JP3949492B2 - 光記録媒体、これの製造方法体及びこの光記録媒体の記録再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光記録媒体、特に光ビームを照射することにより記録層材料に相変化を生じさせ、情報の記録・再生を行い、かつ書き換えが可能である相変化形光情報記録媒体、及びこれの再生方法に関し、光メモリー関連機器、特に書き換えに可能なコンパクトディスク(CD−RW)に応用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁波、特にレーザービームの照射による記録、再生および消去が可能な光メモリー媒体のひとつとして、結晶−非結晶相間あるいは結晶−結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化形光記録媒体がよく知られている。特に光磁気メモリーでは困難な単一ビームによるオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系もより単純であることなどから最近その研究開発が活発になっている。
【0003】
その代表的な例として、USP3530441に開示されているように、Ge−Te、Ge−Te−Sn、Ge−Te−S、Ge−Se−S、Ge−Se−Sb、Ge−As−Se、In−Te、Se−Te、Se−Asなどのいわゆるカルコゲン系合金材料があげられる。また安定性、高速結晶化などの向上を目的にして、Ge−Te系にAu(特開昭61−219692号)、SnおよびAu(特開昭61−270190号)、Pd(特開昭62−19490号)などを添加した材料の提案や、記録/消去のくり返し性能向上を目的にして、Ge−Te−Se−Sb、Ge−Te−Sbの組成比を特定した材料(特開昭62−73438号、特開昭63−228433号)の提案などもなされている。しかし、そのいずれもが相変化形書換可能な光メモリー媒体として要求される諸特性のすべてを満足しうるものとはいえない。特に、記録感度、消去感度の向上、オーバーライト時の消し残りによる消去比低下の防止、ならびに記録部、未記録部の長寿命化が解決すべき最重要課題となっている。
【0004】
特開昭63−251290号では結晶状態が実質的に三元以上の多元化合物単層からなる記録層を具備した光記録媒体が提案されている。ここで、実質的に三元以上の多元化合物単層とは、三元以上の化学量論組成を持った化合物(例えばIn3SbTe2)を記録層中に90原子%以上含むものとされている。このような記録層を用いることにより記録、消去特性の向上が図れるとしている。しかしながら消去比が小さい、記録消去に要するレーザーパワーが未だ充分に低減されていないなどの欠点を有している。
【0005】
さらに、特開平1−277338号には(Sb a Te 1 −a ) 1 −y M y (ここで0.4≦a≦0.7、y≦0.2であり、MはAg、Al、As、Au、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Pb、Pt、Se、Si、Sn及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種である。)で表される組成の合金からなる記録層を有する光記録媒体が提案されている。この系の基本はSb2Te3であり、Sb過剰にすることにより、高速消去、繰り返し特性を向上させ、Mの添加により高速消去を促進させている。加えて、DC光による消去比も大きいとしている。しかし、この文献にはオーバーライト時の消去比は示されておらず(本発明者らの検討結果では消し残りが認められた)、記録感度も不十分である。
【0006】
同様に、特開昭60−177446号では記録層に(In1-xSbx)1-yMy(0.55≦x≦0.80、0≦y≦0.20であり、MはAu、Ag、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Ge、Ga、Sn、Te、Se、Biである。)なる合金を用い、また、特開昭63−228433号では記録層にGeTe−Sb2Te3−Sb(過剰)なる合金を用いているが、いずれも感度、消去等の特性を満足するものではなかった。
加えて、特開平4−163839号には記録薄膜Te−Ge−Sbを合金にNを含有させることによって形成し、特開平4−52188号には記録薄膜をTe−Ge−Se合金にこれら成分のうちの少なくとも1つが窒化物となっているものを含有させて形成し、特開平4−52189号には記録薄膜がTe−Ge−Se合金にNを吸着させることによって形成し、これら記録薄膜をそれぞれ設けた光記録媒体が記載されている。しかし、これらの光記録媒体でも十分な特性を有するものを得ることができていない。
【0007】
これまでみてきたように、光記録媒体においては、特に記録感度、消去感度の向上、オーバーライト時の消し残りによる消去比低下の防止、並びに記録部、未記録部の長寿命化が解決すべき最重要課題となっている。
【0008】
一方、近年CD(コンパクトディスク)の急速な普及にともない、一回だけの書き込みが可能な追記型コンパクトディスク(CD−R)が開発され、市場に普及されはじめた。しかし、CD−Rでは書き込み時に一度でも失敗すると修正不可能なため、そのディスクは使用不能となってしまい廃棄せざるを得ない。したがって、その欠点を補える書き換え可能なコンパクトディスクの実用化が待望されていた。
研究開発された一つの例として、光磁気ディスクを利用した書き換え可能なコンパクトディスクがあるが、オーバーライトの困難さや、CD−ROM、CD−Rとの互換がとりにくい等といった欠点を有するため、原理的に互換確保に有利な相変化形光ディスクの実用化開発が活発化してきた。
【0009】
相変化形光ディスクを用いた書き換え可能なコンパクトディスクの研究発表例としては、古谷(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、70(1992)、神野(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、76(1992)、川西(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、82(1992)、T.Handa(et al):Jpn.J.Appl.Phys.,32(1993)、米田(他):第5回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、9(1993)、富永(他):第5回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、5(1993)のようなものもあるが、いずれも、CD−ROM、CD−Rとの互換性確保、記録消去性能、記録感度、書き替えの繰り返し可能回数、再生回数、保存安定性等、総合性能を充分満足させるものではなかった。それらの欠点は、主に記録材料の組成、構造に起因する消去比の低さによるところが大きかった。
【0010】
これらの事情から消去比が大きく、高感度の記録、消去に適する相変化形記録材料の開発、さらには高性能で書き換え可能な相変化形コンパクトディスクが望まれていた。
本発明者等は、それらの欠点を解決する新材料として、AgInSbTe系記録材料を見出し提案してきた。その代表例としては、特開平4−78031号、特開平4−123551号、H.Iwasaki(et al):Jpn.J.Appl.Phys.,31(1992)461、井手(他):第3回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、102(1991)、H.Iwasaki(et al):Jpn.J.Appl.Phys.,32(1993)5241等があげられる。また、1996年10月には、書き換え可能なコンパクトディスク(CD−RW)の規格として、オレンジブックパートIII(ver1.0)が発行された。
【0011】
一方、近年デジタルビデオディスク(DVD)およびDVD−RAM等の開発も活発に行われており、21世紀初期の主要光記録媒体として注目されている。このような環境下で、書き換え可能なコンパクトディスクに、DVDとの再生互換も要求されるようになった。これまでに開発されてきたCD−RWの記録信号は、DVDの再生波長である650nm付近での反射率および変調度が小さく十分な信号特性が得られていない。
オレンジブックパートIII(ver1.0)は、2×線速度記録(2.4〜2.8m/s)のCD−RWに対する規格であるが、このような低線速度の記録では、記録時間が長くかかってしまい、より高速記録の書き換え可能なコンパクトディスクが望まれている。
【0012】
最近、CD−RWディスクの開発とともに、CD−RWドライブの開発も進んでおり、それらのマッチング試験も行われるようになった。これらの試験の結果、ドライブの中には、CD6×速度(7.2m/s)以上の線速度での再生ではエラーが急増することがわかり、高線速度再生が困難であるものが存在することが分かった。また、ドライブのなかには、オレンジブックパートIIIに記載のγ法では、CD−RWディスクへの最適記録パワーを決定することができないものも存在することがわかった。
CD−RWディスク等の相変化形光記録媒体は、記録層の結晶化処理という初期化工程を有する。初期化状態は、光記録媒体のオーバーライト特性に敏感に影響し、初期化装置依存性も大きい。しかし、その初期化状態の管理および製造時の初期化装置とディスクとのトレーサビリディー管理は充分に開発されていない。
【0013】
これらCD−RWディスクは、CD−ROMディスクと同様に、円盤状のディスクを直接手で扱うため、ディスク表面および裏面に油分やごみが付着する。その際、これらを拭き取るために、布等で拭き取ることが想定される。その時、CD−RWディスクの標準的な基板であるポリカーボネートでは傷がついてしまい、その大きさによっては、記録および再生ができなくなってしまう。その対策として、光記録媒体の非グルーブ面(鏡面)にUV硬化樹脂層(ハードコート層)を設けることが知られており、光磁気ディスク等では、既に用いられている。この際、ハードコート層の塗りはじめは、基板の金型跡とグルーブ端の間としなければならない。その技術をCD−RWディスク等の相変化形ディスクに応用した場合、わずかなハードコート層の塗りムラは、初期化不良を生じ、実際の商品に用いられることがなかった。特に、CD−RWディスク等のCD系光ディスクでは、グルーブ端が半径22mmと光磁気記録媒体の25mmよりも3mmも内側にきており、グルーブ端と基板の金型跡がわずか2mmと近接しており、再現性よく、安定にハードコート層を設けることができなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
これらの開示技術により、AgInSbTeを記録層とすることによって極めて優れた性能を有する相変化形光ディスクを獲得できることは既に明らかであったが、CD−Rとの互換性確保等、上記総合性能を完璧に満足し、新たな市場を形成しえるに足る相変化形光ディスクの作製技術を完成させるためには、さらなる改良が望まれていた。
【0015】
したがって、本発明の第一の目的は、上記従来技術における問題をすべて解消し、かつDVDディスクとの再生互換を確保できる取り扱いの容易な光記録媒体の製造方法を提供することにある。本発明の第二の目的は、ディスク回転時の線速度が1.2m/sから5.6m/sの領域で記録消去を行う最適な光記録媒体の製造方法を提供することにある。本発明の第三の目的は、CD−RWドライブとのマッチングを向上させたCD−RWディスクの製造方法を提供することにある。本発明の第四の目的は、CD−RWディスクの製造工程における安定性、歩留りの向上が図られる光記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決させるための手段】
上記課題は下記(1)〜(7)によって達成される。
(1)円盤状の基板上に第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、金属又は合金層、オーバーコート層の順に積層してなる書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法において、該記録層の構成元素が主にAg、In、Sb、Te及びNおよび/またはOであり、それぞれの組成比α、β、γ、δ、ε(εはNとOの合計)(原子%)が
0<α≦6
3≦β≦15
50≦γ≦65
20≦δ≦35
0≦ε≦5
α+β+γ+δ+ε=100
であって、基板温度を80℃以下として各層が製膜され、かつ該記録層の再結晶化上限線速度がビームパワー12mW、波長780nmの光、N.A0.5の測定条件で2.5〜5.0m/sであることを特徴とする書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
【0017】
(2)記録層の製膜速度が2nm/sから30nm/sであることを特徴とする上記(1)に記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
(3)書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の記録方法であるγ法で最適記録パワーが見出せなかった場合に選択すべき所定の記録パワーをあらかじめ基板のATIP情報に有することを特徴とする上記(1)に記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
(4)初期化後の反射率がその書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の最高到達反射率の95%以上であることを特徴とする上記(1)に記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
(5)半径22mm以内に書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造における初期化工程で記録された情報を有することを特徴とする上記(1)に記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
(6)初期化工程で記録する情報が初期化パワーの変調による反射率のコントラストを利用するものであることを特徴とする上記(5)に記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
(7)膜厚2〜6μm、鉛筆硬度H以上のUV硬化樹脂層が非グルーブ面(鏡面)に有する書き替え型コンパクトディスク(CD−RW)において、その最内周が22.0mm以下であり、該UV硬化樹脂層を形成する硬化前のUV硬化樹脂の室温粘度が40cps以上であることを特徴とする上記(1)に記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で規定する再結晶化上限線速度とは、本発明者らが見出した相変化形光記録媒体の新規な特性値である。この特性値は、所定の線速度で走査している相変化形光記録媒体の記録層が光ビームの照射によって溶融したあとに、再結晶化できる上限の線速度のことである。光ビームは、ライターに搭載されているものと類似の半導体レーザーの光ビームを用いる。
再結晶化上限線速度は、所定の線速で走査している相変化形光記録媒体のグルーブまたはランドに光ビームを照射したあとのグルーブまたはランドの反射率の線速度依存性から求められる。その測定結果は、一般的には図9のようになる。このとき、光ビーム照射線速度の増大とともに、急激に反射率が減少しはじめる線速度(図9では、3.5m/s)を再結晶化上限線速度とする。再結晶化上限線速度は2.5〜5.0m/sが適当である。本発明で定義している再結晶化上限線速度は、光ビームのパワーやビームの大きさによっても幾分異なり、波長780nm、NA0.5程度のピックアップで最大±0.5m/s程度の違いがある。
再結晶化線速度は、相変化形光記録媒体の性能を左右する。再結晶化上限線速度が2.5m/sより小さいと、高速で再結晶化できないため、初期化プロセスに時間がかかってしまい実用的でない。また、CD4×速度での記録では、消去の際、非晶質化してしまう。一方、再結晶化上限線速度が5.0m/sを超えてしまうと、記録する際、非晶質化が不十分となり、良好な信号特性が得られなくなる。
【0019】
相変化形光記録媒体を本発明の再結晶化上限線速度に制御するためには、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、金属又は合金層、UV硬化樹脂層の順に積層する際に円盤状基板の基板温度を80℃以下にすることが望ましい。基板温度が80℃を越えると、誘電体層およびまたは記録層が部分的に結晶化し所望の再結晶化上限速度から外れたり、図9に示したような反射率が減少する線速度が見出せなくなってしまう。また、そのメカニズムは詳細に分かっていないが、記録層の製膜速度も再結晶化上限速度を左右することが分かった。製膜速度が小さいと再結晶化線速度が遅くなることが分かった。所望の再結晶化上限線速度を得るためには、記録層の製膜速度を2nm/sから30nm/sとすることが望ましい。2nm/s以下の製膜速度では、再結晶化線速度が2m/s以下に、30nm/s以上では、再結晶化線速度が5m/s以上となってしまう。
本発明の記録層組成範囲であっても図9のような反射率が減少する線速度が見出せないものもある。それは、光ビームの照射で、記録層の融点以上に加熱できない場合や記録層は溶融するが再結晶化が速すぎて、評価線速領域では反射率の低下が見出せないときなどがある。
【0020】
本発明の光記録媒体の代表例を図1に示す。基本的な構成は、案内溝を有する基板1上に第1誘電体層(第1保護層)2、記録層3、第2誘電体層(第2保護層)4、又はは合金層(反射放熱層)5、UV硬化樹脂層(オーバーコート層)6を有する。さらに、好ましくは、オーバーコート層6上に印刷層7、基板1の裏面に、ハードコート層8を有する。
【0021】
基板1の材料は通常ガラス、セラミックスあるいは樹脂であり、樹脂基板が成形性、コストの点で好適である。樹脂の例としてはポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などがあげられるが、成型性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。また、基板の形状としてはディスク状、カード状あるいはシート状であってもよい。
【0022】
ただし、本発明の光記録媒体を書き換え可能なコンパクトディスク(CD−RW)に応用する場合には、以下のような特定の条件が付与されることが望ましい。この条件は、使用する基板に形成される案内溝(グルーブ)の幅が0.25〜0.65μm好適には0.30〜0.55μm、その案内溝の深さが250〜650Å、好適には300〜550Åとなっていることである。基板の厚さは、特に制限されるものではないが、1.2mm、0.6mmが望ましい。
【0023】
記録層3としては、Ag、In、Sb、Teを含む4元系の相変化形記録材料を主成分として含有する材料が、記録(アモルファス化)感度・速度、消去(結晶化)感度・速度、及び消去比が極めて良好なため適している。しかしながら、AgInSbTeは、その組成比によって最適な記録線速度が存在する。そのため、目的とする記録線速度および線速度領域によって、AgInSbTeの組成比を調整する必要がある。これまでの検討の結果、AgInSbTe記録層のTeの組成比が記録線速度に高い相関があることが分かっている。
【0024】
図2に、種々の組成比を有するAgInSbTeを記録層として作製した相変化形光ディスクの最適記録線速度のTe組成比依存性を示す。層構成は、ハードコート層3〜5μm/基板1.2mm/第1誘電体層100nm/記録層AgInSbTe25nm/第2誘電体層30nm/金属又は合金層(反射放熱層)140nm/UV硬化樹脂層(オーバーコート層)8〜10μmとした。記録は、NA0.50、λ=780nmのピックアップを用い、EFM変調による記録をした。記録パルスストラテージは、オレンジブックパートIIIに準拠した(図3)。記録パワー、イレースパワー、バイアスパワーは、12mW、6mW、1mWとした。最適記録線速とは、オーバーライト回数がもっとも多くなる線速とした。
図2に示すように、最適記録線速と記録層のTe組成比がR 2 =0.9133の高い相関があることが分かった。この結果および実験精度±1at%を考慮すると、記録線速がどんなに遅くとも(0m/s)、Te組成比は35at%以下と推測される。CD線速1×、2×、4×、8×に対応した光記録媒体を得るためには、その線速1.2〜1.4m/s、2.4〜2.8m/s、4.8〜5.6m/s、9.6〜11.2m/sに対応するTe組成比は、33、30、27、20at%程度と推測される。
【0025】
一方、AgInSbTeを記録層とする相変化形記録媒体は、それらの組成によって、保存信頼性に影響を与える。Agが6at%を超えると、オーバーライトシェルフの劣化が顕著になる。つまり、製造後数年たって、記録したときに十分な信号が記録できなくなってしまう。また、Inが15at%を超えるとアーカイバルの劣化が顕著になり、3at%より少ないと記録感度の低下をもたらす。Sbは、その組成比が大きい方が、オーバーライトの繰り返し特性に優れるが、65at%を超えるとアーカイバル劣化をもたらす。また、アーカイバル劣化の低減には、Nおよび/またはOの添加が効果的である。それによって、アモルファスマークが安定化される。それらのメカニズムの詳細は、必ずしも明確ではないが、膜中への適量のN、Oの混入により、膜密度の減少、微小欠陥の増加等により、構造的には粗の方向に変化する。その結果、N、O無添加の状態に比べ、膜の秩序性が緩和され、保存寿命が向上する。Nおよび/またはOは、Teおよび/またはSbに結合していることがIRスペクトルから明らかになっている。
【0026】
好適なNおよび/またはOの組成比は、これらの総計で5at%以下である。5at%を超えると、記録層の窒化が進み過ぎてしまい、結晶化が困難になる。その結果、初期化不足や消去比の低減を生じてしまう。記録層へのN、Oの導入はスパッタリング時のアルゴンガスに窒素ガスや酸素ガスを0mol%以上10mol%以下混合したガスを用いることで得られる。また、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いることにより記録層へのN、Oの導入を可能にする。混合ガスは所望のモル比であらかじめ混合したガスを用いても、チャンバー導入時に所望にモル比になるように流量をそれぞれ調整してもよい。
【0027】
さらに、Nおよび/またはOの添加効果の一つとして、記録層の再結晶化速度の制御法としても有効である。具体的には、Nおよび/またはOの添加により、再結晶化速度を遅くすることができる。これによって、最適記録速度を制御することができる。すなわち、同一のターゲットを使っても、記録膜作製時の(N2及び/又はO2)/Arガス混合比の制御のみで、相変化光ディスクの最適記録線速度を調整することができる。
【0028】
記録膜中のNおよび/またはOの化学結合状態としては、Ag、In、Sb、Teのいずれか一種以上と結合していることが望ましいが、特に、Teに結合した状態、具体的には、Te−N、Te−O、Sb−Te−Nといった化学結合が存在したときに、O/Wの繰り返し回数の向上に、より効果が大きい。そのような化学結合状態の分析手段としては、FT−IRやXPS等の分光分析法が有効である。例えば、FT−IRでは、Te−Nによる吸収帯は500〜600cm-1付近にそのピークをもち、Sb−Te−Nは、600〜650cm-1付近にそのピークが出現する。
【0029】
さらに、本発明の記録層材料には、さらなる性能向上、信頼性向上等の目的に他の元素や不純物を添加することができる。一例としては、特願平4−1488号に記載されている元素(B、N、C、P、Si)やO、S、Se、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、Cu、Zn、Ga、Sn、Pd、Pt、Au等が好ましい例として挙げられる。
【0030】
本発明においては、記録層の組成は記録膜を発光分析法により測定して得られる値を用いたが、分析法としては、その他にもX線マイクロアナリシス、ラザフォード後方散乱、オージェ電子分光、蛍光X線等の分光法が考えられる。その場合は、発光分光法で得られる値との比較検討をする必要がある。また、一般に発光分析法の場合、測定値のおよそ±5%は分析誤差と考えられる。2次イオン質量分析法などの質量分析法も有効である。
記録層中に含まれる物質の観測はX線回析または電子線回析が適している。すなわち結晶状態の判定として、電子線回析像でスポット状乃至デバイリング状のパターンが観測される場合には結晶状態、リング状のパターン乃至ハローパターンが観測される場合には非結晶(アモルファス)状態とする。結晶子径はX線回析ピークの半値幅からシェラーの式を用いて求めることできる。
さらに、記録層中の化学結合状態、たとえば酸化物、窒化物等の分析には、FT−IR、XPS等の分析手法が有効である。
【0031】
記録層の膜厚としては10〜100nm、好適には15〜50nmとするのがよい。さらに、ジッター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考慮すると、好適には15〜35nmとするのがよい。10nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層としての役割を果たさなくなる。また、100nmより厚いと高速で均一な相変化がおこりにくくなる。このような記録層は、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーテイング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパッタリング法が量産性、膜質等に優れている。
【0032】
第1保護層2および第2保護層4の材料としては、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al2O3、TiO2、In2O3、MgO、ZrO2等の金属酸化物、Si3N4、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物、ZnS、In2S3、TaS4などの硫化物、SiC、TaC、B4C、WC、TiC、ZrC等の炭化物やダイヤモンド状カーボンなどがあげられる。これらの材料は、単体で保護層とすることもできるが、互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含んでもよい。必要に応じて、誘電体層を多層化することもできる。ただし、第1保護層および第2保護層の融点は記録層よりも高いことが必要である。このような第1保護層および第2保護層の材料としては、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
【0033】
第1保護層の膜厚は、DVD(デジタルビデオディスク)の再生波長である650nmの反射率に大きく影響する。図4に、記録層25nm、第2保護層(屈折率2.0)30nm、反射放熱層140nmのときのグルーブ反射率の第1保護層(屈折率2.0)厚依存性を示す。780nmと650nmの波長でCD−RWディスクの規格である反射率0.15〜0.25を満足するためには、第1保護層を65〜130nmとすることが要求される。また、650nmの波長でも十分な反射率(18%程度)を得るためには、第1保護層を110nm以下とすることが望ましい。したがって、波長780nmでの記録再生および650nmの再生で十分な信号特性を得るためには、第1保護層を80〜110nmとすることが好適と判断される。
【0034】
第2保護層の膜厚としては、15〜45nm、好適には20〜40nmとするのがよい。15nmより薄くなると耐熱性保護層としての性能を果たさなくなる。また、感度の低下を生じる。一方、45nmより厚くなると、1.2〜5.6m/sの低線速度で使用した場合、界面剥離を生じやすくなり、繰り返し記録性能も低下する。
【0035】
反射放熱層5としては、Al、Au、Ag、Cu、Taなどの金属材料、またはそれらの合金などを用いることができる。また添加元素としてはCr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどが使用される。このような反射放熱層は各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。反射放熱層の膜厚としては、70〜180nm、好適には100〜160nmとするのがよい。
【0036】
反射放熱層の上には、その酸化防止のためにオーバーコート層6を有することが望ましい。オーバーコート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化樹脂が一般的である。その厚さは、7〜15μmが適当である。7μm以下では、オーバーコート層上に印刷層を設ける場合、エラーの増大が認められることがある。一方、15μm以上の厚さでは、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0037】
ハードコート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化樹脂が一般的である。その厚さは、2〜6μmが適当である。2μm以下では、十分な耐擦傷性が得られない。6μm以上の厚さでは、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。その硬度は、布でこすっても大きな傷がつかない鉛筆硬度であるH以上とする必要がある。必要に応じて、導電性の材料を混入させ、帯電防止を図り、挨等の付着を防止することも効果的である。
ハードコート層の紫外線硬化樹脂としては、再現性よくかつ精度よく塗布位置を制御するために、粘度が40cps以上のものが望ましい。それによって、精度よく半径20〜22mmという狭い領域に精度よくハードコートの端が形成される(図5)。さらに、初期化装置によるマーキングがその領域に形成されると、その精度は、20〜21mmとさらに厳しい要求となる。紫外線硬化樹脂の粘度を40cps以下とすると、樹脂が流れてしまい、内周の塗りはじめの位置精度が十分でなくなる。その結果、基板の金型の跡に紫外線硬化樹脂がかかってしまい、塗り斑を生じてしまう。
【0038】
本発明の情報記録媒体の初期化、記録、再生、消去に用いる電磁波としてはレーザー光、電子線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波など種々のものが採用可能である。中でも小型でコンパクトな半導体レーザーが最適である。
ところで最近、CD−RWドライブの開発も進んでおり、CD−RWディスクとのマッチングテストが行われるようになった。その結果、ドライブとディスクの組み合わせによっては、
1)データを書き込んだ後に、リードインおよびリードアウトを書き込むときに、つまり、記録媒体上をドライブのピックアップがシークしたときに、ピックアップ位置を判別できなくなる、
2)最適記録パワーを決める時の精度が悪く、場合によっては、最適記録パワーを決定できなくなる、
3)CD6×速度(7.2m/s)以上の高線速再生で、エラーが増大してしまう、
といった問題を生じることがわかった。
【0039】
これらの問題を検討した結果、上記1)については、初期化不足や初期化不良が原因であることが分かった。初期化不足になると、オーバーライトによって、Rtopの増大を生じる。その結果、プッシュプルやラジアルコントラストの低下を生じてしまい、トラッキングが不安定になり、正確なシークができなくなることが分かった。また、初期化不良になると、プッシュプル信号、Rf信号に乱れを生じてしまい、トラッキングが不安定になり、正確なシークができなくなることが分かった。
【0040】
上記2)については、最適記録パワーをγ法で決定する際、記録パワーを増大させたときに、変調度が飽和しないために、最適パワーを決定できなかったためであった。その原因は、初期化不足や初期化不良によるものであった。種々検討した結果、最適記録パワーを精度よく決めるためには、飽和グルーブ反射率(Rg)の95%以上の初期化状態を達成することが必要と分かった。飽和Rgの95%以上の初期化を達成するためには、パワー、線速、送り速度等の初期化条件の調整によって可能である。たとえば、図6に示したように、記録パワーの増大、送り速度の低減、初期化線速の低減によって、飽和グルーグ反射率の95%以上が達成される。
しかし、初期化状態を管理するためには、複数ある初期化装置と初期化された相変化記録媒体とのトレーサビリティーを明確にしなければならない。その方法として、初期化の際に、マーキングする方法が効果的である。マーキングの方法として、グルーブ端よりも内周に、初期化パワーを変調して記録することが好適である(図7)。たとえば、1、2、3、4、5、6号初期化装置に対応した相変化形記録媒体の内周(20mm)に、それぞれ、1、2、3、4、5、6ドットのマーキングを行う。また、初期化装置によって、内周の初期化開始位置を変える方法も効果的である。一方、γ法で決められなかったときのために、使用する最適記録パワーをATIP情報にすることも効果的である。
【0041】
上記3)の問題は、ディスクの反射率が18%以下の場合に発生した。したがって、ディスクの反射率を18%以上にするためには、第1保護層を80nm以上とすることで達成される。あるいは記録層のSb組成比を増大させる、第2保護層の厚さを減少させる等によっても達成される。あるいは、基板の溝を広く、浅くすることでも達成される。また、ディスク反射率の増大と同様の効果は、再生光のパワーを1.2mW、1.4mW、1.6mWと増大させることでも達成される。ドライブのばらつきとメディア反射率のばらつきを考慮すると、CD8×(9.6〜11.2m/s)で再生するためには、再生光1.2mW以上が好適であった。さらに、CD12×以上の高線速での再生では1.4mW以上が好適であった。しかし再生光1.8mW以上では、100万回以上の再生でエラーの増大が認められた。
【0042】
これからは、記録線速のマージンの向上が要求されている。少なくとも、CD−RWディスクでは2×〜4×速度の記録が可能なものが必要とされる。2×記録/消去と4×記録/消去とでは、相変化記録媒体の結晶化およびアモルファス化の際の冷却速度が異なるため、その制御が重要となる。2×速度では、結晶化容易であるがアモルファス化が困難となる。一方、4×速度では、アモルファス化は容易であるが結晶化が困難となる。特に、4×速度記録時に消去パワーの増大によってRtopが小さくなってしまう問題がある。従って、4×速度記録では消去パワーをより小さくしたストラテージが効果的である。具体的には、図8に示すように、2×(2.4〜2.8m/s)の消去パワー/書き込みパワー(P2e/P2w)で0.50、0.54、4×(4.8〜5.6m/s)の消去パワー/書き込みパワー(P4e/P4w)でそれぞれ0.46、0.50とすることが効果的である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
【0044】
実施例1〜10
幅0.5μm、深さ35nmのグルーブを有する1.2mm厚の80℃以下に冷却したポリカーボネート基板に、表1に示す第1保護層、記録層、第2保護層、放熱反射層を枚葉形スパッタ装置によって10秒タクトで連続製膜し、次いで、紫外線硬化樹脂のスピンコートによるハードコート、オーバーコートを形成し、相変化形光ディスクを作製した。第1保護層および第2保護層にはZnSSiO2を用いた。放熱反射層にはアルミニウム合金を用いた。ハードコートの最内周位置は20.5mmに制御した。ついで、大口径のLDを有する初期化装置によって、ディスクの記録層の結晶化処理を行った。初期化条件は、飽和反射率の95%以上を確保できる条件で行った。その際、ディスク内周半径21mmの位置に初期化装置のナンバーを示すドットを初期化装置のパワー変調によって記録した。次いで、オーバーコート層の上に印刷層を形成した。
【0045】
このようにして得た相変化形光ディスクの評価は、波長780nm、NA0.5のピックアップを搭載した評価機を用いて行った。記録ストラテージは、2×の消去パワー/書き込みパワー(P2e/P2w)を0.50、4×の消去パワー/書き込みパワー(P4e/P4w)を0.46とした。記録パワー、バイアスパワーは、2×記録、4×記録ともに、それぞれ13mW、1mWとした。再生パワーは、1.0mWとした。
【0046】
表1に、オーバーライト1000回後のC1エラーを示す。2×記録2×再生では、いずれの実施例も100以下のエラーであり、実用上問題無かった。4×記録2×再生では、1nの組成比が大きいディスクでは、C1エラーが増大する傾向にあった。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
1)請求項1に係る発明によれば、光記録媒体の記録層の組成を特定化し、及び、この光記録媒体の各層の製膜を基板温度80℃以下で行ない、記録層の再結晶化上限線速度が2.5〜5.0m/sであることで、低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつ、デジタルビデオディスクと再生互換を有し、また初期化プロセスが短時間で行なえ、CD×4倍速での記録・消去も良好に行なえ、さらに記録の際に信号特性が良好な相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
2)請求項2に係る発明によれば、記録層の製膜速度を2〜30nm/sにすることで、所望の再結晶化上限線速度をもつ相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
3)請求項3に係る発明によれば、あらかじめ、最適記録パワーを基板のATIP情報に有するため、最適記録パワーを見出せなくても、エラーを発生することがない相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
4)請求項4に係る発明によれば、初期化が十分にされているため、最適記録パワーの精度が向上し、かつオーバーライトによる反射率変動も小さく、ピックアップが記録媒体上をシークしても、トラッキングが安定している、低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつデジタルビデオディスクと再生互換を有する相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
5)請求項5に係る発明によれば、光ディスクの内周に、初期化装置ごとに異なるマークがあるため、光ディスクがどの初期化装置で初期化されたかが明確になり、初期化の管理が著しく容易になり、初期化管理された低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつデジタルビデオディスクと再生互換を有する相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
6)請求項6に係る発明によれば、光ディスクの内周に、初期化装置ごとに異なるマークが初期化パワーを変調させて形成することができるため、初期化装置の大幅な改造を必要としない。したがって、コストをほとんど変えずに、初期化管理された低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつデジタルビデオディスクと再生互換を有する相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
7)請求項7に係る発明によれば、CD−RWディスクへのハードコート層の形成を歩留まりよく可能にするため、耐擦傷性が高く、低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつデジタルビデオディスクと再生互換を有する相変化形光記録媒体の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一例の概略図。
【図2】記録層のTe組成比と最適記録線速との関連を表わした図。
【図3】オレンジブックパートIIIに準拠した記録パルスストラテージを表わした図。
【図4】第1保護層の厚さとグルーグ反射率との関係を表わした図。
【図5】半径20〜22mmの領域にハードコートの端が形成される様子を表わした図。
【図6】図6(a)は初期化パワーと飽和グルーグ反射率(Rg)との関係を表わした図、図6(b)は送り速度とRgとの関係を表わした図、図6(c)は線速とRgとの関係を表わした図。
【図7】グルーグ端よりも内周に初期化パワーを変調して記録することを説明するための図。
【図8】図8(a)は2×CD用記録ストラテージを表わした図、図8(b)は4×CD用記録ストラテージを表わした図。
【図9】再結晶化上限線速度を表わした図。
【符号の説明】
1 基板
2 第1誘電体層(第1保護層)
3 記録層
4 第2誘電体層(第2保護層)
5 金属又は合金層(反射放熱層)
6 オーバーコート層
7 印刷層
8 ハードコート層
Claims (7)
- 円盤状の基板上に第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、金属又は合金層、オーバーコート層の順に積層してなる書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法において、該記録層の構成元素が主にAg、In、Sb、Te及びNおよび/またはOであり、それぞれの組成比α、β、γ、δ、ε(εはNとOの合計)(原子%)が
0<α≦6
3≦β≦15
50≦γ≦65
20≦δ≦35
0≦ε≦5
α+β+γ+δ+ε=100
であって、基板温度を80℃以下として各層が製膜され、かつ該記録層の再結晶化上限線速度がビームパワー12mW、波長780nmの光、N.A0.5の測定条件で2.5〜5.0m/sであることを特徴とする書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。 - 記録層の製膜速度が2nm/sから30nm/sであることを特徴とする請求項1記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
- 書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の記録方法であるγ法で最適記録パワーが見出せなかった場合に選択すべき所定の記録パワーをあらかじめ基板のATIP情報に有することを特徴とする請求項1記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
- 初期化後の反射率がその書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の最高到達反射率の95%以上であることを特徴とする請求項1記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
- 半径22mm以内に書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造における初期化工程で記録された情報を有することを特徴とする請求項1記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
- 初期化工程で記録する情報が初期化パワーの変調による反射率のコントラストを利用するものであることを特徴とする請求項5記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
- 膜厚2〜6μm、鉛筆硬度H以上のUV硬化樹脂層が非グループ面(鏡面)に有する書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)において、その最内周が22.0mm以下であり、該UV硬化樹脂層を形成する硬化前のUV硬化樹脂の室温粘度が40cps以上であることを特徴とする請求項1記載の書き換え型コンパクトディスク(CD−RW)の製造方法。
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