JP2003144538A - 軟質眼内レンズ用材料 - Google Patents

軟質眼内レンズ用材料

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JP2003144538A
JP2003144538A JP2002339836A JP2002339836A JP2003144538A JP 2003144538 A JP2003144538 A JP 2003144538A JP 2002339836 A JP2002339836 A JP 2002339836A JP 2002339836 A JP2002339836 A JP 2002339836A JP 2003144538 A JP2003144538 A JP 2003144538A
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acrylate
meth
intraocular lens
soft intraocular
alkyl
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Tatsuya Koshio
達也 小塩
Kazuharu Niwa
一晴 丹羽
Toru Kawaguchi
徹 河口
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Menicon Co Ltd
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Menicon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性にすぐれ、高屈折率を有することか
ら、レンズを薄くすることができ、折りたたんで小さい
切開創から挿入することが可能であり、しかも透明性に
すぐれ、かつグリスニングが起こらない軟質眼内レンズ
を与える軟質眼内レンズ用材料を提供すること。 【解決手段】 親水性モノマーを含有した重合成分を重
合させてえられた重合体からなり、吸水率が1.5〜
4.5重量%である軟質眼内レンズ用材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟質眼内レンズ用
材料に関する。さらに詳しくは、柔軟性にすぐれ、高屈
折率を有することから、レンズを薄くすることができ、
折りたたんで小さい切開創から挿入することが可能であ
り、しかも透明性にすぐれ、かかる透明性が失われる現
象、いわゆるグリスニングが起こらない軟質眼内レンズ
を与える軟質眼内レンズ用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、眼内レンズを用いた白内障手術
での眼の外傷を小さくするためには、外科処置を行なう
切開創をできるだけ小さくしておくことが望ましく、水
晶体を超音波振動によって破砕し、その破片を小さなカ
ニューレを介して吸引する水晶体超音波吸引術が発達す
るにつれて、水晶体を2〜3mm以下の切開創を通して
除去することが可能になった。
【0003】しかしながら、眼内レンズは、通常6mm
程度の直径を有しているため、かかる眼内レンズをその
まま挿入するには、挿入部位を大きく切開しなければな
らないことから、近年、柔軟で、変形可能かつ膨潤性の
ソフトタイプの眼内レンズ類が種々発明され、小さい切
開での挿入が可能となった。
【0004】前記眼内レンズ類として、たとえば、芳香
族環を有する(メタ)アクリレート系モノマーの少なく
とも2種および架橋性単量体を含む単量体混合物を共重
合してえられる眼内レンズ(特開平4−292609号
公報)、パーフルオロオクチルエチルオキシプロピレン
(メタ)アクリレートモノマー、2−フェニルエチル
(メタ)アクリレートモノマー、アルキル(メタ)アク
リレートおよび架橋性モノマーを含む成分を用いてえら
れる軟性眼内レンズ(特開平8−224295号公
報)、ホモポリマーの屈折率が1.5以上であるモノマ
ー、ホモポリマーのガラス転移温度が30℃未満である
モノマーおよび架橋性モノマーを用いてえられる眼内レ
ンズ(特表平8−503506号公報)などが提案され
ている。
【0005】これらの眼内レンズは、いずれも透明性お
よび柔軟性を有し、変形可能であることから、比較的小
さい切開創から挿入させることができるものであるが、
これらを眼内に埋植した際の水和によりレンズ内に白色
点状のものが出現し、その透明性がいちじるしく低下す
るないし失われる現象、いわゆるグリスニング(gliste
nings)が起こるといった欠点を有するものである。
【0006】前記のほかにもさらに、たとえば、ヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートならびに環構造もし
くはハロゲン原子を含有する(メタ)アクリル酸エステ
ルおよび/または(メタ)アクリルアミド誘導体を主成
分として用いられた眼内レンズ用材料(特開平6−22
565号公報)、置換されていてもよいフェノキシ基と
水酸基とを有する(メタ)アクリレートおよび架橋剤を
含有した組成物を用いてえられた眼内レンズ用などの眼
用レンズ材料(特開平8−173522号公報)、芳香
族環含有アクリレートおよびフッ素原子含有アルキルア
クリレートを主成分として用いてなる軟質眼内レンズ材
料(特開平9−73052号公報)などが提案されてい
る。
【0007】これらの材料も、いずれも柔軟性にすぐ
れ、形状回復力が大きく、小さい切開創からの挿入が可
能なものであるが、眼内に埋植した際に、やはり温度変
化によってその透明性が低下する傾向があることから、
かかる透明性の低下(グリスニング)が起こらない眼内
レンズの開発が待ち望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
に鑑みてなされたものであり、柔軟性にすぐれ、高屈折
率を有することから、レンズを薄くすることができ、折
りたたんで小さい切開創から挿入することが可能であ
り、しかも透明性にすぐれ、かつグリスニングが起こら
ない軟質眼内レンズを与える軟質眼内レンズ用材料を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、親水性モノマ
ーを含有した重合成分を重合させてえられた重合体から
なり、吸水率が1.5〜4.5重量%である軟質眼内レ
ンズ用材料に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の軟質眼内レンズ用材料
は、前記したように、親水性モノマーを含有した重合成
分を重合させてえられた重合体からなり、吸水率が1.
5〜4.5重量%のものである。
【0011】本発明の最大の目的は、すぐれた透明性を
示し、しかもグリスニングが起こらないとったすぐれた
特性を有する軟質眼内レンズを与えることができる材料
を提供することである。従来より、たとえばアクリル系
の軟質眼内レンズの透明性は、かかる眼内レンズを眼内
に埋植した際に徐々に低下し、たとえば視機能への問題
が生じるほどにまで失われてしまうばあいもあることか
ら、すぐれた透明性の維持に関する種々の研究が進めら
れてきた。ここで、本発明者らは、眼内レンズの埋植前
後の温度変化および眼内レンズの材料中の水分量と、グ
リスニングとの関係、さらには温度変化による材料中の
水の凝集とグリスニングとの関係に着目し、鋭意研究を
重ねた結果、通常グリスニングが起こりやすい低吸水率
の材料において、構成単位として親水性モノマーに基づ
く単位が含まれる、つまり均一に分散させることによっ
て、含有される水も分散されるため、水の凝集(グリス
ニング)が起こらないと考えられることに基づき、温度
変化にかかわらずすぐれた透明性が維持され、グリスニ
ングが起こらない材料がえられることを見出したのであ
る。
【0012】本発明に用いられる重合体は、親水性モノ
マー(以下、親水性モノマー(B)という)を含有した
重合成分を重合させてえられたものである。
【0013】親水性モノマー(B)は、前記したよう
に、えられる軟質眼内レンズ用材料中の必須構成単位と
なり、軟質眼内レンズ用材料のグリスニングの低下を促
進させる作用を有する成分である。
【0014】前記親水性モノマー(B)の代表例として
は、たとえばアルキル基の炭素数が1〜20の水酸基含
有アルキル(メタ)アクリレート(以下、モノマー(B
−1)という)、(メタ)アクリルアミドモノマー(以
下、モノマー(B−2)という)、N−ビニルラクタム
(以下、モノマー(B−3)という)、かかるモノマー
(B−1)、モノマー(B−2)およびモノマー(B−
3)以外の親水性モノマー(以下、モノマー(B−4)
という)などがあげられ、これらから選ばれた少なくと
も1種を好適に用いることができる。
【0015】モノマー(B−1)としては、たとえばヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレー
トなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジ
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシペンチル
(メタ)アクリレートなどのジヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまた
は2種以上を混合して用いることができる。
【0016】モノマー(B−2)としては、たとえば
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル
(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メ
タ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル
アミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどがあげら
れ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0017】モノマー(B−3)としては、たとえばN
−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニ
ルカプロラクタムなどがあげられ、これらは単独でまた
は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】モノマー(B−4)としては、たとえばジ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リル酸、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキ
シエチル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレ
イン酸、マレイン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導
体、アミノスチレン、ヒドロキシスチレンなどがあげら
れ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0019】前記親水性モノマー(B)のなかでは、グ
リスニングの低下を促進させる作用が大きいという点か
ら、前記モノマー(B−1)およびモノマー(B−2)
が好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートがと
くに好ましい。
【0020】重合成分中の親水性モノマー(B)の含有
量は、グリスニングの低下を促進させる効果を充分に発
現させるためには、7重量%以上、好ましくは10重量
%以上であることが望ましく、また軟質眼内レンズ用材
料の形状回復性や屈折率が低下したり、柔軟性も低下す
るといったおそれをなくすためには、45重量%以下、
好ましくは42重量%以下であることが望ましい。
【0021】本発明に用いられる重合体をうるための重
合成分には、前記親水性モノマー(B)のほかにも、か
かる親水性モノマー(B)と共重合可能な他の重合性モ
ノマーが必要に応じて適宜含有されていてもよい。
【0022】他の重合性モノマーの代表例としては、た
とえば一般式(I):
【0023】
【化2】
【0024】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
2は水素原子が1個またはそれ以上の置換基、たとえ
ば炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子などのハロゲン原子など、で置換されてい
てもよい芳香族環、Xは酸素原子または直接結合、nは
0または1〜5の整数を示す)で表わされる芳香族環含
有(メタ)アクリレート(以下、(メタ)アクリレート
(A)という)、前記モノマー(B−1)以外のアルキ
ル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレー
ト(以下、アルキル(メタ)アクリレート(C)とい
う)、架橋性モノマー(以下、架橋性モノマー(D)と
いう)などがあげられる。
【0025】前記(メタ)アクリレート(A)は、えら
れる軟質眼内レンズ用材料の屈折率を向上させる作用を
有する成分である。
【0026】(メタ)アクリレート(A)の具体例とし
ては、たとえばフェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、フェニルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレー
ト、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレートなどが
あげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用
いることができる。これらのなかでは、えられる軟質眼
内レンズ用材料の屈折率を高める効果が大きいという点
から、フェノキシエチルアクリレート、フェニルエチル
アクリレートおよびベンジルアクリレートから選ばれた
少なくとも1種を用いることが好ましく、また前記屈折
率のほかに、あわせて柔軟性をさらに向上させることが
できるという点から、フェノキシエチルアクリレートが
とくに好ましい。
【0027】前記アルキル(メタ)アクリレート(C)
は、えられる軟質眼内レンズ用材料の形状回復性および
柔軟性を向上させる作用を有する成分である。
【0028】アルキル(メタ)アクリレート(C)の具
体例としては、たとえばメチルアクリレート、エチルア
クリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘ
プチルアクリレート、ノニルアクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)ア
クリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの直鎖
状、分岐鎖状または環状のアルキル(メタ)アクリレー
ト;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−
t−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,
4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−t−ヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘ
キサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペ
ンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4
−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,
2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピ
ル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4
−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,
2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル
(メタ)アクリレートなどのフッ素含有アルキル(メ
タ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまた
は2種以上を混合して用いることができる。これらのな
かでは、えられる軟質眼内レンズ用材料の形状回復性お
よび柔軟性の向上効果が大きいという点から、アルキル
基の炭素数が1〜5のアルキルアクリレートが好まし
く、エチルアクリレートおよび/またはブチルアクリレ
ートを用いることがとくに好ましい。
【0029】前記架橋性モノマー(D)は、えられる軟
質眼内レンズ用材料の柔軟性をコントロールし、良好な
機械的強度を付与し、形状回復性をさらに向上させ、ま
た親水性モノマー(B)や他の重合性モノマーなどの重
合成分同士の共重合性を向上させる作用を有する成分で
ある。
【0030】架橋性モノマー(D)の具体例としては、
たとえばブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジアリルフマレート、アリル(メ
タ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メタク
リロイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジビニル
ベンゼン、ジアリルフタレート、アジピン酸ジアリル、
トリアリルジイソシアネート、α−メチレン−N−ビニ
ルピロリドン、4−ビニルベンジル(メタ)アクリレー
ト、3−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、2,2
−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、2,2−ビス((メタ)アクリロイ
ルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メ
タ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)
ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−
ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロ
イソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)
アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−
ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)
ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシイソプロピル)ベンゼンなどがあげられ、これらは
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらのなかでは、柔軟性をコントロールし、良好な機
械的強度を付与し、形状回復性および共重合性を向上さ
せる効果が大きいという点から、ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレートおよびエチレングリコールジ(メタ)
アクリレートがとくに好ましい。
【0031】重合成分中の他の重合性モノマーの含有量
は、前記親水性モノマー(B)による効果が充分に発現
されるようにすることや、各重合性モノマーそれぞれに
よる効果が充分に発現されるようにすること、重合成分
同士の共重合性が維持されるようにすることなどを考慮
して適宜調整することが好ましく、親水性モノマー
(B)とあわせて重合成分全量が100重量%となるよ
うにすればよい。すなわち、重合成分中の他の重合性モ
ノマーの含有量は、55重量%以上、好ましくは58重
量%以上であることが望ましく、また93重量%以下、
好ましくは90重量%以下であることが望ましい。
【0032】なお、本発明においては、えらえる軟質眼
内レンズ用材料の柔軟性が向上し、高屈折率が付与さ
れ、すぐれた透明性が温度変化にかかわらず維持されて
グリスニングが起こらないといった効果がより顕著に発
現されるという点から、前記(メタ)アクリレート
(A)、モノマー(B−1)、モノマー(B−2)およ
びモノマー(B−3)から選ばれた少なくとも1種の親
水性モノマー(B)、アルキル(メタ)アクリレート
(C)ならびに架橋性モノマー(D)を含有した重合成
分を重合させてえられた重合体を用いることがとくに好
ましい。
【0033】前記のごとき(メタ)アクリレート
(A)、親水性モノマー(B)、アルキル(メタ)アク
リレート(C)および架橋性モノマー(D)を組み合わ
せて用いるばあいにの各成分の量は、以下のように調整
することが好ましい。
【0034】前記(メタ)アクリレート(A)とアルキ
ル(メタ)アクリレート(C)とは、えられる軟質眼内
レンズ用材料の屈折率を充分に高めるためには、両者の
重量比((メタ)アクリレート(A)/アルキル(メ
タ)アクリレート(C))が10/90以上、好ましく
は15/85以上となるようにすることが望ましく、ま
た軟質眼内レンズ用材料の形状回復性の向上効果および
柔軟性をコントロールする効果を充分に発現させるため
には、該重量比が95/5以下、好ましくは80/20
以下となるようにすることが望ましい。
【0035】また、前記親水性モノマー(B)の量は、
グリスニングの低下を促進させる効果を充分に発現させ
るためには、(メタ)アクリレート(A)とアルキル
(メタ)アクリレート(C)との合計量100部(重量
部、以下同様)に対して10部以上、好ましくは13部
以上となるようにすることが望ましく、また軟質眼内レ
ンズ用材料の形状回復性および屈折率が低下するほか、
柔軟性までもが低下するおそれをなくすためには、前記
合計量100部に対して45部以下、好ましくは42部
以下となるようにすることが望ましい。
【0036】また、前記架橋性モノマー(D)の量は、
えられる軟質眼内レンズ用材料の柔軟性をコントロール
し、形状回復性および共重合性を向上させる効果を充分
に発現させるためには、(メタ)アクリレート(A)と
アルキル(メタ)アクリレート(C)との合計量100
部に対して0.1部以上、好ましくは0.5部以上とな
るようにすることが望ましく、また軟質眼内レンズ用材
料の柔軟性が低下したり、かえって形状回復性が低下す
るおそれをなくすためには、前記合計量100部に対し
て10部以下、好ましくは5部以下となるようにするこ
とが望ましい。
【0037】さらに、本発明においては、安全性の観点
から、軟質眼内レンズ用材料から溶出しにくい紫外線吸
収剤や色素などを、必要に応じて重合成分に加えること
ができる。
【0038】前記紫外線吸収剤の代表例としては、たと
えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンなどのベ
ンゾフェノン類、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタ
クリルオキシエチレンオキシ−t−ブチルフェニル)−
5−メチル−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロ
キシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5
−クロロ−2(3′−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−
5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベン
ゾトリアゾール類、サリチル酸誘導体類、ヒドロキシア
セトフェノン誘導体類などがあげられる。また、これら
の紫外線吸収剤と同様の化学構造部分を有し、かつ本発
明における重合成分と重合しうる部分を有する反応性紫
外線吸収剤を使用することもできる。これらは、通常単
独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0039】前記紫外線吸収剤の配合量は、えられる軟
質眼内レンズ用材料に充分に紫外線吸収性を付与するた
めには、重合成分全量100部に対して0.01部以
上、なかんづく0.05部以上となるように調整するこ
とが好ましく、また重合時に気泡が発生したり、重合速
度が小さくなったり、また充分な重合度がえられなくな
るおそれをなくすためには、重合成分全量100部に対
して5部以下、なかんづく3部以下となるように調整す
ることが好ましい。
【0040】前記色素は、白内障の手術後の無水晶体患
者に生ずる青視症を軟質眼内レンズによって補正するば
あい、黄色ないし橙色の色素であることが望ましい。前
記色素の代表例としては、たとえばカラーインデックス
(CI)に記載されたCIソルベントイエロー(Sol
vent Yellow)、CIソルベントオレンジ
(Solvent Orange)などの油溶性染料、
CIディスパースイエロー(Disperse Ora
nge)、CIディスパースオレンジ(Dispers
e Orange)などの分散染料、バット系染料など
があげられる。また、これらの色素と同様の化学構造部
分を有し、かつ本発明における重合成分と重合しうる部
分を有する反応性色素を使用することもできる。これら
は、通常単独でまたは2種以上を混合して用いることが
できる。
【0041】前記色素の配合量は、えられる軟質眼内レ
ンズ用材料が充分に着色されるようにするためには、重
合成分全量100部に対して0.001部以上、なかん
づく0.01部以上となるように調整することが好まし
く、また過剰に濃く着色されるおそれをなくすために
は、重合成分全量100部に対して5部以下、なかんづ
く3部以下となるように調整することが好ましい。
【0042】前記親水性モノマー(B)および必要に応
じて他の重合性モノマーを含有した重合成分に、たとえ
ば必要により紫外線吸収剤や色素などを配合したのち、
たとえばラジカル重合開始剤を添加して通常の方法で重
合させることにより、本発明の軟質眼内レンズ用材料を
うることができる。
【0043】前記通常の方法とは、たとえば重合の際に
一般に用いられているラジカル重合開始剤を重合成分に
配合したのち、室温〜約130℃の温度範囲で徐々に加
熱するか、マイクロ波、紫外線、放射線(γ線)などの
電磁波を照射して重合を行なう方法である。なお、加熱
重合させるばあいには、段階的に昇温させてもよい。ま
た、重合は、塊状重合法によってなされてもよいし、溶
媒などを用いた溶液重合法によってなされてもよく、ま
たその他の方法によってなされてもよい。
【0044】前記ラジカル重合開始剤の代表例として
は、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジ
メチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種
以上を混合して用いることができる。
【0045】なお、光線などを利用して重合させるばあ
いには、光重合開始剤や増感剤をさらに添加することが
好ましい。
【0046】前記光重合開始剤の代表例としては、たと
えばメチルオルソベンゾイルベンゾエート、メチルベン
ゾイルフォルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベン
ゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−
ブチルエーテルなどのベンゾイン系光重合開始剤;2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−
オン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフ
ェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、
N,N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノ
ンなどのフェノン系光重合開始剤;1−ヒドロキシシク
ロヘキシルフェニルケトン;1−フェニル−1,2−プ
ロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシ
ム;2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサン
ソンなどのチオキサンソン系光重合開始剤;ジベンゾス
バロン;2−エチルアンスラキノン;ベンゾフェノンア
クリレート;ベンゾフェノン;ベンジルなどがあげられ
る。
【0047】前記重合開始剤や増感剤の使用量は、充分
な速度で重合反応を進行させるためには、重合成分全量
100部に対して0.002部以上、なかんづく0.0
1部以上となるように調整することが好ましく、またえ
られる軟質眼内レンズ用材料に気泡が発生するおそれを
なくすためには、重合成分全量100部に対して10部
以下、なかんづく2部以下となるように調整することが
好ましい。
【0048】本発明の軟質眼内レンズ用材料を、軟質眼
内レンズに成形するばあいには、当業者が通常行なって
いる成形方法を採用することができる。かかる成形方法
としては、たとえば切削加工法や鋳型(モールド)法な
どがある。切削加工法は、重合成分の重合を、眼内レン
ズに成形しやすいような適当な型または容器中で行な
い、棒状、ブロック状、板状などの素材(重合体)をえ
たのち、切削加工、研磨加工などの機械的加工により所
望の形状に加工する方法である。また鋳型法は、所望の
眼内レンズの形状に対応した型を用意し、この型のなか
で前記重合成分の重合を行なって重合体(成形物)を
え、必要に応じて機械的に仕上げ加工を施す方法であ
る。なお、前記重合成分の重合を行なう型や容器として
は、たとえばガラス製、ポリエチレン、ポリプロピレン
などのプラスチック製などのものを用いることができ
る。
【0049】また、これらの方法とは別に、たとえば軟
質眼内レンズ用材料に硬質性を与えるモノマーを含浸さ
せ、しかるのちに該モノマーを重合せしめ、全体より硬
質化し、切削加工を施し、所望の形状に加工した成形品
から硬質ポリマーを除去し、軟質眼内レンズ用材料から
なる成形品(軟質眼内レンズ)をうる方法(特開昭62
−278041号公報、特開平1−11854号公報)
なども本発明において適用することができる。
【0050】さらに、本発明の軟質眼内レンズ用材料か
ら軟質眼内レンズをうるばあいには、レンズの支持部を
レンズとは別に作製し、たとえばレンズに孔をあけ、そ
の孔に成形した支持部を通すなどして、あとで支持部を
レンズに取付けてもよいし、レンズと同時に(一体的
に)成形してもよい。
【0051】かくしてえられる本発明の軟質眼内レンズ
用材料は、吸水率が1.5〜4.5重量%のものであ
り、前記したように、このような特定の吸水率を有し、
構成単位として親水性モノマー(B)に基づく単位を含
んだ非含水性の材料であるので、従来の材料のようにグ
リスニングが起こることがなく、すぐれた透明性を維持
しうる。かかる軟質眼内レンズ用材料の吸水率は、わず
かな温度変化によってもグリスニングが起こってしまう
ことから、1.5重量%以上であるが、温度変化が大き
いばあいであっても、よりグリスニングが起こりにくい
という点から、好ましくは1.6重量%以上であり、ま
たグリスニングの問題は生じないものの、柔軟性が低下
するうえ、形状回復性が低下することから、4.5重量
%以下であるが、かかる柔軟性の低下や形状回復性の低
下がより起こりにくいという点から、好ましくは4.4
重量%以下である。
【0052】なお、本発明において、吸水率とは以下の
式に基づいて求められた値をいう。 吸水率(重量%)={(W−W0)/W0}×100 (ただし、25℃における厚さが1.0mmの試験片に
ついての値であり、式中、Wは平衡含水状態での試験片
の重量(g)を示し、W0は乾燥状態での試験片の重量
(g)を示す。)
【0053】本発明の軟質眼内レンズ用材料は、前記し
たように、温度変化が生じたとしてもグリスニングが起
こらないといったすぐれた特性を有するものであるが、
かかる温度変化とは、通常眼内レンズが使用される環境
温度、すなわち一般的な体温の36〜37℃程度の温度
を含む範囲での温度変化が考えられ、たとえば40℃程
度から25℃程度へといった約15℃の、少なくとも4
0℃程度から35℃程度へといった約5℃の温度変化で
ある。
【0054】このように、本発明の軟質眼内レンズ用材
料は、柔軟性にすぐれ、高屈折率を有することから、レ
ンズを薄くすることができ、折りたたんで小さい切開創
から挿入することが可能であり、しかも透明性にすぐ
れ、かつグリスニングが起こらない軟質眼内レンズ用材
料を与えることができる。
【0055】
【実施例】つぎに、本発明の軟質眼内レンズ用材料を実
施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかか
る実施例のみに限定されるものではない。
【0056】実施例1〜21および比較例1〜6 表1〜2に示す重合成分および重合開始剤として2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を
重合成分全量100部に対して1部混合し、これを所望
の眼内レンズ形状の鋳型内に注入し、この鋳型をオーブ
ン中に入れて50℃で24時間にわたって加熱重合成形
を行なった。こののち、鋳型を循環乾燥器内に移し、6
5〜130℃まで1時間につき10℃の割合で昇温させ
たのち室温まで徐冷した。ついで、光照射装置(松下電
器産業(株)製のブラックライト)を用いて1時間にわ
たって光照射を行なった。こののち、えられた重合体を
鋳型から脱型し、さらにオーブン中にて50℃で2日間
乾燥させ、厚さ1mmの軟質眼内レンズ用材料を作製し
た。
【0057】なお、表1〜2中の各略号は以下に示すと
おりである。
【0058】((メタ)アクリレート(A)) POEA:2−フェノキシエチルアクリレート POEMA:2−フェノキシエチルメタクリレート PEA:フェニルエチルアクリレート PEMA:フェニルエチルメタクリレート
【0059】(親水性モノマー(B)) HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート NVP:N−ビニルピロリドン DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド HBMA:2−ヒドロキシブチルメタクリレート
【0060】(アルキル(メタ)アクリレート(C)) EA:エチルアクリレート iBuA:イソブチルアクリレート 3FEA:2,2,2−トリフルオロエチルアクリレー
【0061】(架橋性モノマー(D)) BDDA:ブタンジオールジアクリレート EDMA:エチレングリコールジメタクリレート BDDMA:ブタンジオールジメタクリレート
【0062】また、表1〜2中の親水性モノマー(B)
および架橋性モノマー(D)の量は、それぞれ(メタ)
アクリレート(A)と、アルキル(メタ)アクリレート
(C)との合計量100部に対する量である。ただし、
実施例21では、親水性モノマー(B)とアルキル(メ
タ)アクリレート(C)との合計が100重量%となる
ようにしている。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】つぎに、えられた軟質眼内レンズ用材料の
物性として、吸水率、透明性(グリスニング評価)、柔
軟性および形状回復性を以下の方法にしたがって調べ
た。その結果を表3に示す。
【0066】(イ)吸水率 軟質眼内レンズ用材料から厚さ1.0mmの試験片を作
製し、この試験片の25℃における吸水率を以下の式に
基づいて求めた。 吸水率(重量%)={(W−W0)/W0}×100 (ただし、Wは平衡含水状態での試験片の重量(g)を
示し、W0は乾燥状態での試験片の重量(g)を示
す。)
【0067】(ロ)透明性(グリスニング評価) 軟質眼内レンズ用材料を40℃の水中に3時間浸漬さ
せ、ついで25℃または35℃の水中に1時間浸漬させ
たのち、この軟質眼内レンズ用材料の外観(透明性)
を、投影機((株)ニコン製のV−12B)を用いて透
過光を照射して目視にて観察し、以下の評価基準に基づ
いて評価した。
【0068】(評価基準) A:水中において、40℃から25℃への温度変化のの
ちであっても、すぐれた透明性が維持されている。 B:水中において、40℃から25℃への温度変化のの
ちにわずかに白濁が認められるが、40℃から35℃へ
の温度変化ののちにはすぐれた透明性が維持されてい
る。 C:水中において、40℃から25℃への温度変化のの
ちには白濁がいちじるしく、40℃から35℃への温度
変化ののちであっても白濁が認められる。 D:水中にいて、40℃から35℃への温度変化ののち
であっても、白濁がいちじるしい。 E:温度変化にかかわらず、はじめから材料が白濁して
いて不透明である。
【0069】なお、かかるグリスニング評価は、実際に
眼内レンズを人体の眼内に埋植する眼科手術で生じると
考えられる眼内の温度変化に基づいてなされたものであ
る。すなわち、室温にある眼内レンズを人体の眼内に移
植すると、そののち、炎症により眼内が40℃程度まで
上昇し、これがおさまると、眼内の温度は体温まで回復
して温度下降が生じると思われ、それによって眼内レン
ズでグリスニングが起こるものと考えられる。したがっ
て、このような40℃からたとえば36〜37℃といっ
た通常の体温への温度下降よりもさらに大きな35℃、
25℃への温度下降の際のグリスニングについて調べた
ものである。
【0070】(ハ)柔軟性 乾燥状態の軟質眼内レンズ用材料を、25℃にてピンセ
ットを用いて2つに折りたたんだときの状態を以下の評
価基準に基づいて評価した。
【0071】(評価基準) A:余分な力をかけずにきわめて容易に折りたたむこと
ができる。 B:少し力を入れることによって容易に折りたたむこと
ができる。 C:折りたたむことができるが、かなり余分な力が必要
である。 D:折りたたむことができない。
【0072】(ニ)形状回復性 軟質眼内レンズ用材料をピンセットを用いて2つ折りに
して重ねあわせ、そのままの状態で1分間保持したのち
材料を放したときの状態を以下の評価基準に基づいて評
価した。
【0073】(評価基準) A:もとの形状に回復するのに要した時間が30秒間未
満であった。 B:もとの形状に回復するのに要した時間が30秒間以
上、1分間未満であった。 C:もとの形状に回復するのに要した時間が1分間以
上、3分間未満であった。 D:もとの形状に回復するのに要した時間が3分間以上
であったか、またはもとの形状に回復しなかった。
【0074】
【表3】
【0075】表3に示された結果から、実施例1〜21
でえられた軟質眼内レンズ用材料は、いずれも1.7〜
4.4重量%の吸水率を有するものであり、5〜15℃
の温度下降ののちでもすぐれた透明性が維持されてグリ
スニングが起こっておらず、柔軟性および形状回復性に
もすぐれたものであることがわかる。
【0076】とくに、実施例1〜11および19〜21
においては、親水性モノマー(B)として2−ヒドロキ
シエチルメタクリレートが用いられているので、えられ
た軟質眼内レンズ用材料は、とくに15℃の温度下降の
のちでもグリスニングがまったく起こっていないもので
あることがわかる。
【0077】これに対して、比較例1〜5でえられた軟
質眼内レンズ用材料は、いずれも吸水率が1.5重量%
未満であり、グリスニングの発生がいちじるしいもので
あることがわかる。
【0078】また、比較例6でえられた材料は、吸水率
が4.5重量%をこえており、グリスニングの発生がな
いものの、柔軟性および形状回復性に劣るものであるこ
とがわかる。
【0079】さらに、比較例3および5においては、親
水性モノマー(B)が用いられているにもかかわらずグ
リスニングが生じていることから、親水性モノマー
(B)に基づく単位を有し、かつ吸水率が1.5〜4.
5重量%、とくに1.5重量%以上といった特定の値を
有するばあいに、グリスニングの発生を抑制する効果が
発現されることがわかる。
【0080】つぎに、実施例5および比較例2でえられ
た軟質眼内レンズ用材料からダンベル形状の試験片を作
製し、インストロンジャパン(株)製の引張強度試験機
(Model 4301)を用い、引張速度100mm
/分にてこの試験片の引張試験を行ない、破断時の伸び
率(%)を測定した。
【0081】その結果、実施例5の試験片は143%で
あり、比較例2の試験片は94%であったことから、実
施例5の軟質眼内レンズ用材料は柔軟性にすぐれ、良好
な機械的強度を有するものであることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明の軟質眼内レンズ用材料は、柔軟
性にすぐれ、高屈折率を有することから、レンズを薄く
することができ、折りたたんで小さい切開創から挿入す
ることが可能であり、しかも透明性にすぐれ、かつグリ
スニングが起こらない軟質眼内レンズを与えることがで
きるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河口 徹 愛知県春日井市高森台五丁目1番地10 株 式会社メニコン総合研究所内 Fターム(参考) 4C081 AB22 CA051 CA081 CA171 CB041 CC02 CC05 CD35 CE11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性モノマーを含有した重合成分を重
    合させてえられた重合体からなり、吸水率が1.5〜
    4.5重量%である軟質眼内レンズ用材料。
  2. 【請求項2】 親水性モノマーがアルキル基の炭素数が
    1〜20の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、
    (メタ)アクリルアミドモノマーおよびN−ビニルラク
    タムから選ばれた少なくとも1種のモノマーである請求
    項1記載の軟質眼内レンズ用材料。
  3. 【請求項3】 アルキル基の炭素数が1〜20の水酸基
    含有アルキル(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエ
    チルメタクリレートである請求項2記載の軟質眼内レン
    ズ用材料。
  4. 【請求項4】 重合成分が(A)一般式(I): 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
    が置換基で置換されていてもよい芳香族環、Xは酸素原
    子または直接結合、nは0または1〜5の整数を示す)
    で表わされる芳香族環含有(メタ)アクリレート、
    (B)アルキル基の炭素数が1〜20の水酸基含有アル
    キル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドモ
    ノマーおよびN−ビニルラクタムから選ばれた少なくと
    も1種の親水性モノマー、(C)前記アルキル基の炭素
    数が1〜20の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレー
    ト以外のアルキル基の炭素数が1〜20のアルキル(メ
    タ)アクリレートならびに(D)架橋性モノマーを含有
    したものである請求項1記載の軟質眼内レンズ用材料。
  5. 【請求項5】 (A)一般式(I)で表わされる芳香族
    環含有(メタ)アクリレートがフェノキシエチルアクリ
    レート、フェニルエチルアクリレートおよびベンジルア
    クリレートから選ばれた少なくとも1種である請求項4
    記載の軟質眼内レンズ用材料。
  6. 【請求項6】 アルキル基の炭素数が1〜20の水酸基
    含有アルキル(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエ
    チルメタクリレートである請求項4または5記載の軟質
    眼内レンズ用材料。
  7. 【請求項7】 (C)アルキル基の炭素数が1〜20の
    水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート以外のアルキ
    ル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレー
    トがエチルアクリレートおよび/またはブチルアクリレ
    ートである請求項4、5または6記載の軟質眼内レンズ
    用材料。
  8. 【請求項8】 (D)架橋性モノマーがブタンジオール
    ジ(メタ)アクリレートまたはエチレングリコールジ
    (メタ)アクリレートである請求項4、5、6または7
    記載の軟質眼内レンズ用材料。
  9. 【請求項9】 重合成分が紫外線吸収剤および/または
    色素を含有したものである請求項1、2、3、4、5、
    6、7または8記載の軟質眼内レンズ用材料。
  10. 【請求項10】 色素が黄色ないし橙色の色素である請
    求項9記載の軟質眼内レンズ用材料。
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