JP2003145931A - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

可逆性感熱記録媒体

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JP2003145931A JP2001351815A JP2001351815A JP2003145931A JP 2003145931 A JP2003145931 A JP 2003145931A JP 2001351815 A JP2001351815 A JP 2001351815A JP 2001351815 A JP2001351815 A JP 2001351815A JP 2003145931 A JP2003145931 A JP 2003145931A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可逆性感熱記録媒体の書き換えの際の繰り返
しの熱処理により、記録層が劣化せず鮮明な画像が得ら
れ、使用時の耐久性が充分な可逆性感熱記録媒体とする
ことである。 【解決手段】 ポリオール系樹脂およびその架橋剤であ
るイソシアネート系化合物を含有する母材中に、発色性
を温度によって可逆的に変化する化合物を分散させた材
料で記録層を設け、この記録層の熱処理温度条件により
可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録媒体に
おいて、前記記録層の貯蔵弾性率が、100℃以上の雰
囲気下の周波数1Hzにおける動的測定条件で0.1〜
100MPaの範囲になるように母材を架橋させた可逆
性感熱記録媒体とする。母材を架橋して粘弾性率を高め
ているので、繰り返し熱処理をして書き換えを行っても
記録層が劣化せず、コントラストの低下や細かなキズの
発生がなく、カールも起こり難い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、可視画像を繰り
返し表示したり、または消去することができる可逆性感
熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリペイドカードその他の情報
の記録媒体として磁気カードやICカードなどが使用さ
れているが、記録されている情報の内容が直接に目で見
て確認できないため、使用者が支払い金額や残額を簡単
にチェックできず、カードの内容保証の点で問題があ
る。
【0003】このような問題点に鑑みて、記録媒体の表
面に画像で情報を適宜に表示したり、消去したりするも
のが知られている。そのうち、色素を使って発色させた
着色画像を表示する記録媒体は視認性が良いものであ
る。
【0004】着色または非着色の画像を可逆的に形成す
る色素として、分子構造内にラクトン環をもち、電子放
出によるラクトン環の開環という分子構造の変化により
発色を示す電子供与性呈色性化合物(いわゆるロイコ染
料)があり、これを配合した感熱記録材料がある。
【0005】例えば、特開平2−188293号、特開
平2−188294号に開示されている可逆性感熱記録
材料は、ロイコ染料と共に顕減色剤として酸・塩基化合
物とバインダーを成分とする記録材料である。このもの
は、酸と塩基の反応速度の違いを利用して発消色をくり
返すことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、記録層を形成
する材料として、熱可塑性樹脂からなる母材に電子供与
性化合物、すなわちロイコ染料を用いた発色型記録材料
は、今までの可逆性感熱記録材料である透明/白濁方式
に比べて、画像を書き換える際に高温で長時間の熱処理
を必要とし、書き換えによって記録層の母材が熱変性を
起こして劣化し、画像のコントラストが低下したり、記
録層の表面に細かなキズが発生したり、カール(歪曲変
形)が起こる場合があり、使用耐久性が充分に得られな
かった。
【0007】このような問題は、記録層の上に保護層を
設けて間接的に加熱された場合でもほぼ同様に起こるこ
とである。
【0008】このような問題に対処できるように、発色
型記録材料の記録層の強度を向上させる対策としては、
特開平5−124360号に、記録層内に紫外線や電子
線の照射により架橋する樹脂を添加する方法が提案され
ている。
【0009】しかし、架橋樹脂を直接に添加すると、記
録層側へのカールやカード打ち抜き時にバリ等が発生す
るという問題が起きる。
【0010】そこで、この発明の課題は、上記した従来
技術における問題点を解決し、発色型記録材料を用いた
可逆性感熱記録媒体において、所要温度の書き換え操作
を繰り返し行なっても鮮明な画像が得られるよう耐久性
のある可逆性感熱記録媒体とすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、熱可塑性樹脂からなる母材中
に電子供与性色素前駆体と電子受容性化合物を分散させ
た材料で記録層を設け、この記録層の熱処理温度条件に
よって可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録
媒体において、前記記録層の貯蔵弾性率が、100℃以
上の雰囲気下の周波数1Hzにおける動的測定条件で
0.1〜100MPaの範囲になるように前記母材を架
橋させたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体としたの
である。
【0012】上記した可逆性感熱記録媒体は、前記記録
層の貯蔵弾性率が、所定の範囲になるように前記熱可塑
性樹脂母材を架橋して粘弾性率を高めているので、繰り
返し熱処理をして書き換えを行なっても記録層の劣化に
よるコントラストの低下や細かなキズの発生がなく、記
録媒体にカールが起こり難い。
【0013】また、上記の可逆性感熱記録媒体におい
て、母材が、ポリオール系樹脂およびその架橋剤である
イソシアネート系化合物を含有することが好ましい。こ
のようにすると、母材が充分に軟らかく弾性のある樹脂
となり、耐熱性および物理的な強度共に、繰り返し書き
換えの耐久性に優れたものになる。
【0014】また、可逆性感熱記録媒体は、母材が、二
種以上の樹脂と架橋剤の混合物からなることが好まし
い。二種以上の樹脂を取り合わせると、弾性率の調整の
幅が広がり、また一種または二種以上の樹脂の架橋性を
調節するので、多様な調節が可能になり、弾性率を適当
な範囲に調節しやすいからである。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明では、可逆性感熱記録媒
体の積層構成のうち、記録層を構成する母材(高分子バ
インダーとも呼ばれる。)として熱可塑性樹脂を採用
し、その架橋剤を配合する。
【0016】母材としての樹脂は、水酸基、アミノ基、
カルボキシル基などをもつ樹脂なら何でも良いが、特に
アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウ
レタンポリオール樹脂が、透明性や製膜性が良好で耐熱
性の高いので好ましく、架橋剤としては、イソシアネー
ト系化合物を採用することが好ましい。
【0017】なお、一般的な熱架橋性樹脂であるフェノ
ール樹脂やメラミン樹脂などは焼き付け温度が高く、長
時間にわたり、リライト特性に影響がでてしまうので、
好ましいものではない。
【0018】またイソシアネート系化合物(架橋剤)と
しては、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、トル
エンジイソシアネートが好ましい。記録層は単独の樹脂
で構成されるものでもいいし、複数の樹脂から構成され
るものでも良い。複数の樹脂としては上記の熱可塑性樹
脂が挙げられる。
【0019】リライトカードのような可逆性感熱記録媒
体として使用するためには、繰り返し耐久性が必要とさ
れるが、通常の熱可塑性樹脂では硬度、剛性などが不足
していて充分に満足できるものではない。
【0020】そこで、繰り返し耐久性を増すために、記
録層内と高分子バインダーを架橋するが、架橋には熱・
紫外線・電子線などを利用する手段があるが、電子供与
性化合物(ロイコ染料)を用いた記録材料では、記録層
に紫外線や電子線があたるとそのエネルギーでロイコ染
料が分解され、地肌が変色する現象が起こる。そのため
熱架橋を採用することが好ましい。
【0021】また、一般に橋掛け架橋することでポリマ
ーの特性として、ガラス転移温度(Tg)および弾性率
の数値が上昇することが多い。通常の樹脂では、その弾
性率は0.01KPa〜10MPa程度であり、架橋す
ることで0.1MPaから高いものは1000MPa程
度になる。
【0022】この発明では、架橋後の記録層樹脂の貯蔵
弾性率が、100℃以上の雰囲気下で周波数1Hzにお
ける動的測定で0.1〜100MPaの範囲にあるよう
に、熱可塑性樹脂の架橋密度を調節する。架橋密度は、
架橋剤量と、加熱処理の温度および時間を調節するなど
して行なうことができる。
【0023】架橋密度を調節せずに貯蔵弾性率が、上記
の範囲未満になれば、印字・消去の加熱の際に記録層に
劣化がおこり、キズや消去不良が発生し繰り返しの使用
に耐えられなくなる。また、貯蔵弾性率が、上記の範囲
を超えて高くなると、記録材にカールが発生したり、カ
ードとして加工するときにバリが発生したり、折り曲げ
時に剥離が起こる。動的な貯蔵弾性率の測定は、JIS
K7198に基づいて行なうことが好ましい。
【0024】この発明で用いる電子供与性化合物(色素
前駆体)は、分子構造中にラクトン環部分を有する以下
に列挙のロイコ染料が用いられる。
【0025】クリスタルバイオレットラクトン、3−
(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4
−アザフタリド、3、3−ビス(1−エチル−2−メチ
ルインドール−3−イル)フタリド等のフタリド化合
物、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニ
リノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ
エチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)
−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオ
ラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−クロロ−7−アニリノフルラン、3−メチル
プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノ
フルオランなどのフルオラン化合物が挙げられる。
【0026】この発明で用いられる電子受容性化合物
は、以下のような化合物が挙げられる。炭素数6以上の
脂肪族基を持つ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化
合物またはフェノール化合物、好ましくは炭素数12以
上の脂肪族基を一つ有するフェノール性化合物である。
【0027】具体的には、ドデシルホスホン酸、テトラ
デシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデ
シルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、α−ヒドロキ
シデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒド
ロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン
酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエ
イコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキ
シテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α
−ヒドロキシオクタコサン酸等である。
【0028】フェノール化合物としては、4′−ヒドロ
キシ−4−オクタデシルベンズアニリド、N−オクタデ
シル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(4−ヒドロ
キシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、4−ヒドロ
キシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジドなどが挙
げられる。
【0029】上述した電子供与性化合物と電子受容性化
合物は、高分子バインダーに対して溶解もしくは分散さ
せ、これをPET、紙などの支持体に対して塗布および
乾燥させて記録層を形成する。その際の配合は、ロイコ
染料10重量部に対して電子受容性化合物は10〜10
0重量部とし、好ましくは20〜50重量部とする。ま
た、主に母材を構成する樹脂(バインダー)は、10〜
200重量部、好ましくは20〜100重量部である。
このようなバインダーは、OH価に合わせたイソシアネ
ートを含んでいるものを採用できる。
【0030】また、この発明では記録層上に、繰り返し
耐久性やサーマルヘッドとのマッチング性の向上のため
に保護層を設けることができ、保護被膜としてはポリエ
チレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフ
ォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、
ポリイミド、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬
化樹脂などの耐熱性の高い樹脂が好ましい。
【0031】この発明の可逆性感熱記録媒体を製造する
工程を以下に説明する。
【0032】まず、電子供与性化合物および電子受容性
化合物とバインダーとを、トルエンやメチルエチルケト
ン(MEK)などの有機溶剤中で溶解および分散し、さ
らに架橋剤を加えて塗工液を調整する。
【0033】この塗工液を支持体にコーティングして乾
燥して記録層を形成し、さらに架橋のための熱処理を行
なう。前記乾燥は、加熱して行なう場合に架橋処理を兼
ねても良い。
【0034】前記したコーティングは、通常、ロール状
の支持体を用いて行うことが多いが、コーティング後に
ロール状支持体で高温に加熱して熱架橋を行うと、媒体
がロールに沿って変形(カール)して元の平面形状に戻
らなくなり、これを素材としてカード状記録媒体を作製
した際にカールの原因となってしまう。記録媒体がカー
ルすると、安定した印字や消去ができなくなり、カード
状記録媒体を読み書きする装置内で走行不良も見られる
ようになる。
【0035】このような理由で熱架橋のエージングは、
低温下で長時間行うことが好ましい。また、塗工完了後
にシートカットした後に、追加エージングを行っても良
い。カール防止性を考慮した好ましい熱架橋条件は、4
0〜80℃で10〜100時間程度、好ましくは40〜
60℃で16〜48時間である。
【0036】この記録材料の記録方法には、サーマルヘ
ッド、スタンプ、ホットプレート、レーザマーカ、熱ペ
ンなどがあげられる。印字にはサーマルヘッドやレーザ
マーカ、熱ペンなどで加熱(T1)を行い、急冷してや
ると現れた発色が固定される。また消去には、サーマル
ヘッド、棒状ヒーター、ホットスタンプ、加熱ロール、
ホットプレートなどで加熱(T2<T1)を行うか、加
熱(T1)後徐冷してやることで画像が消去される。こ
のように、加熱温度と加熱時間の制御により可逆的な画
像形成が可能である。
【0037】
【実施例および比較例】 〔実施例1〕 色素前駆体:クリスタルバイオレットラクトン 10重量部 電子受容性化合物:ヒドロキシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジド 20重量部 バインダー:アクリルポリオール(LR−1589:三菱レイヨン製) 50重量部 溶剤:トルエン 150重量部 架橋剤:コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製) 3.5重量部 ペイントシェーカーを用いて上記の〜の材料を溶剤
中で2時間程度分散した後、イソシアネート系化合物
である架橋剤を加えて、よく攪拌し、塗工液を調整し
た。
【0038】調整された塗工液を188μmの白色ポリ
エステルフィルム(W400:三菱化学ポリエステルフ
ィルム製)のロール状支持体に試験用グラビアコーター
を用いてコーティングし、130℃で乾燥して厚さ10
μmの記録層を設けた。その後、60℃で16hr加熱
してエージング(架橋)を行なった。
【0039】記録層の弾性率は、100℃の雰囲気下で
測定器:粘弾性スペクトロメーターF−3型(岩本製作
所製)で周波数1Hzで動的に測定を行なった。
【0040】この上に紫外線硬化樹脂を厚さ2μmにな
るように塗布し紫外線で硬化させて保護層とし、可逆性
感熱記録媒体を作製した。
【0041】〔実施例2〕 バインダー:アクリルポリオール LR−1589、
架橋剤:コロネートLの添加量を50:7に変更した
こと以外は、実施例1と全く同様にして可逆性感熱記録
媒体を作製した。
【0042】〔実施例3〕 バインダー:アクリルポリオール LR−1589、
架橋剤:コロネートLの添加量を50:14に変更し
たこと以外は、実施例1と全く同様にして可逆性感熱記
録媒体を作製した。
【0043】 〔実施例4〕 色素前駆体:3−メチルイソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ ラン 10重量部 電子受容性化合物:4−(4’−ヒドロキシフェニル)安息香酸 30重量部 バインダー:アクリル樹脂(三菱レイヨン社製:BR−64) 25重量部 ポリエステルポリオール(大日本インキ社製:バーノック 11−408) 50重量部 溶剤:トルエン 150重量部 イソシアネート系化合物:コロネートL 5重量部 実施例1において、記録層の組成を以上の配合としたこ
と以外は全く同様にして可逆性感熱記録媒体を作製し
た。
【0044】 〔実施例5〕 色素前駆体:3−メチルイソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ ラン 10重量部 電子受容性化合物:4−(4’−ヒドロキシフェニル)安息香酸 30重量部 バインダー:アクリル樹脂(三菱レイヨン社製:BR−64) 25重量部 ポリエステルポリオール(大日本インキ社製:バーノック 11−408) 25重量部 溶剤:トルエン 150重量部 イソシアネート系化合物 :コロネートL 5重量部 実施例1において、記録層の組成を以上の配合としたこ
と以外は全く同様にして可逆性感熱記録媒体を作製し
た。
【0045】 〔比較例1〕 色素前駆体:クリスタルバイオレットラクトン 10重量部 電子受容性化合物:ヒドロキシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジド 20重量部 バインダー:アクリル樹脂(三菱レイヨン社製:BR−80) 20重量部 溶剤:トルエン 150重量部 実施例1において、記録層の組成を以上の配合とし、架
橋のための処理を行なわなかったこと以外は全く同様に
して可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0046】〔比較例2〕実施例1において、バイン
ダー:アクリルポリオール LR−1589、架橋
剤:コロネートLの添加量を50:1に変更したこと以
外は、実施例1と全く同様にして可逆性感熱記録媒体を
作製した。
【0047】 〔比較例3〕 色素前駆体:クリスタルバイオレットラクトン 10重量部 電子受容性化合物:ヒドロキシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジド 20重量部 バインダー:UV硬化樹脂(大日本インキ社製:UNI大日本インキ C7− 157) 50重量部 溶剤:トルエン 150重量部 ペイントシェーカーを用いて上記の材料を溶剤中で2時
間程度分散し、塗工液を調整した。この塗工液を188
μmの白色ポリエステルフィルム(W400:三菱化学
ポリエステルフィルム製)のロール状支持体に試験用グ
ラビアコーターを用いてコーティングし、130℃で乾
燥して厚さ10μmの記録層を設けた。その後、160
W/cmの紫外線を照射して、記録層を硬化させた。
【0048】記録層の弾性率は100℃の雰囲気下で測
定器:粘弾性スペクトロメーターF−3型(岩本製作所
製)で周波数1Hzで動的に測定を行った。
【0049】この上に紫外線硬化樹脂を厚さ2μmにな
るように塗布し紫外線で硬化させて保護層とし、可逆性
感熱記録媒体を作製した。
【0050】[可逆性感熱記録媒体の使用時の耐久性評
価]以上のように作製した記録材をカード状に打ち抜い
て試験用の可逆性感熱記録媒体とし、これに対してサー
マルヘッド(0.35mJ/dot)で印字を行い、次
いで130℃の熱印版で10秒間加熱して印字された画
像の消去を行なった。
【0051】このように印字と消去を1サイクル(回)
として、そのテストを300回繰り返し、その後の印字
コントラスト、カールについて目視で評価し、異常のな
いものを○印、異常が軽微であるものを△印、コントラ
ストが低下し、キズやカールなどがある不良品は×印で
示す3段階評価を行ない、これらの結果を表1中に示し
た。
【0052】
【表1】
【0053】表1の結果からも明らかなように、架橋を
していない比較例1や架橋性の低い比較例2は、弾性率
が低くなるために、繰り返しの書き換えによって、コン
トラストが低下したり、表面にキズや凹みが発生して使
用できなくなった。
【0054】紫外線により架橋した比較例3では、弾性
率が高くなりすぎて繰り返し書き換えによりカードにカ
ールが生じたり、端部に剥離が生じ外観が不良になっ
た。
【0055】これに対して、加熱処理により記録層に適
度の架橋構造を導入した実施例は、いずれもコントラス
ト低下やカールの発生もなかった。
【0056】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、予め
架橋した樹脂を添加することなく、記録層の貯蔵弾性率
が、所定の測定条件で所定の範囲になるようにその母材
を架橋させた可逆性感熱記録媒体としたので、発色型記
録材料を用いた可逆性感熱記録媒体に対して、所要温度
の書き換え操作を繰り返し行なっても記録層が加熱によ
って劣化せず、鮮明な画像が得られ、使用時の耐久性が
充分な可逆性感熱記録媒体となる利点がある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる母材中に電子供与
    性色素前駆体と電子受容性化合物を分散させた材料で記
    録層を設け、この記録層の熱処理温度条件により可視画
    像を表示および消去可能な可逆性感熱記録媒体におい
    て、 前記記録層の貯蔵弾性率が、100℃以上の雰囲気下の
    周波数1Hzにおける動的測定条件で0.1〜100M
    Paの範囲になるように前記母材を架橋させたことを特
    徴とする可逆性感熱記録媒体。
  2. 【請求項2】 母材が、ポリオール系樹脂およびその架
    橋剤であるイソシアネート系化合物を含有する母材であ
    る請求項1または2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  3. 【請求項3】 母材が、二種以上の樹脂と架橋剤の混合
    物からなる熱可塑性樹脂である請求項1または2に記載
    の可逆性感熱記録媒体。
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