JP2003165714A - 炭素フィルムの製造方法及びそれによって得られる炭素フィルム - Google Patents

炭素フィルムの製造方法及びそれによって得られる炭素フィルム

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JP2003165714A JP2001363727A JP2001363727A JP2003165714A JP 2003165714 A JP2003165714 A JP 2003165714A JP 2001363727 A JP2001363727 A JP 2001363727A JP 2001363727 A JP2001363727 A JP 2001363727A JP 2003165714 A JP2003165714 A JP 2003165714A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高倍率延伸の可能なフィルム組成で、所望のヤ
ング率を持つ高剛性、軽量かつ高熱伝導率性に優れた炭
素フィルムおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】(1)ピロメリット酸二無水物、並びにジ
アミンを基準に5モル%以上80モル%未満の3,4’
−オキシジアニリン及び20モル%以上95モル%未満
の4,4’−オキシジアニリンからなるジアミンから合
成されるポリアミド酸溶液から膜を形成し、次いで50
0℃以下の温度で、面積倍率1.1〜4倍に延伸し、ヤ
ング率が4[GPa]以上の延伸ポリイミドフィルムを
得る工程、(2)前記ポリイミドフィルムを温度500
℃以上で不活性ガス又は真空中で炭素化して、比重が
2.0以下、熱伝導率が600[Wm-1-1]以上の炭
素フィルムを形成する工程、を含むことを特徴とする炭
素フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミドフィル
ムを高温で炭素化することにより得られる、不溶不融で
高剛性と高熱伝導率を有する炭素フィルムの製造法およ
びその炭素フィルムに関する。
【0002】この炭素フィルムは電極、発熱体、構造
体、ガスケット、断熱体、耐食性シール材、電機用ブラ
シ、X線または中性子線モノクロメータ、原子炉用減速
材、電池用セパレータなどに好ましく用いられる。
【0003】
【従来の技術】放熱板に使用される金属板は高比重で、
熱伝導率が十分でなく、屈曲性も不足していた。
【0004】例えば、アルミニウムは比重が約2.7、
熱伝導率が200[Wm-1-1]であり、更に屈曲によ
り破れが生じ易かった。そこで、高分子を高温で焼成し
炭素化することが、特公昭64−12305号公報、特
開平1−105199号公報、特開平4−310569
号公報、特開平4−21508号公報、特開平3−75
211号公報、特開昭62−91414号公報、特開昭
53−139676号公報、特開昭60−11215号
公報など提案されている。また、ビニレン基系高分子フ
ィルムを延伸させた後に炭素化処理を行う方法が特公平
1−48204号公報に開示されている。これらに用い
られている高分子フィルムの焼成では、炭素収率が低い
ため収縮が激しく平面性、強度などに問題があった。
【0005】炭素収率が高い芳香族ポリイミドフィルム
を用い、これを高温加熱処理により熱分解させて炭素フ
ィルムを得る方法が、特開平5−43213号公報、特
公昭64−12305号公報などに開示されている。特
開平4−149012、特開平4−149013では、
焼成後の脆さを改良するため、バインダーを含浸させた
り、圧延し強度を向上させたりしている。これらの方法
では手間がかかるり、又熱伝導率が十分でない問題があ
った。
【0006】また、圧延などの工程を省くため特許31
52316号公報、特許3061247号公報にはパラ
フェニレンジアミン(以下PPDと略)を用いたポリイ
ミドフィルムを高温加熱処理により熱分解させて炭素フ
ィルムを得る方法が開示されているが、PPDは医薬用
外劇物に指定されており、労働省通達(H7.基発第34
8号の2)による変異原性が認められた物質である。ま
た沸点が1気圧で267℃であり炭素フィルム製造工程
中の高温加熱処理によりPPD成分が放出されることが
懸念される。またこれらの具体例で示されているが、P
PD系ポリイミドはそれ自体で高ヤング率であり、また
ガラス転移温度が高い。特にピロメリット酸とPPDと
の共重合物は延伸が困難である問題があった。このため
炭素化前の延伸による配向処理が困難であった。また、
特許3152316号公報には多価アミンが共重合され
るが、これらも毒性が強く取り扱い性が難しい問題があ
る。
【0007】従って、炭素フィルムに使用される原料
は、取り扱い危険性がPPDまたは多価アミンより低く
高延伸性が付与できる物が望まれていた。特にポリイミ
ドフィルムで大量に使用され取り扱い方法が知られてい
るジアミノジフェニルエーテル系とピロメリット酸無水
物との共重合系を出発原料とする炭素フィルムが望まれ
ていた。
【0008】即ち、特許3061247号公報の比較例
で、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテルと同一物質)とピロメリット酸無水
物との共重合物から黒鉛質フィルムが得られるが断続的
に割れが発生することが示されている。
【0009】これらの課題を解決するため、本発明者は
ピロメリット酸無水物、3,4’−オキシジアニリンお
よび4,4’−オキシジアニリンとを共重合する事によ
り、ガラス転移温度を低くし、分子配向自由度を高める
ことにより、以上の課題が解決できることに至った。
【0010】4,4’−オキシジアニリンの融点が19
1℃であるのに対して、3,4’−オキシジアニリンの
融点は78℃であることに示されるように、3,4’−
オキシジアニリンの分子骨格はより分子配向自由度が高
く柔軟性、すなわち分子運動性が高い。ピロメリット酸
および4,4’−オキシジアニリンに3,4’−オキシ
ジアニリンを共重合することによりそのガラス転移温度
は、ピロメリット酸および4,4’−オキシジアニリン
よりなるポリイミドフィルムのガラス転移温度より低く
なり、ひいては延伸配向性が良くなり、高熱伝導性、高
剛性の炭素フィルムとして好適となることが本発明者に
よって明らかにされた。
【0011】ところが、3,4’−オキシジアニリンを
高濃度共重合したものでは、ガラス転移温度が低く成り
すぎるため、高温で焼成または炭素化される際に配向緩
和または軟化・融着しやすいため、焼成後の炭素フィル
ムの強度低下、平面性の悪化または融着の問題があっ
た。具体的には、ピロメリット酸および4,4’−オキ
シジアニリンからなるポリイミドフィルムのガラス転移
温度(Tg)は400℃以上であり、高温での耐熱性は
良いが延伸性が悪く、焼成後の炭素フィルムの強度・剛
性不足の問題があった。一方、ピロメリット酸および
3,4’−オキシジアニリンからなるポリイミドフィル
ムのガラス転移温度(Tg)は320℃であり、延伸性
はよいが、高温での熱寸法安定性が悪く、焼成後の炭素
フィルムの強度低下、平面性の悪化または融着・軟化の
問題があった。
【0012】また熱拡散板として従来アルミニウム(A
l)または銅(Cu)などが用いられてきた。それぞれ
の熱伝導率は約200[W/(m/K)]または約350[W/
(m/K)]である。
【0013】またそれぞれの比重は2.7または8.9
である。近年の携帯型コンピューターに好適な、軽量で
高熱伝導率の特徴を有する材料は無かった。
【0014】このため4,4’−オキシジアニリンおよ
び3,4’−オキシジアニリンとの共重合量比を最適化
し、かつ延伸により配向させた高剛性のポリイミドフィ
ルムを作成し、その後特別な条件で焼成し炭素するとい
うことにより、好適な炭素フィルムを得るという発明に
至った。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたもので、2つの工程を経ることにより好適な
炭素フィルムを得る。即ち、(1)低温で延伸すること
によりヤング率、平面性および等方性が改良するため高
倍率延伸の可能なフィルム組成で、所望のヤング率を持
つフィルムを提供する工程、(2)更に高温で非酸化性
雰囲気下で炭素化する工程、を経ることにより高剛性、
軽量かつ高熱伝導率性に優れた炭素フィルムおよびその
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の炭素フィルムは少なくとも次の2つの工
程を経る。 (1)ピロメリット酸二無水物、並びにジアミンを基準
に5モル%以上80モル%未満の3,4’−オキシジア
ニリン及び20モル%以上95モル%未満の4,4’−
オキシジアニリンからなるジアミンから合成されるポリ
アミド酸溶液から膜を形成し、次いで500℃以下の温
度で、面積倍率1.1〜4倍に延伸し、ヤング率が4
[GPa]以上の延伸ポリイミドフィルムを得る工程、
また更に、3,4’−オキシジアニリンが、ジアミンを
基準に20モル%以上60モル%以下であり、4,4’
−オキシジアニリンが、40モル%以上80モル%未満
であることも好ましい炭素フィルムが得られるためのポ
リイミドフィルムの製造方法である。
【0017】またこの(1)工程で、更に工程(A)〜
(E)を順次行いブロック成分または混交ポリマー成分
を有する延伸ポリイミドフィルムの製造工程を含む炭素
フィルムの製造方法。
【0018】(A)ピロメリット酸二無水物、3,4’
−オキシジアニリン及び4,4’−オキシジアニリン
を、不活性な溶剤中で、3,4’−オキシジアニリン及
びピロメリット酸二無水物とのブロック成分または混交
ポリマー成分を有するポリアミド酸を形成するように、
少なくともピロメリット酸二無水物、またはジアミンを
全使用量の1〜99重量%使用し反応させる工程、
(B)前記工程(A)からのポリアミド酸ポリマーに残
りの原料を追加使用し、最終的に全使用量の全量を使用
し反応させる工程、(C)前記工程(B)からのポリア
ミド酸溶液に、ポリアミド酸をポリイミドに転化するこ
とのできる転化用薬剤を混合する工程、(D)前記工程
(C)からの混合物を平滑面上にキャストまたは押出し
て、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成する
工程、および(E)前記工程(D)からのゲルフィルム
を、回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向
に1.1〜2倍延伸し、この延伸されたゲルフィルムの
端部をテンタクリップにより把持し、このゲルフィルム
を幅方向に走行方向の延伸倍率の0.8〜1.3倍の倍
率で延伸する工程、この工程での延伸操作は異なる温度
で少なくとも2回に分割されて延伸される。
【0019】(F)200〜500℃の温度で加熱して
ポリアミド酸をポリイミドに変換する工程。 (2)前記ポリイミドフィルムを不活性ガス又は真空中
で炭素化して、比重が2.0以下、熱伝導率が600
[Wm-1-1]以上の炭素フィルムを形成する工程、ま
たこの(2)の炭素化工程において、予め、ポリイミド
フィルムを不活性ガス又は真空中で500〜800℃の
温度で不融化処理し、次いで、不活性ガス又は真空中で
800〜3500℃以上の温度で加熱することも好まし
い。
【0020】更に以上に記載のポリイミドフィルムを素
材として製造された、引張り弾性率が35[GPa]以
上、熱伝導度が800[Wm-1-1]以上の炭素フィル
ムである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成及び効果につ
いて詳述する。
【0022】本発明の炭素フィルムの製造方法およびそ
れから得られる炭素フィルムは、ピロメリット酸二無水
物、並びにジアミンを基準に5モル%以上80モル%未
満の3,4’−オキシジアニリン及び20モル%以上9
5モル%未満の4,4’−オキシジアニリンからなるポ
リアミド酸溶液を経由されて製造される。また好ましく
は、3,4’−オキシジアニリンが、ジアミンを基準に
20モル%以上60モル%以下であり、4,4’−オキ
シジアニリンが、40モル%以上80モル%未満であ
る。
【0023】無機粒子を添加する場合は少量添加が好ま
しいが、特に焼結工程中に黒鉛結晶核剤となりうる粒子
の添加が好ましい。例えば黒鉛粉砕粒子、カーボンナノ
チューブ、カーボンナノホーンなどのグラファイト構造
およびグラファイト異種形状を有する微粒子がある。扁
平または繊維状の粒子は延伸時に面内方向に長軸が配向
するので、平均短軸径が1μm以下の微細な扁平粒子ま
たは繊維状粒子が好ましい。好ましい添加量は20重量
%以下、より好ましくは5重量%以下である。添加はポ
リマー重合前後、配管中の移液中または押出キャスト直
前にポリマー溶液に混合し行うことが出来る。
【0024】また黒鉛結晶核剤能のない粒子の添加量は
1重量%以下が好ましい。
【0025】このポリアミド酸溶液から膜を形成し、次
いで500℃以下の温度で、好ましくは300〜500
℃の温度で、互いに直交する2軸方向に面積倍率1.1
〜4倍に延伸し、ヤング率が4[GPa]以上の延伸ポ
リイミドフィルムを得る工程を経由されて製造される。
【0026】本発明において使用されるジアミンは、主
として3,4’−オキシジアニリンおよび4,4’−オ
キシジアニリンである。本発明の目的を阻害しない添加
量の範囲で他のジアミンを併用できる。本発明に於いて
3,4’−オキシジアニリンはガラス転移点(Tg)を
低め、同時にフィルムの伸度および延伸性を改良し、炭
素化前のポリイミドフィルムの剛性を高める。4,4’
−オキシジアニリンはTgを高め、柔軟性を付与する作
用をする。ポリイミドはジアミンの全モル量基準で5モ
ル%以上ないし80モル%未満、好ましくは20モル%
ないし60モル%の3,4’−オキシジアニリンおよび
20モル%以上95モル%未満、好ましくは40モル以
上80モル%未満の4,4’−オキシジアニリンを使用
して得られるポリアミド酸をイミド転化して製造され
る。従って、ピロメリット酸二無水物および4,4’−
オキシジアニリンからなる組成物に、ジアミンを基準に
5モル%以上の3,4’−オキシジアニリンを共重合す
ることにより、ガラス転移温度が、ピロメリット酸二無
水物および4,4’−オキシジアニリンからなるポリイ
ミドフィルムより低くできる効果がある。
【0027】本発明において使用されるジアミンは3,
4’−オキシジアニリンおよび4,4’−オキシジアニ
リンであるが、この二つのジアミン系の効果を損なわな
い程度の範囲で他のジアミンを併用できる。特にベンゼ
ン環を二つ以上有するジアミンが好ましい。例えばビス
アミノフェノキシフェニルプロパン、ビスアミノフェノ
キシベンゼン、ビスアミノフェノキシビフェニル、メチ
レンジアニリン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジア
ミノジフェニルスルホンなどを30モル%未満添加でき
る。
【0028】3,4’−オキシジアニリンが5モル%未
満ではフィルムの延伸性が不足し、焼成後の炭素フィル
ムが強度または剛性不足となり、亀裂が生じたり柔軟性
に欠けたりし脆い炭素フィルムとなる。
【0029】また、3,4’−オキシジアニリンが80
モル%以上では、Tgが350℃以下になるためか、高
温での焼成時に配向緩和が生じ炭素フィルムの弾性率が
低下したり熱伝導率が十分高くならない。また平面性が
悪くて融着したりする。
【0030】また、3,4’−オキシジアニリンが低融
点であることより、工業的には乾燥しがたく共重合比が
大きくなると急激に取り扱いづらくなる問題がある。ま
た、共重合量が大きくなると水分により重合が遅れたり
進行しなくなる問題もある。更には、以上の理由などに
より高価な3,4’−オキシジアニリンの共重合量を小
さくすることにより、重合反応時間を長大にせず、従っ
て安価なフィルムを供給できる重大な工業的意味もあ
る。
【0031】本発明において使用されるテトラカルボン
酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物であるが、本発
明の目的を阻害しない添加量の範囲でテトラカルボン酸
二無水物他を併用できる。例えばビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物またはベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物などを50モル%未満添加することが出来る。
得られたポリアミド酸をイミド転化して製造される。
【0032】ポリイミドフィルムの弾性率は、ポリアミ
ド酸を製造する際に使用するジアミン成分における3,
4’−オキシジアニリンの使用比率およびフィルム延伸
倍率によって調整できる。3,4’−オキシジアニリン
を多く使用すると、高弾性率及び寸法安定性が向上する
反面、Tgが低下し、焼成時の配向緩和または融着が生
じるという欠点がある。
【0033】炭素化前に延伸し、配向させることにより
炭素化フィルムの結晶構造、特に黒鉛結晶構造の配向が
加速され緻密な構造となり、剛性・強度が向上する傾向
がある。この場合、ポリイミドフィルムの剛性が高けれ
ば炭素フィルムの剛性が高くなるとは一概にはいえない
が、ガラス転移温度および後述する前焼成工程条件との
相対関係とに関係するが、それぞれの特性値をバランス
するために、各成分のモル比を注意深く調製する必要が
ある。
【0034】本発明のポリアミド酸は、175℃以下、
好ましくは90℃以下の温度で、上記テトラカルボン酸
二無水物成分とジアミン成分を、モル比を約0.90か
ら1.10、好ましくは0.95から1.05、更に好
ましくは0.98から1.02とし、それぞれの成分と
非反応性の有機溶剤中で反応させることにより製造され
る。以上の理由により、ガラス転移温度が高く、高剛性
が得られるポリイミドフィルムの製造方法が好ましく、
従って後述するブロック重合または混交ポリマー重合方
法が好ましい。
【0035】上記それぞれの成分は、単独で順次有機溶
剤中に供給してもよいし、同時に供給してもよく、また
混合した成分に有機溶剤を供給してもよいが、均一な反
応を行わせるためには、有機溶剤中に各成分を順次添加
することが好ましい。
【0036】それぞれの成分を順次供給する場合の供給
順序は、ブロック成分または混交ポリマー成分となるジ
アミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを優先し
て供給することが好ましい。すなわち、ブロック成分ま
たは混交ポリマー成分を含有するポリアミド酸を製造す
るために、その反応を少なくとも2回に分割して実行さ
せ、まずブロック成分または混交ポリマー成分を含有す
るポリアミド酸を得てから、これをイミド転化すること
により、得られるポリイミドにブロック成分または混交
ポリマー成分を組み込ませるのである。
【0037】またこの(1)工程で、更に工程(A)〜
(E)を順次行うことを特徴とするブロック成分または
混交ポリマー成分を有する延伸ポリイミドフィルムの製
造する工程を含むことを特徴とする炭素フィルムの製造
方法。
【0038】(A)ピロメリット酸二無水物、3,4’
−オキシジアニリン及び4,4’−オキシジアニリン
を、不活性な溶剤中で、3,4’−オキシジアニリン及
びピロメリット酸二無水物とのブロック成分または混交
ポリマー成分を有するポリアミド酸を形成するように、
少なくともピロメリット酸二無水物、またはジアミンを
全使用量の1〜99重量%使用し反応させる工程、
(B)前記工程(A)からのポリアミド酸ポリマーに残
りの原料を追加使用し、最終的に全使用量の全量を使用
し反応させる工程、(C)前記工程(B)からのポリア
ミド酸溶液に、ポリアミド酸をポリイミドに転化するこ
とのできる転化用薬剤を混合する工程、(D)前記工程
(C)からの混合物を平滑面上にキャストまたは押出し
て、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成する
工程、および(E)前記工程(D)からのゲルフィルム
を、回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向
に1.1〜2倍延伸し、この延伸されたゲルフィルムの
端部をテンタクリップにより把持し、このゲルフィルム
を幅方向に走行方向の延伸倍率の0.8〜1.3倍の倍
率で延伸する工程。
【0039】(F)500℃以下の温度で加熱してポリ
アミド酸をポリイミドに変換する工程。
【0040】(C)〜(E)の工程でイミド化が順次行
われ、(F)の工程でイミド化工程を終了することが出
来る。このイミド化により縮合水が順次放出される。
【0041】そして、延伸操作および/またはポリイミ
ドポリマにさらにブロック成分または混交ポリマー成分
を組み込むことにより、上記各特性をより好ましい範囲
にすることができる。この場合に特に好ましいブロック
成分または混交ポリマー成分は、3,4’−オキシジア
ニリン及びピロメリット酸二無水物との反応により得ら
れるものである。
【0042】ポリアミド酸のブロック成分または混交ポ
リマー成分を生成するために必要な時間は、反応温度と
ブロック成分または混交ポリマー成分のポリアミド酸中
における比率で決定すればよいが、経験的には約1分か
ら約20時間程度が適当である。
【0043】このとき後述するようにブロック成分を含
有するポリマーを形成するためには(A)反応工程中で
反応させるジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成
分とは実質的に非等モルである。
【0044】また混交ポリマー成分を形成させるために
は(A)反応工程中でのジアミン成分とテトラカルボン
酸二無水物成分とは実質的に等モルであること、または
ジアミン過剰の反応工程を経る場合はジカルボン酸無水
物で末端を封鎖することが好ましい。ジアミン成分とテ
トラカルボン酸二無水物成分とが実質的に等モルである
こと、またはジアミン過剰の反応工程でジカルボン酸無
水物で末端を封鎖することは、これらの反応工程で形成
された混交ポリマー成分が化学的に不活性で後工程の反
応で形成されるポリイミドポリマーの末端に組み込まれ
ないことを意味する。しかるに混交ポリマー成分の反応
とその後のポリイミドを形成する反応とが同一反応槽で
行われることにより、モレキューラーコンポジット(異
なる分子同士の複合体)が形成され易くなり混交ポリマ
ー成分の特徴がより発現できるのである。
【0045】これらから得られるポリアミド酸から製造
されるゲルフィルムは、二軸延伸する際の延伸性が良
く、従って高倍率での二軸延伸ができる。イミド化には
閉環触媒を用い更に加熱を行う化学閉環法、及び閉環触
媒を用いないで加熱のみで閉環する熱閉環法とがある。
この内化学閉環法が安定した延伸が可能であるため好ま
しい。該ゲルフィルムはスリット付口金から加熱された
支持体上に流延されてフィルム上に成型され、ポリアミ
ド酸は支持体上で閉環反応をし、自己支持性を有するゲ
ルフィルムとなって支持体から剥離される。支持体は金
属製の回転ドラムやエンドレスベルトであって良く、そ
の温度は熱媒、または電気ヒータ等の輻射熱により制御
される。
【0046】従来のポリイミドフィルムのを製造時に
は、溶媒乾燥時の自己収縮による延伸操作が主であった
が、本発明では面積延伸倍率が1.1倍以上で延伸され
る。前述したように面積倍率で1.1倍以上とすること
により炭素化フィルムの剛性・強度および可とう性が改
良できる。
【0047】即ち次いでゲルフィルムは500℃以下の
温度で、面積倍率1.1〜4倍に延伸されるが、延伸さ
れる状態はポリアミド酸ゲルフィルム、ポリアミド酸/
ポリイミド共存ゲルフィルムまたはポリイミドフィルム
のいずれかまたは2段階以上の工程を組み合わせて延伸
しても良い。
【0048】イミド化率が高いほど、または溶媒含有量
が少ないほど、延伸による配向効果は高くなるが、逆に
フィルム破断が起こりやすくなるのでイミド化率または
溶媒含有量が異なる工程で2段階以上に分割されて延伸
操作が施される。もちろん、ポリアミド酸ゲルフィル
ム、ポリアミド酸/ポリイミド共存ゲルフィルムまたは
ポリイミドフィルムの状態で、特にポリイミドフィルム
の状態で同時2軸で延伸されることも他の工程と組み合
わせて好ましく行われる。
【0049】2段階以上の工程を組み合わせて延伸され
る場合は、互いに直交する2軸方向に延伸されるが、異
なる温度で延伸されることも好ましく用いられる。
【0050】ゲルフィルムは支持体からの受熱または外
側の熱風や電気ヒータ等の熱源からの受熱により30℃
から200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて
閉環反応が進行し、有機溶媒などの揮発分を乾燥させる
ことにより自己支持性を有するようになり、支持体から
剥離される。閉環反応の進んでいないポリアミド酸のフ
ィルムを急激に加熱すると平滑な表面のゲルフィルムを
得られないため加熱温度は適宜管理する必要がある。
【0051】好ましい方法として、支持体から剥離され
たゲルフィルムは回転ロールにより走行速度を規制しな
がら走行方向(MD)に延伸される。延伸は50〜20
0℃の温度で1.1〜2倍、好ましくは1.1〜1.6
倍の倍率で実施される。回転ロールはゲルフィルムの走
行速度を規制する必要な把持力が必要であり、金属ロー
ルとゴムロールを組み合わせて成るニップロールまたは
減圧吸引方式のサクションロールを使用する。ゲルフィ
ルムのMD方向への延伸倍率が1.1倍未満では延伸効
果が小さく、高強度化が不十分な場合がある。延伸倍率
が大きくなると、MD方向の力学的性質や寸法安定性の
改善効果は大きくなるが、ゲルフィルムが破断しやすく
なるため後続する幅方向の選定範囲が狭くなる。このた
め、MD延伸倍率は1.1〜1.9倍、好ましくは1.
1〜1.6倍の範囲である。
【0052】走行方向に延伸されたゲルフィルムはテン
タ装置に導入され、テンタクリップに幅方向両端部を把
持されて、テンタクリップに幅方向両端部を把持され
て、テンタクリップと共に走行しながら幅方向(TD)
へ延伸され、有機溶媒等の揮発分成分を乾燥された後熱
処理されて二軸配向ポリイミドフィルムとなる。幅方向
への延伸は500℃以下、好ましくは450℃以下の温
度で次の式(i)で定義される延伸倍率比が0.9〜1.
3、好ましくは1.0〜1.3となる幅方向の延伸倍率
で実施される。
【0053】 (TD方向の延伸倍率)/(MD方向の延伸倍率)=延伸倍率比・・・(i) 延伸倍率比は本発明の目的の一つである高剛性および面
内等方性の改善のため重要である。延伸倍率比が0.9
未満ではMD方向への配向効果が強くなり、1.3倍を
超えるTD方向への配向効果が強くなるため、平面性ま
たは面内等方性が好適な範囲を外れてしまう場合があ
る。またゲルフィルムが乾燥オーブンに導入される前に
幅方向の延伸はその延伸倍率の50%以上を実施するの
が好ましい。このゲルフィルムのMD方向およびTD方
向の延伸はこの順序か、逆の順序で逐次的に行っても、
また同時に行っても良い。
【0054】ゲルフィルムの延伸性はその固形分濃度に
影響され、ゲルフィルムの乾燥が進んで固形分濃度が6
0重量%になると延伸が困難になり、高速の延伸時にゲ
ルフィルムの破断が生じる場合がある。そのため、成型
されて支持体から剥離されたゲルフィルムの固形分濃度
は50重量%以下が好ましい。またゲルフィルムの自己
支持性を保持するためには固形分濃度は5重量%以上で
ある。
【0055】テンタオーブンにおけるゲルフィルムの乾
燥および熱処理は熱風または電気ヒータ等による輻射熱
を使用して実施され、乾燥温度は200〜400℃、熱
処理温度は350〜500℃であるが、急激に加熱する
とゲルフィルムに含有される揮発分成分の発泡により空
隙が発生するため加熱方法を制御する方法がある。この
ようにして製造された二軸延伸ポリイミドフィルムは、
分子鎖がフィルム面方向に配向され、分子鎖の面方向へ
の配向の程度を示す次の式(ii)で定義される面配向係数
が0.11以上となり、寸法安定性の代表値である平均
面内熱膨張係数(CTEave)が未延伸フィルムよりも
次の式(iii)で計算して少なくとも10%小さくなり、
更に面内等方性を示す次の式(iv)で定義される面内異方
性指数が20以下である力学的性質を有し、面内等方性
に優れており、更に改良された寸法安定性をも有する二
軸延伸ポリイミドフィルムとすることが好ましい。
【0056】 (面内最大屈折率+面内最小屈折率)/2−厚さ方向屈折率 =面配向係数・・・(ii) (α−β)×100/α・・・・・・・・・・・・・(iii) 但し、α・・・未延伸フィルムのCTEave β・・・二軸延伸フィルムのCTEave (γ2−δ2)/(γ2+δ2)×200=面内異方性指数(AI値)・・・(iv) 但し、γ・・・最大配向角方向の音波伝播速度 δ・・・最小配向角方向の音波伝播速度 以上のように製造された延伸ポリイミドフィルムまたは
炭素化前のポリイミドフィルムのヤング率は4(GPa)
以上である。このポリイミドフィルムを500℃以上で
不活性ガス又は真空中で炭素化する。
【0057】一旦500〜800℃の間で前処理焼成を
行い、800℃以上で後処理焼成を行う方法が好まし
い。500〜800℃の前処理工程で脱水反応が進行す
る。この脱水反応は500℃以下で行われるイミド化に
よる脱水とは異なり、解重合に起因する脱水素反応に伴
う脱水である。従ってこの工程は解重合が伴うためボイ
ド生成を抑制するように管理することが重要である。こ
の前工程では好ましくは比重を1.1以上、更に好まし
くは1.3以上、最も好ましくは1.5以上に保つよう
に管理することである。この工程で比重が1.1未満の
フィルムは、後述する後焼成工程で脆くなりフィルム割
れなどが生じる場合がある。
【0058】炭素フィルム強度を向上させるため、前焼
成処理工程の後または後焼成工程の後にプレスまたはロ
ールなどで圧延し中に含まれるボイドまたは空隙を除く
ことも好ましい。
【0059】前処理工程のみでは焼成時間が十分でない
場合グラファイト構造が十分成長化されないため、柔軟
性が乏しく脆くなる。後処理焼成温度の好ましい範囲は
1000℃以上3500℃以下、更に好ましくは200
0℃以上3400℃以下である。後処理焼成の温度にて
長時間保持し黒鉛結晶構造を再配列成長させることも好
ましい。3500℃を超えると炭素の昇華が起こり炭素
収率が低くなるので好ましくない。
【0060】以上の工程を経て得られた炭素フィルム
は、比重が2.0以下、熱伝導率が600[Wm
-1-1]以上である。
【0061】比重は低い程良いが、具体的な好ましい比
重は1.8以下、更には1.75以下、最も好ましくは
1.7以下である。比重が2.0を超えると、放熱シー
トとして組み込まれた場合、軽量化と高性能化が両立し
にくい。
【0062】好ましい引張り弾性率は20[GPa]以
上、更には35[GPa]以上、最も好ましくは40
[GPa]以上である。弾性率が20[GPa]未満で
は、炭素分子の配向が不十分であるか、炭素からなる結
晶が十分に成長していない為、強靱性が劣る物となる。
【0063】好ましい熱伝導率は750[Wm-1-1
以上、更には900[Wm-1-1]以上である。熱伝導
率が600[Wm-1-1]未満では携帯型電子機器の放
熱シートとして性能が不十分である。本発明の炭素フィ
ルムにより、可撓性の熱放熱シートを実現することがで
きる。
【0064】具体的に、テトラカルボン酸二無水物成分
としてピロメリット酸二無水物(PMDA)、ジアミン
成分として、3,4’−オキシジアニリン(34’OD
A)と4,4’−オキシジアニリン(44’ODA)を
使用し、PMDAと34’ODAとからなるブロック成
分または混交ポリマー成分を含有するポリイミドフィル
ムを経由した炭素フィルムの製造例を以下に説明する。
【0065】まず、有機溶剤としてのジメチルアセトア
ミド(DMAc)に、34’ODAを溶解し、PMDA
を加え、第一段目のブロック成分または混交ポリマー成
分の反応を完了させる。
【0066】次いで、溶液に44’ODAを加え溶解し
た後、溶液にPMDAを加えて反応させることにより、
34’ODAとPMDAとのブロック成分または混交ポ
リマー成分を含有するポリアミド酸溶液が得られる。
【0067】この場合に、最初に供給するPMDAに微
量の44’ODAを添加したり、最初に反応させる3
4’ODAとPMDAとのモル比を非等量にし、過剰量
のジアミン成分と十分に反応させる量の末端封止剤を添
加することにより、混交ポリマー成分の大きさを制御す
ることも可能である。この様に混交ポリマー成分の効果
を有効にするためには、34’ODAとPMDAとのモ
ル比を実質的に等量とするまたは酸無水物/ジアミンの
モル比を非等量にし、過剰量のジアミン成分と十分に反
応させる量の末端封止剤で末端封鎖された混交ポリマー
とすることが好ましい。
【0068】この時用いる末端封止剤は無水ジカルボン
酸、シリル化剤などの末端封止剤を固形分(ポリマー濃
度)に対して0.001〜2%の範囲で添加することも
好ましい。この無水ジカルボン酸として無水酢酸または
無水フタル酸、シリル化剤として非ハロゲン系であるヘ
キサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリ
ル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)
ウレアが特に好ましく用いられる。
【0069】ポリアミド酸の製造は、その溶液のポリア
ミド酸濃度と溶液の粘度とでその終了点を決定される。
終了点の溶液の粘度を精度良く決定するためには、最後
に供給する成分の一部を、反応に使用する有機溶剤の溶
液として添加することは有効であるが、ポリアミド酸濃
度をあまり低下させないような調節が必要である。
【0070】溶液中のポリアミド酸濃度は、5ないし4
0重量%、好ましくは10ないし30重量%である。
【0071】上記有機溶剤としては、それぞれの成分お
よび重合生成物であるポリアミド酸と非反応性であり、
成分の1つから全てを溶解でき、ポリアミド酸を溶解す
るものから選択するのが好ましい。
【0072】望ましい有機溶剤としては、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、
これらは単独でまたは混合使用することができ、場合に
よってはベンゼン等の貧溶媒と併用することも可能であ
る。
【0073】本発明の炭素フィルムの前駆体であるポリ
イミドフィルムを製造するに際しては、かくして得られ
たポリアミド酸溶液を押出機やギヤポンプで加圧して、
ポリアミド酸フィルムの製造工程に送液する。
【0074】ポリアミド酸溶液は、原料に混入していた
り、重合工程で生成した異物、固形物及び高粘度の不純
物等を除去するためにフィルターされ、フィルム成形用
の口金やコーチングヘッドを通してフィルム状に成形さ
れ、回転または移動する支持体上に押出され、支持体か
ら加熱されて、ポリアミド酸が一部イミド転化したポリ
アミド酸−ポリイミドゲルフィルムが生成され、このゲ
ルフィルムが自己支持性となり、支持体から剥離可能と
なった時に支持体から剥離され、乾燥機に導入され、乾
燥機で加熱されて、溶剤を乾燥し、イミド転化を完了す
ることにより、ポリイミドフィルムが製造される。
【0075】このとき、金属焼結フィルターを用いるこ
とは、途中で生成されたゲル物の除去に効果的である。
好ましくは金属繊維焼結フィルターである。具体的には
20μmカットの金属焼結フィルターであり、更に好ま
しくは10μmカットの金属焼結フィルターであり、最
も好ましくは5μmカットの金属焼結フィルターであ
る。
【0076】ポリアミド酸のイミド転化の方法は、加熱
のみによる熱転化法と、イミド転化薬剤を混合したポリ
アミド酸を加熱処理したり、またはポリアミド酸をイミ
ド転化薬剤の浴に浸漬する化学転化法のいずれも採用す
ることができるが、本発明においては、化学転化法が熱
転化法に比べて、可撓性の炭素フィルムが、高弾性率、
平面性および製膜性を均衡して高度に実現するのに好適
である。
【0077】しかも、化学転化法によってポリアミド酸
にイミド転化薬剤を混合し、フィルム状に成形後加熱処
理する方法は、イミド転化に要する時間が短く、均一に
イミド転化が行える等の利点に加え、支持体からの剥離
が容易であり、さらには、臭気が強く、隔離を必要とす
るイミド転化用薬剤を密閉系で取り扱える等の利点を有
することから、ポリアミド酸フィルム成形後に転化用薬
剤や脱水剤の浴に浸漬する方法に比べて好ましく採用さ
れる。
【0078】本発明においては、イミド転化用薬剤とし
て、イミド転化を促進する3級アミン類と、イミド転化
で生成する水分を吸収する脱水剤とを併用する。3級ア
ミン類は、ポリアミド酸とほぼ等モルないしやや過剰に
添加混合され、脱水剤は、ポリアミド酸の約2倍モル量
ないしやや過剰に添加されるが、支持体からの剥離点を
調整するために適当に調整される。
【0079】そして、イミド転化用薬剤は、ポリアミド
酸を重合完了した時点から、ポリアミド酸溶液がフィル
ム成形用口金やコーチングヘッドに達するいかなる時点
で添加してもよいが、送液途中におけるイミド転化を防
止する意味では、フィルム成形用口金またはコーチング
ヘッドに到達する少し前に添加し、混合機で混合するの
が好ましい。
【0080】3級アミンとしては、ピリジンまたはβ−
ピコリンが好適であるが、α−ピコリン、4−メチルピ
リジン、イソキノリン、トリエチルアミン等も使用する
ことができる。使用量は、それぞれの活性によって調整
する。
【0081】脱水剤としては、無水酢酸が最も一般的に
使用されるが、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息
香酸、蟻酸無水物等も使用することができる。
【0082】イミド転化薬剤を含有するポリアミド酸フ
ィルムは、支持体上で支持体および反対面空間から受け
る熱により、イミド転化が進み、一部イミド転化したポ
リアミド酸−ポリイミドゲルフィルムとなり、支持体か
ら剥離される。
【0083】この場合に、支持体および反対面空間から
与える熱量は多いほどイミド転化が促進されて、速く剥
離するが、熱量が多すぎると支持体とゲルフィルムの間
の有機溶剤のガスがゲルフィルムを変形させ、フィルム
の欠点となるので、剥離点の位置とフィルム欠点を勘案
して、熱量を決定することが望ましい。
【0084】支持体から剥離されたゲルフィルムは、乾
燥機に導入され、溶剤の乾燥およびイミド転化の完了が
なされる。
【0085】このゲルフィルムは、多量の有機溶剤を含
有しており、その乾燥過程において体積が大幅に減少す
る。したがって、この体積減少による寸法収縮を厚さ方
向に集中させるために、ゲルフィルムの両端をテンター
クリップで把持し、このテンタークリップの移動により
ゲルフィルムを乾燥機(テンター)に導入し、テンター
内で加熱して、溶剤の乾燥とイミド転化とを一貫して実
施するのが一般的である。このゲルフィルムを、回転ロ
ールにより走行速度を規制しながら走行方向に1.1〜
2倍延伸し、この延伸されたゲルフィルムの端部をテン
タクリップにより把持し、このゲルフィルムを幅方向に
走行方向の延伸倍率の0.8〜1.3倍の倍率で延伸す
る。なお、テンター内において、フィルム両端のテンタ
ークリップの距離を拡大または縮小して、延伸またはリ
ラックスをおこなうことができる。特に幅方向の延伸操
作においてイミド化率、雰囲気温度または溶媒含有量が
異なる状態で2段階以上に分割されて延伸操作が施され
ることは、フィルム破断を生じさせずに高延伸倍率が得
られるので好ましい。
【0086】熱収縮率を低くするためには、高温領域で
の冷却は低張力で徐冷することが好ましい。徐冷条件は
50〜300℃の温度範囲の冷却速度が500℃/分以
下、好ましくは100℃/分以下で冷却することが好ま
しい。
【0087】この乾燥及びイミド転化は、50ないし5
00℃の温度で行われる。乾燥温度とイミド転化温度は
同一温度でもよいし、異なる温度でもよいが、溶剤を大
量に乾燥する段階では、低めの温度、具体的には50〜
200℃で、として溶剤の突沸を防ぎ、溶剤の突沸のお
それがなくなったら、高温にして、具体的には200〜
500℃で、イミド転化を促進するように、段階的に高
温にすることが好ましい。
【0088】好ましくはブロック成分または混交ポリマ
ー成分を含有し、化学転化法によりイミド転化して得ら
れるカットシート状のポリイミドフィルムは、上記のよ
うに製造した連続したフィルムから切り取って製造する
ことができるが、少量のフィルムを製造するには、後述
の実施例で示しているように、樹脂製やガラス製のフラ
スコ内で、好ましくはブロック成分または混交ポリマー
成分を含有するポリアミド酸を製造し、このポリアミド
酸溶液に化学転化薬剤を混合して得られる混合溶液を、
ガラス板等の支持体上にキャストし、加熱して、一部イ
ミド転化した自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲ
ルフィルムとして、支持体から剥離し、金属製の固定枠
等に固定して寸法変化を防止しながら加熱して、溶剤の
乾燥およびイミド転化する方法により製造することがで
きる。
【0089】このようにして、化学転化法によりイミド
転化して得られる本発明のポリイミドフィルムは、熱転
化法により得られるポリイミドフィルムに比しても、炭
素フィルム用の原料に適用した場合に、高弾性率かつ熱
伝導率に優れた炭素素材を提供できる。
【0090】以上のような方法で得られた延伸ポリイミ
ドフィルムは、ヤング率が4[GPa]以上で、好まし
くは5[GPa]以上のポリイミドフィルムである。
【0091】引き続き、炭素化工程を行う。上記で得ら
れたポリイミドフィルムを黒鉛板に挟み、窒素ガス雰囲
気中、1〜50℃/分の昇温速度で500〜800℃ま
で昇温し前焼成を行う(前焼成工程)。このときフィル
ムの比重は1.1以上に管理することが好ましい。一旦
室温まで冷却し、前焼成したフィルムを炭素繊維織布に
挟み、アルゴンガス雰囲気中で室温から10〜500℃
/分の昇温速度で800〜3500℃まで昇温する(後
焼成工程)。この焼成工程において、積層炭素フィルム
を得るため、ポリイミドフィルムを重ね合わせて行って
も良い。または前焼成工程で得られたフィルムを重ね合
わせ後焼成工程を行っても良い。
【0092】以上の製造方法により、本発明の比重が
2.0以下、熱伝導率が600[Wm -1-1]以上の炭
素フィルムを得ることが出来る。
【0093】更にこの炭素フィルムはこの優れた特性に
より、電極、発熱体、構造体、ガスケット、断熱体、耐
食性シール材、電機用ブラシ、X線または中性子線モノ
クロメータ、原子炉用減速材、電池用セパレータなどに
用いられる。特に、携帯型コンピューターなどの電気回
路に起因する発熱を放熱するための軽量でかつ高性能の
放熱シートが得られる。
【0094】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでは
ない。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定した
ものである。
【0095】また、下記の実施例中で、略号DMAcは
ジメチルアセトアミドを、PMDAはピロメリット酸二
無水物を、34’ODAは3,4’−オキシジアニリン
を、また、44’ODAは4,4’−オキシジアニリン
を示す略記である。 (1)弾性率および破断伸度 弾性率は、JISK7113に準じて、室温でORIE
NREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速
度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線の初期立
ち上がり部の勾配から求めた。
【0096】破断伸度は試料が破断するときの伸度を取
った。 (2)ガラス転移温度(Tg) 装置は理学電機(株)社製 微少定荷重熱膨張計で、窒
素気流中にて測定 A.ガラス転移温度(Tg) 10mm長さ×約15mm幅の切片を切り出し、これを
円筒状にして10mmの長さ方向に圧縮モードで測定す
る。0.5gの付加荷重で行った。
【0097】2℃/分の昇温速度で、室温から400℃
までの1回目の昇温で測定した。寸法変化試料長L0と
その長さの変化量ΔLから、長さ変化率ΔL/L0とす
る。ΔLは10℃毎に読みとり、横軸に温度、縦軸に長
さ変化率ΔL/L0を取り、200〜400℃で観測さ
れる屈曲温度をTgとした。
【0098】350℃未満のTgのものは、炭素化工程
で皺が発生したり、配向緩和が生じ本発明の主用途には
不適である。 (3)製膜性 用意したフィルムを研究用高分子フィルム二軸延伸装置
(BIX−703、(株)岩本製作所社製)により、4
00℃で両軸当速度同時二軸延伸方式により延伸させフ
ィルム破断面積を求めた。予熱時間60秒、片側延伸速
度10cm/min、 ◎;極めて良好 破断延伸面倍率が2倍を超える。
【0099】 ○;良好 破断延伸面倍率が1.5倍〜2倍。
【0100】 △;実用上問題ない 破断延伸面倍率が1.1倍〜1.5倍。
【0101】 ×;製膜困難 破断延伸面倍率が1.1倍未満。 (4)面内異方性指数 野村商事社製 Sonic Sheet Tester SST−250型
を用いた。サンプルは25μmフィルムについて6枚重
ねとして、MD方向250mm、TD方向170mmの
大きさに正確に切断しサンプルとした。中央部は、幅方
向の中央部から、端部はフィルムの端から100mmの
位置を中心とする位置からサンプリングした。中央部
は、幅方向の中央部から、端部はフィルムの端から10
0mmの位置を中心とする位置からサンプリングした。
測定結果からフィルム中の音波の伝播速度が10°間隔
に測定でき、測定データを2次曲線で相関させ、円周全
方向にわたる配向分布を求め、最大配向角、最小配向角
および最大配向角と最小配向角における音波の伝播速度
を求めた。
【0102】面内異方性指数(AI値)は、最大配向角
の音波伝播速度Peak Value MAX.と最小配向角の音波伝
播速度Peak Value MIN. から上述した式(iv)より計算
される。 (5)面配向係数 メトリコン コーポレーション社製のメトリコンPC−
2010を用い、波長0.633μmの光線により測定し
た。サンプルは3cm×3cmに切り取り、メトリコン
PC−2010にセットされて面内最大屈折率、面内最
小屈折率および厚さ方向屈折率を測定し、上述した(i)
式により面配向係数を求めた。 (6)比重 フィルムより4cm×4cmの試料片を切り出し、アル
キメデス法により測定した。測定温度は25℃。浸漬液
は水。
【0103】重量m(kg)の試料が、密度ρw(kg
/cm3)の水に浸かったときに受ける浮力をF(k
g)とすると、試料の密度ρ(kg/cm3)は次式に
より算出される。
【0104】ρ=(m×ρw)/F ここで浮力Fは、細線により天秤に試料をつるし、試料
を水につけ、浸漬前後の天秤の読みの差から求めること
が出来る。
【0105】測定装置:重量・・・島津製作所製 電子
分析天秤 AEL−200 (7)熱伝導率 面方向の熱伝導率λ(W/mK)は、熱拡散率αおよび
熱容量ρCp(J/m3K)の積として算出した。
【0106】λ=αρCp 比熱はDSC(示差走査熱量計)法により求めた。
【0107】熱拡散率は光交流法により求めた。測定条
件は以下の通り。
【0108】 測定装置:真空理工(株)製熱定量測定装置PIT−1 測定温度:170℃ 照射光 :ハロゲンランプ光 雰囲気 :真空中 (8)非融着性 ポリイミドフィルムを3枚重ね炭素繊維織布に挟み、加
熱炉内に入れる。窒素雰囲気にした後、室温より800
℃まで5℃/分で昇温し、引き続き1200℃まで10
℃/分で昇温し1時間保持した。冷却は室温まで5℃/
分で行う。
【0109】炉内よりフィルムを取り出し得られた炭素
フィルムの融着状態を観察する。
【0110】△以上が一度に炭素フィルムを得ることが
出来実用レベルである。
【0111】 ○・・・融着していない。3枚同時に炭素フィルムが得
られる。
【0112】 △・・・わずかに融着しているが手で簡単に剥がすこと
が出来る ×・・・融着して剥がすことが出来ない。
【0113】[実施例1]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlおよび気相法炭素繊維(昭和
電工(株)社製、VGCF)0.3gを入れ、34’O
DAをDMAc中に供給して溶解させ、続いて44’O
DA及びPMDAを順次供給し、室温で、約1時間攪拌
する。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミ
ン成分が約100モル%化学量論で表1に示す組成の成
分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製し
た。
【0114】このポリアミド酸溶液30gを、12.7
mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6ml
のβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合
溶液をガラス板上にキャストした後150℃に加熱した
ホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のポ
リアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これを
ガラス板から剥離した。
【0115】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温
しながら30分間加熱した。さらに450℃で1分熱処
理後徐冷し厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得
た。
【0116】この得られたフィルムを研究用高分子フィ
ルム二軸延伸装置(BIX−703、(株)岩本製作所
社製)により、400℃で両軸当速度二軸延伸方式によ
り延伸させフィルム破断面積を求めた。破断面倍率は約
2.3倍であった。予熱時間60秒、片側延伸速度10
cm/min。
【0117】同様の条件で、MDおよびTD方向に同時
2軸に1.4倍ずつ延伸した。更にこのフィルムを45
0℃で1分熱処理し徐冷を行った。
【0118】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に示した。
【0119】これらのポリイミドフィルムを3枚重ね炭
素繊維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にし
た後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続
き1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。
冷却は室温まで5℃/分で行った。
【0120】炉内よりフィルムを取り出したところ、フ
ィルムは金属光沢の炭素フィルムが得られた。炭素フィ
ルムはわずかに融着していたが簡単に剥がすことが出
来、3枚の面状フィルムが得られた。この炭素フィルム
は折り曲げても割れないものであった。得られた炭素フ
ィルムの特性値評価結果を表1に示した。
【0121】[実施例2]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlを入れ、34’ODAをDM
Ac中に供給して溶解させ、続いてPMDAを供給し、
室温で約1時間攪拌した。このポリアミド酸溶液に4
4’ODAを供給し、完全に溶解させた後室温で約1時
間攪拌した。引き続きジアミン成分に対して0.5モル
%の無水酢酸を添加し更に約1時間攪拌し、テトラカル
ボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化
学量論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃
度20重量%の溶液を調製した。
【0122】このポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
実施例1と同じ方法で処理して、厚さ約25μmのポリ
イミドフィルムを得た。
【0123】この得られたフィルムを研究用高分子フィ
ルム二軸延伸装置(BIX−703、(株)岩本製作所
社製)により、400℃で両軸当速度二軸延伸方式によ
り延伸させフィルム破断面積を求めた。破断面倍率は約
1.7倍であった。予熱時間60秒、片側延伸速度10
cm/min。
【0124】同様の条件で、MDおよびTD方向に同時
2軸に1.2倍ずつ延伸した。更にこのフィルムを45
0℃で1分熱処理し徐冷を行った。
【0125】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に併せて示した。
【0126】炭素化処理は実施例1と同様に行った。
【0127】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表1に併せて示した。 [比較例1]500ccのガラス製フラスコに、DMA
c150mlを入れ、34’ODAをDMAc中に供給
して溶解させ、PMDAを溶解させ、室温で、約1時間
攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分
が約100モル%化学量論で表1に示す組成の成分から
なるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。
【0128】このポリアミド酸溶液を、実施例1と同じ
方法で処理して、厚さ約25μmのポリイミドフィルム
を得た。
【0129】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表2に示した。得られたフィルムのTgが約32
0℃付近に観察された。
【0130】得られたポリイミドフィルムを3枚重ね炭
素繊維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にし
た後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続
き1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。
冷却は室温まで5℃/分で行った。
【0131】炉内よりフィルムを取り出したところ、フ
ィルムは金属光沢の炭素フィルムが得られたが融着して
おり簡単に剥がすことが出来なかった。
【0132】そこでポリイミドフィルム1枚を炭素繊維
織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした後、
室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き12
00℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷却は
室温まで5℃/分で行った。炉内よりフィルムを取り出
したところ、フィルムはややくすんだ金属光沢の炭素フ
ィルムが得られ、若干波打ったフィルムが得られた。
【0133】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表2に併せて示した。
【0134】[比較例2]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlを入れ、34’ODAをDM
Ac中に供給して溶解させ、続いてPMDAを供給し、
室温で約1時間攪拌した。このポリアミド酸溶液に4
4’ODAを供給し、完全に溶解させた後室温で約1時
間攪拌した。引き続きジアミン成分に対して1モル%の
無水酢酸を添加し更に約1時間攪拌し、テトラカルボン
酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量
論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度2
0重量%の溶液を調製した。
【0135】このポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
実施例1と同じ方法で処理して、厚さ約25μmのポリ
イミドフィルムを得た。得られたフィルムのTgが約3
40℃付近に観察された。
【0136】得られたポリイミドフィルムを3枚重ね炭
素繊維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にし
た後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続
き1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。
冷却は室温まで5℃/分で行った。炉内よりフィルムを
取り出したところ、フィルムは金属光沢の炭素フィルム
が得られたが融着しており簡単に剥がすことが出来なか
った。
【0137】そこでポリイミドフィルム1枚を炭素繊維
織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした後、
室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き12
00℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷却は
室温まで5℃/分で行った。炉内よりフィルムを取り出
したところ、フィルムはややくすんだ金属光沢の炭素フ
ィルムが得られ、若干波打ったフィルムが得られた。
【0138】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表2に併せて示した。
【0139】[比較例3,実施例3、4]混交ポリイミ
ド 乾燥窒素で常時パージされる容器に、DMAc190.
6kgを入れ、34’ODA(29.8モル%)をDM
Ac中に供給し、溶解させ、続いてPMDA(30モル
%)を供給し、室温で、約1時間攪拌した。引き続きジ
アミン成分に対して0.5モル%の無水酢酸を添加し更
に約1時間攪拌し、このポリアミド酸溶液に44’OD
A(70モル%)を供給し、完全に溶解させた後、PM
DA(70モル%)を供給し、室温で約1時間攪拌し、
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約10
0モル%化学量論で表1に示す組成の成分からなるポリ
アミド酸濃度23重量%の溶液を調製した。この溶液は
20℃で4000ポイズの粘度であった。このポリアミ
ド酸溶液に、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.
5モル、ピリジンをポリアミド酸単位に対して2.0モ
ルを冷却しながら混合し、ポリアミド酸の有機溶媒溶液
を得た。このポリアミド酸の有機溶媒溶液をスリット付
金属に定量供給し、90℃の金属ドラム上に流延し、自
己支持性のあるゲルフィルムを得た。得られたゲルフィ
ルムの固形分は18重量%であった。 (比較例3)このゲルフィルムの一部を、多数のピンを
備えた金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃
に昇温しながら30分間加熱し、さらに450℃で1分
熱処理後徐冷し厚さ約25μmのポリイミドフィルムを
得た(比較例3用のポリイミドフィルム)。得られたポ
リイミドフィルムの特性値評価結果を表2に示した。
【0140】炭素化処理は実施例1と同様に行った。
【0141】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表2に示した。 (実施例3)この得られたフィルムを研究用高分子フィ
ルム二軸延伸装置(BIX−703、(株)岩本製作所
社製)により、400℃で両軸当速度二軸延伸方式によ
り延伸させフィルム破断面積を求めた。破断面倍率は約
1.7倍であった。予熱時間60秒、片側延伸速度10
cm/min。
【0142】同様の条件で、MDおよびTD方向に同時
2軸に1.2倍ずつ延伸した。更にこのフィルムを45
0℃で1分熱処理し徐冷を行った(実施例3用のポリイ
ミドフィルム)。
【0143】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に併せて示した。炭素化処理は実施例1と同
様に行った。
【0144】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表1に示した。 (実施例4)このゲルフィルムを金属ドラムから剥離
し、金属ロールとシリコーンゴムロールからなる2組の
ニップロールで温度63℃で走行方向(MD)に延伸し
次いでテンタに導入した。走行方向の延伸倍率、すなわ
ち金属ドラムと各ニップロールおよびテンタとの速度比
は、1.12、2組目のニップロールのそれは1.2
4、テンタのそれは1.40に調整した。テンタで20
0℃の温度で幅方向(TD)に1.5倍延伸し、次いで
400℃で1.1倍延伸し、引き続き450℃で1分間
熱処理し、徐冷却ゾーンで約5%幅方向リラックスさせ
ながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅
2m、厚さ25μmの二軸延伸ポリイミドフィルムを得
た。得られたポリイミドフィルムの面配向係数は0.1
6であった。またその面内異方性指数の平均値は11で
あった。その他の特性値評価結果は表1に示した。
【0145】炭素化処理は実施例1と同様に行った。
【0146】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表1に併せて示した。
【0147】[比較例4]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlを入れ、44’ODAをDM
Ac中に供給して溶解させ、PMDAを溶解させ、室温
で、約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分と
ジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示す組
成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
調製した。
【0148】このポリアミド酸溶液を、実施例1と同じ
方法で処理して、厚さ約25μmのポリイミドフィルム
を得た。
【0149】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表2に示した。
【0150】炭素化処理は実施例1と同様に行った。
【0151】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表2に併せて示した。 [実施例5]500ccのガラス製フラスコに、DMA
c150mlを入れ、34’ODAをDMAc中に供給
して溶解させ、続いてPMDAを供給し、室温で約1時
間攪拌した。このポリアミド酸溶液に44’ODAを供
給し、完全に溶解させた後室温で約1時間攪拌した。引
き続きジアミン成分に対して0.5モル%の無水酢酸を
添加し更に約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物
成分とジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に
示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の
溶液を調製した。
【0152】この得られたフィルムを研究用高分子フィ
ルム二軸延伸装置(BIX−703、(株)岩本製作所
社製)により、400℃で両軸当速度二軸延伸方式によ
り延伸させフィルム破断面積を求めた。破断面倍率は約
1.3倍であった。予熱時間60秒、片側延伸速度10
cm/min。
【0153】同様の条件で、MDおよびTD方向に同時
2軸に1.1倍ずつ延伸した。更にこのフィルムを45
0℃で両軸共に5%リラックスを掛けて1分熱処理し徐
冷を行った。
【0154】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に併せて示した。炭素化処理は実施例1と同
様に行った。得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表1に併せて示した。
【0155】表1〜表2に記載された結果から明らかな
ように、PMDA、34’ODAおよび44’ODAか
らなる化学転化法で得られた本発明のランダムポリイミ
ドフィルムおよびブロックポリイミドフィルム、または
混交ポリマーより製造されたポリイミドフィルムを前駆
体として用いて製造された炭素フィルムは、従来の炭素
フィルムに比較して、高熱伝導率、高弾性率および可と
う性を同時に満足しており、携帯型コンピューターの放
熱拡散シートとしての好適な性能を有するものである。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の炭素フィ
ルムは、ピロメリット酸無水物および4,4’−オキシ
ジアニリンにより得られる炭素ポリイミドフィルムに比
しても、可撓性を有し、高弾性率および優れた平面性、
製膜性を有するものである。
【0159】したがって、本発明の炭素フィルムを用
い、高熱伝導率、高弾性率および可とう性を同時に満足
しており、携帯型コンピューターの放熱拡散シートとし
ての好適な性能を有するものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)ピロメリット酸二無水物、並びにジ
    アミンを基準に5モル%以上80モル%未満の3,4’
    −オキシジアニリン及び20モル%以上95モル%未満
    の4,4’−オキシジアニリンからなるジアミンから合
    成されるポリアミド酸溶液から膜を形成し、次いで50
    0℃以下の温度で、面積倍率1.1〜4倍に延伸し、ヤ
    ング率が4[GPa]以上の延伸ポリイミドフィルムを
    得る工程、(2)前記ポリイミドフィルムを温度500
    ℃以上で不活性ガス又は真空中で炭素化して、比重が
    2.0以下、熱伝導率が600[Wm-1-1]以上の炭
    素フィルムを形成する工程、を含むことを特徴とする炭
    素フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】前記(1)の工程で、下記工程(A)〜
    (E)を順次行うことにより異なる温度で少なくとも2
    回に分割されて延伸されたブロック成分または混交ポリ
    マー成分を有する延伸ポリイミドフィルムを製造する工
    程を含むことを特徴とする請求項1記載の炭素フィルム
    の製造方法。 (A)ピロメリット酸二無水物、3,4’−オキシジア
    ニリン及び4,4’−オキシジアニリンを、不活性な溶
    剤中で、3,4’−オキシジアニリン及びピロメリット
    酸二無水物とのブロック成分または混交ポリマー成分を
    有するポリアミド酸を形成するように、少なくともピロ
    メリット酸二無水物、またはジアミンを全使用量の1〜
    99重量%使用し反応させる工程、 (B)前記工程(A)からのポリアミド酸ポリマーに残
    りの原料を追加使用し、最終的に全使用量の全量を使用
    し反応させる工程、 (C)前記工程(B)からのポリアミド酸溶液に、ポリ
    アミド酸をポリイミドに転化することのできる転化用薬
    剤を混合する工程、 (D)前記工程(C)からの混合物を平滑面上にキャス
    トまたは押出して、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィ
    ルムを形成する工程、および (E)前記工程(D)からのゲルフィルムを、回転ロー
    ルにより走行速度を規制しながら走行方向に1.1〜2
    倍延伸し、この延伸されたゲルフィルムの端部をテンタ
    クリップにより把持し、このゲルフィルムを幅方向に走
    行方向の延伸倍率の0.8〜1.3倍の倍率で延伸する
    工程。 (F)500℃以下の温度で加熱してポリアミド酸をポ
    リイミドに変換する工程。
  3. 【請求項3】3,4’−オキシジアニリンが、ジアミン
    を基準に20モル%以上60モル%以下であり、4,
    4’−オキシジアニリンが、40モル%以上80モル%
    未満であることを特徴とする請求項1または2記載の炭
    素フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】前記(2)の炭素化工程において、予め、
    ポリイミドフィルムを不活性ガス又は真空中で500〜
    800℃の温度で不融化処理し、次いで、不活性ガス又
    は真空中において800〜3500℃の温度で加熱する
    ことにより炭素化することを特徴とする請求項1〜3い
    ずれか記載の炭素フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
    により製造され、引っ張り弾性率が35[GPa]、熱
    伝導度が800[Wm-1-1]以上である炭素フィル
    ム。
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