JP2003147155A - レーザーマーキング材料 - Google Patents

レーザーマーキング材料

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JP2003147155A
JP2003147155A JP2001351032A JP2001351032A JP2003147155A JP 2003147155 A JP2003147155 A JP 2003147155A JP 2001351032 A JP2001351032 A JP 2001351032A JP 2001351032 A JP2001351032 A JP 2001351032A JP 2003147155 A JP2003147155 A JP 2003147155A
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weight
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resin
rubber
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JP2001351032A
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Akiko Goto
昭子 後藤
Masahiko Noro
雅彦 野呂
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Techno UMG Co Ltd
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Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】レーザー光照射によって成形品の表面に鮮明な
黒色マーキングを呈することが可能であり、しかも成形
加工性に優れたレーザーマーキング用材料を提供する。 【解決手段】(I)下記樹脂成分(A)および(B)か
ら選択され、かつ下記単量体(a)〜(f)の全重合量
中に占める(b)成分の重合量の割合が5〜100重量
%の範囲にある(ゴム強化)樹脂成分100重量部、な
らびに(II)レーザー光吸収剤0.0001〜30重量
部を含有することを特徴とするレーザーマーキング用材
料。 樹脂成分(A):ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香
族ビニル単量体(b),シアン化ビニル単量体(c),
(メタ)アクリル酸エステル単量体(d),酸無水物系
単量体(e),マレイミド系単量体(f)から選ばれる
少なくとも1種の単量体を重合して得られるゴム強化ビ
ニル系樹脂 樹脂成分(B):上記単量体(b)〜(f)から選ばれ
る少なくとも1種の単量体を重合して得られる樹脂

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光照射に
よって成形品の樹脂表面に鮮明な黒色マーキングを呈す
ることができ、しかも成形加工性、成形品表面光沢およ
び各種物性に優れたレーザーマーキング用材料に関す
る。 【0002】 【従来の技術】成形品の樹脂表面への印刷技術として、
従来の印刷技術に代わってレーザーマーキングの利用が
増えている。レーザーマーキングとは、レーザー光のエ
ネルギーを利用することにより、樹脂表面の化学変化や
樹脂中の着色剤などの添加剤の化学変化によって、樹脂
表面の素地の色と区別できる文字、絵、記号などをマー
キングする技術である。しかし、これまでの技術では、
樹脂表面の化学変化を利用して黒色のマーキングを行う
と、文字のかすれ(茶色への変色)、不鮮明なマーキン
グなどの問題があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、レー
ザー光照射によって成形品の表面に鮮明な黒色マーキン
グを呈することが可能であり、しかも成形加工性(耐金
型汚染性)、成形品表面光沢(成形品外観)および各種
物性に優れたレーザーマーキング用材料を提供すること
にある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記構
成のレーザーマーキング用材料が提供されて、本発明の
上記目的が達成される。「(I)下記樹脂成分(A)お
よび(B)から選択される少なくとも1種からなり、か
つ下記単量体(a)〜(f)の全重合量中に占める下記
芳香族ビニル単量体(b)の重合量の割合が5〜100
重量%の範囲にある(ゴム強化)樹脂成分100重量
部、ならびに(II)レーザー光吸収剤0.0001〜3
0重量部を含有し、そして有機酸成分、オリゴマー成分
および残留揮発分の含有量の合計が3重量%以下である
ことを特徴とするレーザーマーキング用材料。 樹脂成分(A):ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香
族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)、
(メタ)アクリル酸エステル単量体(d)、酸無水物系
単量体(e)、およびマレイミド系単量体(f)から選
ばれる少なくとも1種の単量体を重合して得られるゴム
強化ビニル系樹脂 樹脂成分(B):上記単量体(b)〜(f)から選ばれ
る少なくとも1種の単量体を重合して得られる樹脂」 【0005】 【発明の実施の形態】本発明のレーザーマーキング用材
料に含有される(ゴム強化)樹脂成分は、下記樹脂成分
(A)および(B)から選択される少なくとも1種から
なり、かつ下記単量体(a)〜(f)の全重合量中に占
める下記芳香族ビニル単量体(b)の重合量の割合が5
〜100重量%の範囲にある。 樹脂成分(A):ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香
族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)、
(メタ)アクリル酸エステル単量体(d)、酸無水物系
単量体(e)、およびマレイミド系単量体(f)から選
ばれる少なくとも1種を重合して得られるゴム強化ビニ
ル系樹脂 樹脂成分(B):上記単量体(b)〜(f)から選ばれ
る少なくとも1種を重合して得られる樹脂 【0006】ゴム状重合体(a)としては、ポリブタジ
エン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、ブタジエン−アクリ
ロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合
体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
などの共役ジエン系(共)重合体、これら共役ジエン系
(共)重合体の水素添加物、エチレン−プロピレン−
(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1−
(非共役ジエン)共重合体、ポリウレタン系ゴム、アク
リル系ゴムおよびシリコーン系ゴムなどが挙げられる。
ゴム状重合体(a)は、1種単独で使用することも、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
これらの中で、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
ランダム共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジ
エン)共重合体、アクリル系ゴムおよびシリコーン系ゴ
ムが好ましい。これらのゴム状重合体は本発明の組成物
中に粒子状で存在するが、ラテックス状でゴム強化ビニ
ル系樹脂の製造に供されることが該樹脂の物性を向上さ
せるために好ましい。ゴム状重合体(a)のゲル分率
は、好ましくは40〜98重量%、さらに好ましくは5
0〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%であ
る。ゲル分率が少なすぎると、成形品表面の光沢に劣
る。一方、ゲル分率が多すぎると、耐衝撃性に劣る。な
お、ゴム状重合体(a)のゲル分率(トルエン不溶分)
は、ゴム状重合体1gをトルエン100ml中に加え、
48時間室温で放置したのち、100メッシュ金網でろ
過し、分散したろ液からトルエンを除去、乾燥してトル
エン可溶分(g)を求め、次式により算出できる。 トルエン不溶分(%)=〔1(g)−トルエン可溶分
(g)〕×100 【0007】また、ゴム粒径の異なる2種以上のゴム状
重合体(a)を用いると、さらに、耐衝撃性、物性バラ
ンスに優れる本発明のレーザーマーキング用材料が得ら
れる。なかでも、粒径50〜350nmと粒径400〜
800nmの少なくとも2種、特に平均粒径80〜30
0nmと平均粒径400〜700nmの少なくとも2種
の粒径の異なるゴム状重合体(a)を使用することが好
ましい。この場合、大きい粒径/小さい粒径の使用割合
は、5〜40/95〜60(重量比)、好ましくは5〜
35/95〜65(重量比)である。これらの粒径のゴ
ム状重合体は、全ゴム状重合体の60〜100重量%、
好ましくは80〜100重量%の割合で使用される。ゴ
ム粒径の異なる2種以上のゴム状重合体(a)を用いる
場合、2種以上のゴム状重合体(a)の存在下で単量体
を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂を樹脂成分
(A)として用いてもよいし、ゴム粒径の異なる2種以
上のゴム強化ビニル系樹脂を併用して樹脂成分(A)と
して用いてもよい。 【0008】上記ゴム状重合体(a)の存在下に単量体
を重合することにより、ゴム状重合体(a)を幹ポリマ
ーとして、これに該単量体の(共)重合体が枝ポリマー
として結合したグラフトポリマーが生成する。さらにグ
ラフトポリマーと共に幹ポリマーに結合していない遊離
の(共)重合体が生成し、これらの混合物としてゴム強
化ビニル系樹脂である樹脂成分(A)が得られる。以
下、上記重合をグラフト重合ともいう。また、特に断り
のない限り、グラフト共重合体は樹脂成分(A)を意味
する。 【0009】上記ゴム状重合体(a)の存在下にグラフ
ト重合する単量体は、芳香族ビニル単量体(b)、シア
ン化ビニル単量体(c)、(メタ)アクリル酸エステル
単量体(d)、酸無水物系単量体(e)およびマレイミ
ド系単量体(f)から選ばれる少なくとも1種の単量体
である。これら単量体は、1種単独であるいは2種以上
を組み合わせて用いることができる。上記芳香族ビニル
単量体(b)としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、p−ヒドロキシスチレ
ン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチ
レン、トリブロモスチレンなどの臭素化スチレン、クロ
ロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンな
どの塩素化スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムな
どが挙げられる。これらのなかで、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。 【0010】また、上記シアン化ビニル単量体(c)と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが
挙げられる。これらのなかで、アクリロニトリルが好ま
しい。また、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体
(d)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。こ
れらのなかで、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル
が好ましい。 【0011】また、上記酸無水物系単量体(e)として
は、無水マレイン酸などが挙げられる。さらに、上記マ
レイミド系単量体(f)しては、マレイミド、N−メチ
ルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマ
レイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリル
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチ
ルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェ
ニル)マレイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マ
レイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミ
ド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、トリブロ
モフェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどが挙げら
れる。これらのなかで、N−フェニルマレイミドが好ま
しい。なお、上記マレイミド系単量体の重合量が、単量
体総重合量の30〜60重量%を占めると、本発明のレ
ーザーマーキング材料の耐熱性が向上する。しかし、上
記マレイミド系単量体の含量が多すぎると、レーザーマ
ーキング性が劣る。 【0012】上記ゴム状重合体(a)に単量体をグラフ
ト重合する際の組成(重合後)は、ゴム状重合体(a)
5〜70重量%、好ましくは、20〜65重量%、さら
に好ましくは、30〜60重量%、単量体95〜30重
量%、好ましくは、80〜35重量%、さらに好ましく
は、70〜30重量%である。ここで、ゴム状重合体
(a)と単量体の合計量は100重量%である。ゴム状
重合体(a)成分が少なすぎるとレーザーマーキング用
材料の耐衝撃性が充分でなく、一方、多すぎると外観不
良や成形加工性の低下が生じ、黒色マーキングの鮮明度
が低下する傾向にある。 【0013】また、樹脂成分(A)のグラフト率は、好
ましくは10〜150重量%、さらに好ましくは20〜
130重量%、特に好ましくは30〜120重量%であ
る。樹脂成分(A)のグラフト率が少なすぎると、得ら
れるレーザーマーキング用材料の外観不良、耐衝撃強度
の低下が生じる。一方、多すぎると、成形加工性が劣
る。ここで、上記グラフト率(%)の測定法は後述の実
施例の項に詳しく記載した。 【0014】また、樹脂成分(A)のマトリックス樹脂
の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測
定)は、好ましくは、0.1〜1dl/g、さらに好ま
しくは、0.2〜0.9dl/gである。極限粘度
〔η〕が上記範囲であると、耐衝撃性、成形加工性(流
動性)に優れた本発明のレーザーマーキング用材料が得
られる。ここで、マトリックス樹脂とは、樹脂成分
(A)中のゴム状重合体(a)に結合していない樹脂成
分のことであり、上記極限粘度〔η〕は、樹脂成分
(A)のうち、マトリックス樹脂であるアセトン可溶分
を常法に従って測定することによって求めた値である。 【0015】一方、本発明の樹脂成分(B)は、芳香族
ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)、
(メタ)アクリル酸エステル単量体(d)、酸無水物系
単量体(e)およびマレイミド系単量体(f)から選ば
れる少なくとも1種の単量体を、ゴム状重合体(a)の
非存在下に、重合して得られる重合体である。 【0016】樹脂成分(B)の重合に用いられる単量体
である上記芳香族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル
単量体(c)、(メタ)アクリル酸エステル単量体
(d)、酸無水物系単量体(e)およびマレイミド系単
量体(f)は、樹脂成分(A)に用いられるものと同じ
ものが使用できる。なお、樹脂成分(B)の極限粘度
〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好
ましくは、0.1〜1dl/g、さらに好ましくは、
0.3〜0.9dl/gである。極限粘度〔η〕が上記
範囲であると、耐衝撃性、成形加工性(流動性)に優れ
た本発明のレーザーマーキング用材料が得られる。 【0017】本発明に用いられる樹脂成分(A)および
樹脂成分(B)は、公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重
合などにより製造できるが、好ましくは乳化重合により
製造する。例えば高級アルコールの硫酸エステル、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベン
ゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪
族スルホン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、パル
ミチン酸塩、ロジン酸塩などの高級脂肪族カルボン酸
塩、リン酸系などのアニオン性界面活性剤、ポリエチレ
ングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル
型などのノニオン系界面活性剤を乳化剤として使用し
て、乳化重合により製造した場合、通常、凝固剤により
生成物を凝固し、得られた粉末を水洗後、乾燥すること
により精製される。この凝固剤としては、好ましくは塩
化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、
塩化ナトリウムなどの無機塩を使用することができる。 【0018】重合時のラジカル開始剤としては、一般的
なものが使用できる。具体例としては、クメンハイドロ
パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパー
オキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニト
リル(AIBN)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイ
ト、t−ブチルパーオキシモノカーボネートなどが挙げ
られる。 【0019】代表的な樹脂成分(A)としては、ポリ
ブタジエン−スチレン−アクリロニトリルグラフト共重
合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重
合体−スチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、
アクリルゴム−スチレン−アクリロニトリルグラフト
共重合体などが挙げられる。また、代表的な樹脂成分
(B)としては、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル
共重合体(ST−AN−MMA共重合体)、スチレン−
メタクリル酸メチル共重合体(ST−MMA共重合
体)、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、ポ
リスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)な
どが挙げられる。なかでも、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体が好ましい。 【0020】また、本発明に用いられる樹脂成分(B)
であるスチレン−アクリロニトリル共重合体としては、
アクリロニトリル共重合量は15〜50重量%であるこ
とが好ましく、より好ましくは18〜40重量%、さら
に好ましくは20〜35重量%であり、極限粘度〔η〕
は0.3〜1dl/gであることが好ましく、より好ま
しくは0.4〜0.7dl/gである。 【0021】さらに、樹脂成分(A)および樹脂成分
(B)は、官能基含有ビニル系単量体が共重合したもの
であってもよい。この官能基としては、エポキシ基、水
酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、オキサゾリ
ン基などが挙げられる。具体的な官能基含有ビニル系単
量体としては、グリシジルメタクリレート、グリシジル
アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、ビニルオキサゾリンなどが
挙げられる。これらの官能基含有ビニル系単量体が共重
合することで、他の重合体との界面密着性(相溶性)を
高めることができる。これらの官能基含有ビニル系単量
体の共重合量は、上記(ゴム強化)樹脂成分中に、好ま
しくは0.1〜15重量%、より好ましくは、0.5〜
12重量%である。 【0022】本発明のレーザーマーキング用材料の(ゴ
ム強化)樹脂成分は、樹脂成分(A)、樹脂成分
(B)、あるいは樹脂成分(A)および樹脂成分(B)
からなる。なかでも、樹脂成分(A)を主成分とする場
合と、樹脂成分(A)および樹脂成分(B)を主成分と
する場合が好ましい。樹脂成分(A)および樹脂成分
(B)を主成分とする場合、樹脂成分(A)と樹脂成分
(B)の配合割合は、樹脂成分(A)が、好ましくは1
重量%以上、より好ましくは5〜60重量%、さらに好
ましくは10〜50重量%、樹脂成分(B)が、好まし
くは99重量%以下、より好ましくは95〜40重量
%、さらに好ましくは90〜50重量%である。ここ
で、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)との配合割合の合
計は100重量%である。このように樹脂成分(A)と
樹脂成分(B)とを併用した場合の(ゴム強化)樹脂成
分中のゴム状重合体(a)の含有量は、好ましくは5〜
30重量%、特に好ましくは8〜20重量%、さらに好
ましくは10〜15重量%である。ゴム状重合体(a)
の含有量が少な過ぎると、耐衝撃強度が低下し、一方、
多すぎると、流動性、剛性が低下する。 【0023】さらに、本発明のレーザーマーキング用材
料の(ゴム強化)樹脂成分は、単量体(a)〜(f)の
全重合量中に占める芳香族ビニル単量体(b)、好まし
くはスチレンの重合量割合が、5〜100重量%、好ま
しくは10〜85重量%、より好ましくは20〜80重
量%の範囲にある。単量体(b)の重合量が上記範囲で
あることにより、鮮明なマーキングが可能になる。ま
た、(メタ)アクリル酸エステル単量体(d)の重合
量、好ましくはメチルメタクリレートの重合量は、単量
体(a)〜(f)の全重合量中に占める割合が0〜40
重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0
〜35重量%、さらに好ましくは0〜30重量%の範囲
である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(d)の重
合割合が上記範囲を満たすことにより、一層鮮明なマー
キングが可能になる。 【0024】次に、本発明に用いられるレーザー光吸収
剤について説明する。レーザー光吸収剤は、レーザー光
を吸収して光を熱エネルギーに変換し、発生した熱によ
り樹脂表面を炭化させ印字するための化合物である。レ
ーザー光吸収剤は、レーザーマーキング用材料の(ゴム
強化)樹脂成分100重量部に対して、0.0001〜
30重量部、より好ましくは、0.0005〜20重量
部、さらに好ましくは、0.0005〜10重量部配合
される。レーザー光吸収剤の配合割合が少なすぎると、
レーザーマーキングの鮮明性に劣り、一方多すぎると、
耐衝撃性および成形品外観に劣る。 【0025】レーザー光吸収剤として、具体的に、カー
ボンブラック、黒色酸化鉄、チタンブラックなどの黒色
系化合物を挙げることができる。上記黒色系化合物は、
波長−反射率曲線で表すと、400〜700nmの波長
の全領域に対して、反射率が10%以下、好ましくは5
%以下のものである。すなわち、この400〜700n
mの全領域の波長の光を吸収するものが、黒色系化合物
成分である。上記黒色系化合物のうち、カーボンブラッ
クとしては、アセチレンブラック、チャネルブラック、
ファーネスブラックなどのいずれも使用可能である。カ
ーボンブラックの好ましい粒径は、10〜80nm、さ
らに好ましくは、12〜40nmである。粒径が小さい
方が樹脂中での分散性が良く、レーザーマーキング発色
性が良好である。また、黒色系化合物である黒色酸化鉄
は、Fe34やFeO・Fe23で表される黒色の鉄酸
化物である。黒色酸化鉄の好ましい粒径は、0.3〜
0.8μm、さらに好ましくは、0.4〜0.6μmで
あり、その形状としては、球状、立方状、針状などのい
ずれも使用できるが、立方状が好ましい。さらに、黒色
系化合物であるチタンブラックは、二酸化チタンを還元
することによって得られる化合物である。チタンブラッ
クの好ましい粒径は、0.1〜60μm、さらに好まし
くは、1〜20μmである。これらの黒色系化合物は、
1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。 【0026】さらに、レーザー光吸収剤として、上記黒
色系化合物に代えてあるいは組み合わせて下記金属含有
化合物(以下、単に「金属含有化合物」という)などを
用いることができる。好ましい上記金属としては、ビス
マス、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銅、チタン、ケイ
素、コバルト、鉄などが挙げられ、好ましい金属含有化
合物としてこれらの金属の酸化物、炭酸塩、水酸化物、
有機カルボン酸塩などが挙げられる。上記金属含有化合
物の具体例として、酸化ビスマス、ギ酸ニッケル、ホウ
酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、リン酸系亜鉛、ケイ酸カル
シウム、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、塩基性
酢酸ビスマス、水酸化ニッケル、ショウ酸銅、塩基性炭
酸銅、炭酸カルシウム、チオシアン酸銅、クエン酸銅、
シュウ酸鉄、酸化チタンなどが挙げられる。このような
金属含有化合物を配合することでより優れた黒色発色を
得ることができる。これらの金属含有化合物は、1種単
独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。これらの金属含有化合物を上記黒色系化合物と組み
合わせる場合は、これらの合計量がレーザー光吸収剤に
関して既に述べた量割合で配合される。 【0027】本発明のレーザーマーキング用材料中に含
有される有機酸成分、オリゴマー成分および残留揮発分
(以下、これらを総称して「低分子量成分」ともいう)
の合計量は、3重量%以下、好ましくは2.5重量%以
下、より好ましくは2重量%以下である。このように材
料中の低分子量成分の量を低減することにより、レーザ
ー光照射後の発色性、鮮明性に優れ、金型汚染性、耐熱
性にも優れる結果となる。低分子量成分の含有量が多い
場合は、レーザー照射後の発色性、鮮明性に劣り、金型
汚染性、耐熱性にも劣る。さらに、成型汚染性に劣る
と、成形品表面への金型転写性が劣り、外観的にも好ま
しくない。 【0028】本発明のレーザーマーキング用材料中の有
機酸成分の含有量は、好ましくは2重量%以下、より好
ましくは1.7重量%以下、さらに好ましくは1.5重
量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。有機酸
成分の含有量が多いと、金型成形面の汚染が発生する。
なお、本発明において、有機酸成分は、オレイン酸、ス
テアリン酸およびパルミチン酸の内の少なくともいずれ
かを示すものと定義される。上記有機酸は、例えば、ゴ
ム強化ビニル系樹脂の原料として使用されるゴム状重合
体(a)をラテックス状に保持するための乳化剤やゴム
強化ビニル系樹脂の製造時に使用される乳化剤などの乳
化剤成分が、ゴム強化ビニル系樹脂の製造時に使用され
る硫酸塩などの無機酸からなる凝固剤により乳化剤成分
から遊離して有機酸となりゴム強化ビニル系樹脂中に存
在するもの、乳化剤としての機能を喪失させる硫酸マグ
ネシウムなどの凝固剤により乳化剤成分から遊離や加水
分解などにより有機酸となり、ゴム強化ビニル系樹脂中
に存在するもの、そのほか、各種原料に主剤または不純
物として含有される有機酸またはその誘導体、安定剤ま
たは滑剤として用いられる有機酸が挙げられる。上記有
機酸含有量を本発明の範囲内にする方法としては、乳化
重合法で得られた有機酸またはその誘導体を含有する乳
化剤が存在するゴム強化ビニル系樹脂のラテックスから
ゴム強化ビニル系樹脂の粉体を回収する凝固工程で、例
えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カル
シウムなどの無機塩を用いる方法、または有機酸含有量
の高いゴム強化ビニル系樹脂の粉体をアルカリ洗浄する
方法が挙げられる。この場合、凝固工程の段階やアルカ
リ処理での、温度、水量、処理時間、凝固剤量、凝固剤
の混合物方法、攪拌方法、アルカリ物質の濃度などの条
件を適宜選択することで、有機酸含有量を上記範囲に低
減することができる。 【0029】また、本発明のレーザーマーキング用材料
は、オリゴマー成分の含有量が2重量%以下であること
が好ましく、より好ましくは1.7重量%以下、さらに
好ましくは1.2重量%以下である。オリゴマー成分の
含有量が上記範囲であると、さらに効率良く金型成形面
の汚染が防止され、転写性の良好な成形品が得られると
ともに、耐熱性に優れる。オリゴマー成分は、樹脂成分
(A)、樹脂成分(B)を製造する際の重合中に生成す
る。このオリゴマー成分は、これらの重合に使用される
単量体のダイマーおよびトリマーである。オリゴマー成
分の含有量を上記範囲内にする方法としては、例えば重
合時の温度を下げる、重合時の単量体組成をアゼオトロ
ープ組成(例えばスチレン/アクリロニトリル=75/
25:重量比)に近づけるなどの方法が挙げられる。さ
らに、樹脂成分(B)の重合の際、熱重合によるよりも
触媒を用いた重合を行う方が、オリゴマー成分の生成が
少なく好ましい。これらの方法を適宜組み合わせること
により、重合時のオリゴマー成分の生成を抑制すること
ができ、本発明の組成物中のオリゴマー成分の含有量を
上記の好ましい範囲内に低減することができる。 【0030】本発明のレーザーマーキング用材料中の残
留揮発分の含有量は、好ましくは1.5重量%以下、よ
り好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重
量%以下である。残留揮発分量が上記範囲内であると、
レーザー光照射後の鮮明性、耐熱性に優れ、金型汚染性
も良好となる。これにより転写性の良好な成形品が得ら
れるとともに、揮発分に由来するシルバーなどの外観不
良も低減される。材料中の残留揮発分量を上記の好まし
い範囲に低減するには、適切な重合温度、開始剤量、重
合時間などを適宜組み合わせることにより、重合転化率
を高める方法、重合後に残留揮発分を例えば水蒸気蒸留
により回収する方法、重合後に残留し難い重合助剤、例
えば分子量調節剤を選択する方法などにより達成するこ
とができる。ここで、残留揮発分の具体例としては、揮
発性のスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル
酸エステルなどの単量体、単量体中に含有されるトルエ
ン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどの不純
物、ターピノーレンなどの分子量調節剤を挙げることが
できる。ただし、本発明においては水分は揮発分として
取扱わないものとする。 【0031】なお、有機酸成分、オリゴマー成分および
残留揮発分の含有量は、下記実施例に示された方法で測
定することができる。 【0032】本発明のレーザーマーキング材料は、その
成形品表面をレーザー光で照射することで、照射部分に
黒色に発色させることが可能である。ここで、レーザー
光としては、He−Ne、Arレーザー、CO2レーザ
ー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、YAGレー
ザーなどの固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザ
ーなどが挙げられ、なかでも、CO2レーザー、エキシ
マレーザー、YAGレーザーが好ましい。 【0033】本発明のレーザーマーキング材料の成形表
面をレーザー光で照射すると、レーザー光照射部分は、
通常、未照射部分よりやや盛り上がる。この照射部分の
好ましい盛り上がり高さは、1〜100μm程度である
が、10〜80μm程度が、レーザーマーキング発色、
照射(文字)部分の認識が鮮明で好ましい。また、この
文字高さを利用して、点字用の成形品を作製することも
可能である。 【0034】本発明のレーザーマーキング材料には、必
要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、
タルク、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、
酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなど
の充填材を、1種単独でまたは2種以上併用することが
できる。これらの充填材を配合することで、本発明のレ
ーザーマーキング材料に剛性を付与することができる。
また、タルクを配合することで、本発明のレーザーマー
キング材料に艶消し性を付与することができる。これら
の充填材の配合量は、本発明に用いられる(ゴム強化)
樹脂成分100重量部に対し、好ましくは、50重量部
以下、さらに好ましくは、30重量部以下である。充填
材の配合量が多すぎると、レーザーマーキング性が損な
われる。 【0035】また、本発明のレーザーマーキング材料に
は、公知のカップリング剤、耐候剤、酸化防止剤、可塑
剤、滑剤、レーザー光吸収剤以外の着色剤、帯電防止
剤、シリコーンオイルなどの添加剤を配合することがで
きる。このうち、耐候剤としては、リン系、イオウ系の
有機化合物、水酸基を含有する有機化合物が好ましい。
また、帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基
を有するスルホン酸塩などが挙げられる。これらの添加
剤の好ましい配合量は、本発明のレーザーマーキング用
材料に用いられる(ゴム強化)樹脂成分100重量部に
対して、0.1〜10重量部、さらに好ましくは、0.
5〜5重量部である。 【0036】さらに、本発明のレーザーマーキング材料
には、要求される用途に応じて、他の熱可塑性樹脂・熱
硬化性樹脂などの他の重合体を配合することができる。
ここで、他の重合体としては、ポリカーボネート、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニ
レンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミ
ドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエー
テルエステルアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
ノボラック樹脂などが挙げられる。これらのなかで、ポ
リカーボネート、ポリブチレンテレフタレートなどを配
合すると、レーザーマーキング性発色をより鮮明にする
ことができる。これらの他の重合体の配合量は、(ゴム
強化)樹脂成分100重量部に対し、好ましくは1〜1
50重量部、より好ましくは5〜100重量部である。
また、上記他の重合体のうち、ポリアミドエラストマ
ー、ポリエーテルエステルアミドなどを配合すること
で、永久帯電防止性を付与することが可能である。この
際の好ましい配合量は、(ゴム強化)樹脂成分100重
量部に対し、1〜30重量部、さらに好ましくは、2〜
20重量部である。 【0037】さらに、本発明のレーザーマーキング材料
に難燃性を付与するために、難燃剤を配合することもで
きる。難燃剤としては、ハロゲン系化合物、有機リン系
化合物、窒素系化合物、金属水酸化化合物、アンチモン
化合物などを、単独あるいは併用して使用することがで
きる。 【0038】このうち、ハロゲン系化合物としては、テ
トラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノ
ールAのオリゴマー(末端がエポキシ基、トリブロモフ
ェノールなどで封止してあっても良い)、臭素化ポリス
チレン、後臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネー
トオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA、トリブ
ロモフェノキシエタン、塩素化ポリスチレン、脂肪族塩
素化合物などが挙げられる。なかでも、テトラブロモビ
スフェノールAのオリゴマーが好ましい(好ましい分子
量は、1,000〜6,000程度である)。また、ハ
ロゲン系化合物中の臭素などのハロゲン原子濃度は、好
ましくは、30〜65重量%、さらに好ましくは、45
〜60重量%である。 【0039】また、有機リン系化合物としては、トリフ
ェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ト
リクレジルホスフェート、トリキシレニルチオホスフェ
ート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、トリフェニルホスフェートのオリゴマーなどが挙
げられる。なかでも、トリフェニルホスフェート、トリ
キシレニルホスフェート、レゾシノールビス(キシレニ
ルホスフェート)が好ましい。有機リン系化合物の好ま
しいリン濃度は、4〜30重量%、さらに好ましくは、
6〜25重量%である。さらに、窒素系化合物として
は、トリアジン、メラミン等である。さらに、金属水酸
化化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウムなどが使用できる。さらに、アンチモン化合物と
しては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが使
用できる。 【0040】以上の難燃剤の配合量は、本発明に用いら
れる(ゴム強化)樹脂成分100重量部に対し、好まし
くは1〜50重量部、より好ましくは2〜30重量部、
さらに好ましくは5〜25重量部である。難燃剤の配合
量が少なすぎると、難燃性の付与効果が不充分であり、
一方、多すぎると、耐衝撃性、レーザーマーキング性が
劣る。 【0041】本発明のレーザーマーキング材料は、各種
押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールな
どで、好ましくは160℃〜300℃の温度範囲で各成
分を混練りすることによって得ることができる。混練り
するに際しては、各成分を一括混練りしてもよく、また
任意の成分を混練りしたのち、残りの成分を添加し混練
りする多段分割混練り法を採用することもできる。好ま
しい混練り法は、押出機で行う方法であり、押出機とし
ては、二軸同方向回転押出機が特に好ましい。なお、例
えば(ゴム強化)樹脂成分として樹脂成分(A)と樹脂
成分(B)とを併用する場合、あらかじめ樹脂成分
(A)と樹脂成分(B)をブレンドして調製した樹脂成
分にレーザー光吸収剤やその他の成分を溶融混練りして
もよい。また、これらの成分を同時に溶融混練りしても
よく、さらにはこれらの成分を任意の割合で多段階で溶
融混練りしてもよい。このように、樹脂成分(A)と樹
脂成分(B)とを併用する場合に限らず、各種の成分の
混合方法には各種のバリエーションがあり、適切に選択
して本発明のレーザーマーキング用材料を調製すること
ができる。 【0042】本発明のレーザーマーキング材料は、射出
成形、シート押し出し成形、真空成形、異形押し出し、
発泡成形などによって、各種成形品に成形することがで
きる。上記成形法によって、OA製品、家電製品、車両
用途などのボタン、ハウジング、スイッチなどの成形品
を得ることができる。また、建築材料として、敷居、窓
枠、手すり材料などにも使用できる。これらの製品表面
をレーザー光照射することで、明確な黒色を発色させる
ことができる。また、レーザーマーキングで発色させた
文字部分は、印刷した文字部分よりも、耐候性が優れ、
かつ、耐摩耗性にも優れるので、印刷よりも遙かに実用
上好ましい。 【0043】 【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に何ら制約されるもので
はない。なお、実施例中、部および%は特に断らないか
ぎり重量基準である。また、実施例中の各種の測定項目
は、下記に従った。 【0044】(1)平均粒子径 あらかじめ乳化状態で合成したラテックスの粒子径がそ
のまま樹脂中の分散粒子の粒子径を示すことを電子顕微
鏡で確認したので、ラテックス中の分散粒子の粒子径を
光散乱法で測定した。測定機器は、大塚電子(株)製、
LPA−3100を使用し、70回積算でキュムラント
法を用い、粒子径を測定した。 【0045】(2)グラフト率 乾燥試料1gを精秤採取し、これにアセトン20ccを
加え、10時間振とうさせ、その後回転数20,000
rpmの遠心分離機を用いて、アセトン可溶分と不溶分
とに分離し、不溶分を真空乾燥機で乾燥し、不溶分
(X)を得る。一方、重合組成と重合転化率から不溶分
(X)中のゴム量(R)を算出し、次式よりグラフト率
(%)を求める。 グラフト率=〔(X)−(R)〕100/(R) (3)極限粘度〔η〕 樹脂成分(A)の場合は、上記グラフト率測定法におけ
るアセトン可溶分を真空乾燥機を用いて乾燥したもの
を、樹脂成分(B)の場合は試料をそのまま、溶媒であ
るメチルエチルケトンに溶解し、30℃の温度条件によ
り、ウベローデ型粘度計で測定した。 【0046】(4)有機酸含有量 (ゴム強化)樹脂成分(乾燥品)を溶媒(1,4−ジオ
キサン)に溶解させた後、含有される有機酸をジアゾメ
タンでメチルエステル化し、下記水素炎イオン化検出器
を備えたガスクロマトグラフィーを用いて有機酸含有量
(%)を測定した。 ・装置:柳本ガスクロマトグラフ G−3810 ・カラム:G−205 2μm ・温度:カラム 200℃−5℃/min−290℃ (5)オリゴマー成分含有量 (ゴム強化)樹脂成分(乾燥品)をメチルエチルケトン
に溶解した後、n−ペンタンでポリマー分を再沈し、そ
の上澄み液を下記ガスクロマトグラフィーにて分析し、
ダイマー、トリマーの合計から、オリゴマー成分含有量
(%)を定量した。 ・装置:島津ガスクロマトグラフ GC−14 ・カラム:TC−5 0.53mm×30m ・温度:カラム 130℃−7.5℃/min−160
℃ (6)残留揮発分含有量(TVM) (ゴム強化)樹脂成分(乾燥品)を内部標準物質(n−
ブチルベンゼン)を含む溶媒(ジメチルホルムアミド)
に溶解し、下記ガスクロマトグラフィーによる分析結果
から材料中に残留する総揮発分量を測定した。 ・装置:島津ガスクロマトグラフ GC−14 ・カラム:CP Wax−52CB 0.53mm×1
00m×2μm ・温度:カラム 130℃ 【0047】(7)レーザーマーキング性(文字鮮明
性、発色性) 成形品表面を、ROFIN社製のレーザーマーカー(3
0W仕様、YAGレーザー光)を用いて、波長1064
nmにてマーキングし、発色性、鮮明性を以下のように
判断した。ただし、発色性は、ベース色に対するレーザ
ーマーク部の色差△E(日本電色工業(株)製ミクロ反
射率計を用いて測定)に基づき判断した。 ○:良好(目的とする色調(黒)の文字が鮮明に発色
し、かつ、△Eが60以上の場合) △;良(目的とする色調(黒)の文字が得られ、△Eが
40〜60の場合) ×;劣る(目的とする色調(黒)の文字が得られない、
または、△Eが40以下の場合) (8)耐金型汚染評価 円板(半径5cm、厚み2mm)の金型を用い、500
ショット成形した後の、金型への粘稠付着物の有無を目
視にて判定した。判定結果を、下記の基準で示した。 ○:付着物なし ×:付着物あり 【0048】(9)成形品外観 成形品表面に、シルバー、転写ムラ、表面荒れなどの不
良現象がないかどうかを目視にて判定した。判定結果を
下記の基準で示した。 ○:不良なし ×:不良あり (10)アイゾット衝撃強度(IMP) ASTM D256に準拠し、肉厚1/4″、23℃、
ノッチ付きの試験条件で測定した。 (11)熱変形温度 ASTM D648に準じて測定した。 【0049】参考例1〔ゴム状重合体(a)〕 ゴム状重合体(a)として、表1に記載のポリブタジエ
ンラテックスを使用した。これらのポリブタジエンラテ
ックスは、乳化剤としてロジン酸カリウム、ステアリン
酸カリウムおよびパルミチン酸カリウムを用いて製造し
たものである。 【0050】 【表1】 【0051】参考例2〔樹脂成分(A)、ABS−1〜
4およびMBS−1〜2の調製〕 ゴム状重合体(a)、単量体としてスチレン、アクリロ
ニトリルおよびメチルメタクリレート、乳化剤としてロ
ジン酸カリウムを用いて、乳化重合を行い、表2に示す
グラフト共重合体(ABS−1〜4およびMBS−1〜
2)のラテックスを得た。これらのラテックスからのグ
ラフト共重合体(樹脂成分(A))の回収は凝固剤とし
て硫酸マグネシウムを用いてグラフト共重合体を析出
し、遠心分離機を用いて脱水した後、充分に水洗と乾燥
を行い、グラフト共重合体粉末(ABS−1〜4および
MBS−1〜2)を得た。グラフト共重合体粉末(AB
S−1〜4およびMBS−1〜2)のグラフト率、有機
酸含有量、オリゴマー成分含有量、残留揮発分量を表2
に示す。 【0052】参考例3〔樹脂成分(B)、AS−1〜2
の調製〕 スチレンおよびアクリロニトリルを用いて、溶液重合で
表2に示す共重合体(AS−1〜2)溶液を得た。共重
合体溶液は、ベント付き押出機を用いて、溶媒の除去と
共重合体のペレット化を行い、共重合体(AS−1〜
2)のペレットを得た。共重合体(AS−1〜2)のペ
レットの極限粘度、オリゴマー成分含有量、残留揮発分
量を表2に示す。 【0053】 【表2】 【0054】実施例1、比較例1〜4 上記で調製した各樹脂成分およびレーザー光吸収剤とし
てのカーボンブラック(三菱化学(株)製カーボンブラ
ック#45)を、表3に示す配合割合でヘンシェルミキ
サーにより3分間混合した後、ナカタニ機械(株)製の
NVC型50mmベント付き押出機でシリンダー設定温
度180〜220℃で溶融押出しし、レーザーマーキン
グ用材料であるペレットを得た。得られたペレットを充
分に乾燥し、(株)日本製鋼所製の射出成形機J100
E−C5を用い、シリンダー温度200℃、金型温度5
0℃で射出成形し、各種評価用試験片を得た。この試験
片を用い、上記評価法で評価した。評価結果を表3に示
す。 【0055】 【表3】【0056】表3に示される結果より、以下のことが明
かである。実施例1〜3のレーザーマーキング用材料は
良好な黒文字発色性を示し、成形品外観、耐金型汚染
性、熱変形温度、耐衝撃強度に優れる。他方、比較例1
は、レーザー光吸収剤を添加しない場合であり、鮮明な
文字が得られない。また、比較例2は、レーザー光吸収
剤添加量が本発明の範囲を超えた場合であり、成形品外
観の悪化、衝撃強度の低下が認められる。比較例3は、
低分子量成分の含有量が本発明の範囲を超えた場合であ
り、鮮明な文字が得られず、耐金型汚染性の低下が認め
られる。 【0057】 【発明の効果】本発明のレーザーマーキング用材料は、
レーザー光照射によって成形品の樹脂表面に鮮明な黒色
マーキングを呈することが可能であり、しかも成形加工
性(耐金型汚染性)、成形品外観および耐衝撃性に優れ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 55/02 C08L 55/02 Fターム(参考) 4E068 AB00 DB07 DB10 4J002 BC021 BC031 BC041 BC061 BC071 BC081 BC091 BC111 BC121 BG041 BG051 BG061 BG101 BG111 BH011 BH021 BN131 BN141 BN151 BN161 DA036 DA116 DE116 FD206 GC00 GS00 GT00

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (I)下記樹脂成分(A)および(B)
    から選択される少なくとも1種からなり、かつ下記単量
    体(a)〜(f)の全重合量中に占める下記芳香族ビニ
    ル単量体(b)の重合量の割合が5〜100重量%の範
    囲にある(ゴム強化)樹脂成分100重量部、ならびに
    (II)レーザー光吸収剤0.0001〜30重量部を含
    有し、そして有機酸成分、オリゴマー成分および残留揮
    発分の含有量の合計が3重量%以下であることを特徴と
    するレーザーマーキング用材料。 樹脂成分(A):ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香
    族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)、
    (メタ)アクリル酸エステル単量体(d)、酸無水物系
    単量体(e)、およびマレイミド系単量体(f)から選
    ばれる少なくとも1種の単量体を重合して得られるゴム
    強化ビニル系樹脂 樹脂成分(B):上記単量体(b)〜(f)から選ばれ
    る少なくとも1種の単量体を重合して得られる樹脂
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