JP2010069632A - 画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度に依存して色調が可逆的に変化する熱可逆記録媒体を、記録画像を消去可能な温度まで加熱する加熱処理工程と、前記加熱処理後の熱可逆記録媒体にベタ画像を記録し、該ベタ画像を消去するベタ画像処理工程と、前記ベタ画像を消去後の熱可逆記録媒体に階調画像を記録する階調画像記録工程と、を順次繰り返す画像処理方法において、前記ベタ画像を該ベタ画像における最大飽和濃度の65%〜95%の発色濃度で記録し、前記階調画像における100%黒画像を、100%A〜85%A(Aはベタ画像の発色濃度のエネルギーである)のエネルギーで記録する画像処理方法である。
【選択図】なし
Description
また、前記特許文献1には、ベタ画像を記録し、消去した後、階調画像記録を繰り返す方法において、初回のみでなく繰り返し時にもベタ画像を記録することが提案されている。
しかし、この提案には、ベタ画像の発色濃度、及び階調画像のエネルギーについては記載されておらず、段落〔0011〕において、発色状態となる程度のエネルギーを印加すると記載されている。また、前記特許文献1の段落〔0081〕では、15Vで印字を実施しており、媒体上に鮮明な文字画像を記録したとあるので、十分に発色した印字条件であることが推測される。また、前記特許文献1には、繰り返し回数について具体的な回数の記載がなく、全面消去と種々の文字パターンの印字を繰り返して行っており、グラデーション画像を繰り返し実施して効果を確認しているわけではない。更に、前記特許文献1では、階調画像を繰り返し記録しつづける上での問題及び課題についての検討も十分に行われていない。
<1> 温度に依存して色調が可逆的に変化する熱可逆記録媒体を、記録画像を消去可能な温度まで加熱する加熱処理工程と、
前記加熱処理後の熱可逆記録媒体にベタ画像を記録し、該ベタ画像を消去するベタ画像処理工程と、
前記ベタ画像を消去後の熱可逆記録媒体に階調画像を記録する階調画像記録工程と、を順次繰り返す画像処理方法において、
前記ベタ画像を該ベタ画像における最大飽和濃度の65%〜95%の発色濃度で記録し、
前記階調画像における100%黒画像を、100%A〜85%A(ただし、Aはベタ画像の発色濃度のエネルギーである)のエネルギーで記録することを特徴とする画像処理方法である。
<2> ベタ画像における最大飽和濃度の80%〜90%の発色濃度で記録する前記<1>に記載の画像処理方法である。
<3> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が第一の特定温度で第一の色の状態となり、該第一の特定温度よりも高温の第二の特定温度で加熱後冷却することにより第二の色の状態となる前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<4> 熱可逆記録層が、電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を少なくとも含有する前記<3>に記載の画像処理方法である。
前記加熱処理後の熱可逆記録媒体にベタ画像を記録し、該ベタ画像を消去するベタ画像処理工程と、
前記ベタ画像を消去後の熱可逆記録媒体に階調画像を記録する階調画像記録工程と、を順次繰り返す画像処理方法において、
前記ベタ画像を該ベタ画像における最大飽和濃度の65%〜95%の発色濃度で記録し、
前記階調画像における100%黒画像を、100%A〜85%A(ただし、Aはベタ画像の発色濃度のエネルギーである)のエネルギーで記録することにより、熱可逆記録媒体の発色機能の劣化を均一にするように進め、かつ階調画像の記録部分と未記録部分との劣化の差を少なくし、階調画像を記録した際の100%黒画像の劣化を抑えることで、階調画像が残像として現れることが無く、良好に階調画像を記録することができる。
ここで、前記残像には以下の残像現象がある。
(1)初期記録の残像:記録した部分と記録していない部分での発色感度の差があり、そのために記録した部分の感度が速くなる現象がある。この現象は初期のリフレッシュで一時的に回避することができる。ここで、前記リフレッシュとは一度印字面を発色させてそれを消去させることで感度の差を無くすことを意味する。
(2)繰り返し使用による感度差の違いによる残像:繰り返し記録した時に記録する階調画像の濃度、印加エネルギーの違いにより熱可逆記録媒体へのダメージが異なってくる。階調画像を繰り返し記録してくると濃淡の違いがあるため濃度の濃い部分の劣化が進んでくる。それは濃度が高い画像部にはより強いエネルギーが加わるため劣化が進み、特に100%黒画像部分はエネルギーが最も強くなるため劣化が著しくなり、その部分の濃度低下が大きく進んでしまうため周囲から比較するとその部分の濃度が低くなってしまう。そのため、100%黒画像部分が残像として現れる現象が生じる。
更にダメージを受けた部分に階調画像を記録すると周囲との劣化の違いから薄い画像になってしまい、そこが残像として見えてしまうという問題がある。
本発明の画像処理方法においては、上記2つの残像現象を無くして繰り返し使用しても残像の見えない良好な階調画像を記録できるものである。
前記加熱処理工程は、温度に依存して色調が可逆的に変化する熱可逆記録媒体を、記録画像を消去可能な温度まで加熱する工程である。
前記熱可逆記録媒体に画像が記録されているか否かに関わらず、該記録画像を消去可能な温度まで加熱する。熱可逆記録媒体に画像が記録されている場合は、その画像が消去される。なお、加熱処理工程を実施せずに、後述するベタ画像処理工程を実施することも可能である。
前記加熱を行う手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばレーザ、赤外線ランプ、ヒートローラー、ホットスタンプ、ドライヤー、熱ローラ、面状ヒータ、消去デバイスなどが挙げられる。
前記記録画像を消去可能な温度は、熱可逆記録媒体の消去感度特性に依存するが、90℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましい。
前記ベタ画像処理工程は、前記加熱処理後の熱可逆記録媒体にベタ画像を記録し、該ベタ画像を消去する工程である。
本発明においては、前記ベタ画像を該ベタ画像における最大飽和濃度の65%〜95%の発色濃度で記録し、最大飽和濃度の80%〜90%の発色濃度で記録することが好ましい。これにより、画像の劣化を抑えることができる。前記発色濃度が最大飽和濃度の65%未満であると、十分な発色を得ることができず、均一なベタ画像を記録することが難しくなる。またベタ画像印字後に消去して記録する階調画像の濃度の濃い部分が薄くなるため階調画像の濃度が薄くキレの無い画像となってしまう。一方、95%を超えると、印字するベタ画像が濃いために繰り返し印字による画像の濃度低下が急激に進んでしまうために、消去後に印字する階調画像が回数と共に濃度が急激に低下してしまう問題がある。また、ベタ画像を消去した後に消し残りの影響がでてしまい印字する階調画像が鮮明に見えなくなってしまう。
ここで、前記ベタ画像における最大飽和濃度とは、記録媒体を発色させた際に発色層が全て発色している状態を意味し、記録媒体にエネルギーを段階的に加えた際に最大の濃度となった時の濃度を反射濃度計等で測定することにより求めることができる。
前記画像記録時の温度は、熱可逆記録媒体の発色感度特性に依存するが、130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、170℃以上が特に好ましい。
前記ベタ画像の消去手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばレーザ、赤外線ランプ、ヒートローラー、ホットスタンプ、ドライヤー、熱ローラ、面状ヒータ、消去デバイスなどが挙げられる。
前記画像消去時の温度は、熱可逆記録媒体の消去感度特性に依存するが、90℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましい。
前記階調画像記録工程は、前記ベタ画像を消去後の熱可逆記録媒体に階調画像を記録する工程である。
前記階調画像の記録は、エネルギー階調と面積階調の2つの方法で行うことができる。エネルギー階調は1画素を1ドットとして印加するエネルギーを変化させて濃度を変化させて記録させる方法であり、面積階調は1画素を複数ドットから構成し、ドットの密度により濃度を変化させる記録方法である。特にエネルギー階調で記録すると高解像度で高階調の階調画像が記録することができるので好ましい。
前記階調画像における100%黒画像のエネルギーは、例えばベタ画像を印字した際の最大飽和濃度の70%〜95%の印字濃度になる印加エネルギーが加わるように調整され、印加電圧、パルス幅、抵抗値により計算することができる。
なお、前記階調画像の100%黒画像以外の画像のエネルギーについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、各階調に応じて加えるエネルギーを減じて狙いの階調数を表現するようにエネルギーを加えることが好ましい。
この画像処理装置においては、まず、加熱デバイス38にて熱可逆記録層に記録された画像を加熱消去する。次いで、RF−IDのリーダライタ51にて熱可逆記録媒体にあるRFタグの情報を読み取り、RF−IDのリーダライタ51にて新たな情報がサーマルヘッド52より、熱可逆記録層に記録される。
熱可逆記録媒体5は、加熱デバイス38で画像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド52で画像記録される。その後、記録された熱可逆記録媒体5はプリンタトレイ50に搬出される。上述したように、加熱デバイス38の設定温度は、熱可逆記録媒体の消去感度特性に依存するが、90℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。
前記搬送工程は搬送手段により行われる。前記搬送手段は、前記熱可逆録媒体を順次搬送する機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ベルト、搬送ローラ、搬送ベルトと搬送ローラとの組合せ、などが挙げられる。
前記熱可逆記録媒体は、温度に依存して色調が可逆的に変化する材料からなり、例えば、電子供与性呈色化合物(以下「発色剤」と称することがある)及び電子受容性化合物(以下「顕色剤」と称することがある)を少なくとも含み、バインダー樹脂、架橋剤、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO2、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のフィルムなどが挙げられる。
前記無機材料及び前記有機材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、前記支持体に、酸化チタン等の白色顔料などを添加することにより、白色にするのが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜2,000μmが好ましく、50μm〜1,000μmがより好ましい。
前記熱可逆記録層(以下、単に「記録層」と称することがある)は、温度に依存して色調が可逆的に変化する材料を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記温度に依存して色調が可逆的に変化する材料は、温度変化により、目に見える変化を可逆的に生じる現象を発現可能な材料であり、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態とに変化可能である。この場合、目に見える変化は、色の状態の変化と形状の変化とに分けられる。該色の状態の変化は、例えば、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化に起因し、前記熱可逆記録媒体は、実際には、これらの変化の組合せにより色の状態が変化する。
具体的には、前記ロイコ染料及び前記可逆性顕色剤からなり、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するものであってもよい。前記ロイコ染料は、それ自体無色又は淡色の染料前駆体である。該ロイコ染料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好適に挙げられる。これらの中でも、発消色特性、色彩、保存性等に優れる点で、フルオラン系又はフタリド系のロイコ染料が特に好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、異なる色調に発色する層を積層することにより、マルチカラー、フルカラーに対応させることもできる。
前記(1)ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造としては、フェノールが特に好ましい。
前記(2)分子間の凝集力を制御する構造としては、炭素数8以上の長鎖炭化水素基が好ましく、該炭素数は11以上がより好ましく、また炭素数の上限としては、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。
前記R1、前記R2、及び前記R3の炭素数の和としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限としては、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、上限としては、40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
前記炭素数の和が、8未満であると、発色の安定性や消色性が低下することがある。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、不飽和結合を有していてもよいが、直鎖であるのが好ましい。また、前記炭化水素基に結合する置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
X及びYは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、N原子又はO原子を含む2価の基を表し、具体例としては、酸素原子、アミド基、尿素基、ジアシルヒドラジン基、シュウ酸ジアミド基、アシル尿素基等が挙げられる。これらの中でも、アミド基、尿素基が好ましい。
nは、0〜1の整数を示す。
前記可逆性顕色剤が、0.1未満である場合、及び20を超える場合には、発色状態の濃度が低下することがある。
また、前記消色促進剤を添加する場合、その添加量は、前記可逆性顕色剤100質量部に対して0.1質量部〜300質量部が好ましく、3質量部〜100質量部がより好ましい。
なお、前記ロイコ染料と前記可逆性顕色剤とは、マイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
前記バインダー樹脂としては、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線等によって硬化可能な樹脂が好ましく、イソシアネート系化合物等を架橋剤として用いた熱硬化性樹脂が特に好適である。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等の架橋剤と反応する基を有する樹脂、又は水酸基、カルボキシル基等を有するモノマーとそれ以外のモノマーとを共重合させた樹脂、などが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が特に好ましい。
前記架橋促進剤としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の3級アミン類、有機スズ化合物等の金属化合物などが挙げられる。
前記熱架橋した場合の前記熱硬化性樹脂のゲル分率としては、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。前記ゲル分率が30%未満であると、架橋状態が十分でなく耐久性に劣ることがある。
なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の熱可逆記録媒体として成形することもできる。また、前記記録層用塗布液は分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散させてもよいし、各々単独で溶媒中に分散させて混ぜ合わせてもよく、加熱溶解した後、急冷又は徐冷することによって材料を析出させてもよい。
なお、前記可逆性顕色剤は、前記記録層中では粒子状に分散して存在している。
前記記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した前記支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等の公知の方法を用いて行うことができる。
前記記録層用塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で、10秒間〜10分間程度、などが挙げられる。
前記記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。前記記録層の厚みが、1μm未満であると、発色濃度が低くなるため画像のコントラストが低くなることがあり、20μmを超えると、層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、所望の発色濃度を得ることができなくなることがある。
前記保護層は、前記記録層を保護する目的で、該記録層上に設けられるのが好ましい。
前記保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数層に形成してもよいが、露出している層の最表面に設けるのが好ましい。
前記保護層は、バインダー樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記UV硬化性樹脂は、硬化後非常に硬い膜を形成することができ、表面の物理的な接触によるダメージやレーザ加熱による媒体変形を抑止することができるため繰り返し耐久性に優れた熱可逆記録媒体を得ることができる。
また、前記熱硬化性樹脂は、前記UV硬化性樹脂にはやや劣るものの、同様に表面を硬くすることができ、繰り返し耐久性に優れた熱可逆記録媒体を得ることができる。
前記光重合開始剤及び前記光重合促進剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記保護層の樹脂成分の全質量に対し、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。
前記光源から出射される光の波長としては、特に制限はなく、前記記録層に含まれる光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線の照射条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を適宜決定すればよい。
これらの添加量としては、前記保護層の樹脂成分全質量に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましい。
前記添加量は、わずかでも効果を発現することはできるが、0.01質量%未満であると、添加による効果が得られ難くなることがあり、50質量%を超えると、下層との接着性に問題が生じる場合がある。
また、前記保護層中には、有機紫外線吸収剤を含有していてもよく、その含有量としては、前記保護層の樹脂成分全質量に対して、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
前記無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、タルク、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、静電気対策として、導電性フィラーを用いるのが好ましく、該導電性フィラーとしては、針状のものを用いるのがより好ましい。
前記導電性フィラーとしては、アンチモンドープ酸化スズで表面が被覆されている酸化チタンが特に好適に挙げられる。
前記無機フィラーの粒径としては、例えば、0.01μm〜10.0μmが好ましく、0.05μm〜8.0μmがより好ましい。
前記無機フィラーの添加量としては、前記保護層のバインダー樹脂1質量部に対し、0.001質量部〜2質量部が好ましく、0.005質量部〜1質量部がより好ましい。
前記保護層の強度を向上させるためには、充分な塗膜強度が得られる点で、前記熱硬化性樹脂の水酸基価が、10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上が更に好ましい。充分な塗膜強度を付与することにより、繰返し消去及び記録を行っても、前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えることができる。前記硬化剤としては、例えば、前記記録層で用いられた硬化剤と同様なものを好適に使用することができる。
更に、紫外線吸収構造を有するポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することがある)を用いてもよい。
ここで、前記紫外線吸収構造を有するポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。
前記紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられる。これらの中でも、耐光性が良好な点で、ベゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記紫外線吸収構造を有するポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとメタクリル酸メチルとからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとメタクリル酸メチルとメタクリル酸t−ブチルとからなる共重合体、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノンとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとスチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸プロピルとからなる共重合体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中間層は、前記記録層と前記保護層との接着性向上、前記保護層の塗布による前記記録層の変質防止、前記保護層中の添加剤の前記記録層への移行の防止、などを目的として、両者の間に設けられるのが好ましい。この場合、発色画像の保存性を改善することができる。
前記保護層は、バインダー樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
なお、前記有機系及び無機系紫外線吸収剤は、前記記録層に含有させてもよい。
また、紫外線吸収ポリマーを用いてもよく、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記保護層で用いるものと同様のものを好適に使用することができる。
前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥方法、硬化方法等は、前記記録層の作製において説明した公知の方法を用いることができる。
印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は前記支持体と前記記録層との接着性の改善や前記支持体への前記記録層材料の浸透防止を目的として、前記記録層と前記支持体との間に、アンダー層を設けてもよい。
前記アンダー層は、中空粒子を少なくとも含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。
前記中空粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10質量%〜80質量%が好ましい。
また、前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダー層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜50μmが好ましく、2μm〜30μmがより好ましく、12μm〜24μmが更に好ましい。
前記熱可逆記録媒体のカールや帯電防止、搬送性の向上のために、前記支持体の前記記録層を設ける面と反対側に、バック層を設けてもよい。
前記バック層は、バインダー樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、フィラー、導電性フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記紫外線硬化樹脂、前記熱硬化性樹脂については、前記記録層、前記保護層、及び前記中間層で用いられるものと同様なものを好適に用いることができる。また、前記フィラー、前記導電性フィラー、前記滑剤についても同様である。
レーザ記録を実施する場合には必要に応じて光熱変換層を設けてもよい。
前記光熱変換層は、レーザ光を吸収し発熱する機能を有する層であり、レーザ光を吸収し発熱する役割を有する光熱変換材料を少なくとも含有してなる。
前記光熱変換材料は、無機系材料と有機系材料とに大別できる。
前記無機系材料としては、例えば、カーボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se、Cr等の金属又は半金属及びそれを含む合金が挙げられ、これらは、真空蒸着法や粒子状の材料を樹脂等で接着して層状に形成される。
前記有機系材料としては、吸収すべき光波長に応じて各種の染料を適宜用いることができるが、光源として半導体レーザを用いる場合には、700〜1,500nm付近に吸収ピークを有する近赤外吸収色素が用いられる。具体的には、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。画像記録及び消去を繰り返すためには、耐熱性に優れた光熱変換材料を選択するのが好ましい。
前記近赤外吸収色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、前記記録層中に混ぜ込んでもよい。この場合、前記記録層は、前記光熱変換層を兼ねることとなる。
前記光熱変換層を設ける場合には、通常、前記光熱変換材料は、樹脂と併用して用いられる。該光熱変換層に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、前記無機系材料及び有機系材料を保持できるものであれば、公知のものの中から適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが好ましい。
前記支持体の前記記録層形成面の反対面に、接着層又は粘着層を設けることにより、前記熱可逆記録媒体を、熱可逆記録ラベルの態様で得ることができる。
前記接着層及び前記粘着層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて一般的に使われているものの中から適宜選択することができる。
このような接着層又は粘着層を設けた熱可逆記録ラベルは、ICカード、光カード等の厚手のカードにも好適である。
前記熱可逆記録媒体には、視認性を向上させる目的で、前記支持体と前記記録層との間に着色層を設けてもよい。
前記着色層は、着色剤及び樹脂バインダーを含有する溶液、又は分散液を対象面に塗布し乾燥する、あるいは単に、着色シートを貼り合せることにより形成することができる。
前記カラー印刷層における着色剤としては、従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインク中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられる。
前記樹脂バインダーとしては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂などが挙げられる。
前記カラー印刷層の厚みとしては、特に制限はなく、印刷色濃度に対して適宜変更されるため、所望の印刷色濃度に合わせて選択することができる。
また、前記熱可逆記録媒体の記録層と同一面の一部若しくは全面、又は反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、又はインクジェットプリンタ、熱転写プリンタ、昇華型プリンタ等によって任意の絵柄などを形成した着色層を設けてもよく、更に前記着色層上の一部分又は全面に、硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。
前記絵柄としては、例えば、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報などが挙げられる。
また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
更に、前記熱可逆記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のために、レリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
前記熱可逆記録媒体は、その用途に応じて所望の形状に加工することができ、例えば、カード状、タグ状、ラベル状、シート状、ロール状などに加工される。
本発明の画像処理方法に用いられる熱可逆記録媒体としては、例えば顔写真入りの入場管理カードやタグ、物品の画像情報入り物品管理用タグ、組み付け部品や組み付け方法を画像データ入りで図示した指示書など画像データを使用するアプリケーション等に使用することができる。
前記熱可逆記録部材は、可逆表示可能な前記熱可逆記録層(記録層)と情報記憶部とを、同一のカードやタグに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を前記記録層に表示することにより、特別な装置がなくてもカードやタグを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えたときには、熱可逆記録部の表示を書き換えることで、前記熱可逆記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
なお、前記情報記憶部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RFタグなどが好適に挙げられる。工程管理、物品管理等に使用する場合には、RFタグが特に好適に使用可能である。
なお、前記RFタグは、ICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
図3は、RFタグの概略図の一例を示す。このRFタグ85は、ICチップ81と、該ICチップ81に接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は、記憶部、電源調整部、送信部、及び受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRFタグ85と、リーダライタとのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RFタグ85のアンテナが、リーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導により起電力が発生する電磁誘導方式と放射電磁界により起動する電波方式との2種類がある。共に外部からの電磁界によりRFタグ85内のICチップ81が起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RFタグ85から信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
FRタグを貼りつける場合は熱可逆記録媒体の一部であればどこに貼り付けてもよいが、特に帯電防止層面に貼り付けることが好ましい。貼り付ける方法は一般的な粘着剤、接着剤により貼り付けることができる。
RFタグを熱記録媒体の内部に組み込む場合は少なくとも熱可逆記録媒体からなる一方の支持体と他方の支持体や支持部材の間にRFタグを貼り合わせ部材を介して挟みこむ構成が好ましい。この際の貼り合わせ部材とは支持体同士を貼り合わせることができれば特に限定されないが、一般的なフィルムや樹脂を用いても良いし、一般的な粘着剤や接着剤を用いて貼り合わせても良いし、一般的なホットメルト剤を用いてもよい。ホットメルト剤を用いる場合はRFタグを先の支持体にて挟み込み、圧力や熱を加えることにより加工することができる。
様々な形態をした熱可逆記録媒体は例えばカードサイズからそれより小さいものはアパレル用途や商品等につけるプライズタグ、小さな部材や小さなコンテナに取り付ける商品管理用途としての応用や既存に使われているポイントカードやプリペイドカード、更にはゲームや遊戯等の用途での応用が挙げられる。またカードサイズよりも大きなカンバンサイズでは、工程管理、物流管理等に好適に用いることができ、A5サイズ以上のシートサイズでは一般文書、工程管理用の指示書等に使用することもできる。更に塵やゴミの発生がないことからクリーンルーム等で使用することもできる。
納品された原材料が入っているコンテナが搬送される工程ラインには、搬送されながら表示部に可視画像を非接触で書き込む手段と、非接触で消去する手段とが備えられ、更に、電磁波の発信によりコンテナに備えられたRFタグの情報の読み取り、書き換えを非接触で行うためのリーダライタが備えられている。また、更に、この工程ラインには、コンテナが搬送されながら非接触にて読み書きされるその個別情報を利用して、物流ライン上で自動的に分岐や計量、管理などを行う制御手段が備えられている。
このコンテナに添付されたRFタグ付き熱可逆記録媒体に対して、物品名と数量などの情報を該熱可逆記録媒体と該RFタグとに記録し、検品が実施される。次工程では納入された原材料に加工指示が与えられ、前記熱可逆記録媒体と前記RFタグとに情報が記録され、加工指示書となり加工工程へと進む。次いで、加工された商品には発注指示書として発注情報が前記熱可逆記録媒体と前記RFタグとに記録され、商品出荷後に回収したコンテナから出荷情報を読み取り、再度納品用のコンテナとRFタグ付き熱可逆記録媒体として使用される。
このとき、レーザを用いた前記熱可逆記録媒体への非接触記録であるため、コンテナ等から前記熱可逆記録媒体を剥がすことなく情報の消去記録を行うことができ、更に前記RFタグにも非接触で情報を記録することができるため、工程をリアルタイムで管理することができ、また前記RFタグ内の情報を前記熱可逆記録媒体に同時に表示することが可能となる。
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して色調が可逆的(消色状態−発色状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
支持体として、厚み125μmの白色ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
スチレン−ブタジエン系共重合体(日本エイアンドエル社製、PA−9159)30質量部、ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製、ポバールPVA103)12質量部、中空粒子(松本油脂株式会社製、マイクロスフェアーR−300)20質量部、及び水40質量部を添加し、均一状態になるまで1時間撹拌して、アンダー層塗布液を調製した。
次に、得られたアンダー層塗布液を前記支持体上に、ワイヤーバーにて塗布し、80℃にて2分間加熱及び乾燥して、厚み20μmのアンダー層を記録した。
下記構造式(1)で表される可逆性顕色剤5質量部、下記構造式(2)及び(3)で表される2種類の消色促進剤をそれぞれ0.5質量部ずつ、アクリルポリオール50質量%溶液(水酸基価=200mgKOH/g)10質量部、及びメチルエチルケトン80質量部を、ボールミルを用いて平均粒径が1μmになるまで粉砕分散した。
アクリルポリオール樹脂50質量%溶液(三菱レーヨン株式会社製、LR327)3質量部、酸化亜鉛微粒子30質量%分散液(住友セメント株式会社製、ZS303)7質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)1.5質量部、及びメチルエチルケトン7質量部を加え、よく攪拌して中間層用塗布液を調製した。
次に、前記アンダー層、及び前記記録層が記録された支持体上に、前記中間層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、60℃にて2時間加熱し、厚み2μmの中間層を記録した。
ペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)3質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)3質量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)3質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール11質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌して平均粒径が約3μmになるまで分散し、保護層用塗布液を調製した。
次に、前記アンダー層、前記記録層、及び前記中間層が記録された支持体上に、前記保護層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmの保護層を記録した。
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7.5質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)2.5質量部、針状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製、FT−3000、長軸=5.15μm、短軸=0.27μm、構成:アンチモンドープ酸化スズ被覆の酸化チタン)2.5質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール13質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌してバック層用塗布液を調製した。
次に、前記記録層、前記中間層、及び前記保護層が記録された支持体における、これらの層が記録されていない側の面上に、前記バック層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmのバック層を記録した。以上により、製造例1の熱可逆記録媒体を作製した。
−階調画像のみを繰り返し消去印字−
製造例1の熱可逆性記録媒体を用い、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)を用いて、以下の実験を行った。なお、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)は画像形成手段としてサーマルヘッド(東芝ホクト株式会社製 300DPI、3016Ω)、画像消去手段として消去デバイス(株式会社ウェッジ社製 フィルムヒーターをアルミニウムで挟み込んだ構成の加熱部材)を備えている。
まず、消去デバイスにて150℃、速度50mm/secの条件で消去可能な温度まで加熱した後に、階調画像(エネルギー階調画像 16階調画像)をサーマルヘッドで速度50mm/secにて印字し、これを300回繰り返し実施した時の1回目、100回目、200回目、及び300回目の印字エネルギー、並びに画像濃度を以下のようにして測定した。結果を表1及び図4に示す。
画像濃度を分光側色濃度計(X−rite Model938、X−rite社製)で測定した。
印字エネルギーは最大発色濃度の出るエネルギーを事前に確認し、180mW/dotにて最大になることを確認した。そのエネルギーを6〜7mW/dotで減じさせて16階調を持つベタ画像の記録を実施した。この際印加電圧は一定でストローブを調整することでエネルギーを減じさせている。
−ベタ画像の記録を行ったときの階調画像の濃度変化−
製造例1の熱可逆性記録媒体を用い、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)を用いて、以下の実験を行った。なお、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)は画像形成手段としてサーマルヘッド(東芝ホクト株式会社製 300DPI、3016Ω)、画像消去手段として消去デバイス(株式会社ウェッジ社製 フィルムヒーターをアルミニウムで挟み込んだ構成の加熱部材)を備えている。
まず、消去デバイスにて150℃、速度50mm/secの条件で消去可能な温度まで加熱した後に、サーマルヘッドにて50mm/secの速度で最大飽和濃度に達するエネルギー(180mW/dot)にてベタ画像を印字し、その後消去デバイスにて150℃、速度50mm/secで消去した後に階調画像(エネルギー階調画像 16階調画像)を50mm/secの速度で記録し、これを200回繰り返した。100回目ごとの階調画像の画像濃度及び印字エネルギーを実験1と同様にして測定した。結果を表2及び図5に示す。
−ベタ画像の繰り返し記録−
製造例1の熱可逆性記録媒体を用い、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)を用いて、以下の実験を行った。なお、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)は画像形成手段としてサーマルヘッド(東芝ホクト株式会社製 300DPI、3016Ω)、画像消去手段として消去デバイス(株式会社ウェッジ社製 フィルムヒーターをアルミニウムで挟み込んだ構成の加熱部材)を備えている。
まず、消去デバイスにて150℃、速度50mm/secの条件で消去可能な温度まで加熱した後に、50mm/secの速度にてサーマルヘッド(300DPI、3016Ω、東芝ホクト株式会社製)で濃度を変えたベタ画像を印字し、これを300回連続繰り返して、発色濃度を測定した。結果を表3及び図6に示す。
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)を用いて、以下の実験を行った。なお、リライタブルプリンタ機能を持つシミュレータ(株式会社ウェッジ社製 階調画像はエネルギー階調表現可能)は画像形成手段としてサーマルヘッド(東芝ホクト株式会社製 300DPI、3016Ω)、画像消去手段として消去デバイス(株式会社ウェッジ社製 フィルムヒーターをアルミニウムで挟み込んだ構成の加熱部材)を備えている。
まず、熱可逆記録媒体を消去デバイスにて記録画像を消去可能な温度(150℃)で50mm/secの速度に加熱し(加熱処理工程)、表4に示す印字エネルギー、50mm/secの速度にて製造例1の熱可逆記録媒体にベタ画像を記録し、その後該ベタ画像を消去デバイス(150℃、速度50mm/sec)にて消去した(ベタ画像処理工程)。
次に、前記ベタ画像を消去した熱可逆記録媒体に階調画像(エネルギー階調画像 16階調画像)を50mm/secの速度にて記録した。この時の階調画像の100%黒画像は、前記ベタ画像を記録した際のエネルギーと同じエネルギーにて記録される(階調画像記録工程)。これで1サイクルとなる。その後、発色が安定するまで時間をおき(ここでは5分とした)、該階調画像を消去して(消去処理工程)、上記のサイクルを順次200回繰り返した。
次に、以下のようにして、階調画像の品質、200回繰り返し後の残像、及び200回繰り返し後の画像品質を評価した。結果を表4に示す。
階調画像は16階調のステップ画像と人物画像から構成されている。1サイクルを実施した時点で、ステップ画像と人物画像を目視にて確認して以下の基準にて判定した。
「優」:16階調ステップ画像が16階調として認識される。人物画像の濃淡部がはっきりとしており、明瞭な画像となっている。
「良」:16階調ステップ画像が16階調として認識されるが濃度の濃い部分がやや薄く、濃度の薄い部分にややカスレが発生している。人物画像に濃淡が認識でき、画像として十分に認識できる。
「可」:16階調ステップ画像の濃度の高い部分で発色濃度が低くなり、階調画像の再現領域が狭くなる。人物画像の濃淡がぼやけてくるが、階調画像として認識できる。
「不可」:16階調ステップ画像が16階調と認識できない。人物画像の濃淡がはっきりせず、階調画像として認識でできない。
200回繰り返し後に、繰り返し使用していた画像パターンと異なる位置に異なる画像パターンが繰り返し使用していた画像パターンと重なるように印字する。その時に、繰り返し印字に使用していた画像パターンが残像として見えるか見えないかを以下の評価基準にて調べた。
〔評価基準〕
○:新しい画像パターンを印字しても、繰り返し印字に使用していた画像パターンが残像として認識されることはない。
△:新しい画像パターンを印字すると繰り返し印字に使用していた画像パターンが薄く見える。
×:新しい画像パターンを印字すると繰り返し印字に使用していた画像パターンが残像として認識される。
200回繰り返し消去印字した階調画像(ステップ画像と人物画像)の画像品質を目視にて確認し、濃度の低下の有無、残像の有無、階調再現性についての項目を確認した。
これに対し、No.1では、最大飽和濃度でベタ画像を記録すると階調画像濃度の低下、濃度の濃い部分の劣化によるネガ残像が発生し良好な階調画像を繰り返し印字することができないことが分かった。
また、No.2では、ベタ画像を該ベタ画像における最大飽和濃度の95.6%の発色濃度で記録し、ベタ画像の印字エネルギーと階調画像の100%黒の画像印字エネルギーを同じにして階調画像を繰り返し消去記録しているので、200回繰り返し後に残像がやや生じ、ネガ残像が生じることが分かった。
また、No.6〜8では、印字エネルギーが低いので階調画像品質が不良となり、繰り返し使用してもその品質は不良のままであった。
実施例1において、ベタ画像印字エネルギーを160mW(ベタ画像濃度1.42 ベタ画像比率88.2%)とし、階調画像の100%黒の画像エネルギーを表5に示すエネルギーに変えて階調画像の記録を実施した以外は、実施例1と同様にして、サイクルを順次200回繰り返した。
次に、実施例1と同様にして、階調画像の品質、200回繰り返し後の残像、及び200回繰り返し後の画像品質を評価した。結果を表5に示す。
また、No.14では、ベタ画像の印字エネルギーと階調画像の100%黒画像部の印字エネルギー比が84.4%になると階調画像の品質が低下し、200回繰り返し後の階調画像の品質が不十分であることが確認できた。
これに対し、No.11〜13は、階調画像の品質、200回繰り返し後の残像、及び200回繰り返し後の画像品質全てを満足している。
38 加熱デバイス
40 搬送ローラ
50 プリンタトレイ
51 RF−IDのリーダライタ
52 サーマルヘッド
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RFタグ
Claims (4)
- 温度に依存して色調が可逆的に変化する熱可逆記録媒体を、記録画像を消去可能な温度まで加熱する加熱処理工程と、
前記加熱処理後の熱可逆記録媒体にベタ画像を記録し、該ベタ画像を消去するベタ画像処理工程と、
前記ベタ画像を消去後の熱可逆記録媒体に階調画像を記録する階調画像記録工程と、を順次繰り返す画像処理方法において、
前記ベタ画像を該ベタ画像における最大飽和濃度の65%〜95%の発色濃度で記録し、
前記階調画像における100%黒画像を、100%A〜85%A(ただし、Aはベタ画像の発色濃度のエネルギーである)のエネルギーで記録することを特徴とする画像処理方法。 - ベタ画像における最大飽和濃度の80%〜90%の発色濃度で記録する請求項1に記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が第一の特定温度で第一の色の状態となり、該第一の特定温度よりも高温の第二の特定温度で加熱後冷却することにより第二の色の状態となる請求項1から2のいずれかに記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録層が、電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を少なくとも含有する請求項3に記載の画像処理方法。
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