JP3847151B2 - 相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置 - Google Patents
相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を照射することにより記録層材料に相変化を生じさせ、情報の記録・再生・書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来技術】
レーザー光の照射により記録・再生を行なう光情報記録媒体として、一度だけ記録可能(追記型)なCD−RやDVD−R、書き換えが可能なCD−RW、DVD−RW、DVD−RAM、MD、MOディスクなどの様々な媒体が実用化されており、リムーバブルな媒体として、カセットテープやフロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気記録媒体に代わり、年々需要が高まっている。
これらの光情報記録媒体のうち、CD−RW、DVD−RW、DVD−RAMなどは、記録層の材料として、結晶−非結晶相間又は結晶−結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化材料を使用している。特に、MD、MOなどの光磁気メモリーでは困難な単一ビームによるオーバーライトが容易であり、記録・再生装置側の光学系もより単純であることなどから、相変化型光情報記録媒体の需要が高まっている。
【0003】
一般に、相変化型光情報記録媒体に対して情報の記録を行なう場合、オーバーライトを良好に行なうために、レーザー光のパワーレベルを三段階に変調させたパルスストラテジを使用して記録及び書き換えを行なっている。その際、マルチスピード記録やCAV記録のように、同じ記録媒体に対して異なる線速度で記録を行なうと、低線速度領域よりも高線速度領域の方が記録層を昇温させるために必要なエネルギー量が大きくなるため、適切な記録条件は異なってくる。そこで、低線速度領域に比べて高線速度領域での記録パワーを高くしたり、記録パルスストラテジにおけるマルチパルス部の高レベルパルスのパワーレベルをかける時間幅を長くするなど、線速度毎に最適な記録条件に変更することにより、良好な特性での記録を行なうことが要望されている。
【0004】
このときの最適記録条件は、記録媒体や記録装置の材料・構成・仕様などによって異なる。また、同一設計の記録媒体や記録装置であっても個体差があり、最適な記録条件が同一にならないこともある。そのため、予め記録媒体中に線速度毎の標準記録装置に対する適切な記録条件の情報を入れておき、その情報を基にして、各記録装置毎に、記録を行なう直前に、その都度、テスト記録を行なって記録条件の詳細な設定を決めるという手法が採用されている。
しかし、この手法では、記録する度にテスト記録をすることになるため、記録媒体中に予め設けられているテスト領域を使い切ってしまうことがある。
その対策としては、一度使い切った領域を消去して再使用することが考えられるが、再使用した場合でもなお精度の高い記録条件を設定する方法について未だ明確に示された例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、相変化型光情報記録媒体の記録に際し、記録時のレーザーパワーの決定方法を精度高く行なう記録方法及び記録装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、上記目的を達成することが可能な光情報記録媒体の記録方法及び記録装置を見出した。
即ち、上記課題は、次の1)〜2)の発明によって解決される。
1) 同心円又は螺旋状の案内溝を有する透明基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより該記録層に相変化を生じさせ、情報の記録及び書き換えを行なう光情報記録媒体に対し、マークエッジ記録方式で情報の記録を行なう際に、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する光情報記録媒体の記録方法において、該光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録を行なうに当り、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行なうことを特徴とする光情報記録媒体の記録方法。
2) 相変化型光情報記録媒体に対し、マークエッジ記録方式を採用し、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する記録手段であって、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行なうという前記相変化型光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録手段を備えたことを特徴とする光情報記録媒体の記録装置。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の光情報記録媒体の記録方法は、相変化型光情報記録媒体をスピンドルモーターからなる駆動手段により回転駆動すると共に、レーザー駆動回路により記録用ピックアップの半導体レーザー光源を駆動し、光学系を介して光情報記録媒体に図1に示したようなfp部、mp部、ep部を有するパルスストラテジのレーザー光を照射することにより、該光情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、該光情報記録媒体からの反射光を記録用ピックアップで受光し、情報の記録を行なうものである(図2参照)。
記録手段としては、記録層に対してマークの幅として信号を記録する、いわゆるPWM記録(マークエッジ記録)方式を使用し、記録すべき信号を、変調部でクロックを用いて、書き換え型コンパクトディスクの情報記録に適したEFM(Eight−to−Fourteen Modulation)変調方式又はその改良変調方式などにより変調して記録を行なう。
【0008】
PWM記録方式により記録を行なう際に、変調後の信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間:信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスについては、パワーレベルPeの連続光とする。
変調後の信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスについては、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを有するマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成し、n′≦nでかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとする。
図1は、n=4、n′=2のときの例を示したものである。また、記録された信号を消去する場合には、0信号の記録の際と同様に、消去する範囲にパワーレベルPeの連続光の照射を行なう。
【0009】
本発明における記録パワーの最適化(OPC:Optimum Power Control)の方法では、テスト記録領域が未記録状態の記録媒体であっても、既に記録されている記録媒体であっても、記録前に消去パワーPeの照射を行ない、その上にテスト記録を行なって、記録された信号の変調度を測定する。
テスト記録は、記録パワーPw及び/又はPw′を振って行ない、Pw(Pw′)に対する変調度の変動を求めて、その結果を基に最適な記録パワーを決定し、記録媒体への情報の記録を実施する。
このとき、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なったのち記録した信号の変調度Muと、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なったのち記録した信号の変調度Mrの差が生じる。
消去パワーPeが小さいと、記録済み部分の消去を行なったとき、記録されている信号の消去が不充分となるため、テスト記録を行なった際、ダイレクトオーバーライトを行なった場合と同様に、1回記録である未記録の部分にテスト記録を行なったときよりも、同じ記録パワーPwのときの変調度が大きく(Mr>Mu)なり、消去が不充分なほど、その変調度差は広がる。
この変調度の差は、未記録状態のテスト記録領域を使用してOPCを行なったときに求まる最適記録パワーと、記録された信号を消去し、再使用してOPCを行なったときに求まる最適記録パワーの差に大きな影響を与えることとなる。
そのため、変調度MuとMrの差は、両者の比の1/1からのズレでみて5%以内(即ち、Mr/Mu=0.95〜1.05)、好適には2%以内(Mr/Mu=0.98〜1.02)であることが望ましい。5%を超えると、求まる記録パワーの差は大きくなり、OPCの精度が確保できなくなる。
消去パワーPeについては、変調度の差が上記の範囲に収まるパワーを選択する必要がある。
【0010】
図3に、本発明の記録方法を用いて記録を行なうのに適した光情報記録媒体の層構成の一例を示す。
基本的には、案内溝を有する透明基板1上に下部保護層2、記録層3、上部保護層4、反射層5、オーバーコート層6を有する層構成とし、必要に応じてオーバーコート層上に印刷層8、基板の鏡面側にハードコート層7を設けても良い。
また、上記の単板ディスクを、接着層9を介して貼り合わせた構造としても良く、貼り合わせる反対面のディスクは、同様の単板ディスクでも透明基板のみでも良い。更に、印刷層を形成する前の単板ディスクを貼り合わせ、貼り合わせ後に反対面側に印刷層8′を形成しても良い。
【0011】
基板の材料は、通常ガラス、セラミックス、又は樹脂であり、成形性、コストの点で樹脂基板が好適である。樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、成形性、光学特性、コストの点で優れたポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂が好ましい。
【0012】
記録層材料としては、結晶−アモルファス相間の相変化を起こし、それぞれが安定化又は準安定化状態を取ることができるSb、Teを含む相変化型記録材料が、記録(アモルファス化)感度・速度、消去(結晶化)感度・速度、及び消去比が良好なため適している。
このSbTe材料に、Ga、Ge、Ag、In、Bi、C、N、O、Si、Sなどの元素を添加することにより、記録・消去感度、信号特性、信頼性などを改善することができる。そのため、目的とする記録線速度及び線速度領域に応じて添加する元素や材料の組成比を調整し、最適な記録線速度を制御すると同時に、記録した信号の再生安定性や信号の寿命(信頼性)を確保することが望ましい。
本発明の適用対象となる相変化型光情報記録媒体においては、次の組成式で表される材料が、上記特性を総合的に満足できる記録層材料であり、信号の再生安定性や信号の寿命が優れているので、好適である。
(Ag及び/又はGe)α(Ga及び/又はIn)βSbγTeδ
ここで、α、β、γ、δは原子%であり、α、β、γ、δは次の条件を満足するものである。
0<α≦6
2≦β≦10
60≦γ≦85
15≦δ≦27
α+β+γ+δ=100
【0013】
相変化型記録層の膜厚は10〜50nm、好適には12〜30nmとするのが良い。更にジッター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考慮すると、好適には14〜25nmとするのが良い。10nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層としての役割を果さなくなる。また、50nmより厚いと高速で均一な相変化が起こり難くなる。
このような相変化型記録層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
【0014】
相変化型記録層の上下には上部保護層、下部保護層を形成する。
保護層の材料としては、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al2O3、TiO2、In2O3、MgO、ZrO2などの酸化物;Si3N4、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物;ZnS、In2S3、TaS4などの硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物;ダイヤモンド状カーボン;或いはそれらの混合物が挙げられる。
これらの材料は、単体で保護層とすることもできるが、互いの混合物としても良い。また、必要に応じて不純物を含んでも良い。更に、単層でなく二層以上の積層構造としても良い。但し、保護層の融点は、相変化型記録層よりも高いことが必要である。
【0015】
このような保護層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
下部保護層の膜厚は、反射率、変調度、記録感度に大きく影響する。従って、良好な信号特性を得るためには、膜厚を60〜120nmとする必要がある。
上部保護層の膜厚は、5〜45nm、好適には7〜40nmとするのが良い。5nmより薄くなると耐熱性保護層としての機能を果さなくなる。また、記録感度の低下を生じる。一方、45nmより厚くなると、界面剥離を生じ易くなり、繰り返し記録性能も低下する。
【0016】
反射層には、Al、Au、Ag、Cu、Ta、Ti、Wなどの金属材料、又はこれらの元素を含む合金などを用いることができる。また、耐腐食性の向上、熱伝導率の改善などのために、上記材料に対してCr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどの元素を添加しても良い。これらの元素の添加比率は、0.3〜2原子%とするのが良い。0.3原子%より少ないと、耐腐食性の効果が劣るし、2原子%より多くなると、熱伝導率が上がり過ぎ、アモルファス状態を形成し難くなる。
このような反射層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。
合金又は金属層からなる反射層の膜厚としては、50〜200nm、好適には70〜160nmとするのが良い。また、合金又は金属層を多層化することも可能である。多層化した場合には、各単層の膜厚は少なくとも10nm必要であり、多層化膜の合計膜厚は50〜160nmとするのが良い。
【0017】
反射層の上には、その酸化防止のためにオーバーコート層を形成することが好ましい。
オーバーコート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化型樹脂が一般的である。その厚さは3〜15μmが適当である。3μmより薄くすると、オーバーコート層上に印刷層を設ける場合、エラーの増大が認められることがある。一方、15μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0018】
また、基板表面の傷付き防止などを目的として必要に応じて設けられるハードコート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化型樹脂が一般的である。
その厚さは、2〜6μmが適当であり、2μmより薄くすると十分な耐擦傷性が得られず、6μmより厚くすると内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
その硬度は、布で擦っても大きな傷が付かない鉛筆硬度H以上とする。
また、必要に応じて、導電性の材料を混入して帯電防止を図り、埃等の付着を防止することも効果的である。
【0019】
印刷層は、耐擦傷性の確保、ブランド名などのレーベル印刷、インクジェットプリンタに対するインク受容層の形成などを目的としており、紫外線硬化型樹脂層をスクリーン印刷法により形成するのが一般的である。
その厚さは、3〜50μmが適当である。3μmより薄くすると、層形成時にムラが生じてしまう。50μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0020】
接着層としては、紫外線硬化型樹脂やシリコーン樹脂からなる接着剤、ホットメルト接着剤などを用いることができる。
このような接着層の材料は、オーバーコート層又は印刷層上に、材料に応じて、スピンコート、ロールコート、スクリーン印刷法などの方法により塗布し、紫外線照射、加熱、加圧等の処理を行なって反対面のディスクと貼り合わせる。
反対面のディスクは、同様の単板ディスクでも透明基板のみでも良く、反対面ディスクの貼り合わせ面については、接着層の材料を塗布してもしなくても良い。また、接着層としては、粘着シートを用いることもできる。
接着層の膜厚は特に制限されるものではないが、材料の塗布性、硬化性、ディスクの機械特性への影響を考慮すると5〜100μmが好適である。
接着面の範囲は特に制限されるものではないが、DVD及び/又はCD互換が可能な光情報記録媒体に応用する場合、接着強度を確保するためには内周端の位置がΦ15〜40mm、好適にはΦ15〜30mmであることが望ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
【0022】
実施例1
射出成形によりポリカーボネート基板を形成し、この基板上に、下部保護層(膜厚80nm)、記録層(膜厚20nm)、上部保護層(膜厚20nm)、反射層(膜厚140nm)を順次スパッタリング法により積層した。
下部及び上部保護層にはZnSSiO2、記録層にはAgGeInSbTe系相変化型記録材料、反射層にはAgを用いた。
更に、反射層上に紫外線硬化型樹脂のスピンコートによるオーバーコート層を形成し、DVD−ROM再生互換を有する相変化型光情報記録媒体の単板ディスクを作成した。
次いで、オーバーコート層上に接着層を介してポリカーボネート基板を貼り合わせ、ポリカーボネート基板の表面(貼り合わせ面の反対面)側に印刷層を形成し、貼り合わせディスクを得た。
その後、大口径LD(ビーム径200×1μm)を有する初期化装置によって、記録層の全面結晶化を行なった。
以上のようにして得たDVD−ROM互換の相変化型光情報記録媒体に対し、DVD対応の光情報記録装置により、記録線速度8.5m/sにおいて、記録パワーPw(=Pw′)=15.0mWで1回記録を行なった。
この記録した部分と未記録部分のそれぞれに対して、Pe=6.0mW、7.0mW、8.0mWの消去パワーをかけた後、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mW、13.2/7.0mW、15/8.0mWでの記録を行なった。
また、消去パワーをかけずに記録する場合についても同様に実施し、それぞれの条件におけるジッター、反射率、変調度の測定を行なった。
結果を下記表1に示す。表中の変調度欄の「差[%]」は、前述した変調度の比「Mr/Mu」、即ち表中の「済/未」の「1/1」からのズレを「%」で示したものである。
また、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mWでの記録における変調度差の消去パワー依存性について、図4に示す。
この結果から、それぞれの変調度の差が全て5%以内に収まっている条件は、消去パワーPe=8.0mWのときのみであった。
【0023】
【表1】
【0024】
続いて、Pe=8.0mWによって消去を行なう条件で、テスト記録領域として未記録領域及び記録済み領域を使用し、光情報記録装置によるOPCを、それぞれ10回ずつ行なった。
結果は下記表2に示す通りであり、未記録領域を使用した場合の最適記録パワーPwの平均値は14.0mW、標準偏差は0.27、記録済み領域を使用した場合の最適記録パワーPwの平均値は14.1mW、標準偏差は0.22であった。
どちらの領域を用いた場合においても、最適記録パワーのバラツキは少なく、かつ、殆んど等しいパワーを選択することができた。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、相変化型光情報記録媒体に記録を行なう際のレーザーパワーの決定方法として、テスト記録前に消去パワーをかけること、及びその消去パワーの範囲を特定することにより、高い精度で記録パワーの最適化を行なうことができる記録方法及び記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】n=4、n′=2のときの記録パルスパターンを示す図。
【図2】本発明の記録方法の実施形態を示す概念図。
【図3】本発明の記録方法を用いて記録を行なうのに適した光情報記録媒体の層構成の一例を示す図。
【図4】実施例1において、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mWでの記録を行った場合の変調度差の消去パワー依存性を示す図。
【符号の説明】
1 透明基板
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
5 反射層
6 オーバーコート層
7 ハードコート層
8 印刷層
8′ 印刷層
9 接着層
T クロック時間
Pw パワーレベル
Pw′ パワーレベル
Pe パワーレベル
Pb パワーレベル
Pb′ パワーレベル
fp パワーレベルPwのパルス部
mp マルチパルス部
ep パワーレベルPbのパルス部
x パワーレベルPwであるパルス部fpの時間幅xTを示す符号
y パワーレベルPw′であるパルス部とパワーレベルPb′であるパルス部からなるマルチパルス部mpの、各パルス部の時間幅yT、(1−y)Tを示すための符号
z パワーレベルPbであるパルス部epの時間幅zTを示す符号
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を照射することにより記録層材料に相変化を生じさせ、情報の記録・再生・書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来技術】
レーザー光の照射により記録・再生を行なう光情報記録媒体として、一度だけ記録可能(追記型)なCD−RやDVD−R、書き換えが可能なCD−RW、DVD−RW、DVD−RAM、MD、MOディスクなどの様々な媒体が実用化されており、リムーバブルな媒体として、カセットテープやフロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気記録媒体に代わり、年々需要が高まっている。
これらの光情報記録媒体のうち、CD−RW、DVD−RW、DVD−RAMなどは、記録層の材料として、結晶−非結晶相間又は結晶−結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化材料を使用している。特に、MD、MOなどの光磁気メモリーでは困難な単一ビームによるオーバーライトが容易であり、記録・再生装置側の光学系もより単純であることなどから、相変化型光情報記録媒体の需要が高まっている。
【0003】
一般に、相変化型光情報記録媒体に対して情報の記録を行なう場合、オーバーライトを良好に行なうために、レーザー光のパワーレベルを三段階に変調させたパルスストラテジを使用して記録及び書き換えを行なっている。その際、マルチスピード記録やCAV記録のように、同じ記録媒体に対して異なる線速度で記録を行なうと、低線速度領域よりも高線速度領域の方が記録層を昇温させるために必要なエネルギー量が大きくなるため、適切な記録条件は異なってくる。そこで、低線速度領域に比べて高線速度領域での記録パワーを高くしたり、記録パルスストラテジにおけるマルチパルス部の高レベルパルスのパワーレベルをかける時間幅を長くするなど、線速度毎に最適な記録条件に変更することにより、良好な特性での記録を行なうことが要望されている。
【0004】
このときの最適記録条件は、記録媒体や記録装置の材料・構成・仕様などによって異なる。また、同一設計の記録媒体や記録装置であっても個体差があり、最適な記録条件が同一にならないこともある。そのため、予め記録媒体中に線速度毎の標準記録装置に対する適切な記録条件の情報を入れておき、その情報を基にして、各記録装置毎に、記録を行なう直前に、その都度、テスト記録を行なって記録条件の詳細な設定を決めるという手法が採用されている。
しかし、この手法では、記録する度にテスト記録をすることになるため、記録媒体中に予め設けられているテスト領域を使い切ってしまうことがある。
その対策としては、一度使い切った領域を消去して再使用することが考えられるが、再使用した場合でもなお精度の高い記録条件を設定する方法について未だ明確に示された例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、相変化型光情報記録媒体の記録に際し、記録時のレーザーパワーの決定方法を精度高く行なう記録方法及び記録装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、上記目的を達成することが可能な光情報記録媒体の記録方法及び記録装置を見出した。
即ち、上記課題は、次の1)〜2)の発明によって解決される。
1) 同心円又は螺旋状の案内溝を有する透明基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより該記録層に相変化を生じさせ、情報の記録及び書き換えを行なう光情報記録媒体に対し、マークエッジ記録方式で情報の記録を行なう際に、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する光情報記録媒体の記録方法において、該光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録を行なうに当り、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行なうことを特徴とする光情報記録媒体の記録方法。
2) 相変化型光情報記録媒体に対し、マークエッジ記録方式を採用し、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する記録手段であって、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行なうという前記相変化型光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録手段を備えたことを特徴とする光情報記録媒体の記録装置。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の光情報記録媒体の記録方法は、相変化型光情報記録媒体をスピンドルモーターからなる駆動手段により回転駆動すると共に、レーザー駆動回路により記録用ピックアップの半導体レーザー光源を駆動し、光学系を介して光情報記録媒体に図1に示したようなfp部、mp部、ep部を有するパルスストラテジのレーザー光を照射することにより、該光情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、該光情報記録媒体からの反射光を記録用ピックアップで受光し、情報の記録を行なうものである(図2参照)。
記録手段としては、記録層に対してマークの幅として信号を記録する、いわゆるPWM記録(マークエッジ記録)方式を使用し、記録すべき信号を、変調部でクロックを用いて、書き換え型コンパクトディスクの情報記録に適したEFM(Eight−to−Fourteen Modulation)変調方式又はその改良変調方式などにより変調して記録を行なう。
【0008】
PWM記録方式により記録を行なう際に、変調後の信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間:信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスについては、パワーレベルPeの連続光とする。
変調後の信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスについては、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを有するマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成し、n′≦nでかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとする。
図1は、n=4、n′=2のときの例を示したものである。また、記録された信号を消去する場合には、0信号の記録の際と同様に、消去する範囲にパワーレベルPeの連続光の照射を行なう。
【0009】
本発明における記録パワーの最適化(OPC:Optimum Power Control)の方法では、テスト記録領域が未記録状態の記録媒体であっても、既に記録されている記録媒体であっても、記録前に消去パワーPeの照射を行ない、その上にテスト記録を行なって、記録された信号の変調度を測定する。
テスト記録は、記録パワーPw及び/又はPw′を振って行ない、Pw(Pw′)に対する変調度の変動を求めて、その結果を基に最適な記録パワーを決定し、記録媒体への情報の記録を実施する。
このとき、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なったのち記録した信号の変調度Muと、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なったのち記録した信号の変調度Mrの差が生じる。
消去パワーPeが小さいと、記録済み部分の消去を行なったとき、記録されている信号の消去が不充分となるため、テスト記録を行なった際、ダイレクトオーバーライトを行なった場合と同様に、1回記録である未記録の部分にテスト記録を行なったときよりも、同じ記録パワーPwのときの変調度が大きく(Mr>Mu)なり、消去が不充分なほど、その変調度差は広がる。
この変調度の差は、未記録状態のテスト記録領域を使用してOPCを行なったときに求まる最適記録パワーと、記録された信号を消去し、再使用してOPCを行なったときに求まる最適記録パワーの差に大きな影響を与えることとなる。
そのため、変調度MuとMrの差は、両者の比の1/1からのズレでみて5%以内(即ち、Mr/Mu=0.95〜1.05)、好適には2%以内(Mr/Mu=0.98〜1.02)であることが望ましい。5%を超えると、求まる記録パワーの差は大きくなり、OPCの精度が確保できなくなる。
消去パワーPeについては、変調度の差が上記の範囲に収まるパワーを選択する必要がある。
【0010】
図3に、本発明の記録方法を用いて記録を行なうのに適した光情報記録媒体の層構成の一例を示す。
基本的には、案内溝を有する透明基板1上に下部保護層2、記録層3、上部保護層4、反射層5、オーバーコート層6を有する層構成とし、必要に応じてオーバーコート層上に印刷層8、基板の鏡面側にハードコート層7を設けても良い。
また、上記の単板ディスクを、接着層9を介して貼り合わせた構造としても良く、貼り合わせる反対面のディスクは、同様の単板ディスクでも透明基板のみでも良い。更に、印刷層を形成する前の単板ディスクを貼り合わせ、貼り合わせ後に反対面側に印刷層8′を形成しても良い。
【0011】
基板の材料は、通常ガラス、セラミックス、又は樹脂であり、成形性、コストの点で樹脂基板が好適である。樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、成形性、光学特性、コストの点で優れたポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂が好ましい。
【0012】
記録層材料としては、結晶−アモルファス相間の相変化を起こし、それぞれが安定化又は準安定化状態を取ることができるSb、Teを含む相変化型記録材料が、記録(アモルファス化)感度・速度、消去(結晶化)感度・速度、及び消去比が良好なため適している。
このSbTe材料に、Ga、Ge、Ag、In、Bi、C、N、O、Si、Sなどの元素を添加することにより、記録・消去感度、信号特性、信頼性などを改善することができる。そのため、目的とする記録線速度及び線速度領域に応じて添加する元素や材料の組成比を調整し、最適な記録線速度を制御すると同時に、記録した信号の再生安定性や信号の寿命(信頼性)を確保することが望ましい。
本発明の適用対象となる相変化型光情報記録媒体においては、次の組成式で表される材料が、上記特性を総合的に満足できる記録層材料であり、信号の再生安定性や信号の寿命が優れているので、好適である。
(Ag及び/又はGe)α(Ga及び/又はIn)βSbγTeδ
ここで、α、β、γ、δは原子%であり、α、β、γ、δは次の条件を満足するものである。
0<α≦6
2≦β≦10
60≦γ≦85
15≦δ≦27
α+β+γ+δ=100
【0013】
相変化型記録層の膜厚は10〜50nm、好適には12〜30nmとするのが良い。更にジッター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考慮すると、好適には14〜25nmとするのが良い。10nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層としての役割を果さなくなる。また、50nmより厚いと高速で均一な相変化が起こり難くなる。
このような相変化型記録層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
【0014】
相変化型記録層の上下には上部保護層、下部保護層を形成する。
保護層の材料としては、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al2O3、TiO2、In2O3、MgO、ZrO2などの酸化物;Si3N4、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物;ZnS、In2S3、TaS4などの硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物;ダイヤモンド状カーボン;或いはそれらの混合物が挙げられる。
これらの材料は、単体で保護層とすることもできるが、互いの混合物としても良い。また、必要に応じて不純物を含んでも良い。更に、単層でなく二層以上の積層構造としても良い。但し、保護層の融点は、相変化型記録層よりも高いことが必要である。
【0015】
このような保護層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
下部保護層の膜厚は、反射率、変調度、記録感度に大きく影響する。従って、良好な信号特性を得るためには、膜厚を60〜120nmとする必要がある。
上部保護層の膜厚は、5〜45nm、好適には7〜40nmとするのが良い。5nmより薄くなると耐熱性保護層としての機能を果さなくなる。また、記録感度の低下を生じる。一方、45nmより厚くなると、界面剥離を生じ易くなり、繰り返し記録性能も低下する。
【0016】
反射層には、Al、Au、Ag、Cu、Ta、Ti、Wなどの金属材料、又はこれらの元素を含む合金などを用いることができる。また、耐腐食性の向上、熱伝導率の改善などのために、上記材料に対してCr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどの元素を添加しても良い。これらの元素の添加比率は、0.3〜2原子%とするのが良い。0.3原子%より少ないと、耐腐食性の効果が劣るし、2原子%より多くなると、熱伝導率が上がり過ぎ、アモルファス状態を形成し難くなる。
このような反射層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。
合金又は金属層からなる反射層の膜厚としては、50〜200nm、好適には70〜160nmとするのが良い。また、合金又は金属層を多層化することも可能である。多層化した場合には、各単層の膜厚は少なくとも10nm必要であり、多層化膜の合計膜厚は50〜160nmとするのが良い。
【0017】
反射層の上には、その酸化防止のためにオーバーコート層を形成することが好ましい。
オーバーコート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化型樹脂が一般的である。その厚さは3〜15μmが適当である。3μmより薄くすると、オーバーコート層上に印刷層を設ける場合、エラーの増大が認められることがある。一方、15μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0018】
また、基板表面の傷付き防止などを目的として必要に応じて設けられるハードコート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化型樹脂が一般的である。
その厚さは、2〜6μmが適当であり、2μmより薄くすると十分な耐擦傷性が得られず、6μmより厚くすると内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
その硬度は、布で擦っても大きな傷が付かない鉛筆硬度H以上とする。
また、必要に応じて、導電性の材料を混入して帯電防止を図り、埃等の付着を防止することも効果的である。
【0019】
印刷層は、耐擦傷性の確保、ブランド名などのレーベル印刷、インクジェットプリンタに対するインク受容層の形成などを目的としており、紫外線硬化型樹脂層をスクリーン印刷法により形成するのが一般的である。
その厚さは、3〜50μmが適当である。3μmより薄くすると、層形成時にムラが生じてしまう。50μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0020】
接着層としては、紫外線硬化型樹脂やシリコーン樹脂からなる接着剤、ホットメルト接着剤などを用いることができる。
このような接着層の材料は、オーバーコート層又は印刷層上に、材料に応じて、スピンコート、ロールコート、スクリーン印刷法などの方法により塗布し、紫外線照射、加熱、加圧等の処理を行なって反対面のディスクと貼り合わせる。
反対面のディスクは、同様の単板ディスクでも透明基板のみでも良く、反対面ディスクの貼り合わせ面については、接着層の材料を塗布してもしなくても良い。また、接着層としては、粘着シートを用いることもできる。
接着層の膜厚は特に制限されるものではないが、材料の塗布性、硬化性、ディスクの機械特性への影響を考慮すると5〜100μmが好適である。
接着面の範囲は特に制限されるものではないが、DVD及び/又はCD互換が可能な光情報記録媒体に応用する場合、接着強度を確保するためには内周端の位置がΦ15〜40mm、好適にはΦ15〜30mmであることが望ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
【0022】
実施例1
射出成形によりポリカーボネート基板を形成し、この基板上に、下部保護層(膜厚80nm)、記録層(膜厚20nm)、上部保護層(膜厚20nm)、反射層(膜厚140nm)を順次スパッタリング法により積層した。
下部及び上部保護層にはZnSSiO2、記録層にはAgGeInSbTe系相変化型記録材料、反射層にはAgを用いた。
更に、反射層上に紫外線硬化型樹脂のスピンコートによるオーバーコート層を形成し、DVD−ROM再生互換を有する相変化型光情報記録媒体の単板ディスクを作成した。
次いで、オーバーコート層上に接着層を介してポリカーボネート基板を貼り合わせ、ポリカーボネート基板の表面(貼り合わせ面の反対面)側に印刷層を形成し、貼り合わせディスクを得た。
その後、大口径LD(ビーム径200×1μm)を有する初期化装置によって、記録層の全面結晶化を行なった。
以上のようにして得たDVD−ROM互換の相変化型光情報記録媒体に対し、DVD対応の光情報記録装置により、記録線速度8.5m/sにおいて、記録パワーPw(=Pw′)=15.0mWで1回記録を行なった。
この記録した部分と未記録部分のそれぞれに対して、Pe=6.0mW、7.0mW、8.0mWの消去パワーをかけた後、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mW、13.2/7.0mW、15/8.0mWでの記録を行なった。
また、消去パワーをかけずに記録する場合についても同様に実施し、それぞれの条件におけるジッター、反射率、変調度の測定を行なった。
結果を下記表1に示す。表中の変調度欄の「差[%]」は、前述した変調度の比「Mr/Mu」、即ち表中の「済/未」の「1/1」からのズレを「%」で示したものである。
また、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mWでの記録における変調度差の消去パワー依存性について、図4に示す。
この結果から、それぞれの変調度の差が全て5%以内に収まっている条件は、消去パワーPe=8.0mWのときのみであった。
【0023】
【表1】
【0024】
続いて、Pe=8.0mWによって消去を行なう条件で、テスト記録領域として未記録領域及び記録済み領域を使用し、光情報記録装置によるOPCを、それぞれ10回ずつ行なった。
結果は下記表2に示す通りであり、未記録領域を使用した場合の最適記録パワーPwの平均値は14.0mW、標準偏差は0.27、記録済み領域を使用した場合の最適記録パワーPwの平均値は14.1mW、標準偏差は0.22であった。
どちらの領域を用いた場合においても、最適記録パワーのバラツキは少なく、かつ、殆んど等しいパワーを選択することができた。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、相変化型光情報記録媒体に記録を行なう際のレーザーパワーの決定方法として、テスト記録前に消去パワーをかけること、及びその消去パワーの範囲を特定することにより、高い精度で記録パワーの最適化を行なうことができる記録方法及び記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】n=4、n′=2のときの記録パルスパターンを示す図。
【図2】本発明の記録方法の実施形態を示す概念図。
【図3】本発明の記録方法を用いて記録を行なうのに適した光情報記録媒体の層構成の一例を示す図。
【図4】実施例1において、Pw(=Pw′)/Pe=11.3/6.0mWでの記録を行った場合の変調度差の消去パワー依存性を示す図。
【符号の説明】
1 透明基板
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
5 反射層
6 オーバーコート層
7 ハードコート層
8 印刷層
8′ 印刷層
9 接着層
T クロック時間
Pw パワーレベル
Pw′ パワーレベル
Pe パワーレベル
Pb パワーレベル
Pb′ パワーレベル
fp パワーレベルPwのパルス部
mp マルチパルス部
ep パワーレベルPbのパルス部
x パワーレベルPwであるパルス部fpの時間幅xTを示す符号
y パワーレベルPw′であるパルス部とパワーレベルPb′であるパルス部からなるマルチパルス部mpの、各パルス部の時間幅yT、(1−y)Tを示すための符号
z パワーレベルPbであるパルス部epの時間幅zTを示す符号
Claims (2)
- 同心円又は螺旋状の案内溝を有する透明基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより該記録層に相変化を生じさせ、情報の記録及び書き換えを行なう光情報記録媒体に対し、マークエッジ記録方式で情報の記録を行なう際に、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する光情報記録媒体の記録方法において、該光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録を行なうに当り、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行なうことを特徴とする光情報記録媒体の記録方法。
- 相変化型光情報記録媒体に対し、マークエッジ記録方式を採用し、信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間)である0信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスをパワーレベルPeの連続光とし、信号幅がnTである1信号の記録又は書き換えを行なう場合の記録パルスは、時間幅xTでパワーレベルPwであるパルス部fpと、計(n−n′)回(n、n′は正の整数)の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルスとその高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを持つマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPbであるパルス部epとで構成され、n′≦nでありかつパワーレベルが(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である記録光のパルスパターンとして記録を行ない、記録された情報の消去を行なう際には、0信号の記録と同様にパワーレベルPeの連続光を照射する記録手段であって、テスト記録領域が未記録状態及び既に記録されている状態の何れにおいても、テスト記録前にパワーレベルPeの連続光を照射して消去を行ない、その後にテスト記録を行なって記録条件を決定し、かつ、記録条件決定の際に、既に記録されている状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Mrと、未記録状態の上に消去パワーPeの照射を行なった後で記録した信号の変調度Muの比「Mr/Mu」が0.95〜1.05となる消去パワーPeを用いて記録前消去を行なうという前記相変化型光情報記録媒体に対する最適記録パワーPw及びPw′を決定するためのテスト記録手段を備えたことを特徴とする光情報記録媒体の記録装置。
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