JP2003147541A - 無電解銅めっき液、無電解銅めっき用補給液及び配線板の製造方法 - Google Patents

無電解銅めっき液、無電解銅めっき用補給液及び配線板の製造方法

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plating
electroless copper
forming
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Takeshi Itabashi
武之 板橋
Haruo Akaboshi
晴夫 赤星
Masaru Kanemoto
兼元  大
Tadashi Iida
正 飯田
Naoki Nishimura
尚樹 西村
Junichi Kawasaki
淳一 川崎
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明では、還元剤としてグリオキシル酸また
はその塩を用いた無電解銅めっき液で、カニッツァーロ
反応量が少なく、かつ得られるめっき膜の機械的物性が
優れた無電解銅めっき液、無電解銅めっき液用補給液、
該無電解銅めっき液で安定してめっき膜を形成可能なめ
っき方法及び優れたスルーホール接続信頼性を示す配線
板の製造方法を提供する。 【解決手段】銅イオン、銅イオンの錯化剤、銅イオン還
元剤、及びpH調整剤を含む無電解銅めっき液におい
て、前記銅イオン還元剤がグリオキシル酸又はその塩で
あり、前記無電解銅めっき液がコハク酸を0.1〜10
00ppm含む無電解銅めっき液、無電解銅めっき用補給
液及び配線板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に電子部品の配
線形成に用いる無電解銅めっき液、及びその補給液、配
線板の形成方法に関し、特に銅イオンの還元剤に揮発性
の高いホルムアルデヒドを用いず、グリオキシル酸を用
いた場合のめっき液及びめっき技術に関する。
【0002】
【従来の技術】無電解銅めっき液は、銅イオン、銅イオ
ンの錯化剤、銅イオンの還元剤、及びpH調整剤を含んで
いる。前記銅イオンの還元剤としてはホルムアルデヒド
又はグリオキシル酸及びその塩が用いられる。そして、
前者の場合はぎ酸イオン、後者の場合はしゅう酸イオン
がめっき液中に還元剤の酸化体イオンとして蓄積する。
【0003】また、前記のpH調整剤としては一般的に水
酸化ナトリウム(NaOH)が用いられるが、グリオキシル
酸を還元剤とした場合にはしゅう酸ナトリウムの溶解度
が小さく、めっき途中でしゅう酸ナトリウムの沈殿がめ
っき液中に発生する。このような固体沈殿が被めっき物
に付着すると、固体沈殿が付着した部分にめっきが析出
せず、「ボイド」となる。そこで、この対策として、特
開平7−268638号公報には、めっき液をろ過しな
がらめっきする方法の開示がある。
【0004】特開昭61−183474号公報には、還
元剤としてグリオキシル酸を用いた無電解銅めっき液の
pHをアルカリ性にするため、NaOH又はKOHを用いるこ
と、更に、グリオキシル酸の酸化体であるしゅう酸塩の
溶解度がしゅう酸ナトリウムよりもしゅう酸カリウムの
方が大きいため、KOHが好ましいことの開示がある。
【0005】また、グリオキシル酸を用いた場合、めっ
き液中にしゅう酸が蓄積するのはめっき反応以外にカニ
ッツァーロ反応がその一因となっている。
【0006】グリオキシル酸の場合のカニッツァーロ反
応を以下に示す。 2 CHOCOOH + 2 OH- → C2O4 2- + HOCH2C
OOH + H2O 上記反応により、めっき液中にしゅう酸とグリコール酸
が蓄積する。該反応の反応速度はめっき液温度の上昇と
共に早くなるので、めっき液温度を低温にコントロール
することでカニッツァーロ反応を抑制できる。
【0007】特開2000−144438号公報では、
めっきを施すチャンバーと、めっき液を循環させる循環
槽とを備え、常時めっき液を蓄えておく循環槽の液温度
を低く保つことで、カニッツァーロ反応を抑制するめっ
き装置の開示がある。
【0008】また、グリオキシル酸を還元剤とした無電
解銅めっき液で、pH調整剤にKOHを用いるとNaOHを用い
た場合よりもカニッツァーロ反応を抑制できることが
「表面技術voL.42, No.9, 913-917(1991)」、「プリン
ト回路実装学会第6回学術講演大会予稿集101〜102ペー
ジ」に開示されている。
【0009】一方、無電解銅めっき技術では、めっき液
の安定性向上やめっき膜の物性向上、配線板の配線の接
続信頼性向上のために、めっき液中に種々の添加剤を加
えて用いる。
【0010】例えば、特開昭51−105932号公報
は、2,2'-ビピリジル、2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾ
ール、2,2'-ジキノリルの少なくとも1種とポリアルキ
レングリコール、または/および1,10-フェナントロリン
類の少なくとも1種とポリアルキレングリコールを添加
剤とした無電解銅めっき液を開示している。特開昭52
−85936号公報は、オキシムを含有するめっき液を
開示している。特開2001−152353号公報は、
エチレングリコール、グリセリン、及びエリストールか
ら選ばれた少なくとも一種の多価アルコール化合物を含
む無電解銅めっき液を開示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】無電解銅めっき液の還
元剤にグリオキシル酸を用いた場合は、ホルムアルデヒ
ドを用いた場合よりもカニッツァーロ反応が起こり易く
めっき液が不安定で、高コストになる。
【0012】めっき液が安定であるというのは、めっき
液中で、めっきしようとする被めっき体表面以外でめっ
き反応がほとんど進行しない状態を指す。この場合、め
っき液と接触しているめっき槽壁面への銅析出や、めっ
き槽底面への銅粉、あるいは酸化銅粉の沈殿等はほとん
ど生じておらず、実質的に問題なく製品にめっきできて
いる状態である。
【0013】一方、めっき液が不安定であるというの
は、めっき槽壁面やめっき槽底面への銅析出、あるいは
製品の被めっき面以外の部分に銅析出が発生している状
態であり、さらに進行すると、めっき液中の銅イオンが
ほとんど全て銅粉あるいは酸化銅粉として、めっき槽内
に沈殿してしまうような状態である。
【0014】めっき液の安定性では、カニッツァーロ反
応量が多く、めっき液中の塩濃度が上昇したため、めっ
き液中の溶存酸素濃度が減少してめっき液の安定性が低
下するという原因が考えられる。
【0015】更に、グリオキシル酸を用いた場合、カニ
ッツァーロ反応あるいはめっき反応で、グリオキシル酸
の酸化体であるしゅう酸がめっき液中に蓄積する。無電
解銅めっきでは、めっき液をアルカリ性に保つため、Na
OHを添加しながらめっきを行うのが通常であるが、しゅ
う酸ナトリウムの溶解度が小さく、めっき液中にしゅう
酸ナトリウムの結晶が沈殿し、それが基板に付着した場
合にはめっきが析出しないめっきボイドとなり、問題で
あった。このような、めっき液中の塩濃度の上昇やしゅ
う酸ナトリウムの沈殿形成を避けるため、めっき中めっ
き液に添加しpHをアルカリ性に保つpH調整剤としてKOH
を用いる方法が検討された。しかし、pH調整剤にKOHを
用い、還元剤をグリオキシル酸にしためっき液を用いて
配線板の導体を形成した場合、NaOHをpH調整剤として還
元剤にホルムアルデヒドを用いた場合に比べスルーホー
ルの接続信頼性が低下するという問題があった。スルー
ホール接続信頼性については後述する。
【0016】本発明では、還元剤としてグリオキシル酸
またはその塩を用いた無電解銅めっき液で、カニッツァ
ーロ反応量が少なく、かつ得られるめっき膜の機械的物
性が優れた無電解銅めっき液を提供することを目的とす
る。
【0017】更に、本発明では、還元剤としてグリオキ
シル酸またはその塩を用いた無電解銅めっき液中のカニ
ッツァーロ反応を抑制し、かつ優れた機械的物性を示す
めっき膜を得ることを可能にする無電解銅めっき液用補
給液を提供することを目的とする。
【0018】更に、本発明では、グリオキシル酸または
その塩を還元剤とした無電解銅めっき液で安定してめっ
き膜を形成可能なめっき方法を提供することを目的とす
る。
【0019】更に、本発明では、グリオキシル酸または
その塩を還元剤とした無電解銅めっき液で優れたスルー
ホールまたはビアホール接続信頼性を示す配線板の製造
方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下のと
おりである。 [1] 銅イオン、銅イオンの錯化剤、銅イオン還元
剤、及びpH調整剤を含む無電解銅めっき液において、
前記銅イオン還元剤がグリオキシル酸又はその塩であ
り、前記無電解銅めっき液がコハク酸を含む無電解銅め
っき液である。そして、前記コハク酸を0.1〜100
0ppm含む無電解銅めっき液が好ましい。 [2] 銅イオン還元剤がグリオキシル酸又はその塩を
含む無電解銅めっき液に前記グリオキシル酸を補給する
ための無電解銅めっき液用補給液であって、該無電解銅
めっき液用補給液がコハク酸を10〜500ppm含む無
電解銅めっき液用補給液である。 [3] 基板の表面に、前記項[1]に記載の無電解銅
めっき液を用いて無電解銅めっき処理して銅膜を形成す
る工程を有するめっき方法である。 [4] 基板の表面に、前記項[2]に記載の無電解銅
めっき液用補給液を用いて無電解銅めっき処理して銅膜
を形成する工程を有するめっき方法である。
【0021】[5] 基板の表面に、前記項[1]に記
載の無電解銅めっき液を用いて導体回路を形成する配線
板の製造方法である。 [6] 基材の少なくとも片側主面の表面に、銅を積層
した銅張積層板にスルーホールを形成する工程、前記ス
ルーホールの内壁面へ触媒を付与する工程、前記工程で
得られた基板のスルーホールに実施例1又は2に記載の
無電解銅めっき液を用いて無電解銅めっき処理を施し銅
膜を形成する工程、前記工程で得られた基板の全面にエ
ッチングレジストを形成し、露光現像処理によりエッチ
ングレジストの配線パターンを形成する工程、前記工程
で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の配線パターンを形
成する工程、を含む配線板の形成方法である。 [7] 両面銅張積層板にスルーホールを形成する工
程、増感処理剤、密着促進処理剤を用いてスルーホール
の内壁面へ触媒を付与する工程、前記工程で得られた基
板のスルホールに実施例1又は2に記載の無電解銅めっ
き液を用いて無電解銅めっき処理を施し銅膜を形成する
工程、前記工程で得られた基板の全面に感光性ドライフ
ィルム型エッチングレジストを形成し、露光現像処理に
よりエッチングレジストの配線パターンを形成する工
程、前記工程で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の配線
パターンを形成する工程、を含む配線板の形成方法であ
る。
【0022】[8] 基材の少なくとも片側主面の表面
に、銅を積層した銅張積層板にスルーホールを形成する
工程、前記スルーホールの内壁面へ触媒を付与する工
程、前記工程で得られた基板のスルーホールに 前記項
[2]に記載の無電解銅めっき用補給液を用いて無電解
銅めっき処理を施し銅膜を形成する工程、前記工程で得
られた基板の全面にエッチングレジストを形成し、露光
現像処理によりエッチングレジストの配線パターンを形
成する工程、前記工程で露出した銅膜を溶解除去して銅
膜の配線パターンを形成する工程、を含む配線板の形成
方法である。 [9] 両面銅張積層板にスルーホールを形成する工
程、増感処理剤、密着促進処理剤を用いてスルーホール
の内壁面へ触媒を付与する工程、前記工程で得られた基
板のスルホールに 前記項[2]に記載の無電解銅めっ
き用補給液を用いて無電解銅めっき処理を施し銅膜を形
成する工程、前記工程で得られた基板の全面に感光性ド
ライフィルム型エッチングレジストを形成し、露光現像
処理によりエッチングレジストの配線パターンを形成す
る工程、前記工程で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の
配線パターンを形成する工程、を含む配線板の形成方法
である。 [10] 基板の表面に、前記項[1]に記載の無電解
銅めっき液を用いて銅膜を形成した後、当該銅膜を給電
膜として電気めっきを行うことを特徴とする配線板の製
造方法である。 [11] 基板の表面に、前記項[2]に記載の無電解
銅めっき用補給液を用いて無電解銅めっきを行い、銅膜
を形成した後、当該銅膜を給電膜として電気めっきを行
う配線板の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、説明する。グリオキシル酸を還元剤として、エチレ
ンジアミン四酢酸(EDTA)を錯化剤とした無電解銅めっ
き反応は下記反応式で示される。 Cu2+(EDTA)4-+ 2CHOCOO- + 4OH- →Cu +2(COO)2 2- + 2H
2O + H2+ EDTA4-
【0024】めっき反応の進行に伴い、めっき液中には
しゅう酸イオンが蓄積する。更に、無電解銅めっき液中
では、めっき液がアルカリ性水溶液であるため、下記反
応式に示すカニッツァーロ反応が進行し、しゅう酸イオ
ンとグリコール酸イオンが蓄積する。 2CHOCOO- + OH- → (COO)2 2- + CH2OHCOO- しゅう酸ナトリウムは溶解度が小さいため、めっき液中
にしゅう酸ナトリウムの結晶が析出・沈殿し、問題とな
る。一方、しゅう酸カリウムの溶解度はしゅう酸ナトリ
ウムの溶解度に比べ大きい。
【0025】そこで、無電解銅めっき液組成のpH調整剤
にKOHを用い、EDTAも全てカリウム塩とし、めっき液を
ナトリウムフリーとすることで、しゅう酸塩の発生を抑
制することができる。
【0026】しかし、pH調整剤をKOHとし、還元剤をグ
リオキシル酸としためっき液を用いて配線板の配線形成
を行った場合には、スルーホールの接続信頼性が、従来
のホルムアルデヒドを還元剤としてpH調整剤にNaOHを用
いためっき液で配線を形成した場合に比べ劣る。
【0027】本発明者等が実験的に求めた結果では、KO
Hを用いてめっき液中に含まれるナトリウムイオン濃度
を100ppm以下としためっき液では、しゅう酸濃度が
約0.6mol/Lになるとしゅう酸塩の沈殿が生じた。
その結果、めっき液は不安定となり被めっき物表面以外
のめっき槽壁面やめっき液を循環している配管内に銅が
析出し始め、それ以上のめっき液使用が不可能となる。
【0028】しゅう酸塩の沈殿が生じるしゅう酸濃度、
めっき液が不安定となるしゅう酸濃度はめっき液組成、
めっき条件により異なるが、概ね0.5〜0.8mol
/L程度であると見積もられた。しゅう酸塩が沈殿し始
めた時、あるいはめっき液が不安定になった時を、本明
細書中においてはめっき液の寿命と表現する。0.6mo
l/Lのしゅう酸イオンが蓄積した時がめっき液の寿命
であるとすると、カニッツァーロ反応が起こらず、全て
のグリオキシル酸がめっき反応で消費されたと仮定する
と、めっき液1リットルあたりめっき被膜として銅を0.
3mol/L析出させたことになる。
【0029】これは、上記めっき反応式より、銅イオン
1molに対し、グリオキシル酸2molが反応当量で
あるためである。これは、めっき浴負荷を2dm2/Lとし
た場合、100μmに相当する量である。
【0030】しかし、実際にはカニッツァーロ反応が進
行し、めっき反応以外でもしゅう酸が生成され、めっき
膜厚として30μm程度しかめっきできず、問題であっ
た。これは、めっき液中でカニッツァーロ反応が進行
し、めっき反応以外でしゅう酸が生成されているためで
ある。カニッツァーロ反応はめっき液寿命を縮めるだけ
ではなく、めっき工程のコストアップにつながる。従っ
て、種々の目的でめっき液中に添加する添加剤は、カニ
ッツァーロ反応を促進してはならず、逆に抑制すること
が好ましい。
【0031】尚、グリオキシル酸を使用する限りしゅう
酸は発生し、そのしゅう酸塩のめっき液中への飽和溶解
度はめっき液組成により決まるということである。その
量は概ね0.5〜0.8mol/Lである。
【0032】一方、無電解めっきにより得られるめっき
膜の機械的物性(膜の延性、引っ張り強度等)は、めっ
き液中に添加する物質(添加剤)の種類、濃度に大きく
依存する。配線板の配線形成に無電解銅めっきを用いる
場合、めっき膜の機械的物性は配線板の信頼性に大きく
影響するため、非常に重要な要素である。すなわち、延
性の大きなめっき膜を導体とした場合には、配線板は温
度サイクル等の熱衝撃に強く、はんだ処理等の加熱工程
にも強い、信頼性の良好な配線板になる。熱衝撃や曲げ
応力等に対する信頼性は、配線板にとって非常に需要で
あり、必要な要求特性を満足しない場合には、そのめっ
き技術は適用できない。特に、層間接続のために基板に
形成されたスルーホール部に形成しためっき膜は、その
形状から応力が集中するため、配線板の信頼性を左右す
ることになる。従って、配線板の信頼性は、スルーホー
ル部分のめっき膜による接続信頼性と同値であると見な
すことができる。以下、配線板の信頼性は、スルーホー
ル接続信頼性で評価するという、定法に従うこととす
る。
【0033】従来より、信頼性を向上させる為に種々の
添加剤が開示されているが、これらはホルムアルデヒド
を還元剤としてpH調整剤にNaOHを用いることを前提とし
たものである。グリオキシル酸を還元剤とした場合には
スルーホールの接続信頼性は、前記のホルムアルデヒド
を還元剤として用いた場合に比べ劣る。
【0034】本発明において、グリオキシル酸を還元剤
として用いた場合、得られるめっき膜の物性が良好で、
配線板のスルーホール接続信頼性を向上させ、更にめっ
き液中でのカニッツァーロ反応を抑制する添加剤として
コハク酸を提供する。
【0035】コハク酸を添加した本発明のめっき液から
得られるめっき膜物性は、コハク酸を添加しない場合と
ほぼ同等である。この場合、前記めっき液中に同時に添
加している他の添加剤、例えば公知の2,2'-ビピリジル
やポリエチレングリコール、1,10-フェナントロリン等
の添加剤のみを添加しためっき液で得られるめっき膜物
性とほぼ同等であり、めっき膜物性は、それらコハク酸
以外の添加剤で決まる。
【0036】しかし、コハク酸を添加しためっき液を配
線板の配線形成に適用した場合には、配線板のスルーホ
ール接続信頼性は飛躍的に向上する。コハク酸を添加し
た場合の信頼性の向上は、めっき析出初期の段階でスル
ーホール内壁面への均一析出性が向上した効果による。
【0037】基板上に無電解銅めっきにより1μm以下
程度の薄いめっき膜を形成し、その無電解銅めっき膜を
給電膜として電気めっきを行い、所望の厚みの導体を形
成させる配線板の配線形成方法もある。
【0038】このような使い方の無電解銅めっき技術
を、ここでは薄付け無電解銅めっき技術と呼ぶことにす
る。これに対し、無電解銅めっきで数μm〜数十μmの膜
厚の銅膜を形成する方法もあり、これを厚付け無電解銅
めっきと呼ぶ。
【0039】薄付け無電解銅めっき技術では、続く電気
めっきの給電膜を形成することが目的となるため、均一
析出性が重要な特性となる。特に、配線板ではスルーホ
ール内壁面への均一析出性が重要である。従って、コハ
ク酸を添加した無電解銅めっき液は均一析出性が良好で
あるため、薄付け用無電解銅めっき液として有効であ
る。
【0040】厚付け無電解銅めっき、薄付け無電解銅め
っき共にコハク酸は、従来用いてきためっき液に添加す
るのみでよい。例えば、従来以下に記すめっき液を用い
てきた場合を考える。 (従来のめっき液組成(I)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH = 12.4になるよう
に適宜調整。
【0041】 (従来のめっき条件(I)) ・pH 12.4 ・液温 70℃ ここで、本発明によればコハク酸を5ppm添加し、以
下のめっき液組成とする。
【0042】 (本発明のめっき液組成(I)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L ・コハク酸 5 mg/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整。
【0043】 (本発明のめっき条件(I)) ・pH 12.4 ・液温 70℃ 本発明のめっき液組成は従来のめっき液組成にコハク酸
を添加したものである。この場合、両者のめっき速度、
得られるめっき膜物性その他めっき特性はほとんど変化
しない。それらの特性は、予めめっき液中に添加されて
いた2,2'-ビピリジル、ポリエチレングリコールによっ
て決定されていると思われる。コハク酸は、めっき速
度、得られるめっき膜物性その他めっき特性を向上させ
る2,2'-ビピリジル、ポリエチレングリコールの効果を
妨げないのである。
【0044】一方、めっきを行っている間のカニッツァ
ーロ反応量は、コハク酸を添加しない従来の約90%で
あり、すなわち10%のカニッツァーロ反応低減効果が
達成できる。
【0045】更に、本発明のめっき液を用いて配線板の
導体形成を行った場合のスルーホール接続信頼性は、コ
ハク酸を添加しない従来めっき液に比べ飛躍的に向上す
る。配線板は熱衝撃により導体にクラックが発生する
が、コハク酸を添加することにより、クラック発生まで
の熱衝撃に対する寿命は2倍以上向上する。
【0046】コハク酸の添加方法としては、めっき液中
に予めコハク酸を添加しても良いが、銅イオン還元剤の
グリオキシル酸水溶液中にコハク酸を添加して用いても
良い。グリオキシル酸水溶液中にコハク酸を添加してお
くことでカニッツァーロ反応抑制効果が向上する。ま
た、コハク酸の添加量は配線板の信頼性、得られるめっ
き膜物性に対しマージンが広い。
【0047】このため、めっき液成分を細かく分析管理
をする必要はない。めっき液中でのコハク酸濃度の変動
は、めっき液中から配線板等の被めっき物が取り出され
るとき、被めっき物表面に残留しためっき液が基板と共
に持ち出されることによる変動のみである。
【0048】従って、被めっき物の処理量に伴い、一定
量のコハク酸を添加すれば良い。還元剤のグリオキシル
酸も、被めっき物の処理量に応じてめっき液中に加える
ため、このグリオキシル酸水溶液中にコハク酸を添加し
ておけば、めっき液中にコハク酸を別途添加しなくても
良いことになる。更に、先にも述べたが、グリオキシル
酸水溶液中にコハク酸を添加しておくことでカニッツァ
ーロ反応抑制効果が若干高まる。従って、コハク酸を含
有したグリオキシル酸水溶液を無電解銅めっき用補給液
として用いるのは、非常に有効である。以上の試験方法
の詳細、結果の詳細は以下の実施例において説明する。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明する。比
較例は、従来の無電解銅めっき液及び無電解銅めっき技
術を示す。評価結果はまとめて表1に示した。 〔実施例1〕銅イオン源として硫酸銅、錯形成剤にはエ
チレンジアミン四酢酸、銅イオン還元剤としてグリオキ
シル酸、pH調整剤として水酸化カリウムを用いてめっ
き液組成物を作成した。更に、該めっき液中にコハク酸
を添加して下記のめっき液(II)を得た。 (めっき液(II)の組成) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L ・コハク酸 50 mg/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH =12.4になるように
適宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっ
き条件(I)と同じである。上記めっき液(II)を用い
て、試験基板上に無電解銅めっきによるパターン形成を
行い、銅の異常析出の有無からめっき液の寿命及びめっ
き膜の品質を評価した。
【0050】また、めっき液(II)中のしゅう酸イオン
量及びグリコール酸イオン量を定量し、カニッツァーロ
反応量を求めた。試験基板の作成法及びめっき膜の物性
の評価法を下記に示す。 〈試験基板作成法〉以下に示す工程により両面配線板を
作成した。厚み1.6mmのガラスエポキシ基材の両表面
に、18μmの厚みの銅を積層した両面銅張積層板にド
リル加工により直径φ0.3mmのスルーホールを形成し
た。ドリル加工時に生じる加工残さをアルカリ性過マン
ガン酸カリウム水溶液で除去した。
【0051】次いで、日立化成工業株式会社製のクリー
ナーコンディショナー(商品名:CLC-601)、プリディッ
プ(商品名:PD301)、増感処理剤(商品名:HS-202B)及び
密着促進処理剤(商品名:ADP-601)を用いて、前記で形
成したスルーホール内壁面への触媒付与を行った。
【0052】該基板に本発明のめき液を用いて無電解銅
めっき処理を施した。得られる無電解銅めっき膜厚は、
実施例の無電解銅めっきのみでスルーホール接続のため
の銅膜形成を終了する場合には20μmとし、実施例の
無電解銅めっき処理に引き続き電気銅めっきによりスル
ーホール接続のための銅膜を形成する場合には0.3μ
mとした。
【0053】尚、実施例の無電解銅めっきに引き続き電
気銅めっきを行う場合には、電気銅めっきの膜厚を20
μmとした。
【0054】無電解銅めっき、又は電気銅めっきにより
厚み20μmの銅膜を形成した後、基板全面に感光性ド
ライフィルム型エッチングレジストを形成し、露光現像
処理により配線パターン部をエッチングレジストで覆っ
た。露出した銅膜を硫酸及び過酸化水素を主成分とした
銅エッチング液で処理し銅膜を溶解除去した。
【0055】上記で形成した配線の幅は100μmであ
り、スルーホール500個がチェーン状に連なったスル
ーホールチェーンを形成した。
【0056】上記で作成した試験基板とステンレス板を
同時にめっき液中に浸漬し、めっき液1Lに対する被め
っき面積を表すめっき浴負荷1dm2/Lで無電解銅めっ
きを施した。
【0057】前記ステンレス板は予め17%塩酸水溶液
中に2分間浸漬し、次いで増感処理溶液に10分間浸漬
した後水洗し、密着促進処理を3分間施した後、水洗し
たものを用いた。
【0058】めっき中はめっき槽に常時空気を吹き込ん
でめっき液を撹拌した。めっき中の銅イオン濃度、グリ
オキシル酸(銅イオン還元剤)濃度 及びpHが所定の
範囲に納まるように随時補給液を補給した。各補給液の
組成を以下に示す。 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 ステンレス板上及び試験基板のパターン部に30μmの
厚さにめっきすることを、めっき1回とした。各回が終
了する毎に、ステンレス板よりめっき皮膜を剥離して、
1.25cm×10cmの大きさに切断し、めっき皮膜
の機械的強度を引っ張り試験機で測定した。
【0059】(a)カニッツァーロ反応量の測定 カニッツァーロ反応量の測定には、めっき液をサンプリ
ングし、該めっき液中に含まれるしゅう酸量及びグリコ
ール酸量をイオンクロマトグラフィー法により定量して
求めた。
【0060】しゅう酸はめっき反応及びカニッツァーロ
反応により生成され、グリコール酸はカニッツァーロ反
応でのみ生成される。従って、めっき液中のグリコール
酸量がめっき液中でのカニッツァーロ反応量に相当す
る。定量されたグリコール酸の2倍モル量がカニッツァ
ーロ反応によって消費されたグリオキシル酸量である。
【0061】カニッツァーロ反応の割合は、カニッツァ
ーロ反応で消費されたグリオキシル酸量を全グリオキシ
ル酸量で除したもので、以下の式で求めた。 カニッツァーロ反応の割合=カニッツァーロ反応量/
(カニッツァーロ反応量+寿命時銅析出量×2) めっき液寿命としては、上記のめっき実験で、被めっき
基板以外への銅の析出が発生し始めた時点で寿命と判断
した。
【0062】本実施例で用いためっき液のめっき析出速
度は、3.1μm/hであり、厚み30μmのめっきに要
した時間は約10時間であった。
【0063】次に、めっき膜の機械的物性を測定した。
引っ張り試験の結果、伸び率は20.5%で、引っ張り
強度は320Mpaであり、非常に良好なめっき膜物性を
示した。これは、厚付け無電解銅めっき液として充分適
用可能なめっき膜物性である。 〈スルホール接続信頼性〉上記の試験基板を用いて、め
っき液(II)を配線板に適用した場合の、スルーホール
接続信頼性を以下に示す熱衝撃試験及び半田耐熱試験に
より評価した。
【0064】(b)熱衝撃試験 -65℃に120分保持し、室温に戻し5分間保持、次いで
+125℃で120分保持することを1サイクルとした。上
記した試験基板で、500個のスルーホールをチェーン
状につなげたスルーホールチェーンで、電気抵抗が当初
の抵抗より10%上昇したサイクル数までを計測し、熱
衝撃試験に対する寿命と判断した。
【0065】(c)半田耐熱試験 試験基板を280℃の溶融半田浴槽に10秒間浸し、取り
出す工程を半田耐熱試験1回とした。半田耐熱試験を5
回実施後、試験基板を断面観察用埋め込み樹脂(ビュー
ラー株式会社製:エポミックス)に埋め込み、スルーホ
ール断面部を削りだし30個のスルーホール断面を顕微
鏡により観察した。試料の観察断面は鏡面仕上げとし、
研磨時のダレを取り除くため、硫酸及び過酸化水素を含
むエッチング液で銅をソフトエッチング処理した。30
個のスルーホール断面にクラックが発生していない場合
を半田耐熱性は良好であると判断した。
【0066】本実施例のめっき液(II)を用いて銅膜を
形成した試験基板は熱衝撃試験では、電気抵抗上昇率が
10%となったのは350サイクル後で結果は良好であ
った。また、半田耐熱試験後も30個のスルーホール断
面にクラックの発生はなかった。
【0067】以上より、試験基板は優れたスルーホール
接続信頼性を示し、本実施例のめっき液(II)は無電解
銅めっき液として十分な機能を有する。
【0068】次に、本実施例の無電解銅めっき液中での
カニッツァーロ反応について説明する。被めっき基板以
外への銅の析出が開始したのは、銅の析出量が0.23
mol/Lに達した時であり、この時点がめっき液寿命
であると判断した。更に、寿命となっためっき液中のグ
リコール酸量を測定した結果、0.03mol/Lであ
った。従って、カニッツァーロ反応で消費したグリオキ
シル酸は0.06mol/Lであった。
【0069】0.23mol/Lの銅を析出させるため
に反応したグリオキシル酸量は0.46mol/Lであ
り、カニッツァーロ反応で消費されたグリオキシル酸量
は0.06mol/Lであるので、カニッツァーロ反応
で消費されたグリオキシル酸の割合は全グリオキシル酸
量の約11.5%であった。
【0070】このように、本発明のめっき液ではカニッ
ツァーロ反応で消費されるグリオキシル酸の割合が約1
1.5%と少なく、めっき液1L当たり寿命内で析出可
能な銅量も0.23mol/Lと多く、コハク酸を含む
本実施例のめっき液(II)はカニッツァーロ反応量が少
ない効果が確認できた。
【0071】〔実施例2〕銅イオン源として硫酸銅、錯
形成剤にはエチレンジアミン四酢酸、銅イオン還元剤と
してグリオキシル酸を用い、pH調整剤として水酸化カ
リウムを用いた。更にめっき液中にコハク酸を添加し
た。めっき液を低温度化することでめっき速度を低速度
化し、薄付け無電解銅めっき液として評価した。めっき
液の組成及びめっき条件を以下に示す。 (めっき液組成(III)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.3 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L ・コハク酸 50 mg/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は液温を30℃とした他
は上記の本発明のめっき条件(I)と同じである。
【0072】薄付けめっき半田耐熱試験は、厚み約0.
1〜1.0μmのめっきを施した試験基板に以下の条件
で電気銅めっき(膜厚は25μm)を行い、得られた試
験基板を上記の半田耐熱試験した場合のクラックの発生
の有無を観察した。クラックが有の場合は良好、無の場
合に不良と示した。 〈電気銅めっき液〉 ・硫酸銅5水和物 0.3 mol/L ・硫酸 1.9 mol/L ・塩素イオン 60 mg/L ・添加剤(上村工業社製:スルカップAC-90) 5 mL/L 〈めっき条件〉 ・めっき液温度 25℃ ・陰極電流密度 30 mA/cm2 ・撹拌 空気撹拌 本実施例の無電解銅めっき液で約0.3μmの銅膜を形
成した後、上記の電気銅めっき液で約25μmの銅膜を
形成した試験基板の熱衝撃試験では、電気抵抗上昇率が
10%となったのは300サイクル後であり、結果は良
好であった。また、半田耐熱試験後もクラックの発生は
認められなかった。
【0073】以上より、本実施例で試作した試験基板の
スルーホール接続信頼性は良好であり、本実施例の無電
解銅めっき液は電気めっき用下地膜を形成する無電解銅
めっき液として十分な機能を有することが確認できた。
【0074】〔実施例3〕ここでは、添加剤のコハク酸
をめっき液中に添加するのではなく、めっき液中に銅イ
オン還元剤のグリオキシル酸を補給するために用いるグ
リオキシル酸水溶液中にコハク酸を添加した場合であ
る。試験内容は実施例1と同様の試験を実施した。
【0075】めっき液の組成及びめっき条件、補給液組
成を以下に示す。 (めっき液組成(IV)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0076】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 コハク酸 0.5g/L (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 40%グリオキシル酸水溶液1Lにコハク酸を0.5g添
加してグリオキシル酸補給液を作成した。
【0077】めっき液中に実施例1の試験基板とめっき
膜物性測定用のステンレス板を浸漬し、めっき浴負荷1
dm2/Lのめっき条件で連続して厚付けめっきを行っ
た。その結果、厚み30μmを形成する厚付け無電解銅
めっきを繰り返し6回実施することができた。繰り返し
回数7回目でめっき液が不安定となり、めっき続行が不
可能になった。この時の、グリオキシル酸トータルの補
給量は約0.6mol/Lであった。
【0078】めっき液の繰り返し回数の増加と共にめっ
き液中のコハク酸濃度は増加した。その濃度は、初期濃
度の約3ppm〜約60ppmまで増加していた。
【0079】表1に、各回のめっきで得られた試験基板
のスルーホール接続信頼性を評価した結果を示した。全
ての基板で良好なスルーホール接続信頼性が得られた。
【0080】以上より、本実施例で試作した試験基板の
スルーホール接続信頼性は良好であり、本実施例の無電
解銅めっき液は配線板の配線形成に適用した場合、優れ
たスルーホール接続信頼性を示し、無電解銅めっき液と
して十分な機能を有することが確認できた。
【0081】また、同時に本実施例の結果は、めっき液
中に添加するコハク酸の濃度として、3〜60ppmの広
範囲に渡り、配線板の信頼性向上に効果がある。
【0082】〔実施例4〕本実施例は添加剤のコハク酸
をめっき液中に添加せずに、めっき液中に銅イオン還元
剤のグリオキシル酸を補給するために用いるグリオキシ
ル酸水溶液中にコハク酸を添加した。そして、実施例1
と同様の試験を実施した。めっき液の組成及び補給液組
成を以下に示す。 (めっき液組成(V)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0083】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 コハク酸 30 mg/L (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 40%グリオキシル酸水溶液1Lにコハク酸を30mg添
加してグリオキシル酸補給液を作成した。
【0084】めっき液中に実施例1に記載の試験基板
と、めっき膜物性測定用のステンレス板を入れ、めっき
浴負荷1dm2/Lのめっき条件で、連続して厚付けめっき
を行った。その結果、厚み30μmを形成する厚付け無
電解銅めっきを繰り返し5回実施することができた。
【0085】繰り返し回数6回目でめっき液が不安定と
なり、めっき続行が不可能になった。
【0086】尚、本実施例で繰り返しめっき回数が5回
と実施例3に比べ減少したのは、実施例3に比べめっき
液中の平均のコハク酸濃度が実施例3よりも低いためで
ある。実施例3に比べカニッツァーロ反応量が多かった
ため、めっき繰り返し回数が減少した。尚、この時のグ
リオキシル酸トータルの補給量は約0.6mol/Lで
あった。
【0087】各繰り返しめっき終了後のめっき液中のコ
ハク酸濃度は、初期濃度の約0.1ppm〜3.3ppmまで
増加していた。
【0088】表1に、各回のめっきで得られた試験基板
のスルーホール接続信頼性を評価した結果を示した。全
ての基板で良好なスルーホール接続信頼性が得られた。
【0089】以上より、本実施例で試作した試験基板の
スルーホール接続信頼性は良好であり、本実施例の無電
解銅めっき液は配線板の配線形成に適用した場合、優れ
たスルーホール接続信頼性を示し、無電解銅めっき液と
して十分な機能を有することが確認できた。
【0090】また、本実施例は、めっき液中に添加する
コハク酸の濃度として、0.1〜20ppmの広範囲に渡
り、配線板の信頼性向上に効果がある。
【0091】〔実施例5〕本実施例では、添加剤のコハ
ク酸をめっき液中に添加せずに、めっき液中に銅イオン
還元剤のグリオキシル酸を補給するために用いるグリオ
キシル酸水溶液中にコハク酸を添加した。そして、実施
例1と同様の試験を実施した。めっき液の組成及び補給
液組成を以下に示す。 (めっき液組成(VI)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0092】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200 g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 コハク酸 9.0 g/L (3)pH調整剤 KOH 40 膜厚は25μmg 水 1Lとするに必要な量 40%グリオキシル酸水溶液1Lにコハク酸を9g添加し
てグリオキシル酸補給液を作成した。
【0093】めっき液中に実施例1の試験基板とめっき
膜物性測定用のステンレス板を浸漬し、めっき浴負荷1
dm2/Lのめっき条件で、連続して厚付けめっきを行っ
た。その結果、厚み30μmを形成する厚付け無電解銅
めっきを繰り返し6回実施することができた。繰り返し
回数7回目でめっき液が不安定となり、めっき続行が不
可能になった。この時のグリオキシル酸トータルの補給
量は約0.6mol/Lであった。
【0094】各繰り返しめっき終了後のめっき液中のコ
ハク酸濃度は、初期濃度の約50ppm〜約1000ppmま
で増加していた。
【0095】表1に、各回のめっきで得られた試験基板
のスルーホール接続信頼性を評価した結果を示した。全
ての基板で良好なスルーホール接続信頼性が得られた。
【0096】以上より、本実施例で試作した試験基板の
スルーホール接続信頼性は良好であり、本実施例の無電
解銅めっき液は配線板の配線形成に適用した場合、優れ
たスルーホール接続信頼性を示し、無電解銅めっき液と
して十分な機能を有することがわかり、本実施例の効果
が確認できた。
【0097】また、同時に本実施例の結果は、めっき液
中に添加するコハク酸の濃度として、50〜1000pp
mの広範囲に渡り、配線板の信頼性向上に効果がある。
【0098】〔実施例6〕実施例3〜5と同様に、添加
剤のコハク酸をグリオキシル酸水溶液中に添加した場合
であり、薄付けの無電解銅めっき技術に適用した場合で
ある。そして、実施例2と同様の試験を実施した。めっ
き液の組成及びめっき条件、補給液組成を以下に示す。 (めっき液組成(VII)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.3 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は液温を25〜30℃と
した他は上記の本発明のめっき条件(I)と同じであ
る。
【0099】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 コハク酸 30mg/L (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 グリオキシル酸補給液中にコハク酸を添加し、繰り返し
めっきを行うことで、めっき液中のコハク酸濃度は約
1.6〜1000ppmまで変化した。
【0100】表1に、試作した基板の特性を示した。何
れのコハク酸濃度の範囲のでも熱衝撃試験結果は良好で
あった。また、半田耐熱試験後もスルホールブにクラッ
クはなかった。
【0101】以上より、本実施例で試作した試験基板の
スルーホール接続信頼性は良好であり、本実施例の無電
解銅めっき液は電気めっき用下地膜を形成する無電解銅
めっき液として十分な機能を有することがわかり、本実
施例の効果が確認できた。
【0102】〔比較例1〕めっき液中及びグリオキシル
酸補給液にもコハク酸を添加しない場合について述べ
る。めっき液組成及びめっき条件を以下に示す。 (めっき液組成(Ia)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0103】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 表1に、本比較例の試験結果を示した。
【0104】本比較例のめっき液を用いて厚付けめっき
をした際の熱衝撃試験の結果は、50サイクルで抵抗率
が10%以上上昇し、本発明に比べ著しく劣る。また、
半田耐熱試験の結果スルーホールコーナー部のめっき膜
にクラックが発生した。以上より、めっき液中にコハク
酸を添加した本発明の効果が確認できた。
【0105】次に、めっき液の温度を30℃に下げ、薄
付けめっきに適用した場合について検討した。薄付けめ
っきに続く電気めっき処理等は全て実施例1と同様な方
法で行った。その結果を表1に示した。熱衝撃試験の結
果は、50サイクルで抵抗率が10%以上上昇し、本発
明に比べ著しく劣る。また、半田耐熱試験の結果はスル
ーホールコーナー部のめっき膜にクラックが発生した。
以上より、薄付けめっきの場合についても、めっき液中
にコハク酸を添加した本発明の効果が確認できた。
【0106】〔比較例2〕ここでは、めっき液中に多量
のコハク酸を添加した場合について述べる。 (めっき液組成(Ib)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L ・コハク酸 5g/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0107】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 表1に、本比較例の試験結果を示した。
【0108】本比較例のめっき液を用いて厚付けめっき
をした際の熱衝撃試験の結果は、50サイクルで抵抗率
が10%以上上昇し、本発明に比べ著しく劣る。また、
半田耐熱試験の結果はスルーホールコーナー部のめっき
膜にクラックが発生した。以上より、めっき液中に添加
するコハク酸の量としては適正範囲があり、5g/Lで
は量が多すぎることがわかった。添加するコハク酸濃度
を0.1〜1000ppmとしている本発明の優位性が確
認できた。
【0109】次に、めっき液の温度を30℃に下げ、薄
付けめっきに適用した場合について検討した。薄付けめ
っきに続く電気めっき処理等は全て実施例1と同様な方
法で行った。その結果を表1に示した。熱衝撃試験の結
果は、50サイクルで抵抗率が10%以上上昇し、本発明
の実施例に比べ著しく劣る結果となった。また、半田耐
熱試験の結果スルーホールコーナー部のめっき膜にクラ
ックが発生していた。以上より、薄付けめっきの場合に
ついても、めっき液中に添加するコハク酸の量としては
適正範囲があり、5g/Lでは量が多すぎることがわか
った。 添加するコハク酸濃度を0.1〜1000ppm
としている本発明の優位性が確認できた。
【0110】〔比較例3〕ここでは、めっき液中に添加
したコハク酸の量が不十分である場合の例について述べ
る。めっき液組成を以下に示す。 (めっき液組成(Ic)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L ・コハク酸 0.05 mg/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0111】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 上記のように、本比較例ではめっき液中に添加したコハ
ク酸の量が0.05mg/Lと少ない。本比較例の試験
結果は表1に示した。
【0112】本比較例のめっき液を用いて厚付けめっき
をした際の熱衝撃試験の結果は、150サイクルで抵抗
率が10%以上上昇し、本発明に比べ劣り、配線板とし
て十分な信頼性を有しているとは言えない。また、半田
耐熱試験ではスルーホールコーナー部のめっき膜にクラ
ックが発生したが、そのクラックは比較例1,2で観察
された明らかなクラックではなく、電子顕微鏡でようや
く確認できる程度の微小なクラックであった。
【0113】以上より、めっき液中にコハク酸を添加し
た本発明の優位性が確認できた。また、コハク酸の添加
量は0.05mg/Lでは不十分であり、0.1mg/L
以上とすることが更に好ましい。
【0114】次に、めっき液の温度を30℃に下げ、薄
付けめっきに適用した場合について検討した。薄付けめ
っきに続く電気めっき処理等は全て実施例1と同じ方法
で行った。その結果を表1に示した。また、熱衝撃試験
では、150サイクルで抵抗率が10%以上上昇し、本
発明に比べ劣っている。また、半田耐熱試験の結果はス
ルーホールコーナー部のめっき膜にクラックが発生した
が、そのクラックは比較例1,2で観察されたクラック
よりも小さかった。
【0115】以上より、薄付けめっきの場合について
も、めっき液中にコハク酸を添加した本発明の優位性が
確認できた。また、コハク酸の添加量としては0.05
mg/Lでは不十分であり、0.1mg/L以上とするこ
とが更に好ましい。
【0116】〔比較例4〕めっき液中に1g/L以上の
コハク酸を添加した場合について述べる。 (めっき液組成(Id)) ・硫酸銅5水和物 0.04 mol/L ・エチレンジアミン四酢酸 0.1 mol/L ・グリオキシル酸 0.03 mol/L ・水酸化カリウム 0.01 mol/L ・2,2’−ビピリジル 0.0002mol/L ・ポリエチレングリコール(平均分子量600) 0.03 mol/L ・コハク酸 1.5 g/L 但し、水酸化カリウム濃度はpH=12.4になるように適
宜調整した。また、めっき条件は上記の本発明のめっき
条件(I)と同じである。
【0117】 〈補給液〉 (1)銅イオン補給液 CuSO4・5H2O 200g 水 1Lとするに必要な量 (2)グリオキシル酸(銅イオン還元剤)補給液 40%グリオキシル酸溶液 (3)pH調整剤 KOH 40g 水 1Lとするに必要な量 本比較例の試験結果は表1に示した。
【0118】上記のめっき液を用いて厚付けめっきをし
た際の熱衝撃試験の結果は150サイクルで抵抗率が1
0%以上上昇し、本発明に比べ劣り、配線板として十分
な信頼性を有しているとは言えない。また、半田耐熱試
験ではスルーホールコーナー部のめっき膜にクラックが
発生したが、そのクラックは比較例1,2で観察された
明らかなクラックではなく、電子顕微鏡でようやく確認
できる程度の微小なクラックであった。
【0119】以上より、めっき液中にコハク酸を添加す
るという本発明の優位性が確認できた。また、コハク酸
の添加量としては1.5g/Lでは過剰であり、1g/L
以下とすることが更に好ましい。
【0120】次に、めっき液の温度を30℃に下げ、薄
付けめっきに適用した場合について検討した。薄付けめ
っきに続く電気めっき処理等は全て実施例1と同じ方法
で行った。その結果を表1に示した。熱衝撃試験では、
150サイクルで抵抗率が10%以上上昇し、本発明に比
べ劣る。また、半田耐熱試験の結果はスルーホールコー
ナー部のめっき膜にクラックが発生していたが、そのク
ラックは比較例1,2で観察されたクラックよりも小さ
かった。
【0121】以上より、薄付けめっきの場合について
も、めっき液中にコハク酸を添加した本発明の優位性が
確認できた。また、コハク酸の添加量としては1.5g
/Lでは過剰であり、1g/L以下とすることが更に好ま
しい。
【0122】
【表1】
【0123】
【発明の効果】本発明によると、グリオキシル酸を還元
剤とした無電解銅めっき液中にコハク酸を添加すること
で、配線板のスルーホールへの均一析出性の優れた無電
解銅めっき液を提供することができ、さらに良好なスル
ーホール接続信頼性を示す配線板を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼元 大 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 飯田 正 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所エンタープライズサーバ事業部内 (72)発明者 西村 尚樹 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所通信事業部内 (72)発明者 川崎 淳一 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所通信事業部内 Fターム(参考) 4K022 AA18 AA42 BA08 CA03 CA05 CA06 DA01 DB04 DB07 DB20 EA04 5E317 AA24 BB12 CC32 CC33 CC35 CD12 CD25 CD27 CD32 GG09 GG16 5E343 AA02 BB24 BB71 DD33 DD34 DD43 GG01 GG06

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅イオン、銅イオンの錯化剤、銅イオン還
    元剤、及びpH調整剤を含む無電解銅めっき液におい
    て、前記銅イオン還元剤がグリオキシル酸又はその塩を
    含み、前記無電解銅めっき液がコハク酸を含むことを特
    徴とする無電解銅めっき液。
  2. 【請求項2】銅イオン、銅イオンの錯化剤、銅イオン還
    元剤、及びpH調整剤を含む無電解銅めっき液におい
    て、前記銅イオン還元剤がグリオキシル酸又はその塩で
    あり、前記無電解銅めっき液がコハク酸を0.1〜10
    00ppm含むことを特徴とする無電解銅めっき液。
  3. 【請求項3】銅イオン還元剤がグリオキシル酸又はその
    塩を含む無電解銅めっき液に前記グリオキシル酸を補給
    するための無電解銅めっき液用補給液であって、該無電
    解銅めっき液用補給液がコハク酸を10〜500ppm含
    むことを特徴とする無電解銅めっき液用補給液。
  4. 【請求項4】基板の表面に、請求項1又は2に記載の無
    電解銅めっき液を用いて無電解銅めっき処理して銅膜を
    形成する工程を有することを特徴とするめっき方法。
  5. 【請求項5】基板の表面に、請求項3に記載の無電解銅
    めっき液用補給液を用いて無電解銅めっき処理して銅膜
    を形成する工程を有することを特徴とするめっき方法。
  6. 【請求項6】基板の表面に、請求項1又は2に記載の無
    電解銅めっき液を用いて導体回路を形成することを特徴
    とする配線板の製造方法。
  7. 【請求項7】基材の少なくとも片側主面の表面に、銅を
    積層した銅張積層板にスルーホールを形成する工程、前
    記スルーホールの内壁面へ触媒を付与する工程、前記工
    程で得られた基板のスルーホールに実施例1又は2に記
    載の無電解銅めっき液を用いて無電解銅めっき処理を施
    し銅膜を形成する工程、前記工程で得られた基板の全面
    にエッチングレジストを形成し、露光現像処理によりエ
    ッチングレジストの配線パターンを形成する工程、前記
    工程で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の配線パターン
    を形成する工程、を含むことを特徴とする配線板の形成
    方法。
  8. 【請求項8】両面銅張積層板にスルーホールを形成する
    工程、増感処理剤、密着促進処理剤を用いてスルーホー
    ルの内壁面へ触媒を付与する工程、前記工程で得られた
    基板のスルホールに実施例1又は2に記載の無電解銅め
    っき液を用いて無電解銅めっき処理を施し銅膜を形成す
    る工程、前記工程で得られた基板の全面に感光性ドライ
    フィルム型エッチングレジストを形成し、露光現像処理
    によりエッチングレジストの配線パターンを形成する工
    程、前記工程で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の配線
    パターンを形成する工程、を含むことを特徴とする配線
    板の形成方法。
  9. 【請求項9】基材の少なくとも片側主面の表面に、銅を
    積層した銅張積層板にスルーホールを形成する工程、前
    記スルーホールの内壁面へ触媒を付与する工程、前記工
    程で得られた基板のスルーホールに請求項2に記載の無
    電解銅めっき用補給液を用いて無電解銅めっき処理を施
    し銅膜を形成する工程、前記工程で得られた基板の全面
    にエッチングレジストを形成し、露光現像処理によりエ
    ッチングレジストの配線パターンを形成する工程、前記
    工程で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の配線パターン
    を形成する工程、を含むことを特徴とする配線板の形成
    方法。
  10. 【請求項10】両面銅張積層板にスルーホールを形成す
    る工程、増感処理剤、密着促進処理剤を用いてスルーホ
    ールの内壁面へ触媒を付与する工程、前記工程で得られ
    た基板のスルホールに請求項2に記載の無電解銅めっき
    用補給液を用いて無電解銅めっき処理を施し銅膜を形成
    する工程、前記工程で得られた基板の全面に感光性ドラ
    イフィルム型エッチングレジストを形成し、露光現像処
    理によりエッチングレジストの配線パターンを形成する
    工程、前記工程で露出した銅膜を溶解除去して銅膜の配
    線パターンを形成する工程、を含むことを特徴とする配
    線板の形成方法。
  11. 【請求項11】基板の表面に、請求項1又は2に記載の
    無電解銅めっき液を用いて銅膜を形成した後、当該銅膜
    を給電膜として電気めっきを行うことを特徴とする配線
    板の製造方法。
  12. 【請求項12】基板の表面に、請求項3に記載の無電解
    銅めっき用補給液を用いて無電解銅めっきを行い、銅膜
    を形成した後、当該銅膜を給電膜として電気めっきを行
    うことを特徴とした配線板の製造方法。
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