JP2003200666A - 光記録媒体及びこれの記録再生方法 - Google Patents

光記録媒体及びこれの記録再生方法

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JP2003200666A
JP2003200666A JP2002357343A JP2002357343A JP2003200666A JP 2003200666 A JP2003200666 A JP 2003200666A JP 2002357343 A JP2002357343 A JP 2002357343A JP 2002357343 A JP2002357343 A JP 2002357343A JP 2003200666 A JP2003200666 A JP 2003200666A
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Katsuyuki Yamada
勝幸 山田
Yuki Nakamura
有希 中村
Eiji Noda
英治 野田
Takashi Hattori
恭士 服部
Kenichi Aihara
謙一 相原
Fumiya Omi
文也 近江
Yujiro Kaneko
裕治郎 金子
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 DVDディスクとの再生互換が行なえる書き
換え可能なコンパクトディスク(CD−RW)に有用な
相変化形光記録媒体を提供する。 【解決手段】 円盤状の基板上に第1誘電体層、記録
層、第2誘電体層、金属又は合金属、UV硬化樹脂層、
該記録層の構成元素が主にAg、In、Sb、Te及び
Nおよび/またはOであり、それぞれの組成比α、β、
γ、δ、ε(εはNとOの合計)(原子%)が 0<α≦6 3≦β≦15 50≦γ≦65 20≦δ≦35 0≦ε≦5 α+β+γ+δ+ε=100 であって、この記録層の再結晶化上限線速度が2.5〜
5.0m/sであることを特徴とする光記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光記録媒体、特に光
ビームを照射することにより記録層材料に相変化を生じ
させ、情報の記録・再生を行い、かつ書き換えが可能で
ある相変化形光情報記録媒体、及びこれの再生方法に関
し、光メモリー関連機器、特に書き換えに可能なコンパ
クトディスク(CD−RW)に応用されるものである。
【0002】
【従来の技術】電磁波、特にレーザービームの照射によ
る記録、再生および消去が可能な光メモリー媒体のひと
つとして、結晶−非結晶相間あるいは結晶−結晶相間の
転移を利用する、いわゆる相変化形光記録媒体がよく知
られている。特に光磁気メモリーでは困難な単一ビーム
によるオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学
系もより単純であることなどから最近その研究開発が活
発になっている。
【0003】その代表的な例として、USP35304
41に開示されているように、Ge−Te、Ge−Te
−Sn、Ge−Te−S、Ge−Se−S、Ge−Se
−Sb、Ge−As−Se、In−Te、Se−Te、
Se−Asなどのいわゆるカルコゲン系合金材料があげ
られる。また安定性、高速結晶化などの向上を目的にし
て、Ge−Te系にAu(特開昭61−219692
号)、SnおよびAu(特開昭61−270190
号)、Pd(特開昭62−19490号)などを添加し
た材料の提案や、記録/消去のくり返し性能向上を目的
にして、Ge−Te−Se−Sb、Ge−Te−Sbの
組成比を特定した材料(特開昭62−73438号、特
開昭63−228433号)の提案などもなされてい
る。しかし、そのいずれもが相変化形書換可能な光メモ
リー媒体として要求される諸特性のすべてを満足しうる
ものとはいえない。特に、記録感度、消去感度の向上、
オーバーライト時の消し残りによる消去比低下の防止、
ならびに記録部、未記録部の長寿命化が解決すべき最重
要課題となっている。
【0004】特開昭63−251290号では結晶状態
が実質的に三元以上の多元化合物単層からなる記録層を
具備した光記録媒体が提案されている。ここで、実質的
に三元以上の多元化合物単層とは、三元以上の化学量論
組成を持った化合物(例えばIn3SbTe2)を記録層
中に90原子%以上含むものとされている。このような
記録層を用いることにより記録、消去特性の向上が図れ
るとしている。しかしながら消去比が小さい、記録消去
に要するレーザーパワーが未だ充分に低減されていない
などの欠点を有している。
【0005】さらに、特開平1−277338号には
(SbaTe1−a)1−yMy(ここで0.4≦a≦
0.7、y≦0.2であり、MはAg、Al、As、A
u、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Pb、Pt、S
e、Si、Sn及びZnからなる群より選ばれる少なく
とも1種である。)で表される組成の合金からなる記録
層を有する光記録媒体が提案されている。この系の基本
はSb2Te3であり、Sb過剰にすることにより、高速
消去、繰り返し特性を向上させ、Mの添加により高速消
去を促進させている。加えて、DC光による消去比も大
きいとしている。しかし、この文献にはオーバーライト
時の消去比は示されておらず(本発明者らの検討結果で
は消し残りが認められた)、記録感度も不十分である。
【0006】同様に、特開昭60−177446号では
記録層に(In1-xSbx)1-yMy(0.55≦x≦
0.80、0≦y≦0.20であり、MはAu、Ag、
Cu、Pd、Pt、Al、Si、Ge、Ga、Sn、T
e、Se、Biである。)なる合金を用い、また、特開
昭63−228433号では記録層にGeTe−Sb2
Te3−Sb(過剰)なる合金を用いているが、いずれ
も感度、消去等の特性を満足するものではなかった。加
えて、特開平4−163839号には記録薄膜Te−G
e−Sbを合金にNを含有させることによって形成し、
特開平4−52188号には記録薄膜をTe−Ge−S
e合金にこれら成分のうちの少なくとも1つが窒化物と
なっているものを含有させて形成し、特開平4−521
89号には記録薄膜がTe−Ge−Se合金にNを吸着
させることによって形成し、これら記録薄膜をそれぞれ
設けた光記録媒体が記載されている。しかし、これらの
光記録媒体でも十分な特性を有するものを得ることがで
きていない。
【0007】これまでみてきたように、光記録媒体にお
いては、特に記録感度、消去感度の向上、オーバーライ
ト時の消し残りによる消去比低下の防止、並びに記録
部、未記録部の長寿命化が解決すべき最重要課題となっ
ている。
【0008】一方、近年CD(コンパクトディスク)の
急速な普及にともない、一回だけの書き込みが可能な追
記型コンパクトディスク(CD−R)が開発され、市場
に普及されはじめた。しかし、CD−Rでは書き込み時
に一度でも失敗すると修正不可能なため、そのディスク
は使用不能となってしまい廃棄せざるを得ない。したが
って、その欠点を補える書き換え可能なコンパクトディ
スクの実用化が待望されていた。研究開発された一つの
例として、光磁気ディスクを利用した書き換え可能なコ
ンパクトディスクがあるが、オーバーライトの困難さ
や、CD−ROM、CD−Rとの互換がとりにくい等と
いった欠点を有するため、原理的に互換確保に有利な相
変化形光ディスクの実用化開発が活発化してきた。
【0009】相変化形光ディスクを用いた書き換え可能
なコンパクトディスクの研究発表例としては、古谷
(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿
集、70(1992)、神野(他):第4回相変化記録
研究会シンポジウム講演予稿集、76(1992)、川
西(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予
稿集、82(1992)、T.Handa(et a
l):Jpn.J.Appl.Phys.,32(19
93)、米田(他):第5回相変化記録研究会シンポジ
ウム講演予稿集、9(1993)、富永(他):第5回
相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、5(199
3)のようなものもあるが、いずれも、CD−ROM、
CD−Rとの互換性確保、記録消去性能、記録感度、書
き替えの繰り返し可能回数、再生回数、保存安定性等、
総合性能を充分満足させるものではなかった。それらの
欠点は、主に記録材料の組成、構造に起因する消去比の
低さによるところが大きかった。
【0010】これらの事情から消去比が大きく、高感度
の記録、消去に適する相変化形記録材料の開発、さらに
は高性能で書き換え可能な相変化形コンパクトディスク
が望まれていた。本発明者等は、それらの欠点を解決す
る新材料として、AgInSbTe系記録材料を見出し
提案してきた。その代表例としては、特開平4−780
31号、特開平4−123551号、H.Iwasak
i(et al):Jpn.J.Appl.Phy
s.,31(1992)461、井手(他):第3回相
変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、102(19
91)、H.Iwasaki(et al):Jpn.
J.Appl.Phys.,32(1993)5241
等があげられる。また、1996年10月には、書き換
え可能なコンパクトディスク(CD−RW)の規格とし
て、オレンジブックパートIII(ver1.0)が発行
された。
【0011】一方、近年デジタルビデオディスク(DV
D)およびDVD−RAM等の開発も活発に行われてお
り、21世紀初期の主要光記録媒体として注目されてい
る。このような環境下で、書き換え可能なコンパクトデ
ィスクに、DVDとの再生互換も要求されるようになっ
た。これまでに開発されてきたCD−RWの記録信号
は、DVDの再生波長である650nm付近での反射率
および変調度が小さく十分な信号特性が得られていな
い。オレンジブックパートIII(ver1.0)は、2
×線速度記録(2.4〜2.8m/s)のCD−RWに
対する規格であるが、このような低線速度の記録では、
記録時間が長くかかってしまい、より高速記録の書き換
え可能なコンパクトディスクが望まれている。
【0012】最近、CD−RWディスクの開発ととも
に、CD−RWドライブの開発も進んでおり、それらの
マッチング試験も行われるようになった。これらの試験
の結果、ドライブの中には、CD6×速度(7.2m/
s)以上の線速度での再生ではエラーが急増することが
わかり、高線速度再生が困難であるものが存在すること
が分かった。また、ドライブのなかには、オレンジブッ
クパートIIIに記載のγ法では、CD−RWディスクへ
の最適記録パワーを決定することができないものも存在
することがわかった。CD−RWディスク等の相変化形
光記録媒体は、記録層の結晶化処理という初期化工程を
有する。初期化状態は、光記録媒体のオーバーライト特
性に敏感に影響し、初期化装置依存性も大きい。しか
し、その初期化状態の管理および製造時の初期化装置と
ディスクとのトレーサビリディー管理は充分に開発され
ていない。
【0013】これらCD−RWディスクは、CD−RO
Mディスクと同様に、円盤状のディスクを直接手で扱う
ため、ディスク表面および裏面に油分やごみが付着す
る。その際、これらを拭き取るために、布等で拭き取る
ことが想定される。その時、CD−RWディスクの標準
的な基板であるポリカーボネートでは傷がついてしま
い、その大きさによっては、記録および再生ができなく
なってしまう。その対策として、光記録媒体の非グルー
ブ面(鏡面)にUV硬化樹脂層(ハードコート層)を設
けることが知られており、光磁気ディスク等では、既に
用いられている。この際、ハードコート層の塗りはじめ
は、基板の金型跡とグループ端の間としなければならな
い。その技術をCD−RWディスク等の相変化形ディス
クに応用した場合、わずかなハードコート層の塗りムラ
は、初期化不良を生じ、実際の商品に用いられることが
なかった。特に、CD−RWディスク等のCD系光ディ
スクでは、グループ端が半径22mmと光磁気記録媒体
の25mmよりも3mmも内側にきており、グループ端
と基板の金型跡がわずか2mmと近接しており、再現性
よく、安定にハードコート層を設けることができなかっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】これらの開示技術によ
り、AgInSbTeを記録層とすることによって極め
て優れた性能を有する相変化形光ディスクを獲得できる
ことは既に明らかであったが、CD−Rとの互換性確保
等、上記総合性能を完璧に満足し、新たな市場を形成し
えるに足る相変化形光ディスクの作製技術を完成させる
ためには、さらなる改良が望まれていた。
【0015】したがって、本発明の第一の目的は、上記
従来技術における問題をすべて解消し、かつDVDディ
スクとの再生互換を確保できる取り扱いの容易な光記録
媒体を提供することにある。本発明の第二の目的は、デ
ィスク回転速度が1.2m/sから5.6m/sの領域
で記録消去を行う最適な光記録媒体を提供することにあ
る。本発明の第三の目的は、CD−RWディスクのドラ
イブとのマッチングを向上させたCD−RWディスクを
提供することにある。本発明の第四の目的は、CD−R
Wディスクの製造工程における安定性、歩留りの向上が
図られる光記録媒体を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは光記録媒体
の改善に鋭意研究を重ねた結果、前記課題の解決に合致
する光記録媒体を見出した。すなわち、本発明によれば (1)円盤状の基板上に第1誘電体層、記録層、第2誘
電体層、金属又は合金層、UV硬化樹脂層の順に積層し
てなる光記録媒体において、該記録層の構成元素が主に
Ag、In、Sb、Te及びN及び/又はOであり、そ
れぞれの組成比α、β、γ、δ、ε(εはNとOの合
計)(原子%)が 0<α≦6 3≦β≦15 50≦γ≦65 20≦δ≦35 0≦ε≦5 α+β+γ+δ+ε=100 であって、この記録層の再結晶化上限線速度が2.5〜
5.0m/sであることを特徴とする光記録媒体が提供
される。
【0017】また本発明によれば、(2)780±15
nmと650±15nmの再生波長のそれぞれの反射率
が18%以上であることを特徴とする上記(1)の光記
録媒体、(3)書き換え型コンパクトディスク(CD−
RW)の記録方法であるγ法で、最適記録パワーが見出
せなかった場合に選択すべき所定の記録パワーをあらか
じめ基板のATIP情報に有することを特徴とする上記
(1)の光記録媒体、(4)初期化後の反射率がその光
記録媒体の最高到達反射率の95%以上であることを特
徴とする上記(1)の光記録媒体、(5)半径22mm
以内に光記録媒体の製造における初期化工程で記録され
た情報を有することを特徴とする上記(1)の光記録媒
体、(6)初期化工程で記録する情報が初期化パワーの
変調による反射率のコントラストを利用するものである
ことを特徴とする上記(5)の光記録媒体、(7)膜厚
2〜6μm、鉛筆硬度H以上のUV硬化樹脂層が非グル
ーブ面(鏡面)に有する書き換え型コンパクトディスク
(CD−RW)において、その最内周が22.0mm以
下であり、該UV硬化樹脂層を形成する硬化前のUV硬
化樹脂の室温粘度が40cps以上であることを特徴と
する上記(1)の光記録媒体、(8)2.4〜5.6m
/sの線速度で記録可能なCD−RWディスクにおい
て、2.4〜2.8m/sの消去パワー/書き込みパワ
ー(P2e/P2w)が4.8〜5.6m/sの消去パワ
ー/書き込みパワー(P4e/P4w)より大きいことを
特徴とする上記(1)〜(7)の光記録媒体の記録方
法、(9)記録の再生が再生線速の増減に応じて再生光
パワーを増減させて行なうことを特徴とする上記(1)
〜(7)の光記録媒体の再生方法、が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の再結晶化上限線速度とは、本発明者らが
見出した相変化形光記録媒体の新規な特性値である。こ
の特性値は、所定の線速度で走査している相変化形光記
録媒体の記録層が光ビームの照射によって溶融したあと
に、再結晶化できる上限の線速度のことである。光ビー
ムは、ライターに搭載されているものと類似の半導体レ
ーザーの光ビームを用いる。再結晶化上限線速度は、所
定の線速で走査している相変化形光記録媒体のグルーブ
またはランドに光ビームを照射したあとのグルーブまた
はランドの反射率の線速度依存性から求められる。その
測定結果は、一般的には図9のようになる。このとき、
光ビーム照射線速度の増大とともに、急激に反射率が減
少しはじめる線速度(図9では、3.5m/s)を再結
晶化上限線速度とする。本発明で定義している再結晶化
上限線速度は、光ビームのパワーやビームの大きさによ
っても幾分異なり、波長780nm、NA0.5程度の
ピックアップで最大±0.5m/s程度の違いがある。
再結晶化線速度は、相変化形光記録媒体の性能を左右す
る。再結晶化線速度が2.5m/sより小さいと、高速
で再結晶化できないため、初期化プロセスに時間がかか
ってしまい実用的でない。また、CD4×速度での記録
では、消去の際、非晶質してしまう。一方、再結晶化線
速度が5.0m/sを超えてしまうと、記録する際、非
晶質化が不十分となり、良好な信号特性が得られなくな
る。
【0019】相変化形光記録媒体を本発明の再結晶化上
限線速度に制御するためには、第1誘電体層、記録層、
第2誘電体層、金属又は合金層、UV硬化樹脂層の順に
積層した円盤状基板の基板温度を80℃以下にすること
が望ましい。基板温度が80℃を越えると、誘電体層お
よびまたは記録層が部分的に結晶化し所望の再結晶化上
限速度から外れたり、図9に示したような反射率が減少
する線速度が見出せなくなってしまう。また、そのメカ
ニズムは詳細に分かっていないが、記録層の製膜速度も
再結晶化上限速度を左右することが分かった。製膜速度
が小さいと再結晶化線速度が遅くなることが分かった。
所望の再結晶化上限線速度を得るためには、記録層の製
膜速度を2nm/sから30nm/sとすることが望ま
しい。2nm/s以下の製膜速度では、再結晶化線速度
が2m/s以下に、30nm/s以上では、再結晶化線
速度が5m/s以上となってしまう。本発明の記録層組
成範囲であっても図9のような反射率が減少する線速度
が見出せないものもある。それは、光ビームの照射で、
記録層の融点以上に加熱できない場合や記録層は溶融す
るが再結晶化が速すぎて、評価線速領域では反射率の低
下が見出せないときなどがある。
【0020】本発明の光記録媒体の代表例を図1に示
す。基本的な構成は、案内溝を有する基板1上に第1誘
電体層(第1保護層)2、記録層3、第2誘電体層(第
2保護層)4、又はは合金層(反射放熱層)5、UV硬
化樹脂層(オーバーコート層)6を有する。さらに、好
ましくは、オーバーコート層6上に印刷層7、基板1の
裏面に、ハードコート層8を有する。
【0021】基板1の材料は通常ガラス、セラミックス
あるいは樹脂であり、樹脂基板が成形性、コストの点で
好適である。樹脂の例としてはポリカーボネート樹脂、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アク
リロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系
樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などがあげられるが、
成型性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネー
ト樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。また、基板の形状
としてはディスク状、カード状あるいはシート状であっ
てもよい。
【0022】ただし、本発明の光記録媒体を書き換え可
能なコンパクトディスク(CD−RW)に応用する場合
には、以下のような特定の条件が付与されることが望ま
しい。この条件は、使用する基板に形成される案内溝
(グルーブ)の幅が0.25〜0.65μm好適には
0.30〜0.55μm、その案内溝の深さが250〜
650Å、好適には300〜550Åとなっていること
である。基板の厚さは、特に制限されるものではない
が、1.2mm、0.6mmが好適である。
【0023】記録層3としては、Ag、In、Sb、T
eを含む4元系の相変化形記録材料を主成分として含有
する材料が、記録(アモルファス化)感度・速度、消去
(結晶化)感度・速度、及び消去比が極めて良好なため
適している。しかしながら、AgInSbTeは、その
組成比によって最適な記録線速度が存在する。そのた
め、目的とする記録線速度および線速度領域によって、
AgInSbTeの組成比を調整する必要がある。これ
までの検討の結果、AgInSbTe記録層のTeの組
成比が記録線速度に高い相関があることが分かってい
る。
【0024】図2に、種々の組成比を有するAgInS
bTeを記録層として作製した相変化形光ディスクの最
適記録線速度のTe組成比依存性を示す。層構成は、ハ
ードコート層3〜5μm/基板1.2mm/第1誘電体
層100nm/記録層AgInSbTe25nm/第2
誘電体層30nm/金属又は合金層(反射放熱層)14
0nm/UV硬化樹脂層(オーバーコート層)8〜10
μmとした。記録は、NAO.=50、λ=780nm
のピックアップを用い、EFM変調による記録をした。
記録パルスストラテージは、オレンジブックパートIII
に準拠した(図3)。記録パワー、イレースパワー、バ
イアスパワーは、12mW、6mW、1mWとした。最
適記録線速とは、オーバーライト回数がもっとも多くな
る線速とした。図2に示すように、最適記録線速と記録
層のTe組成比がR2=0.9133の高い相関がある
ことが分かった。この結果および実験精度±1at%を
考慮すると、記録線速がどんなに遅くとも(0m/
s)、Te組成比は35at%以下と推測される。CD
線速1×、2×、4×、8×に対応した光記録媒体を得
るためには、その線速1.2〜1.4m/s、2.4〜
2.8m/s、4.8〜5.6m/s、9.6〜11.
2m/sに対応するTe組成比は、33、30、27、
20at%程度と推測される。
【0025】一方、AgInSbTeを記録層とする相
変化形記録媒体は、それらの組成によって、保存信頼性
に影響を与える。Agが6at%を超えると、オーバー
ライトシェルフの劣化が顕著になる。つまり、製造後数
年たって、記録したときに十分な信号が記録できなくな
ってしまう。また、Inが15at%を超えるとアーカ
イバルの劣化が顕著になり、3at%より少ないと記録
感度の低下をもたらす。Sbは、その組成比が大きい方
が、オーバーライトの繰り返し特性に優れるが、65a
t%を超えるとアーカイバル劣化をもたらす。また、ア
ーカイバル劣化の低減に、Nおよび/またはOの添加が
効果的である。それによって、アモルファスマークが安
定化される。それらのメカニズムの詳細は、必ずしも明
確ではないが、膜中への適量のN、Oの混入により、膜
密度の減少、微小欠陥の増加等により、構造的には粗の
方向に変化する。その結果、N、O無添加の状態に比
べ、膜の秩序性が緩和され、保存寿命が向上する。Nお
よび/またはOは、Teおよび/またはSbに結合して
いることがIRスペクトルから明らかになっている。
【0026】好適なNおよび/またはOの組成比は、こ
れらの総計で5at%以下である。5at%を超える
と、記録層の窒化が進み過ぎてしまい、結晶化が困難に
なる。その結果、初期化不足や消去比の低減を生じてし
まう。記録層へのN、Oの導入はスパッタリング時のア
ルゴンガスに窒素ガスや酸素ガスを0mol%以上10
mol%以下混合したガスを用いることで得られる。ま
た、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いること
により記録層へのN、Oの導入を可能にする。混合ガス
は所望のモル比であらかじめ混合したガスを用いても、
チャンバー導入時に所望にモル比になるように流量をそ
れぞれ調整してもよい。
【0027】さらに、Nおよび/またはOの添加効果の
一つとして、記録層の再結晶化速度の制御法としても有
効である。具体的には、Nおよび/またはOの添加によ
り、再結晶化速度を遅くすることができる。これによっ
て、最適記録速度を制御することができる。これは、同
一のターゲットを使っても、記録膜作製時の(N2及び
/又はO2)/Arガス混合比の制御のみで、相変化光
ディスクの最適記録線速度を調整することができる。
【0028】記録膜中のNおよび/またはOの化学結合
状態としては、Ag、In、Sb、Teのいずれか一種
以上と結合していることが望ましいが、特に、Teに結
合した状態、具体的には、Te−N、Te−O、Sb−
Te−Nといった化学結合が存在したときに、O/Wの
繰り返し回数の向上に、より効果が大きい。そのような
化学結合状態の分析手段としては、FT−IRやXPS
等の分光分析法が有効である。例えば、FT−IRで
は、Te−Nによる吸収帯は500〜600cm -1付近
にそのピークをもち、Sb−Te−Nは、600〜65
0cm-1付近にそのピークが出現する。
【0029】さらに、本発明の記録層材料には、さらな
る性能向上、信頼性向上等の目的に他の元素や不純物を
添加することができる。一例としては、特願平4−14
88号に記載されている元素(B、N、C、P、Si)
やO、S、Se、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、
Ni、Cr、Cu、Zn、Ga、Sn、Pd、Pt、A
u等が好ましい例として挙げられる。
【0030】本発明においては、記録層の組成は記録膜
を発光分析法により測定して得られる値を用いたが、そ
の他にもX線マイクロアナリシス、ラザフォード後方散
乱、オージェ電子分光、蛍光X線等の分光法が考えられ
る。その場合は、発光分光法で得られる値との比較検討
をする必要がある。また、一般に発光分析法の場合、測
定値のおよそ±5%は分析誤差と考えられる。2次イオ
ン質量分析法などの質量分析も有効である。記録層中に
含まれる物質の観測はX線回析または電子線回析が適し
ている。すなわち結晶状態の判定として、電子線回析像
でスポット状乃至デバイリング状のパターンが観測され
る場合には結晶状態、リング状のパターン乃至ハローパ
ターンが観測される場合には非結晶(アモルファス)状
態とする。結晶子径はX線回析ピークの半値幅からシェ
ラーの式を用いて求めることできる。さらに、記録層中
の化学結合状態、たとえば酸化物、窒化物等の分析に
は、FT−IR、XPS等の分析手法が有効である。
【0031】記録層の膜厚としては10〜100nm、
好適には15〜50nmとするのがよい。さらに、ジッ
ター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考
慮すると、好適には15〜35nmとするのがよい。1
0nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層とし
ての役割を果たさなくなる。また、100nmより厚い
と高速で均一な相変化がおこりにくくなる。このような
記録層は、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパ
ッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオン
プレーテイング法、電子ビーム蒸着法などによって形成
できる。なかでも、スパッタリング法が量産性、膜質等
に優れている。
【0032】第1保護層2および第2保護層4の材料と
しては、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al
23、TiO2、In23、MgO、ZrO2等の金属酸
化物、Si34、AlN、TiN、BN、ZrNなどの
窒化物、ZnS、In23、TaS4などの硫化物、S
iC、TaC、B4C、WC、TiC、ZrC等の炭化
物やダイヤモンド状カーボンなどがあげられる。これら
の材料は、単体で保護層とすることもできるが、互いの
混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含ん
でもよい。必要に応じて、誘電体層を多層化することも
できる。ただし、第1保護層および第2保護層の融点は
記録層よりも高いことが必要である。このような第1保
護層および第2保護層の材料としては、各種気相成長
法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ
CVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子
ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパ
ッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
【0033】第1保護層の膜厚は、DVD(デジタルビ
デオディスク)の再生波長である650nmの反射率に
大きく影響する。図4に、記録層25nm、第2保護層
(屈折率2.0)30nm、反射放熱層140nmのと
きのグルーブ反射率の第1保護層(屈折率2.0)厚依
存性を示す。780nmと650nmの再生波長でCD
−RWディスクの規格である反射率0.15〜0.25
を満足するためには、第1保護層を65〜130nmと
することが要求される。また、650nmの再生波長で
も十分な反射率(18%程度)を得るためには、第1保
護層を110nm以下とすることが望ましい。したがっ
て、波長780nmでの記録再生および650nmの再
生で十分な信号特性を得るためには、第1保護層を80
〜110nmとすることが好適と判断される。
【0034】第2保護層の膜厚としては、15〜45n
m、好適には20〜40nmとするのがよい。15nm
より薄くなると耐熱性保護層としての性能を果たさなく
なる。また、感度の低下を生じる。一方、45nmより
厚くなると、1.2〜5.6m/sの低線速度で使用し
た場合、界面剥離を生じやすくなり、繰り返し記録性能
も低下する。
【0035】反射放熱層5としては、Al、Au、A
g、Cu、Taなどの金属材料、またはそれらの合金な
どを用いることができる。また添加元素としてはCr、
Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどが使用され
る。このような反射放熱層は各種気相成長法、たとえば
真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光
CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法
などによって形成できる。反射放熱層の膜厚としては、
70〜180nm、好適には100〜160nmとする
のがよい。
【0036】反射放熱層の上には、その酸化防止として
オーバーコート層6を有することが望ましい。オーバー
コート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化
樹脂が一般的である。その厚さは、7〜15μmが適当
である。7μm以下では、オーバーコート層上に印刷層
を設ける場合、エラーの増大が認められることがある。
一方、15μm以上の厚さでは、内部応力が大きくなっ
てしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしま
う。
【0037】ハードコート層としては、スピンコートで
作製した紫外線硬化樹脂が一般的である。その厚さは、
2〜6μmが適当である。2μm以下では、十分な耐擦
傷性が得られない。6μm以上の厚さでは、内部応力が
大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響
してしまう。その硬度は、布でこすっても大きな傷がつ
かない鉛筆硬度であるH以上とする必要がある。必要に
応じて、導電性の材料を混入させ、帯電防止を図り、挨
等の付着を防止することも効果的である。ハードコート
層の紫外線硬化樹脂としては、再現性よくかつ精度よく
塗布位置を制御するために、粘度が40cps以上のも
のが望ましい。それによって、精度よく半径20〜22
mmという狭い領域に精度よくハードコートの端が形成
される(図5)。さらに、初期化装置によるマーキング
がその領域に形成されると、その精度は、20〜21m
mとさらに厳しい要求となる。紫外線効果樹脂の粘度を
40cps以下とすると、樹脂が流れてしまい、内周の
塗りはじめの位置精度が十分でなくなる。その結果、基
板の金型の後に紫外線硬化樹脂がかかってしまい、塗り
斑を生じてしまう。
【0038】本発明の情報記録媒体の初期化、記録、再
生、消去に用いる電磁波としてはレーザー光、電子線、
X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波など種々
のものが採用可能である。中でも小型でコンパクトな半
導体レーザーが最適である。最近、CD−RWドライブ
の開発も進んでおり、CD−RWディスクとのマッチン
グテストが行われるようになった。その結果、ドライブ
とディスクの組み合わせによっては、 1)データを書き込んだ後に、リードインおよびリード
アウトを書き込むときに、つまり、記録媒体上をドライ
ブのピックアップがシークしたときに、ピックアップ位
置を判別できなくなる、 2)最適記録パワーを決める時の精度が悪く、場合によ
っては、最適記録パワーを決定できなくなる、 3)CD6×速度(7.2m/s)以上の高線速再生
で、エラーが増大してしまう、 といった問題を生じることがわかった。
【0039】これらの問題を検討した結果、上記1)に
ついては、初期化不足や初期化不良が原因であることが
分かった。初期化不足になると、オーバーライトによっ
て、Rtopの増大を生じる。その結果、プッシュプル
やラジアルコントラストの低下を生じてしまい、トラッ
キングが不安定になり、正確なシークができなくなるこ
とが分かった。また、初期化不良になると、プッシュプ
ル信号、Rf信号に乱れを生じてしまい、トラッキング
が不安定になり、正確なシークができなくなることが分
かった。
【0040】上記2)については、最適記録パワーをγ
法で決定する際、記録パワーを増大させたときに、変調
度が飽和しないために、最適パワーを決定できなかった
ためであった。その原因は、初期化不足や初期化不良に
よるものであった。種々検討した結果、最適記録パワー
を精度よく決めるためには、飽和グルーブ反射率(R
g)の95%以上の初期化状態を達成することが必要と
分かった。飽和Rgの95%以上の初期化を達成するた
めには、パワー、線速、送り速度等の初期化条件の調整
によって可能である。たとえば、図6に示したように、
記録パワーの増大、送り速度の低減、初期化線速の低減
によって、飽和グルーグ反射率の95%以上が達成され
る。しかし、初期化状態を管理するためには、複数ある
初期化装置と初期化された相変化記録媒体とのトレーサ
ビリティーを明確にしなければならない。その方法とし
て、初期化の際に、マーキングする方法が効果的であ
る。マーキングの方法として、グルーブ端よりも内周
に、初期化パワーを変調して記録することが好適である
(図7)。たとえば、1、2、3、4、5、6号初期化
装置に対応した相変化形記録媒体の内周(20mm)
に、それぞれ、1、2、3、4、5、6ドットのマーキ
ングを行う。また、初期化装置によって、内周の初期化
開始位置を変える方法も効果的である。一方、γ法で決
められなかったときのために、使用する最適記録パワー
をATIP情報にすることも効果的である。
【0041】上記3)の問題は、ディスクの反射率が1
8%以下の場合に発生した。したがって、ディスクの反
射率を18%以上にするためには、第1保護層を80n
m以上とすることで達成される。あるいは記録層のSb
組成比を増大させる、第2保護層の厚さを減少させる等
によっても達成される。あるいは、基板の溝を広く、浅
くすることでも達成される。また、ディスク反射率の増
大と同様の効果は、再生光のパワーを1.2mW、1.
4mW、1.6mWと増大させることでも達成される。
ドライブのばらつきとメディア反射率のばらつきを考慮
すると、CD8×(9.6〜11.2m/s)で再生す
るためには、再生光1.2mW以上が好適であった。さ
らに、CD12×以上の高線速での再生では1.4mW
以上が好適であった。しかし再生光1.8mW以上で
は、100万回以上の再生でエラーの増大が認められ
た。
【0042】これからは、記録線速のマージンの向上が
要求されている。少なくとも、CD−RWディスクでは
2×〜4×速度の記録が可能なものが必要とされる。2
×記録/消去と4×記録/消去とでは、相変化記録媒体
の結晶化およびアモルファス化の際の冷却速度が異なる
ため、その制御が重要となる。2×速度では、結晶化容
易であるがアモルファス化が困難となる。一方、4×速
度では、アモルファス化は容易であるが結晶化が困難と
なる。特に、4×速度記録時に消去パワーの増大によっ
てRtopが小さくなってしまう問題がある。従って、
4×速度記録では消去パワーをより小さくしたストラテ
ージが効果的である。具体的には、図8に示すように、
2×(2.4〜2.8m/s)の消去パワー/書き込み
パワー(P2e/P2w)で0.50、0.54、4×
(4.8〜5.6m/s)の消去パワー/書き込みパワ
ー(P4e/P4w)でそれぞれ0.46、0.50とす
ることが効果的である。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0044】実施例1〜12、比較例1 幅0.5μm、深さ35nmのグルーブを有する1.2
mm厚の80℃以下に冷却したポリカーボネート基板
に、表1に示す第1保護層、記録層、第2保護層、放熱
反射層を枚葉形スパッタ装置によって10秒タクトで連
続製膜し、次いで、紫外線硬化樹脂のスピンコートによ
るハードコート、オーバーコートを形成し、相変化形光
ディスクを作製した。第1保護層および第2保護層には
ZnSSiO2を用いた。放熱反射層にはアルミニウム
合金を用いた。ハードコートの最内周位置は20.5m
mに制御した。ついで、大口径のLDを有する初期化装
置によって、ディスクの記録層の結晶化処理を行った。
初期化条件は、飽和反射率の95%以上を確保できる条
件で行った。その際、ディスク内周半径21mmの位置
に初期化装置のナンバーを示すドットを初期化装置のパ
ワー変調によって記録した。次いで、オーバーコート層
の上に印刷層を形成した。
【0045】このようにして得た相変化形光ディスクの
評価は、波長780nm、NA0.5のピックアップを
搭載した評価機を用いて行った。記録ストラテージは、
2×の消去パワー/書き込みパワー(P2e/P2w)を
0.50、4×の消去パワー/書き込みパワー(P4
/P4w)を0.46とした。記録パワー、バイアスパ
ワーは、2×記録、4×記録ともに、それぞれ13m
W、1mWとした。再生パワーは、1.0mWとした。
【0046】表1に、オーバーライト1000回後のC
1エラーを示す。2×記録2×再生では、いずれの実施
例も100以下のエラーであり、実用上問題無かった。
4×記録2×再生では、1nの組成比が大きいディスク
では、C1エラーが増大する傾向にあった。一方、オー
バーコート厚の小さい比較例1では、印刷層による欠陥
の増大が認められ、C1エラーが増大した。また、第1
保護層が150nmと厚い比較例2では、DVDピック
アップ(波長650nm)での再生ができなかった。ま
た、第1保護層が70nmと薄い実施例11では、波長
780nmでの反射率が18%以下となり、6×再生で
のC1エラーが増大し測定不可となった。しかし、実施
例11のサンプルも再生パワーを1.2mWとすると、
6×再生でのC1エラーが250cpsまで低減され
た。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】1)請求項1の発明によれば、光記録媒
体の各層の膜厚および記録層の組成を特定化すること
で、低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能
に優れ、かつデジタルビデオディスクと再生互換を有す
る相変化形光記録媒体が得られる。 2)請求項2の発明によれば、CD再生波長とDVD再
生波長のいずれも18%以上の反射率を有することで、
高速再生可能かつ、デジタルビデオディスクと再生互換
を有する相変化形光記録媒体が得られる。 3)請求項3の発明によれば、あらかじめ、最適記録パ
ワーを基板のATIP情報に有するため、最適記録パワ
ーを見出せなくても、エラーを発生することがない光記
録媒体が得られる。 4)請求項4の発明によれば、初期化が十分にされてい
るため、最適記録パワーの精度が向上し、かつオーバー
ライトによる反射率変動も小さく、ピックアップが記録
媒体上をシークしても、トラッキングが安定している、
低線速領域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優
れ、かつデジタルビデオディスクと再生互換を有する相
変化形光記録媒体が得られる。 5)請求項5の発明によれば、光ディスクの内周に、初
期化装置ごとに異なるマークがあるため、光ディスクが
どの初期化装置で初期化されたかが明確になり、初期化
の管理が著しく容易になり、初期化管理された低線速領
域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつ
デジタルビデオディスクと再生互換を有する相変化形光
記録媒体が得られる。 6)請求項6の発明によれば、光ディスクの内周に、初
期化装置ごとに異なるマークが初期化パワーを変調させ
て形成することができるため、初期化装置の大幅な改造
を必要としない。したがって、コストをほとんど変えず
に、初期化管理された低線速領域(1.2〜5.6m/
s)での総合性能に優れ、かつデジタルビデオディスク
と再生互換を有する相変化形光記録媒体が得られる。 7)CD−RWディスクへのハードコート層の形成を歩
留まりよく可能にするため、耐擦傷性が高く、低線速領
域(1.2〜5.6m/s)での総合性能に優れ、かつ
デジタルビデオディスクと再生互換を有する相変化形光
記録媒体が得られる。 8)請求項2の発明によれば、2×CD線速の消去パワ
ー/書き込みパワーを4×CD線速の消去パワー/書き
込みパワーより大きくするように記録ストラテージを調
整することで、2X〜4XCD線速に対応した光記録媒
体が得られる。 9)請求項9の発明によれば、再生線速に応じて、再生
光パワーを制御することで、より高速な再生を可能とす
る光記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一例の概略図。
【図2】記録層のTe組成比と最適記録線速との関連を
表わした図。
【図3】オレンジブックパートIIIに準拠した記録パル
スストラテージを表わした図。
【図4】第1保護層の厚さとグルーグ反射率との関係を
表わした図。
【図5】半径20〜22mmの領域にハードコートの端
が形成される様子を表わした図。
【図6】図6(a)は初期化パワーと飽和グルーグ反射
率(Rg)との関係を表わした図、図6(b)は送り速
度とRgとの関係を表わした図、図6(c)は線速とR
gとの関係を表わした図。
【図7】グルーグ端よりも内周に初期化パワーを変調し
て記録することを説明するための図。
【図8】図8(a)は2×CD用記録ストラテージを表
わした図、図8(b)は4×CD用記録ストラテージを
表わした図。
【図9】再結晶化上限線速度を表わした図。
【符号の説明】
1 基板 2 第1誘電体層(第1保護層) 3 記録層 4 第2誘電体層(第2保護層) 5 金属又は合金層(反射放熱層) 6 オーバーコート層 7 印刷層 8 ハードコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 511 G11B 7/24 535A 535 535B 535G 538C 538 B41M 5/26 X (72)発明者 野田 英治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 服部 恭士 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 相原 謙一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 近江 文也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 金子 裕治郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA31 EA43 FA01 FA12 FA14 FA21 FB09 FB12 FB17 FB21 FB24 FB25 FB30 5D029 JA01 LB07 LC11 LC13 MA17 5D090 AA01 BB05 CC01 CC04 KK03 KK06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円盤状の基板上に第1誘電体層、記録
    層、第2誘電体層、金属又は合金層、UV硬化樹脂層の
    順に積層してなる光記録媒体において、該記録層の構成
    元素が主にAg、In、Sb、Te及びNおよび/また
    はOであり、それぞれの組成比α、β、γ、δ、ε(ε
    はNとOの合計)(原子%)が 0<α≦6 3≦β≦15 50≦γ≦65 20≦δ≦35 0≦ε≦5 α+β+γ+δ+ε=100 であって、この記録層の再結晶化上限線速度が2.5〜
    5.0m/sであることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 780±15nmと650±15nmの
    再生波長のそれぞれの反射率が18%以上であることを
    特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 書き換え型コンパクトディスク(CD−
    RW)の記録方法であるγ法で最適記録パワーが見出せ
    なかった場合に選択すべき所定の記録パワーをあらかじ
    め基板のATIP情報に有することを特徴とする請求項
    1記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 初期化後の反射率がその光記録媒体の最
    高到達反射率の95%以上であることを特徴とする請求
    項1に記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 半径22mm以内に光記録媒体の製造に
    おける初期化工程で記録された情報を有することを特徴
    とする請求項1記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 初期化工程で記録する情報が初期化パワ
    ーの変調による反射率のコントラストを利用するもので
    あることを特徴とする請求項5記載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 膜厚2〜6μm、鉛筆硬度H以上のUV
    硬化樹脂層が非グルーブ面(鏡面)に有する書き替え型
    コンパクトディスク(CD−RW)において、その最内
    周が22.0mm以下であり、該UV硬化樹脂層を形成
    する硬化前のUV硬化樹脂の室温粘度が40cps以上
    であること特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  8. 【請求項8】 2.4〜5.6m/sの線速度で記録可
    能なCD−RWディスクにおいて、2.4〜2.8m/
    sの消去パワー/書き込みパワー(P2e/P2w)が
    4.8〜5.6m/sの消去パワー/書き込みパワー
    (P4e/P4w)より大きいことを特徴とする請求項1
    〜7のいずれかに記載の光記録媒体の記録方法。
  9. 【請求項9】 記録の再生が再生線速の増減に応じて再
    生光パワーを増減させて行なうことを特徴とする請求項
    1〜7のいずれかに記載の光記録媒体の再生方法。
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