆質フィルム上に、接着剤層および
剥離性シートが順次積層されてなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の脆質フィルムの作製に使
用されるポリウレタン樹脂は、23℃における破断時伸
び率が800%以下で、軟化点が80℃以上の範囲にあ
ることが必要である。好ましくは、破断時伸び率が10
0〜700%、特に200〜450%の範囲にあり、軟
化点が80〜185℃の範囲にあるものである。23℃
における破断時伸び率が上記範囲を逸脱すると、所望の
破断時伸び率を有する脆質フィルムが得られなくなる。
また、軟化点が上記範囲を逸脱すると、脆質フィルムに
タック現象が発現し、剥離性支持体から容易に剥がれ
ず、剥離性支持体を剥がす際にフィルムが破損して、フ
ィルム化が困難になる。
【0014】なお、破断時伸び率は、ポリウレタン樹脂
または樹脂組成物について、厚さ60μmのフィルム状
にしたサンプルを23℃で1時間以上放置した後、10
×100mmの大きさの短冊型試験片とし、引張速度2
00mm/分、チャート速度400mm/分、チャック
間隔50mmの条件でインストロンタイプの引張試験機
により引張試験を6回行い、伸び率の平均値を算出して
求めた値である。また、軟化点はギヤオーブンにおいて
昇温3℃/分、荷重500gの条件で求めた値である。
【0015】本発明において、上記の性質を有するポリ
ウレタン樹脂としては、例えば、ソフトセグメントを構
成する分子量400〜8000のポリオールと、ハード
セグメントを構成する短鎖グリコールおよびジイソシア
ネートとの3つの成分からなる線状構造のものが好まし
く使用される。このポリウレタン樹脂は、ハードセグメ
ントの凝集により非架橋の線状ポリウレタン樹脂でも架
橋高分子のような強靭な物性を示す。
【0016】上記の線状ポリウレタン樹脂を構成するポ
リオールの成分としては、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテル
グリコール等のポリエーテル系ポリオール、アジペート
型、カプロラクトン型およびポリカーボネートジオ‐ル
型のポリエステル系ポリオールが好ましく使用される。
また、短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げら
れる。また、ジイソシアネート成分としては、無黄変性
が要求される場合には、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシア
ネート等の脂肪族および脂環族のイソシアネート、およ
びこれらの変性体、誘導体等が使用される。また、無黄
変性が要求されない用途の場合には、より安価なパラフ
ェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネー
ト、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネ
ートおよびそれらの変性体、誘導体を使用することがで
きる。これらの成分は、許容コスト、使用環境により適
宜選定される。屋外もしくは長期の耐熱性が要求される
場合は、ポリオール成分としてポリエステル系ポリオー
ルが、又イソシアネート成分として脂肪族および脂環族
イソシアネートが好ましい。また、上記線状ポリウレタ
ン樹脂は、溶剤に可溶のものでなければならない。例え
ば、10%以上の濃度にて、好ましくは粘度500〜1
0000cps/25℃の塗布溶液が形成されるものが
好ましく使用される。
【0017】上記線状ポリウレタン樹脂は、1種を単独
で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用し
てもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合は、そ
れぞれの樹脂の破断時伸び率が上記範囲以外のものであ
っても、それらを混合した樹脂混合物の破断時伸び率が
800%以下の範囲にあれば、本発明において使用する
ことができる。
【0018】本発明において、無機フィラーとしては、
公知のものならば如何なるものでも使用することができ
る。例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、雲母、
水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシ
ウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等があげられ
る。これらのものは単独、または2種以上混合して使用
することができるが、特に、炭酸カルシウムが混合され
た混合フィラーが好適に使用される。これら無機フィラ
ーは、総比重が2.0から3.8の範囲が好ましい。比
重が上記の範囲を逸脱すると、無機フィラーの材質によ
っては脆質性付与効果が生じにくくなる。また、特に、
総比重が3.8以上の場合、容易に沈降して均一な塗工
液が得られにくい。なお、総比重は次式で求められる。
例えば、A、B、Cの無機フィラーを配合する場合、 総比重=(Aの比重×Aの配合量+Bの比重×Bの配合
量+Cの比重×Cの配合量)÷(Aの配合量+Bの配合
量+Cの配合量)
【0019】本発明において、上記無機フィラーは、ポ
リウレタン樹脂100重量部に対して200〜500重
量部の範囲で含有させることが必要である。無機フィラ
ーの含有量が上記の範囲より低くなると、脆質性が不充
分で、再剥離防止性能が得られない。また、上記の範囲
より高くなると、脆くなり過ぎてシート化し難くなる。
【0020】また、本発明において、上記無機フィラー
は、ポリウレタン樹脂中に、最大粒径が20μm以下の
状態で分散されることが好ましい。粒径が20μmを超
える粒子が多量に含まれる場合には、フィルム表面の平
滑性が低下するので、無機フィラーとしては、上記の範
囲の粒子径で分散されるものを選択し、適宜の分散手段
を選択して分散させればよい。
【0021】本発明の脆質フィルムには、ポリウレタン
系樹脂が使用されるので、通常、軟化剤を用いる必要は
ないが、フィルムに微妙な柔軟性を持たせることが要求
される場合には、軟化剤を添加してもよい。
【0022】軟化剤としては、ポリウレタン樹脂と相溶
性のあるものであれば特に制限はなく、例えば、オクチ
ルベンジルフタレート、ミリスチルベンジルフタレート
等のアルキルベンジルフタレート;ジブチルフタレー
ト、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート等の
ジアルキルフタレート;トリクレジルホスフェート、ト
リオクチルホスフェート等のリン酸エステル;ジブチル
セバケート、アセチルトリブチルシトレート等の脂肪酸
エステル;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポ
リエステル、フタル酸系ポリエステル等のポリエステル
系;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレ
ングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコール
(2−エチルヘキソエート)等のグリコール誘導体;グ
リセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレー
ト等のグリセリン誘導体;エポキシ化大豆油等のエポキ
シ誘導体および低分子量のポリエーテルポリオール、ポ
リエステルポリオール等があげられる。これらの軟化剤
は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いて
もよい。軟化剤の添加量は、ポリウレタン系樹脂100
重量部に対し、30重量部以下の範囲で選ばれる。この
含有量が30重量部を超えるとフィルムが軟らかくなり
過ぎ、脆質性が低下するので好ましくない。
【0023】本発明の脆質フィルムを構成する樹脂組成
物には、上記の成分の他に、必要に応じて架橋剤を含有
させることができる。また、本発明の目的が損なわれな
い範囲で、所望に応じ、各種添加成分、例えば、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、
染料や顔料などの着色剤などを適宜添加することができ
る。
【0024】本発明の脆質性フィルムは、上記の成分よ
りなる樹脂組成物を構成成分とする塗布液を剥離性支持
体の上に塗布することによって製造することができる。
塗布液は、ポリウレタンの溶液に無機フィラーその他の
成分を添加し、分散させることによって作製される。溶
剤としては、上記ポリウレタン樹脂を溶解するものなら
ば如何なるものでも使用することができ、例えば、酢酸
エチル、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、
イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、テト
ラヒドロフラン、シクロヘキサノン等を単独または混合
して用いることができる。
【0025】塗布液の作製に際して、分散方法は無機フ
ィラーの分散の難易より適宜選択されるが、凝集性があ
り分散性の悪い無機フィラーについては樹脂溶液に一旦
撹拌分散しロールミル、ボールミルなどにより剪断力を
かけ粒子径を20μm以下になるように調整すればよ
い。なお、粒子径の確認はグラインドゲージにより行う
ことができる。
【0026】塗布液は、例えば、ポリウレタン樹脂の濃
度が10%以上であって、粘度が500〜10000c
ps/25℃の範囲に調整したものが好ましく使用され
る。特に自動車および自動二輪車向けのコーションラベ
ルやマーキング材として耐ガソリン性等の耐溶剤性が要
求されるラベル用途に用いる脆質フィルムを作製する場
合には、ジメチルホルムアミド単独もしくは混合溶剤
系、アルコールを含む混合溶剤系など、溶解能の高い溶
剤系にのみ可溶な線状ポリウレタン樹脂が好ましく用い
られる。
【0027】脆質フィルムは、上記塗布液を剥離性支持
体上に溶液コーティング法によって乾燥後の膜厚が30
〜100μmになるように塗工し、その後溶剤が完全に
揮発するまで乾燥することにより形成される。剥離性支
持体は、使用に際しては剥離除去されるものであって、
特に限定されるものではなく、形成される脆質フィルム
が容易に剥離できるものであれば、如何なるものでも使
用することができ、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹
脂等によって剥離処理された紙およびプラスチックシー
ト、ポリエステル、ポリプロピレン等のプラスチックフ
ィルム等を用いることができる。
【0028】本発明の脆質フィルムの厚さは、用途を勘
案すれば、取扱い性および経済性等のバランスの面か
ら、30〜100μmの範囲が適当である。厚さが30
μmより薄くなると、無機フィラーが多量に含まれてい
るために、フィルムの表面性が悪くなり、または後加
工、印刷工程、脆質シートの形成時における粘着層の形
成工程等でフィルムが切断する等のトラブルが発生しや
すくなる。厚さが100μmを超えるものは、溶液コー
ティング法では製膜が困難であり、塗り重ねを行う方法
等、その作製工程が複雑になってコスト高となる。
【0029】上記のようにして製造される本発明の脆質
フィルムは、その特性として、破断時伸び率が23℃で
2〜20%、70℃で100%以下、かつ破断時引っ張
り強度が23℃で10N/10mm以下、70℃で8.
0N/10mm以下であり、より好ましくは、破断時伸
び率が23℃で2〜10%、70℃で10〜50%以
下、かつ破断時引っ張り強度が23℃で3〜10N/1
0mm、70℃で2.0〜8.0N/10mmの範囲の
ものである。23℃での破断時伸び率が2%より低い
と、柔軟性が低すぎて、取扱い性が劣り、20%を超え
ると、脆質性が低下する。また、23℃での破断時引っ
張り強度が10N/10mmよりも大きいと、脆質性が
低下する。また、破断時引っ張り強度があまりに低い値
の場合は、フィルムが引き裂かれやすくなって取扱い性
が悪くなるので、破断時引っ張り強度は23℃において
3N/10mm以上であることが好ましい。また、70
℃での破断時伸び率および破断時引っ張り強度が上記の
範囲を逸脱すると、加熱時の脆質性が劣るものとなる。
【0030】次に、本発明の脆質接着シートについて説
明する。脆質接着シートは、本発明の上記脆質フィル
ム、接着剤層、および剥離性シートの3層から構成され
る。接着剤層は、脆質フィルムを被着体に貼りつけるた
めのもので、感圧接着剤、感温接着剤等、公知のものな
らば如何なるものでも使用することができる。また、剥
離性シートとしては、上記脆質フィルムの製造に際して
用いた剥離性支持体と同様のものを用いることができ
る。
【0031】本発明の脆質接着シートは、例えば、次の
ようにして製造することができる。製造方法の一つは、
上記のようにして得られた脆質フィルムの上に、接着剤
を塗布して接着剤層を形成し、その上に剥離性シートを
貼り合わせた後、脆質フィルム上の剥離性支持体を剥離
する。他の方法は、剥離シートの上に接着剤を塗布して
接着剤層を形成し、その上に上記のようにして得られた
脆質フィルムを貼り合わせた後、脆質フィルム上の剥離
性支持体を剥離する。それにより、本発明の脆質フィル
ム上に、接着剤層および剥離性シートが順次積層された
3層構成の脆質接着シートが得られる。
【0032】上記のようにして得られた脆質接着シート
は、その脆質フィルム面上に、印字、印刷、箔押し等に
より意匠を施し、或いはまた、必要な形状に切断加工し
て、脆質接着ラベルを作製することができる。
【0033】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。 実施例1〜3 (脆質フィルムの作製)表1に示す物性を有する線状ポ
リウレタン樹脂および無機フィラーを、表1に示す混合
割合(固形分)で混合し、一旦撹拌分散した後、グライ
ンドゲージにて確認しながら、無機フィラーの最大粒径
が20μm以下になるように3本ロールミルによって分
散処理を行なった。得られた樹脂組成物よりなる塗布液
を、剥離処理した支持体(DNTP−FL:DIC社
製)上に塗布し、120℃に加熱して溶剤を揮散させ、
乾燥して、表1に示す膜厚の脆質フィルムを製膜した。
【0034】(脆質接着シートの作製)ブチルアクリレ
ート−アクリル酸(100:8)共重合体樹脂の30重
量%酢酸エチル溶液(#4331:倉本産業社製)にイ
ソシアネート化合物(コロネートL:日本ポリウレタン
工業)を樹脂固形分100重量部に対し1重量部配合し
て得た接着剤溶液を、シリコーン処理された剥離紙上に
塗布し、100℃に加熱して溶剤を揮散、乾燥させて剥
離紙上に膜厚30μmの接着剤層を製膜した。得られた
接着剤シートを、前記のようにして作製された脆質フィ
ルム上に貼り合わせた後、脆質フィルム上の剥離処理し
た支持体を剥離して、脆質接着シートを作製した。
【0035】得られた脆質接着シートについて、再剥離
防止性を評価した。また、脆質フィルムについては、そ
の破断時引っ張り強度および破断時伸び率を測定した。
それらの結果を表1に示す。なお、再剥離防止性の評価
基準は次の通りである。各脆質接着シートを20mm×
100mmの形状にカットし、6つの試験サンプルを作
製した。得られた試験サンプルを、70mm×150m
mのアクリル−メラミン塗料(ベルコートNo.10
0:日本油脂社製)塗装鋼板上に貼り付け、23℃×4
8時間放置した後、各温度条件下に1時間以上放置し、
同温度条件下で剥離を試みた。6つの試験サンプルの全
てが、剥離に際して切断された場合を「○」と評価し、
一つでも切断されることなく剥離された場合を「×」と
評価した。
【0036】比較例1〜4 実施例1の場合と同様にして脆質フィルムおよび脆質接
着シートを作製し、同様に評価および測定を行なった。
但し、実施例1における線状ポリウレタン樹脂の代わり
に、表1に示すポリウレタン樹脂を使用した。それらの
結果を表1に示す。
【0037】比較例5 重合度700の塩化ビニル樹脂(チッソ社製:ニッポリ
ットSE)100重量部および可塑剤(旭電化社製:ア
デカサイザーPN−350)25重量部をシクロヘキサ
ノンに溶解した樹脂液に、無機フィラーとして炭酸カル
シュウム180重量部および酸化チタン20重量部を添
加し、一旦撹拌分散した後、グラインドゲージにて確認
しながら、無機フィラーの最大粒径が20μm以下にな
るように3本ロールミルによって分散処理を行なった。
得られた樹脂組成物よりなる塗布液を、剥離処理した支
持体(DNTP−FL:DIC社製)上に塗布し、12
0℃に加熱して溶剤を揮散した後、乾燥させて、膜厚6
0μmの脆質フィルムを製膜した。
【0038】この脆質フィルムを用いて、実施例1と同
様にして脆質接着シートを作製し、同様に評価および測
定を行なった。その結果を表1に示す。
【表1】
【0039】なお、表1に記載の各成分は次の通りであ
る。 1)ニッポラン5196:日本ポリウレタン社製、ポリ
カーボネート系無黄変タイプ、メチルエチルケトン/シ
クロヘキサノン=1/1、固形分30% 2)ニッポラン5138:日本ポリウレタン社製、無黄
変タイプ、メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピ
ルアルコール=5/4.5/0.5、固形分25% 3)ニッポラン5120:日本ポリウレタン社製、無黄
変タイプ、酢酸エチル/トルエン/イソプロピルアルコ
ール=3/4/3、固形分30% 4)ニッポラン2304:日本ポリウレタン社製、メチ
ルエチルケトン、固形分35% 5)レザミンNE−302HV:大日精化工業社製、ポ
リエステル系無黄変タイプ、トルエン/イソプロピルア
ルコール=1/1、固形分35% 6)レザミンNE−8836:大日精化工業社製、ポリ
カーボネート系無黄変タイプ、ジメチルホルムアミド/
トルエン/イソプロピルアルコール=1/1/1、固形
分30% 7)炭酸カルシウム:白石カルシュウム社製、ホワイト
ン−SB、比重2.7 8)酸化チタン:石原産業社製、タイペークR−82
0、比重4.2
【0040】表1から明らかなように、実施例1〜3の
本発明の脆質フィルムはいずれも脆くて切れやすく、か
つその脆質性の温度依存性がなかった。一方、比較例1
および3のフィルムは、ポリウレタン樹脂の破断時伸び
率が800%を超えるため十分な脆質性が得られなかっ
た。比較例2のフィルムは、ポリウレタン樹脂の軟化点
が低すぎるため、フィルムにタック性が発現し、剥離性
支持体から容易に剥がれず、支持体を剥がす際にフィル
ムが破損してシート状のものとはならなかった。比較例
4のフィルムは、ポリウレタン樹脂の破断時伸び率が8
00%を超え、また、無機フィラーの量が本発明の範囲
よりも多いため、剥離性支持体から剥離する際に破損し
て、シート状のものとはならなかった。比較例5の場合
は、樹脂成分として塩化ビニル系樹脂を用いているた
め、高温下で極端に破断時伸び率が大きくなり、十分な
再使用防止効果が得られなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明の脆質性フィルムは、加工性、保
存性、耐久性に優れ、焼却によりダイオキシンの発生が
なく、また、熱により軟化して脆質性が極端に低下する
という現象が生じない。したがって、それを用いた脆質
接着シートは、加工性、印刷適性、保存性、貼り付け適
性、耐久性に優れ、耐環境汚染の点でも優れている。ま
た、被着物に一旦貼り付けた脆質接着シートは、剥離し
ようとすると、熱を加えた場合でも容易に破損するた
め、偽造、開封、改竄、再使用等の目的で使用すること
ができ、偽造防止用ラベルおよび法定プレート、コーシ
ョンラベル、意匠用マーキング等に使用するのに適して
いる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 75/04 C08L 75/04 4J040 C09J 7/02 C09J 7/02 Z 175/04 175/04 Fターム(参考) 4D075 CA47 DC27 DC50 EB38 EC01 4F071 AA53 AB18 AB21 AB26 AB30 AE17 AF15Y AF21Y BB02 BC02 4F100 AA01A AK25G AK51A AK51G AL01 BA03 BA07 BA10A BA10C CA23A CB00B DG10 GB90 JA04A JK02A JK08A JL11B JL14C YY00A 4J002 CK031 CK041 DE076 DE136 DE146 DE236 DJ016 DJ046 DJ056 FD016 FD020 4J004 AA14 CA06 CA07 CC02 DB03 4J040 EF181 GA07 JA02 JA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 23℃における破断時伸び率が800%
    以下で、軟化点80℃以上のポリウレタン樹脂100重
    量部に対して無機フィラー200〜500重量部を含有
    する樹脂組成物からなることを特徴とする脆質フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 23℃における破断時伸び率が2〜20
    %で、破断時引っ張り強度が10N/10mm以下であ
    り、70℃における破断時伸び率が100%以下で、破
    断時引っ張り強度が8.0N/10mm以下であること
    を特徴とする請求項1記載の脆質フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の脆質フィルム上に、接着
    剤層および剥離性シートが順次積層されてなることを特
    徴とする脆質接着シート。
  4. 【請求項4】 剥離性支持体上に、23℃における破断
    時伸び率が800%以下で、軟化点80℃以上のポリウ
    レタン樹脂100重量部および無機フィラー200〜5
    00重量部を含有する塗布液を塗布して製膜することを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の脆質フィル
    ムの製造方法。
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