JP2019014799A - 樹脂組成物、樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】平滑な表面においても高いめっき金属との接着強度を有し、かつ保存安定性に優れる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂と、(B)活性型エステル基含有化合物と、(C)リン系硬化促進剤と、を含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSI(Large Scale Integration)、チップ部品等の高集積化が進んできた。そして、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。そのため、多層配線板においては、電子部品の実装密度を向上させるために、微細配線化の開発が進められている。
微細配線化の要求に対応する方法の1つとして、めっきにより導体層を形成する方法が知られている。例えば、特許文献1にあるようなビルドアップ方式の多層配線板の回路形成方法としては、主にセミアディティブ法が用いられている。この方法は、無電解めっきの後、必要な部分のみに電気めっきで回路を形成し、その後、配線パターンが形成されない部分にある無電解めっき層を除去する方法である。この方法は、除去する導体層が薄いため、従来よりも導体層のエッチング量が少なく、配線パターンが細る問題が発生し難く、微細配線化に有利である。
しかしながら、この方法では、樹脂表面の粗さによるアンカー効果によって樹脂とめっき金属との接着力を確保するため、樹脂表面の表面粗さRaは、通常0.5μm以上と大きい。表面粗さが大きいと、無電解めっきが粗化形状の奥深くまで入り込むために除去し難く、幅が10μm以下の微細回路では、絶縁不良、オープン不良等が発生することがある。そのため、多層配線板を歩留り良く製造することができない。一方、表面粗さを小さくすると、めっき金属との接着力が低下し、回路(ライン)が剥離する等の不良が発生する。そのため、平滑な表面においても高いめっき金属との接着強度を有する配線板材料が求められている。
このような状況において、特許文献2では、内層回路板と外層回路との接着力を高めるために、絶縁樹脂層と無電解めっき用接着剤層を予めラミネートした複合層シートが提案されている。しかし、更なる配線微細化に対応するため、微細な粗化形状でありながら無電解銅めっきと高接着力を示す配線板材料が求められている。
特許文献3では、めっき銅との接着力に優れたアディティブ法配線板用接着剤の組成物が提案されている。しかし、絶縁基板に接着剤を塗布するため、接着剤と絶縁基板との界面の接着性を考慮すると、接着剤の厚さを10〜50μmとする必要があり、薄型化には充分ではない。
そこで、我々は、エポキシ樹脂と活性型エステル基含有化合物及び無機充填材を含有するエポキシ樹脂組成物を提案した(特許文献4参照)。該エポキシ樹脂組成物によれば、平滑な表面でめっき銅との接着力に優れるプライマー層を得ることができる。
特許第3290296号公報 特開平1−99288号公報 特開2001−123137号公報 特開2017−031350号公報
しかしながら、一般に活性型エステル基含有化合物を硬化剤に用いるエポキシ樹脂組成物は、硬化速度が遅い問題がある。そこで硬化速度を改善するためには硬化促進剤を併用することが不可欠であり、例えば、特公平4−8444号公報、有機合成化学協会誌「第49巻、第3号、218〜233頁」等には、併用する種々の硬化促進剤が記載されている。
ところが、いずれの硬化促進剤も該エポキシ樹脂組成物の硬化性を高めるために添加量を増量すると、樹脂組成物、樹脂付キャリアフィルムの保存安定性が著しく低下し、硬化物の特性に悪影響を与える場合がある。
一方で、ビルドアップ材、プライマーフィルム等のフィルム材料は、通常ラミネート後に硬化するため、未硬化状態で保管、運搬等するのが一般的である。したがって、管理コスト、材料ロス等の面から、その保存安定性は長ければ長いほどよい。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、平滑な表面においても高いめっき金属との接着強度を有し、かつ保存安定性に優れる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を進めた結果、エポキシ樹脂、活性型エステル基含有化合物及びリン系硬化促進剤を含む樹脂組成物がめっき金属に対して高い接着強度を示し、かつ良好な保存安定性を示すことを見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下の[1]〜[20]に関する。
[1](A)エポキシ樹脂と、(B)活性型エステル基含有化合物と、(C)リン系硬化促進剤と、を含有する樹脂組成物。
[2](C)リン系硬化促進剤が、第三級ホスフィンとキノン類との付加物である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3](A)エポキシ樹脂が、炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位を有する、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記炭素数3以上のアルキレングリコールがヘキサンジオールである、上記[3]に記載の樹脂組成物。
[5](B)活性型エステル基含有化合物由来のエステル基と、(A)エポキシ樹脂由来のエポキシ基との当量比(エステル基/エポキシ基)が、0.5〜1.5である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物と、キャリアフィルムと、を備える、樹脂付キャリアフィルム。
[7]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物と、キャリアフィルムと、を備える、絶縁樹脂付キャリアフィルム。
[8]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を含む、めっきプロセス用プライマー層。
[9]前記硬化物が、前記樹脂組成物を熱硬化した後に紫外線を照射して得られる硬化物である、上記[8]に記載のめっきプロセス用プライマー層。
[10]前記紫外線の最大波長が300〜450nmである、上記[9]に記載のめっきプロセス用プライマー層。
[11]厚さが0.5〜10μmである、上記[8]〜[10]のいずれかに記載のめっきプロセス用プライマー層。
[12]表面粗さRaが0.15μm以下である、上記[8]〜[11]のいずれかに記載のめっきプロセス用プライマー層。
[13]上記[8]〜[12]のいずれかに記載のめっきプロセス用プライマー層と、キャリアフィルムと、を備える、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム。
[14]ベースマテリアルと、該ベースマテリアル上に配置された上記[8]〜[12]のいずれかに記載のめっきプロセス用プライマー層と、該プライマー層上に配置された導体層と、を備える、配線板。
[15]前記ベースマテリアルが、回路付絶縁基板又は絶縁基材である、上記[14]に記載の配線板。
[16]以下の工程(a)〜(d)を有する配線板の製造方法。
工程(a):上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてベースマテリアル上にBステージ樹脂層を形成する工程
工程(b):前記Bステージ樹脂層を熱硬化して絶縁樹脂層を形成する工程
工程(c):前記絶縁樹脂層に紫外線を照射してプライマー層を形成する工程
工程(d):無電解めっきにより前記プライマー層上に導体層を形成する工程
[17]酸化性粗化液を用いて前記絶縁樹脂層又は前記プライマー層を処理する処理工程をさらに備える、上記[16]に記載の配線板の製造方法。
[18]前記処理工程を、前記工程(b)と前記工程(c)との間に行う、上記[17]に記載の配線板の製造方法。
[19]前記処理工程を、前記工程(c)と前記工程(d)との間に行う、上記[17]に記載の配線板の製造方法。
[20]前記処理工程を、前記絶縁樹脂層又は前記プライマー層にキャリアフィルムを付けた状態で行う、上記[17]〜[19]のいずれかに記載の配線板の製造方法。
本発明によると、平滑な表面においても高いめっき金属との接着強度を有し、かつ保存安定性に優れる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム、配線板及び配線板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において樹脂組成物中の各成分の含有量は、樹脂組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、樹脂組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「プライマー」とは、絶縁樹脂のうち、片面がベースマテリアル上に設けられ、ベースマテリアル側の面と反対面にめっきを形成するために用いられるものをいう。また、「プライマー層」は、接着補助層と呼ばれることがあり、プライマー層上には、通常、めっき等により導体層が配置される。
本明細書において、「ベースマテリアル」とは、公知の配線板材料であれば限定されるものではなく、回路を有する絶縁基板(以下、「回路付絶縁基板」と称することがある。)、絶縁体である基材(以下、「絶縁基材」と称することがある。)等が挙げられる。また、ベースマテリアルは、例えば、絶縁基板に絶縁基材を積層した積層体のような、多層配線板の製造に用いられる積層体であってもよい。
本明細書において「導体層」とは、シート状に形成された導体、シート状であって部分的に欠けた導体及び配線パターンが形成された導体を含む。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂(以下、「(A)成分」と称することがある。)と、(B)活性型エステル基含有化合物(以下、「(B)成分」と称することがある。)と、(C)リン系硬化促進剤(以下、「(C)成分」と称することがある。)と、を含有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、めっきプロセス用プライマー層を形成する樹脂組成物(すなわち、プライマー層用樹脂組成物)として好適である。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
<(A)エポキシ樹脂>
(A)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、具体的には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールT型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂、テトラフェニル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基を骨格に有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。(A)成分は、絶縁信頼性及び耐熱性の観点から、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性を向上させる観点からは、芳香族エポキシ樹脂が好ましい。
(A)成分としては、市販品を用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である三菱ケミカル株式会社製の「jER828EL」及び「YL980」、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である、三菱ケミカル株式会社製の「jER806H」及び「YL983U」)等が挙げられる。
(A)成分は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位(以下、「AG構造単位」と称することがある。)を主鎖に有するエポキシ樹脂が好ましい。
前記AG構造単位を形成するためのアルキレングリコールの炭素数は、3〜15が好ましく、4〜10がより好ましく、5〜8がさらに好ましい。
前記アルキレングリコールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、ヘキサンジオールが好ましく、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(A)成分中における前記AG構造単位は、柔軟性を向上させる観点から、2以上連続して繰り返していることが好ましい。
前記AG構造単位を主鎖に有する(A)成分の具体例としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が挙げられる。

(式中、(−R−O−)は炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位を示し、その好ましい態様は上記の通りである。Rは炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基を示す。nは1〜15を示す。)
で表される2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましい。前記2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、アルキリデン基、アルキニレン基等が挙げられ、これらの中でも、アルキレン基、アルキリデン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基が好ましく、アルキリデン基としては、イソプロピリデン基が好ましい。
nは、好ましくは2〜10である。
これらのエポキシ樹脂の中でも、(A)成分としては、ヘキサンジオールに由来する構造単位を主鎖に有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(すなわち、上記一般式(1)中のRがヘキサンジオールの残基であり、Rがイソプロピリデン基である化合物)が好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物中における(A)エポキシ樹脂の含有量は、プライマー層とベースマテリアルとの密着性を高める観点及び耐熱性等の諸特性とのバランスの観点から、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、10〜85質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、45〜75質量%がさらに好ましい。
ここで、本実施形態における固形分とは、水分、後述する溶剤等の揮発する物質以外の組成物中の成分のことをいう。すなわち、固形分は、25℃付近の室温で液状、水飴状又はワックス状のものも含み、必ずしも固体であることを意味するものではない。
<(B)成分:活性型エステル基含有化合物>
(B)活性型エステル基含有化合物は、活性型エステル基を含有する化合物である。
(B)成分は、(A)成分の硬化剤として用いられ、例えば、1分子中に1個以上のエステル基を含み、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物が挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、例えば、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸と、脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物とから得られるエステル化合物が挙げられる。これらの中でも、脂肪族鎖を含むことにより有機溶媒への可溶性及びエポキシ樹脂との相溶性を高くできるという観点からは、脂肪族カルボン酸と脂肪族ヒドロキシ化合物とから得られるエステル化合物が好ましい。一方、芳香族環を有することで耐熱性を高めることができるという観点からは、芳香族カルボン酸と芳香族ヒドロキシ化合物とから得られるエステル化合物が好ましい。
芳香族カルボン酸と芳香族ヒドロキシ化合物とから得られるエステル化合物は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン酸等の芳香族化合物の水素原子の2〜4個をカルボキシル基で置換した芳香族カルボン酸と、前記した芳香族化合物の水素原子の1個を水酸基で置換した1価フェノール、又は前記した芳香族化合物の水素原子の2〜4個を水酸基で置換した多価フェノール等の芳香族ヒドロキシ化合物との混合物を原材料として、芳香族カルボン酸のカルボキシ基と芳香族ヒドロキシ化合物の水酸基との縮合反応にて得られる芳香族エステルが挙げられる。これらは、市販品としても入手可能であり、例えば、「EXB9451」(エステル基当量:約220g/eq)、「EXB9460」、「EXB9460S−65T」(エステル基当量223g/eq)、「HPC−8000−65T」(エステル基当量223g/mol)、(いずれもDIC株式会社製、商品名)、「BPN80」(三井化学株式会社製、商品名)などが挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物中における(B)成分由来のエステル基と、(A)成分由来のエポキシ基との当量比(エステル基/エポキシ基)は、0.5〜1.5が好ましく、0.7〜1.3当量がより好ましい。当量比(エステル基/エポキシ基)が、上記範囲内であると、耐熱性及びガラス転移温度がより良好となる傾向にある。
本実施形態に係る樹脂組成物中における(B)活性型エステル基含有化合物の含有量は、プライマー層とベースマテリアルとの密着性を高める観点から、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。
<(C)リン系硬化促進剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(C)リン系硬化促進剤を含有する。
リン系硬化促進剤は、エポキシ樹脂/フェノール樹脂の硬化系において、比較的硬化性に優れる硬化促進剤として知られているが、驚くべきことに、本実施形態に係る樹脂組成物は、(C)成分を含有することで、従来よりも大幅に保存安定性の高い樹脂組成物を得ることができることを見出した。この理由は定かではないが、(C)リン系硬化促進剤が、従来の硬化促進剤と比べて、エポキシ樹脂及び活性型エステル基含有化合物という特定の硬化系において、比較的低温での反応性が低く、(A)エポキシ樹脂の自己重合等を抑制できることが一因と考えられる。しかも、本実施形態に係る樹脂組成物は、加熱時においては優れた硬化性を示すため、保存安定性と硬化性を高度に両立することも可能である。
更には、本実施形態に係る樹脂組成物は、平滑な表面であっても高いピール強度を保持することができる。この理由は、保存安定性が高まることで、樹脂の特性が長期に安定し、樹脂が有する特徴を充分に発揮できるためであると考えられる。
(C)リン系硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化に用いられる一般的なリン系硬化促進剤を使用することができる。その具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン系化合物;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の有機ホスファイト系化合物;エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスホニウム塩化合物などが挙げられる。(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、潜在性及び樹脂硬化物の特性の観点から、第三級ホスフィンとキノン類との付加物が好ましい。
前記第三級ホスフィンとしては、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
前記キノン類としては、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられる。これらの中でも、耐湿性及び保存安定性の観点から、p−ベンゾキノンが好ましい。
前記第三級ホスフィンとキノン類との付加物の製造方法は、例えば、原料となる第三級ホスフィンとキノン類が共に溶解する有機溶媒中で両者を撹拌混合し、付加反応させて単離する方法等が挙げられる。この場合の製造条件としては、例えば、原料の溶解度が高く、生成した付加物の溶解度が低いメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類などの有機溶媒中で、室温から80℃の範囲で、1〜12時間撹拌し、付加反応させることが好ましい。
このようにして得られる第三級ホスフィンとキノン類との付加物としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。

(式中、Rは、各々独立に、1価の有機基を表す。)
前記一般式(2)中のRで表される1価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、3〜6がより好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜12が好ましく、6〜10がより好ましく、フェニル基、トリル基がさらに好ましい。トリル基としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基が挙げられ、これらの中でも、p−トリル基が好ましい。
上記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
以上の(C)成分の中でも、潜在性及び樹脂硬化物の特性の観点から、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物、トリ−p−トリルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物、トリ(n−ブチル)ホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物が好ましく、保存安定性の観点からは、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物、トリ−p−トリルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物がより好ましく、有機溶媒への溶解性の観点からは、トリ(n−ブチル)ホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物中における(C)リン系硬化促進剤の含有量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜3質量部が好ましく、0.5〜2.5質量部がより好ましく、0.8〜2質量部がさらに好ましい。(C)成分の含有量が0.1質量部以上であると、(A)エポキシ樹脂の硬化がより充分となって、はんだ耐熱性がより良好となる傾向にあり、3質量部以下であると、保存安定性及びBステージの樹脂組成物の取り扱い性がより向上する傾向にある。
なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じ、(C)リン系硬化促進剤以外の硬化促進剤を含有してもよい。(C)リン系硬化促進剤以外の硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等のイミダゾール系化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン;4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセン等のアミン系化合物;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等のアミン類;1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセンと、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等との塩;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩化合物などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<(D)無機充填材>
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じ、(D)無機充填材(以下、「(D)成分」と称することがある。)をさらに含有していてもよい。
(D)無機充填材としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられる。(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)無機充填材の比表面積は、大きいほどレーザー加工性及び塗膜の安定性が向上する傾向にあり、当該観点から、20m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、60m/g以上がさらに好ましい。比表面積の上限は限定されないが、例えば、1000m/g以下であってもよく、500m/gであってもよい。比表面積は、粉体試料表面に窒素を液体窒素温度で吸着させ、その吸着量から粉体試料の比表面積を求めるBET法で求めることができる。
比表面積が20m/g以上である(D)無機充填材としては、市販品を使用することができ、例えば、ヒュームドシリカである「AEROSIL R972」(日本アエロジル株式会社製、商品名、比表面積:110m/g±20m/g)、「AEROSIL R202」(日本アエロジル株式会社製、商品名、比表面積:100m/g)、「PL−1」(扶桑化学工業株式会社製、商品名、181m/g)、「PL−7」(扶桑化学工業株式会社製、商品名、36m/g)等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物が(D)無機充填材を含有する場合、その含有量は、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましく、3〜5質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲内であると、平滑な表面と、高いめっき金属との接着強度をより高度に両立できる傾向にある。
<その他の成分>
本実施形態に係る樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、(B)成分以外のエポキシ硬化剤、有機溶媒、レベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、揺変性付与剤、増粘剤等の添加剤をさらに含有することができる。
(B)成分以外のエポキシ硬化剤としては、公知のエポキシ硬化剤を使用することができ、例えば、フェノール系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、有機溶媒を含有するワニス状の樹脂組成物(以下、「樹脂ワニス」と称することがある。)であってもよい。有機溶媒としては、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と称することがある。)、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物が有機溶媒を含有する場合、その固形分濃度は、樹脂組成物の塗膜を形成する設備に合わせて適宜調整すればよいが、例えば、塗工性等に優れる観点から、20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法を適用できる。例えば、前記有機溶媒中に、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を加えると共に、必要に応じて用いられる各種添加成分を加えた後、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、自転公転式分散方式等の各種混合方式を用いて混合することにより製造することができる。
各成分の混合には、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ナノマイザー等の公知の混合装置を用いることができる。
<樹脂組成物の用途>
本実施形態に係る樹脂組成物は、種々の用途に展開することができるが、めっきプロセス用プライマー層を得るための樹脂組成物(すなわち、プライマー層用樹脂組成物)として好適である。例えば、後述するように、ベースマテリアル上に、本実施形態の樹脂組成物の硬化物からなるプライマー層を配置し、該プライマー層上に導体層をめっきで形成することで、平滑な表面においても高いめっき金属との接着強度を保持する配線板を得ることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物から得られるプライマー層は、例えば、微細配線を有する配線板を製造するために好適に用いることができる。具体的には、ラインアンドスペース(L/S)が、好ましくは10μm/10μm以下、より好ましくは5μm/5μm以下、さらに好ましくは3μm/3μm以下の配線を形成するために好適に用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物を熱硬化して絶縁樹脂層を得た後、絶縁樹脂層に紫外線を照射することによって、平滑な表面においても、より高いめっき金属との接着強度を保持する配線板を得ることができる。その機構については必ずしも明確ではないが、紫外線を照射することにより、(B)成分に由来するエステル基が分解して、プライマー層の表面に酸素含有基が形成され、この酸素含有基が導体層に対して高い接着力をもたらすと推察される。すなわち、本実施形態の樹脂組成物の硬化物に対して、紫外線を照射することにより、表面にエステル基が分解してなる酸素含有基を有する硬化物及びプライマー層が得られる。なお、プライマー層の表面に形成された酸素含有基の酸素原子量は、X線光電子分光法により測定することができる。
[樹脂付キャリアフィルム]
本実施形態に係る樹脂付キャリアフィルムは、本実施形態に係る樹脂組成物と、キャリアフィルム(支持体)と、を備える。本実施形態に係る樹脂付キャリアフィルムは、例えば、本実施形態に係る樹脂組成物をキャリアフィルム上に塗布した後に乾燥してBステージ樹脂層を形成することで得られる。その乾燥条件としては、例えば、80〜180℃の温度で1〜10分間処理する条件とすることができる。乾燥処理の温度が80℃以上であり且つ乾燥時間が1分以上であると、Bステージ樹脂層内にボイドが発生することをより抑制することができる。また、乾燥処理の温度が180℃以下であり且つ乾燥時間が10分以下であると、乾燥が進みすぎて樹脂フロー量が低下することをより抑制することができる。
キャリアフィルムとしては、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔(銅箔、アルミニウム箔等)、離型紙などが挙げられ、プラスチック材料からなるフィルムが好ましい。
プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリカーボネート(PC);ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、PET、PENが好ましく、コストの観点から、PETがより好ましい。
キャリアフィルムの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜60μmがより好ましく、20〜50μmがさらに好ましい。
キャリアフィルムは、樹脂組成物と接合する面に離型層を有する離型層付キャリアフィルムであってもよい。離型層に使用する離型剤としては、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。離型層付キャリアフィルムは、市販品を用いてもよい。市販品としては、リンテック株式会社製の「PET501010」、「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」等が挙げられる。
なお、支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。
樹脂付キャリアフィルムにおけるBステージ樹脂層の厚さは、配線板用積層板及び多層配線板の形態における全体の厚さを低減しつつ、さらに良好な接着力を得る観点から、0.5〜10μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。
樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、ゴミ等の付着及びキズ付きを防止する観点から、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層してもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1〜40μmである。
樹脂付キャリアフィルムは、ロール状に巻きとって貯蔵することもできる。
[絶縁樹脂付キャリアフィルム]
本実施形態に係る絶縁樹脂付キャリアフィルムは、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物とキャリアフィルム(支持体)とを備える。絶縁樹脂付キャリアフィルムは、例えば、本実施形態に係る樹脂付キャリアフィルムの樹脂組成物層を熱硬化させることで得られる。熱硬化の条件は、各成分の種類等に応じて適宜決定すればよいが、導体層との接着性がより良好となり、めっき処理時のアルカリ処理液への浸食がより抑えられるような硬化度の絶縁樹脂層が得られるという観点から、例えば、150〜190℃で30〜90分間の熱処理を施すことが好ましい。
[めっきプロセス用プライマー層及びめっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム]
本実施形態に係るめっきプロセス用プライマー層(以下、単に「プライマー層」と称することがある。)は、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物を含む。該硬化物は、本実施形態に係る樹脂組成物を熱硬化した後に紫外線を照射して得られる硬化物であることが好ましい。その際の紫外線の最大波長は、300〜450nmであることが好ましい。より好ましい紫外線の照射条件については、後述する配線板の製造方法に記載した通りである。
本実施形態に係るめっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルムは、本実施形態に係るプライマー層と、該プライマー層を支持するキャリアフィルム(支持体)と、を備える。本実施形態に係るめっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルムは、例えば、本実施形態に係る樹脂付キャリアフィルム又は絶縁樹脂付キャリアフィルムを用いて得ることができる。
プライマー層の厚さは、配線板用積層板及び多層配線板の形態における全体の厚さを低減しつつ、さらに良好な接着力を得る観点から、0.5〜10μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。
プライマー層における導体層が形成される表面(キャリアフィルムと接する又は接していた面)の表面粗さRaは、配線の微細化が容易である観点から、0.15μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましく、0.05μm以下がさらに好ましい。表面粗さRaの下限は特に限定されないが、導体層との接着強度とのバランスを考慮して、0.001μm以上であってもよい。
プライマー層の前記表面粗さRaは、例えば、株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8500型」を用いて測定することができる。プライマー層の前記表面粗さRaは、例えば、粗化処理後のプライマー層の表面粗さである。
[配線板及びその製造方法]
本実施形態に係る配線板は、ベースマテリアルと、該ベースマテリアル上に配置された本実施形態に係るプライマー層と、該プライマー層上に配置された導体層と、を備えるものである。
<ベースマテリアル>
ベースマテリアルとしては、上記した通り、回路付絶縁基板、絶縁基材等が挙げられる。ベースマテリアルは、回路付絶縁基板に絶縁基材を積層した積層体等の、多層配線板の製造に用いられる積層体であってもよい。つまり、本実施形態に係る配線板は、多層配線板であってもよい。
回路付絶縁基板は、少なくとも一方の主面に回路を備えた絶縁基板であり、片面にのみ回路が形成されたものでもよく、両面銅張積層板を用いて得られるような、両面に回路が形成されたものであってもよい。回路付絶縁基板としては、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布/ガラス紙−エポキシ樹脂等の配線板材料から形成された公知の積層板に回路が形成されたもの、回路付ガラス等を使用することができる。また、回路が3層以上形成された多層板であってもよい。
回路付絶縁基板の回路は、サブトラクティブ法、アディティブ法等の公知の製造方法をにより形成することができる。
回路が形成された表面には、接着性を向上させるための表面処理を行ってもよい。この表面処理は、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリ水溶液により回路表面に酸化銅の針状結晶を形成し、該針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元する等の公知の方法を適用することができる。
前記絶縁基材としては、プリプレグ、樹脂フィルム等の公知の配線板材料を用いることができる。市販品のプリプレグとしては、日立化成株式会社製の「GWA−900G」、「GWA−910G」、「GHA−679G」、「GHA−679G(S)」、「GZA−71G」(いずれも商品名)等が挙げられる。
本実施形態に係る配線板は、例えば、本実施形態に係るめっきプロセス用プライマー層をベースマテリアル上に配置する工程(s1)と、無電解めっきにより前記プライマー層上に導体層を形成する工程(s2)と、を備える方法により製造することができる。該製造方法において、前記導体層に電気めっきを施す工程をさらに備えていてもよく、酸化性粗化液を用いて前記プライマー層を処理するデスミア処理工程(粗化処理工程)を、工程(s1)と(s2)との間に有していてもよい。さらに、これらの工程を繰り返して多層配線板を作製することもできる。
また、本実施形態に係る配線板は、以下の工程(a)〜(d)を有する配線板の製造方法によって製造することが好ましい。
工程(a):本実施形態に係る樹脂組成物を用いてベースマテリアル上にBステージ樹脂層を形成する工程
工程(b):前記Bステージ樹脂層を熱硬化して絶縁樹脂層を形成する工程
工程(c):前記絶縁樹脂層に紫外線を照射してプライマー層を形成する工程
工程(d):無電解めっきにより前記プライマー層上に導体層を形成する工程
上記製造方法は、工程(b)及び工程(c)の間又は工程(c)及び工程(d)の間に、酸化性粗化液を用いて前記絶縁樹脂層又は前記プライマー層の表面を処理する処理工程(以下、「工程(b’)」又は「工程(c’)」と称することがある。)をさらに備えていてもよく、工程(d)の後に、前記導体層に電気めっきを施す工程(以下、「工程(e)」と称することがある。)をさらに備えていてもよい。
以下、各工程について詳細に説明をする。
<工程(a)>
工程(a)は、本実施形態に係る樹脂組成物を用いてベースマテリアル上にBステージ樹脂層を形成する工程である。
Bステージ樹脂層の形成方法は特に限定されず、例えば、本実施形態に係る樹脂付キャリアフィルムを用い、ラミネート方式、プレス方式等で、ベースマテリアル上にBステージ樹脂層を形成することができる。また、本実施形態に係る樹脂組成物をベースマテリアルに塗布することでBステージ樹脂層を形成してもよい。
ラミネート方式は、例えば、ベースマテリアルに樹脂付キャリアフィルムを、そのBステージ樹脂層がベースマテリアルに対面するように接触させ、真空加圧ラミネータ積層装置等を用いてBステージ樹脂層を積層する方法である。ラミネート条件は、ベースマテリアルの厚さ等により変化するが、例えば、温度が50〜170℃、圧力が0.2MPa以上であり、圧力は、ベースマテリアルの変形を抑制する観点から、1.0MPa以下であることが好ましい。
また、ベースマテリアルが回路付絶縁基板である場合、真空度が15hPa以下であると、樹脂組成物の内層回路への埋め込み性がより良好となる。真空度は、低いほど好ましいが、装置の能力及び所定値への到達までの待ち時間等が生産性に及ぼす影響を考慮すると、5〜10hPaが好ましい。熱圧着時間は10〜90秒が好ましく、20〜60秒がより好ましい。10秒以上であると、樹脂の流動に要する時間が充分となる傾向にあり、90秒以下であると、生産性がより良好となる傾向にある。
プレス方式の場合、前記と同様に、ベースマテリアルに樹脂付キャリアフィルムを、そのBステージ樹脂層がベースマテリアルに対面するように接触させ、使用するBステージ樹脂層の態様に応じた適正な条件でプレスすることが好ましい。
なお、キャリアフィルムは、後述の工程(d)を行う前までに剥離すればよく、剥離するタイミングは適宜選択できる。例えば、工程(a)、工程(b)、工程(c)又は工程(c’)の後に剥離してもよい。キャリアフィルムは、手動で剥離してもよく、自動剥離装置により機械的に剥離してもよい。
<工程(b)>
工程(b)は、上記Bステージ樹脂層を熱硬化して絶縁樹脂層を形成する工程である。
熱硬化は、後のめっき処理、導体層のアニール処理等を考慮した温度及び時間で適宜行うことができる。熱硬化は、後のめっき処理時に導体層との接着性がより良好となり、めっき処理時のアルカリ処理液への浸食がより抑えられる硬化度の絶縁樹脂層を得られるという観点から、例えば、150〜190℃で30〜90分間の熱処理を施すことが好ましい。
なお、工程(a)及び工程(b)は連続で行ってもよい。例えば、工程(a)を前記プレス方式で行う場合、昇温速度3℃/分程度で35℃から190℃程度まで約50分間を要して昇温させ、その温度にて2.0〜3.0MPa程度の圧力で60〜90分間程度保持した後、室温まで30分間程度を要して冷却する方法を用いることで、ベースマテリアル上へ絶縁樹脂層を形成できる。
熱硬化を行った後、必要に応じて、絶縁樹脂層及び/又はベースマテリアルにビアホールを形成する工程を行ってもよい。ビアホールは、層間の電気接続のために設けられ、絶縁樹脂層の特性を考慮して、ドリル、レーザー、プラズマ等を用いる公知の方法により形成することができる。例えば、キャリアフィルムが存在する場合は、キャリアフィルム上からレーザー光を照射して、絶縁樹脂層にビアホールを形成してもよい。レーザー光源としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が挙げられ、加工速度及びコストに優れる観点から、炭酸ガスレーザーが好ましい。
穴あけ加工は、市販されているレーザー装置を用いて実施することができる。市販されている炭酸ガスレーザー装置としては、日立ビアメカニクス株式会社製のLC−2E21B/1C、三菱電機株式会社製のML605GTWII、松下溶接システム株式会社製の基板穴あけレーザー加工機等が挙げられる。
<工程(b’)及び(c’)>
工程(b’)は、工程(b)及び工程(c)の間に、酸化性粗化液(以下、単に「粗化液」と称することがある。)を用いて前記絶縁樹脂層の表面を処理する処理工程である。また、工程(c’)は、後述する工程(c)及び工程(d)の間に、酸化性粗化液を用いて前記プライマー層の表面を処理する処理工程である。
前記処理工程では、粗化液を用いて、例えば、ビア底部に発生したスミアを除去することができる。粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液(過マンガン酸ナトリウム粗化液等)、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液等が挙げられる。また、粗化液による処理は、溶媒、アルカリ液、これらの混合物液(一般的には、膨潤液又はプリディップ液)等に浸した後に行ってもよい。上記溶媒としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。また、アルカリ液は、水に溶解した際にアルカリ性を示す液であれば特に制限はなく、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。さらに、溶媒とアルカリ液を混合した混合液であってもよく、混合液としては、例えば、水酸化ナトリウム及びジエチレングリコールモノブチルエーテルを含むものが挙げられる。
なお、前記処理工程を行うときに、絶縁樹脂層又はプライマー層にキャリアフィルムを付けたままの状態であってもよい。キャリアフィルムを付けたままであれば、粗化液によって絶縁樹脂層又はプライマー層表面の凹凸が大きくなることを防ぎ、絶縁樹脂層又はプライマー層において配線の更なる微細化が可能となる。
すなわち、工程(b’)及び(c’)を行わない、又は、絶縁樹脂層又はプライマー層表面にキャリアフィルムを付けたまま工程(b’)及び(c’)を行う等の方法で絶縁樹脂層又はプライマー層表面と粗化液が接触しないような実施形態であれば、絶縁樹脂層又はプライマー層表面の凹凸が大きくなることを防ぐことができる。
<工程(c)>
工程(c)は、前記絶縁樹脂層に紫外線を照射してプライマー層を形成する工程である。
このように、前記絶縁樹脂層を紫外線照射処理することにより、得られるプライマー層は、従来用いられる過マンガン酸ナトリウム系等の粗化液を用いた処理工程を行わず、凹凸形状を形成しない場合であっても、導体層に対して高い接着力を発現する。該処理工程を行わない場合、配線形成の歩留まりの低下を抑えることができると共に、粗化液の使用による水洗処理、廃液処理等をなくすことができ、コスト的にも有利である。
紫外線照射時の紫外線の最大波長は、300〜450nmが好ましい。したがって、紫外線照射は、前記最大波長の光を放射する装置を使用して実施することが好ましく、紫外線の最大波長が300〜450nmの範囲を有する紫外線ランプを使用して実施することがより好ましい。
紫外線の最大波長が300〜450nmの範囲を有する紫外線ランプとしては、水銀ショートアークランプ、高圧水銀ランプ、毛細管型超高圧ランプ、高圧ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。これらの中でも、紫外線の波長が全域で広いメタルハライドランプが好ましい。前記紫外線ランプを使用する目的は、汎用性と紫外線の波長域が関係する。すなわち、紫外線の最大波長が300〜450nmの範囲を有する紫外線ランプは、コンベア式型の紫外線照射装置(例えばソルダレジストの後露光装置)として一般的に用いられているからである。さらに、メタルハライド型のコンベア照射装置は、紫外線波長領域が広く、特別な装置を必要としないでこれらの装置を代替することで本実施形態に適用できる。絶縁樹脂層に大気圧雰囲気下で紫外線を照射する方法は、紫外線照射装置により異なるが、生産性を考慮すればコンベア式の紫外線照射装置が好ましい。
紫外線の光量は、大気圧雰囲気下において、1,000〜5,000mJ/cmが好ましく、2,000〜4,000mJ/cmがより好ましく、3,000〜4,000mJ/cmがさらに好ましい。紫外線の光量が1,000mJ/cm以上であると、粗化液でプライマー層を処理しなくても導体層との接着力が充分となり易く、5,000mJ/cm以下であると、前記接着力が良好に発現し易く、経済的にも有利である。なお、前記光量(mJ/cm)は、「照度(mW/cm)×照射時間(秒)」で表される。
紫外線照射時の絶縁樹脂層の温度は、50〜80℃が好ましく、60〜70℃がより好ましい。
<工程(d)>
工程(d)は、無電解めっきにより上記プライマー層上に導体層を形成する工程である。
工程(d)では、例えば、まず、上記プライマー層を塩化第1錫の塩酸水溶液に浸漬して中和処理を行い、さらに、パラジウムを付着させるめっき触媒付与処理を行う。めっき触媒付与処理は、例えば、塩化パラジウム系のめっき触媒液に浸漬することにより行われる。次に、無電解めっき液に浸漬することにより、例えば、厚さ0.3〜1.5μmの無電解めっき層(めっきシード層。以下、「導体層A」と称することがある。)をめっき触媒上に析出させる。無電解めっき処理に使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができる。
<工程(e)>
工程(e)は、工程(d)において形成した導体層A上に電気めっきを施す工程である。工程(e)により、導体層Aの厚さを大きくした導体層Bを得る。
導体層Bに使用する導体材料としては、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウ等が挙げられる。導体層Bは、単金属層又は合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル及びクロムの合金、銅及びニッケルの合金、銅及びチタンの合金等)から形成された層が挙げられる。
電気めっきは、公知の方法により行うことが可能である。以下、導体層Bをセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、工程(d)で形成した導体層A(めっきシード層)上に、所望の配線パターンに対応して導体層Aの一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出した導体層A上に、電気めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要な導体層Aをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層Bを形成することができる。
本実施形態に係る配線板の製造方法においては、表面平滑性に優れるプライマー層を形成することができることから、プライマー層上に微細な配線パターンにて導体層Bを形成することができる。
導体層Bの厚さは、所望する多層プリント配線板の構成に応じて適宜調整すればよいが、一般的に、3〜35μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂付キャリアフィルム、絶縁樹脂付キャリアフィルム、めっきプロセス用プライマー層、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルムを用いて得られるプライマー層と導体層Bとの接着強度は、0.5kN/m以上が好ましく、0.7kN/m以上がより好ましく、0.8kN/m以上がさらに好ましい。接着強度の上限は限定されないが、例えば、10kN/m以下であってもよい。なお、接着強度は幅10mm、長さ100mmのシート状のプライマー層の、垂直方向に約50mm引き剥がした際の荷重の大きさであり、より具体的には実施例の記載の方法により測定することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[多層配線板の作製]
製造例1
(ベースマテリアルの作製)
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、粗化箔を両面に有する日立化成株式会社製「MCL−E−700G(R)」(商品名))の両面にエッチングを施して、ベースマテリアルを作製した。
製造例2
(エポキシ樹脂の合成)
温度計及び撹拌機を取り付けたフラスコに、ビスフェノールA228g(1.00モル)と1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル92g(0.85モル)とを仕込み、120℃まで1時間かけて昇温した後、120℃で6時間反応させて透明半固形の変性多価フェノール類400gを得た。
次に、温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を取り付けたフラスコに、上記変性多価フェノール類400g、エピクロルヒドリン925g(10モル)、n−ブタノール185gを仕込み溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49質量%水酸化ナトリウム水溶液122g(1.5モル)を5時間かけて滴下した。次いで、この条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水相を除去し、有機相を反応系内に戻しながら反応させた。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1,000gとn−ブタノール100gとを加え溶解した。さらに、この溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に、300gの水で水洗を3回繰り返した。次いで、共沸によって系内を脱水し、精密ろ過を経た後に溶媒を減圧下で留去して、透明液体のエポキシ樹脂((A)エポキシ樹脂)457gを得た。エポキシ当量は403g/eqであった。
実施例1
(1)樹脂組成物の調製
(A)成分である製造例2で作製したエポキシ樹脂100質量部と、(B)成分である活性型エステル基含有化合物「EXB−9460S」(DIC株式会社製、商品名、エステル基当量:223g/eq)50質量部と、(C)成分であるリン系硬化促進剤0.8質量部とを加え、溶媒であるMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%に調整した後、分散機(吉田機械興業株式会社製、商品名「ナノマイザー」)を用いて分散させ、樹脂組成物を得た。樹脂組成物の組成を表1に示す。
(2)樹脂付キャリアフィルムの作製及び積層
上記(1)で得られた樹脂組成物を、キャリアフィルムとしてのPETフィルム(厚さ:38μm)上に塗工し、100℃で10分間乾燥処理することにより、膜厚4μmのBステージ樹脂層を有する樹脂付キャリアフィルムのロールを作製した。
さらに、上記の樹脂付キャリアフィルムの樹脂面を、製造例1で得られたベースマテリアルの片面に接するように配置して、バッチ式真空加圧ラミネータ「MVLP−500」(株式会社名機製作所製、商品名)を用いて積層した。次に、キャリアフィルムを剥離した後、Bステージ樹脂層を170℃、60分間の硬化条件にて熱硬化処理して、積層体を得た。
(3)紫外線照射処理
上記(2)で得られた積層体に対し、コンベア式紫外線照射装置を用いて、メタルハライドランプ(最大波長:350〜380nm)にて、紫外線を光量が4,000mJ/cmになるように照射することにより、プライマー層を有する配線板用積層板を得た。
(4)無電解めっき処理及び電解めっき処理
無電解めっきの前処理として、コンディショナー液「CLC−601」(日立化成株式会社製、商品名)に、上記(3)で得られた配線板用積層板を60℃で5分間浸漬した後、水洗し、プリディップ液「PD−201」(日立化成株式会社製、商品名)に室温にて2分間浸漬した。次に、PdClを含む無電解めっき用触媒である「HS−202B」(日立化成株式会社製、商品名)に、室温で10分間浸漬処理した後、水洗し、無電解銅めっき液である「CUST−201めっき液」(日立化成株式会社製、商品名)に室温にて15分間浸漬し、無電解めっき処理を行った。さらに、硫酸銅溶液を用いて硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニール処理を170℃で30分間行い、プライマー層の表面上に厚さ20μmの導体層を形成した。
(5)回路の形成
導体層の不要な箇所をエッチング除去するために、導体層表面の酸化被膜を#600のバフロール研磨で除去した後、エッチング用レジスト膜を形成してエッチング処理し、その後、エッチング用レジスト膜を除去して、プライマー層上に回路を形成した。さらに、多層化するために、回路を含む積層体の全体を、亜塩素酸ナトリウム:50g/L、NaOH:20g/L、リン酸三ナトリウム:10g/Lを含む水溶液に85℃で20分間浸漬した後、水洗し、80℃で20分間乾燥して外層回路層の表面上に酸化銅の凹凸を形成した。
(6)多層配線板の作製
(5)で得られた積層体をベースマテリアルとして、上記(2)〜(5)の工程を繰り返して、3層の多層配線板を作製した。
実施例2〜7
実施例1において、樹脂組成物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、多層配線板を作製した。
実施例8
実施例1と同様の樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)〜(3)と同様の操作を行った。
次に、絶縁樹脂層を化学粗化するために、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200mL/L及びNaOH:5g/Lを含む水溶液(膨潤液)を80℃に加温して、これに5分間浸漬処理した。次に、KMnO:60g/L及びNaOH:40g/Lを含む水溶液(粗化液)を80℃に加温して10分間浸漬処理した。引き続き、SnCl:30g/L、1Lあたり濃度98質量%のHSO300mLを含む水溶液(中和液)に室温で5分間浸漬処理して中和した。その後は、実施例1の(4)工程以降に従い、同様の操作を行って多層配線板を作製した。
比較例1〜3
実施例1において、樹脂組成物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、多層配線板を作製した。
[評価方法及び結果]
各例で得られた多層配線板について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。なお、評価方法は次のとおりである。
(めっき金属との接着強度)
外層回路層の一部に幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を剥がしてつかみ具でつかみ、室温中で、垂直(90℃)方向に約50mm引き剥がした際の荷重を測定した。
(プライマー層の表面粗さ)
外層回路層をエッチング処理して銅を除去した試験片を作製した。この試験片を2mm角程度に切断し、株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8500型」を用いて、試験片中の異なる箇所3点について、測定長さ149μm、倍率2000倍、分解能0.05μmの条件で測定し、測定長さ149μm中の粗さの最大部から最小部を引いた値をプライマー層の表面粗さとし、3箇所の平均値を算出した。
(保存安定性)
樹脂付キャリアフィルムのBステージ樹脂層を樹脂粉末として回収し、この樹脂粉末0.1gを160℃の熱盤上で、樹脂が硬化するまでの時間(ゲルタイム)を測定した。測定値はn=2の平均値とし、測定には日新科学株式会社製のゲル化試験機「GT−D−JIS」を用いた。この操作を、樹脂付キャリアフィルム作製直後と、25℃30日間保管後に行い、ゲルタイム保持率を算出した。

※表中「−」は硬化不良のため測定できなかったことを示す。
なお、表1に示す略称は、下記の化合物を示す。
[(A)成分]
A1:製造例2で調製したヘキサンジオールに由来する構造単位を主鎖に有するエポキシ樹脂
A2:フェノールノボラック型エポキシ樹脂「N−770」(DIC株式会社製、商品名、エポキシ当量188g/eq)
[(B)成分]
B1:活性型エステル基含有化合物「HPC−8000」(DIC株式会社製、商品名、エステル基当量223g/eq)
[(C)成分]
C1:リン系硬化促進剤、トリ(n−ブチル)ホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物
C2:リン系硬化促進剤、p−ベンゾキノンとトリ−p−トリルホスフィンの付加物
[(C’)成分]
C’3:イミダゾール系硬化促進剤(2−ヘプタデシルイミダゾール)「C17Z」(四国化成工業株式会社製、商品名)
C’4:イミダゾール系硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール)「2PZ」(四国化成工業株式会社製、商品名)
[(D)成分]
D1:シリカフィラー(ヒュームドシリカ)(日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL R972」、比表面積110±20m/g、平均粒子径16nm)
表1から、本実施形態に係る実施例1〜8の樹脂組成物は、保存安定性に優れており、優れためっき金属との接着強度と絶縁樹脂層の表面粗さとを両立しており、さらに高いゲルタイム保持率を有していることが分かる。一方、硬化促進剤を使用しなかった比較例1の樹脂組成物は、硬化不良が生じ、良好な硬化物が得られなかった。また、(C)成分以外の硬化促進剤を使用した比較例2及び3の樹脂組成物は、保存安定性が低かった。
以上より、本発明の樹脂組成物が、平滑な表面においても高いめっき金属との接着強度を保持し、かつ保存安定性に優れるものであることが分かる。

Claims (20)

  1. (A)エポキシ樹脂と、(B)活性型エステル基含有化合物と、(C)リン系硬化促進剤と、を含有する樹脂組成物。
  2. (C)リン系硬化促進剤が、第三級ホスフィンとキノン類との付加物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (A)エポキシ樹脂が、炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位を有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記炭素数3以上のアルキレングリコールがヘキサンジオールである、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. (B)活性型エステル基含有化合物由来のエステル基と、(A)エポキシ樹脂由来のエポキシ基との当量比(エステル基/エポキシ基)が、0.5〜1.5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物と、キャリアフィルムと、を備える、樹脂付キャリアフィルム。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物と、キャリアフィルムと、を備える、絶縁樹脂付キャリアフィルム。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、めっきプロセス用プライマー層。
  9. 前記硬化物が、前記樹脂組成物を熱硬化した後に紫外線を照射して得られる硬化物である、請求項8に記載のめっきプロセス用プライマー層。
  10. 前記紫外線の最大波長が300〜450nmである、請求項9に記載のめっきプロセス用プライマー層。
  11. 厚さが0.5〜10μmである、請求項8〜10のいずれか1項に記載のめっきプロセス用プライマー層。
  12. 表面粗さRaが0.15μm以下である、請求項8〜11のいずれか1項に記載のめっきプロセス用プライマー層。
  13. 請求項8〜12のいずれか1項に記載のめっきプロセス用プライマー層と、キャリアフィルムと、を備える、めっきプロセス用プライマー層付キャリアフィルム。
  14. ベースマテリアルと、該ベースマテリアル上に配置された請求項8〜12のいずれか1項に記載のめっきプロセス用プライマー層と、該プライマー層上に配置された導体層と、を備える、配線板。
  15. 前記ベースマテリアルが、回路付絶縁基板又は絶縁基材である、請求項14に記載の配線板。
  16. 以下の工程(a)〜(d)を有する配線板の製造方法。
    工程(a):請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いてベースマテリアル上にBステージ樹脂層を形成する工程
    工程(b):前記Bステージ樹脂層を熱硬化して絶縁樹脂層を形成する工程
    工程(c):前記絶縁樹脂層に紫外線を照射してプライマー層を形成する工程
    工程(d):無電解めっきにより前記プライマー層上に導体層を形成する工程
  17. 酸化性粗化液を用いて前記絶縁樹脂層又は前記プライマー層を処理する処理工程をさらに備える、請求項16に記載の配線板の製造方法。
  18. 前記処理工程を、前記工程(b)と前記工程(c)との間に行う、請求項17に記載の配線板の製造方法。
  19. 前記処理工程を、前記工程(c)と前記工程(d)との間に行う、請求項17に記載の配線板の製造方法。
  20. 前記処理工程を、前記絶縁樹脂層又は前記プライマー層にキャリアフィルムを付けた状態で行う、請求項17〜19のいずれか1項に記載の配線板の製造方法。
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