JP2003164286A - マンナナーゼおよびマンナナーゼ遺伝子 - Google Patents
マンナナーゼおよびマンナナーゼ遺伝子Info
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Abstract
子、該遺伝子を含む組換えベクター、該ベクターによっ
て形質転換された形質転換体及び該形質転換体を用いた
マンナナーゼの製造方法を提供すること。 【解決手段】特定のアミノ酸配列を含む蛋白質、該蛋白
質をコードするマンナナーゼ遺伝子、特定の塩基配列を
含むDNAを含むマンナナーゼ遺伝子、前記遺伝子を含有
する組換えベクター、該組換えベクターを含む形質転換
体、および前記形質転換体を培養して得られる培養物か
らマンナナーゼ蛋白質を採取することを特徴とするマン
ナナーゼの製造方法。
Description
酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクタ
ー、該ベクターによって形質転換された形質転換体及び
該形質転換体を用いたマンナナーゼの製造方法に関す
る。
8、本明細書では、マンナナーゼという)は、マンナ
ン、ガラクトマンナン、グルコマンナン等の1,4−β
−D−マンノシド結合を加水分解する酵素である。マン
ナナーゼによって分解される上記の物質は、植物の細胞
壁の主要な構成成分の一つであるヘミセルロースの構成
要素である。したがって、マンナナーゼは、食品、製紙
等の産業に有用な酵素である。
アキュレアタス(米国特許5,795,764号)、トリコデル
マ・リーゼイ(Appl Environ Microbiol., 61(3):1090-
7, 1995)、等の子嚢菌類糸状菌由来のもの、担子菌類
糸状菌のアガリクス・ビスポラス(Appl Environ Micro
biol., 67(5):2298-303, 2001)由来のものが知られて
いる。バクテリア由来のものでは、バチルス・ズブチル
ス(Biochim Biophys Acta., 1243(3):552-4, 1995)、
ストレプトマイセス・リビダンス(Biochem J.,290 ( P
t 3):857-63, 1993)、シュードモナス・フルオレッセ
ンス(Biochem J., 305( Pt 3):1005-1010, 1995)由来
のもの等が知られている。以上のマンナナーゼは、遺伝
子についても報告されている。
ついての報告が無いものとしては、アスペルギルス・タ
マリ(Biochem. J., 219(3):857-863, 1984)、ペニシ
リウム・マルチカラー(特開2001−145485)
由来のものなどがある。
よび、アスペルギルス・ソーヤは、味噌・醤油・日本酒
などの、日本における醸造食品の製造に古くから使われ
てきており、高い酵素生産性と、長年の利用による安全
性に対する信頼の高さから、産業上特に重要な微生物で
ある。これら黄麹菌については、アスペルギルス・オリ
ゼー由来のマンナナーゼについての報告があるものの
(Cytobios, 105(409):115-30, 2001)、精製酵素につ
いての報告や、遺伝子についての報告はなされていな
い。
ナーゼ、該酵素をコードする新規遺伝子、該遺伝子を含
む組換えベクター、該ベクターによって形質転換された
形質転換体及び該形質転換体を用いたマンナナーゼの製
造方法を提供することを目的とする。
解決するため研究を重ね、黄麹菌より新規マンナナーゼ
遺伝子をクローニングすることに成功し、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明は、以下の(a)、(b)又
は(c)の蛋白質である。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列を含み、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白
質 (c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列と70%以上の
配列同一性を示すアミノ酸配列を含む蛋白質またはその
部分断片であり、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質
(c)の蛋白質をコードするマンナナーゼ遺伝子である。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列を含み、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白
質 (c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列と70%以上の
配列同一性を示すアミノ酸配列を含む蛋白質またはその
部分断片であり、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質
又は(d)のDNAを含むマンナナーゼ遺伝子である。 (a) 配列番号1で表される塩基配列を含むDNA (b) 配列番号1で表される塩基配列またはその相補鎖を
含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質をコードする
DNA (c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする核
酸またはその相補鎖を含む核酸とストリンジェントな条
件下でハイブリダイズし、かつマンナナーゼ活性を有す
る蛋白質をコードするDNA (d) 配列番号1で表される塩基配列のDNAと70%以上の
配列同一性を示し、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白
質をコードするDNA
組換えベクターである。さらに、本発明は、前記組換え
ベクターを含む形質転換体である。さらに、本発明は、
前記形質転換体を培養し、得られる培養物からマンナナ
ーゼ蛋白質を採取することを特徴とするマンナナーゼの
製造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
酸配列を含む蛋白質である。該酵素は、例えば、アスペ
ルギルス・ソーヤやアスペルギルス・オリゼなどの黄麹
菌の培養物から精製することができる。また、該酵素
は、上記黄麹菌等からクローニングしたマンナナーゼ遺
伝子を適当な宿主-ベクター系で発現させることにより
得られる。
る限り、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1
若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加され
ていてもよい。さらに、マンナナーゼ活性を有する限
り、配列番号2で表されるアミノ酸配列と70%以上、望
ましくは80%以上、さらに望ましくは85%以上、最も望
ましくは90%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含
む蛋白質、またはその部分断片であってもよい。
る配列同一性を決定するために、配列は比較に最適な状
態に前処理される。例えば、一方の配列にギャップを入
れることにより、他方の配列とのアラインメントの最適
化を行う。その後、各部位におけるアミノ酸残基または
塩基が比較される。第一の配列における、ある部位に、
第二の配列の相当する部位と同じアミノ酸残基または塩
基が存在する場合、それらの配列は、その部位において
同一である。2つの配列における配列同一性は、配列間
での同一である部位数の全部位(全アミノ酸または全塩
基)数に対する百分率で示される。
たは塩基配列における配列同一性は、Karlin および Al
tschul のアルゴリズム(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
7:2264-2268, 1990およびProc. Natl. Acad. Sci. USA
90:5873-5877, 1993)により決定される。このようなア
ルゴリズムを用いたBLASTプログラムがAltschulらによ
って開発された(J. Mol. Biol. 215:403-410, 1990)。
更に、Gapped BLASTはBLASTより感度良く配列同一性を
決定するプログラムである(Nucleic Acids Res.25:3389
-3402, 1997)。上記のプログラムは、主に与えられた配
列にたいし、高い配列同一性を示す配列をデータベース
中から検索するために用いられる。これらは、例えば米
国National Center for Biotechnology Informationの
インターネット上のウェブサイトにおいて利用可能であ
る。
は、Tatiana A. Tatusova らによって開発されたBLAST
2 Sequencesソフトウェア(FEMS Microbiol Lett., 17
4:247-250,1999)を用いて決定した値を用いる。このソ
フトウェアは米国National Center for Biotechnology
Informationのインターネット上のウェブサイトにおい
て利用可能であり、入手も可能である。用いるプログラ
ムおよびパラメーターは以下のとおりである。アミノ酸
配列の場合、blastpプログラムを用いパラメーターとし
ては、Open gap: 11 and extension gap:1 penalties,
gap x_dropoff: 50,expect: 10, word size: 3, Filte
r: ON を用いる。塩基配列の場合、blastnプログラムを
用いパラメーターとしては、Reward for a match: 1, P
enalty for amismatch: -2, Strand option: Both stra
nds, Open gap: 5 and extension gap: 2 penalties,
gap x_dropoff: 50, expect: 10, word size: 11, Fil
ter:ON を用いる。いずれのパラメーターも、ウェブサ
イト上でデフォルト値として用いられているものであ
る。
配列同一性を示す配列が見つからない場合には、更に高
感度なFASTAソフトウェア(W.R. Pearson and D.J. Lipm
an,Proc. Natl. Acad. Sci., 85:2444-2448, 1988)を用
いて配列同一性を示す配列をデータベースから検索する
こともできる。FASTAソフトウェアは例えば、ゲノムネ
ットのウェブサイトで利用できる。この場合も、パラメ
ーターはデフォルト値を用いる。たとえば、塩基配列に
ついての検索を行う場合は、データベースにnr-ntを用
い、ktup値は6を用いる。ただし、いずれの場合も、全
体の30%以上、50%以上、または70%以上のオーバーラッ
プを示さない場合は、機能的に相関しているとは必ずし
も推定されないため、2つの配列間の配列同一性を示す
値としては用いない。
ス・ソーヤやアスペルギルス・オリゼなどの黄麹菌、そ
の他の糸状菌、またはその他の真菌類から得ることが出
来る。さらに具体的には、例えば、アスペルギルス・オ
リゼRIB40株が挙げられる。これらの菌体を、マンナナ
ーゼを生産する条件の培地で培養したものから、常法に
より全RNAを回収する。培地としては、例えば、ふすま
培地(2.78gの小麦ふすまに2.22gの脱イオン水を加え、
121℃・50分オートクレーブしたもの)を用いることが
できる。上記培地で適当な時間、例えば30時間培養した
のち、液体窒素を満たした乳鉢中に適量(例えば1g)
を移し、乳棒を用いて粉砕し、Cathalaらの方法(DNA,
2(4):329-335, 1983)で全RNAを調製する。
PCRを行う。プライマーとしては、本発明の本発明のマ
ンナナーゼ遺伝子を増幅することのできる組み合わせで
あればどのような組み合わせのものを用いてもよいが、
例えば、配列番号3および配列番号4の配列のオリゴヌ
クレオチドを用いることができる。RT-PCRは、市販のキ
ット、例えばRNA LA-PCR Kit(宝酒造製)を用いて常法
により行うことができる。得られた、本発明のマンナナ
ーゼ遺伝子を含むDNAは、例えば、常法によりプラスミ
ドに組み込むことができる。このようにして得られたDN
Aの塩基配列は、サンガー法により、市販の試薬及びDNA
シークエンサーを用いて決定することができる。このよ
うにして得られる本発明のマンナナーゼ遺伝子を含むDN
A及びそれによりコードされるマンナナーゼの例をそれ
ぞれ配列番号1および配列番号2に例示する。
ののほか、マンナナーゼ活性を有する限り、配列番号2
で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミ
ノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含
む蛋白質をコードしているものであってもよい。このよ
うな遺伝子は、後述するハイブリダイゼーションによる
選択のほか、種々の公知の変異導入方法によって得るこ
ともできる。
に、ハイブリダイゼーションによる選択法を用いて得る
こともできる。遺伝子源としては、例えば、アスペルギ
ルス・ソーヤやアスペルギルス・オリゼなどの黄麹菌が
あげられる。これらの生物から、常法によりRNAまたは
ゲノムDNAを調製し、プラスミドまたはファージに組み
込み、ライブラリーを調製する。続いて、プローブとし
て用いる核酸を検出法に応じた方法で標識する。プロー
ブとして用いる核酸は、十分な特異性を得られる長さで
あればよく、例えば、配列番号1に記載の配列の少なく
とも100塩基以上、望ましくは200塩基以上、最も望まし
くは450塩基以上の部分または全体を含むものが挙げら
れる。次いで、標識したプローブにストリンジェントな
条件でハイブリダイズするクローンを上記ライブラリー
から選択する。ハイブリダイゼーションは、プラスミド
ライブラリーならコロニーハイブリダイゼーションによ
って、ファージライブラリーならプラークハイブリダイ
ゼーションによって行うことができる。ストリンジェン
トな条件とは、特異的なハイブリッドのシグナルが非特
異的なハイブリッドのシグナルと明確に識別される条件
であり、使用するハイブリダイゼーションの系と、プロ
ーブの種類、配列及び長さによって異なる。そのような
条件は、ハイブリダイゼーションの温度を変えること、
洗浄の温度及び塩濃度を変えることにより決定可能であ
る。例えば、非特異的なハイブリッドのシグナルまで強
く検出されてしまう場合には、ハイブリダイゼーション
及び洗浄の温度を上げるとともに、必要に応じて洗浄の
塩濃度を下げることにより特異性を上げることができ
る。また、特異的なハイブリッドのシグナルも検出され
ない場合には、ハイブリダイゼーション及び洗浄の温度
を下げるとともに、必要に応じて洗浄の塩濃度を上げる
ことにより、ハイブリッドを安定化させることが出来
る。このような最適化は、本技術分野の研究者が容易に
行いうるものである。
は、例えば、ハイブリダイゼーションは、5 ×SSC 、1.
0 %(W/V)核酸ハイブリダイゼーション用ブロッキング試
薬(ベーリンガ・マンハイム社製)、0.1 %(W/V) N-ラ
ウロイルサルコシン、0.02 %(W/V)SDSを用い一晩(8〜
16時間程度)で行ない、洗いは、0.5×SSC、0.1%(W/
V)SDS、好ましくは0.1×SSC 、0.1%(W/V)SDSを用い、15
分間、2 回行なう。ハイブリダイゼーションと洗いの温
度は、52℃以上、好ましくは57℃以上、更に好ましくは
62℃以上、最も好ましくは67℃以上である。
以上、望ましくは80%以上、さらに望ましくは85%以
上、最も望ましくは90%以上の配列同一性を示すような
塩基配列は、本発明のマンナナーゼと実質的に同等の活
性を有する蛋白質をコードしていると考えられる。
するアミノ酸配列の配列同一性を示すようなDNAは、上
記の様にハイブリダイゼーションを指標に得ることもで
きるが、ゲノム塩基配列解析等によって得られた機能未
知のDNA群や公共データベースのなかから例えば前述のB
LASTソフトウェアを用いた検索により発見することも容
易である。このような検索は、本技術分野の研究者が通
常用いている方法である。
ゼ活性を有する蛋白質をコードしていることは、後述の
ように、適当なベクターに組み込み、適当な宿主を形質
転換し、形質転換体を培養してマンナナーゼ活性を測定
することにより確認することができる。
子を適当なベクター上に連結することにより得ることが
できる。ベクターとしては、形質転換する宿主中でマン
ナナーゼを生産させうるものであればどのようなもので
も用いることが出来る。例えば、プラスミド、コスミ
ド、ファージ、ウイルス、染色体組み込み型、人工染色
体などのベクターを用いることができる。
選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含ま
れていてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、UR
A3、niaDのような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子
や、アンピシリンやカナマイシン、オリゴマイシンなど
の薬剤に対する抵抗遺伝子などが上げられる。また、組
換えベクターは、宿主細胞中で本発明の遺伝子を発現す
ることの出来るプロモーター又はその他の制御配列(例
えばエンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデ
ニル化配列等)を含むことが望ましい。プロモーターと
しては、具体的には、例えば、GAL1プロモーター、amyB
プロモーター、lacプロモーター等が挙げられる。ま
た、精製のためのタグをつける事もできる。例えば、マ
ンナナーゼ遺伝子の下流に適宜リンカー配列を接続し、
ヒスチジンをコードする塩基配列を6コドン以上接続す
ることにより、ニッケルカラムを用いた精製を可能にす
ることができる。
ーで形質転換することにより得られる。宿主としては、
本発明のマンナナーゼを生産することが出来るものであ
れば特に限定されず、例えば、サッカロミセス・セルビ
シエ、チゴサッカロミセス・ルキシー等の酵母、アスペ
ルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・オリゼー、アスペ
ルギルス・ニガー等の糸状菌、エシェリヒア・コリ、バ
チルス・ズブチルス等の細菌であってもよい。形質転換
は、宿主に応じて公知の方法で行うことが出来る。酵母
の場合は、例えば、酢酸リチウムを用いる、Methods Mo
l.Cell. Biol., 5, 255-269(1995)の方法などを用いる
ことができる。糸状菌の場合は、例えば、プロトプラス
ト化した後ポリエチレングリコール及び塩化カルシウム
を用いる、Mol. Gen. Genet., 218, 99-104(1989)の方
法を用いることが出来る。細菌を用いる場合は例えば、
エレクトロポレーションによる、Methods Enzymol., 19
4, 182-187(1990)の方法などを用いることができる。
を培養し、得られる培養物からマンナナーゼ蛋白質を採
取することからなる。培地及び培養方法は、宿主の種類
と組換えベクター中の発現制御配列によって適当なもの
を選ぶ。例えば、宿主がサッカロミセス・セルビシエで
あり、発現制御配列がGAL1プロモーターである場合、例
えば、ラフィノースを炭素源とする液体最少培地で前培
養した菌体を、ガラクトースとラフィノースを炭素源と
する液体最少培地に希釈・接種し、培養することによ
り、本発明のマンナナーゼを生産させることができる。
また、例えば、宿主がアスペルギルス・ソーヤであり、
発現制御配列がamyBプロモーターである場合、例えば、
マルトースを炭素源とする液体最少培地で培養すること
により、本発明のマンナナーゼを生産させることができ
る。
制御配列がlacプロモーターである場合、IPTGを含有す
る液体培地で培養することにより本発明のマンナナーゼ
を生産させることができる。本発明のマンナナーゼが菌
体内または菌体表面に生産された場合は、菌体を培地か
ら分離し、その菌体を適当に処理することにより本発明
のマンナナーゼを得ることができる。例えば、サッカロ
ミセス・セルビシエの菌体表面に生産された場合、菌体
そのものを酵素剤として用いることもできるが、破砕し
た後、Triton X-100, Tween-20, Nonidet P-40等の非イ
オン性の界面活性剤を低濃度で作用させ、遠心分離した
上清に本発明のマンナナーゼを回収することができる。
培養液中に本発明のマンナナーゼが生産された場合は、
遠心分離・ろ過等により菌体を除去することにより本発
明のマンナナーゼを得ることができる。何れの場合も、
硫安分画、各種クロマトグラフィー、アルコール沈殿、
限外ろ過等を用いた常法により、本発明のマンナナーゼ
を更に純度の高いものとして得ることもできる。
で測定できる。 [マンナナーゼ活性測定法] 基質溶液: 2% Azo-carob-galactomannan (Megazyme) in
200 mM 酢酸ナトリウム, pH4.5 反応停止液: 4% 酢酸ナトリウム3水和物, 0.4% 酢酸亜
鉛, 80% エタノールpH5.0に塩酸で調整 基質溶液または基質懸濁液50μlと試料溶液50μlを混合
し、37℃で保温する。反応時間は活性の強度に応じて調
節する。反応停止液250μlを加え、混合した後、室温で
10分間放置する(A)。ブランクでは、基質溶液に反応
停止液を加え、10分間放置してから試料溶液を加える
(B)。10,000rpmで5分間、室温で遠心分離し、上清の
590 nmの吸光度を測定する。(A)の上清の吸光度から
(B)の上清の吸光度を減じたものをΔODとし、この値
の大きさを活性の指標とする。
説明するが、本説明はこれらによって制限されるもので
はない。 1.アスペルギルス・オリゼーのマンナナーゼ遺伝子の
クローニング アスペルギルス・オリゼー RIB40株の分生子約100,000
個を150ml容の三角フラスコに入った5gのふすま培地
(前述)に接種し、30℃で、30時間静置培養した。液体
窒素を注いで冷却してある乳鉢に培養物を入れ、液体窒
素を追加した後、液体窒素で冷却してある乳棒を用いて
念入りに粉砕した。粉砕された菌体から、Cathalaらの
方法(DNA, 2(4):329-335, 1983)で全RNAを抽出した。
更に、DNA-freeキット(Amibion製)を用いてDNase I処
理を行い、混入していたDNAを分解した。得られた全RNA
0.5ugを鋳型として、RNA LA-PCRキット(宝酒造製)を
用いてRT-PCRを行った。
にアダプター配列の付いた、キットに付属のものを用
い、30℃10分、50℃30分、99℃5分、5℃5分で行った。
次いで、上記逆転写反応産物に、キットに添付の説明書
にしたがい、プライマー、耐熱性ポリメラーゼ等を加
え、PCRを行った。プライマーとしては、キットに付属
のアダプタープライマー及び下記のものを用いて、5'側
は開始コドンの直前から、3'側はポリA部分から増幅し
た。 M65FH: 5'-CAC AAT GCG TTC CTT GTC GTC TA-3' (配列番号3) PCR反応は、94℃2分の後、94℃10秒、53℃20秒、72℃1
分45秒を15サイクル行い、72℃5分を行った。なお、サ
ーマルサイクラーとしては、DNA Engine PCT-200(MJ R
esearch製)を用い、温度コントロール法はカリキュレ
ートコントロールによった(以下のPCRでも同様)。
て、上記M65FH及び下記のプライマーを用いて、PCRを行
い、5'側は開始コドンの直前から、3'側は終止コドン直
前から増幅した。耐熱性 DNAポリメラーゼとしては、Tb
r EXT DNA Polymerase(Fynnzymes製)を用い、反応液
の組成はポリメラーゼに添付の説明書に従った。 M65RH: 5'-GTT CTT GTT GAC ATT TTC CAT AT-3' (配列番号4) PCR反応は、94℃2分の後、94℃10秒、53℃20秒、72℃1
分30秒を30サイクル行い、72℃5分を行った。増幅産物
の一部を0.7%アガロースゲルで電気泳動したところ、約
1.4kbのバンドが確認された。
nvitrogen製)を用いて、上記増幅産物をpCR2.1/V5-His
-TOPOベクター上に組み込み、大腸菌TOP10F'株を形質転
換し、形質転換体18クローンを得た。各形質転換体より
プラスミドを抽出し、制限酵素SacI及びXbaI(宝酒造
製)で切断し、0.7%アガロースゲルで電気泳動したとこ
ろ、8クローンがプロモーターに対して正しい向きに断
片が挿入されていた。この8クローンについて塩基配列
を決定した。
Quick Start Kit(ベックマン・コールター製)を用
い、シークエンサーとしてはCEQ 2000XL(ベックマン・
コールター製)を用いて、サンガー法により行った。得
られた8クローンの塩基配列を比較したところ、うち1ク
ローンはPCRによる変異を含まないことが分かった。こ
の、変異を含まないクローンのプラスミド「pM65H」
は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託セ
ンターに寄託番号P−18642として寄託した。ま
た、pC64Hに含まれるクローンの開始コドンからベクタ
ー由来配列直前までの塩基配列を配列番号1に記載す
る。pM65Hは、大腸菌での自律複製領域及びアンピシリ
ン耐性遺伝子のほか、サッカロミセス・セルビシエ内で
の自律複製領域及びURA3遺伝子を持ち、GAL1プロモータ
ーとCYC1ターミネーターの間に、マンナナーゼ遺伝子が
C末にヒスチジンをコードする6コドンを含むベクター
由来の配列との融合遺伝子として挿入された構造を持
つ。従って、サッカロミセス・セルビシエ細胞内でガラ
クトースによりマンナナーゼを誘導生産することが可能
となる。
このDNAは、463アミノ酸からなる蛋白質をコードしてい
ることが分かった。このアミノ酸配列は配列番号2に記
載する。さらに、このアミノ酸配列を公知のアミノ酸配
列データベースに対して配列同一性の高い配列を検索し
た。検索には、NCBI blastp(http://www.ncbi.nlm.ni
h.gov/BLAST/)を用い、データベースとしては、nrを指
定した。その結果、一致する配列は無く、最も高い配列
同一性を示したのは、トリコデルマ・リーゼイのβ−マ
ンナナーゼ(GenBank: L25310をアミノ酸配列に翻訳し
たもの)であり、57%の配列同一性を示す346残基の部
分および、43%の配列同一性を示す32残基の部分を持っ
ていた。また、BLAST 2 Sequencesソフトウェアのblast
pを用いて配列同一性を求めたところ上記と同じ結果が
得られた。
同一性の高い配列を検索した。検索には、NCBI blastn
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)を用い、デー
タベースとしては、nrを指定した。その結果、一致する
配列は無く、最も高い配列同一性を示したのは、上記ト
リコデルマ・リーゼイのβ−マンナナーゼをコードする
遺伝子(GenBank: L25310)であった。しかし、検出さ
れたオーバーラップ領域は、もっとも長いもので79塩基
に過ぎなかった。そこで、FASTAソフトウェア(http://f
asta.genome.ad.jp/)を用いて、データベースnr-ntに対
して検索したところ、米国特許5,795,764号に記載のア
スペルギルス・アキュレアタスのマンナナーゼ遺伝子
と、1041塩基中66%の配列同一性を示した。
シル要求性ura3-52変異を持つINVSc1株をpM65Hで形質転
換し、ウラシルを含まない最少寒天培地上で選択するこ
とにより、形質転換体INVSc1/pM65H株を得た。また、ネ
ガティブコントロールとして、同様にINVSc1をpYES2.1/
V5-His/lacZ(ベクターにlacZ遺伝子が組込まれたプラ
スミド、以後pYES2.1lacZと略す)で形質転換したINVSc
1/pYES2.1lacZ株を得た。
1/pYES2.1lacZ株を培養し、マンナナーゼを得た。ま
ず、それぞれの株のコロニーを2%ラフィノースを含みウ
ラシルを含まない20mlのSC培地(最少培地)に接種し、
30℃で一晩振盪培養した。それぞれの一晩培養液の600n
mにおけるODを測定し、50mlの誘導培地に接種したとき
にODが0.4になる量の培養液を滅菌遠沈管にとり、遠心
分離により上清を除いた。得られた、それぞれの菌体を
2%ガラクトースを含みウラシルを含まない50mlのSC培地
(誘導培地)に懸濁し、30℃で振盪培養した。4時間, 8
時間, 24時間後に10 mlずつサンプリングし、遠心分離
後、菌体を回収した。菌体を1mlの冷水に懸濁し、遠心
分離。上澄を除き、菌体を-80℃で保存した。
懸濁し、微量遠沈管に移し、ガラスビーズを250 μl程
度加えた。マルチビーズショッカーMB-200(安井器械
製)にセットし、80%出力で1 min破砕、1 min放置を15
回繰り返した。破砕後、14000rpmで20 min遠心分離し、
上澄を回収し、-80℃で保存した。 菌体破砕用緩衝液 20 mM Tris-HCl, pH7.5 5 mM MgCl2 50 mM KCl 5% グリセロール 1 mM EDTA 5 mMメルカプトエタノール 1 mM PMSF 1 μg/ml ペプスタチンA 菌体破砕上澄のマンナナーゼ活性を測定した(表1)と
ころ、INVSc1/pM65H株の菌体破砕上澄に、Azo-carob-ga
lactomannanに対する加水分解活性があった。
だ組換えベクターにより形質転換された形質転換体によ
りマンナナーゼを製造することができた。また、配列番
号1記載の塩基配列によりコードされる配列番号2記載の
アミノ酸配列を含む蛋白質がマンナナーゼ活性を有する
ことも明らかになった。
ンナナーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び
形質転換体が提供された。また、本発明によりマンナナ
ーゼの製造方法が提供された。本発明により、上記マン
ナナーゼの蛋白質工学的な改良が行えるようになった。
本発明はまた、食品加工用の酵素生産、醸造食品の生産
に用いる微生物の改良にも用いることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 以下の(a)、(b)又は(c)の蛋白質。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列を含み、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白
質 (c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列と70%以上の
配列同一性を示すアミノ酸配列を含む蛋白質またはその
部分断片であり、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質 - 【請求項2】 以下の(a)、(b)又は(c)の蛋白質をコード
するマンナナーゼ遺伝子。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列を含み、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白
質 (c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列と70%以上の
配列同一性を示すアミノ酸配列を含む蛋白質またはその
部分断片であり、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質 - 【請求項3】 以下の(a)、(b) 、(c)又は(d)のDNAを含
むマンナナーゼ遺伝子。 (a) 配列番号1で表される塩基配列を含むDNA (b) 配列番号1で表される塩基配列またはその相補鎖を
含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質をコードする
DNA (c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする核
酸またはその相補鎖を含む核酸とストリンジェントな条
件下でハイブリダイズし、かつマンナナーゼ活性を有す
る蛋白質をコードするDNA (d) 配列番号1で表される塩基配列のDNAと70%以上の配
列同一性を示し、かつマンナナーゼ活性を有する蛋白質
をコードするDNA - 【請求項4】 請求項2又は3に記載の遺伝子を含有す
る組換えベクター。 - 【請求項5】 請求項4記載の組換えベクターを含む形
質転換体。 - 【請求項6】 請求項5記載の形質転換体を培養し、得
られる培養物からマンナナーゼ蛋白質を採取することを
特徴とするマンナナーゼの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001365829A JP2003164286A (ja) | 2001-11-30 | 2001-11-30 | マンナナーゼおよびマンナナーゼ遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001365829A JP2003164286A (ja) | 2001-11-30 | 2001-11-30 | マンナナーゼおよびマンナナーゼ遺伝子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003164286A true JP2003164286A (ja) | 2003-06-10 |
Family
ID=19175808
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001365829A Pending JP2003164286A (ja) | 2001-11-30 | 2001-11-30 | マンナナーゼおよびマンナナーゼ遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003164286A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010101129A1 (ja) | 2009-03-04 | 2010-09-10 | 財団法人野田産業科学研究所 | マンナン加水分解酵素群又はセルロース加水分解酵素群転写制御因子及び該転写制御因子遺伝子 |
-
2001
- 2001-11-30 JP JP2001365829A patent/JP2003164286A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010101129A1 (ja) | 2009-03-04 | 2010-09-10 | 財団法人野田産業科学研究所 | マンナン加水分解酵素群又はセルロース加水分解酵素群転写制御因子及び該転写制御因子遺伝子 |
US8877915B2 (en) | 2009-03-04 | 2014-11-04 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Transcription regulatory factors for mannanases or cellulases, and genes for the transcription regulatory factor |
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