JP6318895B2 - 配線板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品に好適に用いられる配線板及びその製造方法に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2009−174041号公報(特許文献1)がある。この公報には、疎水性表面にパターン状の疎水性めっき触媒受容領域を形成してなる基板において、めっき触媒受容領域のみに選択的にめっき触媒を吸着させることができるようにし、基板と金属層との密着性に優れ、高精細のパターン形成可能な、金属層付き基板を製造することを目的として、基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、前記基板をパターン状に露光して樹脂組成物を硬化後、未硬化物を現像除去し、疎水性の樹脂硬化物を形成した基板を触媒液と接触させ、触媒を選択的に吸着させ、無電解めっきにより吸着した触媒上に金属めっき層を形成して配線板を得る方法が開示されている。
また、特開2012−36339号公報(特許文献2)がある。この公報には、絶縁樹脂層表面の凹凸形状が小さい状態でも、配線導体に対して容易に高い接着力を発現し得る絶縁樹脂を形成することを目的として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、主鎖に炭素数3〜10のアルキレングリコールに由来する構造単位を有するエポキシ樹脂、紫外線活性型エステル基含有化合物、及びエポキシ樹脂硬化促進剤を含み、紫外線活性型エステル基含有化合物のエステル当量が、エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して、0.85〜1.25当量である樹脂組成物が開示されている。また、この公報には、当該樹脂組成物を用いて未硬化樹脂層を形成する工程、該未硬化樹脂層を熱硬化処理し、次いで紫外線照射処理して硬化樹脂層を形成する工程、及び該硬化樹脂層に無電解めっき処理を施す工程、を含む配線板の製造方法が開示されている。
特開2009−174041号公報 特開2012−36339号公報
特許文献1に記載の方法の場合、疎水性硬化物のパターンを得るための工程数が多く、煩雑である上、未硬化物の残留により所望の場所以外に配線が形成される又は樹脂と樹脂界面や樹脂と金属界面の密着性が低下する等が懸念される。また、既存の触媒液を用いることが出来ず、触媒液の汎用性が乏しい点で改善の余地がある。
特許文献2に記載の配線板の製造方法の場合、紫外線照射処理の際、紫外線を遮って処理するものではなく、熱硬化樹脂層の全面に紫外線を照射し、無電解めっき処理を施した後、レジストパターンを無電解めっき層上に形成し、電解めっきで厚付けしたのち、レジストパターンを剥離し、無電解めっき層を除去して配線板とすることが前提となっている。この方法も、工程が多く、改善の余地がある。
本発明の目的は、配線板を製造する際、紫外線の照射により樹脂組成物を硬化する工程及び配線を形成する工程において工程数を削減することにある。
本発明は、絶縁基板及びその表面に形成した樹脂硬化物層を有する樹脂基板と、樹脂硬化物層の表面に形成した金属配線と、を備えた配線板の製造方法において、樹脂硬化物層は、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(B)紫外線活性型エステル基含有化合物と、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤と、を含む樹脂組成物を硬化して得たものであり、樹脂硬化物層に紫外線を照射して樹脂硬化物層の表面に親水基を生成する紫外線照射工程と、その後、樹脂硬化物層の表面に無電解めっき用触媒を吸着させる触媒吸着工程と、無電解めっき用触媒を吸着した樹脂硬化物層の表面に無電解めっき膜を形成する無電解めっき工程と、を含み、紫外線照射工程は、樹脂硬化物層の表面にマスクを設置し、樹脂硬化物層の一部のみに紫外線が照射される工程であることを特徴とする。
本発明によれば、紫外線の照射により樹脂組成物を硬化する工程及び配線を形成する工程において工程数を削減することができる。特に、配線を形成する際のエッチング工程を不要とすることができる。
配線板の製造方法の工程の例を示すフロー図である。 配線板の構造を示す断面図である。 マスクの例を示す顕微鏡写真である。 本発明の製造方法により製造した配線板の例を示す顕微鏡写真である。
本発明は、電子部品に好適に用いられる配線板の製造方法に関し、簡易なめっき配線形成を可能にするための選択的な無電解めっき膜形成技術による、配線板及びその製造方法に関する。
本発明は、基板上にマスクを設置し、紫外線を照射する部位と照射しない部位とを設け、紫外線を照射した部位のみに触媒を吸着させ、無電解めっきにより金属配線を形成するものである。
以下、本発明の実施形態に係る配線板の製造方法及び配線板について説明する。
前記配線板の製造方法は、絶縁基板及びその表面に形成した樹脂硬化物層を有する樹脂基板と、樹脂硬化物層の表面に形成した金属配線と、を備えた配線板を製造する方法であって、樹脂硬化物層は、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(B)紫外線活性型エステル基含有化合物と、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤と、を含む樹脂組成物を硬化して得たものであり、樹脂硬化物層に紫外線を照射して樹脂硬化物層の表面に親水基を生成する紫外線照射工程と、その後、樹脂硬化物層の表面に無電解めっき用触媒を吸着させる触媒吸着工程と、無電解めっき用触媒を吸着した樹脂硬化物層の表面に無電解めっき膜を形成する無電解めっき工程と、を含み、紫外線照射工程は、樹脂硬化物層の表面にマスクを設置し、樹脂硬化物層の一部のみに紫外線が照射される工程であることを特徴とする。
ここで、金属配線は、純銅又は銅合金で形成されているものが最も望ましいが、金属配線を構成する金属の種類は、これに限定されるものではなく、配線板の導体として適切であれば、どのような金属元素で構成されていてもよい。
前記配線板の製造方法においては、紫外線は、波長170〜350nm、光量10〜50mJ/mmであることが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、エポキシ樹脂は、主鎖に炭素数3〜10のアルキレングリコールに由来する構造単位を有することが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、エポキシ樹脂は、主鎖にヘキサンジオールに由来する構造単位を有することが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、紫外線活性型エステル基含有化合物のエステル当量は、エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して、0.75〜1.25当量であり、紫外線活性型エステル基含有化合物は、1分子中にエステル基1個以上を有することが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、樹脂硬化物層の表面のうち紫外線が照射された第1の領域における純水の接触角をA゜とし、樹脂硬化物層の表面のうち紫外線がマスクにより遮光された第2の領域における純水の接触角をB゜とし、第1の領域に形成された単位面積当たりの極性官能基の数をCとし、第2の領域に形成された単位面積当たりの極性官能基の数をDとしたとき、下記式(I)及び(II)が満たされることが望ましい。
式(I):A<85<B
式(II):1.1<(C/D)<5.0
前記配線板の製造方法においては、紫外線照射工程及び触媒吸着工程の後、樹脂硬化物層の表面のうち紫外線が照射された第1の領域における無電解めっき用触媒の吸着量をE(μg/m)とし、樹脂硬化物層の表面のうち紫外線がマスクにより遮光された第2の領域における無電解めっき用触媒の吸着量をF(μg/m)としたとき、下記式(III)が満たされることが望ましい。
式(III):1.1<(E/F)<10.0
前記配線板の製造方法においては、無電解めっき膜は、第1の領域に選択的に形成することが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、マスクは、紫外線を透過する紫外線透過部と、紫外線を透過しない紫外線遮光部と、からなることが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、紫外線透過部は、空気又は石英ガラスで構成されていることが望ましい。
前記配線板の製造方法においては、無電解めっき用触媒の前駆体は、水溶性パラジウム化合物であることが望ましい。
前記配線板は、絶縁基板及びその表面に形成した樹脂硬化物層を有する樹脂基板と、樹脂硬化物層の表面に形成した金属配線と、を備え、樹脂硬化物層は、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(B)紫外線活性型エステル基含有化合物と、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤と、を含む樹脂組成物を硬化して得たものであり、金属配線の断面の外側の角部は、湾曲した形状を有することを特徴とする。
前記配線板においては、樹脂硬化物層の誘電率は、2.0〜4.0であることが望ましい。
前記配線板においては、樹脂硬化物層の露出した表面の粗さは、0.01μm以下であり、金属配線と樹脂硬化物層との界面における樹脂硬化物層の粗さは、0.02μm〜0.2μmであることが望ましい。
前記配線板においては、樹脂硬化物層と金属配線との界面には、無電解めっき用触媒を構成する金属元素が含まれることが望ましい。
前記配線板は、前記製造方法により製造されたものであることが望ましい。
[配線板の製造方法]
本発明の配線板の製造方法の概略について説明する。
図1は、配線板の製造方法の例を示したものである。
本図においては、工程(a)〜(e)に従って配線板を製造する。それぞれの工程は、次のとおりである。
(a)配線導体の回路を有する回路付絶縁基板2の片面に、樹脂組成物1を用いて未硬化樹脂層を形成する工程
(b)該未硬化樹脂層に熱硬化処理を施すことにより、絶縁樹脂層3(絶縁性を有する硬化樹脂層)を形成する工程
(c)絶縁樹脂層3にマスク7を設置し、紫外線ランプ4から紫外線を照射する処理を施すことにより、絶縁樹脂層3の表面に極性官能基の数が最大となる領域と最小となる領域とを形成し、樹脂基板8を作製する工程(ここで、マスク7は、紫外線透過部5と紫外線遮光部6とで構成されている。)
(d)絶縁樹脂層3の極性官能基に触媒を吸着させることにより、触媒層9を形成し、触媒付き樹脂基板10を作製する工程
(e)触媒付き樹脂基板10に無電解めっき処理を施すことにより、配線11を形成し、配線板12を作製する工程
上記の配線板の製造方法は、さらに、(e)無電解めっき処理を施すことにより形成した配線11の表面に電気めっき処理を施す工程を含むものとしてもよい。また、上記の工程(c)と工程(d)との間には、工程(d’)として、絶縁樹脂層3の表面に酸化性粗化液による粗化処理を施してもよい。
(配線回路を有する基板)
本発明の配線板に用いられる配線導体の回路を有する基板(以下、「回路付絶縁基板」とも呼ぶ。)としては、少なくとも一方の面に回路を備えた絶縁基板であれば特に限定するものではなく、片面にのみ回路を形成したものや両面銅張積層板を用いて得られるような、絶縁基板の両面に回路が形成されたものであってもよい。この回路付絶縁基板は、通常の配線板において用いられている公知の積層板、たとえば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等を使用することができる。回路は公知のいずれの方法により形成されていてもよく、銅箔と上記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、上記絶縁基板の必要な箇所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、公知の配線板の製造法を用いることができる。
また、この回路表面には、接着性を向上させるための回路表面処理を行ってもよい。この処理方法も、特に制限されることはなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により回路表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元するなどの公知の方法を採用することができる。
本発明の配線板に用いる樹脂組成物は、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(B)紫外線活性型エステル基含有化合物と、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤を含む。
〔(a)回路付絶縁基板の回路上への絶縁樹脂層の形成〕
前述した回路付絶縁基板の回路上に絶縁樹脂層を形成する方法としては、前述の絶縁樹脂層付キャリアフィルムを用い、ラミネート方式やプレス方式で絶縁樹脂層を形成することができる。
ラミネート方式は、回路付絶縁基板の回路に、絶縁樹脂層付キャストフィルムを、その絶縁樹脂層が対面するように接触させ、例えば真空加圧ラミネータ積層装置を用いて、該絶縁樹脂層を積層したのち、キャリアフィルムを剥離する方法である。
真空加圧ラミネータ積層装置を用いる場合、温度は50〜170℃程度、圧力0.2MPa以上であることが好ましい。好ましい圧力値も、加熱温度と同様に、基板の厚さや残存銅率などにより変化するが、圧力が高すぎると基板が変形する恐れがあるため、1.0MPa以下であることが好ましい。また、真空度は、15hPa以下であると内層回路板への埋め込み性が良好となる。真空度は低ければ低い方が好ましいが、装置の能力や所定値への到達までの待ち時間等が生産性に及ぼす影響などを考慮すると、5〜10hPaの範囲で行うことが好ましい。熱圧着時間は10〜90秒程度が好ましい。10秒以上であると内層回路への樹脂の流動に要する時間が充分となり、90秒以下であれば生産性が良好となる。より好ましい熱圧着時間は20〜60秒である。
一方、プレス方式の場合、前記と同様に、回路付絶縁基板の回路に絶縁樹脂層付キャストフィルムを、その絶縁樹脂層が対面するように接触させ、使用する絶縁樹脂層に合わせた適正な条件で行うことが望ましく、例えば昇温速度3℃/分程度で、35℃から190℃程度まで約50分間を要して昇温させ、その温度にて2.0〜3.0MPa程度の圧力で、60〜90分間程度保持したのち、室温まで30分間程度を要して冷却する方法を用いることで、回路付絶縁基板の回路上に、絶縁樹脂層を形成することができる。
〔(b)絶縁樹脂層の熱硬化処理〕
本発明の配線板においては、前記のようにして回路付絶縁基板の回路上に形成された絶縁樹脂層を、まず熱硬化処理する。
この熱硬化処理は、後のめっき処理や配線導体のアニール処理などを考慮した温度や時間で行うことが望ましい。あまり硬化を進めると、後のめっき処理時に配線導体との接着性が低下する恐れがあり、反対に硬化が足りないと、めっき処理時のアルカリ処理液に浸食され、めっき液に溶解する恐れがあるからである。これらのことを考慮すると、例えば150〜190℃で30〜90分間程度の熱処理を施して硬化させることが好ましい。
〔(c)紫外線を照射する工程〕
紫外線照射条件としては、波長170〜350nmの範囲を含む紫外線を放射する紫外線ランプを用い、大気圧雰囲気下に、光量が10〜50mJ/mm程度、好ましくは20〜40mJ/mmになるように、紫外線を照射することが望ましい。なお、前記光量(mJ/mm)は、「照度(mW/mm)×照射時間(秒)」で表される。
絶縁樹脂層を熱硬化処理後、マスクを設置して紫外線照射処理することにより、該絶縁樹脂層の紫外線露光部には極性官能基が形成し、該絶縁樹脂層の表面は親水性になる。該絶縁樹脂層表面の親水性は純水の接触角で評価できる。紫外線露光部の純水の接触角をA°、紫外線遮光部の純水の接触角をB°としたとき、A<85<Bになることが望ましい。このとき、紫外線露光部に形成された単位面積あたりの極性官能基量をC、紫外線遮光部に形成された単位面積当たりの極性官能基量をDとすると、1.1<(C/D)<5.0になることが望ましく、特に1.5<(C/D)<3.5になることが望ましい。
純水の接触角がA<85<Bの範囲及び極性官能基量1.1<(C/D)<5.0の範囲では、絶縁樹脂層表面の紫外線露光面と遮光面の親水性の差が明瞭となる。特に、極性官能基量1.5<(C/D)<3.5の範囲では、絶縁樹脂層表面の紫外線露光面と遮光面の極性官能基量が好適となる。また、本発明の配線板の製造方法により、選択的に紫外線露光部へめっきが析出し、配線が形成できる。
マスクは、185〜350nmの波長の紫外線を透過する透過部と350nm以下の波長を透過しない遮光部を有していればよい。例えばメタルマスク(ステンレス鋼製、厚さ約100μm)は、紫外線遮光部が金属、紫外線透過部が空気であり、185〜350nmの波長の紫外線を任意の場所のみに照射することができる。また、石英マスクは、紫外線遮光部がスパッタ等で塗布した金属膜、紫外線透過部が石英ガラスであり、185〜350nmの波長の紫外線を任意の場所のみに照射することができる。メタルマスク及び石英マスクを使用することにより、樹脂硬化物表面に極性官能基を形成するための充分な効果を発揮する。
なお、該絶縁樹脂表面に形成された酸素含有基の酸素原子量は、X線光電子分光法により測定することができる。特に、トリフルオロ酢酸無水物を用いた化学修飾X線光電子分光法を用いることで極性官能基の定量を行うことができる。トリフルオロ酢酸無水物を用いた化学修飾X線光電子分光法の実施方法は公知の方法でよい。
マスクの形状は、板状またはフィルム状であるものが望ましい。板状又はフィルム状のマスクは、設置や除去が簡便であるだけでなく、マスクを除去した際、絶縁樹脂層表面にマスク部材の残留がない。マスクの設置は、絶縁樹脂層と密着させるため、外部から圧力をかけることが望ましい。また、紫外線が絶縁樹脂層とマスクの界面に回り込むことを防ぐため、紫外線を反射しない材料で、マスクや紫外線照射装置内部を覆ってもよい。また、紫外線照射によりオゾンガスが発生し、オゾンガス又は酸素ラジカルが絶縁樹脂層とマスクの界面に回り込むことが懸念される場合は、紫外線照射雰囲気を低酸素雰囲気にしてもよい。
低酸素雰囲気は、発生するオゾンガスの量が配線形成に影響を与えない量であればよく、紫外線照射雰囲気を限定するものではない。例えば、低酸素雰囲気としては、アルゴンガス置換、窒素ガス置換、減圧雰囲気などが挙げられる。
絶縁樹脂層を熱硬化処理後、紫外線照射処理することにより、該絶縁樹脂層は、従来用いられる過マンガン酸ナトリウム系などの粗化液を用いて凹凸形状を形成しなくても、配線導体に対して高い接着力を発現し得ることから、配線形成の歩留まりの低下を抑えることができると共に、粗化液使用による水洗処理や廃液処理をなくすことができ、コスト的にも有利である。ビアホール底のスミアを除去するために、過マンガン酸ナトリウム系などの粗化液で処理しても、粗化凹凸形状が小さく、かつ配線導体に対して高い接着力を確保することができる。
なお、紫外線照射時の絶縁樹脂層の温度は50〜80℃程度が好ましく、60〜70℃がより好ましい。
紫外線の波長が170〜350nmの範囲を有する紫外線ランプを使用する目的は、該樹脂硬化物の紫外線吸収波長とランプの紫外線の波長域が関係する。すなわち、波長が170〜350nmの範囲を有する紫外線ランプの紫外線は、該樹脂硬化物に吸収され、該樹脂硬化物の分子鎖を切断するエネルギーを有するからである。特に、低圧水銀ランプを用い、大気などの酸素含有雰囲気で紫外線照射し、オゾンガスおよび酸素ラジカルを発生することは、該樹脂硬化物の分子鎖の切断に有利に作用し、充分な量の極性官能基を形成できる。なお、紫外線ランプは170〜350nmの範囲の波長を放射すればよく、範囲以外の波長を照射してもよい。また、紫外線照射時の雰囲気は酸素を含有していてもよく、酸素を含有していなくてもよい。
また、紫外線の光量が10mJ/mm以上であると、酸化性粗化液で絶縁樹脂層を処理しなくてもめっき導体との接着力が充分となる。一方、紫外線の光量が50mJ/mm以下であると、該接着力は、良好に発現され、経済的にも有利である。より好ましい光量は、20〜40mJ/mmの範囲である。20〜40mJ/mmの範囲では、めっき導体の膜厚が均一になる。
このように、熱硬化処理後の絶縁樹脂層にマスクを設置し紫外線照射処理することにより、絶縁樹脂層表面の紫外線遮光部と紫外線露光部において、単位面積当たりの極性官能基量が最小となる領域と単位面積当たりの極性官能基量が最大となる領域とを形成することができる。
また、熱硬化処理後の絶縁樹脂層を紫外線照射処理することにより、絶縁樹脂層表面の凹凸形状が小さい状態でも、配線導体に対して、高い接着力を発現することができる。
〔(d)触媒吸着工程〕
本発明の配線板においては、前述のようにして処理された絶縁樹脂層の表面に、例えば以下に示すように触媒吸着処理が施される。
まず、無電解めっき用の触媒であるパラジウムを吸着させるために、水溶性パラジウム化合物を溶解した触媒液に絶縁樹脂層を浸漬することにより行われる。次に、吸着した水溶性パラジウム化合物を還元するために、還元剤溶液に該絶縁樹脂層を浸漬する。還元剤溶液は、水溶性パラジウム化合物をパラジウムに還元できればよく、特に制限はない。
水溶性パラジウム化合物としては、特に制限はなく使用することができる。具体例としては、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、ヨウ化パラジウム、臭化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、テトラアミンパラジウムクロライド、ジニトロジアミンパラジウム、ジクロロジエチレンジアミンパラジウムなどを挙げられる。これらは1種単独または2種以上混合して用いても良い。
触媒吸着工程により触媒を吸着した後、絶縁樹脂層の紫外線露光部と紫外線遮光部において、触媒吸着量が最大となる領域の触媒吸着量をE(μg/m)、触媒吸着量が最小となる領域の触媒吸着量をF(μg/m)としたとき、1.1<(E/F)<10.0を満たすことが望ましく、1.4<(E/F)<10.0が特に望ましい。ここで、触媒吸着量は、見かけの表面積を基準とした単位面積当たりの値である。
なお、触媒吸着量の測定は、絶縁樹脂層表面のパラジウムを酸で溶出させ、該酸内のパラジウム濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置により測定することで求めることができる。
〔(e)無電解めっき工程〕
本発明の配線板においては、前述のようにして処理された絶縁樹脂層の表面に、例えば以下に示すようにめっき処理が施される。
触媒を吸着させた絶縁樹脂表面にめっきを析出させるため、該絶縁樹脂層を無電解めっき液に浸漬する。無電解めっき液に浸漬させることにより、めっき触媒上に厚さが0.3〜1.5μm程度の無電解めっき層を析出させる。めっき後の絶縁樹脂層を80〜200℃で5〜90分熱処理を実施する。必要により、更に電気めっきを行うことができる。無電解めっき処理に使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっき処理についても公知の方法によることができ、特に制限はない。
これらの手法を繰り返して多層配線板を作製することもできる。
[配線板]
本発明によれば、上述の成分(A)〜成分(C)を含有する樹脂組成物を熱硬化して樹脂硬化物としたものに、紫外線を照射する工程によりマスクを設置し紫外線を照射して得た樹脂基板を、触媒吸着工程により触媒前駆体を溶解した触媒液に浸漬し、触媒または触媒前駆体を樹脂基板上の極性官能基に吸着させ、樹脂基板上の前駆体を還元して形成した触媒付き樹脂基板上の触媒層に、無電解めっき工程によりめっき膜が形成することで配線板を得ることができる。
このとき、樹脂基板は、配線導体の回路を有する基板上に、該樹脂硬化物からなる硬化樹脂層を配して、絶縁硬化樹脂層とし、マスクを設置して紫外線照射し、選択的に配線形成をして得てもよい。
上述のようにして得られた配線板は、誘電率が2.0〜4.0であって、金属配線が存在しない樹脂基板上の表面粗さが0.01μm以下であり、金属配線と樹脂基板との界面に0.02μm〜0.2μmの凹凸を有し、金属配線の断面形状が蒲鉾形の形状である。配線としての性能を失わない限りであれば、金属配線の樹脂基板に接していない部分の表面に金属酸化皮膜が存在していてもよい。また、表面の金属酸化皮膜を除去してもよい。
表面粗さ及び金属配線と樹脂基板との界面に存在する凹凸の評価方法については、後に詳述する。
上述の断面形状が蒲鉾状の形状とは、樹脂基板に接する部分が平面であり、樹脂基板に接しない部分の表面の一部または全部が湾曲面になっている形状をいう。樹脂基板に接しない部分の表面の一部が湾曲面となる場合、断面形状は、樹脂基板に接する部分が平面で、樹脂基板に接していない角が湾曲面となる正方形、長方形または台形の形状になる。
具体的には、図2に示す形状が好適である。
図2において、配線板12は、回路付絶縁基板2、絶縁樹脂層3及び配線11を含む。回路付絶縁基板2の片面に形成された絶縁樹脂層3には、配線11が形成されている。絶縁樹脂層3と配線11との間には、紫外線の照射又は酸化性粗化液による処理によって形成された凹凸が存在する。符号13は、表面粗さの測定位置を模式的に示したものである。
ここで、配線11の断面の外側の角部は、湾曲した形状を有する。言い換えると、配線11の断面の外側の角部は、曲率を有する形状となっている。また、配線11の絶縁樹脂層3に接しない部分の表面の全部が湾曲面となる場合、配線11の断面形状は、絶縁樹脂層3に接する部分が平面の半円または半楕円のような形状になる。図示しないが、配線11の断面が半円または半楕円となる形状も好適である。尚、絶縁樹脂層3に接する部分の平面及び絶縁樹脂層3に接しない部分の表面は、凹凸を有していてもよい。
ここで、配線の断面の角部が湾曲した形状となる理由について説明する。
図1の工程(d)において形成した触媒層9に、工程(e)として無電解めっき処理を施すことにより配線11を形成する際、配線11を構成する銅などの金属は、絶縁樹脂層3の表面に付着した触媒微粒子を基点に等方的に析出する。このため、触媒層9の外縁部に析出する金属も、等方的に形成される。この結果、工程(e)において形成された配線11は、幅方向の端部に位置する当該角部が湾曲した形状となる。
上述のようにして得た配線板は、絶縁樹脂層の表面の紫外線露光部において、凹凸形状が小さいにもかかわらず、配線導体に対して高い接着力を発現する。また、配線の断面の角部が湾曲した形状を有するため、回路使用時に配線の角部において発生しやすい電界集中を抑制することができる。また、配線の断面の角部が湾曲した形状を有するため、回路使用時に配線の角部における蓄熱を抑制することができる。
その高い密着性を発現する機構については、必ずしも明確ではないが、該絶縁樹脂層の紫外線露光部において、成分(B)の紫外線活性型エステル基含有化合物のエステル基が分解して、絶縁樹脂層表面に酸素含有基が形成し、この酸素含有基が配線導体に対する高い接着力をもたらすものと推察される。なお、該絶縁樹脂表面に形成された酸素含有基の酸素原子量は、X線光電子分光法により測定することができる。
(絶縁樹脂層付キャリアフィルムの作製)
本発明の配線板において、配線導体の回路を有する基板上に絶縁樹脂層を形成するには、まず、上記の樹脂組成物(ワニス)をキャリアフィルムに塗工したのち、80〜180℃程度の温度で、1〜10分間程度乾燥処理して、絶縁樹脂層付キャリアフィルムを作製する。
乾燥処理は、温度が80℃以上であり、かつ、時間が1分以上である場合、乾燥が充分に進行し、絶縁樹脂層内にボイドが発生することを抑制することができるため、好ましい。一方、乾燥処理の温度が180℃以下で、かつ、時間が10分以下である場合、乾燥が進みすぎて樹脂フロー量が低下することを抑制することができるため、好ましい。なお、ここでは、乾燥によりワニス中の溶媒が揮散した状態であり、硬化処理を行っていない未硬化の状態、いわゆる未硬化の絶縁樹脂層である。
絶縁樹脂層の厚さ(乾燥後の厚さ)に関しては、絶縁性の観点から、最小絶縁距離が確保できる最小膜厚以上であることが好ましい。この最小絶縁距離は、絶縁樹脂の組成により変わるものであるが、一般的には、3μm以上であることが好ましい。絶縁樹脂層の膜厚を厚くすることは、絶縁性の点では有利になるが、経済性の観点から、通常は60μm以下程度とすることが好ましい。
キャリアフィルムの厚さは、特に制限はないが、10〜200μm程度が好ましく、20〜100μmが更に好ましい。また、キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがよく用いられ、表面に離型剤処理を施しているPETフィルムでもよい。
[樹脂組成物]
〔(A)エポキシ樹脂〕
本発明の配線板に用いる樹脂組成物において、成分(A)として用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、特に制限されず、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールT型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂、テトラフェニル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基を骨格に有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。また、絶縁信頼性や耐熱性の観点から、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(A)の主鎖に炭素数3〜10のアルキレングリコールに由来する構造単位が含まれてもよく、炭素数3〜10のアルキレングリコールとしては、さらに炭素数4〜8のアルキレングリコールが好ましく、特にヘキサンジオールであることが好ましい。
成分(A)は、例えば、主鎖中にヘキサンジオールに由来する構造単位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂であれば、下記化学式(1)で表されるようなものとなる。
Figure 0006318895
式中、m及びnは、それぞれ繰り返し単位数を示す整数である。
〔(B)紫外線活性型エステル基含有化合物〕
本発明の配線板に用いる樹脂組成物において、成分(B)の紫外線活性型エステル基含有化合物は、紫外線の照射により、活性化されるエステル基を含有する化合物であり、成分(A)のエポキシ樹脂の硬化剤としても用いることのできる成分である。より具体的には、1分子中に1個以上のエステル基を含み、水酸基を含まずエポキシ樹脂を硬化させることができるものであり、例えば、脂肪族又は、芳香族カルボン酸と脂肪族又は芳香族ヒドロキシ化合物から得られるエステル化合物などが挙げられる。これらのうち、脂肪族カルボン酸や脂肪族ヒドロキシ化合物などで構成されるエステル化合物は、脂肪族鎖を含むことにより有機溶媒への可溶性やエポキシ樹脂との相溶性を高くすることができる。一方、芳香族カルボン酸や芳香族ヒドロキシ化合物などで構成されるエステル化合物は、芳香族環を有することにより、樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
紫外線活性型エステル基含有化合物の好適なものとしては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ベンゾフェノン等の芳香環の水素原子の2〜4個をカルボキシ基で置換したものから選ばれる芳香族カルボン酸成分と、前記した芳香環の水素原子の1個を水酸基で置換した1価フェノール系化合物と芳香環の水素原子の2〜4個を水酸基で置換した多価フェノール系化合物との混合物を原材料として、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基との縮合反応にて得られる芳香族エステルが挙げられる。
1価フェノール系化合物としては、例えばフェノール、各種クレゾール、α−ナフトール、β−ナフトールなどが挙げられ、多価フェノール系化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールS、各種ジヒドロキシナフタレン、各種ジヒドロキシベンゾフェノン、各種トリヒドロキシベンゾフェノン、各種テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログリシンなどが挙げられる。
一方、芳香族カルボンとしては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸などが挙げられる。
当該紫外線活性型エステル基含有化合物としては、1分子中にエステル基1個以上を有する樹脂であってもよく、市販品としても入手可能である。例えば、DIC株式会社製の「EXB−9460」、「EXB−9460S」、「EXB−9470」、「EXB−9480」、「EXB−9420」、三井化学株式会社製の「BPN80」などが挙げられる。
これらの紫外線活性型エステル基含有化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の配線板に用いる樹脂組成物における成分(B)の紫外線活性型エステル基含有化合物は、成分(A)エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して0.75〜1.25当量になるように含有されることが好ましい。0.75当量以上であると、タック性や硬化性が十分となり、1.25当量以下であると、十分な硬化性、耐熱性及び耐薬品性が得られる。
〔(C)エポキシ樹脂硬化促進剤〕
本発明の配線板に用いる樹脂組成物において、成分(C)のエポキシ樹脂硬化促進剤としては特に制限はなく、エポキシ樹脂の硬化に用いられる一般的な硬化促進剤を使用することができる。
当該硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートなどのイミダゾール系化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの有機ホスフィン系化合物;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどの有機ホスファイト系化合物;エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン;4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデセン−7(以下、DBUと略称する。)などのアミン系化合物及びDBUとテレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸等との塩;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アンモニウム塩化合物等を挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の配線板に用いる樹脂組成物における当該硬化促進剤の含有量は、成分(A)のエポキシ樹脂100質量部に対して、0.02〜1.5質量部であることが好ましい。0.02質量部以上であるとエポキシ樹脂の硬化が充分となり、耐熱性を維持することができ、一方、1.5質量部以下であると樹脂組成物の保存安定性やBステージの樹脂組成物の取り扱い性が良好となる。以上の観点から、成分(C)の硬化促進剤の含有量は、0.8〜1.3質量部の範囲がより好ましい。
本発明の配線板に用いる樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、無機フィラーや、各種添加成分、例えばレベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、揺変性付与剤、増粘剤、溶媒などを含有させることができる。
(無機フィラー)
無機フィラーは、熱膨張率の抑制や塗膜強度を上げる目的で含有させるものであり、例えば、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エーロジル及び炭酸カルシウムの中から選ばれるものが使用可能であり、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、誘電特性や低熱膨張の点からシリカを用いるのが好ましく、その含有量は、溶媒を除く樹脂組成物の固形分中で5〜35vol%であることが好ましく、10〜30vol%であることがより好ましい。5vol%以上であると、熱膨張係数と誘電損失の増大を抑制することができる。一方、35vol%以下であると、絶縁樹脂を内層回路に形成する際の必要フローが充分となり、未充填箇所が発生しにくくなる。
これらの無機フィラーは、分散性を高める目的で、カップリング剤で処理してもよく、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練により樹脂組成物中に均質に分散してもよい。
(カップリング剤)
無機フィラーの分散性を高める目的で、該無機フィラーの表面処理にカップリング剤が用いられる。具体的には、シラン系、チタネート系、アルミニウム系などのカップリング剤が挙げられる。その中でも、シラン系カップリング剤が好ましい。例えば、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン化合物、その他として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルエトキシシラン、γ−メルカトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカトプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
(溶媒)
本発明の配線板に用いる樹脂組成物は、溶媒に希釈して用いることができる。溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。この溶媒の前記樹脂組成物に対する使用割合は、従来使用されている割合でよく、目的とする絶縁樹脂の塗膜形成の設備に合わせて使用量を調整することができる。
[樹脂組成物の調製]
本発明の配線板に用いる樹脂組成物の調製方法には、特に制限はなく、従来公知の調製方法を用いることができる。
例えば、前記溶媒中に、成分(A)のエポキシ樹脂、成分(B)の紫外線活性型エステル基含有化合物、及び成分(C)のエポキシ樹脂硬化促進剤を加えると共に、必要に応じて用いられる無機フィラーや各種添加成分を加えたのち、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、及び自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて混合・攪拌することにより、ワニスとして調製することができる。
このワニス中の溶媒を除く固形分濃度は20〜70質量%であることが、塗工性などの観点から好ましい。
次に、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例及び比較例の評価は、以下に示す方法により行った。
(1)配線形状の評価(選択的配線形成)
配線形状の評価はキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000/1100型にて実施した。配線板表面において、配線部及び樹脂部を観察し、金属の析出状態を、析出がない状態は「なし」、金属の析出はあるが厚さに斑がある状態を○、金属の析出があり厚さに斑がない状態を◎で評価した。
(2)絶縁樹脂層粗さ評価(表面粗さ(μm))
配線板を断面加工し、金属配線と絶縁樹脂層の界面の形状を日立製走査型電子顕微鏡S−4800型にて加速電圧3kVで100000倍の像を観察し、図2の符号13に示すように、絶縁樹脂層3の凸部の頂点を通り絶縁樹脂層3のマクロな表面に平行な線と、絶縁樹脂層3の凹部の最深部を通り絶縁樹脂層3のマクロな表面に平行な線との間の距離の平均をとり、表面粗さとした。ここで、断面加工は、カッターで粗加工後、保護膜として白金をスパッタコーティングし、日立製イオンミリングE−3500型により、加速電圧4kVで実施した。
(3)触媒吸着量評価(触媒吸着量比)
配線板上の触媒吸着量は、配線板上の触媒吸着量が最大となる領域と配線板上の触媒吸着量が最小となる領域を分けて測定した。まず、配線板上の触媒吸着量が最大となる領域を酸に浸漬し、酸のパラジウムの濃度を日立製誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS3520UV−DD型で測定し、用いた配線板の面積、酸の量および酸のパラジウム濃度より、単位面積当たりのパラジウム量を算出した。酸は、濃塩酸、濃硝酸及び純水を10対5対1の割合で混合したものを用いた。また、配線板を浸漬させる条件は、50℃で5分間とした。次に、配線板上の触媒吸着量が最小となる領域を同様に処理し、単位面積当たりのパラジウム量を算出した。よって、配線板上の触媒吸着量は、算出した配線板上の触媒吸着量が最小となる領域の触媒吸着量に対する配線板上の触媒吸着量が最大となる領域の触媒吸着量の比で評価した。
(4)絶縁樹脂層と配線との接着強度(密着強度(kN/m))
絶縁樹脂層表面に幅10mm、長さ50mmの配線を形成し、この一端を剥がし、つかみ具でつかみ、室温中で、垂直方向に約50mm引き剥がした際の荷重を測定した。
(5)純水の接触角評価(接触角(°))
絶縁樹脂層の表面に10mm角の紫外線露光部を形成し、協和界面科学製ポータブル接触角計PCA‐1型により測定した。滴下から1秒後の水滴形状より評価した。紫外線遮光部についても同様に評価した。
(6)極性官能基量の定量(極性官能基量比)
絶縁樹脂層の表面に10mm角の紫外線露光部を形成し、本発明の配線板の製造方法の内、触媒吸着工程の直前まで実施した後、トリフルオロ酢酸無水物とともに容器に入れ密閉した。このとき、容器内は、気化したトリフルオロ酢酸無水物で満たされるようにした。処理は、室温で1時間実施した。絶縁樹脂層表面のOHにトリフルオロ酢酸無水物を化学修飾させて得られた化学修飾絶縁樹脂層を、ULVAC‐PHI製X線光電子分光装置PHI5000 VersaProbe IIで評価した。
ワイドスキャンで検出した元素である炭素、酸素及びフッ素について評価した。フッ素の測定結果から得られるCFの存在割合は、絶縁樹脂層表面のOHの存在割合を示すことから、フッ素の存在割合の三分の一を絶縁樹脂層表面のOHの存在割合とした。また、O−C=Oの測定結果は、トリフルオロ酢酸無水物由来のO−C=Oが含まれることから、CFの測定結果を基にトリフルオロ酢酸無水物由来のO−C=Oを減算した。基板表面の官能基の存在割合は、上述の計算後、炭素及び酸素の存在割合が100%になるように換算して求めた。以上のようにして求めた官能基の存在割合より、O−C=O及びOHの存在割合の和を極性官能基量とした。
同様に、絶縁樹脂層の表面に10mm角の紫外線遮光部を形成し、極性官能基量を求めた。
絶縁樹脂層の極性官能基量は、紫外線遮光部の極性官能基量に対する紫外線露光部の極性官能基量の比で評価した。
(実施例1)
(1)回路板の作製
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、粗化箔を両面に有する日立化成株式会社製「MCL−E−67」(商品名)]にエッチングを施して片面に回路層を有する回路板を作製した。
(2)成分(A)であるエポキシ樹脂の調製
温度計及び撹拌機を取り付けたフラスコに、ビスフェノールA228g(1.00モル)と1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル92g(0.85モル)を仕込み、120℃まで1時間で昇温した後、さらに120℃で6時間反応させて透明半固形の変性多価フェノール類400gを得た。
次に、温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を取り付けたフラスコに、上記の変性多価フェノール類400g、エピクロルヒドリン925g(10モル)、n−ブタノール185gを仕込み、溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後、共沸する圧力までに減圧し、49%水酸化ナトリウム水溶液122g(1.5モル)を5時間かけて滴下した。次いで、この条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻し反応させた。
その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gを加え、溶解した。さらに、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加し、80℃で2時間反応させた後、洗浄液のpHが中性となるまで、300gの水で水洗を3回繰り返した。次いで、共沸によって系内を脱水し、精密ろ過を経た後に溶媒を減圧下で留去して、透明液体のエポキシ樹脂457gを得た。エポキシ当量は403であった。
(3)樹脂組成物の調製
成分(A)として上記(2)にて調製したエポキシ樹脂49質量部を用い、成分(B)である紫外線活性型エステル基含有樹脂、「EXB−9451」(DIC株式会社、商品名、エステル当量:223)14質量部、成分(C)である1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート(四国化成工業株式会社製、商品名「2PZ−CNS」)0.15質量部を加え、これらを溶媒であるメチルエチルケトン(以下、「MEK」と記載する。)31質量部に溶解して、本発明の樹脂組成物(ワニス)を得た。
(4)絶縁樹脂層の形成、及び熱硬化処理
上記(3)で得られた樹脂組成物(ワニス)を、キャリアフィルムとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)上に塗工し、100℃で10分間乾燥処理することにより、膜厚50±3μmの絶縁樹脂層付キャリアフィルムロールを作製した。
さらに、作製した絶縁樹脂層付キャリアフィルムを、上記(1)で得られた回路板の片面にバッチ式真空加圧ラミネータ「MVLP−500」(名機株式会社製、商品名)を用いて積層した。このとき、絶縁樹脂層付キャリアフィルムの絶縁樹脂層が回路層に接するように配置した。
次に、キャリアフィルムを剥がし、その後、絶縁樹脂層を180℃、60分間の硬化条件にて熱硬化処理した。
(5)紫外線照射処理
紫外線照射処理より、上記(4)で得られた絶縁樹脂層付き基板に、基板の約半分の面積を遮光するメタルマスクを設置し、センエンジニアリング製卓上型紫外線洗浄改質実験装置を用いて、低圧水銀ランプにて、紫外線を光量が24mJ/mmになるように照射した。なお、低圧水銀ランプの主な照射波長は、185nm及び254nmである。
(6)無電解めっき処理及び電解めっき処理
無電解めっきの前処理として、アトテックジャパン製膨潤液セキュリガントPに、上記(5)で得られた紫外線を部分的に照射した絶縁樹脂層付き基板を、70℃で10分間浸漬し、水洗した後、日立化成工業株式会社製コンディショナー液CLC−601に、該基板を60℃で5分間浸漬し、その後、水洗した。次に、水溶性パラジウム化合物を含むアトテックジャパン製無電解めっき用触媒液ネオガント834に、35℃で30秒間浸漬処理したのち、水洗した。そして、アトテックジャパン製還元液ネオガントWAに、25℃で5分間浸漬し、その後、水洗した。
触媒の還元後、上村工業製無電解銅めっき液PEAに36℃で10分間浸漬し、熱処理を190℃で60分間行った。さらに、硫酸銅電解めっきを行った後、熱処理を180℃で60分間行い、絶縁樹脂層の表面に厚さ20μmの導体層を形成し、配線板を得た。
該配線板について、上記方法にて評価した結果を表1に示す。
(実施例2〜8)
実施例2〜8においては、配線板の製造方法を一部変更したこと以外は実施例1と同様にして、配線板を作製し、評価した。変更した部分及び結果については、表1に示す。
(実施例9)
実施例9においては、紫外線照射工程で使用したマスクを石英マスクに変更したこと以外は実施例1と同様にして、配線板を作製し、評価した。
図3は、マスクの例を示す顕微鏡写真である。ここで用いた顕微鏡は、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000/1100型である。
本図において、マスク7は、紫外線透過部5及び紫外線遮光部6からなる。符号14は、マスク7の紫外線透過部5の幅を示し、符号15は、マスク7の紫外線遮光部6の幅を示す。本図の場合、マスク7の紫外線透過部5の幅14は17.1μm、紫外線遮光部6の幅15は22.2μmである。
図4は、配線板の例を示す顕微鏡写真である。顕微鏡は、図3の撮影で用いたものと同じである。
本図において、配線板12は、絶縁樹脂層3及び配線11からなる。符号16は、配線11の幅を示し、符号17は、隣り合う配線11の間のスペース幅(隙間の幅)を示す。本図の場合、配線11の幅16は18.9μm、配線11の間のスペース幅17は20.1μmである。
この結果から、本発明の配線板の製造方法によれば、市販の汎用性の高いめっき前処理液及びめっき液を用いて、絶縁樹脂層の表面にマスクを設置するのみで、配線板を製造できる。工程数を削減でき、低コストで製造できる優れた配線板の製造方法であることが分かる。
(実施例10)
実施例10においては、配線板を多層化するため、実施例1に記載した(4)〜(6)の工程により導体層を形成した後、さらに、得られた配線板を、亜塩素酸ナトリウム:50g/L、NaOH:20g/L、リン酸三ナトリウム:10g/Lの水溶液に85℃で20分間浸漬し、水洗し、80℃で20分間乾燥して、導体層(回路導体)の表面に酸化銅の凹凸を形成した。上記(4)〜(6)の工程及び酸化銅の凹凸を形成する工程を繰り返して、3層の多層配線板を作製した。
該多層配線板の積層された絶縁樹脂層の界面の密着性は高く、良好な多層配線板が得られた。高い密着性を発現する機構については、必ずしも明確ではないが、絶縁樹脂層表面において配線が存在しない箇所は、不純物や配線板の製造工程による付着物がなく、絶縁樹脂層を重ねた際に、界面の密着を阻害しないためであると推察される。
(比較例1)
本比較例においては、樹脂組成物において紫外線活性型エステル基含有化合物を使用しないこと以外は実施例1と同様にして、配線板の製造方法を実施した。この結果、絶縁樹脂層の表面に金属が析出せず、配線が形成できないことがわかった。
(比較例2)
本比較例においては、配線板の製造方法を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、配線板を作製した。
表1は、配線板の作製条件及び作製した配線板の評価結果をまとめて示したものである。
Figure 0006318895
表1並びに実施例9、10及び比較例1から、樹脂組成物を熱硬化し、これにマスクを設置して紫外線を照射した絶縁樹脂層を有する本発明の配線板は、上記の実施例に示すように、選択的に配線を形成することが可能である。また、配線板の表面の配線以外の領域に金属の析出がないことから、電気的な故障を回避できる点で優れている。
特に、実施例1の条件では、絶縁樹脂層の表面粗さが小さい状態で外層銅との接着強度が良好であり、微細配線化に適していることがわかる。
以下、本発明の効果についてまとめて説明する。
本発明によれば、工程数を削減し、特別な添加剤や表面被覆をせずに、低コストで、選択的に、配線の形成が可能であり、絶縁樹脂層の紫外線露光部に小さな凹凸形状を有することで、接着力を発現し得る。
本発明によれば、紫外線活性型エステル基を含む樹脂硬化物にマスクを設置し、紫外線照射するだけで、触媒を紫外線露光部に選択的に吸着させることができる。よって、樹脂硬化物の表面に樹脂、無機物、分子等の層を形成する工程、又は樹脂、無機物、分子等の層を除去する工程等、工程を増やすことなく、選択的に触媒が吸着する表面を形成できる。工程数の増加がないため、時間やコストの増大がなく、生産性に優れている。また、一般に、触媒にはパラジウムなどの希少金属が用いられるため、触媒を選択的に吸着させることで、希少金属の使用量を削減でき、材料調達のリスクの軽減や、材料コストの低減の効果がある。
また、樹脂硬化物の表面に樹脂、無機物、分子等の新規の層を形成することなく配線が形成できるため、樹脂硬化物と新規に形成した層の密着性の担保や、新規な層を形成し除去した際の残留物の影響を受けることなく、高精度に配線を形成できる。
樹脂基板の紫外線露光部は、凹凸が形成され、極性官能基の数が増加して親水性となる。一方、樹脂基板の紫外線遮光部は、樹脂硬化物の平滑性が維持され、疎水性が高い。このため、触媒を含有する触媒液に樹脂基板を浸漬することで、紫外線露光部には触媒が吸着する。そして、無電解めっき工程によりめっき膜が形成される。一方、紫外線遮光部は、触媒が吸着しにくく、無電解めっき工程により導体層が析出しないため、選択的に配線が形成される。疎水性が高い紫外線遮光部には導体層が析出しないため、配線板の電気的な故障を回避できる。また、本発明の製造方法は、樹脂基板の紫外線露光部に形成した凹凸により、樹脂基板と金属との界面の密着性が担保される利点を有する。
本発明によれば、製造した配線板の配線金属の断面形状は蒲鉾形になる。金属配線の断面形状を蒲鉾形の形状にすることで、配線と埋め込み樹脂との界面の表面積を小さくし、電気的な損失を低減することができる。また、配線板上の配線形成部以外は、何ら処理されていないため、本発明の配線板の製造方法を配線板に繰り返し施すことにより多層配線板を形成する際に、樹脂と樹脂の界面に密着を阻害するものはなく、高い密着性を保持することができる。
1:樹脂組成物、2:回路付絶縁基板、3:絶縁樹脂層、4:紫外線ランプ、5:紫外線透過部、6:紫外線遮光部、7:マスク、8:樹脂基板、9:触媒層、10:触媒付き樹脂基板、11:配線、12:配線板、13:表面粗さの測定位置、14:紫外線透過部の幅、15:紫外線遮光部の幅、16:配線の幅、17:配線間のスペース幅。

Claims (13)

  1. 絶縁基板及びその表面に形成した樹脂硬化物層を有する樹脂基板と、前記樹脂硬化物層の表面に形成した金属配線と、を備えた配線板を製造する方法であって、
    前記樹脂硬化物層は、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(B)紫外線活性型エステル基含有化合物と、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤と、を含む樹脂組成物を硬化して得たものであり、
    前記樹脂硬化物層に紫外線を照射して前記樹脂硬化物層の表面に親水基を生成する紫外線照射工程と、
    その後、前記樹脂硬化物層の表面に無電解めっき用触媒を吸着させる触媒吸着工程と、
    前記無電解めっき用触媒を吸着した前記樹脂硬化物層の表面に無電解めっき膜を形成する無電解めっき工程と、を含み、
    前記紫外線照射工程は、前記樹脂硬化物層の表面にマスクを設置し、前記樹脂硬化物層の一部のみに前記紫外線が照射される工程であり、
    前記樹脂硬化物層の表面のうち前記紫外線が照射された第1の領域における純水の接触角をA゜とし、
    前記樹脂硬化物層の表面のうち前記紫外線が前記マスクにより遮光された第2の領域における純水の接触角をB゜とし、
    前記第1の領域に形成された単位面積当たりの極性官能基の数をCとし、
    前記第2の領域に形成された単位面積当たりの極性官能基の数をDとしたとき、
    下記式(I)及び(II)が満たされることを特徴とする配線板の製造方法。
    式(I):A<85<B
    式(II):1.1<(C/D)<5.0
  2. 前記紫外線は、波長170〜350nm、光量10〜50mJ/mmである、請求項1記載の配線板の製造方法。
  3. 前記エポキシ樹脂は、主鎖に炭素数3〜10のアルキレングリコールに由来する構造単位を有する、請求項1又は2に記載の配線板の製造方法。
  4. 前記紫外線活性型エステル基含有化合物のエステル当量は、前記エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して、0.75〜1.25当量であり、
    前記紫外線活性型エステル基含有化合物は、1分子中にエステル基1個以上を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
  5. 前記紫外線照射工程及び前記触媒吸着工程の後、
    前記樹脂硬化物層の表面のうち前記紫外線が照射された前記第1の領域における前記無電解めっき用触媒の吸着量をE(μg/m)とし、
    前記樹脂硬化物層の表面のうち前記紫外線が前記マスクにより遮光された前記第2の領域における前記無電解めっき用触媒の吸着量をF(μg/m)としたとき、
    下記式(III)が満たされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
    式(III):1.1<(E/F)<10.0
  6. 前記無電解めっき膜は、前記第1の領域に選択的に形成する、請求項5記載の配線板の製造方法。
  7. 前記マスクは、前記紫外線を透過する紫外線透過部と、前記紫外線を透過しない紫外線遮光部と、からなる、請求項2〜のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
  8. 前記紫外線透過部は、空気又は石英ガラスで構成されている、請求項記載の配線板の製造方法。
  9. 前記無電解めっき用触媒の前駆体は、水溶性パラジウム化合物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
  10. 絶縁基板及びその表面に形成した樹脂硬化物層を有する樹脂基板と、前記樹脂硬化物層の表面に形成した金属配線と、を備え、
    前記樹脂硬化物層は、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(B)紫外線活性型エステル基含有化合物と、(C)エポキシ樹脂硬化促進剤と、を含む樹脂組成物を硬化して得たものであり、
    前記金属配線の断面の外側の角部は、湾曲した形状を有することを特徴とする配線板。
  11. 前記樹脂硬化物層の誘電率は、2.0〜4.0である、請求項10記載の配線板。
  12. 前記樹脂硬化物層の露出した表面の粗さは、0.01μm以下であり、
    前記金属配線と前記樹脂硬化物層との界面における前記樹脂硬化物層の粗さは、0.02μm〜0.2μmである、請求項10又は11に記載の配線板。
  13. 前記樹脂硬化物層と前記金属配線との界面には、無電解めっき用触媒を構成する金属元素が含まれる、請求項1012のいずれか一項に記載の配線板。
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