JP2003160868A - プラズマ成膜装置及びインライン式プラズマ成膜装置 - Google Patents

プラズマ成膜装置及びインライン式プラズマ成膜装置

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JP2003160868A
JP2003160868A JP2001360840A JP2001360840A JP2003160868A JP 2003160868 A JP2003160868 A JP 2003160868A JP 2001360840 A JP2001360840 A JP 2001360840A JP 2001360840 A JP2001360840 A JP 2001360840A JP 2003160868 A JP2003160868 A JP 2003160868A
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Akimitsu Nakagami
明光 中上
Akira Kobayashi
明 小林
Kazuyuki Hayashi
和志 林
Yasushi Goto
裕史 後藤
Toshihiro Kugimiya
敏洋 釘宮
Kiyotaka Ishibashi
清隆 石橋
Yuzo Mori
勇藏 森
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円筒状外周面を有する回転電極を備えてプラ
ズマCVD法により基材上に成膜を行う装置において、
円筒状基材上に高速でかつ効率良く成膜を行うことがで
きるプラズマ成膜装置及びインライン式プラズマ成膜装
置を得ること。 【解決手段】 円筒状外周面を有する回転電極103を
備え、前記回転電極103と基材101との間にプラズ
マを発生させ、該プラズマ中に反応ガスを供給して化学
反応により基材101上に成膜を行うプラズマ成膜装置
において、基材101が円筒状外周面を有する円筒状基
材であり、該円筒状基材101を、回転電極103に対
してこれと互いに軸心線が平行をなし、かつ、所定の間
隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向させて保持すると
ともに、その基材軸心線を中心として回転電極103と
は反対方向に回転させる円筒状基材回転機構を備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒状外周面を有
する回転電極を備え、プラズマCVD法により円筒状基
材上に成膜を行うプラズマ成膜装置及びインライン式プ
ラズマ成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、プラズマCVD法により
基材上に成膜を行うプラズマ成膜装置では、成膜速度の
高速化や、成膜面積の大面積化などを図ることが重要で
ある。そこで、従来では困難とされていた1気圧(0.
10MPa)以上の高い圧力下でプラズマ(グロー放電
プラズマ)を発生させることができ、均一な薄膜を高速
で、かつ大面積で形成できるようにしたプラズマ成膜装
置が提案されている(特開平9−104985号公
報)。この従来のプラズマ成膜装置は、特徴的構成とし
て円筒状外周面を有する回転電極を備え、この回転電極
と基材としての平板状をなす基板との間にプラズマを発
生させ、該プラズマ中に反応ガスを供給して化学反応に
より前記基板上に成膜を行うものである。図6は回転電
極を備えたこの従来のプラズマ成膜装置の構成を模式的
に示す側面図である。
【0003】図6において、反応容器(チャンバ)60
2内には、図における左右方向及び上下方向に移動可能
な基板搬送台604が設けられ、その上に成膜すべき基
板601が載置されている。基板601が載置される基
板搬送台604は、アースに電気的に接続されている。
そして、この基板601と1mm程度のわずかな間隙を
持って対向するように、円筒状外周面を有する円柱状の
ドラム状回転電極603が設けられている。ドラム状回
転電極603の回転軸603aは、その両側に設けられ
た軸受けにより電気的に絶縁された状態で軸支されると
ともに、該回転軸603aの一方側が反応容器602の
外側面に取り付けられた回転電極用モータ(図示せず)
の駆動軸に電気的に絶縁された状態で連結されている。
また、反応容器602の外側には高周波電源605が設
けられており、ドラム状回転電極603の回転軸603
aは、整合器(インピーダンス・マッチングボックス)
606を介して高周波電源605に電気的に接続されて
いる。また、607は反応容器602内に反応ガスなど
を導入するためのガス導入管、608は排気管である。
【0004】このように構成されるプラズマ成膜装置に
おいて、ガス導入管607より反応容器602内に反応
ガス(例えばSiH4 とH2 との混合ガス)及び希釈ガ
ス(例えばHe)を供給するとともに、排気管608を
介して排気し、反応容器602内を所定の雰囲気圧力
(例えば1気圧)に維持しながら、高速回転させている
ドラム状回転電極603に高周波電力を供給してドラム
状回転電極603と基板601との間にプラズマPを発
生させる。そうすると、前記のガスはドラム状回転電極
603の回転によって該ドラム状回転電極603と基板
601間の間隙(ギャップ)に引き込まれてプラズマ領
域Pに導かれ、ここで反応ガスが化学反応を起こすこと
により、基板601上に成膜(例えばアモルファスシリ
コン膜)がなされる。このように雰囲気圧力を高くして
反応種(原子種)の数の多い高密度プラズマとすること
で高速成膜を行うべくドラム状回転電極603と基板6
01間の間隙を狭めても、該ドラム状回転電極603の
回転により生じる流れによってプラズマ領域Pに反応ガ
スを速い速度で十分に供給できるので、高速度の成膜を
行うことができる。また、前記プラズマはドラム状回転
電極603の軸方向に沿って発生するいわゆる筋状のラ
イン状プラズマとなる。その結果、このようなライン状
のプラズマPにより化学反応を起こさせながら、基板6
01が載置された基板搬送台604を図6における左右
方向に移動させることで、基板601における回転電極
対向面全体に高速度の成膜を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
円筒状外周面を有する回転電極を備えたプラズマ成膜装
置では高速でかつ大きな面積で成膜を行うことが可能で
あるが、成膜対象の基材の形状についてみると、成膜が
なされて種々の工業製品に用いられる円筒状基材を対象
とし、この円筒状外周面を有する円筒状基材に高速でか
つ効率良く成膜を行う装置は未だ見当たらない。
【0006】そこで、本発明の目的は、円筒状外周面を
有する回転電極を備えてプラズマCVD法により基材上
に成膜を行う装置において、円筒状基材上に高速でかつ
効率良く成膜を行うことができるようにした、プラズマ
成膜装置及びインライン式プラズマ成膜装置を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、円筒
状外周面を有する回転電極を備え、前記回転電極と基材
との間にプラズマを発生させ、該プラズマ中に反応ガス
を供給して化学反応により前記基材上に成膜を行うプラ
ズマ成膜装置において、前記基材が円筒状外周面を有す
る円筒状基材であり、該円筒状基材を、前記回転電極に
対してこれと互いに軸心線が平行をなし、かつ、所定の
間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向させて保持する
とともに、その基材軸心線を中心として前記回転電極と
は反対方向に回転させる円筒状基材回転機構を備えてい
ることを特徴とするプラズマ成膜装置である。
【0008】請求項2の発明は、前記請求項1記載のプ
ラズマ成膜装置において、前記回転電極に対して前記円
筒状基材回転機構を複数備えていることを特徴とするも
のである。
【0009】請求項3の発明は、成膜処理が施される基
材を外部から取り込む仕込み室と、基材搬送方向に沿っ
て連設され、電極と基材との間にプラズマを発生させ、
該プラズマ中に反応ガスを供給して化学反応により該基
材上に成膜を行う複数の成膜室と、成膜処理された基材
を外部へ取り出す取出し室と、前記複数の成膜室間にわ
たって順次基材を搬送する基材搬送機構とを備え、基材
上に順次積層する成膜を行うインライン式プラズマ成膜
装置において、前記基材が円筒状外周面を有する円筒状
基材であり、前記複数の各成膜室内に、前記電極として
円筒状外周面を有する回転電極と、前記円筒状基材を、
前記回転電極に対してこれと互いに軸心線が平行をな
し、かつ、所定の間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対
向させて保持するとともに、その基材軸心線を中心とし
て前記回転電極とは反対方向に回転させる円筒状基材回
転機構とを備えていることを特徴とするインライン式プ
ラズマ成膜装置である。
【0010】請求項4の発明は、前記請求項3記載のイ
ンライン式プラズマ成膜装置において、前記各成膜室毎
に前記回転電極に対して前記円筒状基材回転機構を複数
備える一方、前記基材搬送機構を該複数の円筒状基材回
転機構と同数備えていることを特徴とするものである。
【0011】請求項5の発明は、前記請求項1又は2記
載のプラズマ成膜装置において、前記円筒状基材を加熱
する円筒状基材加熱手段を備えていることを特徴とする
ものである。請求項6の発明は、前記請求項3又は4記
載のインライン式プラズマ成膜装置において、前記円筒
状基材を加熱する円筒状基材加熱手段を備えていること
を特徴とするものである。
【0012】請求項1のプラズマ成膜装置によれば、円
筒状基材を、回転電極に対してこれと互いに軸心線が平
行をなし、かつ、所定の狭い間隙を隔てて互いに円筒状
外周面を対向させて保持するとともに、その基材軸心線
を中心として回転電極とは反対方向に回転させる円筒状
基材回転機構を備えたものであるから、回転電極と円筒
状基材との前記間隙に該回転電極の軸方向に沿って延び
るライン状のプラズマが発生し、回転電極と円筒状基材
との回転により生じる流れによってプラズマ領域(回転
電極と円筒状基材との間隙)に反応ガスを速い速度で十
分に供給できるとともに、円筒状基材をも回転させるこ
とでライン状のプラズマに円筒状基材の円筒状外周面全
体をさらすことができ、これにより円筒状基材上に高速
でかつ効率良く成膜を行うことができる。
【0013】また、請求項2のプラズマ成膜装置によれ
ば、回転電極に対して前記円筒状基材回転機構を複数備
え、回転電極に対してその周りに複数の円筒状基材を同
一寸法の間隙を隔てて配置し、これら各円筒状基材を回
転電極とは互いに反対方向に回転させるように構成した
ので、前記各円筒状基材回転機構に装着された円筒状基
材毎に同時にプラズマが発生し、同時に複数の円筒状基
材について高速でかつ効率良く成膜を行うことができ
る。
【0014】請求項3のインライン式プラズマ成膜装置
によれば、回転電極及び前記円筒状基材回転機構を有す
る複数の成膜室と、これら連設された複数の成膜室間に
わたって順次円筒状基材を搬送する基材搬送機構とを備
えたものであるから、円筒状基材上に高速でかつ効率良
く、種類が異なる膜を順次積層する成膜を行うことがで
きる。
【0015】請求項4のインライン式プラズマ成膜装置
によれば、連設された各成膜室毎に回転電極に対して前
記円筒状基材回転機構を複数(例えば2組)備えるとと
もに、同時に積層成膜すべき複数(例えば2個)の円筒
状基材を各成膜室間にわたって搬送すべく基材搬送機構
を前記複数の円筒状基材回転機構の数に合わせてこれと
同数備えたものであるから、同時に複数の円筒状基材に
ついて、高速でかつ効率良く、種類が異なる膜を順次積
層する成膜を行うことができる。例えば、各成膜室内に
2組の円筒状基材回転機構を備えたものでは、前記請求
項3の成膜装置に比べて2倍の生産性を得ることができ
る。
【0016】本発明に係るプラズマ成膜装置及びインラ
イン式プラズマ成膜装置で用いられる円筒状基材の材質
としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン等
の金属材料でもよく、また、ポリイミド等の合成樹脂材
料でもよい。
【0017】本発明に係るプラズマ成膜装置及びインラ
イン式プラズマ成膜装置においては、円筒状基材を加熱
する円筒状基材加熱手段を備え、この円筒状基材加熱手
段により、円筒状基材がプラズマCVD法によって成膜
を行うのに適した温度(例えば200〜300℃)にな
るようにすることがよい。なお、円筒状基材が中実体で
なく中空体の場合は、円筒状基材の中空部に抵抗加熱式
ヒーターを設けるなどしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。
【0019】図1は請求項1の発明の一実施形態による
プラズマ成膜装置の構成を模式的に示す側面図である。
本実施形態では、電子写真感光体におけるアモルファス
シリコン膜(光導電層)の成膜を対象としている。
【0020】図1において、102は箱型状をなす反応
容器(チャンバ)である。この反応容器102内に、円
筒状外周面を有する1個のドラム状回転電極103が配
設されている。ドラム状回転電極103の回転軸103
aは、その両側に設けられた軸受けにより電気的に絶縁
された状態で軸支されるとともに、該回転軸103aの
一方側が反応容器102の外側面に取り付けられた回転
電極用モータ(図示せず)の駆動軸に電気的に絶縁され
た状態でカップリングを介して連結されている。アルミ
ニウム製のドラム状回転電極103は、外径が300m
m、軸方向の長さが500mmである。ドラム状回転電
極103の表面は、プラズマの安定化を図るために、溶
射処理により厚さ100μmのアルミナ膜がコーティン
グされている。ドラム状回転電極103の回転数は、最
大3000rpm(50s-1)に設定できるようになっ
ている。
【0021】105は反応容器102の外側に設けられ
た高周波電源であり、ドラム状回転電極103の回転軸
103aは、整合器106を介して高周波電源105に
電気的に接続されている。
【0022】101は円筒状外周面を有する中空の円筒
状基材である。円筒状基材101は、回転軸104aを
有する基材保持具104により、ドラム状回転電極10
3に対してこれと互いに軸心線が平行をなし、かつ、所
定の間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向する状態で
回転可能に保持されている。基材保持具104は軸受け
(図示せず)によって回転自在に支持されている。そし
て、円筒状基材101を保持した基材保持具104をド
ラム状回転電極103とは反対方向に回転させるため
に、この基材保持具104の回転軸104aの一方側が
反応容器102の外側面に取り付けられた円筒状基材回
転用モータ(図示せず)の駆動軸に電気的に絶縁された
状態で連結されている。円筒状基材101を保持する前
記基材保持具104はアースに電気的に接続されてい
る。
【0023】前記基材保持具104と前記円筒状基材回
転用モータは、円筒状基材101を、ドラム状回転電極
103に対してこれと互いに軸心線が平行をなし、か
つ、所定の間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向させ
て保持するとともに、その基材軸心線を中心としてドラ
ム状回転電極103とは反対方向に回転させる円筒状基
材回転機構を構成している。
【0024】本実施形態では、円筒状基材101とし
て、外径:100mm、軸方向の長さ:350mmであ
って、鏡面加工が施されたアルミニウム管(中空体)を
使用した。
【0025】107は反応容器102内に反応ガスなど
を導入するためのガス導入管、108は排気管である。
また、109は、円筒状基材101を加熱する円筒状基
材加熱手段としての抵抗加熱式ヒーターである。抵抗加
熱式ヒーター109は、円筒状基材101に対して、ド
ラム状回転電極103との間隙で発生するプラズマ領域
Pとは反対側の位置に円筒状基材101に近接させて配
設されている。なお、本実施形態では抵抗加熱式ヒータ
を用いたが、これに代えて、円筒状基材加熱手段として
棒状の輻射加熱ランプを用いるようにしてもよい。ま
た、円筒状基材が中実体でなく中空体の場合、該円筒状
基材の内部に抵抗加熱式の棒状ヒーターを配置して該円
筒状基材を加熱するように構成してもよい。
【0026】このように構成されるプラズマ成膜装置に
おいて、電子写真感光体の構成膜のうちで最大の膜厚
(20〜30μm)を持つ光導電層を構成するアモルフ
ァスシリコン膜の成膜を行った。抵抗加熱式ヒーター1
09により円筒状基材101が所定温度まで加熱された
後、ガス導入管107より反応容器102内に、SiH
4 及びH2 からなる反応ガスとHeからなる希釈ガスと
を供給するとともに、排気管108を介して排気し、反
応容器102内を所定の雰囲気圧力に維持しながら、ド
ラム状回転電極103と円筒状基材101(基材保持具
104)間に高周波電圧を印加し、互いに反対方向へ回
転させているドラム状回転電極103と円筒状基材10
1との間にプラズマPを発生させ、反応ガスの化学反応
により円筒状基材101の円筒状外周面全面にわたりア
モルファスシリコン膜の成膜を行った。
【0027】成膜条件は次の通りである。SiH4 のガ
ス分圧:20Torr(2.67kPa)、H2 のガス
分圧:40Torr(5.33kPa)、Heのガス分
圧:140Torr(18.66kPa)とし、反応容
器102内の全圧を200Torr(26.66kP
a)とした。また、ドラム状回転電極103の回転数:
500rpm、円筒状基材101の回転数:50rpm
とし、ドラム状回転電極103に供給する高周波電力
は、周波数150MHz、出力1kWとした。ドラム状
回転電極103と円筒状基材101との間隙寸法は、1
mmに設定した。また、抵抗加熱式ヒーター109は、
円筒状基材101の外周面温度が200℃となるように
設定した。
【0028】その結果、28μm/hの成膜速度にて円
筒状基材101の円筒状外周面全面にわたりアモルファ
スシリコン膜を形成することができた。このように、円
筒状基材101を回転させることにより、ライン状のプ
ラズマに円筒状基材101の円筒状外周面全体をさらす
ことができ、円筒状基材101の外周面全体にわたり高
速でかつ効率良く成膜を行うことができる。
【0029】ところで従来、円筒状をなす電子写真感光
体における厚み20〜30μmのアモルファスシリコン
膜の成膜は、一般に、13.56MHzの高周波電力を
供給する同軸円筒型プラズマCVD装置が用いられてい
る。しかし、この同軸円筒型プラズマCVD装置では、
数μm程度の成膜速度しか得られず10時間近くの成膜
時間がかかる。これに対して、本実施形態では、前記ア
モルファスシリコン膜の成膜を約1時間にで行うことが
でき、生産性を大幅に向上させることができた。また、
同軸円筒型プラズマCVD装置では、プラズマが反応容
器内全体に発生し、円筒状基材上以外での反応ガスの衝
突頻度が高く、そのため気相反応でパーティクルが多発
し、しかも前述のように成膜に長時間を要することから
気相成長した大きな多数のパーティクルが反応容器内全
体にわたって生成しやすい。この大きな多数のパーティ
クルが堆積した状態で成膜がなされると、電子写真感光
体として使用されたときに画像欠陥が発生することにな
る。これに対して、本実施形態では、ドラム状回転電極
103と円筒状基材101との間隙にのみプラズマがラ
イン状に発生するので、該間隙以外の空間におけるパー
ティクルの発生を抑制することができ、パーティクルに
起因する欠陥のない成膜を行うことができる。
【0030】図2は、ロール状の基材保持具502に、
短尺リング形をなす円筒状基材501を多数個装着した
様子を示す斜視図である。このように、図1に示すプラ
ズマ成膜装置において、多数個の短尺リング形円筒状基
材501をロール状基材保持具502の胴部に挿脱可能
に装着して成膜を行うことにより、1つのライン状のプ
ラズマによって同時に多数個の短尺リング形円筒状基材
501に高速でかつ効率良く成膜を行うことができる。
ここで、短尺リング形円筒状基材501としては、自動
車エンジンのピストンヘッドに嵌めた状態で装着して用
いられるピストンリングがある。図1に示すプラズマ成
膜装置では、同時に多数個のピストンリング上に、耐摩
耗膜、あるいは潤滑膜として機能するTiN膜,DLC
膜(ダイヤモングライク・カーボン膜)などを高速でか
つ効率良く成膜を行うことができる。
【0031】図3は請求項2の発明の一実施形態による
プラズマ成膜装置の構成を模式的に示す平面図である。
【0032】同図に示すように、反応容器202内に、
円筒状外周面を有する1個のドラム状回転電極203が
配設されている。ドラム状回転電極203の回転軸20
3aは、その両側に設けられた軸受けにより電気的に絶
縁された状態で軸支されるとともに、該回転軸203a
の一方側が反応容器202の外側面に取り付けられた回
転電極用モータ(図示せず)の駆動軸に電気的に絶縁さ
れた状態でカップリングを介して連結されている。アル
ミニウム製のドラム状回転電極203は、外径が300
mm、軸方向の長さが500mmである。ドラム状回転
電極203の表面は、溶射処理により厚さ100μmの
アルミナ膜がコーティングされている。205は反応容
器202の外側に設けられた高周波電源である。ドラム
状回転電極203の回転軸203aは、整合器206を
介して高周波電源205に電気的に接続されている。
【0033】また、ドラム状回転電極203の軸心線
(回転軸203a)を中心とする円周上における4つの
円周四等分位置には、回転軸204Aaを有する基材保
持具204Aによって円筒状基材201Aを保持し、該
円筒状基材201Aをドラム状回転電極203とは反対
方向に回転させるための円筒状基材回転機構と、回転軸
204Baを有する基材保持具204Bによって円筒状
基材201Bを保持し、これをドラム状回転電極203
とは反対方向に回転させるための円筒状基材回転機構
と、回転軸204Caを有する基材保持具204Cによ
って円筒状基材201Cを保持し、これをドラム状回転
電極203とは反対方向に回転させるための円筒状基材
回転機構と、回転軸204Daを有する基材保持具20
4Dによって円筒状基材201Dを保持し、これをドラ
ム状回転電極203とは反対方向に回転させるための円
筒状基材回転機構とが、それぞれ配設されている。ドラ
ム状回転電極203に対してこれらの円筒状基材201
A〜201Dは、同一寸法の間隙を隔てて保持されてい
る。
【0034】前記の円筒状基材201Aは、基材保持具
204Aにより、ドラム状回転電極203に対してこれ
と互いに軸心線が平行をなし、かつ、所定の間隙を隔て
て互いに円筒状外周面を対向する状態で回転可能に保持
されている。基材保持具204Aは軸受け(図示せず)
によって回転自在に支持されている。そして、円筒状基
材201Aを保持した基材保持具204Aをドラム状回
転電極203とは反対方向に回転させるために、この基
材保持具204Aの回転軸204Aaの一方側が反応容
器202の外側面に取り付けられた円筒状基材回転用モ
ータ(図示せず)の駆動軸に電気的に絶縁された状態で
連結されている。円筒状基材201Aを保持する前記基
材保持具204Aは、アースに電気的に接続されてい
る。
【0035】前記基材保持具204Aと前記円筒状基材
回転用モータは、円筒状基材201Aを、ドラム状回転
電極203に対してこれと互いに軸心線が平行をなし、
かつ、所定の間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向さ
せて保持するとともに、その基材軸心線を中心としてド
ラム状回転電極203とは反対方向に回転させる円筒状
基材回転機構を構成している。他の円筒状基材201
B,201C,201Dに関する各円筒状基材回転機構
についても、同一構成である。
【0036】本実施形態では、円筒状基材201A〜2
01Dとして、外径:100mm、軸方向の長さ:35
0mmであって、鏡面加工が施されたアルミニウム管を
使用した。
【0037】また、209Aは、円筒状基材201Aを
加熱する円筒状基材加熱手段としての抵抗加熱式ヒータ
ーである。抵抗加熱式ヒーター209Aは、円筒状基材
201Aに対して、ドラム状回転電極203との間隙で
発生するプラズマ領域Pとは反対側の位置に円筒状基材
201Aに近接させて配設されている。同様に、209
Bは円筒状基材201B用の抵抗加熱式ヒーター、20
9Cは円筒状基材201C用の抵抗加熱式ヒーター、2
09Dは円筒状基材201D用の抵抗加熱式ヒーターで
ある。また、207はガス導入管、208は排気管であ
る。
【0038】このように構成されるプラズマ成膜装置に
おいて、アモルファスシリコン膜の成膜を行った。抵抗
加熱式ヒーター209A〜209Dにより円筒状基材2
01A〜201Dが所定温度まで加熱された後、ガス導
入管207より反応容器202内に、SiH4 及びH2
からなる反応ガスとHeからなる希釈ガスとを供給する
とともに、排気管208を介して排気し、反応容器20
2内を所定の雰囲気圧力に維持しながら、ドラム状回転
電極203と円筒状基材201A〜201D(基材保持
具204A〜204D)間に高周波電圧を印加し、互い
に反対方向へ回転させているドラム状回転電極203と
円筒状基材201A〜201Dとの間にプラズマPを発
生させ、反応ガスの化学反応により各円筒状基材201
A〜201Dの円筒状外周面全面にわたりアモルファス
シリコン膜の成膜を行った。なお、ドラム状回転電極2
03と各円筒状基材201A〜201Dとの間隙寸法
は、成膜開始に先立って公知の光学式ギャップ測定器に
よって測定し、所定同一寸法になるように調整した。
【0039】成膜条件は次の通りである。SiH4 のガ
ス分圧:20Torr、H2 のガス分圧:40Tor
r、Heのガス分圧:140Torrとし、反応容器2
02内の全圧を200Torrとした。また、ドラム状
回転電極203の回転数:500rpm、円筒状基材2
01A〜201Dの回転数:50rpmとし、ドラム状
回転電極203に供給する高周波電力は、周波数150
MHz、出力4kWとした。ドラム状回転電極203と
各円筒状基材201A〜201Dとの間隙寸法は、1m
mに設定した。また、抵抗加熱式ヒーター209A〜2
09Dは、各円筒状基材201A〜201Dの外周面温
度が200℃となるように設定した。
【0040】その結果、28μm/hの成膜速度にて各
円筒状基材201A〜201Dの円筒状外周面全面にわ
たりアモルファスシリコン膜を形成することができた。
このように、ドラム状回転電極203に対して円筒状基
材回転機構を複数、本実施形態では4組備え、ドラム状
回転電極203に対してその周りに4個の円筒状基材2
01A〜201Dを同一寸法の間隙を隔てて配置し、こ
れら各円筒状基材201A〜201Dを回転電極203
とは互いに反対方向に回転させるように構成したので、
各円筒状基材回転機構に装着された円筒状基材201A
〜201D毎に同時にプラズマが発生し、同時に複数
個、本実施形態では4個の円筒状基材201A〜201
Dについて高速でかつ効率良く成膜を行うことができ
る。
【0041】図4は請求項3の発明の一実施形態による
インライン式プラズマ成膜装置の構成を模式的に示す平
面図である。
【0042】同図に示すように、本実施形態のインライ
ン式プラズマ成膜装置は、成膜処理が施される円筒状基
材301を外部の大気圧側から取り込む仕込み室302
と、仕込み室302からの円筒状基材301上に順次積
層する成膜を行うための第1成膜室303、第2成膜室
304及び第3成膜室305と、積層成膜がなされた円
筒状基材301を外部へ取り出す取出し室とを、基材搬
送方向に沿って連設した構成となされている。314〜
317はこれら各室の各々の境界部分に配設された仕切
弁、313は仕込み室302の入口側に配設された仕切
弁、318は取出し室306の出口側に配設された仕切
弁である。また、312は各室において真空排気するた
めの排気管、311は各成膜室において反応ガスなどを
導入するためのガス導入管である。
【0043】前記各成膜室303〜305内それぞれに
は、円筒状外周面を有する1個のドラム状回転電極30
7と、回転軸308aを有する基材保持具308によ
り、成膜すべき円筒状基材301をドラム状回転電極3
07に対してこれと互いに軸心線が平行をなし、かつ、
所定の間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向する状態
で回転可能に保持し、円筒状基材回転用モータ(図示せ
ず)により、該円筒状基材301をドラム状回転電極3
07とは反対方向に回転させるようにした円筒状基材回
転機構とが配設されている。アルミニウム製のドラム状
回転電極307の回転軸307aは、整合器310を介
して高周波電源309に電気的に接続されている。ま
た、円筒状基材301を保持する前記基材保持具308
は、アースに電気的に接続されている。320は、基材
保持具308に保持された円筒状基材301を所定温度
に加熱するための抵抗加熱式ヒーターである。
【0044】また、本実施形態の成膜装置は、積層成膜
が施される円筒状基材301を、前記仕切弁314〜3
17を通して、仕込み室302、成膜室303〜30
5、取出し室306の順に搬送する1組の基材搬送機構
319(図4において白抜き矢印で示す)を備えてい
る。
【0045】このように構成されるインライン式プラズ
マ成膜装置において、第1層から第3層までの積層成膜
を行った。まず、仕込み室302において円筒状基材3
01を基材搬送機構319に搭載し、仕込み室302を
真空排気する。次に、第1成膜室303を真空排気した
後に仕切弁314を開き、基材搬送機構319により円
筒状基材301を第1成膜室303に搬入し、仕切弁3
14を閉じる。この第1成膜室303内に反応ガスを導
入し、ドラム状回転電極307と円筒状基材301間に
高周波電圧を印加し、互いに反対方向へ回転させている
ドラム状回転電極307と円筒状基材301との間にプ
ラズマを発生させ、反応ガスの化学反応により円筒状基
材301の円筒状外周面全面にわたり第1層の成膜(例
えば電子写真感光体における電荷注入阻止層)を行う。
なお、この間、次の円筒状基材301を仕込み室302
に入れ、前記と同様の作業を連続的に行う。
【0046】さて次に、第1成膜室303と第2成膜室
304をそれぞれ真空排気する。そして、仕切弁315
を開き、基材搬送機構319により円筒状基材301を
第2成膜室304に搬入し、仕切弁315を閉じる。こ
の第2成膜室304内に反応ガスを導入し、互いに反対
方向へ回転させているドラム状回転電極307と円筒状
基材301との間にプラズマを発生させ、円筒状基材3
01の前記第1層上に第2層の成膜(例えば電子写真感
光体における光導電層)を行う。しかる後、第2成膜室
304と第3成膜室305をそれぞれ真空排気する。次
に、仕切弁316を開き、基材搬送機構319により円
筒状基材301を第3成膜室305に搬入し、仕切弁3
16を閉じる。この第3成膜室305内に反応ガスを導
入し、互いに反対方向へ回転させているドラム状回転電
極307と円筒状基材301との間にプラズマを発生さ
せ、円筒状基材301の前記第2層上に第3層の成膜
(例えば電子写真感光体における表面保護層)を行う。
しかる後、第3成膜室305と取出し室306をそれぞ
れ真空排気する。そして、仕切弁317を開き、基材搬
送機構319により円筒状基材301を取出し室306
に搬入し、仕切弁317を閉じ、取出し室306が大気
圧になった後、第1層から第3層までの積層成膜がなさ
れた円筒状基材301を取出し室306から取り出す。
【0047】このように、回転電極307及び円筒状基
材回転機構を有し、基材搬送路に沿って連設された複数
の成膜室303〜305と、これら複数の成膜室303
〜305間にわたって順次円筒状基材を搬送する基材搬
送機構319とを備え、前記の円筒状基材回転機構は、
円筒状基材301を、回転電極307に対してこれと互
いに軸心線が平行をなし、かつ、所定の間隙を隔てて互
いに円筒状外周面を対向させて保持するとともに、その
基材軸心線を中心として回転電極307とは反対方向に
回転させるように構成されているので、円筒状基材30
1上に高速でかつ効率良く、種類が異なる膜を順次積層
する成膜を行うことができる。
【0048】図5は請求項4の発明の一実施形態による
インライン式プラズマ成膜装置の構成を模式的に示す平
面図である。
【0049】同図に示すように、本実施形態のインライ
ン式プラズマ成膜装置は、成膜処理が施される円筒状基
材401A,401Bを外部の大気圧側から取り込む仕
込み室402と、同時に2個の円筒状基材401A,4
01Bについて積層成膜を行うための第1成膜室40
3、第2成膜室404及び第3成膜室405と、積層成
膜がなされた円筒状基材401A,401Bを外部へ取
り出す取出し室とを、基材搬送方向に沿って連設した構
成となされている。414〜417はこれら各室の各々
の境界部分に配設された仕切弁、413は仕込み室40
2の入口側に配設された仕切弁、418は取出し室40
6の出口側に配設された仕切弁である。また、412は
各室において真空排気するための排気管、411は各成
膜室において反応ガスなどを導入するためのガス導入管
である。
【0050】前記各成膜室403〜405内それぞれに
は、円筒状外周面を有する1個のドラム状回転電極40
7が配設されており、さらに、このドラム状回転電極4
07の軸心線(回転軸407a)を中心とする円周上に
おける2つの各円周二等分位置には、回転軸408Aa
を有する基材保持具408Aにより、成膜すべき円筒状
基材401Aをドラム状回転電極407に対してこれと
互いに軸心線が平行をなし、かつ、所定の間隙を隔てて
互いに円筒状外周面を対向する状態で回転可能に保持
し、円筒状基材回転用モータ(図示せず)により、該円
筒状基材401Aをドラム状回転電極407とは反対方
向に回転させるようにした円筒状基材回転機構と、同じ
く、回転軸408Baを有する基材保持具408Bによ
り、成膜すべき円筒状基材401Bを保持し、該円筒状
基材401Bをドラム状回転電極407とは反対方向に
回転させるための円筒状基材回転機構とが、それぞれ配
設されている。ドラム状回転電極407に対してこれら
の円筒状基材401A,401Bは、同一寸法の間隙を
隔てて保持されるようになされている。アルミニウム製
のドラム状回転電極407の回転軸407aは、整合器
410を介して高周波電源409に電気的に接続されて
いる。また、各基材保持具408A,408Bは、アー
スに電気的に接続されている。なお、各円筒状基材40
1A,401Bを所定温度に加熱するための抵抗加熱式
ヒーターについては図示省略してある。
【0051】また、本実施形態の成膜装置は、同時に積
層成膜すべき円筒状基材401A,401Bのうちの一
方の円筒状基材401Aを、前記仕切弁414〜417
を通して、仕込み室402、成膜室403〜405、取
出し室406の順に搬送する第1の基材搬送機構419
A(図5において白抜き矢印で示す)を備えるととも
に、他方の円筒状基材401Bを、前記仕切弁414〜
417を通して、仕込み室402、成膜室403〜40
5、取出し室406の順に搬送する第2の基材搬送機構
419B(図5において白抜き矢印で示す)を備えてい
る。
【0052】このように構成されるインライン式プラズ
マ成膜装置において、同時に2個の円筒状基材401
A,401Bについて第1層から第3層までの積層成膜
を行った。まず、仕込み室402において一方の円筒状
基材401Aを第1の基材搬送機構419Aに搭載し、
他方の円筒状基材401Bを第2の基材搬送機構419
Bに搭載し、仕込み室402を真空排気する。次に、第
1成膜室403を真空排気した後に仕切弁414を開
き、各基材搬送機構419A,419Bにより円筒状基
材401A,401Bを第1成膜室403にそれぞれ搬
入し、仕切弁414を閉じる。この第1成膜室403内
に反応ガスを導入し、ドラム状回転電極407と円筒状
基材401A,401B間に高周波電圧を印加し、互い
に反対方向へ回転させているドラム状回転電極407と
円筒状基材401A,401Bとの間にプラズマをそれ
ぞれ発生させ、反応ガスの化学反応により各円筒状基材
401A,401Bの円筒状外周面全面にわたり第1層
の成膜(例えば電子写真感光体における電荷注入阻止
層)を行う。なお、この間、次の円筒状基材401A,
401Bを仕込み室402に入れ、前記と同様の作業を
連続的に行う。
【0053】次に、第1成膜室403と第2成膜室40
4をそれぞれ真空排気する。そして、仕切弁415を開
き、各基材搬送機構419A,419Bにより円筒状基
材401A,401Bを第2成膜室404にそれぞれ搬
入し、仕切弁415を閉じる。この第2成膜室404内
に反応ガスを導入し、互いに反対方向へ回転させている
ドラム状回転電極407と円筒状基材401A,401
Bとの間にプラズマをそれぞれ発生させ、各円筒状基材
401A,401Bの前記第1層上に第2層の成膜(例
えば電子写真感光体における光導電層)を行う。しかる
後、第2成膜室404と第3成膜室405をそれぞれ真
空排気する。次に、仕切弁416を開き、基材搬送機構
419A,419Bにより円筒状基材401A,401
Bを第3成膜室405にそれぞれ搬入し、仕切弁416
を閉じる。この第3成膜室405内に反応ガスを導入
し、ドラム状回転電極407と円筒状基材401A,4
01Bとの間にプラズマをそれぞれ発生させ、各円筒状
基材401A,401Bの前記第2層上に第3層の成膜
(例えば電子写真感光体における表面保護層)を行う。
しかる後、第3成膜室405と取出し室406をそれぞ
れ真空排気する。そして、仕切弁417を開き、各基材
搬送機構419A,419Bにより円筒状基材401
A,401Bを取出し室406にそれぞれ搬入し、仕切
弁417を閉じ、取出し室406が大気圧になった後、
第1層から第3層までの積層成膜がなされた円筒状基材
401A,401Bを取出し室406から取り出す。
【0054】このように、連設された各成膜室403〜
405毎に回転電極407に対して円筒状基材回転機構
を複数、本実施形態では2組備え、基材搬送機構419
A,419Bを該複数の円筒状基材回転機構と同数備え
ているので、同時に複数の円筒状基材401A,401
Bについて積層成膜を行うことができる。よって、前記
図4に示すインライン式プラズマ成膜装置に比べて2倍
の生産性を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1の発明によ
るプラズマ成膜装置によれば、円筒状基材を、回転電極
に対してこれと互いに軸心線が平行をなし、かつ、所定
の狭い間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向させて保
持するとともに、その基材軸心線を中心として回転電極
とは反対方向に回転させる円筒状基材回転機構を備えた
ものであるから、回転電極と円筒状基材との前記間隙に
該回転電極の軸方向に沿って延びるライン状のプラズマ
が発生し、回転電極と円筒状基材との回転により生じる
流れによってプラズマ領域に反応ガスを速い速度で十分
に供給できるとともに、円筒状基材をも回転させること
でライン状のプラズマに円筒状基材の円筒状外周面全体
をさらすことができ、これにより円筒状基材上に高速で
かつ効率良く成膜を行うことができる。
【0056】請求項2の発明によるプラズマ成膜装置に
よれば、回転電極に対して前記円筒状基材回転機構を複
数備え、回転電極に対してその周りに複数の円筒状基材
を同一寸法の間隙を隔てて配置し、これら各円筒状基材
を回転電極とは互いに反対方向に回転させるように構成
したので、前記各円筒状基材回転機構に装着された円筒
状基材毎に同時にプラズマが発生し、同時に複数の円筒
状基材について高速でかつ効率良く成膜を行うことがで
きる。
【0057】請求項3の発明によるインライン式プラズ
マ成膜装置によれば、回転電極及び前記円筒状基材回転
機構を有する複数の成膜室と、これら連設された複数の
成膜室間にわたって順次円筒状基材を搬送する基材搬送
機構とを備えたものであるから、円筒状基材上に高速で
かつ効率良く、種類が異なる膜を順次積層する成膜を行
うことができる。
【0058】請求項4の発明によるインライン式プラズ
マ成膜装置によれば、連設された各成膜室毎に回転電極
に対して前記円筒状基材回転機構を複数備えるととも
に、同時に積層成膜すべき複数の円筒状基材を各成膜室
間にわたって搬送すべく基材搬送機構を前記複数の円筒
状基材回転機構の数に合わせてこれと同数備えたもので
あるから、同時に複数の円筒状基材について、高速でか
つ効率良く、種類が異なる膜を順次積層する成膜を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の一実施形態によるプラズマ成
膜装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図2】ロール状の基材保持具に短尺リング形をなす円
筒状基材を多数個装着した様子を示す斜視図である。
【図3】請求項2の発明の一実施形態によるプラズマ成
膜装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】請求項3の発明の一実施形態によるインライン
式プラズマ成膜装置の構成を模式的に示す平面図であ
る。
【図5】請求項4の発明の一実施形態によるインライン
式プラズマ成膜装置の構成を模式的に示す平面図であ
る。
【図6】回転電極を備えた従来のプラズマ成膜装置の構
成を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
101,201A〜201D…円筒状基材 102,2
02…反応容器 103,203…ドラム状回転電極
103a,203a…回転軸 104,204A〜20
4D…基材保持具 104a,204Aa〜204Da
…回転軸 105,205…高周波電源 106,20
6…整合器 107,207…ガス導入管 108,2
08…排気管 109,209A〜209D…抵抗加熱
式ヒーター 301,401A,401B…円筒状基材
302,402…仕込み室 303,403…第1成
膜室 304,404…第2成膜室 305,405…
第3成膜室 306,406…取出し室 307,40
7…ドラム状回転電極 307a,407a…回転軸
308,408A,408B…基材保持具 308a,
408Aa,408Ba…回転軸 309,409…高
周波電源 310,410…整合器 311,411…
ガス導入管 312,412…排気管 313〜31
8,413〜418…仕切弁 319,419A,41
9B…基材搬送機構 320…抵抗加熱式ヒーター 5
01…短尺リング形円筒状基材 502…ロール状基材
保持具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 明 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 林 和志 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 後藤 裕史 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 釘宮 敏洋 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 石橋 清隆 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 森 勇藏 大阪府交野市私市8丁目16番19号 Fターム(参考) 4K030 CA02 CA14 FA03 GA06 GA12 JA03 KA16 KA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状外周面を有する回転電極を備え、
    前記回転電極と基材との間にプラズマを発生させ、該プ
    ラズマ中に反応ガスを供給して化学反応により前記基材
    上に成膜を行うプラズマ成膜装置において、 前記基材が円筒状外周面を有する円筒状基材であり、該
    円筒状基材を、前記回転電極に対してこれと互いに軸心
    線が平行をなし、かつ、所定の間隙を隔てて互いに円筒
    状外周面を対向させて保持するとともに、その基材軸心
    線を中心として前記回転電極とは反対方向に回転させる
    円筒状基材回転機構を備えていることを特徴とするプラ
    ズマ成膜装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のプラズマ成膜装置におい
    て、前記回転電極に対して前記円筒状基材回転機構を複
    数備えていることを特徴とするプラズマ成膜装置。
  3. 【請求項3】 成膜処理が施される基材を外部から取り
    込む仕込み室と、基材搬送方向に沿って連設され、電極
    と基材との間にプラズマを発生させ、該プラズマ中に反
    応ガスを供給して化学反応により該基材上に成膜を行う
    複数の成膜室と、成膜処理された基材を外部へ取り出す
    取出し室と、前記複数の成膜室間にわたって順次基材を
    搬送する基材搬送機構とを備え、基材上に順次積層する
    成膜を行うインライン式プラズマ成膜装置において、 前記基材が円筒状外周面を有する円筒状基材であり、前
    記複数の各成膜室内に、前記電極として円筒状外周面を
    有する回転電極と、前記円筒状基材を、前記回転電極に
    対してこれと互いに軸心線が平行をなし、かつ、所定の
    間隙を隔てて互いに円筒状外周面を対向させて保持する
    とともに、その基材軸心線を中心として前記回転電極と
    は反対方向に回転させる円筒状基材回転機構とを備えて
    いることを特徴とするインライン式プラズマ成膜装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のインライン式プラズマ成
    膜装置において、前記各成膜室毎に前記回転電極に対し
    て前記円筒状基材回転機構を複数備える一方、前記基材
    搬送機構を該複数の円筒状基材回転機構と同数備えてい
    ることを特徴とするインライン式プラズマ成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記円筒状基材を加熱する円筒状基材加
    熱手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記
    載のプラズマ成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記円筒状基材を加熱する円筒状基材加
    熱手段を備えていることを特徴とする請求項3又は4記
    載のインライン式プラズマ成膜装置。
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