JP2003168211A - 相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置 - Google Patents

相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置

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JP2003168211A JP2001364178A JP2001364178A JP2003168211A JP 2003168211 A JP2003168211 A JP 2003168211A JP 2001364178 A JP2001364178 A JP 2001364178A JP 2001364178 A JP2001364178 A JP 2001364178A JP 2003168211 A JP2003168211 A JP 2003168211A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相変化型光情報記録媒体への記録に際し、記
録時のレーザーパワーの決定方法を精度高く行なう記録
方法及び記録装置の提供。 【解決手段】 光情報記録媒体に対する最適記録パワー
Pw及びPw′を決定するためのテスト記録を行なうに
当り、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されて
いる状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベ
ルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテス
ト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決
定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーP
eの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、
未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で
記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.9
5〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去
を行なうことを特徴とする光情報記録媒体の記録方法及
び記録装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光を照射
することにより記録層材料に相変化を生じさせ、情報の
記録・再生・書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体
の記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来技術】レーザー光の照射により記録・再生を行な
う光情報記録媒体として、一度だけ記録可能(追記型)
なCD−RやDVD−R、書き換えが可能なCD−R
W、DVD−RW、DVD−RAM、MD、MOディス
クなどの様々な媒体が実用化されており、リムーバブル
な媒体として、カセットテープやフロッピー(登録商
標)ディスクなどの磁気記録媒体に代わり、年々需要が
高まっている。これらの光情報記録媒体のうち、CD−
RW、DVD−RW、DVD−RAMなどは、記録層の
材料として、結晶−非結晶相間又は結晶−結晶相間の転
移を利用する、いわゆる相変化材料を使用している。特
に、MD、MOなどの光磁気メモリーでは困難な単一ビ
ームによるオーバーライトが容易であり、記録・再生装
置側の光学系もより単純であることなどから、相変化型
光情報記録媒体の需要が高まっている。
【0003】一般に、相変化型光情報記録媒体に対して
情報の記録を行なう場合、オーバーライトを良好に行な
うために、レーザー光のパワーレベルを三段階に変調さ
せたパルスストラテジを使用して記録及び書き換えを行
なっている。その際、マルチスピード記録やCAV記録
のように、同じ記録媒体に対して異なる線速度で記録を
行なうと、低線速度領域よりも高線速度領域の方が記録
層を昇温させるために必要なエネルギー量が大きくなる
ため、適切な記録条件は異なってくる。そこで、低線速
度領域に比べて高線速度領域での記録パワーを高くした
り、記録パルスストラテジにおけるマルチパルス部の高
レベルパルスのパワーレベルをかける時間幅を長くする
など、線速度毎に最適な記録条件に変更することによ
り、良好な特性での記録を行なうことが要望されてい
る。
【0004】このときの最適記録条件は、記録媒体や記
録装置の材料・構成・仕様などによって異なる。また、
同一設計の記録媒体や記録装置であっても個体差があ
り、最適な記録条件が同一にならないこともある。その
ため、予め記録媒体中に線速度毎の標準記録装置に対す
る適切な記録条件の情報を入れておき、その情報を基に
して、各記録装置毎に、記録を行なう直前に、その都
度、テスト記録を行なって記録条件の詳細な設定を決め
るという手法が採用されている。しかし、この手法で
は、記録する度にテスト記録をすることになるため、記
録媒体中に予め設けられているテスト領域を使い切って
しまうことがある。その対策としては、一度使い切った
領域を消去して再使用することが考えられるが、再使用
した場合でもなお精度の高い記録条件を設定する方法に
ついて未だ明確に示された例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決するためになされたものであって、相
変化型光情報記録媒体の記録に際し、記録時のレーザー
パワーの決定方法を精度高く行なう記録方法及び記録装
置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、上記目的を達成することが可能な光情報記録
媒体の記録方法及び記録装置を見出した。即ち、上記課
題は、次の1)〜2)の発明によって解決される。 1) 同心円又は螺旋状の案内溝を有する透明基板上に
少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を
照射することにより該記録層に相変化を生じさせ、情報
の記録及び書き換えを行なう光情報記録媒体に対し、マ
ークエッジ記録方式で情報の記録を行なう際に、信号幅
がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信
号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワ
ーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号
の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間
幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計
(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTで
パワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパ
ルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の
低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅z
TでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成さ
れ、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びP
w′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパル
スパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去
を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルP
eの連続光を照射する光情報記録媒体の記録方法におい
て、該光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及び
Pw′を決定するためのテスト記録を行なうに当り、テ
スト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態
の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの
連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を
行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際
に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照
射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録
状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録し
た信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜
1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行
なうことを特徴とする光情報記録媒体の記録方法。 2) 相変化型光情報記録媒体に対し、マークエッジ記
録方式を採用し、信号幅がnT(nは正の整数、Tはク
ロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう
場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信
号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場
合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであ
るパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の
整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパ
ルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)Tで
パワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパル
ス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパル
ス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベ
ルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)で
ある記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録
された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様
にパワーレベルPeの連続光を照射する記録手段であっ
て、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されてい
る状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベル
Peの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト
記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定
の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPe
の照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未
記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記
録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95
〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を
行なうという前記相変化型光情報記録媒体に対する最適
記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録
手段を備えたことを特徴とする光情報記録媒体の記録装
置。
【0007】以下、上記本発明について詳しく説明す
る。本発明の光情報記録媒体の記録方法は、相変化型光
情報記録媒体をスピンドルモーターからなる駆動手段に
より回転駆動すると共に、レーザー駆動回路により記録
用ピックアップの半導体レーザー光源を駆動し、光学系
を介して光情報記録媒体に図1に示したようなfp部、
mp部、ep部を有するパルスストラテジのレーザー光
を照射することにより、該光情報記録媒体の記録層に相
変化を生じさせ、該光情報記録媒体からの反射光を記録
用ピックアップで受光し、情報の記録を行なうものであ
る(図2参照)。記録手段としては、記録層に対してマ
ークの幅として信号を記録する、いわゆるPWM記録
(マークエッジ記録)方式を使用し、記録すべき信号
を、変調部でクロックを用いて、書き換え型コンパクト
ディスクの情報記録に適したEFM(Eight−to
−Fourteen Modulation)変調方式
又はその改良変調方式などにより変調して記録を行な
う。
【0008】PWM記録方式により記録を行なう際に、
変調後の信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時
間:信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時
間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記
録パルスについては、パワーレベルPeの連続光とす
る。変調後の信号幅がnTである1信号の記録又は書き
換えを行なう場合の記録パルスについては、時間幅xT
でパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−
n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワー
レベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの
間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベ
ルパルスを有するマルチパルス部mpと、時間幅zTで
パワーレベルPbであるパルス部epとで構成し、n′
≦nでかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>
(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとす
る。図1は、n=4、n′=2のときの例を示したもの
である。また、記録された信号を消去する場合には、0
信号の記録の際と同様に、消去する範囲にパワーレベル
Peの連続光の照射を行なう。
【0009】本発明における記録パワーの最適化(OP
C:Optimum PowerControl)の方
法では、テスト記録領域が未記録状態の記録媒体であっ
ても、既に記録されている記録媒体であっても、記録前
に消去パワーPeの照射を行ない、その上にテスト記録
を行なって、記録された信号の変調度を測定する。テス
ト記録は、記録パワーPw及び/又はPw′を振って行
ない、Pw(Pw′)に対する変調度の変動を求めて、
その結果を基に最適な記録パワーを決定し、記録媒体へ
の情報の記録を実施する。このとき、未記録状態の上に
消去パワーPeの照射を行なったのち記録した信号の変
調度Muと、既に記録されている状態の上に消去パワー
Peの照射を行なったのち記録した信号の変調度Mrの
差が生じる。消去パワーPeが小さいと、記録済み部分
の消去を行なったとき、記録されている信号の消去が不
充分となるため、テスト記録を行なった際、ダイレクト
オーバーライトを行なった場合と同様に、1回記録であ
る未記録の部分にテスト記録を行なったときよりも、同
じ記録パワーPwのときの変調度が大きく(Mr>M
u)なり、消去が不充分なほど、その変調度差は広が
る。この変調度の差は、未記録状態のテスト記録領域を
使用してOPCを行なったときに求まる最適記録パワー
と、記録された信号を消去し、再使用してOPCを行な
ったときに求まる最適記録パワーの差に大きな影響を与
えることとなる。そのため、変調度MuとMrの差は、
両者の比の1/1からのズレでみて5%以内(即ち、M
r/Mu=0.95〜1.05)、好適には2%以内
(Mr/Mu=0.98〜1.02)であることが望ま
しい。5%を超えると、求まる記録パワーの差は大きく
なり、OPCの精度が確保できなくなる。消去パワーP
eについては、変調度の差が上記の範囲に収まるパワー
を選択する必要がある。
【0010】図3に、本発明の記録方法を用いて記録を
行なうのに適した光情報記録媒体の層構成の一例を示
す。基本的には、案内溝を有する透明基板1上に下部保
護層2、記録層3、上部保護層4、反射層5、オーバー
コート層6を有する層構成とし、必要に応じてオーバー
コート層上に印刷層8、基板の鏡面側にハードコート層
7を設けても良い。また、上記の単板ディスクを、接着
層9を介して貼り合わせた構造としても良く、貼り合わ
せる反対面のディスクは、同様の単板ディスクでも透明
基板のみでも良い。更に、印刷層を形成する前の単板デ
ィスクを貼り合わせ、貼り合わせ後に反対面側に印刷層
8′を形成しても良い。
【0011】基板の材料は、通常ガラス、セラミック
ス、又は樹脂であり、成形性、コストの点で樹脂基板が
好適である。樹脂の例としては、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、
アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ
素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる
が、成形性、光学特性、コストの点で優れたポリカーボ
ネート樹脂やアクリル樹脂が好ましい。
【0012】記録層材料としては、結晶−アモルファス
相間の相変化を起こし、それぞれが安定化又は準安定化
状態を取ることができるSb、Teを含む相変化型記録
材料が、記録(アモルファス化)感度・速度、消去(結
晶化)感度・速度、及び消去比が良好なため適してい
る。このSbTe材料に、Ga、Ge、Ag、In、B
i、C、N、O、Si、Sなどの元素を添加することに
より、記録・消去感度、信号特性、信頼性などを改善す
ることができる。そのため、目的とする記録線速度及び
線速度領域に応じて添加する元素や材料の組成比を調整
し、最適な記録線速度を制御すると同時に、記録した信
号の再生安定性や信号の寿命(信頼性)を確保すること
が望ましい。本発明の適用対象となる相変化型光情報記
録媒体においては、次の組成式で表される材料が、上記
特性を総合的に満足できる記録層材料であり、信号の再
生安定性や信号の寿命が優れているので、好適である。 (Ag及び/又はGe)α(Ga及び/又はIn)β
γTeδ ここで、α、β、γ、δは原子%であり、α、β、γ、
δは次の条件を満足するものである。 0<α≦6 2≦β≦10 60≦γ≦85 15≦δ≦27 α+β+γ+δ=100
【0013】相変化型記録層の膜厚は10〜50nm、
好適には12〜30nmとするのが良い。更にジッター
等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考慮す
ると、好適には14〜25nmとするのが良い。10n
mより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層としての
役割を果さなくなる。また、50nmより厚いと高速で
均一な相変化が起こり難くなる。このような相変化型記
録層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタ
リング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレ
ーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成でき
る。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点
で優れている。
【0014】相変化型記録層の上下には上部保護層、下
部保護層を形成する。保護層の材料としては、SiO、
SiO、ZnO、SnO、Al、TiO
In、MgO、ZrOなどの酸化物;Si
、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物;Zn
S、In、TaSなどの硫化物;SiC、Ta
C、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物;ダイヤ
モンド状カーボン;或いはそれらの混合物が挙げられ
る。これらの材料は、単体で保護層とすることもできる
が、互いの混合物としても良い。また、必要に応じて不
純物を含んでも良い。更に、単層でなく二層以上の積層
構造としても良い。但し、保護層の融点は、相変化型記
録層よりも高いことが必要である。
【0015】このような保護層は、各種気相成長法、例
えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD
法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム
蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリン
グ法が、量産性、膜質等の点で優れている。下部保護層
の膜厚は、反射率、変調度、記録感度に大きく影響す
る。従って、良好な信号特性を得るためには、膜厚を6
0〜120nmとする必要がある。上部保護層の膜厚
は、5〜45nm、好適には7〜40nmとするのが良
い。5nmより薄くなると耐熱性保護層としての機能を
果さなくなる。また、記録感度の低下を生じる。一方、
45nmより厚くなると、界面剥離を生じ易くなり、繰
り返し記録性能も低下する。
【0016】反射層には、Al、Au、Ag、Cu、T
a、Ti、Wなどの金属材料、又はこれらの元素を含む
合金などを用いることができる。また、耐腐食性の向
上、熱伝導率の改善などのために、上記材料に対してC
r、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどの元素を
添加しても良い。これらの元素の添加比率は、0.3〜
2原子%とするのが良い。0.3原子%より少ないと、
耐腐食性の効果が劣るし、2原子%より多くなると、熱
伝導率が上がり過ぎ、アモルファス状態を形成し難くな
る。このような反射層は、各種気相成長法、例えば真空
蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CV
D法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法など
によって形成できる。合金又は金属層からなる反射層の
膜厚としては、50〜200nm、好適には70〜16
0nmとするのが良い。また、合金又は金属層を多層化
することも可能である。多層化した場合には、各単層の
膜厚は少なくとも10nm必要であり、多層化膜の合計
膜厚は50〜160nmとするのが良い。
【0017】反射層の上には、その酸化防止のためにオ
ーバーコート層を形成することが好ましい。オーバーコ
ート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化型
樹脂が一般的である。その厚さは3〜15μmが適当で
ある。3μmより薄くすると、オーバーコート層上に印
刷層を設ける場合、エラーの増大が認められることがあ
る。一方、15μmより厚くすると、内部応力が大きく
なってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してし
まう。
【0018】また、基板表面の傷付き防止などを目的と
して必要に応じて設けられるハードコート層としては、
スピンコートで作製した紫外線硬化型樹脂が一般的であ
る。その厚さは、2〜6μmが適当であり、2μmより
薄くすると十分な耐擦傷性が得られず、6μmより厚く
すると内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械
特性に大きく影響してしまう。その硬度は、布で擦って
も大きな傷が付かない鉛筆硬度H以上とする。また、必
要に応じて、導電性の材料を混入して帯電防止を図り、
埃等の付着を防止することも効果的である。
【0019】印刷層は、耐擦傷性の確保、ブランド名な
どのレーベル印刷、インクジェットプリンタに対するイ
ンク受容層の形成などを目的としており、紫外線硬化型
樹脂層をスクリーン印刷法により形成するのが一般的で
ある。その厚さは、3〜50μmが適当である。3μm
より薄くすると、層形成時にムラが生じてしまう。50
μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、
ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0020】接着層としては、紫外線硬化型樹脂やシリ
コーン樹脂からなる接着剤、ホットメルト接着剤などを
用いることができる。このような接着層の材料は、オー
バーコート層又は印刷層上に、材料に応じて、スピンコ
ート、ロールコート、スクリーン印刷法などの方法によ
り塗布し、紫外線照射、加熱、加圧等の処理を行なって
反対面のディスクと貼り合わせる。反対面のディスク
は、同様の単板ディスクでも透明基板のみでも良く、反
対面ディスクの貼り合わせ面については、接着層の材料
を塗布してもしなくても良い。また、接着層としては、
粘着シートを用いることもできる。接着層の膜厚は特に
制限されるものではないが、材料の塗布性、硬化性、デ
ィスクの機械特性への影響を考慮すると5〜100μm
が好適である。接着面の範囲は特に制限されるものでは
ないが、DVD及び/又はCD互換が可能な光情報記録
媒体に応用する場合、接着強度を確保するためには内周
端の位置がΦ15〜40mm、好適にはΦ15〜30m
mであることが望ましい。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこの実施例により限定されるものではな
い。
【0022】実施例1 射出成形によりポリカーボネート基板を形成し、この基
板上に、下部保護層(膜厚80nm)、記録層(膜厚2
0nm)、上部保護層(膜厚20nm)、反射層(膜厚
140nm)を順次スパッタリング法により積層した。
下部及び上部保護層にはZnSSiO、記録層にはA
gGeInSbTe系相変化型記録材料、反射層にはA
gを用いた。更に、反射層上に紫外線硬化型樹脂のスピ
ンコートによるオーバーコート層を形成し、DVD−R
OM再生互換を有する相変化型光情報記録媒体の単板デ
ィスクを作成した。次いで、オーバーコート層上に接着
層を介してポリカーボネート基板を貼り合わせ、ポリカ
ーボネート基板の表面(貼り合わせ面の反対面)側に印
刷層を形成し、貼り合わせディスクを得た。その後、大
口径LD(ビーム径200×1μm)を有する初期化装
置によって、記録層の全面結晶化を行なった。以上のよ
うにして得たDVD−ROM互換の相変化型光情報記録
媒体に対し、DVD対応の光情報記録装置により、記録
線速度8.5m/sにおいて、記録パワーPw(=P
w′)=15.0mWで1回記録を行なった。この記録
した部分と未記録部分のそれぞれに対して、Pe=6.
0mW、7.0mW、8.0mWの消去パワーをかけた
後、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mW、
13.2/7.0mW、15/8.0mWでの記録を行
なった。また、消去パワーをかけずに記録する場合につ
いても同様に実施し、それぞれの条件におけるジッタ
ー、反射率、変調度の測定を行なった。結果を下記表1
に示す。表中の変調度欄の「差[%]」は、前述した変調
度の比「Mr/Mu」、即ち表中の「済/未」の「1/
1」からのズレを「%」で示したものである。また、P
w(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mWでの記録
における変調度差の消去パワー依存性について、図4に
示す。この結果から、それぞれの変調度の差が全て5%
以内に収まっている条件は、消去パワーPe=8.0m
Wのときのみであった。
【0023】
【表1】
【0024】続いて、Pe=8.0mWによって消去を
行なう条件で、テスト記録領域として未記録領域及び記
録済み領域を使用し、光情報記録装置によるOPCを、
それぞれ10回ずつ行なった。結果は下記表2に示す通
りであり、未記録領域を使用した場合の最適記録パワー
Pwの平均値は14.0mW、標準偏差は0.27、記
録済み領域を使用した場合の最適記録パワーPwの平均
値は14.1mW、標準偏差は0.22であった。どち
らの領域を用いた場合においても、最適記録パワーのバ
ラツキは少なく、かつ、殆んど等しいパワーを選択する
ことができた。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、相変化型光情報記録媒
体に記録を行なう際のレーザーパワーの決定方法とし
て、テスト記録前に消去パワーをかけること、及びその
消去パワーの範囲を特定することにより、高い精度で記
録パワーの最適化を行なうことができる記録方法及び記
録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】n=4、n′=2のときの記録パルスパターン
を示す図。
【図2】本発明の記録方法の実施形態を示す概念図。
【図3】本発明の記録方法を用いて記録を行なうのに適
した光情報記録媒体の層構成の一例を示す図。
【図4】実施例1において、Pw(=Pw′)/Pe=
11.3/6.0mWでの記録を行った場合の変調度差
の消去パワー依存性を示す図。
【符号の説明】
1 透明基板 2 下部保護層 3 記録層 4 上部保護層 5 反射層 6 オーバーコート層 7 ハードコート層 8 印刷層 8′ 印刷層 9 接着層 T クロック時間 Pw パワーレベル Pw′ パワーレベル Pe パワーレベル Pb パワーレベル Pb′ パワーレベル fp パワーレベルPwのパルス部 mp マルチパルス部 ep パワーレベルPbのパルス部 x パワーレベルPwであるパルス部fpの時間幅xT
を示す符号 y パワーレベルPw′であるパルス部とパワーレベル
Pb′であるパルス部からなるマルチパルス部mpの、
各パルス部の時間幅yT、(1−y)Tを示すための符
号 z パワーレベルPbであるパルス部epの時間幅zT
を示す符号
フロントページの続き (72)発明者 山田 勝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5D090 AA01 BB05 CC06 CC18 DD03 EE01 FF34 GG40 JJ12 KK03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同心円又は螺旋状の案内溝を有する透明
    基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レー
    ザー光を照射することにより該記録層に相変化を生じさ
    せ、情報の記録及び書き換えを行なう光情報記録媒体に
    対し、マークエッジ記録方式で情報の記録を行なう際
    に、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)
    である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パ
    ルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTで
    ある1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パル
    スは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部f
    pと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間
    幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高
    レベルパルスの間に時間幅(1−y)Tでパワーレベル
    Pb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、
    時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで
    構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及
    びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光の
    パルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の
    消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベ
    ルPeの連続光を照射する光情報記録媒体の記録方法に
    おいて、該光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw
    及びPw′を決定するためのテスト記録を行なうに当
    り、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されてい
    る状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベル
    Peの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト
    記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定
    の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPe
    の照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未
    記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記
    録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95
    〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を
    行なうことを特徴とする光情報記録媒体の記録方法。
  2. 【請求項2】 相変化型光情報記録媒体に対し、マーク
    エッジ記録方式を採用し、信号幅がnT(nは正の整
    数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換
    えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続
    光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換え
    を行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベ
    ルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、
    n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の
    高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1
    −y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つ
    マルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPb
    であるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつ
    パワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及び
    Pb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行
    ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の
    記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する記録
    手段であって、テスト記録領域が未記録状態及び既に記
    録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパ
    ワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その
    後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記
    録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去
    パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度
    Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行な
    った後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」
    が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記
    録前消去を行なうという前記相変化型光情報記録媒体に
    対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するための
    テスト記録手段を備えたことを特徴とする光情報記録媒
    体の記録装置。
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