JP6634849B2 - 無電解めっき方法及び配線板の製造方法 - Google Patents

無電解めっき方法及び配線板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無電解めっき方法及び配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSI及びチップ部品等の高集積化が進み、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。このため、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化に対応できる配線板の開発が進められている。このような配線板としては、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりに用い、必要な部分のみビアホールで接続しながら配線層を形成するビルドアップ方式の配線板があり、軽量化、小型化及び微細化に適した手法として主流になりつつある。
ビルドアップ方式の配線板の製造方法として、回路を有する基板上に絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層を硬化した後、配線導体との接着力を確保するために、絶縁樹脂層表面を酸化性の処理液に浸して粗化処理を行う方法が開示されている(特許文献1)。また、粗化処理を行った絶縁樹脂層に、更に無電解めっき及び電解めっきを行い、配線パターンを形成する手法も知られている。例えばセミアディティブ法を用いる場合、レジストパターンを無電解めっき層上に形成し、電解めっきにより配線パターンを形成したのち、レジストパターンを剥離し、無電解めっき層を除去して配線板とする(特許文献2)。
しかしながら、配線の微細化に伴い、絶縁樹脂層表面の凹凸が配線形成の歩留まり低下の原因となっている。この理由は、無電解金属めっき層が絶縁樹脂層表面の凹凸に食い込み、除去しづらくなって配線ショートの原因となること、及び、絶縁樹脂層表面の凹凸に起因してレジストパターンの形成精度が低下するためである。したがって、絶縁樹脂層表面の凹凸を小さくすることが微細配線化の実現に重要となるが、凹凸が小さくなると、絶縁樹脂層と無電解金属めっき層との接着力が低下するため、この接着力を向上させる必要がある。すなわち、ビルドアップ方式の配線板に使用される絶縁樹脂層には、凹凸が小さくても配線導体となる金属層(無電解めっき層)との接着力が確保できることが要求されている。
また、従来の配線板では、無電解めっき工程において絶縁樹脂層表面に凹凸を形成するために使用する酸化性の粗化液として、一般に過マンガン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの強アルカリ液とが使用されている。過マンガン酸ナトリウムは強アルカリ下で樹脂を溶解するが、7価のマンガンが酸化処理で消費されるため、電解再生装置によりマンガンを再生する必要がある。通常の絶縁樹脂は、絶縁信頼性及び耐熱性を確保するために、粗化液への耐性を上げて設計するため、マンガンの管理は重要である。しかし、溶解した樹脂は処理液内に浮遊するため、マンガンの電解再生が間に合わず、液の建浴を頻繁に行う必要が生じる。これらは、水洗処理及び廃液処理といったコストが付加されるため、結果的にコストアップの要因となる。
特許第3290296号公報 特開2000−286531号広報
上記のように、更なる微細配線化のためには、凹凸が小さくても絶縁樹脂層と配線導体となる金属層(無電解めっき層)との接着力が確保されることが要求されている。すなわち、無電解めっき方法として、上記絶縁樹脂層を構成する熱硬化性樹脂組成物の硬化物が、その表面の凹凸が小さい場合でも、無電解めっき層に対して接着力を確保できる方法が要求されている。
本発明は、このような状況下になされたものであり、熱硬化性樹脂組成物の硬化物表面の凹凸が小さい場合でも、硬化物が無電解めっき層に対して高い接着力を有することができる無電解めっき方法、及び、配線板の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に無電解めっきを施す無電解めっき方法であって、(1)上記硬化物に有機溶剤を含むアルカリ溶液を接触させる工程と、(2)上記硬化物にノニオン系界面活性剤を含有する溶液を接触させる工程と、(3)上記硬化物にPd含有溶液を接触させる工程と、(4)上記硬化物に酸性溶液を接触させる工程と、(5)上記硬化物に無電解めっき液を接触させる工程と、をこの順に備える、無電解めっき方法を提供する。
上記無電解めっき方法によれば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物表面の凹凸が小さい場合でも、硬化物が無電解めっき層に対して高い接着力を有し、また、当該無電解めっき方法を配線板の製造に適用した場合、ビアホール底のスミアを除去するために、過マンガン酸ナトリウム系等の粗化液で処理しても、熱硬化性樹脂組成物の硬化物である絶縁樹脂層表面の粗化凹凸が小さく、かつはんだ耐熱性にも優れたものとなる。
上記無電解めっき方法において、上記熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂及び(B)活性型エステル基含有化合物を含むことが好ましい。ここで、上記(A)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、主鎖に炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、上記炭素数3以上のアルキレングリコールは、ヘキサンジオールであることが好ましい。
上記無電解めっき方法において、上記酸性溶液は、ホウフッ化水素酸を含むことが好ましい。
上記無電解めっき方法において、上記Pd含有溶液は、塩基性であることが好ましい。
上記無電解めっき方法は、(i)上記硬化物に紫外線を照射する工程を更に備え、上記工程(i)を上記工程(1)よりも前に行うことが好ましい。
本発明はまた、(a)配線導体の回路を有する基板上又は絶縁層となる基材上に、熱硬化性樹脂組成物を用いて絶縁樹脂層を形成する工程と、(b)上記絶縁樹脂層を熱硬化処理する工程と、(c)熱硬化処理された絶縁樹脂層を紫外線照射処理する工程と、(d)紫外線照射処理された絶縁樹脂層に、上記本発明の無電解めっき方法により無電解めっきを施す工程と、をこの順に備える配線板の製造方法を提供する。
本発明によれば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物表面の凹凸が小さい場合でも、硬化物が無電解めっき層に対して高い接着力を有することができる無電解めっき方法、及び、配線板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の無電解めっき方法は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に無電解めっきを施す無電解めっき方法であって、(1)上記硬化物に有機溶剤を含むアルカリ溶液を接触させる工程と、(2)上記硬化物にノニオン系界面活性剤を含有する溶液を接触させる工程と、(3)上記硬化物にPd含有溶液を接触させる工程と、(4)上記硬化物に酸性溶液を接触させる工程と、(5)上記硬化物に無電解めっき液を接触させる工程と、をこの順に備える。また、無電解めっき方法は、上記工程(1)よりも前に、(i)上記硬化物に紫外線を照射する工程を更に備えることが好ましい。
[熱硬化性樹脂組成物]
まず、本発明の無電解めっき方法に好適に用いられる熱硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも言う)について説明する。樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂及び(B)活性型エステル基含有化合物を含むことが好ましい。
((A)エポキシ樹脂)
(A)成分として用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、柔軟性及び接着性の観点から、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、主鎖に炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。また、柔軟性を更に向上させる観点から、炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位は、2以上連続して繰り返していることが好ましい。耐熱性を向上させる観点から、(A)成分は、芳香族エポキシ樹脂であることが好ましい。なお、「炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位」は、炭素数3以上のアルキレングリコールをモノマーとして用いて得られてもよく、炭素数3以上のアルキレングリコール骨格を有するモノマーを用いて得られてもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールT型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂、テトラフェニル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基を骨格に有するエポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、一種を単独で用いてもよく、絶縁信頼性及び耐熱性の観点から、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素数3以上のアルキレングリコールとしては、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、ヘキサンジオールであることが更に好ましい。(A)成分としては、例えば、以下の化学式(I)に示されるような部分構造を有するものが好ましい。
Figure 0006634849

[式(I)中、(−R−O−)は炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造単位を示し、好ましくは上述のとおりである。すなわち、Rは炭素数3以上の炭化水素基を示す。Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基である。また、nは1〜15を示し、好ましくは2〜10である。]
(A)成分としては、ビフェニル構造を有するアラルキルノボラック型エポキシ樹脂も好ましい。ビフェニル構造を有するアラルキルノボラック型エポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香環を含有したアラルキルノボラック型のエポキシ樹脂をいい、例えば、下記式(II)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0006634849

[式(II)中、pは、1〜5を示す。]
式(II)で示されるエポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬株式会社製の商品名「NC−3000」(p=1.7)、「NC−3000H」(p=2.8)等が挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ基当量は、限定されないが、好ましくは50〜3000、より好ましくは80〜2000、更に好ましくは100〜1000である。なお、エポキシ基当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量を表す。
(A)成分の含有量は特に限定されないが、無電解めっき層と熱硬化性樹脂組成物の硬化物との密着性を高める観点から、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。また、回路形成時のレーザー加工性をさらに向上する観点から、(A)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。
((B)活性型エステル基含有化合物)
(B)成分の活性型エステル基含有化合物は、上記(A)エポキシ樹脂の硬化剤として用いられ、上記(A)エポキシ樹脂との熱硬化反応により新たにエステル基を生じる化合物である。該活性型エステル基及び該新たなエステル基に紫外線を照射することで活性化すると考えられる。
耐熱性の観点から、(B)活性型エステル基含有化合物は芳香環を有する化合物であることが好ましく、エステル基の両端に置換されていてもよい芳香環を有する化合物であることがより好ましい。
(B)活性型エステル基含有化合物としては、例えば、脂肪族又は芳香族カルボン酸と、脂肪族又は芳香族ヒドロキシ化合物とから得られるエステル化合物等が挙げられる。これらのうち、脂肪族カルボン酸又は脂肪族ヒドロキシ化合物を用いて得られるエステル化合物は、脂肪族鎖を含むことにより、有機溶媒への可溶性及びエポキシ樹脂との相溶性を高くすることができる。一方、芳香族カルボン酸又は芳香族ヒドロキシ化合物を用いて得られるエステル化合物は、芳香環を有することにより、樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
活性型エステル基含有化合物の好適なものとしては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ベンゾフェノン等の芳香環の水素原子の2〜4個をカルボキシ基で置換したものから選ばれる芳香族カルボン酸成分と、上述した芳香環の水素原子の1個を水酸基で置換した1価フェノール系化合物と、上述した芳香環の水素原子の2〜4個を水酸基で置換した多価フェノール系化合物との混合物を原材料として、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基との縮合反応にて得られる芳香族エステルが挙げられる。
1価フェノール系化合物としては、例えばフェノール、各種クレゾール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。多価フェノール系化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールS、各種ジヒドロキシナフタレン、各種ジヒドロキシベンゾフェノン、各種トリヒドロキシベンゾフェノン、各種テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログリシン等が挙げられる。
一方、芳香族カルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸等が挙げられる。
活性型エステル基含有化合物としては、1分子中にエステル基を1個以上有する樹脂であってもよい。1分子中にエステル基を1個以上有する樹脂としては、例えば、脂肪族又は芳香族カルボン酸と、脂肪族又は芳香族ヒドロキシ化合物とから得られる樹脂が挙げられる。活性型エステル基含有化合物の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「EXB−9460」、「EXB−9460S」、「EXB−9470」、「EXB−9480」、「EXB−9420」、三井化学株式会社製の「BPN80」等が挙げられる。これらの活性型エステル基含有化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物を十分に硬化させやすくする観点から、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。また、回路形成時のレーザー加工性をさらに向上する観点から、(B)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量(全固形分)を基準として、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
樹脂組成物における上記(B)活性型エステル基含有化合物は、上記(A)エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して0.5〜1.5当量になるように含有されることが好ましく、0.85〜1.25当量になるように含有されることがより好ましい。0.5当量以上であると、タック性及び硬化性がより充分となり、1.5当量以下であると、より充分な硬化性、耐熱性及び耐薬品性が得られる。
(B)活性型エステル基含有化合物の数平均分子量は、100〜1500であることが好ましく、200〜1300であることがより好ましく、300〜1000であることが更に好ましい。この範囲であれば、より充分な硬化性が得られる。
((C)エポキシ樹脂硬化促進剤)
樹脂組成物は、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤を含むことができる。(C)成分のエポキシ樹脂硬化促進剤としては特に制限はなく、エポキシ樹脂の硬化に用いられる一般的な硬化促進剤を使用することができる。当該硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等のイミダゾール系化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン系化合物;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の有機ホスファイト系化合物;エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスホニウム塩化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン;4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデセン−7等のアミン系化合物;上記アミン系化合物とテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸等との塩;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩化合物などを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、樹脂組成物における(C)硬化促進剤の含有量は、(A)成分のエポキシ樹脂100質量部に対して、0.02〜1.5質量部であることが好ましい。この含有量が0.02質量部以上であると、エポキシ樹脂の硬化が充分となって、耐熱性を維持することができ、一方、1.5質量部以下であると、樹脂組成物の保存安定性及びBステージの樹脂組成物の取り扱い性が良好となる。以上の観点から、(C)硬化促進剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.8〜1.3質量部の範囲がより好ましい。
樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、無機フィラー、及び、各種添加成分として、例えばレベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、揺変性付与剤、増粘剤、溶媒等を含有させることができる。
(無機フィラー)
無機フィラーは、熱膨張率の抑制及び塗膜強度を上げる目的で含有させるものであり、例えばシリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウム等が使用可能である。なお、誘電特性及びより熱膨張率を下げる観点からシリカを用いるのが好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物における無機フィラーの含有量は、溶媒を除く樹脂組成物の固形分中で5〜35体積%であることが好ましく、10〜30体積%であることがより好ましい。この含有量が5体積%以上であると熱膨張係数の増大を抑制することができ、一方、35体積%以下であると絶縁樹脂層を内層回路に形成する際の樹脂フローが充分となり、未充填箇所が発生しにくくなる。
樹脂組成物における無機フィラーの含有量は、溶媒を除く樹脂組成物の固形分中で1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。この含有量が1質量%以上であると熱膨張係数の増大を抑制することができ、一方、30質量%以下であると絶縁樹脂層を内層回路に形成する際の樹脂フローが充分となり、未充填箇所が発生しにくくなる。
これらの無機フィラーは、分散性を高める目的で、カップリング剤で処理してもよい。無機フィラーは、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等の既知の混練方法により樹脂組成物中に均質に分散してもよい。
(カップリング剤)
無機フィラーの分散性を高める目的で、該無機フィラーの表面処理に用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。その中でも、シラン系カップリング剤が好ましい。カップリング剤としては、例えば、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルエトキシシラン、γ−メルカトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカトプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(溶媒)
樹脂組成物は、溶媒に希釈して用いることができる。溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。この溶媒の上記樹脂組成物に対する使用割合は、従来使用されている割合でよく、目的とする絶縁樹脂の塗膜形成の設備に合わせて使用量を調整することができる。
[樹脂組成物の調製]
樹脂組成物の調製方法には、特に制限はなく、従来公知の調製方法を用いることができる。例えば、上記溶媒中に、上述した(A)成分のエポキシ樹脂、(B)成分の活性型エステル基含有化合物、及び(C)成分のエポキシ樹脂硬化促進剤、無機フィラー、各種添加成分を必要に応じて加えたのち、例えば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、自転公転式分散方式等の各種混合機を用いて混合・攪拌することにより、ワニスとして調製することができる。このワニス中の溶媒を除く固形分濃度は20〜70質量%であることが、塗工性等の観点から好ましい。
[熱硬化性樹脂組成物の熱硬化]
本発明の無電解めっき方法では、上述した各種成分を含む熱硬化性樹脂組成物(熱硬化性絶縁樹脂組成物)を熱硬化処理して硬化物として用いることができる。熱硬化処理は、後のめっき処理及び配線導体のアニール処理等を考慮した温度及び時間で行うことが望ましい。例えば、150〜190℃で30〜90分間程度の熱処理を熱硬化性樹脂組成物に施して硬化させることが好ましい。この範囲で熱硬化処理を行えば、より良好な接着性を得られるとともに硬化物めっき液への溶解を低減できる。
<(i)硬化物に紫外線を照射する工程>
上述した熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対し、後述する(1)上記硬化物に有機溶剤を含むアルカリ溶液を接触させる工程よりも前に、紫外線照射処理を行うことが好ましい。この理由は以下に示すとおりである。すなわち、本発明の無電解めっき方法を用いて配線板を製造する場合、上記樹脂組成物により形成された絶縁樹脂層を後述の方法で熱硬化処理したのち、該絶縁樹脂層(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)を、更に下記の条件で紫外線照射処理することにより、該絶縁樹脂層表面の凹凸が小さいにもかかわらず、配線導体に対して高い接着力を発現する。その機構については、必ずしも明確ではないが、絶縁樹脂層に紫外線を照射することにより、該絶縁樹脂層表面に、(A)エポキシ樹脂及び(B)活性型エステル基含有化合物に由来するエステル基の分解による酸素含有基が形成し、この酸素含有基が配線導体に対する高い接着力をもたらすものと推察される。該絶縁樹脂層表面に形成された酸素含有基の酸素原子量は、X線光電子分光法により測定することができる。
上記紫外線は、例えば最大波長300〜450nmの範囲であることが好ましい。また、大気圧雰囲気下に、光量が1000〜5000mJ/cm程度、好ましくは2000〜4000mJ/cmになるように、紫外線を照射することが望ましい。なお、上記光量(mJ/cm)は、「照度(mW/cm)×照射時間(秒)」で表される。また、紫外線照射時の絶縁樹脂層の温度は50〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
このように、絶縁樹脂層を熱硬化処理後、紫外線照射処理することにより、該絶縁樹脂層は、配線導体に対して高い接着力を発現し得る。したがって、本実施形態に係る製造方法では、従来用いられる過マンガン酸ナトリウム系等の粗化液を用いて凹凸形状を形成する工程を省略してもよく、その場合でも配線形成の歩留まりの低下を抑えることができる。また、粗化液使用による水洗処理及び廃液処理をなくすことができ、コスト的にも有利である。もちろん、ビアホール底のスミアを除去するために、過マンガン酸ナトリウム系等の粗化液で処理しても、粗化凹凸が小さく、かつ配線導体に対して高い接着力を確保することができる。
本実施形態では、上述のようにして製造した熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対し、以下のような工程により無電解めっきを行う。
<(1)硬化物に有機溶剤を含むアルカリ溶液を接触させる工程>
まず、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に有機溶剤を含むアルカリ溶液を接触させ、処理表面の改質を行う。この工程により硬化物表面の劣化層が取り除かれる。特に上述の熱硬化性樹脂組成物を用いた場合は、当該工程により、オゾニド、メチロール基、カルボニル基、エステル基等の酸素含有基が露出すると考えられる。有機溶剤を含むアルカリ溶液は特に限定されないが、例えば有機溶剤はジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール等が挙げられ、アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。有機溶剤を含むアルカリ溶液の市販品としては、「スウェリングディップ セキュリガントP」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)が挙げられる。
<(2)硬化物にノニオン系界面活性剤を含有する溶液を接触させる工程>
硬化物にノニオン系界面活性剤を含有する溶液を接触させることで、上記工程(1)で残った表面の劣化層を完全に除去する。ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、疎水基の原料として、高級アルコール、チオアルコール、アルキルフェノール、ポリプロピレングリコール、高級脂肪酸、高級アミン、高級脂肪酸アミド、油脂等を用い、親水基の原料として、ポリエチレングリコール、アルキレンオキシド、グリセリン、ソルビトール、しょ糖、ジエタノールアミン等を用いて得られるものが挙げられる。すなわち、ノニオン系界面活性剤は、高級アルコール、チオアルコール、アルキルフェノール、ポリプロピレングリコール、高級脂肪酸、高級アミン、高級脂肪酸アミド、油脂に由来する構造単位と、ポリエチレングリコール、アルキレンオキシド、グリセリン、ソルビトール、しょ糖、ジエタノールアミンに由来する構造単位とを有することが好ましい。それらの中では、疎水基の原料として高級アルコール又はアルキルフェノールを用い、親水基の原料としてアルキレンオキシドを用いて得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルがより好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを使用することができ、この分子中にオキシプロピレン基(−OC−)を有していてもよい。ノニオン系界面活性剤を含有する溶液の市販品として、クリーナーコンディショナー液「CLC−601」(日立化成株式会社製、商品名)、「クリーナー セキュリガント902」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)を用いることができる。
<(2’)硬化物に一価のイオンを含有する溶液を接触させる工程>
めっき反応の触媒となるパラジウムをより効率よく、より均一に付与するため、上記界面活性剤を含有する溶液を接触させる工程の後、硬化物に一価のイオンを含有する溶液を接触させる工程を行ってもよい。一価のイオンを与える化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩などの無機塩等が挙げられる。例えば、塩化ナトリウム水溶液に硬化物を浸漬することで、上記界面活性剤を含有する溶液を接触させる工程で表面に吸着した界面活性剤の親水基にナトリウムイオン及び塩素イオンが吸着すると考えられる。一価のイオンを含有する溶液の市販品として、プリディップ液「PD−201」、「PD−301」(日立化成株式会社製、商品名)、「プリディップ ネオガントB」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
<(3)硬化物にPd含有溶液を接触させる工程>
硬化物にPd含有溶液を接触させることにより、パラジウム触媒化処理を行う。パラジウム触媒化処理は、公知の方法で行うことができ、その方法は特に限定されないが、例えば、アルカリシーダ、酸性シーダと呼ばれる触媒化処理液を用いた触媒化処理方法が挙げられ、塩基性のアルカリシーダを用いることが好ましい。酸性シーダを用いた触媒化処理方法としては、例えば以下の方法がある。硬化物を塩化第一錫溶液に浸漬し、錫イオンを硬化物表面に吸着させる感受性化処理を行なった後、水洗する。次に、硬化物を塩化パラジウムを含んだ溶液に浸漬し、パラジウムイオンを硬化物表面に捕捉させる方法である。
アルカリシーダを用いた触媒化処理方法としては、例えば、2−アミノピリジンが配位したパラジウムイオン溶液に硬化物を浸漬させることで硬化物表面にパラジウムイオンを吸着させる方法がある。微細配線形成性の観点では、粒子の細かいアルカリシーダのほうがより好ましい。アルカリシーダとしては市販品として「アクチベータ ネオガント834コンク」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)を含むアルカリ水溶液が好ましい。
<(4)硬化物に酸性溶液を接触させる工程>
本工程では、酸性処理液を硬化物に接触させることで、硬化物と無電解めっき層との密着性をさらに向上させる。酸性処理液としては特に限定はなく、例えば、硫酸、塩酸、燐酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、イセチオン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸等を含有するものが挙げられ、その中でもより密着性を高められる観点から、ホウフッ化水素酸を含有する酸性処理液が好ましい。ホウフッ化水素酸を含有する酸性処理液の市販品としては、「ADP−201」、「ADP−202」、「ADP−501」(日立化成株式会社製、商品名)等が挙げられる。
<(4’)硬化物に還元剤を接触させる工程>
必要に応じて、密着促進処理として硬化物に還元剤を接触させることが好ましい。本工程において用いる材料は、酸性水溶液又はアルカリ性水溶液が好ましい。本工程では、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素塩、グリオキシル酸、還元糖等の還元剤を含んだ酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を用いることができる。これらの市販品として、密着促進剤液「ADP−601」(日立化成株式会社製、商品名)、「リデューサー ネオガントWA」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
<(5)硬化物に無電解めっき液を接触させる工程>
本工程は、工程(4)又は工程(4’)で生成した0価の金属を核として無電解めっき法により金属薄膜層(無電解めっき層)を形成する工程である。無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いればよい。このような無電解めっき液としては、例えば、次亜リン酸アンモニウム又は次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リ酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。金属薄膜層を形成した後、基板表面を防錆剤と接触させて防錆処理をすることもできる。
本発明においては、金属薄膜層を形成した後、該金属薄膜層を加熱処理することが好ましい。加熱処理の温度は通常50〜250℃、好ましくは80〜150℃である。加熱処理の時間は通常1〜60分、好ましくは5〜30分である。加熱は常圧で行っても、加圧条件下で行ってもよい。加圧条件下で加熱する場合、圧力を加える方法として、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機等で基板に対して物理的に圧力を加える方法が挙げられる。加える圧力は、好ましくは0.1MPa〜20MPa、より好ましくは0.5MPa〜10MPaである。加熱処理により、めっきにより形成された導体層と硬化物との密着性及びはんだ耐熱性をより向上させることができる。
上記により形成された金属薄膜層の上に、更にめっきを成長させることができる。例えば、常法に従って、パターン状にめっきレジストを形成させ、次いで電解めっき等の湿式めっきにより、めっきレジストに覆われていない金属薄膜層部分に電解めっきを成長させる。その後、めっきレジストを除去し、更にめっきレジスト下にあった金属薄膜層部分をエッチングして導体層を形成する。このようにして、硬化物上に、金属薄膜層(無電解めっき層)と、その上に成長させためっきとからなる導体層を形成することができる。
[配線板の製造方法]
上記の無電解めっき方法は、例えば配線板の製造に好適に用いることができる。
配線板の製造方法は上述の無電解めっき方法を用いていれば特に限定されないが、例えば、以下のような工程で行うことができる。すなわち、本発明の配線板の製造方法は、(a)配線導体の回路を有する基板又は絶縁層となる基材上に、上述した熱硬化性樹脂組成物を用いて絶縁樹脂層を形成する工程、(b)上記絶縁樹脂層を熱硬化処理する工程、(c)熱硬化処理された絶縁樹脂層を紫外線照射処理する工程、(d)紫外線照射処理された絶縁樹脂層に、上述した本発明の無電解めっき方法を用いて無電解めっき処理を施す工程、をこの順に備える。更に、配線板の製造方法は、上記工程(d)の後、(e)無電解めっき上に、電解めっき処理を施す工程を含むことができ、また、上記工程(c)と工程(d)との間に、(c’)紫外線照射処理された絶縁樹脂層表面を、酸化性粗化液で粗化処理する工程を含むことができる。
(配線回路を有する基板)
配線板に用いられる配線導体の回路(配線回路)を有する基板(以下、回路付絶縁基板と称することがある。)としては、少なくとも一方の面に回路を備えた絶縁基板であれば特に限定するものではなく、片面にのみ回路を形成したもの、又は、両面銅張積層板を用いて得られるような、絶縁基板の両面に回路が形成されたものであってもよい。この回路付絶縁基板は、通常の配線板において用いられている公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等を使用することができる。回路は公知のいずれの方法により形成されていてもよく、銅箔と上記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法、上記絶縁基板の必要な箇所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、公知の配線板の製造法を用いることができる。
また、この回路表面には、接着性を向上させるための回路表面処理を行ってもよい。この処理方法も、特に制限されることはなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により回路表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元する等の公知の方法を採用することができる。
(絶縁層となる基材)
絶縁層となる基材としては特に限定はなく、上記絶縁基板のコア基材と同様のものを使用できる。
(絶縁樹脂層付キャリアフィルムの作製)
工程(a)を行う前に、必要に応じて、上述した熱硬化性樹脂組成物(ワニス)をキャリアフィルムに塗工したのち、80〜180℃程度の温度で、1〜10分間程度乾燥処理して、絶縁樹脂層付キャリアフィルムを作製する。乾燥処理の温度が80℃以上であり、かつ時間が1分以上である場合、乾燥が充分に進行し、絶縁樹脂層内にボイドが発生するのを抑制することができ、一方乾燥処理の温度が180℃以下で、かつ時間が10分以下であると、乾燥が進みすぎて、樹脂フロー量が低下するのを抑制することができる。
絶縁樹脂層の厚み(乾燥後の厚み)に関しては、特に制限はなく、用途によって3〜60μmの範囲とすることが好ましい。絶縁樹脂層の膜厚を厚くすることは絶縁性の点では有利になるが、一方で、配線板の薄型化の観点から、通常は60μm以下程度とすることが好ましく、より良好な絶縁性を得るため3μm以上が好ましい。
上記キャリアフィルムの厚さとしては特に制限はないが、10〜200μm程度が好ましく、20〜100μmがより好ましい。また、キャリアフィルムとしては特に制限はないが例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は銅箔が好適に用いられる。キャリアフィルムは適宜離型処理を行っていてもよい。
<(a)配線導体の回路を有する基板上又は絶縁層となる基材上に、熱硬化性樹脂組成物を用いて絶縁樹脂層を形成する工程>
上述した回路付絶縁基板の回路上に絶縁樹脂層を形成する方法としては、上記で得られた絶縁樹脂層付キャリアフィルムを用い、ラミネート方式又はプレス方式で絶縁樹脂層を形成する方法が挙げられる。
ラミネート方式は、回路付絶縁基板の回路に、絶縁樹脂層付キャリアフィルムを、その絶縁樹脂層が対面するように接触させ、例えば真空加圧ラミネータ積層装置を用いて、該絶縁樹脂層を積層したのち、キャリアフィルムを剥離する方法である。
真空加圧ラミネータ積層装置を用いる場合、温度は50〜170℃程度、圧力0.2MPa以上であることが好ましい。好ましい圧力値も、加熱温度と同様に、基板の厚み及び残存銅率等により変化するが、圧力が高すぎると基板が変形する恐れがあるため、1.0MPa以下であることが好ましい。また、真空度は、15hPa以下であると内層回路板への埋め込み性が良好となり、一方で真空度は低ければ低い方が好ましいが、装置の能力及び所定値への到達までの待ち時間等が生産性に及ぼす影響等を考慮すると、5〜10hPaの範囲で行うことが好ましい。熱圧着時間は10〜90秒程度が好ましい。10秒以上であると内層回路への樹脂の流動に要する時間が充分となり、90秒以下では生産性が良好となる。より好ましい熱圧着時間は20〜60秒である。
一方、プレス方式の場合、上記と同様に、回路付絶縁基板の回路に絶縁樹脂層付キャリアフィルムを、その絶縁樹脂層が対面するように接触させ、使用する絶縁樹脂層に合わせた適正な条件で行うことが望ましく、例えば昇温速度3℃/分程度で、35℃から190℃程度まで約50分間を要して昇温させ、その温度にて2.0〜3.0MPa程度の圧力で、60〜90分間程度保持したのち、室温まで30分間程度を要して冷却する方法を用いることで、回路付絶縁基板の回路上に、絶縁樹脂層を形成することができる。
また、絶縁層となる基材上に絶縁樹脂層を形成する場合、上述した回路付絶縁基板上に絶縁樹脂層を形成する場合と同様の方法で行うことができる。
<(b)絶縁樹脂層を熱硬化処理する工程>
配線板の製造方法においては、上記のようにして配線導体の回路を有する基板上又は絶縁層となる基材上に形成された絶縁樹脂層を、熱硬化処理する。熱硬化処理は、本発明の無電解めっき方法において説明した上記熱硬化性樹脂組成物の熱硬化と同様の方法で行うことができる。
<ビア形成工程>
熱硬化処理を行った後、必要に応じて、絶縁樹脂層にビアを形成する工程を行ってもよい。これにより、絶縁樹脂層にビアホール等を形成することができる。ビアホールは、層間の電気接続のために設けられ、絶縁樹脂層の特性を考慮して、ドリル、レーザー、プラズマ等を用いる公知の方法により形成することができる。例えば、キャリアフィルムが存在する場合は、キャリアフィルム上からレーザー光を照射して、絶縁樹脂層にビアホールを形成することができる。
レーザー光源としては、例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。中でも、加工速度及びコストに優れる観点から、炭酸ガスレーザーが好ましい。
穴あけ加工は、市販されているレーザー装置を用いて実施することができる。市販されている炭酸ガスレーザー装置としては、例えば、日立ビアメカニクス株式会社製のLC−2E21B/1C、三菱電機株式会社製のML605GTWII、松下溶接システム株式会社製の基板穴あけレーザー加工機が挙げられる。
<(c)熱硬化処理された絶縁樹脂層を紫外線照射処理する工程>
配線板の製造方法においては、上記のようにして熱硬化処理された絶縁樹脂層を、紫外線照射処理する。この紫外線照射処理の目的は、上述した本発明の無電解めっき方法において説明したとおりである。
紫外線照射処理の条件については、紫外線は、最大波長が300〜450nmの範囲を有する紫外線ランプを用い、大気圧雰囲気下に、紫外線を光量が1000〜5000mJ/cmの範囲になるように照射することが好ましい。絶縁樹脂層に大気圧雰囲気下で紫外線を照射する方法は、特に限定はされないが、生産性を考慮すればコンベア式の紫外線照射方式が好ましい。紫外線ランプとして、最大波長が300〜450nmの範囲を有するものは、水銀ショートアークランプ、高圧水銀ランプ、毛細管型超高圧ランプ、高圧ランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。これらのランプにおいて、紫外線の波長が全域で広いメタルハライドランプが好ましい。
紫外線の最大波長が300〜450nmの範囲を有する紫外線ランプを使用する目的は、汎用性と紫外線の波長域が関係する。すなわち、最大波長が300〜450nmを示す紫外線ランプは、コンベア式型の紫外線照射装置、例えばソルダレジストの後露光装置として一般的に用いられているからである。更に、メタルハライド型のコンベア照射装置は、紫外線波長領域が広く、特別な装置を必要としないでこれらの装置を代替えすることで本発明の効果を発揮できる。紫外線の光量が、1000mJ/cm以上であると酸化性粗化液で絶縁樹脂層を処理しなくてもめっき導体との接着力が充分となり、一方5000mJ/cm以下であると該接着力は、良好に発現され、経済的にも有利である。より好ましい光量は、2000〜4000mJ/cmの範囲である。
このように、熱硬化処理後の絶縁樹脂層を紫外線照射処理することにより、該絶縁樹脂層表面の凹凸が小さい状態でも、配線導体に対して容易に高い接着力を発現することができる。
なお、上述した本発明の無電解めっき方法において説明した工程(i)は、上記工程(c)と同じ工程であり、工程(c)の後に工程(i)を重複して行う必要はない。
<(c’)紫外線照射処理された絶縁樹脂層表面を、酸化性粗化液で粗化処理する工程>
ビアホール底のスミアの除去が必要な場合、酸化性粗化液を用いて除去処理することができる。この酸化性粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液等を用いることができる。また、この酸化性粗化液で処理する際、溶媒又はアルカリ液、あるいはこれらの混合物液(一般には、膨潤液又はプリディップ液)に浸したのち、酸化性粗化液で処理してもよい。上記溶媒としては、アルコール系の溶媒、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピルアルコール等が使用できる。また、アルカリ液は、水に溶解した際にアルカリ性を示す液であれば特に制限はなく、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が使用できる。更に、溶媒又はアルカリ液を混合してもよく、例えば水酸化ナトリウムとジエチレングリコールモノブチルエーテルの混合液等が使用できる。
<(d)紫外線照射処理された絶縁樹脂層に無電解めっきを施す工程>
配線板の製造方法においては、上述のようにして処理された絶縁樹脂層の表面に、上述した本発明の無電解めっき方法により無電解めっきが施される。このとき、例えば、めっき触媒上に厚さが0.3〜1.5μm程度の無電解めっき層を析出させる。
<(e)無電解めっき上に電解めっき処理を施す工程>
必要により、上述のようにして形成された無電解めっき上に、電解めっき処理を施すことができる。電解めっき処理は公知の方法による行うことができ、特に制限はない。これにより、絶縁樹脂層上に、上記無電解めっきにより形成された無電解めっき層と、上記電解めっきにより形成された電解めっき層と、からなる導体層が形成される。電解めっき処理を行わない場合には、導体層は無電解めっき層のみで形成される。
導体層の形成後、上述したような配線形成工程を行うことにより、多層配線板を作製することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
各実施例及び比較例の評価は、以下に示す方法により行った。
<1>外層回路層の接着強度(90度剥離、単位;kN/m)
外層回路層(第3回路層)の一部に幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を剥がしてつかみ具でつかみ、室温中で、垂直方向に約50mm引き剥がした際の荷重を測定した。荷重の測定は、JIS K 6854−1に従って行った。
<2>めっき銅エッチング除去面の絶縁樹脂層粗さ(表面平均粗さ、単位;μm)
外層回路層をエッチング処理して銅を除去し、2mm角に切断し、株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8500型」を用いて、異なる箇所3点について、測定長さ149μm、倍率2000倍、分解能0.05μmの条件で粗さを測定し、測定長さ149μm中の粗さの最大部から最小部を引いた値を絶縁樹脂層の表面粗さとし、3箇所の平均値を算出した。
<3>はんだ耐熱性
多層配線板を25mm角に切断し、その直後に288℃±2℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を調べた。
[実施例1]
<1>回路板の作製
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、粗化銅箔を両面に有する「MCL−E−67」(日立化成株式会社製、商品名))にエッチングを施して片面に回路層(以下、「第1回路層」と言う)を有する回路板を作製した。
<2>(A)成分であるエポキシ樹脂の調製
温度計及び撹拌機を取り付けたフラスコに、ビスフェノールA228g(1.00モル)と1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル92g(0.85モル)を仕込み、120℃まで1時間要して昇温した後、更に120℃で6時間反応させて透明半固形の変性多価フェノール類400gを得た。次に、温度計、滴下ロート、冷却管、及び撹拌機を取り付けたフラスコに、上記変性多価フェノール類400g、エピクロルヒドリン925g(10モル)、n−ブタノール185gを仕込み、変性多価フェノール類を溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49質量%水酸化ナトリウム水溶液122g(1.5モル)を5時間かけて滴下した。次いで、上記の条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gを加え溶解した。更に、この溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に、300gの水による水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密ろ過を経た後に溶媒を減圧下で留去して、透明液体のエポキシ樹脂457gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は403であった。
<3>熱硬化性樹脂組成物の調製
(A)成分として、上記<2>にて調製したエポキシ樹脂(表1中のA1)50質量部、(B)成分である、活性型エステル基含有樹脂「EXB−9460S」(DIC株式会社、商品名、エステル当量:223)(表1中のB1)14質量部、(C)成分である、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート(四国化成工業株式会社製、商品名「2PZ−CNS」)(表1中のC1)0.15質量部を、溶媒であるメチルエチルケトン(以下、「MEK」と言う)(表1中のD1)32質量部に溶解して、熱硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。
<4>絶縁樹脂層の形成、並びに熱硬化処理及び紫外線照射処理
上記<3>で得られた熱硬化性樹脂組成物(ワニス)を、キャリアフィルムとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)上に塗工し、100℃で10分間乾燥処理することにより、膜厚50±3μmの絶縁樹脂層付キャリアフィルムロールを作製した。
更に、上記の絶縁樹脂層付キャリアフィルムを、上記<1>で得られた回路板の片面(第1回路層側)に、絶縁樹脂層が第1回路層と接するように、バッチ式真空加圧ラミネータ「MVLP−500」(株式会社名機製作所製、商品名)を用いて積層した。
次に、キャリアフィルムを剥がしたのち、絶縁樹脂層を170℃、60分間の硬化条件にて熱硬化処理し、次いで、コンベア式紫外線照射装置を用いて、メタルハライドランプ(最大波長350〜380nm)にて、紫外線を光量が3000mJ/cmになるように照射した。
<5>無電解めっき処理及び電解めっき処理
まず、工程(1)として、「スウェリングディップ セキュリガントP」(アトテックジャパン株式会社製、商品名、有機溶剤を含むアルカリ溶液)に、上記<4>で得られた紫外線照射処理後の絶縁樹脂層付き基板を70℃で15分間浸漬し、その後水洗した。次いで、絶縁樹脂層付き基板を、工程(2)として、「CLC−601」(日立化成株式会社製、商品名、ノニオン系界面活性剤を含有する溶液)に60℃で5分間浸漬し、その後水洗し、工程(2’)として、「プリディップネオガントB」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)に室温にて2分間浸漬した。次に工程(3)として、絶縁樹脂層付き基板を、PdClを含む無電解めっき用触媒である「アクチベータ ネオガント834コンク」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)に、35℃で5分間浸漬処理したのち、水洗し、工程(4)として、酸性水溶液「ADP−202」日立化成株式会社製、商品名)に30℃で5分間浸漬し、その後水洗し、工程(4’)として、「リデュサーネオガントWA」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)に、25℃で5分間浸漬処理したのち、水洗し、工程(5)として、無電解銅めっき液である「プリントガントMSK―DK」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)に35℃で15分間浸漬し、更に硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニール処理を170℃で30分間行い、絶縁樹脂層表面上に無電解めっき層及び電解めっき層からなる厚さ20μmの導体層を形成した。
<6>回路の形成
上記<5>で形成した導体層の不要な箇所をエッチング除去するために、銅(電解めっき層)表面の酸化被膜を#600のバフロール研磨で除去した後、エッチング用レジスト膜を形成してエッチング処理し、その後エッチング用レジスト膜を除去して、第1回路層と接続したビアホールを含む第2回路層の形成を行った。更に、多層化するために、第2回路層表面を、亜塩素酸ナトリウム:50g/L、NaOH:20g/L、リン酸三ナトリウム:10g/Lの水溶液に85℃で20分間浸漬したのち、水洗し、80℃で20分間乾燥して第2回路層表面上に酸化銅の凹凸を形成した。
<7>多層配線板の作製
上記<4>〜<6>の工程を繰り返して、3層の多層配線板を作製した。なお、最も外側に形成される回路層を第3回路層(又は外層回路層)と称する。当該多層配線板について、上記方法にて評価した結果を表1に示す。
[実施例2〜4及び7]
実施例1において、熱硬化性樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、各種多層配線板を作製した。得られた多層配線板について実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、表1に示すように、無機フィラーとして平均粒径0.5μmの球状シリカ「SO−25R」(株式会社アドマテックス製、商品名)を加え、各成分の組成を表1に示すように変更した熱硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、多層配線板を作製した。得られた多層配線板について実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1と同様の熱硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、絶縁樹脂層の形成、及び熱硬化処理までを行った。次に、この絶縁樹脂層付き基板に層間接続用のビアホールを、ビアメカニクス株式会社製COレーザ加工機「LCO−1B21型」により、ビーム径80μm、周波数500Hz、パルス幅5μsec、ショット数7の条件で加工して作製した。その後、絶縁樹脂層付き基板に対し、ランプがメタルハライドランプのコンベア式紫外線照射装置(最大波長350〜380nm)を用い、紫外線を光量が3000mJ/cmになるように照射した。
次に、絶縁樹脂層を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200mL/L、NaOH:5g/Lの水溶液を80℃に加温して、これに絶縁樹脂層付き基板を5分間浸漬処理した。次に、粗化液として、KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液を80℃に加温して、これに絶縁樹脂層付き基板を10分間浸漬処理した。引き続き、中和液(SnCl:30g/L、濃度98質量%のHSO:300mL/Lの水溶液)に、絶縁樹脂層付き基板を室温で5分間浸漬処理して中和した。その後、実施例1の<5>〜<7>と同様の操作を行って多層配線板を作製した。得られた多層配線板について実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、工程(1)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、多層配線板を作製した。得られた多層配線板について実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、工程(2)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、多層配線板を作製した。得られた多層配線板について実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、工程(4)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、多層配線板を作製した。得られた多層配線板について実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
Figure 0006634849

なお、表中の配合量は質量部を示す。
表1に示した各成分の詳細は以下の通りである。
A1:ヘキサンジオールを骨格に有するエポキシ樹脂(実施例1の(2)の工程にて調製)
A2:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、「N−770」(DIC株式会社社製、商品名)
B1:活性型エステル基含有化合物、「EXB−9460S」(DIC株式会社、商品名、エステル当量:223)
B2:クレゾールノボラック型フェノール樹脂、「KA−1165」(DIC株式会社製,商品名)
C1:硬化促進剤、イミダゾール誘導体化合物、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート(四国化成工業株式会社製、商品名「2PZ−CNS」)
C2:硬化促進剤、トリフェニルホスフィン
D1:メチルエチルケトン(MEK)
E1:無機フィラー、平均粒径0.5μmの球状シリカ、「SO−25R」(株式会社アドマテックス製、商品名)
表1から、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化し、これに紫外線を照射した絶縁樹脂層を有する配線板は、実施例に示した無電解めっき処理工程を用いることで、絶縁樹脂層の表面粗さが小さい状態で、外層回路層の接着強度が良好で微細配線化に適していることがわかる。また、288℃におけるはんだ耐熱性にも優れており、鉛フリーはんだ実装にも優れていることがわかる。
本発明の無電解めっき方法を用いて作製された配線板は、絶縁樹脂層表面の凹凸が小さい場合でも、絶縁樹脂層が配線導体に対して高い接着力を有し得る上、ビアホール底のスミアを除去するために、過マンガン酸ナトリウム系等の粗化液で処理しても、絶縁樹脂層表面の粗化凹凸が小さく、かつ絶縁樹脂層が配線導体に対して高い接着力を確保することができる。また、高温で長時間放置しても、絶縁樹脂層が配線導体に対して高い接着力を維持することができ、かつはんだ耐熱性にも優れている。

Claims (8)

  1. 熱硬化性樹脂組成物の硬化物に無電解めっきを施す無電解めっき方法であって、
    (1)前記硬化物に有機溶剤を含むアルカリ溶液を接触させる工程と、
    (2)前記硬化物にノニオン系界面活性剤を含有する溶液を接触させる工程と、
    (2’)前記硬化物に一価のイオンを含有する溶液を接触させる工程と、
    (3)前記硬化物にPd含有溶液を接触させる工程と、
    (4)前記硬化物に酸性溶液を接触させる工程と、
    (4’)前記硬化物に還元剤を接触させる工程と、
    (5)前記硬化物に無電解めっき液を接触させる工程と、
    をこの順に備え
    前記熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む、無電解めっき方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂組成物が、活性型エステル基含有化合物をさらに含む、請求項1に記載の無電解めっき方法。
  3. 前記エポキシ樹脂が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、主鎖に炭素数3以上のアルキレングリコールに由来する構造を有するエポキシ樹脂を含む、請求項1又は2に記載の無電解めっき方法。
  4. 前記炭素数3以上のアルキレングリコールがヘキサンジオールである、請求項3に記載の無電解めっき方法。
  5. 前記酸性溶液がホウフッ化水素酸を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無電解めっき方法。
  6. 前記Pd含有溶液が塩基性である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の無電解めっき方法。
  7. (i)前記硬化物に紫外線を照射する工程を更に備え、前記工程(i)を前記工程(1)よりも前に行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の無電解めっき方法。
  8. (a)配線導体の回路を有する基板上又は絶縁層となる基材上に、エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物を用いて絶縁樹脂層を形成する工程と、
    (b)前記絶縁樹脂層を熱硬化処理する工程と、
    (c)熱硬化処理された絶縁樹脂層を紫外線照射処理する工程と、
    (d)紫外線照射処理された絶縁樹脂層に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の無電解めっき方法により無電解めっきを施す工程と、
    をこの順に備える配線板の製造方法。
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