JP3871593B2 - 相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置 - Google Patents

相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を照射することにより記録層材料に相変化を生じさせて情報の記録・書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザー光の照射により記録・再生を行なう光情報記録媒体として、一度だけ記録可能(追記型)なCD−RやDVD−R、書き換えが可能なCD−RW、DVD−RW、DVD−RAM、MD、MOディスクなどの様々な媒体が実用化されており、リムーバブルな媒体として、カセットテープやフロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気記録媒体に代わり、年々と需要が高まっている。
これらの光情報記録媒体のうち、CD−RW、DVD−RW、DVD−RAMなどは、記録層の材料として、結晶−非結晶(アモルファス)相間、或いは結晶−結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化記録材料を使用している。特に、MD、MOなどの光磁気メモリーでは困難な単一ビームによるオーバーライトが容易であり、記録・再生装置側の光学系もより単純であることなどから、相変化型光情報記録媒体の需要が高まっている。
【0003】
一般に、相変化型光情報記録媒体に対して情報の記録を行なう場合、オーバーライトを良好に行なうために、レーザー光のパワーレベルを三段階に変調させ、高パワーレベル(記録パワーレベル)と低パワーレベル(冷却パワーレベル)の組み合わせからなるパルス光と、その中間のパワーレベル(消去パワーレベル)の連続光とで構成されたパルスストラテジを使用して記録及び書き換えを行なっている。
このとき、マルチスピード記録やCAV(角速度一定)記録のように、同じ記録媒体に対して異なる線速度で記録を行なう場合、低線速度領域よりも高線速度領域の方が、記録層を昇温させるために必要なエネルギー量が大きくなるため、適切な記録条件は異なってくる。そこで、高線速度領域において低線速度領域よりも記録パワーを高くしたり、記録パルスストラテジにおける高レベルパルスのパワーレベルを掛ける時間幅を長くするなどして、線速度毎に最適な記録条件に変更することにより、良好な再生信号特性が得られるように記録を行なうことが要望されている。
【0004】
しかし、このときの最適な記録条件は、記録媒体や記録装置の材料・構成・仕様などによって異なるし、同一設計の記録媒体、記録装置であっても個体差があり、最適な記録条件が同一とならないことがある。そのため、記録媒体中に、予め線速度毎に標準記録装置における適切な記録条件についての情報を記憶させておき、その情報を基にして、各記録装置において、記録を行なう直前に、その都度、テスト記録を行なって、記録条件の詳細な設定を決めるという手法が取り入れられていることが多い。
特にレーザー光のパワーレベルについて決定する方法としては、例えば、特許第3065892号のように、記録及び消去パワーを変化させてテスト記録を行ない、再生信号の特性を確認して最適パワーを決定する方法、特許第3124721号のように、具体的に記録パワーや消去パワーを決定するため、テスト記録を行なった際の変調度曲線を利用して最適記録パワーを決定する方法、特開2001−229563号公報のように、記録されている部分を消去する際に、消去パワーを変動させた場合の反射率変動を取り、反射率が高水準で安定する消去パワーの範囲を最適消去パワーとする方法などが知られている。
【0005】
しかしながら、相変化型光情報記録媒体の種類によっては、記録した信号の再生時のジッタ(データ・トゥ・クロック・ジッタ)特性において、図1のように消去パワーに依存して特異的に上昇する箇所を有するような挙動を示すものがあり、その消去パワーを使用した記録条件で記録された信号については、再生安定性が低く、再生信号のデータ読み取りエラーを起すことが考えられる。
従って、消去パワーの決定については、特に精度が要求されるが、上記したようなレーザー光のパワーレベルを決定する方法を採用した場合、特許第3124721号や特開2001−229563号公報では、直接に消去パワーの依存性を確認していなかったり、決定される最適消去パワーの範囲が広く、ジッタの上昇点を回避する方法が明示されていないという問題があり、また、特許第3065892号のような、記録及び消去パワーを変化させて再生信号を確認し最適パワーを決定する方法では、決定までのプロセスに手間が掛かることがあるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、相変化型光情報記録媒体に記録を行うに際し、記録時の最適消去パワーの決定を簡便に精度高く行なうことができる記録方法及び記録装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、これに合致する記録方法及び記録装置を見出した。
即ち、上記課題は、次の1)〜5)の発明によって解決される。
1) 案内溝を有する基板上に、少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより、該記録層に相変化を生じさせて情報の記録及び書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録方法であって、消去パワーPeの連続光を照射した際の再結晶化上限線速度をVo[m/s]として、
Peo=Vo×A+B(A、Bは定数)
で表されるPeoを最適消去パワーとすることを特徴とする記録方法。
2) 定数Aが、1.0〜1.2の範囲内にあることを特徴とする1)記載の記録方法。
3) 記録の対象となる相変化型光情報記録媒体が、基板上に、少なくとも下部保護層、相変化型記録層、上部保護層、反射層を有し、かつ、該相変化型記録層が、その材料の組成式を(Ag及び/又はGe)α(Ga及び/又はIn)βSbγTeδ〔式中、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100〕として、次の条件を満足するものであることを特徴とする1)又は2)記載の記録方法。
0<α≦6
2≦β≦10
60≦γ≦85
15≦δ≦27
4) 案内溝を有する基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより、該記録層に相変化を生じさせて情報の記録及び書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録装置であって、消去パワーPeの連続光を照射した際の再結晶化上限線速度をVo[m/s]として、
Peo=Vo×A+B(A、Bは定数)
で表されるPeoを最適消去パワーとして記録が行われるように設定されていることを特徴とする記録装置。
5) 定数Aが、1.0〜1.2の範囲内となるように設定されていることを特徴とする4)記載の記録装置。
【0008】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の記録方法を用いて相変化型光情報記録媒体に情報を記録するには、通常、図2に示すような記録・再生装置を用いる。即ち、光情報記録媒体をスピンドルモーターからなる駆動手段により回転駆動し、記録用ピックアップのレーザー駆動回路により半導体レーザーからなる光源を駆動し、光学系を介して光情報記録媒体にレーザー光を照射する。
このとき、「1」信号を記録する場合には、図3に示したようなfp部、mp部及びep部を有するパルスストラテジのレーザー光を照射する。
光照射により、光情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、光情報記録媒体からの反射光を記録用ピックアップで受光して、情報の記録を行なう。
記録手段としては、記録層に対してマークの幅が信号に相当するようにマークを記録する、いわゆるマークエッジ記録(PWM記録)方式を使用する。
通常は、記録すべき信号を、変調部にてクロックを用いて、書き換え型コンパクトディスクの情報記録に適したEFM(Eight−to−FourteenModulation)変調方式、或いはその改良変調方式などにより変調して記録を行なう。
【0009】
PWM記録方式により記録を行なうに際し、変調後の信号幅がnT(nは正の整数、Tはクロック時間=信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時間)である「0」信号の記録及び書き換えを行なう場合の記録パルスについては、パワーレベルPeの連続光とする。
一方、変調後の信号幅がnTである「1」信号の記録を行なう場合の記録パルスについては、図3に示すように、以下に説明するfp部、mp部及びep部を有する記録パルスパターンのパルス光とする。即ち、時間幅xTでパワーレベルPw′であるパルス部fpと、計(n−n′)回の時間幅yTでパワーレベルPw′の高レベルパルス及び高レベルパルスの間に時間幅(1−y)TでパワーレベルPb′の低レベルパルスを有するマルチパルス部mpと、時間幅zTでパワーレベルPb′であるパルス部epとで構成されるパルスパターンの記録光とする。
ここで、0≦x,y,z≦1、n′は、n′≦nの正の整数、パワーレベルは(Pw及びPw′)>Pe>(Pb及びPb′)である。
図3は、n=4、n′=2のときの例である。
【0010】
図4に、本発明の記録方法及び記録装置が適用される好ましい相変化型光情報記録媒体の一例を示す。基本的な構成は、案内溝を有する基板1上に、下部保護層2、記録層3、上部保護層4、反射層5、オーバーコート層6を有するものであり、オーバーコート層上に印刷層8、基板の鏡面側にハードコート層7を設けても良い。
また、上記の単板ディスクを、接着層9を介して貼り合わせた構造としても良い。貼り合わせる反対面のディスクは、上記単板ディスクに代えて、基板のみとしても良い。
更に、単板ディスクに印刷層を形成することなく貼り合わせ、貼り合わせ後に反対面側に印刷層8′を形成しても良い。
【0011】
基板は、基板側から記録・再生光を照射する場合には、少なくとも記録・再生光を有効に透過し得る程度に透明でなければならない。
基板の材料は、通常、ガラス、セラミックス又は樹脂であり、成形性、コストの点で樹脂基板が好適である。
樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、成形性、光学特性、コストの点で優れたポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂が好ましい。
【0012】
記録層の材料としては、結晶−非結晶相間の相変化を起し、それぞれが安定化又は準安定化状態を取ることができるSb、Teを含む相変化型記録材料が、記録(非結晶化)感度・速度、消去(結晶化)感度・速度、及び消去比が良好なため適している。
このSbTe材料に、Ga、Ge、Ag、In、Bi、C、N、O、Si、Sなどの元素を添加すれば、記録・消去感度や信号特性、信頼性などを改善することができるが、そのためには、目的とする記録線速度及び線速度領域に合わせて、添加する元素や材料の組成比を調整し、最適な記録線速度を制御すると同時に、記録した信号の再生安定性や信号の寿命(信頼性)を確保することが望ましい。
本発明の記録方法及び記録装置に好適な相変化型光情報記録媒体に用いられる、上記特性を総合的に満足する記録層材料としては、その組成式を(Ag及び/又はGe)α(Ga及び/又はIn)βSbγTeδ〔式中、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100〕として、次の条件を満足する材料が信号の再生安定性や信号の寿命が優れているので好ましい。
0<α≦6
2≦β≦10
60≦γ≦85
15≦δ≦27
【0013】
相変化型記録層の膜厚は10〜50nm、好ましくは12〜30nmとする。更に、ジッター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考慮すると、好適には14〜25nmとするのが良い。10nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層としての役割を果さなくなる。また、50nmより厚いと高速で均一な相変化が起り難くなる。
このような相変化型記録層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れているので好ましい。
【0014】
上記の相変化型記録層の下層及び上層には、保護層を形成する。
保護層の材料としては、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrOなどの金属酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物;ZnS、In、TaSなどの硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物;ダイヤモンド状カーボン;或いはそれらの混合物が挙げられる。
これらの材料は、単体で保護層とすることも出来るが、互いの混合物としても良く、必要に応じて不純物を含んでも良い。また、単層でなく、二層以上の積層構造としても良い。
保護層の融点は、相変化型記録層よりも高いことが必要である。
【0015】
このような保護層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れているので好ましい。
下部保護層の膜厚は、反射率、変調度、記録感度などに大きく影響するため、良好な信号特性を得るには、60〜120nmとする必要がある。
上部保護層は、耐熱保護層としての機能も担うため、その膜厚としては、5〜45nm、好適には7〜40nmとするのが良い。5nmより薄くなると耐熱性保護層としての機能を果さなくなるし記録感度の低下を生じる。一方、45nmより厚くなると、界面剥離を生じ易くなり、繰り返し記録性能も低下する。
【0016】
反射層としては、Al、Au、Ag、Cu、Ta、Ti、Wなどの金属材料、又はこれらの金属元素を含む合金などを用いることができる。
また、耐腐食性の向上、熱伝導率の改善などのために、上記材料に対してCr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどの元素を添加しても良い。添加比率は、0.3〜2原子%とする。0.3原子%よりも少ないと、耐腐食性の効果に劣るし、2原子%よりも多くなると、熱伝導率が上がり過ぎ、アモルファス状態を形成し難くなる。
このような反射層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。
反射層の膜厚は、50〜200nm、好ましくは70〜160nmとする。
反射層を多層化することも可能であるが、多層化した場合には、各層の膜厚は少なくとも10nm必要であり、多層化膜の合計膜厚は50〜160nmとするのが良い。
【0017】
反射層の上には、その酸化防止のためにオーバーコート層が形成される。
オーバーコート層としては、スピンコート法で作製した紫外線硬化型樹脂層が一般的であり、その厚さは3〜15μmが適当である。3μmより薄くすると、オーバーコート層上に印刷層を設ける場合に、エラーの増大が認められることがある。一方、15μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0018】
ハードコート層としては、スピンコート法で作製した紫外線硬化型樹脂層が一般的であり、その厚さは2〜6μmが適当である。2μmより薄くすると、十分な耐擦傷性が得られない。6μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
ハードコート層の硬度は、布で擦っても大きな傷が付かない鉛筆硬度H以上とする必要がある。更に、必要に応じて、導電性の材料を混入させて帯電防止を図り、埃等の付着を防止することも効果的である。
【0019】
印刷層は、耐擦傷性の確保、ブランド名などのレーベル印刷、インクジェットプリンタに対するインク受容層の形成などを目的としており、紫外線硬化型樹脂をスクリーン印刷法により形成するのが一般的である。
その厚さは、3〜50μmが適当である。3μmより薄くすると、層形成時にムラが生じてしまう。50μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0020】
接着層としては、紫外線硬化型樹脂、ホットメルト接着剤、シリコーン樹脂などの接着剤を用いることができる。
このような接着層の材料は、オーバーコート層又は印刷層上に、材料に応じて、スピンコート、ロールコート、スクリーン印刷法などの方法を選択して塗布し、紫外線照射、加熱、加圧等の処理を行なって反対面のディスクと貼り合わせる。反対面のディスクは、同様の単板ディスクでも基板のみでも良く、反対面ディスクの貼り合わせ面については、接着層の材料を塗布してもしなくても良い。また、接着層としては、粘着シートを用いることもできる。
接着層の膜厚は特に制限されるものではないが、材料の塗布性、硬化性、ディスクの機械特性の影響を考慮すると5〜100μmが好適である。
接着面の範囲は特に制限されるものではないが、DVD及び/又はCD互換が可能な光情報記録媒体に応用する場合には、接着強度を確保するために内周端の位置がΦ15〜40mm、好適にはΦ15〜30mmであることが望ましい。
【0021】
本発明の記録方法を用いて、相変化型光情報記録媒体に対して記録を行なったときに、最もジッタ(データ・トゥ・クロック・ジッタ)特性が良好となる消去パワーPeoと、再結晶化上限線速度Voとの相関を図5に示す。
図5から分るように、PeoとVoは比例関係にあり、次の関係が成り立つ。
Peo=Vo×A+B(A、Bは定数)
図5では、B=0とすると、比例係数Aは1.12となる。従って、本発明の記録方法では、上記の関係式からPeoを算出する場合、A=1.12とするのが最適であり、1.0〜1.2の範囲内の数値であれば、誤差約10%以内の精度で最適消去パワーの決定を行なうことが出来ると考えられる。
【0022】
なお、再結晶化上限線速度とは、図2に示すような装置を用いて、相変化型光情報記録媒体を種々の線速度で回転させ、半導体レーザー光を該光記録媒体の案内溝にトラッキングしながら、半導体レーザー光照射により、相変化型記録層を融点以上に加熱した後冷却したときの該光記録媒体の反射率又は反射光強度を測定し、図6に示すような測定結果から得られる、線速度増大に伴い反射率又は反射光強度が下がり始める線速度のことである。
更に詳細な説明については、特開平11−115313号公報に述べられているが、相変化型光情報記録媒体の再結晶化上限線速度は、記録する信号の品質に影響し、再結晶化上限線速度が高いほど、高い線速度での記録が可能となる。また、同一の線速度で記録する場合には、再結晶化上限線速度が高いほど、最適な消去パワーは高くなる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
【0024】
実施例1
射出成形によりポリカーボネート基板を形成し、この基板上に、下部保護層、記録層、上部保護層及び反射層を順次スパッタリング法により積層した。
下部及び上部保護層にはZnS・SiO、記録層にはAgGeIn10Sb60Te25系相変化記録材料、反射層にはAgを積層した。
次いで、反射層上に紫外線硬化型樹脂のスピンコートによるオーバーコート層を形成し、DVD−ROM再生互換性を有する相変化型光情報記録媒体の単板ディスクを作成した。
更に、オーバーコート層上に接着層を介してポリカーボネート基板を貼り合わせ、ポリカーボネート基板の表面(貼り合わせ面の反対面)側に印刷層を形成し、貼り合わせディスクを得た。
その後、大口径LD(ビーム径200μm×1μm)を有する初期化装置によって、上記ディスクの記録層の全面結晶化を行なった.
上記と同様の製造方法により、下部及び上部保護層並びに記録層の膜厚を変化させて、DVD−ROM互換性を有する相変化型光情報記録媒体(ディスク)1〜10を作製した。
これらの記録媒体1〜10の夫々について、DVD対応の光情報記録装置により、再結晶化上限線速度Voの測定を行なった。
また、これらの記録媒体1〜10の夫々について、記録線速度8.5m/secにおいて消去パワーPeを変動させ、ジッタ特性が最小となるPeoの測定を行なった。
結果を〔表1〕に示すが、最適消去パワーと再結晶化上限線速度の比率Peo/Voは、1.10〜1.14の間であり、平均値は1.12となっていた。
次いで、記録媒体1〜10のそれぞれに対し、A=1.12、B=0として求めた計算上の最適消去パワーPeo(calc)を用いた記録条件により、記録を行なった。
その結果、DOW(Direct Over Write)特性も含めて、良好な再生信号特性が得られた。
【0025】
【表1】
Figure 0003871593
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、相変化型光情報記録媒体に記録を行うに際し、再結晶化上限線速度から最適消去パワーを求める方式を特定化することにより、精度の高い最適消去パワーの決定が可能となり、記録時のレーザーパワーの決定を簡便に精度高く行なうことができる記録方法及び記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録した信号の再生時のジッタ(データ・トゥ・クロック・ジッタ)特性において、消去パワーに依存して特異的に上昇する箇所を有するような挙動を示す相変化型情報記録媒体の一例を示す図。
【図2】本発明の記録方法に用いる記録・再生装置の一例を示す図。
【図3】本発明の記録方法に用いる記録用レーザー光のパルスストラテジの一例を説明する図。
【図4】相変化型光情報記録媒体の層構成の一例を示す図。
【図5】再結晶化上限線速度と最適消去パワーの相関を説明する図。
【図6】再結晶化上限線速度の評価結果を示す図。
【符号の説明】
T クロック時間
Pw パワーレベル
Pb パワーレベル
Pe 消去パワー
Pw′ パワーレベル
Pb′ パワーレベル
fp パワーレベルPw′のパルス部
x パルス部fpの時間幅〔x(T)〕
mp パワーレベルPw′又はPb′のパルス部
y パルス部mp中のパワーレベルPw′の時間幅〔y(T)〕
1−y パルス部mp中のパワーレベルPb′の時間幅〔(1−y)T〕
ep パワーレベルPb′のパルス部
z パルス部epの時間幅〔z(T)〕
1 基板
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
5 反射層
6 オーバーコート層
7 ハードコート層
8 印刷層
8′ 印刷層
9 接着層

Claims (5)

  1. 案内溝を有する基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより、該記録層に相変化を生じさせて情報の記録及び書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録方法であって、消去パワーPeの連続光を照射した際の再結晶化上限線速度をVo[m/s]として、
    Peo=Vo×A+B(A、Bは定数)
    で表されるPeoを最適消去パワーとすることを特徴とする記録方法。
  2. 定数Aが、1.0〜1.2の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の記録方法。
  3. 記録の対象となる相変化型光情報記録媒体が、基板上に、少なくとも下部保護層、相変化型記録層、上部保護層、反射層を有し、かつ、該相変化型記録層が、その材料の組成式を(Ag及び/又はGe)α(Ga及び/又はIn)βSbγTeδ〔式中、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100〕として、次の条件を満足するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の記録方法。
    0<α≦6
    2≦β≦10
    60≦γ≦85
    15≦δ≦27
  4. 案内溝を有する基板上に少なくとも相変化型記録層を有し、半導体レーザー光を照射することにより、該記録層に相変化を生じさせて情報の記録及び書き換えを行なう相変化型光情報記録媒体の記録装置であって、消去パワーPeの連続光を照射した際の再結晶化上限線速度をVo[m/s]として、
    Peo=Vo×A+B(A、Bは定数)
    で表されるPeoを最適消去パワーとして記録が行われるように設定されていることを特徴とする記録装置。
  5. 定数Aが、1.0〜1.2の範囲内となるように設定されていることを特徴とする請求項4記載の記録装置。
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