JP2003157854A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP2003157854A JP2002233287A JP2002233287A JP2003157854A JP 2003157854 A JP2003157854 A JP 2003157854A JP 2002233287 A JP2002233287 A JP 2002233287A JP 2002233287 A JP2002233287 A JP 2002233287A JP 2003157854 A JP2003157854 A JP 2003157854A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高エネルギー密度を有するとともに安全性に
優れた非水解電解液二次電池を提供すること。 【解決手段】 リチウム化合物を含む活物質と正極集電
体からなる正極と、この正極に対向して設けられた負極
活物質と負極集電体からなる負極を有する非水電解液二
次電池用の構成材料であって、前記の正極集電体及び負
極集電体の少なくとも一方が長方形状のシート片の集合
体からなり、かつ前記の非水電解液二次電池用の構成材
料が下記式を充足することを特徴とする、非水電解液二
次電池用の構成材料。S/χ ≦ α×d〔ここで、d
は対向する正極集電体と負極集電体との距離(単位:c
m)を示す。Sは前記正極集電体と負極集電体における
一つの長方形状のシート片の対向面積の内最大のもの
(単位:cm)を示す。χは前記正極集電体または負
極集電体における一つの長方形状のシート片の縦横比を
示す。αは係数であって900〜720の数を示す〕お
よび上記の非水電解液二次電池用の構成材料と非水電解
質液とを具備してなることを特徴とする、非水電解液二
次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池に関し、
特に活物質としてリチウム含有化合物を含む正極を備え
た非水電解液二次電池用構成材料およびこの構成材料を
具備してなる非水電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、非水電解液二次電池が注目されて
いる。これは、比較的安全な負極材料の開発の成功と非
水電解液の分解電圧を高めることにより高電圧の電池を
実現したことが大きな理由であろうと考えられる。この
ような非水電解液二次電池の中でも、リチウムイオンを
用いた二次電池は、放電電位が特に高いため、高エネル
ギー密度を有する電池を実現できるものとして期待され
ている。また、特に最近、電気自動車に代表される大形
電池の実用化への期待が高まりつつある。こうした高エ
ネルギーを有する電池であっても安全性を確保するさら
なる技術向上が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】高容量または高出力電
池を実現するためには、内部短絡時の安全性の確保が重
要であるが、従来の様々な実験結果からの考察によりこ
の内部短絡時の発火に至る機構は次のように考えられ
る。
【0004】まず充電状態で、正極と負極の間に4V以
上の電圧Vがかかっており、正極と負極の間には充電容
量分のエネルギーが貯えられている。しかしながら、貯
えられるエネルギーは、詳しくはさらに次に示すものを
考慮しなければならない。正極集電体と負極集電体は大
面積Sで短い距離dで対向しており、その間には高誘電
率εの物質(活物質および電解液がしみ込んだセパレー
ター)が挿入されているため、表裏の両面を考慮して容
量C(=ε×2×S/d)のコンデンサーとしてのエネ
ルギーE(=(1/2)×C×V)が含まれているこ
とになる。この状態で内部短絡が生じたとすると、活物
質のエネルギー放出の前に、集電体内に蓄積された移動
度の高い電子がまず先に流れ出しコンデンサーとしての
エネルギーを極めて短時間に放出することになる。この
エネルギー密度はその後に続く活物質の放電に伴うエネ
ルギー密度よりも通常は高いと考えられる。そこで本発
明はこの初期の放出エネルギーをある一定値以下に制限
することによって大容量または高出力の非水電解液二次
電池の安全性を確保するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するものである。
【0006】したがって、本発明による非水電解液二次
電池用の構成材料は、リチウム化合物を含む活物質と正
極集電体からなる正極と、この正極に対向して設けられ
た負極活物質と負極集電体からなる負極を有する非水電
解液二次電池用の構成材料であって、前記の正極集電体
および負極集電体の少なくとも一方が長方形状のシート
片の集合体からなり、かつ前記の非水電解液二次電池用
の構成材料が下記式を充足すること、を特徴とするもの
である。
【0007】S/χ ≦ α×d 〔ここで、dは対向する正極集電体と負極集電体との距
離(単位:cm)を示す。Sは前記正極集電体と負極集
電体における一つの長方形状のシート片の対向面積の内
最大のもの(単位:cm)を示す。χは前記正極集電
体または負極集電体における一つの長方形状のシート片
の縦横比を示す。αは係数であって900〜720を示
す〕
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る非水電解液二
次電池用構成材料および非水電解液二次電池を、図2に
示す一実施態様(円筒型非水電解液二次電池)に基づい
て説明する。
【0009】図2に示す円筒型非水電解液二次電池にお
いては、例えば、ステンレスからなる有底円筒状の容器
1の底部に絶縁体2が配置されている。電極群3は、前
記容器1内に収納されている。
【0010】前記電極群3は、正極4、セパレータ6お
よび負極5をこの順序で積層した帯状物を前記負極5が
外側に位置するように渦巻き状に巻回した構造になって
いる。前記セパレータ6は、非水電解液を含浸可能であ
ってリチウムイオンを透過可能な材料、例えば合成樹脂
不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン
多孔質フィルムから形成されている。
【0011】前記容器1内には、非水電解液が収容され
ている。中央部が開口された絶縁紙7は、前記容器1内
の前記電極群3の上方に載置されている。絶縁封口板8
は、前記容器1の上部開口部に配置され、かつ上部開口
部付近を内側にかしめ加工することによって前記封口板
8は前記容器1に液密に固定されている。正極端子9
は、前記絶縁封口板8の中央に嵌合されている。正極リ
ード10の一端は、前記正極4に、他端は前記正極端子
9にそれぞれ接続されている。前記負極5は、図示しな
い負極リードを介して負極端子である前記容器1に接続
されている。
【0012】次に、前記正極4、前記負極5および前記
非水電解液の構成についてさらに具体的に説明する。
【0013】(1)正極4の構成 正極4は、リチウム化合物を含む活物質と正極集電体か
らなる。ここで、「からなる」とは、上記の活物質と正
極集電体のみからなるものの外に、上記の活物質および
正極集電体以外の第三成分または構成を含んでなるもの
をも意味する。そのような第三成分または構成として
は、例えば結着剤および導電剤等を挙げることができ
る。
【0014】本発明におけるリチウム化合物を含む活物
質としては、例えばリチウム含有コバルト酸化物(Li
CoO)やリチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO
)、リチウム含有マンガン酸化物(LiMn
またはそれら活物質の結晶内に他の元素(好ましくはマ
グネシウム、アルミニウム、他の3dあるいは4d遷移
元素及びフッ素等)を添加または部分置換したもの等を
用いることができる。集電体としては、例えばアルミニ
ウム箔、ステンレス箔、チタン箔等が好ましく用いられ
る。
【0015】正極4は、前記の活物質を、アセチレンブ
ラック等の導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、
この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすること
によって作製することができる。なお、この薄板状の電
極を電極シートと言うことがある。
【0016】結着剤としては、特に限定されないが、例
えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン‐プロピレン‐
ジエン共重合体(EPDM)、スチレン‐ブタジエンゴ
ム(SBR)等を用いることができる。また、導電剤と
しては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を
好ましく用いることができる。
【0017】本発明においては、正極集電体および負極
集電体の少なくとも一方が長方形状のシート片の集合体
からなっている。代表的な例として、この電極シートを
例えば図3、図4または図5に示すように分割した構造
(即ち、長方形状のシート片の集合体)とすることがで
きる。正極集電体および負極集電体のどちらか一方のみ
を分割する理由は、片方のシート間の隙間に他方のシー
トが対向しても何ら問題がなく、また回路上どちらか一
方の電極を分割すれば十分であるからである。
【0018】図3では、シートの長手方向に平行にカッ
トを入れ複数の短冊(即ち、長方形状のシート片)に分
割し、各短冊(即ち、長方形状のシート片)同士が接触
しないように配置され、電極の端で全ての短冊(即ち、
長方形状のシート片)に対し電極リードが溶接された態
様が示されている。
【0019】図4では、長手方向と垂直な方向にカット
を入れ複数の短冊状(即ち、長方形状のシート片)に分
割され、電極リードは短冊(即ち、長方形状のシート
片)ごとに1つづつ溶接している態様が示されている。
【0020】また、図5のように正極、セパレータ、負
極、セパレータの組みを多重に重ねた構造としても良
く、また以上の三方式の組み合わせを実施することもで
きる。
【0021】図3の態様は、電極リードの本数を多くと
ることのできない比較的小さな電池(例えば18650
型の円筒型高出力電池等)に向いた構造である。図4ま
たは図5の態様は、比較的直径の大きな大形の電池に向
いた構造である。または正極シートの外見上は一体で従
来のものと変わらないがその集電体自身のみが図3また
は図4と同様なパターン状に区分けされ、領域境界部分
が絶縁性を有している構造(図8)であっても良い。こ
の場合でも集電体内の上記領域境界部分上に塗布膜があ
ってもその電気抵抗は十分高くので、図3および図4の
場合と同様な効果を期待できる。
【0022】そして、本発明による非水電解液二次電池
用の構成材料は、下記式を充足するものである。
【0023】S/χ ≦ α×d 〔ここで、dは対向する正極集電体と負極集電体との距
離(単位:cm)を示す。Sは前記正極集電体と負極集
電体における一つの長方形状のシート片の対向面積の内
最大のもの(単位:cm)を示す。χは前記正極集電
体または負極集電体における一つの長方形状のシート片
の縦横比を示す。αは係数であって900〜720を示
す〕 後述のように、本発明において、「長方形状のシート
片」には、線材などの線状形態のものを含む。対向する
正極集電体と負極集電体との距離dは、好ましくは0.
001〜0.1cm、特に好ましくは0.005〜0.
05cmである。
【0024】正極集電体と負極集電体との対向面積S
は、好ましくは1〜1000cm、特に好ましくは1
0〜100cmである。
【0025】正極集電体または負極集電体における一つ
の長方形状のシート片の縦横比は、好ましくは40:1
〜1000:1、特に好ましくは、100:1〜50
0:1である。
【0026】係数αは、900である。前記の正極集電
体または負極集電体における一つの長方形状のシート片
の縦横比が40:1以下である場合の係数α’は、0.
8α、即ち720、が好ましい。
【0027】また、PTC素子やインダクター(0.1
μH以上)を、必要に応じて併用することは、更なる安
全性向上には良いよいものと考えられる。
【0028】ここで、集電体を、放充電時の電流方向を
長手方向とする縦横比が40:1〜1000:1である
長方形状のシート片の集合体としたのは下記理由によ
る。
【0029】電極シート片はアスペクト比が大きくなる
につれこれ自身、電流が通る時にインダクターとして働
くようになって、急激な電流変動を抑制する働きがあ
る。このことが内部短絡時に短時間に電流が集中するこ
とを防止することとなる。しかしながら、アスペクト比
が過度に小さいと内部短絡時の短絡点から他の電極シー
トまでの電流パスのインダクタンスが不十分となり一時
的な極度の電流集中がもたらす局所的なジュール熱によ
り発火すると考えられる。
【0030】また、S/χをα×d以下に制限する理由
は、内部短絡直後に発生するジュール熱は容量C(=ε
×2×S/d)のコンデンサーとしてのエネルギーE
(=(1/2)×C×V)に比例するが、これを制限
したいからである。
【0031】S/χを0.1cm以上に制限する理由
は、0.1cmで既に効果は十分であり、またこれ以
下にしてもあまり有意な効果は得られないからである。
本発明においては、上記の条件を満足する限りにおい
て、上記の長方形状のシート片がさらに細長くなった線
状物であってもよい。このような線状物の場合にあって
は、本発明に係る構成材料は、導電性材料からなる線状
物を縦糸とし絶縁性材料からなる線状物を横糸とする織
物構造物からなることが好ましい。このような織物構造
によって、縦糸を構成する導電性線状物相互の絶縁性を
確保するとともに、集電体の機械的強度や形態安定性を
すぐれたものにすることができる。なお、本発明におい
ては、上述した長方形状のシート片や線状物の一方の端
部のリード部への電気的接続を、PTC素子ないしPT
C樹脂を介して行うことが好ましい。ここで、PTC素
子/樹脂は、正温度係数(PTC)機能を有する素子/
樹脂として知られているものであり、常温で導電性を示
し温度上昇下において高抵抗を示す材料を意味する。図
9の平面図は、上述したような織物構造を有する本発明
の構成材料(集電体)の例であり、たとえば銅からなる
リード部21と織物構造からなる集電体部22とから構
成されている。この集電体部22の表面には所定の負極
合剤層(図示せず)が形成されていてもよい。図10
は、図9の部分Aの織物構造を示す拡大図であり、導電
性材料からなる線状物23を縦糸とし絶縁性材料からな
る線状物24を横糸とする織物構造物からなることが示
されている。また、線状物24の一方の端部はリード2
1と電気的に接続されている。さらに、図11は、上記
の線状物24の一方の端部とリード21との間の電気的
接続状態を示す断面図であり、導電性材料からなる線状
物23のそれぞれの端部がPTC樹脂層25を介してリ
ード21に接続した状態を示す。
【0032】2)負極5の構成 負極5は、負極活物質と負極集電体からなる。ここで、
「からなる」とは、上記の活物質と負極集電体のみから
なるものの外に、上記の活物質および負極集電体以外の
第三成分または構成を含んでなるものをも意味する。そ
のような第三成分または構成としては、例えば結着剤お
よび導電剤等を挙げることができる。
【0033】この負極5としては、例えばリチウムイオ
ンを吸蔵および脱蔵可能な物質(例えば、炭素質物質や
カルコゲン化合物)を含むもの、軽金属からなるもの等
を用いることができる。中でも、リチウムイオンを吸蔵
および脱蔵する炭素質物質またはカルコゲン化合物を含
む負極は、本発明による二次電池のサイクル寿命などの
電池特性を向上させる上で好ましい。
【0034】前記リチウムイオンを吸蔵および脱蔵する
炭素質物質としては、例えばコークス、炭素繊維、熱分
解気相成長炭素物質、黒鉛、樹脂焼成体、メソフェース
ピッチ系炭素繊維またはメソフエース球状カーボンの焼
成体などを挙げることができる。この中でも、2500
℃以上で黒鉛化したメソフェースピッチ系炭素繊維また
はメゾフエース球状カーボンは電極容量が高くなるため
に特に好ましい。
【0035】前記炭素質物質は、特に示差熱分析で70
0℃以上の温度に発熱ピーク、より好ましくは800℃
以上に発熱ピークを有し、X線回折による黒鉛構造の
(101)回折ピーク(P101)と(100)回折ピ
ーク(P100)の強度比P101 /P100 が0.
7〜2.2の範囲にあることが好ましい。このような炭
素質物質を含む負極はリチウムイオンの急速な吸蔵およ
び脱蔵ができるため、本発明による二次電池の急速充放
電性能を著しく向上させることができる。また、このよ
うな炭素質物質を含む負極は、過熱時における負極への
引火の可能性を著しく低減させることができる点におい
ても優れている。
【0036】前記リチウムイオンを吸蔵および脱蔵する
カルコゲン化合物としては、二硫化チタン(Ti
)、二硫化モリブデン(MoS)、セレン化ニオ
ブ(NbSe)などを挙げることができる。このよう
なカルコゲン化合物を負極に用いると、二次電池の電圧
は低下する場合があるものの負極の容量が有意に増加す
るため、二次電池の容量特性の向上を図ることができ
る。さらに、このような負極はリチウムイオンの拡散速
度が大きいため、二次電池の急速充放電性能が向上す
る。
【0037】また、前記の軽金属の好ましい例として
は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合
金、リチウム金属、リチウム合金などを挙げることがで
きる。
【0038】リチウムイオンを吸蔵および脱蔵する物質
を含む負極は、例えば前述した負極活物質および結着剤
を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布し、
乾燥した後、プレスすることにより作製することができ
る。
【0039】この場合の結着剤としては、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニ
リデン(PVDF)、エチレン‐プロピレン‐ジエン共
重合体(EPDM)、スチレン‐ブタジエンゴム(SB
R)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用い
ることができる。
【0040】また、負極の集電体としては、例えば、銅
箔、ステンレス箔、ニッケル箔等を用いることが好まし
い。
【0041】3)非水電解液の構成 この非水電解液としては、非水溶媒に電解質(リチウム
塩)を溶解させたものが好ましく用いられる。
【0042】この場合の好ましい非水溶媒の具体例とし
ては、(イ)例えば、エチレンカーボネート(EC)、
プロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネー
ト、(ロ)例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、
エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボ
ネート(DEC)などの鎖状カーボネート、(ハ)ジメ
トキシエタン(DME)やジエトキシエタン(DE
E)、エトキシメトキシエタンなどの鎖状エーテル、
(ニ)テトラヒドロフラン(THF)や2‐メチルテト
ラヒドロフラン(2‐MeTHF)などの環状工ーテル
や(ホ)クラウンエーテル、γ‐ブチロラクトン(γ‐
BL)などの脂肪酸エステル、(ヘ)アセトニトリル
(AN)などの窒素化合物、(ト)スルホラン(SL)
やジメチルスルホキシド(DMSO)などの硫黄化合物
を挙げることができる。前記非水溶媒は、単独で使用し
ても、2種以上混合して使用してもよい。この中でも、
EC、PCおよびγ‐BLから選ばれる少なくとも一種
からなるものや、EC、PCおよびγ‐BLから選ばれ
る少なくとも一種とDMC、EMC、DEC、DME、
DEE、THF、2‐MeTHFおよびANから選ばれ
る少なくとも一種とからなる混合溶媒を用いることが特
に望ましい。また、負極に前記のリチウムイオンを吸蔵
および脱蔵する炭素質物質を含むものを用いる場合にお
いては、前記負極を備えた二次電池のサイクル寿命を向
上させる観点から、ECとPCとγ‐BL、ECとPC
とEMC、ECとPCとDEC、ECとPCとDEE、
ECとAN、ECとEMC、PCとDMC、PCとDE
C、ECとDECからなる混合溶媒を用いることが望ま
しい。
【0043】また、電解質の好ましいものとしては、例
えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リ
ン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(L
iBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、
トリプルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO
)、ピストリフルオロメチルスルホニルイミトリチウ
ム(LiN(CFSO)などのリチウム塩を挙
げることができる。これらの中でも、LiPF 、L
iBF 、LiN(CFSO を用いると導電
性や安全性が向上されるために好ましい。
【0044】前記電解質の非水溶媒に対する溶解量は、
0.1モル/1〜3.0モル/1の範囲にすることが好
ましい。
【0045】また、安全性をさらに向上させるために難
燃化剤として、例えばトリメチルフォスフェ−ト(TM
P)、エチルジメチルフォスフェ−ト(EDMP)、ジ
エチルメチルフォスフェ−ト(DEMP)、トリエチル
フォスフェ−ト(TEP)等を添加しても良いし、また
これらの材料の負極上での分解反応抑制剤としてのビニ
リデンカーボネート(VC))等を添加することも好ま
しい。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面等に示す結
果を参照しながら説明する。
【0047】なお、本発明は下記の実施例に何ら限定さ
れるものではなくその要旨を変更しない範囲において適
宜変更して実施することが可能である。なお、以下の実
施例および比較例において電極の長さは全て18650
型電池の大きさに適合するように決められている。
【0048】実施例1 〈正極の作製〉活物質であるLi1.075Ni
0.755Co0.171.90.1粉末を念入り
に粉砕し粒度分布計により適宜測定し、凝集塊が存在し
なくなるまで粉砕を続ける。前記活物質粉末と導電剤で
あるアセチレンブラック粉末およびグラファイト粉末と
結着剤であるPVDFをNメチル2ピロリドン溶媒中に
分散させて正極合剤スラリーとした。このスラリーをア
ルミニウム箔上に目付け量230g/mで塗工し、乾
燥した。これを圧延および図6の様に電極幅を二等分す
るように裁断して、シート状の正極を作製した。
【0049】〈負極の作製〉負極活物質と導電剤である
グラファイト粉末と結着剤のスチレンブタジエンゴムを
適当な比率で混合しこれに水を加え、念入りに上記のグ
ラファイト粉末とスチレンブタジエンゴムを水中に分散
させて負極合剤スラリーとした。これを銅箔上に塗工し
乾燥したのち、圧延および裁断してシート状の負極を作
成した。
【0050】〈非水電解液の調製〉エチレンカーボネー
トおよびエチルメチルカーボネートを体積比1:2で混
合した溶媒に、電解質としてのLiPFをその濃度が
1mol/lになるように溶解させて非水電解液を調製
した。
【0051】〈電池の作製〉得られた正極シート、負極
シートおよびセパレータを十分に乾燥させたのち、セパ
レータを介して図6の様に二分割した正極と負極を向か
い合わせ捲回し、これをステンレス製の電池缶に挿入し
た。この電池缶にアルゴン雰囲気中において電解液を注
入し、その後密封して評価用電池を作成した。また負極
の目付け量(単位面積あたりの塗布量)は正極の目付け
量に対応して変えている。
【0052】実施例2 正極におけるスラリー目付け量を180g/mとし、
正極片一枚の面積を125mとした以外は、実施例1
と同様な構成で電池を組み立てた。
【0053】実施例3 正極電極幅を三等分するように裁断した(図7参照)以
外は実施例1と同様な構成で電池を組み立てた。
【0054】実施例4 正極におけるスラリー目付け量を180g/mとした
以外は、実施例3と同様な構成で電池を組み立てた。
【0055】実施例5 正極におけるスラリー目付け量を100g/mとした
以外は、実施例3と同様な構成で電池を組み立てた。
【0056】実施例6 ポリエチレンまたはポリイミド系の幅2mm程度のテー
プを集電体の片面に等間隔に平行に4分割するように貼
り、その反対側からテープの中心線上あたりを幅100
μ〜1mm程度になるように希塩酸(pH=3〜5)で
エッチングする。これにより正極電極を幅方向に四等分
しておきその上に正極材料を塗布し(図8参照)、正極
の目付けを100g/mとした以外は、実施例3と同
様な構成で電池を組み立てた。
【0057】実施例7 正極におけるスラリー目付け量を80g/mとした以
外は、実施例6と同様な構成で電池を組み立てた。
【0058】実施例8 正極の分割数を20とした以外は、実施例7と同様な構
成で電池を組み立てた。
【0059】実施例9 正極を分割せずに負極を2分割した以外は実施例1と同
様な構成で電池を組み立てた。
【0060】実施例10 図9に示すような構成の集電体を製作し、正極に縦糸が
銅線(φ30μ)、横糸がポリエステル線(φ30μ)
の織物を集電体とした。この集電体により、容量が12
Ahの大型電池を組み立てた。このとき集電体の端に集電
体内の銅線同士をつなぐように銅リボンを接合するが、
図10に示すように、この銅リボンと銅線との間にPTC
(正温度係数)機能を有する樹脂が介在するように接合
し他の点は実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0061】比較例1 正極電極幅を分割せずに従来通りの電極形状のままで作
成した以外は、実施例1と同様な構成で電池を組み立て
た。
【0062】比較例2 正極におけるスラリー目付け量を230g/mとし、
縦の長さが半分の電極群を2重に積層した以外は、実施
例1と同様な構成で電池を組み立てた。
【0063】比較例3 正極おけるスラリー目付け量を180g/mとした以
外は、比較例1と同様な構成で電池を組み立てた。
【0064】比較例4 正極におけるスラリー目付け量を100g/mとした
以外は、実施例1と同様な構成で電池を組み立てた。
【0065】比較例5 縦の長さが3分の1の電極群を三重に積層した以外は、
比較例4と同様な構成で電池を組み立てた。
【0066】参考例 集電体と銅リボンを直接溶接したことを除いては実施例
10と同様の構成で電池を組み立てた。
【0067】得られた実施例1〜10および比較例1〜
5および参考例の電池に、電流値0.5Cで4.4Vに
達した後、電圧を維持するように電流を流し続けて、全
充電時間が5時間になったら電流を停止することからな
る充電操作を実施した。
【0068】得られた各電池の安全性を次のようにして
測定を行った。前記の充電処理を行った電池に側面から
釘を刺し以下のようにして電池の状態を観測した。
【0069】電池を横に寝かした状態で上部に釘を取り
付けたプレス機に固定し正極と負極に電流リード及び電
圧モニター用のリードを取り付け電池の側面中央付近に
は熱電対を取り付ける。これに温度と電圧をモニターし
ながら電池の側面中央付近の熱電対を避けた位置に釘を
下ろし突き刺し貫通させる。釘の移動速度は110mm
/secとし、釘(ステンレス)の直径を実施例1〜9
および比較例1〜5については2.5mmとし、その他
は5mmとした。
【0070】また、同時に同様の条件で作成した電池の
サイクル特性も以下のようにして測定した。
【0071】充電は電流を1C(電池の定格容量/一時
間)で4.2Vになるまで流しその後4.2Vを維持す
るように電圧を制御しながら流し、全充電時間が3時間
になったら充電終了とする。その後30分間の休止の後
放電に入る。放電は電流を1Cで2.7Vになるまで流
し2.7Vに達したら終了とする。その後30分間の休
止の後以後同様にして充電と放電を繰り返しその放電容
量を記録する。
【0072】それらの結果を下記表1に示す。
【0073】
【表1】 表1から明らかなように、本発明の実施例1〜9の電池
は釘刺し試験で全て安全に収束していることが分かる。
また、実施例10の電池の場合の釘刺し試験、サイクル
特性はいずれも良好であった。これに対し、電極の分割
数が不十分であるかまたは集電体の各シート片の縦横比
(アスペクト比)χ(≧1)が不十分な比較例1〜5の
電池はいずれも破裂発火していることが分かる。また、
参考例の電池についても発火が認められた。
【0074】また、ポリマーで集電体を予め接合したも
のの上に正極材料を塗布したものについても安全性およ
びサイクル特性に問題がないことも示された。
【0075】総合判断の結果、実施例のいずれも比較例
に比べはるかに優れていると判断された。(表中、◎:
極めて良好、○:良好、△:ほぼ良好、×:不良、を意
味する。)
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による非水
解電解液二次電池用の構成材料および非水解電解液二次
電池によれば、正極集電体および負極集電体の少なくと
も一方が長方形状のシート片の集合体からなり、かつ前
記の非水電解液二次電池用の構成材料が下記式を充足す
ることにより、内部短絡時に一度に放出するエネルギー
を制限しかつ集電体自身がインダクターとしての機能を
有することにより、急激な電流変化を抑制し、特に新た
な安全素子を用いることなく、高エネルギー密度を有す
る電池の内部短絡時の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】S/χ(cm)とd(cm)に関し、本発明
の請求の範囲を示す図。
【図2】本発明の実施例の非水解電解液二次電池を示す
模式図。
【図3】本発明の実施例の非水解電解液二次電池で用い
られている電極シートの構造(縦分割)を示す模式図。
【図4】本発明の実施例の非水解電解液二次電池で用い
られている電極シートの構造(横分割)を示す模式図。
【図5】本発明の実施例の非水解電解液二次電池で用い
られている電極シートの構造(多層積層構造)を示す模
式図。
【図6】本発明の実施例の非水解電解液二次電池で用い
られている正極(二分割)を示す模式図。
【図7】本発明の実施例の非水解電解液二次電池で用い
られている正極(三分割)を示す模式図。
【図8】本発明の実施例の非水解電解液二次電池で用い
られている正極(四分割)を示す模式図。
【図9】本発明の非水解電解液二次電池で用いられてい
る負極構造を示す一実施態様の模式図。
【図10】図9の部分Aの拡大図。
【図11】本発明の一実施態様に係る非水解電解液二次
電池で用いられている負極集電体と銅リードとの接合構
造を示す断面模式図。
【符号の説明】
1 容器 3 電極群 4 正極 5 負極 6 セパレータ 8 封口板 9 正極端子 10 正極リード 21 リード部 22 集電体部 23 電導性線状物 24 絶縁性線状物 25 PTC樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z (72)発明者 山 田 修 司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5H017 AA03 AS02 CC01 EE04 EE05 HH01 HH03 HH04 HH05 5H022 AA09 CC22 EE04 KK01 KK03 5H029 AJ12 AK03 AL04 AL06 AL11 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 DJ05 DJ07 DJ15 EJ01 HJ02 HJ04 HJ07 HJ12 5H050 AA15 BA16 BA17 CA07 CA08 CA09 CB05 CB07 CB08 CB09 CB12 DA02 DA03 DA06 DA08 DA20 FA05 HA02 HA04 HA07 HA12

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウム化合物を含む活物質と正極集電体
    からなる正極と、この正極に対向して設けられた負極活
    物質と負極集電体からなる負極を有する非水電解液二次
    電池用の構成材料であって、前記の正極集電体および負
    極集電体の少なくとも一方が長方形状のシート片の集合
    体からなり、かつ前記の非水電解液二次電池用の構成材
    料が下記式を充足することを特徴とする、非水電解液二
    次電池用の構成材料。 S/χ ≦ α×d 〔ここで、dは対向する正極集電体と負極集電体との距
    離(単位:cm)を示す。Sは前記正極集電体と負極集
    電体における一つの長方形状のシート片の対向面積の内
    最大のもの(単位:cm)を示す。χは前記正極集電
    体または負極集電体における一つの長方形状のシート片
    の縦横比を示す。αは係数であって900〜720の数
    を示す〕
  2. 【請求項2】前記式中のS/χが下記式を充足する、請
    求項1に記載の非水電解液二次電池用の構成材料。 0.1 ≦ S/χ
  3. 【請求項3】前記の正極集電体または負極集電体が、放
    充電時の電流方向を長手方向とする長方形状のシート片
    の集合体からなっている、請求項1または請求項2に記
    載の非水電解液二次電池用の構成材料。
  4. 【請求項4】前記の正極集電体または負極集電体が、放
    充電時の電流方向を長手方向とする縦横比が40:1〜
    1000:1である長方形状のシート片の集合体からな
    っている、請求項3に記載の非水電解液二次電池用の構
    成材料。
  5. 【請求項5】前記の長方形状のシート片の集合体が、電
    気絶縁性材料によって各シート片間の電気的絶縁状態が
    維持されつつ固定されている、請求項1乃至請求項4の
    いずれか1項に記載の非水電解液二次電池用の構成材
    料。
  6. 【請求項6】前記のリチウム化合物を含む活物質が、リ
    チウム含有コバルト酸化物(LiCoO)やリチウム
    含有ニッケル酸化物(LiNiO)、リチウム含有マ
    ンガン酸化物(LiMn)またはそれら活物質の
    結晶内に他の元素が添加または部分置換されたものであ
    る、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の非水
    電解液二次電池用の構成材料。
  7. 【請求項7】前記の負極活物質が、リチウムイオンを吸
    蔵および脱蔵可能な炭素質物質、カルコゲン化合物また
    は軽金属である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項
    に記載の非水電解液二次電池用の構成材料。
  8. 【請求項8】前記の正極集電体または負極集電体が、ア
    ルミニウム箔、ステンレス箔またはチタン箔からなるも
    のである、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載
    の非水電解液二次電池用の構成材料。
  9. 【請求項9】前記集電体を構成するシート片同士が、そ
    の一方の端部において、PTC素子を介して電気的に接
    続されてなる、請求項1に記載の非水電解液二次電池用
    の構成材料。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のいずれか1項に記載の
    非水電解液二次電池用の構成材料と非水電解液とを具備
    してなる、非水電解液二次電池。
  11. 【請求項11】リチウム化合物を含む活物質と正極集電
    体からなる正極と、この正極に対向して設けられた負極
    活物質と負極集電体からなる負極を有する非水電解液二
    次電池用の構成材料であって、前記の正極集電体および
    負極集電体の少なくとも一方が、導電性材料からなる線
    状物の集合体からなり、かつ前記の非水電解液二次電池
    用の構成材料が下記式を充足することを特徴とする、非
    水電解液二次電池用の構成材料。 S/χ ≦ α×d 〔ここで、dは対向する正極集電体と負極集電体との距
    離(単位:cm)を示す。Sは前記正極集電体と負極集
    電体における一つの線状物の対向面積の内最大のもの
    (単位:cm)を示す。χは前記正極集電体または負
    極集電体における一つの線状物の縦横比を示す。αは係
    数であって900〜720の数を示す。〕
  12. 【請求項12】前記導電性材料からなる線状物を縦糸と
    し絶縁性材料からなる線状物を横糸とする織物構造物か
    らなる、請求項11に記載の非水電解液二次電池用の構
    成材料。
  13. 【請求項13】前記集電体を構成する線状物が、その一
    方の端部において、PTC素子を介して電気的に接続さ
    れてなる、請求項12に記載の非水電解液二次電池用の
    構成材料。
  14. 【請求項14】請求項11乃至13のいずれか1項に記
    載の非水電解液二次電池用の構成材料と非水電解液とを
    具備してなる、非水電解液二次電池。
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JP2009533831A (ja) * 2006-04-18 2009-09-17 コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション 可撓性エネルギー貯蔵素子
JP2014167890A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Toshiba Corp 電池
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