JP2003171470A - 炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法 - Google Patents

炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解質層膜の膜厚を均一に成形することがで
きる炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法を提供する。 【解決手段】 炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法は、
NMP溶媒31に炭化水素系ポリマー33を混合させた
混合液30に、水37を加えることで炭化水素系ポリマ
ー33のポリマー分子34をゲル化させるゲル化工程
と、ゲル化したポリマーゲル35を大量の水37で希釈
することでポリマーゲル35中のNMP溶媒31の濃度
を下げる希釈工程と、希釈に用いた水37を概ね除去す
る水除去工程と、乾燥によりポリマーゲル35中の水分
子38を除去する乾燥工程と、ポリマーゲル35をアル
コール系溶媒44に混合し、撹拌する溶解工程とからな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、燃料電池
用電解質膜を成形する炭化水素系ポリマー溶液の溶媒を
置換する炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図14は従来の燃料電池を示す説明図で
ある。この燃料電池100は、負極(水素極)101と
正極(酸素極)102との間に電解質膜103を配置
し、負極101に含む触媒に水素分子(H2)を接触さ
せるとともに、正極102に含む触媒に酸素分子
(O2)を接触させることにより、電子e-を矢印の如く
流して電流を発生させるものである。電流を発生させる
際に、水素分子(H2)と酸素分子(O2)とから生成水
(H2O)を得る。
【0003】図15は従来の燃料電池を構成する電解質
膜の成形方法を示す説明図である。負極101を基板1
05に積層した電極板106を準備するとともに、電解
質膜用の炭化水素系ポリマー溶液(以下、「HC系ポリ
マー溶液」という)108を用意し、このHC系ポリマ
ー溶液108を電極板106の負極101などに塗布す
る。塗布したHC系ポリマー108を、例えばヒータで
乾燥することにより電解質膜103を成形する。この電
解質膜103に正極102を重ねることで、図14に示
す燃料電池100を得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、HC系ポリ
マー溶液108は、溶媒としてNメチル2ピロリドン
(以下、「NMP」という)を含み、このNMP溶媒に
イオン交換性HC系樹脂としてHC系ポリマーを溶媒と
同量以下含む。このHC系ポリマーについて次図で説明
する。
【0005】図16(a),(b)はHC系ポリマー溶
液の性質を説明した図である。(a)において、HC系
ポリマーを構成するポリマー分子111・・・(1個のみ
示す)は、個々に分散しており、各分子111・・・はN
MP溶媒の分子(NMP分子)112・・・で取り囲まれ
ている。このNMPは表面張力が高いという性質を備え
ているので、HC系ポリマー溶液108のぬれ性は悪
い。
【0006】(b)において、HC系ポリマー溶液10
8のぬれ性が悪いために、電極板106の負極101な
どにHC系ポリマー溶液108を塗布した際に、HC系
ポリマー溶液108が負極101などで弾かれる。これ
により、HC系ポリマー溶液108を負極101などに
均一に塗布することは難しく、電解質膜103の膜厚が
不均一になり、燃料電池100の発電能力などを十分に
確保することはできない。なお、想像線の電解質膜11
5は、膜厚が均一の状態を示す。
【0007】そこで、本発明の目的は、電解質層膜の膜
厚を均一に成形することができる炭化水素系ポリマーの
溶媒置換方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1は、溶媒に炭化水素系ポリマーを混
合させた混合液に、水を加えることで炭化水素系ポリマ
ーのポリマー分子をゲル化させるゲル化工程と、ゲル化
したポリマーゲルを大量の水で希釈することでポリマー
ゲル中の溶媒の濃度を下げる希釈工程と、希釈に用いた
水を概ね除去する水除去工程と、乾燥によりポリマーゲ
ル中の水を除去する乾燥工程と、ポリマーゲルをアルコ
ール系溶媒に混合し、撹拌する溶解工程とからなる炭化
水素系ポリマーの溶媒置換方法を特徴とする。
【0009】ポリマー分子をゲル化し、ゲル化したポリ
マーゲル中の溶媒を水で希釈して溶媒濃度を下げ、希釈
に用いた水をある程度除去した後、ポリマーゲルをアル
コール系溶媒に混合して撹拌する。ポリマーをゲル状に
することで、ポリマー分子がアルコール系溶媒に接触す
る面積が大きくなる。これにより、アルコール系溶媒が
ポリマーゲルを取り囲んでポリマー分子をアルコール系
溶媒に溶解することができるので、炭化水素系ポリマー
溶液の溶媒をアルコール系に置換することができる。
【0010】置換したアルコール系溶液は表面張力が小
さいので、アルコール系の炭化水素系ポリマー溶液の表
面張力を小さく抑えることができる。このため、炭化水
素系ポリマー溶液のぬれ性を好適に保つことができるの
で、例えば炭化水素系ポリマー溶液を電極に塗布した際
に、炭化水素系ポリマー溶液が電極で弾かれることを抑
えることができる。
【0011】請求項2は、希釈工程後の最初の溶媒の濃
度を10wt%を越えないように設定したことを特徴と
する。
【0012】最初の溶媒の濃度が10wt%を越えない
ようにして、溶媒を少量に調整することで、炭化水素系
ポリマー溶液の表面張力を小さく抑えることができる。
これにより、炭化水素系ポリマー溶液のぬれ性を好適に
保つことができ、例えば炭化水素系ポリマー溶液を電極
に塗布した際に、炭化水素系ポリマー溶液が電極で弾か
れることを防止できる。このため、炭化水素系ポリマー
溶液を電極板に均一の厚さで塗布することができるの
で、炭化水素系ポリマー溶液を乾燥した際に、電解質膜
を均一の膜厚に成形することができる。
【0013】一方、最初の溶媒の濃度が10wt%を越
えてしまうと、溶媒が比較的多量になり、炭化水素系ポ
リマー溶液の表面張力を小さく抑えることが難しくな
る。これにより、炭化水素系ポリマー溶液のぬれ性を好
適に保つことが難しく、例えば炭化水素系ポリマー溶液
を電極に塗布した際に、炭化水素系ポリマー溶液が電極
で弾かれてしまう。このため、炭化水素系ポリマー溶液
を電極板に均一の厚さで塗布することができないので、
炭化水素系ポリマー溶液を乾燥した際に、電解質膜を均
一の膜厚に成形することができない。
【0014】請求項3は、水除去工程では、室温・常圧
において濾紙を用いて水を除去することを特徴とする。
【0015】希釈に用いた水を濾紙を用いて室温・常圧
において除去することで、希釈に用いた水を手間をかけ
ないで簡単に除去することができる。このため、水除去
工程を簡素化して生産性の向上を図ることができる。加
えて、濾紙を用いる簡単な設備で水を除去することがで
きるので、設備費を抑えることができる。
【0016】請求項4は、水除去工程で水を除去するこ
とで、ポリマーゲルを構成するポリマー分子の濃度を
0.1〜3wt%に調整することを特徴とする。
【0017】水除去工程後の、ポリマー分子の濃度が
0.1wt%未満にしかならないと、希釈に用いた水が
ポリマーゲルの表面から十分に除去されないことにな
る。このため、乾燥工程において、ポリマーゲル中から
水分子を効率よく乾燥させることが難しくなる。そこ
で、ポリマーゲルを構成するポリマー分子の濃度を0.
1wt%以上に調整して、乾燥工程においてポリマーゲ
ル中から水分子を効率よく乾燥させることができるよう
にした。
【0018】一方、ポリマー分子の濃度が3wt%を越
えるまで水除去工程をおこなうと、希釈に用いた水の除
去に時間がかかり過ぎて生産性を高める妨げになる。そ
こで、ポリマーゲルを構成するポリマー分子の濃度を3
wt%を越えないように調整して、水除去工程を短くし
て生産性の向上を図るようにした。
【0019】請求項5は、乾燥工程で水を除去すること
で、ポリマーゲルを構成するポリマー分子の濃度を0.
1〜20wt%に調整することを特徴とする。
【0020】乾燥工程後の、ポリマー分子の濃度が0.
1wt%未満にしかならないと、ポリマーゲル内の水分
子が十分に除去されないことになり、ポリマーゲル中に
アルコール溶媒を取り込むことが難しくなる。このた
め、ポリマーゲルをアルコール溶媒に溶解することがで
きない。そこで、ポリマーゲルを構成するポリマー分子
の濃度を0.1wt%以上に調整して、ポリマーゲル中
にアルコール溶媒を取り込み、ポリマーゲルをアルコー
ル溶媒に溶解することができるようにした。
【0021】一方、ポリマー分子の濃度が20wt%を
越えるまで乾燥工程をおこなうと、ポリマーゲルはアル
コール溶媒に再溶解しなくなる。そこで、ポリマーゲル
を構成するポリマー分子の濃度を20wt%を越えない
ように調整して、ポリマーゲルをアルコール溶媒に再溶
解させるようにした。なお、ポリマーゲルを構成するポ
リマー分子の濃度を20wt%を越えないように調整す
ることで、乾燥工程を短くして生産性の向上を図ること
も可能になる。
【0022】請求項6は、乾燥工程の条件を、常圧にお
いて乾燥温度20〜80℃、乾燥時間0.5〜24時間
としたことを特徴とする。
【0023】乾燥温度が20℃未満になると、乾燥時間
が24時間を越えることになり生産性を高める妨げにな
る。そこで、乾燥温度を20℃以上にすることで、乾燥
時間を短くして生産性の向上を図ることにした。一方、
乾燥温度が80℃を越えるとポリマーが固化してしま
う。そこで、乾燥温度を80℃を越えないようにするこ
とでポリマーの固化を防ぐようにした。
【0024】請求項7において、アルコール系溶媒は、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び
ノルマルプロピルアルコールのうちの少なくとも一種で
あることを特徴とする。
【0025】ここで、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコールやノルマルプロピルアルコールは、表
面張力が小さく、HC系ポリマーゲルとの溶解能力に優
れている。そこで、請求項7において、アルコール系溶
媒として、メタノール、イソプロピルアルコール及びノ
ルマルプロピルアルコールのうちの少なくとも一種を採
用した。
【0026】請求項8は、撹拌として遠心撹拌法を採用
し、この遠心撹拌法により常温・常圧でポリマーゲルを
アルコール系溶媒に混合させることを特徴とする。
【0027】ポリマーゲルをアルコール系溶媒に混合さ
せた状態で、この混合液を撹拌することでポリマーゲル
内にアルコール系溶媒を効率よく取り込むことができ
る。これにより、ポリマー分子をアルコール系溶媒に効
率よく溶解することができる。また、遠心撹拌法とは、
試料容器を自転させるとともに公転させながら試料容器
内の溶液を混合・溶解させる方法をいい、この方法を採
用することにより、スターラー等の一般的な撹拌法と比
べて短時間で溶液の混合・溶解が可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。図1は本発明に係る炭化水素系
ポリマーの溶媒置換方法を採用した燃料電池を示す分解
斜視図である。燃料電池ユニット10は複数(2個)の
燃料電池11,11で構成したものである。燃料電池1
1は、負基板13に負極(水素極)14を設けて負電極
板12を形成し、この負電極板12に燃料電池用の電解
質膜15を設け、正基板17に正極(酸素極)18を設
けて正電極板16を形成し、この正極18を電解質膜1
5に重ね、負基板13の外側に負極側流路基板21を配
置し、正基板17の外側に正極側流路基板24を配置し
たものである。この燃料電池11をセパレータ26を介
して複数個(2個)備えることで、燃料電池ユニット1
0を構成する。
【0029】負基板13に負極側流路基板21を積層す
ることで、負極側流路基板21の流路溝21aを負基板
13で覆うことにより、水素ガス流路22を形成する。
また、正基板17に正極側流路基板24を積層すること
で、正極側流路基板24の流路溝24aを正基板17で
覆うことにより、酸素ガス流路25を形成する。
【0030】水素ガス流路22に水素ガスを供給するこ
とで、負極14に含む触媒に水素分子(H2)を吸着さ
せるとともに、酸素ガス流路25に酸素ガスを供給する
ことで、正極18に含む触媒に酸素分子(O2)を吸着
させる。これにより、電子(e-)を矢印の如く流して
電流を発生させることができる。なお、電流を発生させ
る際に、水素分子(H2)と酸素分子(O2)とから生成
水(H2O)を得る。
【0031】図2は本発明に係る炭化水素系ポリマーの
溶媒置換方法で成形した電解質膜を示す断面図であり、
負基板13に負極14を設けて負電極板12を形成し、
負極14及び負基板13のうちの負極14の周囲のから
突出した部位13aを、電解質膜15でそれぞれ覆った
状態を示す。負基板13は、炭素で形成した板材であ
り、一方の面13bに負極14を備える。この負極14
に触媒を含み、この触媒に水素分子(H2)を吸着させ
る。なお、図1に示す正基板17は、負極板13と同様
に炭素で形成した板材であり、一方の面に正極18を備
える。この正極18に触媒を含み、この触媒に酸素分子
(O2)を吸着させる。
【0032】電解質膜15は、HC系ポリマー溶液に含
む溶媒を、アルコール系溶媒に置換した状態で、負極1
4及び負基板13のうちの負極14の周囲のから突出し
た部位13aにHC系ポリマー溶液を塗布し、塗布した
後、乾燥することで得たイオン交換用の膜である。
【0033】アルコール系溶媒は表面張力が小さい。こ
のため、HC系ポリマー溶液中の溶媒をアルコール系に
置換することで、HC系ポリマー溶液の表面張力を小さ
くすることができるので、HC系ポリマー溶液のぬれ性
を好適に保つことができる。これにより、HC系ポリマ
ー溶液を負電極板12の負極14に均一の厚さで塗布す
ることができるので、電解質膜15を均一の膜厚に成形
することができる。
【0034】次に、電解質膜15の成形方法について説
明する。先ず、図3〜図7に基づいて炭化水素系ポリマ
ーの溶媒置換方法について説明する。図3(a)〜
(c)は本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を説明する第1工程説明図である。(a)において、
NMP溶媒31にHC系ポリマー33・・・を混合させた
混合液30を水37に投入する。
【0035】(b)において、HC系ポリマー33を構
成するポリマー分子34・・・が水分子38・・・中に混合す
る。なお、混合液30を水37に投入した当所は、HC
系ポリマー33の周囲にNMP溶媒31のNMP分子3
2・・・が存在するが、時間が経過することにより、HC
系ポリマー33の周囲に水分子38・・・が進入する。
(c)において、HC系ポリマー33の周囲に水分子3
8・・・が進入することで、ポリマー分子34が(b)の
密の状態から粗の状態に分解しして水37に溶解する。
【0036】図4(a)〜(c)は本発明に係る炭化水
素系ポリマーの溶媒置換方法を説明する第2工程説明図
である。(a)において、ポリマー分子34・・・をゲル
化させてポリマーゲル35とする。ポリマーゲル35
は、略球体となる袋状を形成し、このポリマーゲル35
内に水分子38・・・及びNMP分子31・・・を取り込む。
【0037】(b)において、ポリマーゲル35を水洗
いすることにより、ポリマーゲル35内からNMP分子
31・・・を除去するとともにポリマーゲル35内に水分
子38・・・を取り込ませる。すなわち、ポリマーゲル3
5内を大量の水37で希釈する。
【0038】(c)において、ポリマーゲル35を大量
の水37で希釈すること、すなわちポリマーゲル35中
の水分子38・・・を増やすことで、ポリマーゲル35中
のNMP分子32・・・を減少させ、ポリマーゲル35中
のNMP溶媒の濃度を下げる。この際、NMP溶媒31
の濃度を10wt%を越えないように調整する。なお、
NMP溶媒31の濃度を10wt%を越えないように調
整した理由は図11で細説する。
【0039】図5(a),(b)は本発明に係る炭化水
素系ポリマーの溶媒置換方法を説明する第3工程説明図
である。(a)において、ポリマーゲル35・・・を濾紙
40に載せ、室温・常圧の条件で、ポリマーゲル35・・
・の外周35a・・・に付着した水37を濾紙40の排水孔
41・・・から除去する。これにより、希釈に用いた水3
7を概ね除去することができる。この際、ポリマーゲル
35を構成するポリマー分子34の濃度を0.1〜3w
t%に調整する。なお、ポリマー分子34の濃度を0.
1〜3wt%に調整した理由は図12で細説する。
【0040】(b)において、例えばヒータ42でポリ
マーゲル35・・・を乾燥する。乾燥の条件は、常圧にお
いて乾燥温度20〜80℃、乾燥時間0.5〜24時間
である。なお、乾燥温度20〜80℃、乾燥時間0.5
〜24時間に設定した理由は図13で細説する。
【0041】図6(a),(b)は本発明に係る炭化水
素系ポリマーの溶媒置換方法を説明する第4工程説明図
である。(a)において、乾燥でポリマーゲル35内の
水分子38・・・を所定量除去することにより、ポリマー
ゲル35を構成するポリマー分子34・・・の濃度を0.
1〜20wt%に調整する。なお、ポリマー分子34・・
・の濃度を0.1〜20wt%に調整した理由は図12
で細説する。(b)において、ポリマーゲル35・・・に
アルコール系溶媒44を加えることにより、ポリマーゲ
ル35・・・をアルコール系溶媒44に混合する。
【0042】図7(a)〜(c)は本発明に係る炭化水
素系ポリマーの溶媒置換方法を説明する第5工程説明図
である。(a)において、ポリマーゲル35をアルコー
ル系溶媒44に混合した状態で、この混合液を撹拌す
る。混合液を撹拌することで、ポリマーゲル35内にア
ルコール系溶媒44のアルコール分子45・・・を取り込
む。
【0043】ポリマー分子34・・・をゲル状にすること
で、ポリマー分子34・・・がアルコール系溶媒44に接
触する面積が大きくなる。加えて、アルコール系溶媒4
4はポリマーゲル35内に進入しやすい性質を備えてい
る。このため、ポリマーゲル35内にアルコール系溶媒
44のアルコール分子45・・・を効率よく取り込むこと
ができる。加えて、ポリマーゲル35をアルコール系溶
媒44に混合させた状態で、この混合液を撹拌すること
でポリマーゲル35内にアルコール分子45・・・をより
一層効率よく取り込むことができる。
【0044】(b)において、ポリマーゲル35内にア
ルコール分子45・・・を取り込むことで、ポリマーゲル
35をポリマー分子34・・・に分解して、分解したポリ
マー分子34・・・をアルコール系溶媒44に溶解する。
(c)において、ポリマー分子34・・・をアルコール系
溶媒44に溶解することで、混合液30のNMP溶媒3
1をアルコール系溶媒44に置換することができ、アル
コール系のHC系ポリマー溶液46を得る。
【0045】また、撹拌として遠心撹拌法を採用するこ
とで、試料容器を自転させるとともに公転させながら試
料容器内の溶液を混合・溶解させるので、この方法を採
用することにより、スターラー等の一般的な撹拌法と比
べて短時間で溶液の混合・溶解が可能になる。
【0046】ここで、アルコール系溶媒44としては、
例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル(IPA)及びノルマルプロピルアルコール(NP
A)のうちの少なくとも一種が該当する。メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコールやノルマルプロピ
ルアルコールは、表面張力が小さく、炭化水素系ポリマ
ーとの溶解能力に優れている。このため、これらの溶媒
を使用することで、炭化水素系ポリマーを比較的簡単に
アルコール系溶媒に置換することができる。
【0047】次に、炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法
で得たアルコール系のHC系ポリマー溶液46で電解質
膜を成形する方法を図8〜図9に基づいて説明する。図
8(a),(b)は本発明に係る炭化水素系ポリマーの
溶媒置換方法で得た溶液による電解質膜の成形方法を説
明する第1工程説明図である。(a)において、負電極
板12を負極14が上向きになるようにセットし、負極
14及び負基板13のうちの負極14の周囲のから突出
した部位13aにアルコール系のHC系ポリマー溶液4
6を塗布する。
【0048】(b)において、アルコール系のHC系ポ
リマー溶液46の部位P1における力のつり合いは次式
で表わすことができる。 γSV=γSL+γLV×cosθ1 但し、γSV:負電極板〜気体間の界面張力 γSL:負電極板〜溶液間の界面張力 γLV:溶液〜気体間の界面張力 θ1 :接触角 ここで、アルコール系のHC系ポリマー溶液46の表面
張力を小さく抑えたので、γLV及びγSLを小さく抑える
ことができる。これにより、接触角θ1を小さくできる
ので、アルコール系のHC系ポリマー溶液46のぬれ性
を好適に保つことができる。
【0049】また、負極14などの電極は、触媒をバイ
ンダ(以下、「電極用溶媒」という)で結合している。
このため、負極14などの電極に電解質膜を好適に積層
するためには、電解質膜の溶媒で電極用溶媒を溶解する
必要がある。HC系ポリマー溶液46はアルコール系溶
媒を含んでおり、このアルコール系溶媒は、電極用溶媒
を溶解する極性やプロトン溶解性を備えている。このた
め、アルコール系のHC系ポリマー溶液46を負極14
に塗布した際に、アルコール系のHC系ポリマー溶液4
6が負極14に弾かれることを防止できる。
【0050】図9(a),(b)は本発明に係る炭化水
素系ポリマーの溶媒置換方法で得た溶液による電解質膜
の成形方法を説明する第2工程説明図である。(a)に
おいて、上述したように、アルコール系のHC系ポリマ
ー溶液46は、ぬれ性を好適に保つことができ、さらに
電極用溶媒を溶解する極性やプロトン溶解性を備えてい
るので、負極14及び負基板13の部位13aに塗布し
たアルコール系のHC系ポリマー溶液46が、負極14
及び負基板13の部位13aで弾かれることを防止でき
る。このため、アルコール系のHC系ポリマー溶液46
を負極14及び負基板13の部位13aに均一の厚さで
塗布することができる。
【0051】(b)において、負極14及び負基板13
の部位13aに均一に塗布したアルコール系のHC系ポ
リマー溶液46を、一例として乾燥炉のヒータ35で乾
燥する。これにより、負極14及び負基板13の部位1
3aに電解質膜15を均一の膜厚で成形することができ
る。
【0052】図10(a),(b)は比較例に係る電解
質膜の成形方法を説明する図であり、HC系ポリマー溶
液30(すなわち、NMP溶媒を含む混合液)を塗布し
た例について説明する。(a)において、図3(b)に
示す負極14及び負基板13のうちの負極14の周囲の
から突出した部位13aにHC系ポリマー溶液30を塗
布する。HC系ポリマー溶液30に含まれているNMP
は、表面張力が高いという性質を備えており、HC系ポ
リマー溶液30の表面張力は高くなる。
【0053】ここで、HC系ポリマー溶液30の部位P
2における力のつり合いは次式で表わすことができる。 γSV=γSL+γLV×cosθ2 但し、γSV:負電極板〜気体間の界面張力 γSL:負電極板〜溶液間の界面張力 γLV:溶液〜気体間の界面張力 θ2 :接触角 HC系ポリマー溶液30の表面張力が大きくので、γLV
及びγSLが大きくなり、接触角θ2が大きくなる。この
ため、HC系ポリマー溶液30のぬれ性は悪くなる。
【0054】また、HC系ポリマー溶液30はNMPの
溶媒31を含んでおり、このNMP溶媒31は、電極用
溶媒を溶解する極性やプロトン溶解性を備えていない。
このため、HC系ポリマー溶液30を負極14に塗布し
た際に、HC系ポリマー溶液30が負極14に弾かれ
る。
【0055】(b)において、上述したように、HC系
ポリマー溶液30は、ぬれ性が悪く、さらに電極用溶媒
を溶解する極性やプロトン溶解性を備えていないので、
HC系ポリマー溶液30が負極14及び負基板13の部
位13aで弾かれる。これにより、HC系ポリマー溶液
30を均一に塗布することは難しく、電解質膜15の膜
厚が不均一になる。このように電解質膜15の膜厚が不
均一になることで、電解質膜15で負極14を覆うこと
ができない部位が発生し、負極14が露出する可能性が
ある。
【0056】次に、図4(c)の希釈工程において、N
MP溶媒31の濃度を10wt%を越えないように調整
した理由を図11に基づいて説明する。図11は本発明
に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法で得た溶液で
電解質膜を成形した際の膜厚のバラツキ幅を説明するグ
ラフである。縦軸は電解質膜15の膜厚のバラツキ幅
(μm)を示し、横軸はNMP溶媒31の濃度(wt
%)を示す。なお、電解質膜15の膜厚のバラツキ幅は
20μmまでは許容するものとする。
【0057】NMP溶媒31の濃度が0〜10wt%の
範囲において、グラフ50は、比較的緩やかな傾斜とな
り、濃度が10wt%のときに膜厚のバラツキ幅を20
μmに抑えることができる。よって、NMP溶媒31の
濃度が0〜10wt%の範囲に設定することで、電解質
膜15の膜厚のバラツキ幅を許容値(20μm)を越え
ないようにすることができる。一方、NMP溶媒31の
濃度が10wt%を越えると、グラフ50は、比較的急
な傾斜となり、電解質膜15の膜厚のバラツキ幅は20
μmを大きく越えてしまう。そこで、希釈工程後の、N
MP溶媒31の濃度を10wt%を越えないように設定
した。
【0058】ここで、NMP溶媒31の濃度と電解質膜
15の膜厚のバラツキ幅との関係について説明する。電
解質膜15の膜厚のバラツキ幅は溶媒の表面張力に大き
く影響を受ける。そこで、表面張力の大きなNMP溶媒
31の濃度を10wt%を越えないように設定して、ア
ルコール系のHC系ポリマー溶液46の表面張力を小さ
く抑えるようにした。
【0059】これにより、アルコール系のHC系ポリマ
ー溶液46のぬれ性を好適に保つことができるので、例
えばHC系ポリマー溶液46を負極14に塗布した際
に、HC系ポリマー溶液46が負極14で弾かれること
を防ぐことができる。このため、HC系ポリマー溶液4
6を負電極板12に均一の厚さで塗布して、図2に示す
ように電解質膜15を均一の膜厚に成形することができ
る。
【0060】一方、NMP溶媒31の濃度が10wt%
を越えると、アルコール系のHC系ポリマー溶液46の
表面張力を小さく抑えることが難しくなる。これによ
り、HC系ポリマー溶液46のぬれ性を好適に保つこと
が難しく、例えばHC系ポリマー溶液46を負極14に
塗布した際に、HC系ポリマー溶液46が負極14で弾
かれてしまう。このため、HC系ポリマー溶液46を電
極板12に均一の厚さで塗布することが難しく、電解質
膜を均一の膜厚に成形することはできない。
【0061】次に、図5(a)の水除去工程において、
ポリマーゲル35を構成するポリマー分子34の濃度を
0.1〜3wt%に調整し、図6(a)の乾燥工程にお
いて、ポリマーゲル35を構成するポリマー分子34の
濃度を0.1〜20wt%に調整した理由を図12に基
づいて説明する。
【0062】図12は本発明に係る炭化水素系ポリマー
の溶媒置換方法の水除去工程後及び乾燥工程後のポリマ
ー分子の濃度に関するグラフである。縦軸は乾燥工程後
のポリマー分子34の濃度(wt%)を示し、横軸は水
除去工程後のポリマー分子34の濃度(wt%)を示
す。グラフに示すように、水除去工程においてポリマー
分子34の濃度を0.1〜3wt%に調整し、乾燥工程
においてポリマー分子34の濃度を0.1〜20wt%
に調整した領域51内であれば、ポリマーゲル35をア
ルコール系溶媒44に溶解することができる。
【0063】水除去工程においてポリマー分子34の濃
度を0.1〜3wt%に設定した理由はは以下の通りで
ある。水除去工程後の、ポリマー分子34の濃度が0.
1wt%未満にしかならないと、希釈に用いた水37が
ポリマーゲル35の表面35aから十分に除去されない
ことになる。このため、乾燥工程において、ポリマーゲ
ル35中から水分子38を効率よく乾燥させることが難
しくなる。そこで、ポリマーゲル35を構成するポリマ
ー分子34の濃度を0.1wt%以上に設定して、希釈
に用いた水37をポリマーゲル35の表面35aから十
分に除去するようにした。
【0064】一方、ポリマー分子34の濃度が3wt%
を越えるまで水除去工程をおこなうと、希釈に用いた水
37の除去に時間がかかり過ぎて生産性を高める妨げに
なる。そこで、ポリマーゲル35を構成するポリマー分
子34の濃度を3wt%以下に設定して、希釈に用いた
水37を比較的短い時間で除去するようにした。
【0065】また、乾燥工程においてポリマー分子の濃
度を0.1〜20wt%に設定した理由は以下の通りで
ある。乾燥工程後の、ポリマー分子34の濃度が0.1
wt%未満にしかならないと、ポリマーゲル35内の水
分子38が十分に除去されないことになり、ポリマーゲ
ル35中にアルコール溶媒44を取り込むことが難しく
なる。このため、ポリマーゲル35をアルコール溶媒4
4に溶解することができない。そこで、ポリマーゲル3
5を構成するポリマー分子34の濃度を0.1wt%以
上に設定して、ポリマーゲル35中にアルコール溶媒4
4を取り込むことができるようにした。
【0066】一方、ポリマー分子34の濃度が20wt
%を越えるまで乾燥工程をおこなうと、ポリマーゲル3
5はアルコール溶媒に再溶解しなくなる。そこで、ポリ
マーゲル35を構成するポリマー分子34の濃度を20
wt%を越えないように調整して、ポリマーゲル35を
アルコール溶媒に再溶解させるようにした。なお、ポリ
マーゲル35を構成するポリマー分子34の濃度を20
wt%以下に設定することで、ポリマーゲル35内の水
分子38を比較的短い時間で除去することが可能にな
り、生産性の向上に貢献することもできる。
【0067】次に、図5(b)の乾燥工程において、乾
燥の条件を常圧において乾燥温度20〜80℃、乾燥時
間0.5〜24時間に設定した理由を図13に基づいて
説明する。図13は本発明に係る炭化水素系ポリマーの
溶媒置換方法の乾燥条件を説明するグラフである。縦軸
は乾燥温度(℃)を示し、横軸は乾燥時間(hr)を示
す。このグラフはアルコール系溶媒に溶解可能なポリマ
ー分子の好適な濃度(0.1〜20wt%)に調整する
ための乾燥条件を示すグラフである。
【0068】すなわち、このグラフのエリア52がポリ
マー分子の好適濃度(0.1〜20wt%)に調整可能
なエリアを示す。このグラフから、乾燥温度を20℃に
設定した際には、24時間継続して乾燥をおこなうこと
でポリマー分子34の濃度を20wt%に調整すること
ができることが判る。また、乾燥温度を80℃に設定し
た際には、0.5時間の乾燥をおこなうことでポリマー
分子34の濃度を20wt%に調整することができるこ
とが判る。一方、ポリマー分子34の濃度を0.1wt
%に調整する際には、乾燥温度を20℃に設定して、
0.5時間の乾燥をおこなえばよいことが判る。
【0069】ここで、乾燥工程の条件を、常圧において
乾燥温度を20〜80℃、乾燥時間を0.5〜24時間
と設定した理由は以下の通りである。乾燥温度が20℃
未満になると、乾燥時間が24時間を越えることになり
生産性を高める妨げになる。そこで、乾燥温度が20℃
以上に設定して生産性の向上を図ることを可能にした。
一方、乾燥温度が80℃を越えるとポリマーが固化して
しまう。そこで、乾燥温度を80℃を越えないようにす
ることでポリマーの固化を防ぐようにした。
【0070】次に、アルコール系溶媒44を、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)及
びノルマルプロピルアルコール(NPA)のうちの少な
くとも一種とした理由を、表1に基づいて説明する。こ
こで、比較例はNMP、実施例1はメタノール、実施例
2はエタノール、実施例3はIPA、実施例4はNPA
である。なお、メタノール、エタノール、IPA及びN
PAには、それぞれ水が含まれている。
【0071】
【表1】
【0072】表1に示すように、比較例のNMPは、H
C系ポリマーに対する溶解能力や、炭素との相性はとも
に良好であるが、表面張力(25℃において)が0.0
41N/mと大きい。このため、比較例を溶媒としたH
C系ポリマーにおいて、電解質膜15の目標膜厚50μ
mに対して、成形膜厚は0〜110μmとなる。これに
より、成形膜厚のバラツキ幅が110μmになり膜厚は
不均一になる。
【0073】実施例1のメタノールは、アルコール系溶
媒である。メタノールはHC系ポリマーに対する溶解能
力や、炭素との相性はともに良好であり、加えて表面張
力(25℃において)も0.022N/mと小さい。こ
のため、実施例1を溶媒としたHC系ポリマーにおい
て、電解質膜15の目標膜厚50μmに対して、成形膜
厚を40〜60μmの範囲に抑えることができる。これ
により、成形膜厚のバラツキ幅を20μmと小さくして
膜厚を均一にできる。
【0074】実施例2のエタノールは、アルコール系溶
媒である。エタノールはHC系ポリマーに対する溶解能
力や、炭素との相性はともに良好であり、加えて表面張
力(25℃において)も0.022N/mと小さい。こ
のため、実施例2を溶媒としたHC系ポリマーにおい
て、電解質膜15の目標膜厚50μmに対して、成形膜
厚を40〜55μmの範囲に抑えることができる。これ
により、成形膜厚のバラツキ幅を15μmと小さくして
膜厚を均一にできる。
【0075】実施例3のIPAは、アルコール系溶媒で
ある。IPAはHC系ポリマーに対する溶解能力や、炭
素との相性はともに良好であり、加えて表面張力(25
℃において)も0.021N/mと小さい。このため、
実施例3を溶媒としたHC系ポリマーにおいて、電解質
膜15の目標膜厚50μmに対して、成形膜厚を45〜
55μmの範囲に抑えることができる。これにより、成
形膜厚のバラツキ幅を10μmと小さくして膜厚を均一
にできる。
【0076】実施例4のNPAは、アルコール系溶媒で
ある。NPAはHC系ポリマーに対する溶解能力や、炭
素との相性はともに良好であり、加えて表面張力(25
℃において)も0.023N/mと小さい。このため、
実施例4を溶媒としたHC系ポリマーにおいて、電解質
膜15の目標膜厚50μmに対して、成形膜厚を45〜
55μmの範囲に抑えることができる。これにより、成
形膜厚のバラツキ幅を10μmと小さくして膜厚を均一
にできる。
【0077】以上説明したように、比較例の溶液は表面
張力が大きく、比較例の溶液をHC系ポリマーの溶媒と
することで、電解質膜15の膜厚は不均一になる。この
結果、比較例はHC系ポリマーの溶媒として好ましくな
いので、判断は×である。一方、実施例1〜4の溶液は
表面張力が小さく、実施例1〜4の溶液をHC系ポリマ
ーの溶媒とすることで、電解質膜15の膜厚を均一にす
ることができる。この結果、実施例1〜4はHC系ポリ
マーの溶媒として好適なので、判断は○である。
【0078】なお、前記実施形態では、アルコール系溶
媒としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール及びノルマルプロピルアルコールのうちの一種を採
用する例について説明したが、これに限らないで、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びノル
マルプロピルアルコールのうちから、例えば2種のよう
に複数種を選択することも可能である。また、前記実施
形態では、本発明の溶媒置換方法で溶媒を置換したアル
コール系のHC系ポリマー溶液46を電解質膜15の成
形に用いる例について説明したが、この他の用途に用い
ることも可能である。
【0079】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、ポリマー分子をゲル化し、ゲル化し
たポリマーゲル中の溶媒を水で希釈して溶媒濃度を下
げ、希釈に用いた水をある程度除去した後、ポリマーゲ
ルをアルコール系溶媒に混合して撹拌する。
【0080】ポリマーをゲル状にすることで、ポリマー
分子がアルコール系溶媒に接触する面積が大きくなる。
加えて、アルコール系溶媒はポリマーゲル内に進入しや
すい性質を備えている。これにより、アルコール系溶媒
がポリマーゲル内に入り込んでポリマー分子をアルコー
ル系溶媒に溶解することができるので、炭化水素系ポリ
マー溶液の溶媒をアルコール系に置換することができ
る。
【0081】置換したアルコール系溶液は表面張力が小
さいので、アルコール系の炭化水素系ポリマー溶液の表
面張力を小さく抑えることができる。よって、炭化水素
系ポリマー溶液のぬれ性を好適に保つことができるの
で、例えば炭化水素系ポリマー溶液を電極に塗布した際
に、炭化水素系ポリマー溶液が電極で弾かれることを抑
えることができる。従って、炭化水素系ポリマー溶液を
電極に均一の厚さで塗布することができるので、炭化水
素系ポリマー溶液を乾燥した際に、電解質膜を均一の膜
厚に成形することができる。
【0082】請求項2は、希釈工程後の最初の溶媒の濃
度を10wt%を越えないように設定することで、最初
の溶媒を少量に調整する。これにより、炭化水素系ポリ
マー溶液の表面張力を小さく抑えることができ、炭化水
素系ポリマー溶液のぬれ性を好適に保つことができる。
これにより、例えば炭化水素系ポリマー溶液を電極に塗
布した際に、炭化水素系ポリマー溶液が電極で弾かれる
ことを防止できる。このため、炭化水素系ポリマー溶液
を電極板に均一の厚さで塗布することができるので、炭
化水素系ポリマー溶液を乾燥した際に、電解質膜を均一
の膜厚に成形することができる。
【0083】請求項3は、希釈に用いた水を濾紙を用い
て室温・常圧において除去することで、希釈に用いた水
を手間をかけないで簡単に除去することができる。この
ため、水除去工程を簡素化して生産性の向上を図ること
ができる。加えて、濾紙を用いる簡単な設備で水を除去
することができるので、設備費を抑えることができ、生
産性の向上を図ることができる。
【0084】請求項4は、ポリマーゲルを構成するポリ
マー分子の濃度を0.1〜3wt%に設定することで、
希釈に用いた水をポリマーゲルの表面から十分に除去す
ることができ、かつ希釈に用いた水を比較的時間をかけ
ないで除去することができる。このように、希釈に用い
た水をポリマーゲルの表面から十分に除去することで、
乾燥工程においてポリマーゲル中から水分子を効率よく
乾燥させることができる。加えて、希釈に用いた水を比
較的時間をかけないで除去することができるので、生産
性の向上を図ることが可能になる。
【0085】請求項5は、ポリマーゲルを構成するポリ
マー分子の濃度を0.1〜20wt%に設定すること
で、ポリマーゲル内の水分子が十分に除去することがで
き、かつポリマーゲルをアルコール溶媒に再溶解させる
ことを可能にした。このように、ポリマーゲル内の水分
子を十分に除去し、ポリマーゲルをアルコール溶媒に再
溶解可能とすることで、ポリマーゲル中にアルコール溶
媒を取り込むことができる。なお、ポリマーゲルを構成
するポリマー分子の濃度を20wt%を越えないように
調整することで、乾燥工程を短くして生産性の向上を図
ることも可能になる。
【0086】請求項6は、乾燥温度を20〜80℃に設
定することでポリマーの固化を防ぐことができる。さら
に、乾燥時間を0.5〜24時間に抑えることで、乾燥
時間を比較的短く抑え、かつ設備費を抑えるようにし
た。このように、乾燥時間を比較的短く抑えることで生
産性の向上を図ることができ、設備費を抑えることでコ
ストアップを抑えることが可能になる。
【0087】請求項7によれば、メタノール、イソプロ
ピルアルコールやノルマルプロピルアルコールは、表面
張力が小さく、HC系ポリマーゲルとの溶解能力に優れ
ている。そこで、アルコール系溶媒として、メタノー
ル、イソプロピルアルコール及びノルマルプロピルアル
コールのうちの少なくとも一種を採用した。このため、
これらの溶媒を使用することで、炭化水素系ポリマーを
比較的簡単にアルコール系溶媒に置換することができ
る。
【0088】請求項8は、ポリマーゲルをアルコール系
溶媒に混合させた状態で、この混合液を撹拌することで
ポリマーゲル内にアルコール系溶媒を効率よく取り込む
ことができる。これにより、ポリマー分子をアルコール
系溶媒に効率よく溶解することができる。また、遠心撹
拌法を採用することで、試料容器を自転させるとともに
公転させながら試料容器内の溶液を混合・溶解させるこ
とができるので、スターラー等の一般的な撹拌法と比べ
て短時間で溶液の混合・溶解が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を採用した燃料電池を示す分解斜視図
【図2】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法で成形した電解質膜を示す断面図
【図3】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を説明する第1工程説明図
【図4】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を説明する第2工程説明図
【図5】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を説明する第3工程説明図
【図6】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を説明する第4工程説明図
【図7】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法を説明する第5工程説明図
【図8】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法で得た溶液による電解質膜の成形方法を説明する第1
工程説明図
【図9】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
法で得た溶液による電解質膜の成形方法を説明する第2
工程説明図
【図10】比較例に係る電解質膜の成形方法を説明する
【図11】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換
方法で得た溶液で電解質膜を成形した際の膜厚のバラツ
キ幅を説明するグラフ
【図12】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換
方法の水除去工程後及び乾燥工程後のポリマー分子の濃
度に関するグラフ
【図13】本発明に係る炭化水素系ポリマーの溶媒置換
方法の乾燥条件を説明するグラフ
【図14】従来の燃料電池を示す説明図
【図15】従来の燃料電池を構成する電解質膜の成形方
法を示す説明図
【図16】HC系ポリマー溶液の性質を説明した図
【符号の説明】
11…燃料電池、14…負極、15…電解質膜、18…
正極、30…混合液、31…NMP溶媒(最初の溶
媒)、32…NMP分子、33…HC系ポリマー、34
…ポリマー分子、35…ポリマーゲル、37…水、38
…水分子、40…濾紙、44…アルコール系溶媒、45
…アルコール分子、46…アルコール系のHC系ポリマ
ー溶液。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA12 AC12 AC31 AE28 BA02 CA01 CA11 CA18 CB03 CB11 5H026 AA06 BB10 CX05 EE18

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒に炭化水素系ポリマーを混合させた
    混合液に、水を加えることで炭化水素系ポリマーのポリ
    マー分子をゲル化させるゲル化工程と、 ゲル化したポリマーゲルを大量の水で希釈することでポ
    リマーゲル中の溶媒の濃度を下げる希釈工程と、 希釈に用いた水を概ね除去する水除去工程と、 乾燥によりポリマーゲル中の水を除去する乾燥工程と、 ポリマーゲルをアルコール系溶媒に混合し、撹拌する溶
    解工程と、からなる炭化水素系ポリマーの溶媒置換方
    法。
  2. 【請求項2】 前記希釈工程後の最初の溶媒の濃度を1
    0wt%を越えないように設定したことを特徴とする請
    求項1記載の炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法。
  3. 【請求項3】 前記水除去工程では、室温・常圧におい
    て濾紙を用いて水を除去することを特徴とする請求項1
    記載の炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法。
  4. 【請求項4】 前記水除去工程で水を除去することで、
    前記ポリマーゲルを構成するポリマー分子の濃度を0.
    1〜3wt%に調整することを特徴とする請求項1記載
    の炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法。
  5. 【請求項5】 前記乾燥工程で水を除去することで、前
    記ポリマーゲルを構成するポリマー分子の濃度を0.1
    〜20wt%に調整することを特徴とする請求項1記載
    の炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法。
  6. 【請求項6】 前記乾燥工程の条件を、常圧において乾
    燥温度20〜80℃、乾燥時間0.5〜24時間とした
    ことを特徴とする請求項1記載の炭化水素系ポリマーの
    溶媒置換方法。
  7. 【請求項7】 前記アルコール系溶媒は、メタノール、
    エタノール、イソプロピルアルコール及びノルマルプロ
    ピルアルコールのうちの少なくとも一種であることを特
    徴とする請求項1記載の炭化水素系ポリマーの溶媒置換
    方法。
  8. 【請求項8】 前記撹拌として遠心撹拌法を採用し、こ
    の遠心撹拌法により常温・常圧でポリマーゲルをアルコ
    ール系溶媒に混合させることを特徴とする請求項1記載
    の炭化水素系ポリマーの溶媒置換方法。
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