JP2003165768A - 誘電体セラミック組成物および積層セラミック電子部品 - Google Patents
誘電体セラミック組成物および積層セラミック電子部品Info
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Abstract
ク層を構成するのに適した誘電体セラミック組成物であ
って、誘電率の温度特性が良好で、信頼性が高く、還元
性雰囲気で焼成されても、半導体化しない誘電体セラミ
ック組成物を提供する。 【解決手段】 一般式:(Ba1-x Cax )m TiO3
+α1 BaO+α2 CaO+βV2 O5 で表わされる、
誘電体セラミック組成物。ただし、m≧0.990、
0.0001≦β≦0.025、0.02≦x≦0.1
5、1.005<m+α1 +α2 ≦1.035。(Ba
1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合物100重量
部に対して、焼結助剤が0.2〜5.0重量部さらに含
有される。
Description
ク組成物およびこの誘電体セラミック組成物を用いて構
成される積層セラミックコンデンサのような積層セラミ
ック電子部品に関するもので、特に、積層セラミック電
子部品における誘電体セラミック層の誘電率の温度特性
を良好にし、かつ信頼性の向上を有利に図り得るように
するための改良に関するものである。
積層セラミックコンデンサは、複数の積層された誘電体
セラミック層と誘電体セラミック層間の特定の界面に沿
って形成された内部電極とが積層された状態となってい
る積層体を備えている。このような積層セラミックコン
デンサにおいて、最近では、コスト低減のため、内部電
極に含まれる導電成分を与える金属として、高価な貴金
属であるAgやPdに代わって、安価な卑金属であるN
iなどが用いられることが多くなっている。
る場合、上述した積層体の生の状態のものを焼成する工
程が実施される。上述したように、Niなどを内部電極
に用いる場合、この焼成工程では、Niなどが酸化され
ない還元性雰囲気を適用する必要がある。しかしなが
ら、還元性雰囲気下での焼成によれば、たとえばチタン
酸バリウムからなるセラミックは、通常、還元されて半
導体化してしまう。
昭57−42588号公報に示されるように、チタン酸
バリウム固溶体における、バリウムサイト/チタンサイ
トの比を化学量論比より過剰にすることによる、誘電体
セラミック材料の非還元化技術が開発されている。これ
以来、Niなどを内部電極とした積層セラミックコンデ
ンサの実用化が可能となり、その生産量も拡大してい
る。
ス技術の発展に伴い、電子部品の小型化が急速に進行
し、積層セラミックコンデンサについても、小型化かつ
大容量化の傾向が顕著になってきている。
しては、上述の静電容量の増大ばかりでなく、静電容量
の温度安定性も求められており、温度特性の良好な高誘
電率セラミック材料として、多くの材料が提案され、実
用化されている。
主成分とするもので、これに希土類元素を添加し、焼結
する過程で、この添加成分をBaTiO3 粒子に拡散さ
せている。得られた焼結体の個々の粒子は、添加成分が
拡散していないコア部と添加成分が拡散したシェル部と
からなるコアシェル構造をとることが知られており、平
坦な誘電率温度特性は、コア部とシェル部との各々の互
いに異なる誘電率の温度特性の重ね合わせによって与え
られる。
て、静電容量の温度変化の少ない、また、高い静電容量
を有する積層セラミックコンデンサが実現され、市場拡
大に貢献している。
セラミックの焼結過程における添加成分の拡散の制御に
よって達成されるものであり、したがって、添加成分が
過剰になると、平坦な温度特性が得られない。他方、添
加成分の拡散が不十分であれば、信頼性に劣る。そのた
め、工業的に量産しようとするとき、上述した材料で
は、焼結と添加成分の拡散について安定した制御を実現
することが比較的難しく、得られる誘電率の温度特性も
比較的不安定である。
ンデンサの小型化かつ大容量化の要求を満たすため、積
層体に備える誘電体セラミック層をより薄層化し、かつ
多層化する必要が生じてきている。
間のセラミック粒子の個数が少なくなり、信頼性の低下
が著しいため、薄層化に限界がある。そこで、セラミッ
ク粒子の粒径を小さくし、それによって、信頼性が高
く、しかも誘電率の電界強度の安定性に優れた材料の開
発が望まれている。
材料では、セラミック粒子の粒径を小さくすると、添加
成分の拡散が増大し、平坦な温度特性を確保することが
比較的困難になる。
材料を用いながら、積層セラミックコンデンサの十分な
薄層化や高い温度までの誘電率の十分な安定化を図るこ
とは、実質的に困難あるいは不可能であるのが現状であ
る。
ンデンサの場合に限らず、他の積層セラミック電子部品
についても言える。
な問題を解決し得る、誘電体セラミック組成物およびこ
の誘電体セラミック組成物を用いて構成される積層セラ
ミック電子部品を提供しようとすることである。
ラミック組成物は、簡単に言えば、添加成分の拡散によ
るコアシェル構造を持たない材料であり、そのため、誘
電率の温度特性や信頼性に関して、焼成条件の影響を受
けにくい材料である。また、この発明に係る誘電体セラ
ミック組成物を用いて、たとえば積層セラミックコンデ
ンサを製造すると、薄層化した場合においても、静電容
量の温度特性に関して、JIS規格で規定するB特性お
よびEIA規格で規定するX7R特性を満足させること
ができ、高い信頼性を実現することができる。
ラミック組成物は、一般式:(Ba 1-x Cax )m Ti
O3 +α1 BaO+α2 CaO+βV2 O5 で表わされ
るものであり、上述した技術的課題を解決するため、次
のような構成を備えることを特徴としている。
α1 =0およびα2 =0の各場合を含み、mは、m≧
0.990であり、βは、0.0001≦β≦0.02
5であり、xは、0.02≦x≦0.15であり、
α1 、α2 およびmは、1.005<m+α1 +α2 ≦
1.035の関係にあり、前述した(Ba1-x Cax )
m TiO3 で表わされる化合物100重量部に対して、
焼結助剤が0.2〜5.0重量部の含有量をもって含有
されることを特徴としている。
成分とするものが有利に用いられる。
成物において、さらにMgOが添加される場合、(Ba
1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合物100モル
部に対して、MgOが0.1〜5モル部の含有量となる
ように添加されることが好ましい。
a1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合物100モ
ル部に対して、0.01〜2.5モル部の含有量となる
ように添加されることが好ましい。
体セラミック層および誘電体セラミック層間の特定の界
面に沿って形成された内部電極を含む、積層体を備え
る、積層セラミック電子部品にも向けられる。この積層
セラミック電子部品において、誘電体セラミック層が、
上述したような誘電体セラミック組成物からなることを
特徴としている。
ル合金を含むことが好ましい。
対して特に有利に適用される。この場合、複数の内部電
極が、静電容量を形成するように、誘電体セラミック層
を介して対向するように形成され、内部電極の特定のも
のに電気的に接続されるように積層体の外表面上に外部
電極が形成される。
ラミック組成物を用いて構成される積層セラミック電子
部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解
的に示す断面図である。
を備えている。積層体2は、積層される複数の誘電体セ
ラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3の間の特
定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部
電極4および5とをもって構成される。内部電極4およ
び5は、積層体2の外表面にまで到達するように形成さ
れるが、積層体2の一方の端面6にまで引き出される内
部電極4と他方の端面7にまで引き出される内部電極5
とが、積層体2の内部において交互に配置されている。
び7上には、外部電極8および9がそれぞれ形成されて
いる。また、必要に応じて、外部電極8および9上に
は、ニッケル、銅などからなる第1のめっき層10およ
び11がそれぞれ形成され、さらにその上には、半田、
錫などからなる第2のめっき層12および13がそれぞ
れ形成されている。
ンサ1の製造方法について、製造工程順に説明する。
し、これをスラリー化し、このスラリーをシート状に成
形して、誘電体セラミック層3および4のためのセラミ
ックグリーンシートを得る。ここで、誘電体セラミック
原料粉末として、後で詳細に説明するように、この発明
に係る誘電体セラミック組成物のための原料粉末が用い
られる。
ものの各一方主面上に、内部電極4および5を形成す
る。内部電極4および5は、ニッケル、ニッケル合金、
銅、銅合金等の卑金属、または銀、パラジウム、銀−パ
ラジウム合金等の貴金属を導電成分として含むものであ
るが、特に、ニッケルまたはニッケル合金を含むことが
好ましい。これら内部電極4および5は、通常、上述の
ような導電成分を含む導電性ペーストを用いて、スクリ
ーン印刷法などの印刷法や転写法等によって形成される
が、どのような方法によって形成されてもよい。
体セラミック層3のためのセラミックグリーンシート
を、必要数積層するとともに、これらセラミックグリー
ンシートを、内部電極が形成されない適当数のセラミッ
クグリーンシートによって挟んだ状態とし、これらをプ
レスすることによって、生の積層体を得る。
囲気中で所定の温度にて焼成し、それによって、図1に
示すような焼結後の積層体2を得る。
に、内部電極4および5の特定のものと電気的に接続さ
れるように、外部電極8および9を形成する。これら外
部電極8および9の材料としては、内部電極4および5
と同じ材料を用いることができる。外部電極8および9
は、通常、金属粉末にガラスフリットを添加して得られ
た導電性ペーストを付与し、これを焼き付けることによ
って形成される。
性ペーストは、通常、上述のように、焼結後の積層体2
に付与され、焼き付けられるが、焼成前の生の積層体に
付与しておき、積層体2を得るための焼成と同時に焼き
付けられてもよい。
ッケル、銅などのめっきを施し、第1のめっき層10お
よび11を形成する。最後に、これら第1のめっき層1
0および11上に、半田、錫などのめっきを施し、第2
のめっき層12および13を形成し、積層セラミックコ
ンデンサ1を完成させる。
おいて、誘電体セラミック層3は、前述したように、一
般式:(Ba1-x Cax )m TiO3 +α1 BaO+α
2 CaO+βV2 O5 で表わされ、かつ、(Ba1-x C
ax )m TiO3 で表わされる化合物100重量部に対
して、焼結助剤が0.2〜5.0重量部の含有量をもっ
て含有された、誘電体セラミック組成物から構成され
る。
びα2 は、それぞれ、α1 =0およびα2 =0の各場合
を含み、mは、m≧0.990であり、βは、0.00
01≦β≦0.025であり、xは、0.02≦x≦
0.15であり、α1 、α2 およびmは、1.005<
m+α1 +α2 ≦1.035の関係にある。
囲気中で焼成しても、半導体化することなく、焼結する
ことができる。また、この誘電体セラミック組成物を用
いて、前述したような積層セラミックコンデンサ1の誘
電体セラミック層3を構成するようにすれば、静電容量
の温度特性がJIS規格で規定するB特性(−25℃〜
+85℃で容量変化が±10%以内)を満足し、絶縁抵
抗が高く、信頼性の高いものとすることができる。
は、用途により、Mgを添加する場合がある。Mgを添
加する場合には、(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わ
される化合物100モル部に対して、MgOが0.1〜
5モル部の含有量となるように添加される。これによっ
て、積層セラミックコンデンサ1において、EIA規格
で規定するX7R特性(−55℃〜+125℃で容量変
化が±15%以内)を満足させることができる。
により、Mnを添加する場合がある。Mnを添加する場
合には、(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされる化
合物100モル部に対して、MnOが0.01〜2.5
モル部の含有量となるように添加される。これによっ
て、積層セラミックコンデンサ1の絶縁抵抗をさらに高
めることができる。
原料は、(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされる化
合物と、Ba化合物と、Ca化合物と、V化合物と、焼
結助剤と、その他の必要な添加物とを含むものである
が、誘電体セラミック組成物の原料粉末の製造方法とし
ては、(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合
物を実現し得るものであれば、どのような方法が採用さ
れてもよい。
る化合物以外のものを添加成分と呼ぶとき、たとえば、
BaCO3 とTiO2 とCaCO3 と添加成分とを混合
する工程と、この混合物を熱処理することにより、Ba
CO3 とTiO2 とCaCO 3 と添加成分とを反応させ
る工程と、得られた反応物に添加成分の残部を加え混合
する工程とを備える方法によって、誘電体セラミック組
成物の原料粉末を得ることができる。
ゾルゲル法などの湿式合成法によっても、(Ba1-x C
ax )m TiO3 で表わされる化合物を実現することが
できる。
g、Mnの各化合物および焼結助剤としては、前述した
ような誘電体セラミック組成物を構成できるものであれ
ば、酸化物粉末に限らず、アルコキシドや有機金属など
の溶液を用いてもよく、これら用いられる添加成分の形
態によって、得られた誘電体セラミック組成物の特性が
損なわれることはない。
成物は、焼成されて、図1に示した積層セラミックコン
デンサ1の誘電体セラミック層3となるが、このような
焼成工程において、内部電極4および5に含まれるニッ
ケル、ニッケル合金、銅、銅合金、銀、パラジウムまた
は銀−パラジウム合金のような金属は、誘電体セラミッ
ク層3中に拡散する場合もあるが、前述した誘電体セラ
ミック組成物によれば、このような金属成分が拡散して
も、その電気的特性に実質的な影響がないことを確認し
ている。
具体的に説明する。この実験例は、この発明に係る組成
範囲の限定の根拠を与えるためのものでもある。
層セラミックコンデンサを作製した。
O2 、BaCO3 およびCaCO3 を準備し、以下の表
1に示すようなCaの含有量すなわち「Ca変性量:
x」および「(Ba,Ca)/Ti比:m」となるよう
に秤量した後、混合粉砕した。乾燥後、各粉末を、10
00℃以上の温度で加熱し、それによって、平均粒径
0.20μmの表1に示すA〜Jの各種類の(Ba1-x
Cax )m TiO3 粉末を合成した。なお、平均粒径
は、走査型電子顕微鏡によって粉末を観察し、300個
の粒子の粒子径を測長して求めた。
なる酸化物粉末を得るため、以下の表2に示すような酸
化物換算での組成割合(重量%)になるように、各成分
の酸化物、炭酸塩または水酸化物を秤量し、混合粉砕し
た。次に、これら混合粉末を、白金るつぼ中において、
1500℃の温度まで加熱した後、急冷し、粉砕するこ
とによって、平均粒径が1μm以下の表2に示すa〜f
の各種類の焼結助剤を得た。
末をさらに準備するとともに、V2O5 粉末、MgCO
3 粉末およびMnCO3 粉末を準備した。
に、表1に示した(Ba1-x Cax ) m TiO3 粉末A
〜Jのいずれかおよび表2に示した焼結助剤a〜fのい
ずれかを用いながら、上述したような原料粉末を種々の
組成割合になるように配合した。
になるように配合された配合物に、ポリビニルブチラー
ル系バインダおよびエタノール等の有機溶剤を加えて、
ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを作
製した。
レード法によって、シート状に成形し、焼結後の厚みで
2.0μmとなるような厚みの矩形のセラミックグリー
ンシートを得た。
ッケルを主体とする導電性ペーストを印刷し、内部電極
となるべき導電性ペースト膜を形成した。
を、上述の導電性ペースト膜の引き出されている側が互
い違いになるように積層し、生の積層体を得た。
て、350℃の温度に加熱し、バインダを燃焼させた
後、酸素分圧10-9〜10-12 MPaのH2 −N2 −H
2 Oガスからなる還元性雰囲気中において、表5および
表6に示す各温度で2時間焼成し、焼結した積層体を得
た。
2 O3 −SiO2 −BaO系のガラスフリットを含有す
るとともに銀を導電成分とする導電性ペーストを塗布
し、窒素雰囲気中において、600℃の温度で焼き付
け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成し
た。
ンデンサの外形寸法は、幅が5.0mm、長さが5.7
mmおよび厚さが2.4mmであり、内部電極間に介在
する誘電体セラミック層の厚みは、2.0μmであっ
た。また、有効誘電体セラミック層の数は5であり、1
層あたりの対向電極面積は16.3×10-6m2 であっ
た。
を測定した。
δ)を、自動ブリッジ式測定器によって、JIS規格
「5102」に従って測定し、得られた静電容量から誘
電率(ε)を算出した。
圧を2分間印加して、25℃での絶縁抵抗(R)を求
め、これから比抵抗(logρ)を算出した。
を、20℃での静電容量を基準とした−25℃〜+85
℃の範囲での変化率(ΔC85/C20)と、25℃での静
電容量を基準とした−55℃〜+125℃の範囲での変
化率(ΔC125 /C25)とについて求めた。
にて20Vの直流電圧を印加して、その絶縁抵抗の経時
変化を測定し、各試料の絶縁抵抗値が105 Ω以下にな
った時点を故障とし、平均故障時間を求めた。
表6に示されている。
いての好ましい範囲は、次のとおりである。
誘電損失については、2.5%以下であり、容量温度変
化率におけるΔC85/C20については、±10%以内で
ある。
1.0Ω・cm以上であり、平均故障時間は、50時間
以上である。
C25については、±15%以内であれば、より好まし
く、さらに、比抵抗(logρ)については、13.0
Ω・cm以上であれば、より好ましい。
め、焼成後の積層体における誘電体セラミック層の部分
を、Arイオンミリングを施して薄片化した後、高分解
能電子顕微鏡を用いて、倍率40万倍にて観察した。
な組成範囲に限定した理由について説明する。
に*を付したものは、この発明に係る組成範囲から外れ
た試料である。
に示すように、(Ba1-x Cax ) m TiO3 粉末とし
て、「A」が用いられ、この「A」は、表1および表3
に示すように、Ca変性量xが、0.02未満の0.0
1である。そのため、試料1では、表5に示すように、
平均故障時間が25時間と短くなっている。
料2では、表3に示すように、(Ba1-x Cax )m T
iO3 粉末として、「B」が用いられ、この「B」は、
表1および表3に示すように、Ca変性量xが0.15
を超える0.16となっている。そのため、試料2で
は、表5に示すように、誘電率が1100と小さく、ま
た、誘電損失が3.5%と大きくなっている。
3に示すように、(Ba1-x Cax)m TiO3 粉末と
して、「C」が用いられ、この「C」は、表1および表
3に示すように、(Ba,Ca)/Ti比mが0.99
0未満の0.988である。そのため、試料3では、表
5に示すように、平均故障時間が測定不能なほど著しく
短く、高温で電圧を印加した瞬間に故障が生じた。
は、表3に示すように、(Ba,Ca)/Ti比mとB
aO含有量α1 とCaO含有量α2 との和、すなわちm
+α1+α2 が、1.035を超える1.037であ
る。そのため、これら試料4〜6では、焼結が不十分で
あり、表5に示すように、tanδが2.5%より大き
く、容量温度変化率が、ΔC85/C20について±10%
以内の範囲を超え、ΔC12 5 /C25については±15%
以内の範囲を超え、比抵抗(logρ)が11.0Ω・
cmより低く、また、平均故障時間が測定不能な程度に
著しく短く、高温で電圧を印加した瞬間に故障が生じ
た。
料7および8では、表3に示すように、m+α1 +α2
が1.005以下のそれぞれ0.996および1.00
4である。そのため、試料7および8では、表5に示す
ように、比抵抗が11.0Ω・cmより低く、また、平
均故障時間が測定不能な程度に著しく短く、高温で電圧
を印加した瞬間に故障が生じた。
3に示すように、V2 O5 含有量βが0.0001未満
の0.00007である。そのため、試料9では、表5
に示すように、比抵抗が11.0Ω・cmより低く、ま
た、平均故障時間が50時間未満の28時間と短かっ
た。
料10では、表3に示すように、V 2 O5 含有量βが
0.025を超える0.027である。そのため、試料
10では、表5に示すように、誘電率が2000より低
い1530であり、平均故障時間が50時間未満の32
時間と短かった。
12では、表3に示すように、焼結助剤の含有量が(B
a1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合物100重
量部に対して0.2重量部未満のそれぞれ0重量部およ
び0.1重量部である。そのため、試料11および12
では、焼結が不十分であり、表5に示すように、容量温
度変化率が、ΔC85/C20については±10%以内の範
囲を外れ、ΔC125 /C25については±15%以内の範
囲を外れ、比抵抗は11.0Ω・cmより低く、平均故
障時間は測定不能な程度に著しく短く、高温で電圧を印
加した瞬間に故障が生じた。
料13では、表3に示すように、焼結助剤の含有量が
(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合物10
0重量部に対して5.0重量部を超える5.2重量部で
ある。そのため、試料13では、表5に示すように、誘
電率が2000より低く、また、平均故障時間が50時
間未満の41時間と短かった。
試料14〜37では、表1、表3および表4に示すよう
に、Ca変性量xが0.02≦x≦0.15の条件を満
たし、(Ba,Ca)/Ti比mがm≧0.990の条
件を満たし、また、表3および表4に示すように、V2
O5 含有量βが0.0001≦β≦0.025であり、
(Ba,Ca)/Ti比mとBaO含有量α1 とCaO
含有量α2 との和、すなわちm+α1 +α2 が1.00
5<m+α1 +α2 ≦1.035の関係にあり、焼結助
剤の含有量が(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされ
る化合物100重量部に対して0.2〜5.0重量部の
範囲にある。
5および表6に示すように、誘電率は2000以上であ
り、誘電損失は2.5%以下であり、容量温度変化率
は、ΔC85/C20については、±10%以内であり、J
IS規格に規定するB特性を満足し、比抵抗は11.0
Ω・cm以上であり、平均故障時間は100時間を超
え、信頼性に優れ、また、1200℃以下の温度で焼成
可能であった。
体セラミック部分を高分解能電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、コアシェル構造を有する粒子はなく、ドメイン構造
が端まで形成されていることが確認された。
ax )m TiO3 で表わされる化合物100モル部に対
して、添加物としてのMgOを0.1〜5モル部含有し
ている。そのため、これら試料18〜37では、容量温
度変化率におけるΔC125 /C25が±15%以内であ
り、EIA規格に規定するX7R特性をも満足してい
る。
は、(Ba1-x Cax )m TiO3で表わされる化合物
100モル部に対して、添加物としてのMnOを0.0
1〜2.5モル部含有している。そのため、これら試料
15〜17および21〜37では、表5および表6に示
すように、比抵抗が13.0Ω・cm以上とさらに高く
なっている。
ンサについて説明したが、この発明に係る誘電体セラミ
ック組成物は、複数の積層された誘電体セラミック層お
よび誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成さ
れた内部電極を含む、積層体を備える、積層セラミック
電子部品であれば、積層セラミックコンデンサ以外の積
層セラミック電子部品においても、誘電体セラミック層
の材料として有利に用いることができる。
ラミック組成物によれば、これを焼成して得られた焼結
体の誘電率の温度特性が良好であり、また、高い信頼性
を与えることができる。
成物は、還元性雰囲気で焼成されても、半導体化せず、
高い比抵抗を与えることができるので、これを焼成して
得られた焼結体を用いて、積層セラミックコンデンサの
ような積層セラミック電子部品を構成すると、内部電極
に含まれる導電成分として、卑金属であるニッケルまた
はニッケル合金を問題なく用いることができ、その結
果、積層セラミック電子部品のコストダウンを図ること
ができる。
成物によれば、これを焼成して得られた焼結体の誘電率
の温度特性は、コアシェル構造に基づき平坦化されるの
ではなく、組成物本来の温度特性に基づき平坦化される
ので、焼成温度による誘電率の温度特性の変動を少なく
することができる。そのため、この誘電体セラミック組
成物を用いて構成された積層セラミックコンデンサのよ
うな積層セラミック電子部品は、特性のばらつきが小さ
く、誘電率の温度特性が安定でかつ優れたものとするこ
とができる。
おいて、(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされる化
合物100モル部に対して、MgOが0.1〜5モル部
添加されていると、この誘電体セラミック組成物を用い
て構成された積層セラミックコンデンサにおいて、EI
A規格に規定するX7R特性を満足させることができ
る。
成物において、(Ba1-x Cax ) m TiO3 で表わさ
れる化合物100モル部に対して、MnOが0.01〜
2.5モル部添加されていると、この誘電体セラミック
組成物を焼成して得られた焼結体の比抵抗(logρ)
を13.0Ω・cm以上にすることができる。
て構成される積層セラミック電子部品の一例としての積
層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図であ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 一般式:(Ba1-x Cax )m TiO3
+α1 BaO+α2CaO+βV2 O5 で表わされる、
誘電体セラミック組成物であって、 α1 およびα2 は、それぞれ、α1 =0およびα2 =0
の各場合を含み、 mは、m≧0.990であり、 βは、0.0001≦β≦0.025であり、 xは、0.02≦x≦0.15であり、 α1 、α2 およびmは、1.005<m+α1 +α2 ≦
1.035の関係にあり、 前記(Ba1-x Cax )m TiO3 で表わされる化合物
100重量部に対して、焼結助剤が0.2〜5.0重量
部の含有量をもって含有される、誘電体セラミック組成
物。 - 【請求項2】 前記焼結助剤は、SiO2 を主成分とす
るものである、請求項1に記載の誘電体セラミック組成
物。 - 【請求項3】 前記(Ba1-x Cax )m TiO3 で表
わされる化合物100モル部に対して、MgOが0.1
〜5モル部の含有量をもってさらに含有される、請求項
1または2に記載の誘電体セラミック組成物。 - 【請求項4】 前記(Ba1-x Cax )m TiO3 で表
わされる化合物100モル部に対して、MnOが0.0
1〜2.5モル部の含有量をもってさらに含有される、
請求項1ないし3のいずれかに記載の誘電体セラミック
組成物。 - 【請求項5】 複数の積層された誘電体セラミック層お
よび前記誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形
成された内部電極を含む、積層体を備え、 前記誘電体セラミック層は、請求項1ないし4のいずれ
かに記載の誘電体セラミック組成物からなる、積層セラ
ミック電子部品。 - 【請求項6】 前記内部電極は、ニッケルまたはニッケ
ル合金を含む、請求項5に記載の積層セラミック電子部
品。 - 【請求項7】 複数の前記内部電極が、静電容量を形成
するように、前記誘電体セラミック層を介して対向する
ように形成され、前記内部電極の特定のものに電気的に
接続されるように前記積層体の外表面上に形成される外
部電極をさらに備え、積層セラミックコンデンサを構成
する、請求項5または6に記載の積層セラミック電子部
品。
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- 2001-11-26 JP JP2001359115A patent/JP4029204B2/ja not_active Expired - Fee Related
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