JP2003155464A - エポキシ樹脂組成物からなる極薄金属膜付き接着シート - Google Patents

エポキシ樹脂組成物からなる極薄金属膜付き接着シート

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JP2003155464A
JP2003155464A JP2001353396A JP2001353396A JP2003155464A JP 2003155464 A JP2003155464 A JP 2003155464A JP 2001353396 A JP2001353396 A JP 2001353396A JP 2001353396 A JP2001353396 A JP 2001353396A JP 2003155464 A JP2003155464 A JP 2003155464A
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Takehiro Miyashita
下 武 博 宮
Toshio Suetsugu
次 俊 夫 末
Shimizu Imagawa
川 清 水 今
Wataru Soejima
島 渡 副
Susumu Yamazaki
進 山▲崎▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アディティブ工法に好適に使用できると共
に、従来困難であったレーザーによる銅箔直接加工が可
能な、生産性に優れた、例えば印刷配線基板材料として
好適な接着シートの提供。 【解決手段】 フィルム状に形成されたBステージのエ
ポキシ樹脂組成物シートと、該エポキシ樹脂組成物シー
トの少なくとも片面に厚さが50nm〜1000nmに
なるように形成された極薄金属膜とからなることを特徴
とする接着シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、エポキシ樹脂組成物と極
薄金属薄膜とからなる接着シートに関し、さらに詳しく
は、フィルム状に形成されたBステージのエポキシ樹脂
組成物シートと、該エポキシ樹脂組成物シートの少なく
とも片面に形成された極薄金属膜とからなり、信頼性お
よび生産性に優れ、印刷配線基板等に用いられる接着シ
ートに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】民生用、産業用電子機器には、広
く印刷回路基板が使用されている。最近、この印刷回路
基板は、単なる電子部品間の電気的接続をする支持板と
してだけではなく、低コスト化を図るため、たとえばメ
モリー、CPU(Central ProcessingUnit、中央演算装
置)等の半導体装置のパッケージ材といった、いわゆる
半導体回路基板にも多用されるようになってきた。この
ような半導体回路基板では、IC(Integrated Circui
t、集積回路)のI/O端子数(Input/Output端子、入
出力端子)の増加や小型化の要請に応じるために、多数
の配線や層間接続穴を微細かつ高い位置精度で加工する
ことが要求されるようになってきている。このような状
況下、従来の銅張積層板を用いたサブトラクティブ工法
では加工が困難となってきた。すなわち、従来の銅張積
層板を用いたサブトラクティブ工法では、内層回路を予
め形成した銅張積層板(コア材)に、ガラス繊維や芳香
族ポリアミド繊維等の不織布にエポキシ樹脂やポリイミ
ド樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁材料(プリプ
レグ)と銅箔とを積層して熱プレスを行った後、機械的
にドリルでスルーホールを形成して無電解銅メッキある
いは電解銅メッキにより各層間の回路を接続し、その後
に、フォトリソグラフィーの手法により最外層の回路を
形成していた。しかし、この方法では、加工するドリル
径の小径化に限界があり、また、熱プレスや銅めっき後
の研磨工程等により基板の伸縮にバラツキが生じるた
め、層間接続用のスルーホールやフォトリソグラフィー
工程における露光の微細な位置決めが困難となってい
た。そのため、絶縁層と導体回路を1層ずつ逐次加工し
て多層化する、ビルドアップ工法が用いられるようにな
ってきた。ビルドアップ工法においては、導体回路の微
細化に対応するために、パターンレジストを用いた電解
銅めっきや無電解銅めっきにより直接導体回路を形成す
るアディティブ工法が広く用いられている。
【0003】ビルドアップ工法の積層方法では、液状の
感光性エポキシ樹脂前駆体を使用してフォトリソグラフ
ィーの手法により層間接続用の穴と絶縁層を形成し、パ
ターンレジストを用いたアディティブ工法で層間接続と
配線パターンを形成する方法が実用化されている。しか
し、この方法では、プロセス制御の難しさやそれに伴う
製造歩留まり(良品率)の低下により、低コスト化には
必ずしも適するプロセスとはなっていなかった。
【0004】最近では、携帯電話(Personal Handy Sel
ler(PHS)、Mobile Phone等)、携帯情報端末(PD
A:Personal Digital Assistant)またはハンドヘルド
コンピューターの基板等にもビルドアップ工法が用いら
れ、実装密度の向上による機器の小型化に寄与してい
る。しかしながら、価格上の制約からビルドアップ工法
により作られる層数も制限され、基板コストの上昇を吸
収し得る販売価格の高い装置にしか適用できず、また、
従来の多層積層印刷配線板でも実現可能な配線ルールで
ある必要があるなどの制約があるのが実状である。
【0005】一方、作業性に優れる等の利点からBステ
ージ(半硬化状)の接着シートを熱プレスにより硬化し
て絶縁層を形成し、レーザーにより層間接続用の穴を形
成して、無電解銅めっきや電解銅めっきにより層間の導
体回路を接続する方法も検討されている。この方法で
は、層間の絶縁層を形成するために、内層回路が形成さ
れた基板上に接着シートと銅箔を積層して熱プレスを行
う。しかしながら、この表面に貼り付けられる銅箔の厚
みによって、以下のような問題が発生していた。 (a)通常用いられる銅箔は12μm以上の厚さがあ
り、層間接続用に電気めっきを行うと更に銅箔の厚みは
増してしまうため、サブトラクティブ工法でのファイン
パターン形成は困難である。 (b)パターンレジストを用いたアディティブ工法で加
工を行うには、銅箔の全面エッチングと露出した樹脂の
粗化処理、あるいは、銅箔の薄膜化エッチングが必要と
なり、加工工程が複雑となる。 (c)炭酸ガスレーザーでは銅箔の微細な穴開けが困難
であり、レーザー加工部位の銅箔に予めエッチングによ
り穴を開けておく必要があり、加工工程が複雑となる。 (d)UV−YAGレーザーやエキシマレーザー等の紫
外線レーザーでは銅箔を貫通する微細な穴開けは可能で
あるが、銅箔の貫通に多数のショット数が必要であり加
工に時間が掛かる。
【0006】このように、接着シートを用いる方法にお
いては、用いられる銅箔の厚みが微細配線加工の様々な
障害となり、種々の課題を残していた。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであって、アディティブ工法に好適に使用できると
共に、従来困難であったレーザーによる銅箔の直接穴開
け加工が可能な、生産性に優れた、例えば印刷配線基板
用材料として好適な接着シートを提供することを目的と
している。
【0008】
【発明の概要】本発明者らは、フィルム状に形成された
Bステージのエポキシ樹脂組成物シートの少なくとも片
面に極薄金属膜を形成することにより、上記目的を達成
できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、
本発明の接着シートは、フィルム状に形成されたBステ
ージのエポキシ樹脂組成物シートと、該エポキシ樹脂組
成物シートの少なくとも片面に形成された厚さが50n
m〜1000nmの極薄金属膜とからなることを特徴と
している。
【0009】前記極薄金属膜は、銅を主体とする金属か
らなることが好ましい。前記極薄金属膜は、スパッタ法
によって形成されたものであることが好ましい。前記エ
ポキシ樹脂組成物シートは、必須成分として(A)エポ
キシ樹脂、(B)カルボキシル基含有ニトリルゴムまた
はカルボキシル基含有水添ニトリルゴム、(C)硬化
剤、および、必要に応じて(D)硬化促進剤を含むエポ
キシ樹脂組成物からなることが好ましい。
【0010】前記カルボキシル基含有ニトリルゴムまた
はカルボキシル基含有水添ニトリルゴム(B)は、エポ
キシ樹脂(A)と硬化剤(C)と必要に応じて含まれる
硬化促進剤(D)との合計100重量部に対して、5〜
100重量部の量で含まれていることが好ましく、かつ
硬化剤(C)がフェノールノボラックであることが好ま
しい。
【0011】エポキシ樹脂(A)100重量部中に、多
官能エポキシ樹脂が少なくとも5重量部の量で含まれ、
かつ硬化剤(C)がフェノールノボラックであることが
好ましい。硬化促進剤(D)は、脂肪族ジメチル尿素誘
導体であることが好ましく、より具体的には、下記式1
または式2で示される化合物であることが好ましい:
【0012】
【化2】
【0013】硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂(A)
中のエポキシ基1当量に対して、0.0001〜0.2
当量の割合で含まれていることが好ましい。前記エポキ
シ樹脂組成物シートは、離型性基材上に形成されること
が好ましい。
【0014】
【発明の具体的説明】本発明の接着シートは、フィルム
状に形成されたBステージ(B段階またはB状態ともい
う)のエポキシ樹脂組成物シートと該エポキシ樹脂組成
物シートの少なくとも片面に形成された極薄金属膜とか
らなるものである。また、本発明で用いられるエポキシ
樹脂組成物シートは、(A)エポキシ樹脂、(B)カル
ボキシル基含有ニトリルゴムまたはカルボキシル基含有
水添ニトリルゴム、(C)硬化剤を含み、さらに、必要
に応じて(D)硬化促進剤を含むエポキシ樹脂組成物か
ら形成される。
【0015】以下、(A)〜(D)成分について、順次
説明する。本発明で使用する(A)成分のエポキシ樹脂
とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するもの
である。このようなエポキシ樹脂としてはたとえば、ポ
リフェノール類およびその誘導体のグリシジルエーテル
系エポキシ樹脂、前記ポリフェノール類およびその誘導
体の芳香核水添物のグリシジルエーテル系エポキシ樹
脂、ノボラック類のグリシジルエーテル系エポキシ樹
脂、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル系エポキ
シ樹脂、ポリグリシジルアミン系エポキシ樹脂、脂環族
系エポキシ樹脂ならびにハロゲン含有エポキシ樹脂等が
挙げられる。
【0016】ポリフェノール類およびそのアルキル基修
飾誘導体のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂は、たと
えばポリフェノール類とエピクロロヒドリンとの反応で
得られ、このようなポリフェノール類としては、具体的
には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン<ビスフェノールA>、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン<ビスフェノールAD>、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン<ビスフェノールF>、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フ
ェノール等のビスフェノール;ビス[3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3,5−ジ
エチル−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル]エタン、ビス
[3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル]エタン
等のビスフェノールのアルキル基修飾誘導体;1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−
[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチ
ル]−4−[α’、α’−ビス(4”−ヒドロキシフェ
ニル)エチル]ベンゼン等のトリスフェノールおよびア
ルキル基修飾誘導体;1,1,2,2−テトラキス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン等のその他のポリフェノ
ールおよびそのアルキル基修飾誘導体;カテコール、レ
ゾルシン、ハイドロキノン等の上記以外の多価フェノー
ルおよびその誘導体などが挙げられる。
【0017】このようなポリフェノール類は、芳香核が
水添された芳香核水添物であってもよい。ノボラック類
のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂は、たとえばノボ
ラック類とエピクロロヒドリンとの反応で得られ、この
ようなノボラック類としては、具体的には、オルソクレ
ゾールノボラック、フェノールノボラック、p−t−ブ
チルフェノールノボラック、フェノールアラルキル樹脂
等が挙げられる。
【0018】ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル
系エポキシ樹脂は、たとえばポリカルボン酸とエピクロ
ロヒドリンとの反応で得られ、このようなポリカルボン
酸としては、具体的には、フタル酸、シクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸等が挙げられる。ポリグリシジル
アミン系エポキシ樹脂は、たとえばアミン化合物とエピ
クロロヒドリンとの反応で得られ、このようなアミン化
合物としては、具体的には、トリグリシジルイソシアヌ
レート、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミ
ノジフェニルメタン、トリグリシジルm−およびp−ア
ミノフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジ
ルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
【0019】脂環族系エポキシ樹脂としては、具体的に
は、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキ
シド、ジシクロペンタジエンジオキシド等が挙げられ
る。ハロゲン含有エポキシ樹脂としては、具体的には、
臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノ
ールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの
エポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を
混合して用いてもよい。また、これらのエポキシ樹脂
は、単官能エポキシ樹脂を組合わせて用いてもよく、こ
のような単官能エポキシ樹脂としては、具体的には、上
記ポリフェノール類、その誘導体および上記ノボラック
類のモノグリシジルエーテル化合物、上記ポリカルボン
酸のモノグリシジルエステル化合物、上記アミン化合物
のモノグリシジルアミン化合物などが挙げられる。
【0020】エポキシ樹脂(A)は、全エポキシ樹脂1
00重量部中に多官能エポキシ樹脂を少なくとも5重量
部、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは
20〜100重量部の量で含んでいることが好ましい。
多官能エポキシ樹脂が上記のような量で含まれている
と、基板として用いた時に、耐熱性、耐湿性に優れるか
らである。なお、ここで多官能エポキシ樹脂とは、通
常、1分子中に平均2個以上、好ましくは2〜5個のエ
ポキシ基を有するエポキシ樹脂をいう。
【0021】(B)成分のカルボキシル基含有ニトリル
ゴムとしては、たとえばアクリロニトリルとブタジエン
とが3/97〜60/40、耐熱性、可撓性の点でより
好ましくは、5/95〜45/55のモル比で共重合し
たアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムの末端をカ
ルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリルおよ
びブタジエンと共に、さらにアクリル酸またはメタクリ
ル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体を3元共重合
させた共重合ゴム等が用いられる。
【0022】上記共重合ゴム中のカルボキシル基含有量
は、0.5〜13重量%であることが好ましく、接着
性、耐熱性の点で、1〜8重量%のものがさらに好まし
い。また、該カルボキシル基を含有するニトリルブタジ
エンゴムは、必要に応じて有機溶剤に溶解させ、あるい
は分散させた形でも用いることができる。この際使用で
きる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、エタノール、2−プロパ
ノール、メチルセロソルブTM(エチレングリコールモノ
メチルエーテル)、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、トルエンおよびキシレン等が、価格面、接着シ
ート製造時の乾燥性の点から好ましい。
【0023】このようなカルボキシル基含有ニトリルゴ
ムとしては、具体的には、ハイカーCTBN(宇部興産
社製)、PNR−1H(JSR社製)、Nipol10
72、1072J、1072CG、1072X28、D
N631、DN601(以上日本ゼオン社製)、または
KrynacX7.50(Bayer社製)などが知ら
れている。
【0024】また、本発明で用いられるカルボキシル基
含有水添ニトリルゴムは、上記カルボキシル基含有ニト
リルゴムを水添することによって得ることができる。
(C)成分の硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香
族ポリアミン、フェノールノボラック類、イミダゾール
誘導体、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、ポリア
ミノアミド、酸無水物、ポリメルカプタン、またはポリ
カルボン酸から誘導されるポリヒドラジド化合物などの
一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られている化合物
を用いることができる。
【0025】具体的には、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシ
クロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、イソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジ
アミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4’−ジアミノ−3,3−ジクロロジフェニル
メタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,4,4’−テ
トラクロロジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェ
ニルアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル
−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、トリス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキ
シ)エタン、フェノールノボラック、オルソクレゾール
ノボラック、フェノールアラルキル樹脂類、四国化成社
製のキュアゾール2MZ、2E4MZ、2E4MZ−A
ZINE、2MAOK、C11Z、C11Z−AZIN
E、2PHZ、などが挙げられるが、耐熱性および銅接
着力の点からみてフェノールノボラックが最も好まし
い。本明細書中、フェノールノボラック類という用語に
は、オルソクレゾールノボラックまたはフェノールアラ
ルキル樹脂等のいわゆる広義のフェノールノボラック類
も含む。
【0026】(D)成分の硬化促進剤としては、エポキ
シ樹脂の硬化促進剤として一般に知られている化合物を
用いることができ、たとえば、第3級アミン類、イミダ
ゾール誘導体、アミンの三フッ化ホウ素コンプレック
ス、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウ
ンデセン−7)と各種プロトン酸との塩、エポキシ樹脂
との変性反応で活性を落としたアミンまたはイミダゾー
ル類等、あるいはイソシアネートとジメチルアミンの反
応生成物であるジメチル尿素等を、必要に応じて前記硬
化剤(C)と併用して用いることができる。
【0027】具体的には、第3級アミン類としては、ベ
ンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)
フェノール、または2,4,6−トリス(ジメチルアミ
ノメチル)フェノール等が、イミダゾール誘導体として
は、四国化成社製品のキュアゾール2MZ、2E4M
Z、2E4MZ−AZINE、2MAOK、C11Z、
C11Z−AZINE、または2PHZ等が、アミンの
三フッ化ホウ素コンプレックスとしては、Anchor
社製のAnchor 1170、1171、1040、
1115、1222等、あるいは橋本化成社製のモノエ
チルアミン、ピペリジンまたはトリエタノールアミンと
三フッ化ホウ素とのコンプレックス等が、DBUと各種
プロトン酸との塩としては、サンアプロ社製のU−CA
T SA1(DBU・フェノール塩)、U−CAT S
A102(DBU・オクチル酸塩)、U−CAT SA
506(DBU・p−トルエンスルホン酸塩)、U−C
AT SA603(DBU・ギ酸塩)U−CAT SA
831(DBU・フェノールノボラック塩)、U−CA
T SA841(DBU・フェノールノボラック塩)、
またはSA851(DBU・フェノールノボラック塩)
等が、エポキシ樹脂との変性反応で活性を落としたアミ
ンまたはイミダゾール類としては、味の素社製のアミキ
ュアPN−23、またはMY24等が挙げられる。
【0028】上記した硬化促進剤のなかでも、イソシア
ネートとジメチルアミンの反応生成物であるジメチル尿
素誘導体が特に好ましい。このようなジメチル尿素誘導
体は、ジメチルウレイド基[−NH−C(=O)−N
(CH32]が芳香族環に結合した芳香族ジメチル尿素
誘導体と、脂肪族基に結合した脂肪族ジメチル尿素誘導
体とに分類できる。
【0029】芳香族ジメチル尿素誘導体の具体例として
は、フェニルイソシアネートとジメチルアミンとから得
られるジメチル尿素、クロロフェニルイソシアネートと
ジメチルアミンとから得られるジメチル尿素、ジクロロ
フェニルイソシアネートとジメチルアミンとから得られ
るジメチル尿素、またはトリレンジイソシアネートとジ
メチルアミンとから得られるジメチル尿素等が挙げられ
る。
【0030】また、脂肪族ジメチル尿素誘導体の具体例
としては、イソホロンジイソシアネートとジメチルアミ
ンとから得られる下記式1で示されるジメチル尿素、m
−キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから
得られる下記式2で示されるジメチル尿素、
【0031】
【化3】
【0032】ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチ
ルアミンとから得られる下記式3で示されるジメチル尿
素、および下記式4または下記式5で示されるジメチル
尿素等が挙げられる。
【0033】
【化4】
【0034】ジメチル尿素誘導体の中でも脂肪族ジメチ
ル尿素誘導体が、特に常温域での硬化促進作用が小さ
く、かつ150℃以上の硬化温度領域では硬化促進作用
が急に増大するという性質を有するので好ましい。すな
わち、脂肪族ジメチル尿素誘導体は、常温域では硬化促
進作用が小さいため、硬化促進剤として脂肪族ジメチル
尿素誘導体を用いると、得られるエポキシ樹脂組成物の
Bステージでの保存安定性に優れる。また、エポキシ樹
脂組成物をBステージに加工する際には、溶媒を除去す
るため、一般に100〜140℃などの条件で乾燥させ
ることが多いが、その際も、上記の性質から、硬化反応
をそれほど進行させることなく溶剤の除去が可能となる
ため、反応率を所定の割合に制御することが比較的容易
となり、脂肪族ジメチル尿素誘導体は、この点でも優れ
ている。したがって、脂肪族ジメチル尿素誘導体は、本
用途に好適な硬化促進剤である。
【0035】本発明の接着シートに用いるエポキシ樹脂
組成物は、上記のような(A)エポキシ樹脂、(B)カ
ルボキシル基含有ニトリルゴムまたはカルボキシル基含
有水添ニトリルゴム、および(C)硬化剤を必須成分と
し、必要に応じて(D)硬化促進剤を含有するものであ
る。本発明に用いられる樹脂組成物中の硬化剤(C)の
割合は、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1当量に対
して、通常0.7〜1.5当量、好ましくは0.8〜
1.2当量であることが望ましい。(C)成分の配合量
が上記範囲にあると、樹脂組成物のBステージでの長期
保存安定性に優れ、当該樹脂組成物より形成される接着
性シートの耐熱性、耐吸水性等が優れる傾向にある。
【0036】また、硬化促進剤(D)の割合は、エポキ
シ樹脂(A)中のエポキシ基1当量に対して、通常0.
0001〜0.2当量、好ましくは0.001〜0.1
当量であることが望ましく、特に硬化促進剤が脂肪族ジ
メチル尿素誘導体の場合には、通常0.0001〜0.
01当量、好ましくは0.0005〜0.005当量で
あることが望ましい。(D)成分の配合量が上記範囲に
あると、当該樹脂組成物は、Bステージでの長期保存安
定性に優れ、また、当該樹脂組成物より成形される接着
性シートの接着強度、耐熱性等が優れる傾向にあるから
である。
【0037】カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴ
ムまたはカルボキシル基含有水添ニトリルゴム(B)の
割合は、通常、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(C)と必
要に応じて含まれる硬化促進剤(D)の合計100重量
部に対して5〜100重量部、好ましくは5〜40重量
部、さらに好ましくは5〜30重量部の量で含まれるこ
とが望ましい。(B)成分の配合量が上記範囲にある
と、当該樹脂組成物より形成される接着性シートの接着
強度と可とう性とのバランスが優れる傾向にあるからで
ある。
【0038】その他、本発明で用いられるエポキシ樹脂
組成物に用いることのできる他の成分としては、たとえ
ば、溶剤、難燃剤、酸化防止剤、無機フィラーまたはシ
ランカップリング剤などがある。以下、このような他の
成分についてより具体的に説明する。上記エポキシ樹脂
組成物は、溶剤を含んでもよい。具体的には、エポキシ
樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物シートを形成する
際、予め適当な溶剤に溶かしたワニスの状態で使用する
こともできる。このような溶剤としては、たとえば、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセト
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリ
ドン、メタノール、エタノール、メチルセロソルブ TM
エチルセロソルブTM(エチレングリコールモノエチルエ
ーテル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、トルエンまたはキシレン等が挙げられ、これらの溶
剤は、単独または混合して用いることができる。溶剤を
添加した場合、塗工性の観点から、全樹脂組成物中の固
形分の割合が、30〜80重量%、好ましくは40〜5
0重量%となることが望ましい。
【0039】エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂組
成物シートに難燃性を付与するために、有機系または無
機系の難燃剤を単独でまたは混合して加えてもよい。こ
のような難燃剤としては、具体的には、テトラブロモビ
スフェノールA、テトラクロロ無水フタル酸またはジブ
ロモフェノール等のハロゲン化有機物;トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニ
ルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニル
ホスフェート)または1,3−フェニレンビス(2,6
−ジメチルフェニルホスフェート)等のリン酸エステル
および縮合リン酸エステルに、たとえば、ポリリン酸ア
ンモニウム、ピロリン酸メラミン、または9,10−ジ
ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−
10−オキシドと、二重結合含有化合物、カルボニル化
合物またはエポキシ化合物などとの誘導体および赤リン
を含めたリン化合物;三酸化アンチモンまたは五酸化ア
ンチモン等のアンチモン酸化物;水酸化アルミニウムま
たは水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;ホスファゼ
ン類;あるいは、メラミンシアヌレート;等を挙げるこ
とができる。
【0040】また、エポキシ樹脂の酸化あるいは分解の
防止を目的として、安定剤を添加してもよい。安定剤の
中でも、着色が起こらない非汚染性のものが好ましく、
具体的には、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’
−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタン、4,4’−メチレンビス
(2,6−ジ−tert−ブチル)フェノールまたは
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベ
ンゼン等のヒンダードフェノール系安定剤、4,4’−
チオビス(6−tert−ブチル−3−メチル)フェノ
ールまたは2,2’チオビス(6−tert−ブチル−
4−メチル)フェノール等のチオビスフェノール系安定
剤、ジラウリルチオジプロピオネート等の脂肪族チオエ
ステル系安定剤等を挙げることができる。このような安
定剤は、任意の量で用いることができるが、通常、接着
強度の点から、樹脂組成物の固形分重量の5%以内、好
ましくは3%以内の量で用いることが望ましい。
【0041】本発明の接着シートに用いるエポキシ樹脂
組成物には、無機フィラーを加えてもよい。該樹脂組成
物に無機フィラーを添加すると、主に半田付けの際の熱
衝撃の緩和、樹脂流動の防止、接着強度の安定化および
向上に効果があるので好ましい。このような無機フィラ
ーとしては、電気絶縁性に優れ、微粒子状のものが好ま
しく、具体的には、アルミナ、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、ゾルゲ
ル法シリカ、超微粉無定型シリカまたは疎水性超微粉シ
リカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を挙げ
ることができる。これらの無機フィラーは、最近の回路
基板のファインピッチ化の要請から、粒子径が、10μ
m以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm
以下のものを使用することが望ましい。粒子径の下限値
は、特に限定されず、たとえば検出下限値であってもよ
い。これらの無機フィラーは、耐湿性を向上させるため
に、アルキルシラン系の処理剤で、予め表面を処理して
おくことも可能である。
【0042】さらに、電気的信頼性を向上させる目的
で、無機系イオン捕捉剤(例:東亜合成化学株式会社製
のIXE300、IXE600、IXE1000等)を
添加することもできる。無機フィラーを添加する場合に
は、無機フィラーとエポキシ樹脂とを架橋させることが
できるシラン系カップリング剤を併用することが好まし
い。
【0043】このようなシラン系カップリング剤として
は、たとえば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリエトキシシランまたはγ−アニリノプロ
ピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、このよ
うなシラン系カップリング剤は、東レ・ダウコーニング
シリコーン社、信越化学工業社などから市販品として入
手することが可能である。
【0044】本発明の接着シートの製造方法について、
以下に説明する。本発明の接着シートは、Bステージの
エポキシ樹脂組成物をフィルム状に形成し、形成された
エポキシ樹脂組成物シートの少なくとも片面に、極薄金
属膜を形成することにより製造できる。本発明で用いる
Bステージのエポキシ樹脂組成物シートは、たとえば、
下記のように製造される。
【0045】まず、前記エポキシ樹脂組成物を溶剤に溶
解させた溶液を、コンマコーターまたはリバースロール
コーターなどの塗工機を使って離型性基材上に塗布す
る。この際、乾燥後のエポキシ樹脂組成物層(エポキシ
樹脂組成物シート)の厚みが、通常20〜80μmとな
るように塗布することが好ましく、さらに溶媒の抜け易
さ、樹脂の導体回路への埋め込み性という観点から、特
に20〜50μmとなるように塗布することが好まし
い。
【0046】次に、60〜150℃、好ましくは90〜
120℃の温度条件で乾燥して溶剤を除去し、必要に応
じて離型性のフィルムをカバーフィルムとしてラミネー
ターを使って圧着積層し、ロール状に巻き取ることによ
って、Bステージのエポキシ樹脂組成物シートが得られ
る。この後、80〜120℃で後加熱処理をすること
で、エポキシ樹脂組成物の粘性を適度に増粘させること
もできる。
【0047】当該エポキシ樹脂シートは、ロール状だけ
でなく、さらにスリット加工、断裁加工してシートカッ
トされた形態であってもよい。なお、Bステージとは、
熱硬化性樹脂の加工過程における樹脂の反応状態を示す
用語であって、本明細書中、当該技術分野で通常使用す
る意味で用いられ、たとえば、ある種の熱硬化性樹脂の
反応において、材料が有機溶剤に接触した時には膨潤す
るが完全には溶解せず、また過熱したときにゴム状稠度
に軟化はするが完全には融解しないような中間の状態を
いう。
【0048】本発明で使用する接着シートの離型性基材
としては、たとえば、PEフィルム、PPフィルム、ポ
リ−4−メチルペンテン−1フィルム(例 商品名:オ
ピュラン;三井化学社製)、離型PETフィルム、フッ
素系フィルム(例 商品名:テフロン(R)、テドラ
ー;デュポン社製)、シンジオタクチックポリスチレン
フィルム(例 商品名:ダイヤレックス;三菱樹脂社
製)およびこれらの樹脂をコートした離型紙等を用いる
ことができるが、耐熱性でかつ低コストとであるという
点から、PPフィルム、TPXフィルム、離型PETフ
ィルムが望ましい。
【0049】また、カバーフィルムに用いられる離型性
フィルムとしても、離型性基材として上記したものと同
様のものが挙げられる。離型処理剤としては、非シリコ
ーン系(例:住友3M社製のフロラードFR430)ま
たはシリコーン系(例:東レダウコーニングシリコン社
製のSH6040等)のものを用いることができるが、
離型PETフィルムの離型処理剤としては、非シリコー
ン系のものが工程、材料汚染が少ないという観点から望
ましい。
【0050】次に、上記のようにして形成されたBステ
ージのエポキシ樹脂組成物シートに極薄金属膜を形成す
る方法について説明する。本発明における極薄金属膜
は、厚みが50nm〜1000nm(1μm)であり、
単体金属あるいは合金から形成されている。極薄金属膜
に用いる金属の種類は特に限定されるものではないが、
たとえば、銅、アルミ、モリブデン、コバルトまたはニ
ッケル等の単体の金属およびこれらを少なくとも1種類
以上含む合金が好ましく用いられる。本発明の接着シー
トは、印刷回路基板の配線やアディティブ工法における
電解メッキ時の給電層として用いられるため、導電性に
優れること、塩化第2銅、塩化第2鉄、その他のエッチ
ング液または過硫酸アンモニウムなどのソフトエッチン
グ液に容易に溶解可能であること等が求められるからで
ある。上記金属のなかでも、特に銅または銅合金(銅を
主体とする金属)が、導電性に優れると共に展延性にも
富むため好ましい。
【0051】本発明に用いる極薄金属膜の厚さは、50
〜1000nm、好ましくは100〜600nm、さら
に好ましくは200〜300nmの範囲であることが望
ましい。極薄金属膜は、炭酸ガスレーザー等の赤外線レ
ーザー、あるいはUV−YAGまたはエキシマレーザー
等の紫外線レーザーなどの印刷配線板加工用レーザーに
より、たとえば、直径100μm以下の層間接続用の微
細穴を開けることにより加工を行う。炭酸ガスレーザー
は、熱加工により金属を貫通するので、銅などの金属の
厚みが厚いと加工する際に1パルス当たりのレーザーパ
ルスのエネルギーを大きくしなければならないが、レー
ザーパルスのエネルギーを大きくすると熱的影響が下地
のエポキシ樹脂層にも及ぶため、直径100μm以下の
微細穴の加工が困難となる。したがって、炭酸ガスレー
ザーで直径100μm以下の微細穴を加工するために
は、極薄金属膜の厚みが、1000nm以下、好ましく
は600nm以下、さらに好ましくは300nm以下で
あることが望ましい。また、紫外線レーザーを用いた場
合には、金属は容易に加工可能であるが、加工時のレー
ザーパルス数の増加により生産性が低下するので、極薄
金属膜の厚みは、炭酸ガスレーザーで加工する場合と同
様に、50〜1000nmであることが好ましい。
【0052】極薄金属膜は電解メッキを行う際の給電層
や無電解メッキ時の下地層として用いるので、ピンホー
ルを減らしかつ電気伝導性を確保する必要があり、この
ためには、極薄金属膜の膜厚が50nm以上、好ましく
は100nm以上、さらに好ましくは200nm以上で
あることが望ましい。また、電気伝導性を確保するため
には、金属の純度が、99.9%以上、更に好ましくは
99.99%以上であることが望ましい。
【0053】極薄金属膜の形成方法も特に限定するもで
はなく、たとえば、湿式プロセスである無電解メッキ
法、電解メッキ法などで形成してもよく、また、乾式プ
ロセスである蒸着法、イオンプレーティング法、スパッ
タ法、化学気相輸送法(CVD法)などで形成してもよ
い。さらに、これらの方法を適宜組み合わせて形成して
もよい。このような中でも、極薄金属膜とエポキシ樹脂
との接着性および成膜の容易性の観点から、スパッタ法
が特に好適である。
【0054】スパッタ法としては、たとえば、DCスパ
ッタ法、RFスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ
法、RFマグネトロンスパッタ法、ECRスパッタ法ま
たはレーザービームスパッタ法等の各種の手法がある
が、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜使
い分けることができる。なかでも、低コストで成膜が容
易である等の観点から、DCマグネトロンスパッタ法が
好ましく、この方法によれば容易に極薄金属膜を形成で
きる。
【0055】本発明の接着シートは、本発明の目的を害
さない範囲で、接着性、耐熱性等を向上させるために、
従来公知の技術を用いて、中間層を設けたり、樹脂シー
トの表面を改質したりしてもよい。具体的には、本発明
の接着シートには、エポキシ樹脂組成物シートと極薄金
属膜との接着強度および耐熱性を向上させるために、エ
ポキシ樹脂組成物シートと極薄金属膜との間に接着層を
設けてもよい。また、エポキシ樹脂表面をプラズマある
いは紫外線に曝したり、アルカリ性のエッチング液に浸
漬したりして、エポキシ樹脂組成物シートの表面を改質
してもよい。上記接着層として極薄金属膜とエポキシ樹
脂との間に使用できる物質としては、たとえば、チタ
ン、バナジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、タングス
テン、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、錫、イン
ジウム、ニクロム、モネル、インコネル等の金属および
合金、これらの金属の酸化物、窒素化物、炭化物、燐化
合物、または、ITOとして知られるインジウム錫酸化
物、ジンククロメート等の複合酸化物等が好ましく用い
られる。
【0056】このような接着層の厚みは、1nm〜10
0nmの厚みであることが好ましい。接着層は極薄金属
膜の形成と同様の手法により容易に形成可能である。本
発明の接着シートは、たとえば半導体回路基板等の印刷
回路基板等に好適に用いられる。
【0057】
【発明の効果】本発明の接着シートは、Bステージ状態
のエポキシ樹脂組成物シートの少なくとも片面に極薄金
属膜が形成されているシートであるため、アディティブ
工法に好適に使用できるとともに、従来困難であったレ
ーザーによる銅箔の直接加工が可能である。したがっ
て、本発明の接着シートによれば、優れた生産性で、印
刷配線基板の製造を可能にする材料を提供することがで
きる。
【0058】
【実施例】以下に本発明を実施例、参考例、比較例によ
りさらに具体的に説明するが、本発明の内容は以下の実
施例によって制限されるものではない。
【0059】
【実施例1】オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂
EOCN104S(日本化薬社製)100g、フェノー
ルノボラック樹脂PSM4326(群栄化学社製)4
5.51g、脂肪族ジメチル尿素誘導体3503N(サ
ンアプロ社製)0.56g、カルボキシル基含有ニトリ
ルゴムPNR−1H(JSR社製、17重量%MEK溶
液)214.81g、縮合型リン酸エステルPX200
(大八化学社製)52.20g、MEK(メチルエチル
ケトン)218.26gおよびメタノール2.79gを
容器に仕込み、室温で撹拌して均一な溶液とした。
【0060】この樹脂組成物溶液を、厚み50μmの離
型PETフィルムに乾燥後の厚みが50μmになるよう
にコーター(装置名:マルチコーター M−200、株
式会社ヒラノテクシード製)で塗布し、140℃で3分
間加熱乾燥し、溶剤を除去してBステージ化した。さら
にカバーフィルムとしてTPXフィルムをこれにラミネ
ートし、接着シートを得た。
【0061】カバーフィルムを剥離した後、スパッタ装
置(装置名:CFS−8EP−55、芝浦メカトロニク
ス社製)の基板ホルダーに接着シートを設置し、10
-3 Pa以下の圧力まで真空引きを行った。プラズマ処
理を酸素流量100SCCM、圧力 1.3Pa、RF
電力 100W、3分間の条件で行った。ついで、耐熱
性合金であるモネルターゲット(純度99.95%)を
用いて、アルゴン流量40SCCM、圧力0.26P
a、DC160Wの条件で3分間成膜を行い15nm厚
の接着性金属層を形成した。さらに、銅ターゲット(純
度99.99%)を用いて、アルゴン流量40SCC
M、圧力0.26Pa、DC180Wの条件で15分間
成膜を行い極薄金属膜層である銅を250nm成膜し
て、極薄金属膜付きエポキシ接着シートを得た。
【0062】接着シートの特性は、温度180℃、2時
間、圧力は5MPaでプレスしエポキシ樹脂を硬化させ
た後に、次のようにして評価した。 1.接着強度:極薄金属膜上に、電解メッキにより銅を
35μm厚とした後、JIS C6481に基づき銅箔
引きの接着強度を測定した。 2.半田耐熱性:銅箔基板を、300℃の半田浴に10
秒間浸漬し、ふくれ、はがれなどの欠陥がないかどうか
を調べた。欠陥のないものを合格とした。 3.保存安定性 −10℃で保存した接着シートを、所定期間毎に取り出
して、L/S=30/30μmの印刷回路基板(銅箔厚
み12μm)に貼り合わせた時に、回路間に隙間なく樹
脂が埋め込まれた場合を良好(○)、保存中に硬化が進
行して流動性が失われ回路間に空隙などの欠陥が生じた
場合を不良(×)と判定した。 4.レーザー加工性 プリント配線板用の炭酸ガスレーザー加工装置、ML6
05GTX−5100U (三菱電機株式会社製)を用
いて、マスク径φ1.4μm(レーザービーム径約90
μm)、パルス幅4〜8μs、ショット数を変化させて
直径100μm以下の穴が銅箔に貫通するかを確認し
た。30×30のマトリクス状に900穴加工し全ての
穴が銅箔を貫通した場合に合格とした。
【0063】
【実施例2〜5および実施例7〜10】表1に示す成分
を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて樹脂組成
物溶液の調製、接着シートの作製、特性評価を行った。
【0064】
【実施例6】銅のスパッタ時間を変更して銅厚を400
nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして接着シー
トの作製、特性評価を行った。
【0065】
【比較例1】本発明に用いるエポキシ樹脂に、極薄銅箔
を形成する代わりに市販の9μm銅箔を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして接着シートの作製、特性の評
価を行った。以上の結果をまとめて表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】(注)上記表1中、接着シートを形成する
エポキシ樹脂組成物成分の配合量の単位は(重量部)で
ある。 1)オルソクレソ゛ールノホ゛ラックエホ゜キシ樹脂 :EOCN 104S(日
本化薬社製) 2)フェノールノホ゛ラック樹脂 :PSM4326(群栄
化学社製) 3)イソホロンシ゛イソシアネート/シ゛メチルアミン尿素誘導体:U-cat3503N
(サンアプロ社製) 4)キシリレンシ゛イソシアネート/シ゛メチルアミン尿素誘導体:U-cat3506X
(サンアプロ社製) 5)トリレンシ゛イソシアネート/シ゛メチルアミン尿素誘導体 :U-cat3502T
(サンアプロ社製) 6)2-メチルイミタ゛ソ゛ール :キュアソ゛ール2MZ
(四国化成社製) 7)カルホ゛キシル基含有ニトリルコ゛ム(17wt%MEK溶液):PNR-1H(JS
R社製) 8)カルホ゛キシル基含有水添ニトリルコ゛ム(17wt%MEK溶液):カルホ゛キシル
化Zetpol(日本ゼオン社製) 9)縮合型リン酸エステル :PX200(大八化
学社製) 10)保存安定性:-10℃保管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今 川 清 水 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 副 島 渡 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 山▲崎▼ 進 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4J004 AA02 AA05 AA12 AA13 AA17 CA08 CC02 FA05 4J036 DA04 DA09 FA12 FB08 JA06 KA01 4J040 CA071 CA072 EB032 EC001 EC061 EC062 EC071 EC072 EC091 EC092 EC121 EC122 EC261 EC262 GA07 HB19 JA09 KA16 KA17 MA02 NA20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム状に形成されたBステージのエ
    ポキシ樹脂組成物シートと、該エポキシ樹脂組成物シー
    トの少なくとも片面に形成された厚さが50nm〜10
    00nmの極薄金属膜とからなることを特徴とする接着
    シート。
  2. 【請求項2】 前記極薄金属膜が、銅を主体とする金属
    からなることを特徴とする請求項1に記載の接着シー
    ト。
  3. 【請求項3】 前記極薄金属膜が、スパッタ法によって
    形成されたものであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の接着シート。
  4. 【請求項4】 前記エポキシ樹脂組成物シートが、必須
    成分として(A)エポキシ樹脂、(B)カルボキシル基
    含有ニトリルゴムまたはカルボキシル基含有水添ニトリ
    ルゴム、(C)硬化剤、および、必要に応じて(D)硬
    化促進剤を含むエポキシ樹脂組成物からなることを特徴
    とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の接着シ
    ート。
  5. 【請求項5】 前記カルボキシル基含有ニトリルゴムま
    たはカルボキシル基含有水添ニトリルゴム(B)が、エ
    ポキシ樹脂(A)と硬化剤(C)と必要に応じて含まれ
    る硬化促進剤(D)との合計100重量部に対して、5
    〜100重量部の量で含まれ、かつ硬化剤(C)がフェ
    ノールノボラックであることを特徴とする請求項4に記
    載の接着シート。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂(A)100重量部中に、
    多官能エポキシ樹脂が少なくとも5重量部の量で含ま
    れ、かつ硬化剤(C)がフェノールノボラックであるこ
    とを特徴とする請求項4から請求項5のいずれかに記載
    の接着シート。
  7. 【請求項7】 硬化促進剤(D)が、脂肪族ジメチル尿
    素誘導体であることを特徴とする請求項4から請求項6
    のいずれかに記載の接着シート。
  8. 【請求項8】 硬化促進剤(D)が、下記式1または式
    2で示される化合物であることを特徴とする請求項4か
    ら請求項7のいずれかに記載の接着シート: 【化1】
  9. 【請求項9】 硬化促進剤(D)が、エポキシ樹脂
    (A)中のエポキシ基1当量に対して、0.0001〜
    0.2当量の割合で含まれていることを特徴とする請求
    項4から請求項8のいずれかに記載の接着シート。
  10. 【請求項10】 前記エポキシ樹脂組成物シートが、離
    型性基材上に形成されることを特徴とする請求項1から
    請求項9のいずれかに記載の接着シート。
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