JP2007039581A - 樹脂組成物、これを用いたシートおよび積層シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 溶融状態からの結晶化半時間が少なくとも5分のポリエステル系樹脂(a)50〜99質量%、およびビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(b)1〜50質量%からなる樹脂組成物。これをカレンダー成形してなるシートおよび積層シート。
【選択図】 なし
Description
そこで、塩化ビニル系樹脂フィルムに代えて、非晶質ポリエステル樹脂フィルムを用いることが検討されている。
1) 溶融状態からの結晶化半時間が少なくとも5分のポリエステル系樹脂(a)50〜99質量%、および
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(b)1〜50質量%
からなる樹脂組成物。
ポリエステル系樹脂(a)
本発明に使用するポリエステル系樹脂(a)は、当業界で公知の材料であり、例えば特許第3280374号明細書に開示されている。この成分(a)は、溶融状態からの結晶化半時間が少なくとも5分、好ましくは少なくとも12分のポリエステルである。なお本明細書で使用する用語「ポリエステル」はコポリエステルも含むものとする。無限の結晶化半時間を有するため、無定形ポリエステルが好ましい。
本発明における結晶化半時間は、パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)モデルDSC−2示差走査熱量計を使用して測定する。15.0mgのサンプルをアルミニウムパンの中に密封し、約320℃/分の速度で290℃で2分間加熱する。次いで、サンプルを、所定の等温結晶化温度まで約320℃/分(装置として不可能な場合は20℃/分)の速度で、ヘリウムの存在下に、直ちに冷却する。結晶化半時間は、等温結晶化温度に達してからDSC曲線上の結晶化ピークの点までの時間間隔として決定する。
また成分(a)は、上記のジカルボン酸およびグリコール成分の他に、第3成分を共重合させた共重合体タイプのものも包含し、本発明においてはこのタイプが好ましい。
本発明の好ましい態様において、第3成分としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、テレフタル酸、イソフタル酸等が好適である。
とくに好ましい成分(a)を以下に例示する。
ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、かつジオール成分がエチレングリコール50〜99モル%(好ましくは60〜80モル%)および1,4−シクロヘキサンジメタノール1〜50モル%(好ましくは20〜40モル%)であるもの。
また、成分(a)の粘度はIV値として0.65〜0.85が好ましい。
本発明に使用するポリエステル系樹脂(a)の製造方法は、すでに当業界において広く知られており、例えば米国特許5,340,907号明細書に開示されている。
本発明の樹脂組成物は、ブロック共重合体の架橋体(b)を含有する。まず、ブロック共重合体について説明する。ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるものが好ましい。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または、共役ジエン化合物50質量%以上、好ましくは、70質量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
多官能化合物としては、2個以上の反応性の等しい二重結合をもつ単量体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレート等が挙げられるが、中でも耐衝撃性向上効果に優れるという理由からエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
また架橋時に使用される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
多官能化合物の添加量は、成分(b)において0.1〜5質量%、好ましくは2〜4質量%である。
また有機過酸化物の添加量は、例えば成分(b)100質量部に対し、0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜1質量部である。
本発明で使用される成分(c)は、成分(b)の分散性向上・組成物のロール剥離性向上効果を有する。成分(b)は従来のゴムより分散性・組成物のロール剥離性に優れるが、本発明では成分(c)との相乗効果が極めて著しい。
本発明で使用される成分(c)としては、例えば炭素数28〜32の直鎖脂肪酸またはその誘導体の単体や、混合物であることができる。また、前記誘導体は、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸を鹸化したもの、エステル化したもの等が挙げられる。なお、エステル化物は、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸をグリコール類でエステル化したものが好ましい。このようなグリコール類を用いたエステル化物は、下記式(1)で表される構造を有する。
ただし、本発明の組成物には質量平均分子量100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体を含まないことが好ましい。
本発明の樹脂組成物をカレンダー成形した後に得られるシート(以下、カレンダー成形シートという)の厚さは、例えば30〜1000μm、好ましくは50〜500μmである。
また2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜層には、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部のワックスを含有するのが好ましい。ワックスを配合することにより、前記のようにして得られたカレンダー成形シートの耐スクラッチ性をさらに向上することができる。ワックスの含有量が0.5質量部未満であると、カレンダー成形シートの耐スクラッチ性が不十分になるおそれがある。逆に20質量部を超えると、ワックスがカレンダー成形シートの表面にブリーディングしてカレンダー成形シートの外観が損なわれるおそれがある。
2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜層は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合したのち塗布し、硬化反応により形成される塗膜層である。2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜層の厚さは、1〜10μmであることが好ましく、3〜7μmであることがより好ましい。本発明に用いるポリオール成分に特に制限はなく、例えば、主鎖にポリエステル結合を有する油変性アルキッド樹脂、オイルフリーポリエステル、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ヒドロキシル基を有するビニルポリマー、ヒドロキシル基を有するフッ素樹脂、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができる。これらの中で、アクリルポリオールを好適に用いることができる。ポリオール成分は、有機溶剤に溶解した溶液として用いることが好ましい。使用する溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの活性水素を有しない溶剤を挙げることができる。本発明に用いるポリイソシアネートに特に制限はなく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどや、これらのビューレット体、イソシアヌレート体などを挙げることができる。これらの中で、無黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート及び水添ジフェニルメタンジイソシアネートを好適に用いることができる。2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜層に用いるワックスに特に制限はなく、例えば、パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックス、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸系ワックス、ステアリン酸アミド、オキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシルアミド、リシノール酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪族アミド系ワックス、ステアリン酸−n−ブチルなどの脂肪族エステル系ワックス、脂肪族金属石けん系ワックス、尿素−ホルムアルデヒドワックスなどを挙げることができる。ワックスは、ポリオール成分の溶液中にあらかじめ分散しておくことが好ましい。
なお、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜層の着色は、ウレタン樹脂溶液に公知の顔料または染料を適当量添加することによりなされる。塗膜層を着色した場合は、例えば表面をエンボス加工する等して意匠性を付与し、木口材(エッジ材)等として好適に用いることができる。
前記とは別に、カレンダー成形シートと、前述の本発明における成分(a)からなるシートとをラミネートしてもよい。
図1は、このような本発明の積層シートに他の熱可塑性樹脂シートをラミネートした形態を説明するための断面図である。図1において、積層シート1は、カレンダー成形シート11上に、印刷模様層12および他の熱可塑性樹脂からなるシート13が順次形成されて構成されている。印刷模様層12の形成は、例えばグラビア印刷法を採用して行うことができる。シート13のラミネートは、公知の接着剤を用いたフィルムラミネート法や、押出ラミネート法により行うことができる。なお、カレンダー成形シート11および/またはシート13は、着色してもよい。
(1)ポリエステル系樹脂(a)
(i)イーストマンケミカル社、PETG6763
グリコール成分:エチレングリコール70モル%および1,4−シクロヘキサンジメタノール30モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
からなるポリエステル
結晶化半時間:無限
スチレン−ブタジエンブロック共重合体架橋物
スチレン:54質量%、ブタジエン:43質量%、エチレングリコールジメタクリレート3質量%
この成分(b)は、n−ヘキサン中、アルキルリチウム触媒でリビングアニオン重合を行うことにより製造した。芳香族ビニル化合物としてスチレン、共役ジエン化合物としてブタジエンを用いブタジエン重合後、スチレンを加え重合した。その後、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドとエチレングリコールジメタクリレートを加え攪拌した。
製造会社:クラリアントジャパン
商品名:HW−OP(モンタン酸部分ケン化エステル。鹸化部分はカルシウム塩、融点75℃)
(i)
製造会社:鐘淵化学工業
商品名:カネエース B−56
組成:メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体
ゴム粒子径:0.1〜0.5μm
(ii)
製造会社:旭化成工業(株)
商品名:タフプレン125
共役ジエン系化合物としてブタジエンを60質量%、芳香族ビニル化合物としてスチレンを40質量%含むブロック共重合体(非架橋物)。
(カレンダー成形性)
表1に示す配合処方を有する各種組成物を、バンバリーミキサーを用いて溶融混練し、カレンダー成形し、厚さ100μmのシートを得た。カレンダー成形機としては、逆L型を用いた。また、カレンダー条件は、カレンダーロール温度180℃とした。
この成形工程におけるストレーナ部のスクリーン(100メッシュ金網)交換頻度を調べた。
また、ロール剥離性を○:ロールから均一に剥離する、△:ロールから均一に剥離せず得られるシートの平滑性に劣る、×:ロールに粘着し剥離せずシート製造不可として調べた。
カレンダー成形シートの耐衝撃性は、アイゾット衝撃試験 JIS K7110に準拠して測定した。
カレンダー成形シート(厚さ100μm)の透明性を、JIS K7105に準拠してヘイズ値として測定した。
測定器:東洋精機製作所社製、直読ヘイズメーターで測定することにより評価した。
透明性の評価において、ヘイズ値10%以下を◎、ヘイズ値20%以下を○、ヘイズ値60%未満を△、ヘイズ値60%以上を×とした。
また、カレンダー成形シートの白化性について、以下の試験方法・評価基準で評価を行った。
厚み0.1mm(厚さ100μm)のカレンダー成形シートを、長手側を平行にして接触させた2枚のステンレス鋼板(6cm×5cm、1mm厚)に両面テープで貼り付け、90°に折り曲げ、折り曲げた表面の白化の度合いを目視で観察し、下記の基準により評価した。
◎:白化は認められない。○:わずかに白化が認められる。×:大きな白化が認められる。
結果を表1に示す。
アクリルポリオール100質量部、トルエン100質量部及び酢酸エチル100質量部からなる溶液に、ポリプロピレンワックス[クローダジャパン(株)、WNl135]5質量部を添加して均一に分散し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート5質量部を添加して、2液硬化型ウレタン樹脂塗料を調製した。これを、前記のカレンダー成形シート上に塗布して、厚さ5μmの塗膜を形成し、積層シート(1)を得た。
得られた積層シート(1)の密着性を試験した。この密着性試験は、JIS K 5400に準拠し、ロータリーカッターにて1mm角の碁盤目100マスを付け、セロテープ[ニチバン製、登録商標]を圧着させたのち、90度の剥離試験を実施した。100マスのうちの残存膜数を数えることにより、密着性の評価を行った。
結果を表1に示す。
前記で得たカレンダー成形シートの一方の面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとする着色インキを用いてグラビア印刷で木目模様を形成し、印刷模様層を形成した。
得られた積層シート(2)の密着性を、前記の積層シート(1)と同様に試験した。
結果を表1に示す。
また本発明の積層シートは、各層間の接着性に優れることが分かる。
11 カレンダー成形シート
12 印刷模様層
13 熱可塑性樹脂からなるシート
Claims (9)
- 溶融状態からの結晶化半時間が少なくとも5分のポリエステル系樹脂(a)50〜99質量%、および
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(b)1〜50質量%
からなる樹脂組成物。 - 請求項1に記載の樹脂組成物100質量部に対し、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(c)0.2〜10質量部を配合したことを特徴とする樹脂組成物。
- 前記成分(b)の架橋に用いられる多官能化合物が、エチレングリコールジメタクリレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記成分(b)における重合体ブロックAがスチレンを主体とし、かつ重合体ブロックBがブタジエンを主体とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなるシート。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物をカレンダー成形してなるシート。
- 2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜層をさらに設けたことを特徴とする請求項5または6に記載の積層シート。
- 前記2液硬化ウレタン樹脂の塗膜層が、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部のワックスを含有することを特徴とする請求項7に記載の積層シート。
- 請求項5または6に記載のシートに、着色インキを含む印刷模様層を印刷してなる積層シートであって、前記着色インキに含まれるバインダーが、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性樹脂、ポリイソシアネート化合物、ポリカーボネート樹脂およびアミノ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする積層シート。
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