JP2003155573A - 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法 - Google Patents

無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法

Info

Publication number
JP2003155573A
JP2003155573A JP2002220213A JP2002220213A JP2003155573A JP 2003155573 A JP2003155573 A JP 2003155573A JP 2002220213 A JP2002220213 A JP 2002220213A JP 2002220213 A JP2002220213 A JP 2002220213A JP 2003155573 A JP2003155573 A JP 2003155573A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating
electroless plating
electroless
pretreatment liquid
primary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002220213A
Other languages
English (en)
Inventor
Honchin En
本鎮 袁
Motoo Asai
元雄 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP2002220213A priority Critical patent/JP2003155573A/ja
Publication of JP2003155573A publication Critical patent/JP2003155573A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Pd置換処理を行うことなく確実にめっき反応
を進行させることができ、しかもめっき析出の高速化を
図ることができる無電解めっき技術を提供する。 【解決手段】 基材上に形成した一次めっき膜(または
金属膜)に二次めっき(無電解めっき)を施す無電解め
っき方法において、前記一次めっき膜の表面電位を、そ
の一次めっき膜の表面電流密度が二次めっきの無電解処
理液中で0となる最も卑な表面電位よりも、さらに卑と
なるように調整した後、二次めっきを施すことを特徴と
する無電気めっき方法、及びこれを実施するのに用いて
好適な塩基性化合物、還元剤および錯化剤を含む無電解
めっき用前処理液と無電解めっき浴を提案する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無電解めっき用前処理
液、無電解めっき浴および無電解めっき方法に関し、例
えば、プリント配線板製造時における導体パターンの形
成などに有効な無電解めっきのための前処理液、無電解
めっき浴およびこれらを使用した無電解めっき技術につ
いての提案である。
【0002】
【従来の技術】従来、プリント配線板製造技術の一つと
して、無電解銅めっき処理によって基材上に導体パター
ンを形成する,いわゆるアディティブプロセスが広く知
られている。このプロセスにおいて、導体パターン形成
のための無電解めっき処理は、一般に、絶縁基材上に触
媒核を付与して薄膜の無電解めっき(一次めっき)を直
に施し、さらにそのめっき金属表面に厚膜の無電解めっ
き(二次めっき)を施す方法が採用されている。
【0003】このような無電解めっき処理では、まず、
絶縁基材表面に付与した触媒核を中心に一次めっき膜が
析出し、一次めっき膜の層が形成された後は、その一次
めっき膜を構成する金属上で二次めっき膜の析出が進行
する。そのため、前記の一次めっきと二次めっきには、
それぞれ異なる特性が要求される。
【0004】すなわち、一次めっきのように、絶縁基材
表面に付与した触媒核を中心にめっき膜が析出する場合
は、析出粒子が微細で、めっき膜の厚みが均一であるこ
とが求められている。
【0005】また、二次めっきのように、一次めっき膜
を構成する金属を核として析出する場合は、生産性の観
点から析出速度の高速化が求められている。
【0006】特に、通常の無電解めっき処理は、エチレ
ンジアミン四酢酸(以下、「EDTA」という。)を錯
化剤として含むめっき液を使用するために、析出速度が
遅く、上記二次めっきとしての析出速度の高速化が強く
求められていた。
【0007】これに対し従来、めっき析出速度の高速化
のための手段として、特開平1−168871号あるいは特開
平2−30770 号公報では、トリエタノールアミン(以
下、「TEA」という。)を錯化剤として含む無電解め
っき液を提案している。
【0008】しかしながら、TEAを錯化剤として含む
無電解めっき液は、Pdなどの触媒核を付与してめっきを
施す一次めっきでは問題なく使用できるが、これを一次
めっき膜を構成する金属を核として析出する二次めっき
に使用すると、めっきの初期析出が非常に悪く、未析や
反応停止が生じるという問題があった。
【0009】このような二次めっきにおける問題を解消
するための手段として従来、TEAを錯化剤として含む
上記無電解めっき液中に添加するホルムアルデヒド(HC
HO)等の還元剤の濃度を上げる(3ml/l(0.037mol/l)
以上)ことにより、浴反応性を向上させる方法がある。
【0010】しかしながら、この方法では、還元剤がめ
っき液中の銅イオンを強力に還元して、不必要な金属銅
の析出が生じてしまうために、析出しためっき膜にノジ
ュールが発生したり、めっき液の分解が生じたりすると
いう不具合があった。
【0011】また、二次めっきにおける上記問題を解消
するための他の手段として、一次めっきによって形成し
ためっき皮膜上にPdなどの触媒核を付与して二次めっき
を施す方法がある。
【0012】しかしながら、この方法では、コスト高と
なる他に、絶縁基材とは異なる金属膜へのPd触媒核の付
与,固定化が難しく、該Pd触媒核の脱落による異状析出
が起こりやすくなるという問題があった。
【0013】一方、無電解めっきの前処理液として、従
来、 .化学銅めっき液の組成のうち、銅錯化剤および銅化
合物を除いた組成の前処理液(特開昭63−129692号)、 .アルカリ水酸化物と金属錯化剤およびハロゲン化ア
ルカリ金属塩からなる無電解めっき用前処理液(特開平
2−30768 号)、 .酸と金属錯化剤および還元剤からなる無電解めっき
用前処理液(特開平2−30769 号)、 が、それぞれ提案されている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の前処理液も、絶縁面にめっき膜を析出させるための前
処理液であり、一次めっき膜の表面に二次めっきを析出
するためのものではなく、二次めっきの初期析出を高速
化するためのものではない。
【0014】以上説明したように、従来技術では、二次
めっきの初期析出を何の不具合も生じることなく改善す
ることは難しく、二次めっきの析出速度を高速化するた
めの実用的な方法はなかった。
【0015】本発明の目的は、従来技術が抱える上記問
題を解消することにあり、特に、二次めっきの初期析出
を何の不具合も生じることなく改善できる無電解めっき
処理技術を確立することにある。
【0016】本発明の他の目的は、二次めっきにおける
めっき析出速度の高速化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的実
現に向け鋭意研究した結果、二次めっきの初期析出が悪
い原因が、一次めっき膜の表面電位にあることを知見し
た。
【0017】すなわち、従来技術において、二次めっき
投入時点での一次めっき膜の表面電位は、二次めっきの
皮膜が析出する表面電位(めっき反応の混成電位)より
も貴にあり、二次めっき液中では、一次めっき膜の表面
電位とその混成電位との間に、表面電流密度が0(準安
定状態)となる表面電位が存在する。
【0018】そのために、一次めっき膜の表面電位が二
次のめっき膜析出の電位までシフトせず、二次めっきの
初期析出が悪くなることを知見した。
【0019】そこで、発明者らは、上記知見に基づいて
さらに鋭意研究した結果、前処理により一次めっき膜の
表面電位を調整することにより、二次めっきの初期析出
を改善できることを突きとめ本発明を完成するに至っ
た。
【0020】即ち、従来技術とは全く逆に、二次めっき
投入時点での一次めっき膜の表面電位を、前処理にて混
成電位よりも卑とし、二次めっきを施すことにより、上
記目的を実現するに至ったのである。
【0021】なお、TEA以外の錯化剤を含む二次めっ
き液においても同様の作用効果が得られることも併せて
知見した。
【0022】すなわち、本発明は、基本的には、(1) 塩
基性化合物、還元剤および錯化剤から主として構成され
る無電解めっき用前処理液、(2) 塩基性化合物、還元剤
および錯化剤から主として構成される無電解めっき用前
処理液の槽と、塩基性化合物、還元剤、金属イオンおよ
び錯化剤から主として構成される無電解めっき液の槽と
からなる無電解めっき浴、(3) 基材上に一次めっきを施
した後に二次めっきを施す無電解めっき方法において、
前記二次めっきは、塩基性化合物、還元剤および錯化剤
から主として構成される無電解めっき用前処理液による
前処理を行った後に施すことを特徴とする無電解めっき
方法、(4) 基材上に一次めっきを施した後に二次めっき
を施す無電解めっき方法において、前記一次めっきを施
して基材上に形成した一次めっき膜の表面電位を、その
一次めっき膜の表面電流密度が二次めっきの無電解めっ
き液中で0となる最も卑な表面電位よりも、さらに卑と
なるように調整した後、二次めっきを施すことを特徴と
する無電解めっき方法、からなる。
【0023】ここで、上記「一次めっき」とは、めっき
触媒核にめっき膜を析出させる行為を指す。一般には、
二次めっきよりも薄いめっきである。
【0024】また、上記「二次めっき」とは、一次めっ
き膜、もしくはその一次めっき膜にめっきなどの処理を
施したものに、さらにめっき膜を析出させる行為を指
す。一般には、一次めっきよりも厚いめっきである。
【0025】また、上記「塩基性化合物」は、還元剤の
還元能力が損なわれない範囲にpHを調整するためのもの
であり、例えば、KOH や NaOH 、Ca(OH)2、NH4OH 等の
強アルカリ等が望ましい。
【0026】なお、前記二次めっきは、塩基性化合物、
還元剤、銅イオンおよび錯化剤から主として構成される
ことが望ましい。
【0027】これらのうち、上記塩基性化合物は、KOH
、NaOH、Ca(OH)2、NH4OH 等の強アルカリ等からなり、
その濃度は、0.1〜0.5mol/lが好ましい。この理由は、
塩基性化合物が0.1 mol/l よりも少ないと還元剤の還元
力が低下し、0.5mol/lよりも多いと二次めっき浴が分解
してめっきレジスト(絶縁樹脂)が浸食されるからであ
る。
【0028】上記還元剤は、アルデヒド、次亜リン酸
塩、水素化ホウ素塩およびヒドラジンのなかから選ばれ
るいずれか少なくとも1種であり、その濃度は、0.02〜
0.08mol/l が好ましい。この理由は、還元剤が0.02mol/
l よりも少ないとめっき反応が停止し、0.08mol/l より
も多いと二次めっき浴が分解するからである。
【0029】上記銅イオンは、CuSO4・5H2O、CuO 、CuC
l2、Cu(NO3)2のなかから選ばれるいずれか少なくとも1
種であり、その濃度は、0.01〜0.05mol/l が好ましい。
この理由は、銅イオンが0.01mol/l よりも少ないと二次
めっきの反応速度が低下し、0.05mol/l よりも多いとめ
っき反応が停止するからである。
【0030】上記錯化剤は、トリアルカノールモノアミ
ンからなり、その濃度は、0.02〜0.10mol/l が好まし
い。この理由は、錯化剤が0.02mol/l よりも少ないと銅
が酸化銅や水酸化銅となって浴分解し、0.10mol/l より
も多いとコストが嵩むからである。
【発明の実施の形態】さて、発明者らが本発明を想到す
るに至った経緯について、第1図に基づき説明する。
【0031】第1図は、一次めっき膜の各種溶液におけ
る62℃での分極測定結果を示すグラフである。このグラ
フにおいて、縦軸は、基材表面、即ち下地層である一次
めっき層表面の電流密度(mA/cm2)で、横軸は、その
電位(V vs.SCE(Saturated Calomel Electrode);飽和
甘コウ標準電極に対する相対電位)であり、横軸では正
の方向にいくほど電位が貴になり、負の方向にいくほど
電位が卑になる。
【0032】ここに、分極曲線C1 は、錯化剤としてT
EAを含む二次めっき用無電解銅めっき液、具体的に
は、析出金属としての CuSO4・5H2O を4g/l(0.0159mo
l/l)、錯化剤としてのTEAを22.5g/l(0.15mol/l)、塩
基性化合物としてのNaOHを11g/l(0.275mol/l)、還元剤
としてのHCHOを4cc/l(0.049mol/l)、少量の安定剤等を
含む無電解銅めっき液(以下、単に「TEA浴」とい
う。)におけるデータであり、分極曲線C2 は、上記T
EA浴から CuSO4・5H2O のみを除いた液(以下、「無
銅イオンのTEA浴」という。これは本発明における前
処理液である。)におけるデータであり、分極曲線C3
は、上記TEA浴からHCHOのみを除いた液(以下、「無
還元剤のTEA浴」という。)におけるデータである。
【0033】上記分極曲線C1 では、約−0.78V(−0.
65V〜−0.85V)に無電解銅めっきの反応電位に当たる
混成電位P1 (電流密度が0mA/cm2となる電位)が見
られ、−0.78V〜−0.58VにはHCHOの還元ピーク、−0.
75V〜−1.30Vには銅の析出ピークが見られた。特にT
EA系では、EDTA系に比べてHCHOの酸化電位幅が狭
く、−0.58V〜−0.53Vで溶存酸素などの還元反応ピー
クが現われている。なお、分極曲線C1 では、一次めっ
き膜の表面電流密度が0となる準安定状態の表面電位と
して、P1 (−0.78V)、P4 (−0.58V)、P5 (−
0.53V)が測定された。
【0034】上記分極曲線C2 は、TEA浴でのHCHO酸
化分極曲線を指し、HCHOの酸化電位域は−0.50V〜−1.
05Vにあって、この電位域でHCHOによる還元反応が生じ
ることがわかる。なお、このC2 では、一次めっき膜の
表面電流密度が0となる準安定状態の表面電位として、
P2 (−1.05V)が測定された。
【0035】上記分極曲線C3 は、TEA浴でのCuの還
元分極曲線を指し、約−0.68Vから卑な電位方向へ銅の
還元反応ピークが現れている。なお、このC3 では、一
次めっき膜の表面電流密度が0となる準安定状態の表面
電位として、P3 (−0.45V)が測定された。
【0036】このような分極測定の結果から、二次めっ
きの初期析出が悪い原因が、以下の点にあることを知見
した。
【0037】すなわち、上記分極曲線C1 のような挙動
を示すTEA浴を用い、一次めっきが施された基材上に
二次めっきを実施すると、一次めっき層表面の電位は、
TEA浴中に投入する時点においては、めっき反応の混
成電位P1 よりもいくぶん貴の方向(例えば−0.5 Vか
ら0V程度の電位)にあるが、基材の投入後においては
卑の方向にシフトする。しかし、TEA浴での上記分極
曲線C1 によれば、めっき反応電位に当たる混成電位P
1 よりも貴の方向に、別の準安定状態の表面電位P4 ,
P5 があるために、一次めっき層表面の電位が卑の方向
にシフトする際に、表面電位P4 ,P5 近傍で電位シフ
トがストップしてしまい、めっき反応が進行しなくなる
ことを知見した。
【0038】それ故に、従来技術にかかるTEA浴によ
る二次めっきでは、二次めっきの前にPd置換処理を行う
ことによって、表面電位P4 ,P5 付近の電位でのシフ
トブロックを解消していた。というのは、Pd置換処理
は、分極曲線C1 を縦軸の正方向に全体的に移行させる
作用があり、その結果、前記2つの表面電位P4 ,P5
がなくなる。これにより、P4 ,P5 付近の電位でのシ
フトブロックを解消でき、めっき反応が進行するからで
ある。
【0039】発明者らは、このように各種溶液における
一次めっき膜の表面電位を検討する過程で、分極曲線C
2 に示すように、無銅イオンのTEA浴での一次めっき
膜の表面電位P2 が、めっき反応の混成電位P1 よりも
卑の方向にシフトしていることを知見した。
【0040】そこで、発明者らは、Pd置換処理の代わり
にこの無銅イオンのTEA浴による前処理を行うことに
よって、Pd置換処理をすることなく二次めっき反応が進
行することを見出し、本発明を完成するに至ったのであ
る。
【0041】即ち、本発明にかかる無電解めっき用前処
理液を用いて一次めっき層表面の前処理を行うと、めっ
き反応の混成電位よりも貴の方向にあった一次めっき層
表面の電位が、その混成電位よりも卑の方向へ一旦大き
くシフトする(第1図によれば、−0.5 〜0V程度であ
った電位が、−1.10〜−0.90V程度までシフトする)。
次いで、一次めっき膜が形成された基材を二次めっき用
の無電解めっき液中に投入すると、電位が貴の方向にシ
フトし、最終的にはめっき反応の混成電位に落ち着く
(第1図によれば、−1.10〜−0.90V程度であった電位
が、−0.75〜−0.80Vにシフトする)。以上の結果、二
次めっき反応がスムーズに進行し、一次めっき層上に銅
めっきが未析やノジュール等の不具合を生じることなく
確実に析出する。よって、従来必要とされていたPd置換
処理が不要になる。 (1) このような発明において、二次めっきの初期析出を
何の不具合も生じることなく改善できる無電解めっき処
理技術として、発明者らは、「基材上に一次めっきを施
した後に二次めっきを施す無電解めっき方法において、
前記一次めっきを施して基材上に形成した一次めっき膜
の表面電位を、その一次めっき膜の表面電流密度が二次
めっきの無電解めっき処理液中で0となる最も卑な表面
電位よりも、さらに卑となるように調整した後、二次め
っきを施すことを特徴とする無電解めっき方法。」を提
案する。
【0042】一般に、めっき液中での一次めっき膜の表
面電位(自然電位)は、表面酸化皮膜が存在するため、
無電解めっきの反応の混成電位よりも貴である。この混
成電位は、基材の一次めっき膜の表面電流密度が二次め
っき用の無電解めっき液中で0となる最も卑な表面電位
である。したがって、従来の二次めっきでは、一次めっ
きが施された基材を、EDTA系などの無電解めっき液
に浸漬することにより、この基材の一次めっき膜の表面
電位をめっき析出の混成電位まで卑の方向へシフトさ
せ、めっき析出を生起させていたのである。
【0043】しかし、塩基性化合物、還元剤、銅イオン
およびトリアルカノールアミンから主として構成される
無電解銅めっき液などのような二次めっき液では、この
めっき析出の混成電位と一次めっき膜の表面電位との間
に、一次めっき膜の表面電流密度が二次めっき液中で0
となる準安定状態の表面電位が存在する場合が多い。例
えば、二次めっき液中での一次めっき膜の表面電位と表
面電流密度との関係を示す第1図に示す分極曲線C1 か
ら明らかなように、この分極曲線C1 は、表面電流密度
が二次めっき液中で0となる準安定状態の表面電位P4
、P5 を有する。そのため、一次めっき膜の表面電位
がこの準安定状態の電位に収束してしまい、めっき析出
の混成電位までシフトせず、その結果めっきの析出が起
きない。
【0044】そこで、発明者らは、上記問題を解決でき
る無電解めっき技術として、従来のような、表面電位の
貴から卑へのシフトではなく、卑から貴の方向へ表面電
位をシフトさせることにより、Pdなどの触媒を付与する
ことなくめっき析出が生起できる上記構成を要旨とする
方法を提案する。
【0045】つまり、基材上に形成した一次めっき膜の
表面電位を、一旦、その一次めっき膜の表面電流密度が
二次めっき液中で0となる最も卑な表面電位,いわゆる
めっき膜析出反応の混成電位よりも、卑の方向へシフト
させた後に、二次めっきを施すと、めっき膜析出反応の
混成電位よりも卑の方向には準安定状態の表面電位は存
在しないため、準安定状態に表面電位が収束することな
く、めっき析出反応が起きるのである。 (2) このような本発明にかかる無電解めっき方法におい
て、一次めっき膜の表面電位を二次めっき膜析出の混成
電位より卑とするためには、一次めっき膜が施された基
材を前処理液に浸漬したり、該基材に前処理液を吹きつ
けるなどの前処理を行う。
【0046】発明者らは、このような無電解めっき用前
処理液として、「塩基性化合物、還元剤および錯化剤か
ら主として構成される前処理液」を提案するとともに、
その前処理液を使用した無電解めっき方法として、「基
材上に一次めっきを施した後に二次めっきを施す無電解
めっき方法において、前記二次めっきは、塩基性化合
物、還元剤および錯化剤から主として構成される無電解
めっき用前処理液による前処理を行った後に施すことを
特徴とする無電解めっき方法」を提案する。
【0047】一般に、一次めっき膜表面は、空気中ある
いは水洗水中の酸素と反応して薄い酸化膜を形成してお
り、その表面電位は、金属酸化物の表面電位となってい
る。
【0048】例えば、第1図の場合では、一次めっき膜
の表面電位は飽和甘コウ電極を標準電極として−0.5 〜
0V程度である。即ち、一次めっき膜の表面電位は、酸
化皮膜が存在するために、無電解めっき反応の混成電位
よりも貴となっている。
【0049】そこで、上記金属酸化物の金属イオンをめ
っきの塩基性条件下で配位結合により金属錯体とし、溶
液中に溶出させるために、前処理液の構成要素として錯
化剤を用いる。これにより、一次めっき膜の表面には、
酸化膜のない純粋な金属表面が露出する。特に、NiやCu
などの金属酸化物は、塩基性条件下のみでは金属酸化物
の金属イオンが溶出しないので、錯化剤を共存させるの
である。
【0050】上述のようにして露出した一次めっき膜の
表面電位をその還元能力によって卑の方向にシフトさせ
るために、前処理液の構成要素として還元剤を用いる。
即ち、還元剤が有機的に作用して、一次めっき膜の表面
電位を卑の方向にシフトできる。
【0051】上記還元剤の還元能力を維持するために、
液のpHを所定範囲(塩基性条件)に調整するために、前
処理液の構成要素として塩基性化合物を用いる。
【0052】このような本発明にかかる前処理液におい
て、塩基性化合物は、NH4OH や金属水酸化物などの水酸
化物が望ましく、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)や水
酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸
化カルシウム(Ca(OH)2)などが望ましい。
【0053】この塩基性化合物の含有量は、0.1〜0.4mo
l/lが好ましく、特にNaOHの場合は、5〜15g/l(0.125
〜0.375mol/l)(pH=12)が望ましい。この理由は、塩
基性化合物が少ないとHCHOの還元力が低下し、一方、塩
基性化合物が多すぎると基材絶縁樹脂が侵されるからで
ある。
【0054】上記前処理液を構成する還元剤としては、
アルデヒドのほかに、例えば、NaH2PO2や KH2PO2等の次
亜リン酸塩、NaBH4やKBH4などの水素化ホウ素塩、ヒド
ラジン等がある。ただし、銅に対しては、HCHO、CH3CHO
が最も好ましい。
【0055】この還元剤の含有量は、0.02〜0.25 mol/l
が好ましく、特にHCHOの場合は、2〜20cc/l(0.0247〜
0.247mol/l)が望ましい。この理由は、2cc/l(0.0247
mol/l)未満では還元力が弱く、20cc/l(0.247mol/l)を超
えると二次めっき液の分解および作業環境の悪化などを
招くからである。
【0056】還元剤としてHCHOを使用した場合には、上
記塩基性化合物としては、pH9以下になることを防ぐ
(より好ましくはpH12程度を維持する)ために、強アル
カリであるNaOHを用いることが望ましい。
【0057】即ち、pHは12〜13に調節することがより好
ましい。この理由は、pHが12未満ではHCHOの還元力は低
下し、一方pHが13を超えると、無電解めっき用接着剤や
めっきレジストが侵されるからである。
【0058】本発明にかかる前処理液において、錯化剤
は、カルボン酸、カルボン酸塩、第3級アミン、ジオキ
シム、ジチゾン、ヒドロキシキノリン、β−ジケトンお
よびアミノ酢酸のなかから選ばれるいずれか少なくとも
1種であることが望ましい。
【0059】この理由は、これらの錯化剤は、金属イオ
ン、特に銅イオンと錯体を形成しやすく、一次めっき膜
表面の金属酸化物の薄い膜を極めて容易に除去でき、表
面電位を容易に卑の方向へシフトさせることが可能だか
らである。
【0060】なお、アミノ酢酸とは、アミノ基とカルボ
キシル基を共に有する化合物を指し、具体的にはアミノ
酸などを指す。
【0061】上記のカルボン酸、カルボン酸塩として
は、多価カルボン酸、多価カルボン酸塩、ヒドロキシカ
ルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩が望ましく、具体的
には、酒石酸(多価カルボン酸であると同時にヒドロキ
シカルボン酸である)、フタル酸、マレイン酸、コハク
酸、フマル酸(以上、ジカルボン酸)、サリチル酸、リ
ンゴ酸、クエン酸(以上、ヒドロキシカルボン酸)およ
びこれらの塩などが望ましい。この理由は、これらの錯
化剤は、金属酸化物を容易に除去できる上に、前処理液
が安定で長期使用が可能だからである。また、多価カル
ボン酸の他、安息香酸などの芳香族カルボン酸およびそ
の塩も使用できる。
【0062】なお、前記「多価カルボン酸」とは、複数
個のカルボキシル基を有するカルボン酸を意味し、「ヒ
ドロキシカルボン酸」とは、ヒドロキシ基とカルボキシ
ル基を共に有するカルボン酸であり、一般には、「ヒド
ロキシ酸」あるいは「オキソ酸」などとも呼ばれている
化合物を指す。また、「芳香族カルボン酸」とは、ベン
ゼン環、ナフタレン環などの芳香環にカルボキシル基が
結合した化合物を指す。
【0063】上記第3級アミンとしては、エチレンジア
ミン四酢酸塩、トリアルカノールモノアミン、ニトリロ
三酢酸塩などが使用できる。この理由は、これらの錯化
剤は、金属イオンとの錯化力が強く一次めっき表面の酸
化膜の除去力が優れているという利点を持つからであ
る。特に、トリアルカノールアミンとしては、トリエタ
ノールアミン(TEA)、トリエタノール、トリイソパ
ノールアミンが望ましい。この理由は、これらのアミン
は、高速めっきとしての二次めっき液中で錯化剤として
も使用されるため、前処理液として使用しても、二次め
っきの反応を阻害することがないからである。
【0064】また、ジオキシムとしては、ジメチルグリ
オキシムやベンジルジグリオキシム、1,2-シクロヘキサ
ンジオンジグリオキシムなどがあり、ヒドロキシキノリ
ンとしてはオキシン、β−ジケトンとしてはアセチルア
セトン、アミノ酢酸としてはグリシン等のアミノ酸が挙
げられる。
【0065】このような錯化剤の含有量は、0.005 〜0.
07 mol/lが好ましく、特にTEAの場合は、1〜10g/l
(0.007 〜0.07mol/l)が望ましい。この理由は、1g/l
(0.007mol/l)未満では酸化膜の除去能力が低下し、10g/
l(0.07mol/l)を超えるとTEAの使用量が多くなりコス
ト高となるからである。また、TEA:1〜10g/l(0.00
7 〜0.07mol/l)に代えて酒石酸塩5〜30g/l(0.0224〜0.
135 mol/l)を用いることができる。
【0066】なお、本発明にかかる前処理液では、無電
解めっき液と異なり、錯化剤が配位する金属イオンが少
ないため、錯化剤は、共存する還元剤と反応を起こしや
すくなり、特にホルムアルデヒドなどのアルデヒドと結
合してしまう。そこで、安定剤は、本発明の前処理液に
は必ずしも必要ではないが、上記のような還元剤と錯化
剤の反応を防止して前処理液の安定化を図るためには添
加することが望ましい。
【0067】このような安定剤としては、酸化剤、有機
酸およびその塩類があり、具体的には、酸素、オゾン、
過酸化水素、ギ酸や酢酸などのモノカルボン酸およびそ
の塩を用いることが望ましい。これらの安定剤は、還元
剤との反応性が比較的弱く、前処理液に悪影響を与えな
いからである。なお、酸素やオゾンは処理液中に気体を
バブリングして供給する。
【0068】この安定剤の含有量は、溶存酸素量で1〜
30ppm、モノカルボン酸量で1〜5g/l(0.005〜0.025mol
/l)が望ましい。この理由は、酸素、酸ともこの範囲よ
り少量であれば、安定剤としての効果はなく、この範囲
を超えると還元剤の能力を低下させてしまうからであ
る。
【0069】また、前処理温度は、30〜55℃が望まし
い。この理由は、前処理温度が高いほど二次めっき反応
が開始し易くなる。しかし、前処理温度が60℃以上にな
ると操業しにくくなるからである。
【0070】前処理時間は、1分〜10分間が望ましい。
この理由は、処理時間が1分間より短いと、電位のシフ
トが十分得られなく、10分間より長いと作業効率が低下
するからである。
【0071】このような本発明にかかる前処理液に関
し、一次めっき膜の表面電位と表面電流密度の関係を測
定すると、第1図のC2 に示すようなグラフとなる。こ
の図において、P2 は酸化膜のない金属表面に還元され
た状態での表面電位であり、この表面電位は、二次めっ
き膜の析出の混成電位よりも卑な電位である。
【0072】それ故に、本発明にかかる前処理液によ
り、一次めっき膜の表面電位を上記の状態に調整した
後、無電解の二次めっき液中に投入すると、表面電位が
卑から貴の方向へシフトし、めっき膜析出の混成電位よ
りも卑の方向には準安定状態の表面電位が存在しないた
めに、準安定状態に表面電位が収束することなく、めっ
き析出反応が起きるのである。 (3) 本発明では、上述した無電解めっき方法を有利に実
施し得る無電解めっき浴として、「塩基性化合物、還元
剤および錯化剤から主として構成される前処理液の槽
と、塩基性化合物、還元剤、金属イオンおよび錯化剤か
ら主として構成される無電解めっき液の槽とからなる無
電解めっき浴」を提案する。
【0073】前述したように、本発明にかかる無電解め
っき方法によれば、前処理液に浸漬したり、あるいは前
処理液を吹きつけることにより、一次めっき膜の表面電
位を卑の方向へシフトさせることができる。しかし、こ
の処理後に、一次めっき膜を水洗したり乾燥させたりす
ると、一次めっき膜に酸化膜が生じ、結局、一次めっき
膜の表面電位が貴の方向へ再びシフトし、二次めっき投
入時点での一次めっき膜の表面電位が、めっき析出の混
成電位よりも貴になってしまう。そのため、前処理した
一次めっき膜は、二次めっき投入時点まで、前処理液で
被覆されている必要がある。
【0074】そこで、表面電位調整のための前処理液の
槽から取り出した基材は、直ちに二次めっき液の槽に浸
漬されることが必要であり、「塩基性化合物、還元剤お
よび錯化剤から主として構成される前処理液の槽」と、
「塩基性化合物、還元剤、金属イオンおよび錯化剤から
主として構成される無電解銅めっき液の槽」とは二つで
一つの無電解めっき浴を構成するものとした。
【0075】なお、本発明にかかる無電解めっき浴の二
次めっき液を構成する各要素は、通常のめっき液の各要
素と同様に作用する。即ち、二次めっき液を構成する塩
基性化合物は、めっき液を塩基性条件に維持して、還元
剤の還元能力を維持する投目を担う。この条件下では金
属が水酸化物を形成して沈澱するので、錯化剤により、
金属錯体を形成せしめてめっき液中に溶解させる。ま
た、二次めっき液を構成する還元剤は、下記式のよう
に、自ら電子を供与することにより、金属イオンの還元
反応を生じさせる役目を担う。
【0076】M+m +me- → MO (4) 本発明にかかる上記の無電解めっき浴によれば、一
次めっき膜が形成された基材は、前処理液に浸漬する
か、あるいは前処理液を吹きつけたのち、洗浄、乾燥を
経ることなくそのまま二次めっき液に浸漬される。その
ため、上記無電解めっき液を用いる本発明にかかる無電
解めっき方法では、前処理液中の塩基性化合物、還元剤
および錯化剤は、二次めっきの液に混入することにな
る。
【0077】そこで、めっき液組成の変動、めっき液の
分解や副反応を防止するために、前処理液と無電解めっ
き液とは、これらを構成する塩基性化合物、還元剤およ
び錯化剤のうちのいずれか少なくとも1種が同一のもの
であることが望ましい。 (5) 以上説明したような無電解めっき用前処理液、無電
解めっき浴および無電解めっき方法は、塩基性化合物、
還元剤、銅イオンおよびトリアルカノールモノアミンか
ら主として構成される無電解銅めっき液を二次めっき液
として使用する場合に最も好適である。
【0078】例えば、TEAを錯化剤として使用する無
電解めっきは、EDTAを錯化剤として使用する無電解
めっきに比べて30倍程度の高速めっきを実現できる(特
開平1−168871号公報参照)。しかし、発明者らの試験
によれば、還元剤の濃度管理を±0.5cc/l(0.006mol/l)
程度に制御しなければならず、また、めっき液中の不純
物の存在により還元力が低下して未析となるために不純
物の管理を行う必要があり、コスト面から考えても実用
的とは言えなかった。このような還元剤の管理制限や不
純物の存在による還元力低下は、前述した混成電位より
も貴な電位にある一次めっき膜の準安定状態に起因する
ものである。
【0079】その点、本発明によれば、還元剤の上限の
管理さえすれば未析の問題はなくなり、また、不純物管
理をする必要がなくなるため、めっき析出速度の高速化
を確実に図ることができる。 (6) このような塩基性化合物、還元剤、銅イオンおよび
TEAから主として構成される無電解銅めっき液を二次
めっき液として使用した場合の、一次めっき膜の表面電
位と表面電流密度の関係を示すグラフが、第1図におけ
る分極曲線C1 である。
【0080】この分極曲線C1 から明らかなように、上
記無電解銅めっき液を二次めっき液として使用する場
合、前処理により、一次めっき膜の表面電位を飽和甘コ
ウ標準電極に対して−0.8 Vよりもさらに卑にすること
が必要である。また、この一次めっき膜の表面電位は、
飽和甘コウ電極標準電極に対して−1.2 Vよりも貴とす
ることが望ましい。つまり、一次めっき膜の表面電位
は、飽和甘コウ電極標準電極に対して−1.2 V〜−0.8
Vであることが望ましい。この理由は、−1.2 Vよりも
卑にすることは、ホルムアルデヒド等を使用した化学還
元法では極めて困難であり、また−1.2 Vよりも卑の電
位にすると、水の電気分解電位となって水素の発生を招
き、液組成が変動して好ましくないからである。
【0081】このような表面電位の調整により、二次め
っき膜の析出反応の混成電位より一次めっき膜の表面電
位を卑とすることができ、未析の問題等を解消すること
ができる。
【0082】以上説明したような本発明にかかる無電解
めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき
方法は、各種めっき技術へ応用できることはいうまでも
ないが、この中でも特にプリント配線板の製造方法へ応
用することが有利である。
【0083】以下に、その一例としてプリント配線板の
製造方法について説明する。
【0084】本発明を利用したプリント配線板の製造方
法は、「基板上に無電解めっき用接着剤層を形成し、こ
れに触媒核を付与し、次いで、一次めっきを施し、その
後、二次めっきを施すことにより導体層を形成するプリ
ント配線板の製造方法において、 一次めっき膜を、塩
基性化合物、還元剤、および錯化剤から主として構成さ
れる無電解めっき用前処理液にて処理し、一次めっき膜
の表面電位をめっき反応の混成電位よりも卑にシフトさ
せた後、二次めっきを施すことを特徴とするプリント配
線板の製造方法」である。以下、詳述する。 A.ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、セラミック
基板、金属基板などの基材表面に常法により接着剤層を
形成し、次いで、酸や酸化剤を用いて、常法に従って前
記接着剤層の表面を粗化し、その後、触媒を付与して粗
化した接着剤層の表面に固定化する。
【0085】ここで、接着剤は、前述した樹脂マトリッ
クスに耐熱性樹脂微粉末を分散した接着剤が望ましい。
【0086】この耐熱性樹脂粉末は、粒子形状、中空形
状、解砕片状などの各種形状のものを使用でき、特に、
粒子形状の場合は、.平均粒径10μm以下の粒子、
.平均粒径2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させて
平均粒径2〜10μmの大きさとした凝集粒子、.平均
粒径2〜10μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径2μm以下の
耐熱性樹脂粉末との混合物、.平均粒径2〜10μmの
耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径2μm以下の耐熱性樹
脂粉末もしくは平均粒径2μm以下の無機粉末のいずれ
か少なくとも1種を付着させてなる擬似粒子から選ばれ
ることが望ましい。この理由は、樹脂粒子の平均粒径が
10μmを超えると、アンカーが深くなり、100μm以下
の所謂ファインパターンを形成できなくなるからであ
り、一方、上記〜の樹脂粒子が望ましい理由は、複
雑なアンカーを形成でき、ピール強度を向上させること
ができるからである。 B.次に、上記接着剤層を露光、現像し、UVキュアー
を行ない、その後、熱処理を施して所定のパターンに印
刷しためっきレジストを形成する。
【0087】ここで、ベースフィルム上に、耐熱性微粉
末を耐熱感光性樹脂マトリックス中に分散させて得られ
る組成物を塗布した配線板用レジストを用いた場合は、
露光、現像し、UVキュアーを行ない、その後、熱処理
を施して所定のパターンに印刷しためっきレジストを形
成する。 C.次に、必要に応じて酸処理等にて触媒を活性化した
後、一次の無電解めっきを施して、必要な導体パターン
の薄い一次めっき膜を形成する。 D.一次めっき膜を形成した基板を、前述の塩基性化合
物、還元剤および錯化剤から主として構成される無電解
めっき用前処理液に浸漬して、一次めっき膜の表面電位
をめっき反応の混成電位よりも卑にシフトさせる。 E.前記Dの処理を施した基板を、乾燥,洗浄を経るこ
となく二次めっき液に浸漬して二次めっきを行い、厚い
二次めっき膜を形成する。 F.多層プリント配線板の場合は、A〜Eの工程を繰り
返して多層化する。 G.このようにして得られた配線板上に、液状のソルダ
ーレジストの未硬化樹脂組成物を塗布するか、あるいは
未硬化のソルダーレジストフィルムをラミネートしてソ
ルダーレジスト層を形成する。次いで、露光、現像、熱
硬化して金属パッドの一部に開口を設ける。 H.そして、金属めっき膜を充填した後、はんだ体を形
成する。なお、はんだ体の形成方法は、はんだペースト
などをスクリーン印刷してリフローするか、あるいはは
んだめっきを行いリフローする方法がある。
【0088】本発明を利用した他のプリント配線板の製
造方法は、「基板上に形成された金属膜上に無電解めっ
きを施して導体層を形成するプリント配線板の製造方法
において、 前記無電解めっきは、塩基性化合物、還元
剤、および錯化剤から主として構成される無電解めっき
用前処理液による前処理を行った後に施すことを特徴と
するプリント配線板の製造方法」である。
【0089】ここで、基板上に形成された上記金属膜
は、導体パターンであってもベタパターンであってもよ
く、ベタパターンの場合には、めっきレジストを形成
し、無電解めっきを施した後、めっきレジストとその部
分の金属膜をエッチングする。
【実施例】以下、さらに実施例を用いて詳細に説明す
る。
【0090】まず、本発明をプリント配線板の導体パタ
ーン形成における無電解銅めっき方法に具体化した実施
例について、第2図に従って説明する。 (実施例1)本実施例においては、具体的に次の手順で
無電解めっきを行った。 (1) ガラスエポキシ銅張積層板(東芝ケミカル製)上に
感光性ドライフィルム(デュポン製)をラミネートし、
所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルムを
通して紫外線露光させ画像を焼き付けた。次いで、1,1,
1-トリクロロエタンで現像を行い、塩化第二銅エッチン
グ液を用いて非導体部の銅を除去した後、メチレンクロ
リドでドライフィルムを剥離した。これにより基板1上
に複数の導体パターンからなる第1層導体回路2を有す
る配線板を作成した(第2図(a)参照)。 (2) ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に
溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化
薬製;分子量2500)の25%アクリル化物を70重量部、ポ
リエーテルスルフォン(PES)30重量部、イミダゾー
ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)4重量
部、感光性モノマーであるカプロラクトン変成トリス
(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製、
商品名;アロニックスM325)10重量部、光開始剤とし
てのベンゾフェノン(関東化学製)5重量部、光増感剤
としてのミヒラーケトン(関東化学製)0.5 重量部、さ
らにこれらの混合物に対して、エポキシ樹脂粒子を平均
粒径5μmのものを20重量部と平均粒径0.5μmのものを
20重量部の合計40重量部を配合した。そして、この混合
物にNMPを適量添加しながらホモディスパー攪拌機で
攪拌して粘度2000CPS に調整し、続いて、3本ロールで
混練して感光性接着剤溶液を得た。 (3) この感光性接着剤溶液を、前記(1)で作成した配線
板上に、ロールコーターを用いて塗布し、水平状態で20
分間放置してから、60℃で乾燥を行なった(第2図(b)
(c)参照)。 (4) 前記(3)の処理を施した配線板に、100μmφの黒円
が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧
水銀灯により500mj/cm2で露光した。これをDMDG溶液で
スプレー現像処理することにより、配線板上に100 μm
φのバイアホールとなる開口4を形成した。さらに、前
記配線板を超高圧水銀灯により約3000mj/cm2で露光
し、100 ℃で1時間、その後 150 ℃で5時間の加熱処
理をすることによりフォトマスクフィルムに相当する寸
法精度に優れた開口4を有する厚さ50μmの樹脂層間接
着剤層3を形成した。 (5) 前記(4)の処理を施した配線板を、pH=13に調整し
た過マンガン酸カリウム(KMnO4、60g/l(0.38mol/l))
に70℃で15分間浸漬することにより、層間樹脂絶縁層3
の表面を粗化し、接着剤層3の表面に微細なアンカーを
有する粗化面を形成した。次いで、中和溶液(シプレイ
製)に浸漬したのち水洗した(第2図(d)参照)。 (6) 接着剤層3の表面を粗化した基板を、PdCl2・2H2O
:0.2g/l(0.001mol/l)、SnCl・2H2O :15g/l(0.067mol
/l)、HCl :30g/l(0.83mol/l)を含む処理液で処理する
ことにより、接着剤層3上に触媒核を付与した。このと
きの処理時間は2分、処理温度は35℃とした。 (7) 前記(6)の処理を施した配線板の接着剤層3上に感
光性レジストを60μmの厚さで塗布し、プリベーク、露
光、現像を行い、前記接着剤層3上にめっきレジスト5
を形成した。 (8) 前記(7)の処理を施した配線板を、10%のH2SO4溶液
に浸漬し、触媒核を活性化させた後、レジスト非形成部
分に対し、無電解ニッケルによる一次めっきを行った
(第2図(e)参照)。この一次めっきでは、NiSO4・6H2O
:30g/l(0.113mol/l)、NaPH2O2・H2O :15g/l(0.14mol
/l)、NaH2C6H5O7:60g/l(0.28mol/l)という液組成の薄
付け無電解ニッケルめっき液を使用し、処理時間を60
分、処理温度を60℃とし、厚さ約2μmの無電解ニッケ
ルめっき層6を形成した。なお、めっき析出速度は2μ
m/hrであった。 (9) 前記(8)の一次めっきを施した配線板を、水洗した
後、下記液組成の前処理液7である無銅イオンのTEA
浴に、下記処理条件にて浸漬することにより、予め、一
次めっき膜6表面の前処理を行った(第2図(f)参
照)。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 10ml/l(0.123mol/l) ・錯化剤としてのTEA: 10g/l(0.067mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 10g/l(0.25mol/l) (pH=12) ・処理温度: 47℃ ・処理時間: 6分 なお、本実施例において、前処理液7として使用可能な
液組成および処理条件の適正範囲は、下記の通りであ
る。 〔前処理液組成および処理条件の適正範囲〕 ・還元剤(例えばHCHO): 2〜20ml/l(0.025〜0.25mol/l) ・錯化剤としてのTEA: 1〜10g/l(0.0067〜0.067mol/l) ・塩基性化合物(例えばNaOH): 5〜15g/l(0.125〜0.375mol/l) (pH=12) ・処理温度: 30〜55℃ ・処理時間: 1分〜10分 (10) 前記(9)の前処理を施した後、その前処理液7から
取り出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっ
き用の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行っ
た。この二次めっきでは、HCHO:3.5ml/l(0.043mol/
l)、NaOH:5g/l(0.125mol/l)、TEA:8g/l(0.054mol/
l)、CuSO4・5H2O:4.5g/l(0.0179mol/l)、安定剤:少量
という液組成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処理
時間を3時間、処理温度を70℃とし、厚さ21μmの無電
解銅めっき層8を形成した(第2図(g)参照)。なお、
めっき析出速度は7μm/hrであった。
【0091】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視検査したところ、未析やノジュール等は全く確認
されなかった。また、二次めっき用の無電解銅めっき液
の分解も生じていなかった。 (実施例2)TEAに代わる錯化剤として、酒石酸塩を
使用したこと以外は、実施例1とほぼ同様にして、無電
解銅めっき層を形成した。すなわち、 (1)実施例1の手
順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処理、触媒核付与、
めっきレジストの形成および活性化処理までの工程の処
理を行った。 (2)前記(1)の活性化処理をし終えた配線板のレジスト非
形成部分に対し、無電解銅−ニッケル−リン合金めっき
による一次めっきを行った。
【0092】この一次めっきでは、NiSO4・6H2O :20g/
l(0.075mol/l)、CuSO4・5H2O:3g/l(0.0119mol/l)、N
aPH2O2・H2O:15g/l(0.142mol/l)、NaH2C6H5O7:70g/l
(0.327mol/l)という液組成の薄付け無電解銅−ニッケル
−リン合金めっき液を使用し、処理時間を60分、処理温
度を55℃とし、厚さ約2μmの無電解銅−ニッケル−リ
ン合金めっき層を形成した。なお、めっき析出速度は2
μm/hrであった。 (3)前記(2)の一次めっきを施した配線板を、水洗した
後、錯化剤としての酒石酸塩、塩基性化合物および還元
剤を含む下記液組成の前処理液(以下、「酒石酸浴」と
いう。)に、下記処理条件にて浸漬することにより、予
め、一次めっき膜表面の前処理を行った。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 15ml/l(0.185mol/l) ・錯化剤としての酒石酸塩: 20g/l(0.090mol/l) (K2C4H4O6・2H2O) ・塩基性化合物(NaOH): 20g/l(0.5mol/l) (pH=12) ・処理温度: 50℃ ・処理時間: 10分 なお、本実施例において、前処理液として使用可能な液
組成および処理条件の適正範囲は、下記の通りである。 〔前処理液組成および処理条件の適正範囲〕 ・還元剤(例えばHCHO): 2〜20ml/l(0.025〜0.25mol/l) ・錯化剤としての酒石酸塩: 5〜30g/l(0.022〜0.135mol/l) ・塩基性化合物(例えばNaOH): 5〜15g/l(0.125〜0.375mol/l) (pH=12) ・処理温度: 30〜55℃ ・処理時間: 1分〜10分 (4)前記(3)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:12ml/l(0.148mol/l)、NaO
H:20g/l(0.50mol/l)、K2C4H4O6・2H2O :80g/l(0.359
mol/l)、CuSO4・5H2O:8g/l(0.032mol/l)、安定剤:少
量という液組成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処
理時間を5時間、処理温度を40℃とし、厚さ20μmの無
電解銅めっき層を形成した。なお、めっき析出速度は4
μm/hrであった。
【0093】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視検査したところ、未析やノジュール等は全く確認
されなかった。また、二次めっき用の無電解銅めっき液
の分解も生じていなかった。 (実施例3)TEAに代わる錯化剤として、エチレンジ
アミン四酢酸ナトリウム(EDTA)を使用したこと以外は、
実施例1とほぼ同様にして、無電解銅めっき層を形成し
た。すなわち、 (1)実施例1の手順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処
理、触媒核付与、めっきレジストの形成および活性化処
理までの工程の処理を行った。 (2)前記(1)の活性化処理をし終えた配線板のレジスト非
形成部分に対し、無電解銅−ニッケル合金めっきによる
一次めっきを行った。この一次めっきでは、NliSO4・6H
2O :20g/l(0.076mol/l)、CuSO4・5H2O :3g/l(0.0119m
ol/l)、NaPH2O2・H2O :15g/l(0.142mo1/l)、NaH2C6H5O
7:70g/l(0.327mol/l)という液組成の薄付け無電解銅−
ニッケル合金めっき液を使用し、処理時間を60分、処理
温度を55℃とし、厚さ約2μmの無電解銅−ニッケル合
金めっき層を形成した。なお、めっき析出速度は2μm
/hrであった。 (3)前記(2)の一次めっきを施した配線板を、水洗した
後、錯化剤としてのEOTA、塩基性化合物および還元剤を
含む下記液組成の前処理液(以下、「EOTA浴」とい
う。)に、下記処理条件にて空気攪拌しながら浸漬する
ことにより、予め、一次めっき膜表面の前処理を行っ
た。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 10ml/l(0.123mol/l) ・錯化剤としてのEDTA: 10g/l(0.067mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 5g/l(0.12mol/l)(pH=12.5) ・処理温度: 50℃ ・処理時間: 10分 (4)前記(3)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:3.5ml/l(0.043mol/l)、NaO
H:5グラム/l(0.12mol/l)、TEA:8g/l(0.054mol/
l)、CuSO4・5H2O :4.5g/l(0.018mol/l)、安定剤:少量
という液組成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処理
時間を3時間、処理温度を70℃とし、厚さ21μmの無電
解銅めっき層を形成した。なお、めっき析出速度は7μ
m/hrであった。このようにして得られた無電解銅めっ
き層を目視検査したところ、未析やノジュール等は全く
確認されなかった。また、二次めっき用の無電解銅めっ
き液の分解も生じていなかった。なお、本実施例では、
前処理時に空気攪拌しているので、その処理液は変色な
く長期に亘って使用することができた。 (実施例4)本実施例では、安定剤を含む前処理液を使
用したこと以外は、実施例1とほぼ同様にして、無電解
銅めっき層を形成した。すなわち、 (1)実施例1の手順
に準拠し、接着剤層の形成、粗化処理、触媒付与、めっ
きレジストの形成、活性化処理および一次めっきとして
の無電解ニッケルめっきを行った。 (2)前記(1)の一次めっきをし終えた配線板を、水洗した
後、安定剤としてH2O2を含む下記液組成の前処理液に、
下記処理条件にて浸漬することにより、予め、一次めっ
き膜表面の前処理を行った。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 20ml/l(0.25mol/l) ・錯化剤としてのTEA: 8グラム/l(0.054mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 12g/l(0.30mol/l)(pH=12.5) ・安定剤(H2O2): 2cc/l(0.03mol/l) ・処理温度: 55℃ ・処理時間: 5分 (3)前記(2)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき浴中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:1.5ml/l(0.0185mol/l)、Cu
SO4・5H2O :4g/l(0.016mol/l)、TEA:8g/l(0.054mo
l/l)、NaOH:8g/l(0.20mol/l)、安定剤:少量という液
組成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処理時間を3
時間、処理温度を65℃とし、厚さ18μmの無電解銅めっ
き層を形成した。なお、めっき析出速度は6μm/hrで
あった。
【0094】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視したところ、未析やノジュール等は全く確認され
なかった。また、前処理液中に安定剤としてH2O2を入れ
たので、その処理液は変色なく長期に渡って使用するこ
とができた。 (実施例5)本実施例では、TEAにかわる錯化剤とし
て、アミノ酢酸を使用したこと以外は、実施例1とほぼ
同様にして、無電解銅めっき層を形成した。すなわち、 (1)実施例1の手順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処
理、触媒付与、めっきレジストの形成、活性化処理およ
び一次めっきとしての無電解ニッケルめっきを行った。 (2)前記(1)の一次めっきをし終えた配線板を、水洗した
後、錯化剤としてアミノ酢酸を含む下記液組成の前処理
液に、下記処理条件にて浸漬することにより、予め、一
次めっき膜表面の前処理を行った。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 15ml/l(0.185mol/l) ・錯化剤(アミノ酢酸): 5グラムl(0.033mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 14g/l(0.35mol/l) ・安定剤: 少量 ・処理温度: 45℃ ・処理時間: 3分 (3)前記(2)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:4 ml/l(0.049mol/l)、CuSO
4・5H2O :4g/l(0.016mol/l)、TEA:5g/l(0.033mol/
l)、NaOH:10g/l(0.25mol/l)、安定剤:少量という液組
成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処理時間を3時
間、処理温度を60℃とし、厚さ16μmの無電解銅めっき
層を形成した。なお、めっき析出速度は6μm/hrであ
った。
【0095】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視したところ、未析やノジュール等は全く確認され
なかった。 (実施例6)本実施例では、TEAにかわる錯化剤とし
て、安息香酸を使用したこと以外は、実施例1とほぼ同
様にして、無電解銅めっき層を形成した。すなわち、 (1)実施例1の手順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処
理、触媒付与、めっきレジストの形成、活性化処理およ
び一次めっきとしての無電解ニッケルめっきを行った。 (2)前記(1)の一次めっきをし終えた配線板を、水洗した
後、錯化剤として安息香酸を含む下記液組成の前処理液
に、下記処理条件にて浸漬することにより、予め、一次
めっき膜表面の前処理を行った。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 15ml/l(0.185mol/l) ・錯化剤(安息香酸): 10g/l(0.067mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 14g/l(0.35mol/l) ・安定剤: 少量 ・処理温度: 50℃ ・処理時間: 3分 (3)前記(2)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:4 ml/l(0.049mol/l)、CuSO
4・5H2O :4g/l(0.016mol/l)、NaOH:10g/l(0.25mol/
l)、安定剤:少量という液組成の厚付け無電解銅めっき
液を使用し、処理時間を3時間、処理温度を60℃とし、
厚さ16μmの無電解銅めっき層を形成した。なお、めっ
き析出速度は6μm/hrであった。
【0096】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視したところ、未析やノジュール等は全く確認され
なかった。 (実施例7)本実施例では、TEAにかわる錯化剤とし
て、クエン酸二水素ナトリウムを使用したこと以外は、
実施例1とほぼ同様にして、無電解銅めっき層を形成し
た。すなわち、 (1)実施例1の手順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処
理、触媒付与、めっきレジストの形成、活性化処理およ
び一次めっきとしての無電解ニッケルめっきを行った。 (2)前記(1)の一次めっきをし終えた配線板を、水洗した
後、錯化剤としてクエン酸二水素ナトリウムを含む下記
液組成の前処理液に、下記処理条件にて浸漬することに
より、予め、一次めっき膜表面の前処理を行った。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 10ml/l(0.123mol/l) ・錯化剤(クエン酸二水素ナトリウム): 10g/l(0.047mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 11g/l(0.275mol/l) ・安定剤: 少量 ・処理温度: 50℃ ・処理時間: 3分 (3)前記(2)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:4 ml/l(0.049mol/l)、CuSO
4・5H2O :4g/l(0.016mol/l)、TEA:5g/l(0.335mol/
l)、NaOH:10g/l(0.25mol/l)、安定剤:少量という液組
成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処理時間を3時
間、処理温度を60℃とし、厚さ16μmの無電解銅めっき
層を形成した。なお、めっき析出速度は6μm/hrであ
った。
【0097】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視したところ、未析やノジュール等は全く確認され
なかった。 (実施例8)本実施例では、TEAにかわる錯化剤とし
て、ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキノリン、β−ジケ
トン、ニトリロ三酢酸を使用したこと以外は、実施例1
とほぼ同様にして、無電解銅めっき層を形成した。
【0098】なお、ジオキシムとしてはグリオキシムを
使用し、ヒドロキノリンとしては 8−ヒドロシキノリン
(オキシン)を使用し、β−ジケトンとしてはアセチル
アセトンを使用した。すなわち、 (1)実施例1の手順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処
理、触媒付与、めっきレジストの形成、活性化処理およ
び一次めっきとしての無電解ニッケルめっきを行った。 (2)前記(1)の一次めっきをし終えた配線板を、水洗した
後、上記錯化剤を含む下記液組成の前処理液に、下記処
理条件にて浸漬することにより、予め、一次めっき膜表
面の前処理を行った。
【0099】なお、本実施例で用いた錯化剤は、ニトリ
ロ三酢酸を除いて水に溶解しにくいため、ニトリロ三酢
酸以外の錯化剤は、メタノールやエタノールなどのアル
コールもしくはアセトニトリルなどの極性有機溶媒に溶
解させた後、還元剤を溶解させたアルカリ水溶液に溶解
させ、下記の組成の前処理液を調製した。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(水素化ほう素ナトリウム): 5グラム/l(0.15mol/l) ・錯化剤: 5〜10g/l グリオキシム: 0.056mol/l ジチゾン: 0.039mol/l オキシン: 0.069mol/l ニトリロ三酢酸: 0.052mol/l アセチルアセトン: 0.050mol/l (それぞれ単独で使用した) ・塩基性化合物(NaOH): 14g/l(0.35mol/l) ・安定剤: 少量 ・メタノール,エタノール あるいはアセトニトリル: 1ml/l ・処理温度: 45℃ ・処理時間: 3分 (3)前記(2)の前処理を施した後、その前処理液から取り
出した配線板を水洗することなく速やかに二次めっき用
の無電解銅めっき液中に投入し、二次めっきを行った。
この二次めっきでは、HCHO:4ml/l(0.049mol/l)、CuSO4
・5H2O :4g/l(0.016mol/l)、TEA:5g/l(0.034mol/
l)、NaOH:10g/l(0.25mol/l)、安定剤:少量という液組
成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、処理時間を3時
間、処理温度を60℃とし、厚さ16μmの無電解銅めっき
層を形成した。なお、めっき析出速度は6μm/hrであ
った。
【0100】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視したところ、未析やノジュール等は全く確認され
なかった。 (比較例)この比較例は、一次めっき膜表面の前処理を
行わずに触媒付与したこと以外は、実施例1とほぼ同様
にして、無電解銅めっき層を形成した。すなわち、 (1)実施例1の手順に準拠し、接着剤層の形成、粗化処
理、触媒核付与、めっきレジストの形成および活性化処
理までの工程の処理を行った。 (2)前記(1)の活性化処理をし終えた配線板のレジスト非
形成部分に対し、無電解銅−ニッケル合金めっきによる
一次めっきを行った。この一次めっきでは、NiSO 4・6H2
O :20g/l(0.075mol/l)、CuSO4・5H2O :3g/l(0.012mol
/l)、NaPH2O2・H2O :15g/l(0.142mol/l)、NaH2C6H
5O7:70g/l(0.327mol/l)という液組成の薄付け無電解銅
−ニッケル合金めっき液を使用し、処理時間を60分、処
理温度を55℃とし、厚さ約2μmの無電解銅−ニッケル
合金めっき層を形成した。なお、めっき析出速度は2μ
m/hrであった。 (3)前記(1)の一次めっきをし終えた配線板を、Pd濃度50
ppm の塩酸水溶液中に5分間浸漬し、Pd触媒を付与した
後、その配線板を水洗し、二次めっき用の無電解銅めっ
き液中に投入し、二次めっきを行ったが、めっき膜は析
出しなかった。
【0101】この二次めっきでは、HCHO:2.0ml/l(0.02
5mol/l)、NaOH:5g/l(0.12mol/l)、TEA:8g/l(0.054
mol/l)、CuSO4・5H2O :4.5g/l(0.0179mol/l)、安定
剤:少量という液組成の厚付け無電解銅めっき液を使用
し、処理時間を3時間、処理温度を70℃とした。
【0102】そこで、厚付け無電解銅めっき液の液組成
をHCHO:3.5ml/l(0.043mol/l)、NaOH:5g/l(0.12mol/
l)、TEA:8g/l(0.054mol/l)、CuSO4・5H2O :4.5g/l
(0.0179mol/l)、安定剤:少量という組成に変更し、
処理時間を3時間、処理温度を70℃として二次めっきを
行った。その結果、厚さ21μmの無電解銅めっき層を形
成した。
【0103】しかし、得られた無電解銅めっき層を目視
したところ、めっきレジスト部分にノジュールが観察さ
れ、不良となった(第5図参照)。
【0104】本発明をプリント配線板の他の導体パター
ン形成における無電解銅めっき方法に具体化した実施例
について、第3図に従って説明する。 (実施例9) (1) ガラスエポキシ銅張積層板(銅箔;18μm、第3図
(a)参照)に黒化還元処理を施し、銅箔9の表面を粗面
化した。次いで、感光性ドライフィルムをラミネート
し、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィル
ムを通して紫外線露光させ画像を焼き付けた。次いで、
1,1,1-トリクロロエタンで現像を行った(第3図(b)参
照)。 (2) 前記(1)の処理を施した基板を、下記液組成の前処
理液である無銅イオンのTEA浴に、下記処理条件にて
浸漬することにより、予め、銅箔9表面の前処理を行っ
た。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 10ml/l(0.123mol/l) ・錯化剤としてのTEA: 10g/l(0.67mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 10g/l(0.25mol/l)(pH=12) ・処理温度: 47℃ ・処理時間: 6分 (3) 前記(2)の前処理を施した後、その前処理液から取
り出した配線板を水洗することなく速やかに無電解銅め
っき液中に投入し、めっきを行った(第3図(c)参
照)。この無電解銅めっきでは、HCHO:3.5ml/l(0.043m
ol/l)、NaOH:5g/l(0.12mol/l)、TEA:8g/l(0.054mo
l/l)、CuSO4・5H2O :4.5g/l(0.0179mol/l)、安定剤:
少量という液組成の厚付け無電解銅めっき液を使用し、
処理時間を3時間、処理温度を70℃とし、厚さ17μmの
無電解銅めっき層を形成した。なお、めっき析出速度は
7μm/hrであった。
【0105】このようにして得られた無電解銅めっき層
を目視検査したところ、未析やノジュール等は全く確認
されなかった。また、無電解銅めっき液の分解も生じて
いなかった。 (4) 次に、前記(3)で形成した無電解銅めっき層の表面
に、はんだめっきを施し(第3図(d)参照)、次いでめ
っきレジスト5を除去し(第3図(e)参照)、さらにエ
ッチング液(塩化ジアミン銅、塩化第二銅)を用いてめ
っきレジスト5部分の銅箔9を除去し(第3図(f)参
照)、前記はんだめっきで形成したはんだ層10を剥離す
ることにより(第3図(g)参照)、厚さ35μmの導体層
を形成した。
【0106】本発明を化粧板の製造に具体化した実施例
について図4に従って説明する。 (実施例10) (1) 秤量が 112g/m2で、酸化チタン(白色)を35%抄き
込んだクラフト紙に、メラミン樹脂を含浸させ、これを
乾燥して樹脂含浸紙11とした。このときの含浸率(含浸
率=樹脂量/樹脂含浸紙全体の重さ)は、200 %であっ
た。
【0107】(2) 前記(1)で得た樹脂含浸紙11を5枚と1
0μmの銅箔9を1枚とを積層し、150℃で80kg/cm2の条
件下で60分間ホットプレスして、表面に銅箔9が形成さ
れたメラミン樹脂基板を製造した(第4図(a)(b)参
照)。 (3) この銅張メラミン樹脂基板を、下記液組成の前処理
液に、下記処理条件にて浸漬することにより予め銅箔9
表面の前処理を行った。 〔前処理液組成および処理条件〕 ・還元剤(HCHO): 10ml/l(0.123mol/l) ・錯化剤としてのクエン酸二水素ナトリウム: 70g/l(0.327mol/l) ・塩基性化合物(NaOH): 0.25 mol/l(pH=12) ・処理温度: 47℃ ・処理時間: 6分 (4) 前記(3)の前処理を施した後、その前処理液から取
り出した基板を、洗浄、乾燥することなく速やかに下記
液組成の無電解ニッケルめっき液中に投入し、無電解め
っきを行った。 〔めっき液組成および処理条件〕 ・還元剤(フォスフィン酸ナトリウム): 0.2mol/l ・金属塩としての硫酸ニッケル(6結晶水): 0.05mol/l ・錯化剤としての クエン酸二水素ナトリウム: 70mmol/l ・めっき温度: 60℃ ・pH: 10 ・処理時間: 10時間 このような処理により、触媒を付与することなく、銅張
メラミン樹脂基板上に金属光沢のあるニッケルめっき層
8が析出し、そのめっき層8の厚さは、20μmであった
(第4図(c)参照)。 (5) 秤量が 112g/m2で、灰分が 0.1重量%のクラフト紙
に、メラミン樹脂を含浸させ、これを乾燥して樹脂含浸
紙11とした。このときの含浸率(含浸率=樹脂量/樹脂
含浸紙全体の重さ)は、200 %であった。 (6) 前記(5)で得られた樹脂含浸紙11を、上記(1)〜(4)
で得たニッケルめっき基板に積層し、さらにこの表面に
エンボス加工されたステンレス板を配置して、これを 1
50℃で80kg/cm2の条件下で60分間ホットプレスすること
により、表面に凹凸が形成された金属調メラミン化粧板
を製造した(第4図(d)(e)参照)。
【0108】このようにして製造した化粧板は、最表層
に灰分が非常に少ない透光性の樹脂層を有し、しかもこ
の樹脂層の表面はエンボス仕上げされているため、ニッ
ケルめっき層で反射された光が、表面で屈折、散乱され
て輝き、あたかもレンズのような効果を奏するので、高
級感を表現し、意匠性に優れた化粧板となる。
【0109】以上説明したように、上記のような前処理
を行うことを特徴とする本発明の無電解めっき方法によ
れば、未析やノジュール等の問題を生じることなく確実
にめっき反応を進行させることができる。
【0110】しかも、従来必須とされていたPd置換処理
を行うことなく、下地層(一次めっき膜、金属膜)の上
に無電解銅めっき層を確実に析出させることが可能にな
る。
【0111】その結果、Pd置換処理に起因する従来の諸
問題(コスト高、めっきの異状析出、浴の早期劣化、Pd
濃度制御の因難さ等)も解消される。
【0112】さらに、本発明にかかる無電解めっき方法
は、めっき析出速度が比較的速いTEA浴や酒石酸浴を
用いることにより、従来のEDTA浴に比べてより短時間に
無電解銅めっき層を得ることができ、加えて、上述のよ
うな前処理は、基材を単に処理液に浸漬するという極め
て簡易な方法により、1〜10分程度の短時間で処理でき
ることから、本発明方法は、コスト性にも作業性にも優
れている。
【0113】そしてさらに、実施例1、実施例2および
実施例4において、二次めっき液と前処理液とは、それ
ぞれの処理液中の錯化剤の種類が同じであり、しかも析
出金属イオンである銅イオンの有無を除き(ただし、両
者における成分の比率は若干異なる。)両者の組成は極
めて類似している。それ故に、配線板表面に付着した前
処理液が二次めっき用の無電解銅めっき液中に持ち込ま
れたとしても、該無電解銅めっき液の組成が大きく変化
することはない。すなわち、本発明方法によれば、液の
持ち込みに起因する二次めっき用の無電解銅めっき液の
劣化を確実に防止することができる。
【0114】なお、上記実施例においては、例えば次の
ような他の実施態様に変更することが可能である。 .実施例2において、前処理液および二次めっき用の
無電解銅めっき液中の錯化剤を酒石酸ナトリウムに変更
してもよい。 .実施例1および2において、錯化剤としてTEAを
含む前処理液で前処理した後、錯化剤として酒石酸塩を
含む二次めっき用の無電解銅めっき液でめっきを行って
もよい。逆に、錯化剤として酒石酸塩を含む前処理液で
前処理した後、錯化剤としてTEAを含む二次めっき用
の無電解銅めっき液でめっきを行ってもよい。即ち、前
処理液中の錯化剤と二次めっき用の無電解銅めっき液中
の錯化剤とは、必ずしも同一のものでなくてもよい。 .前処理の方法としては、実施例において例示した浸
漬法以外にも、例えばスプレー法などが適用可能であ
る。 .前処理液中に若干量(即ち、通常の無電解銅めっき
液に比較してかなり少量)の銅イオンが含まれていたと
しても、前処理において支障は生じない。 .下地層である一次めっき層を、上記実施例において
例示した無電解ニッケルめっき液、無電解銅−ニッケル
合金めっき液以外にも、例えば無電解銅めっき液や無電
解コバルトめっき液等によって形成してもよい。 .本実施例は、プリント配線板の導体パターン形成の
ための無電解銅めっき方法、金属調メラミン化粧板への
適用について説明したが、本発明は、かかる用途に限定
されることなく、例えば自動車部品等への無電解めっ
き、あるいは建築材料等への適用が可能である。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来のようなパラジウム置換処理を行うことなく確実に
めっき反応を進行させることができ、しかも、めっき析
出の高速化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、一次めっきを施した基材の各種溶液に
おける分極測定結果を示すグラフである。
【図2】第2図は、本発明を適用したプリント配線板の
一実施例を示す製造工程図である。
【図3】第3図は、同じく本発明を適用した他のプリン
ト配線板の一実施例を示す製造工程図である。
【図4】第4図は、本発明を適用した化粧板の一実施例
を示す製造工程図である。
【図5】第5図は、(a)実施例と(b)比較例の導体パター
ンを示す顕微鏡写真である。
【符号の簡単な説明】
1 基板 2 導体回路 3 接着剤層(層間樹脂絶縁層) 4 バイアホール形成用開口 5 めっきレジスト 6 一次めっき層(無電解ニッケルめっき層) 7 前処理液 8 二次めっき層(無電解銅めっき層,ニッケルめっき
層) 9 銅箔(銅) 10 はんだ層 11 樹脂含浸紙
フロントページの続き Fターム(参考) 4K022 AA01 AA11 AA42 BA08 BA14 BA35 BA36 CA16 CA22 CA23 DA01 DB04 DB07 5E343 AA17 AA18 AA23 BB24 BB44 CC01 CC74 CC78 DD33 DD63 ER02 FF17 GG20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された一次めっき金属膜上
    に無電解めっきによって二次めっき金属膜を形成する前
    に、一次めっき金属膜の表面電位を調整するための前処
    理液であって、 塩基性化合物、還元剤および錯化剤から主として構成さ
    れる無電解めっき用前処理液。
  2. 【請求項2】 銅イオンを含まないことを特徴とする請
    求項1に記載の無電解めっき用前処理液。
  3. 【請求項3】 前記塩基性化合物は、水酸化アンモニウ
    ム(NH4OH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム
    (LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム〔Ca
    (OH)2〕の中から選ばれる少なくとも1種である請求項
    1に記載の無電解めっき用前処理液。
  4. 【請求項4】 前記還元剤は、アルデヒド、次亜リン酸
    塩、水素化ホウ素塩およびヒドラジンの中から選ばれる
    少なくとも1種である請求項1に記載の無電解めっき用
    前処理液。
  5. 【請求項5】 前記錯化剤は、カルボン酸、カルボン酸
    塩、第3級アミン、ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキシ
    キノリン、β−ジケトンおよびアミノ酢酸のなかから選
    ばれるいずれか少なくとも1種である請求項1に記載の
    無電解めっき用前処理液。
  6. 【請求項6】 前記錯化剤は、多価カルボン酸、多価カ
    ルボン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、
    ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩、トリ
    アルカノールモノアミン、エチレンジアミン4酢酸、ジ
    メチルグリオキシム、ベンジルジグリオキシム、1,2-シ
    クロヘキサンジオンジグリオキシム、オキシン、アセチ
    ルアセトン、グリシンおよびニトリロ三酢酸塩のなかか
    ら選ばれるいずれか少なくとも1種である請求項1に記
    載の無電解めっき用前処理液。
  7. 【請求項7】 前記錯化剤は、酒石酸、酒石酸塩および
    トリエタノールアミンのなかから選ばれるいずれか少な
    くとも1種である請求項1に記載の無電解めっき用前処
    理液。
  8. 【請求項8】 塩基性化合物、還元剤、銅イオンおよび
    トリアルカノールアミンから主として構成される無電解
    銅めっき液を用いる無電解めっきの前処理として使用す
    ることを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき用前
    処理液。
  9. 【請求項9】 塩基性化合物、還元剤および錯化剤から
    主として構成される、一次めっきの金属膜の表面電位を
    調整するための無電解めっき用前処理液の槽と、塩基性
    化合物、還元剤、金属イオンおよび錯化剤から主として
    構成される無電解めっき液の槽とからなる無電解めっき
    浴。
  10. 【請求項10】 前記無電解めっき用前処理液は、請求
    項2〜7のいずれか1項に記載の前処理液である、請求
    項9に記載の無電解めっき浴。
  11. 【請求項11】 前記の前処理液と無電解めっき液と
    は、これらを構成する塩基性化合物、還元剤および錯化
    剤のうちの少なくとも1種が同一のものである請求項9
    に記載の無電解めっき浴。
  12. 【請求項12】 前記無電解めっき液は、塩基性化合
    物、還元剤、銅イオンおよびトリアルカノールアミンか
    ら主として構成される、請求項9に記載の無電解めっき
    浴。
  13. 【請求項13】 基材上に一次めっきを施した後に二次
    めっきを施す無電解めっき方法において、 前記二次めっきは、前記一次めっき金属膜に対して、塩
    基性化合物、還元剤および錯化剤から主として構成され
    る無電解めっき用前処理液による前処理を行なって、一
    次めっき金属膜の表面電位を調整した後に施すことを特
    徴とする無電解めっき方法。
  14. 【請求項14】 前記無電解めっき用前処理液は、請求
    項2〜7のいずれか1項に記載の前処理液である、請求
    項13に記載の無電解めっき方法。
  15. 【請求項15】 前記二次めっきは、塩基性化合物、還
    元剤、銅イオンおよびトリアルカノールアミンから主と
    して構成される無電解銅めっき液を用いることを特徴と
    する請求項13に記載の無電解めっき方法。
  16. 【請求項16】 基材上に形成された金属膜上に無電解
    めっきを施す無電解めっき方法において、 前記無電解
    めっきは、塩基性化合物、還元剤および錯化剤から主と
    して構成される無電解めっき用前処理液による前処理を
    行った後に施すことを特徴とする無電解めっき方法。
  17. 【請求項17】 前記無電解めっき用前処理液は、請求
    項2〜7のいずれか1項に記載の前処理液である、請求
    項16に記載の無電解めっき方法。
  18. 【請求項18】 前記無電解めっきは、塩基性化合物、
    還元剤、銅イオンおよびトリアルカノールアミンから主
    として構成される無電解銅めっき液を用いることを特徴
    とする請求項16に記載の無電解めっき方法。
JP2002220213A 1994-12-27 2002-07-29 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法 Pending JP2003155573A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002220213A JP2003155573A (ja) 1994-12-27 2002-07-29 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32558494 1994-12-27
JP6-325584 1994-12-27
JP5457695 1995-03-14
JP7-54576 1995-03-14
JP16525895 1995-06-30
JP7-165258 1995-06-30
JP2002220213A JP2003155573A (ja) 1994-12-27 2002-07-29 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52034996A Division JP3392873B2 (ja) 1994-12-27 1995-10-03 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003155573A true JP2003155573A (ja) 2003-05-30

Family

ID=27463085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002220213A Pending JP2003155573A (ja) 1994-12-27 2002-07-29 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003155573A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007141936A (ja) * 2005-11-15 2007-06-07 Ebara Udylite Kk 高密度銅パターンを有したプリント配線板の製造方法
JP2007254867A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Seiko Epson Corp めっき方法
JP2008060350A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Bridgestone Corp 光透過性電磁波シールド材の製造方法
JP2009155668A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Hitachi Chem Co Ltd 無電解パラジウムめっき反応開始促進前処理液、この前処理液を用いた無電解めっき方法、無電解めっき方法で形成された接続端子並びにこの接続端子を用いた半導体パッケージ及びその製造方法
CN115747880A (zh) * 2022-11-17 2023-03-07 南昌大学 一种易剥离超薄铜箔的制备方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007141936A (ja) * 2005-11-15 2007-06-07 Ebara Udylite Kk 高密度銅パターンを有したプリント配線板の製造方法
JP2007254867A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Seiko Epson Corp めっき方法
JP2008060350A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Bridgestone Corp 光透過性電磁波シールド材の製造方法
JP2009155668A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Hitachi Chem Co Ltd 無電解パラジウムめっき反応開始促進前処理液、この前処理液を用いた無電解めっき方法、無電解めっき方法で形成された接続端子並びにこの接続端子を用いた半導体パッケージ及びその製造方法
CN115747880A (zh) * 2022-11-17 2023-03-07 南昌大学 一种易剥离超薄铜箔的制备方法
CN115747880B (zh) * 2022-11-17 2023-10-03 南昌大学 一种易剥离超薄铜箔的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3392873B2 (ja) 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法
US6902765B2 (en) Method for electroless metal plating
JP3337802B2 (ja) 酸化銅(i)コロイドの金属化によるダイレクトプレーティング方法
CN107868947B (zh) 一种活化液及其制备方法和无钯活化化学镀镍方法
KR102116055B1 (ko) 무전해 니켈 스트라이크 도금액
KR100759452B1 (ko) 니켈 패턴이 형성된 질화알루미늄 기판의 제조방법
JP3890542B2 (ja) プリント配線板の製造方法
JP6268379B2 (ja) 無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ用のニッケルコロイド触媒液並びに無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ方法
JPH06283860A (ja) 多層プリント配線板およびその製造方法
JP4064801B2 (ja) 金属膜形成処理方法、半導体装置及び配線基板
JP2003155573A (ja) 無電解めっき用前処理液、無電解めっき浴および無電解めっき方法
US5770032A (en) Metallizing process
KR20140019174A (ko) 인쇄회로기판의 제조방법
JP5371465B2 (ja) 非シアン無電解金めっき液及び導体パターンのめっき方法
JPH0376599B2 (ja)
JPH048958B2 (ja)
JPH11330652A (ja) 基板及びその製造方法
CN116324032A (zh) 在不用钯活化的情况下在铜上无电镀镍沉积的方法
JP2003013245A (ja) 樹脂基材上への導電性皮膜の形成法
JPH09137277A (ja) 無電解めっき液、無電解めっき方法およびプリント配線板の製造方法
JP4842620B2 (ja) 高密度銅パターンを有したプリント配線板の製造方法
JPH0521932A (ja) プリント配線板の製造方法
TWI820379B (zh) 無電解電鍍製程及雙層鍍膜
JPH1072677A (ja) 一次めっき用無電解めっき液
JPH09223859A (ja) プリント配線板

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051220

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060328