JP2003144190A - 光学活性s−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造方法 - Google Patents
光学活性s−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造方法Info
- Publication number
- JP2003144190A JP2003144190A JP2001348620A JP2001348620A JP2003144190A JP 2003144190 A JP2003144190 A JP 2003144190A JP 2001348620 A JP2001348620 A JP 2001348620A JP 2001348620 A JP2001348620 A JP 2001348620A JP 2003144190 A JP2003144190 A JP 2003144190A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydroxy
- carboxylic acid
- tetramethylchroman
- optically active
- tetramethylcumarone
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
(57)【要約】
【課題】 工業薬品、農薬または医薬品の製造中間体と
して有用な光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を製造す
る。 【解決手段】 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルに、Candid
a antarctica菌あるいはCandida antarctica菌由来のリ
パ−ゼを作用させる。 【効果】少ない工程数で簡便で安価に製造することがで
きる。
して有用な光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を製造す
る。 【解決手段】 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルに、Candid
a antarctica菌あるいはCandida antarctica菌由来のリ
パ−ゼを作用させる。 【効果】少ない工程数で簡便で安価に製造することがで
きる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、式(2)で示され
る光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造法に関する。
さらに詳しくは、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テ
トラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを生化学
的に不斉加水分解して対応する光学活性S−6−ヒドロ
キシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カ
ルボン酸を製造する方法に関する。光学活性S−6−ヒ
ドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2
−カルボン酸は、各種工業薬品、農薬、および医薬品の
製造中間体として重要な物質である。 【0002】 【従来の技術】従来、S−6−ヒドロキシ−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の合成
方法としては、(1)6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを動
物肝臓由来のリパ−ゼを用い不斉加水分解する方法(米
国特許第5348973号明細書参照)、(2)6−ヒ
ドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2
−カルボン酸を光学分割する方法として、分割剤に光学
活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを使用
して同種のジアステレオマーを析出させる例が知られて
いる(特開平11−80149公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)の方法は、高価な動物肝臓由来のリパ−ゼを使用
すること、収率が低いため工業的に有利な方法とはいえ
ない。(2)の方法は、高価な光学活性N−ベンジル−
α−フェニルエチルアミンを使用し、分割操作も煩雑で
ある。本発明の目的は、従来技術における上記のような
課題を解決し、光学活性な各種工業薬品、農薬、および
医薬品の製造中間体として非常に重要な光学活性S−6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸を、少ない工程数で安価に製造するた
めの製造法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は、リパ−ゼに
よる不斉加水分解により6−ヒドロキシ−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを
光学分割する方法について鋭意検討を重ねた結果、Cand
ida antarctica菌由来のリパ−ゼが当該エステルに対し
ては特異的に反応活性が極めて高く、さらに立体選択性
に関して優れていることを見いだした。 【0005】即ち、本発明は、一般式(1)で示される
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−2−カルボン酸エステルに、S−クロマンカルボン
酸エステルを立体選択的に加水分解する活性を有するCa
ndida antarctica菌の菌体あるいはCandida antarctica
菌由来のリパ−ゼを作用させて、式(2)で示されるS
−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸を生成せしめることを特徴とする
光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸の製造法に関する。本
発明の反応は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルの生化学的
加水分解反応である。 【0006】 【化3】 ただし、一般式(1)中のR1炭素数1〜4の低級アル
キル基である。 【0007】 【化4】 【0008】 【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細について説明
する。前記の一般式(1)で示される6−ヒドロキシ−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン
酸エステルのR1は炭素数1〜4の低級アルキル基であ
ればよく、好ましくは、R1はメチル基、エチル基であ
る。 【0009】本発明の原料である一般式(1)で示され
る6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸エステルは、R体S体の混合物で
ある。R体とS体の混合比は等しくても異なっていても
よい。その製法および品質等に特に制限はなく、例えば
ラセミ体の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメ
チルクロマン−2−カルボン酸をメタノ−ルもしくはエ
タノ−ルでエステル化する方法、または、1,4−ジヒ
ドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、ホルムア
ルデヒド及びメタアクリル酸の低級アルキルエステルを
触媒の存在下に反応させる方法により、容易に得ること
ができる。 【0010】本発明では、Candida antarctica菌または
Candida antarctica菌由来のリパ−ゼを使用する。この
リパ−ゼとしては、酵素の固定化されたもの、いわゆる
固定化酵素(以下、このリパ−ゼを「固定化リパ−ゼ」
と記す)が好適であり、ノボルディスク社より市販され
ているものが好適に使用できる。この固定化リパ−ゼ
は、動物肝臓由来のリパ−ゼあるいはCandida rugosa菌
由来のリパ−ゼ(リパ−ゼAY、天野製薬(株)製)に
比べて反応活性、特に立体選択性が高い。 【0011】反応は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを水
及びリパ−ゼと効率よく接触させることにより行われ
る。反応には、水飽和した有機溶媒を使用することがで
きる。有機溶媒としては、非プロトン性溶媒が好まし
く、ヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエ−テル等が
特に好適である。 【0012】本発明の6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルの生
化学的加水分解反応の条件は、次の通りである。6−ヒ
ドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2
−カルボン酸エステルの反応混合物中の濃度は、通常
0.5〜5wt%、好ましくは1〜3wt%である。6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸エステルに対する固定化リパ−ゼの使
用量重量比は、通常0.5〜10、好ましくは3〜7で
ある。反応温度は、通常30〜70℃、好ましくは40
〜60℃である。 【0013】本発明の反応で生成した光学活性S−6−
ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
2−カルボン酸は、反応終了液から、例えば遠心分離あ
るいは膜濾過などの通常の固液分離手段によりリパ−ゼ
を除き、濃縮して固形物を得、ジクロルメタン等に溶か
した後、トリエチルアミン等の塩基を加えて、光学活性
S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルク
ロマン−2−カルボン酸をアミン塩として水で抽出し、
その後水溶液を塩酸等で酸性にし、析出または有機溶媒
で抽出するといった方法により、光学活性S−6−ヒド
ロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−
カルボン酸を容易に分離することができる。 【0014】 【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 【0015】参考例1 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−2−カルボン酸メチルの製造 撹拌機、還流冷却器、および温度計を付した500ml
の三ツ口フラスコに、6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(アルドリッ
チ試薬)10g(42.4mM)、7%BF3−メタノ
−ル200mlを加えた。常圧、撹拌下65℃で1時間
の反応後、冷却した。次に、反応混合物をエバポレータ
ーで濃縮し、析出した白色結晶を濾過し、さらにメタノ
−ルで洗浄し、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルの白色結晶
7.3g(29.2mM)を得た。 【0016】実施例1 光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸の製造 撹拌機、還流冷却器および温度計を付した200mlの
三ツ口フラスコに、参考例1により製造した6−ヒドロ
キシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カ
ルボン酸メチル1.0g(4mmol)、固定化リパ−
ゼ(Novozym 435:ノボノルディスク社製)5g、水1.
0gおよびジイソプロピルエ−テル100ml加えて、
60℃で撹拌して24時間不斉加水分解を行った。 【0017】液クロで分析すると、加水分解反応率は3
9.3%であった。固定化リパ−ゼを濾過し、濾液に固
定化リパ−ゼのアセトン洗浄液を加えた後、濃縮して固
形物を得た。この固形物をジクロルメタンに溶かし、6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸に対して過剰モル量のトリエチルアミ
ンを加えた後、水を加えて抽出した。分液した水相に塩
酸を加え酸性にし、析出した結晶を濾過して光学活性S
−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸0.26g(1.1mM)を得
た。 【0018】6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対する収率は
27.5モル%、S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対す
る収率は55モル%であった。また、光学活性S−6−
ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
2−カルボン酸を、光学分割用キラルカラムを用いた液
体クロマトグラフィ−により分析した結果、光学純度は
98%eeであった。 【0019】実施例2 光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸の製造 撹拌機、還流冷却器および温度計を付した200mlの
三ツ口フラスコに、参考例1により製造した6−ヒドロ
キシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カ
ルボン酸メチル1.0g(4mmol)、固定化リパ−
ゼ(Novozym 435:ノボノルディスク社製)5g、水1.
0gおよびジイソプロピルエ−テル100ml加えて、
50℃で撹拌して24時間不斉加水分解を行った。 【0020】液クロで分析すると、加水分解反応率は3
0.0%であった。固定化リパ−ゼを濾過し、濾液に固
定化リパ−ゼのアセトン洗浄液を加えた後、濃縮して固
形物を得た。この固形物をジクロルメタンに溶かし、6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸に対して過剰モル量のトリエチルアミ
ンを加えた後、水を加えて抽出した。分液した水相に塩
酸を加え酸性にし、析出した結晶を濾過して光学活性S
−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸0.21g(0.89mM)を得
た。 【0021】6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対する収率は
22.2モル%、S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対す
る収率は44.5モル%であった。また、光学活性S−
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−2−カルボン酸を、光学分割用キラルカラムを用い
た液体クロマトグラフィ−により分析した結果、光学純
度は98.5%eeであった。 【0022】 【発明の効果】光学活性な各種工業薬品、農薬または医
薬品の製造中間体として非常に有用な光学活性S−6−
ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
2−カルボン酸を、少ない工程数で安価に製造すること
ができる。
る光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造法に関する。
さらに詳しくは、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テ
トラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを生化学
的に不斉加水分解して対応する光学活性S−6−ヒドロ
キシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カ
ルボン酸を製造する方法に関する。光学活性S−6−ヒ
ドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2
−カルボン酸は、各種工業薬品、農薬、および医薬品の
製造中間体として重要な物質である。 【0002】 【従来の技術】従来、S−6−ヒドロキシ−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の合成
方法としては、(1)6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを動
物肝臓由来のリパ−ゼを用い不斉加水分解する方法(米
国特許第5348973号明細書参照)、(2)6−ヒ
ドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2
−カルボン酸を光学分割する方法として、分割剤に光学
活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを使用
して同種のジアステレオマーを析出させる例が知られて
いる(特開平11−80149公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)の方法は、高価な動物肝臓由来のリパ−ゼを使用
すること、収率が低いため工業的に有利な方法とはいえ
ない。(2)の方法は、高価な光学活性N−ベンジル−
α−フェニルエチルアミンを使用し、分割操作も煩雑で
ある。本発明の目的は、従来技術における上記のような
課題を解決し、光学活性な各種工業薬品、農薬、および
医薬品の製造中間体として非常に重要な光学活性S−6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸を、少ない工程数で安価に製造するた
めの製造法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は、リパ−ゼに
よる不斉加水分解により6−ヒドロキシ−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを
光学分割する方法について鋭意検討を重ねた結果、Cand
ida antarctica菌由来のリパ−ゼが当該エステルに対し
ては特異的に反応活性が極めて高く、さらに立体選択性
に関して優れていることを見いだした。 【0005】即ち、本発明は、一般式(1)で示される
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−2−カルボン酸エステルに、S−クロマンカルボン
酸エステルを立体選択的に加水分解する活性を有するCa
ndida antarctica菌の菌体あるいはCandida antarctica
菌由来のリパ−ゼを作用させて、式(2)で示されるS
−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸を生成せしめることを特徴とする
光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸の製造法に関する。本
発明の反応は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルの生化学的
加水分解反応である。 【0006】 【化3】 ただし、一般式(1)中のR1炭素数1〜4の低級アル
キル基である。 【0007】 【化4】 【0008】 【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細について説明
する。前記の一般式(1)で示される6−ヒドロキシ−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン
酸エステルのR1は炭素数1〜4の低級アルキル基であ
ればよく、好ましくは、R1はメチル基、エチル基であ
る。 【0009】本発明の原料である一般式(1)で示され
る6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸エステルは、R体S体の混合物で
ある。R体とS体の混合比は等しくても異なっていても
よい。その製法および品質等に特に制限はなく、例えば
ラセミ体の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメ
チルクロマン−2−カルボン酸をメタノ−ルもしくはエ
タノ−ルでエステル化する方法、または、1,4−ジヒ
ドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、ホルムア
ルデヒド及びメタアクリル酸の低級アルキルエステルを
触媒の存在下に反応させる方法により、容易に得ること
ができる。 【0010】本発明では、Candida antarctica菌または
Candida antarctica菌由来のリパ−ゼを使用する。この
リパ−ゼとしては、酵素の固定化されたもの、いわゆる
固定化酵素(以下、このリパ−ゼを「固定化リパ−ゼ」
と記す)が好適であり、ノボルディスク社より市販され
ているものが好適に使用できる。この固定化リパ−ゼ
は、動物肝臓由来のリパ−ゼあるいはCandida rugosa菌
由来のリパ−ゼ(リパ−ゼAY、天野製薬(株)製)に
比べて反応活性、特に立体選択性が高い。 【0011】反応は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを水
及びリパ−ゼと効率よく接触させることにより行われ
る。反応には、水飽和した有機溶媒を使用することがで
きる。有機溶媒としては、非プロトン性溶媒が好まし
く、ヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエ−テル等が
特に好適である。 【0012】本発明の6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルの生
化学的加水分解反応の条件は、次の通りである。6−ヒ
ドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2
−カルボン酸エステルの反応混合物中の濃度は、通常
0.5〜5wt%、好ましくは1〜3wt%である。6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸エステルに対する固定化リパ−ゼの使
用量重量比は、通常0.5〜10、好ましくは3〜7で
ある。反応温度は、通常30〜70℃、好ましくは40
〜60℃である。 【0013】本発明の反応で生成した光学活性S−6−
ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
2−カルボン酸は、反応終了液から、例えば遠心分離あ
るいは膜濾過などの通常の固液分離手段によりリパ−ゼ
を除き、濃縮して固形物を得、ジクロルメタン等に溶か
した後、トリエチルアミン等の塩基を加えて、光学活性
S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルク
ロマン−2−カルボン酸をアミン塩として水で抽出し、
その後水溶液を塩酸等で酸性にし、析出または有機溶媒
で抽出するといった方法により、光学活性S−6−ヒド
ロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−
カルボン酸を容易に分離することができる。 【0014】 【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 【0015】参考例1 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−2−カルボン酸メチルの製造 撹拌機、還流冷却器、および温度計を付した500ml
の三ツ口フラスコに、6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(アルドリッ
チ試薬)10g(42.4mM)、7%BF3−メタノ
−ル200mlを加えた。常圧、撹拌下65℃で1時間
の反応後、冷却した。次に、反応混合物をエバポレータ
ーで濃縮し、析出した白色結晶を濾過し、さらにメタノ
−ルで洗浄し、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルの白色結晶
7.3g(29.2mM)を得た。 【0016】実施例1 光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸の製造 撹拌機、還流冷却器および温度計を付した200mlの
三ツ口フラスコに、参考例1により製造した6−ヒドロ
キシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カ
ルボン酸メチル1.0g(4mmol)、固定化リパ−
ゼ(Novozym 435:ノボノルディスク社製)5g、水1.
0gおよびジイソプロピルエ−テル100ml加えて、
60℃で撹拌して24時間不斉加水分解を行った。 【0017】液クロで分析すると、加水分解反応率は3
9.3%であった。固定化リパ−ゼを濾過し、濾液に固
定化リパ−ゼのアセトン洗浄液を加えた後、濃縮して固
形物を得た。この固形物をジクロルメタンに溶かし、6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸に対して過剰モル量のトリエチルアミ
ンを加えた後、水を加えて抽出した。分液した水相に塩
酸を加え酸性にし、析出した結晶を濾過して光学活性S
−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸0.26g(1.1mM)を得
た。 【0018】6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対する収率は
27.5モル%、S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対す
る収率は55モル%であった。また、光学活性S−6−
ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
2−カルボン酸を、光学分割用キラルカラムを用いた液
体クロマトグラフィ−により分析した結果、光学純度は
98%eeであった。 【0019】実施例2 光学活性S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸の製造 撹拌機、還流冷却器および温度計を付した200mlの
三ツ口フラスコに、参考例1により製造した6−ヒドロ
キシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カ
ルボン酸メチル1.0g(4mmol)、固定化リパ−
ゼ(Novozym 435:ノボノルディスク社製)5g、水1.
0gおよびジイソプロピルエ−テル100ml加えて、
50℃で撹拌して24時間不斉加水分解を行った。 【0020】液クロで分析すると、加水分解反応率は3
0.0%であった。固定化リパ−ゼを濾過し、濾液に固
定化リパ−ゼのアセトン洗浄液を加えた後、濃縮して固
形物を得た。この固形物をジクロルメタンに溶かし、6
−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン
−2−カルボン酸に対して過剰モル量のトリエチルアミ
ンを加えた後、水を加えて抽出した。分液した水相に塩
酸を加え酸性にし、析出した結晶を濾過して光学活性S
−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−2−カルボン酸0.21g(0.89mM)を得
た。 【0021】6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対する収率は
22.2モル%、S−6−ヒドロキシ−2,5,7,8
−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルに対す
る収率は44.5モル%であった。また、光学活性S−
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−2−カルボン酸を、光学分割用キラルカラムを用い
た液体クロマトグラフィ−により分析した結果、光学純
度は98.5%eeであった。 【0022】 【発明の効果】光学活性な各種工業薬品、農薬または医
薬品の製造中間体として非常に有用な光学活性S−6−
ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
2−カルボン酸を、少ない工程数で安価に製造すること
ができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】一般式(1)で示される6−ヒドロキシ−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン
酸エステルのR体S体混合物を立体選択的に加水分解し
て、式(2)で示されるS−6−ヒドロキシ−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を立体
選択的に生成せしめる際に、Candidaantarctica菌ある
いはCandida antarctica菌由来のリパ−ゼを作用させる
ことを特徴とする、光学活性S−6−ヒドロキシ−2,
5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の
製造法。 【化1】 ただし、一般式(1)中のR1炭素数1〜4の低級アル
キル基である。 【化2】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001348620A JP2003144190A (ja) | 2001-11-14 | 2001-11-14 | 光学活性s−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001348620A JP2003144190A (ja) | 2001-11-14 | 2001-11-14 | 光学活性s−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003144190A true JP2003144190A (ja) | 2003-05-20 |
Family
ID=19161416
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001348620A Pending JP2003144190A (ja) | 2001-11-14 | 2001-11-14 | 光学活性s−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003144190A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004108944A1 (ja) * | 2003-06-04 | 2004-12-16 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | 光学活性クロマンカルボン酸エステルの製造方法 |
-
2001
- 2001-11-14 JP JP2001348620A patent/JP2003144190A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004108944A1 (ja) * | 2003-06-04 | 2004-12-16 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | 光学活性クロマンカルボン酸エステルの製造方法 |
JPWO2004108944A1 (ja) * | 2003-06-04 | 2006-07-20 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 光学活性クロマンカルボン酸エステルの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2294207B1 (en) | Process for the stereoselective enzymatic hydrolysis of 5-methyl-3-nitromethyl-hexanoic acid ester | |
US6613934B1 (en) | Enantiomerically enriched malonic acid monoesters substituted by a tertiary hydrocarbon radical, and their preparation | |
JP2003144190A (ja) | 光学活性s−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の製造方法 | |
US20110251407A1 (en) | Process for production of optically active organic carboxylic acid | |
JP4843813B2 (ja) | 酵素を用いるR−体又はS−体のα−置換ヘテロサイクリックカルボン酸及びこれと反対鏡像の鏡像異性体のα−置換ヘテロサイクリックカルボン酸エステルの調製方法 | |
JP3819082B2 (ja) | 光学活性3−n置換アミノイソ酪酸類およびその塩ならびにそれらの製造方法 | |
US6455302B1 (en) | Method for optically resolving a racemic α-substituted heterocyclic carboxylic acid using enzyme | |
JP4225694B2 (ja) | アミノアルコール類とのエステル交換による3−フェニルグリシド酸エステル類の酵素的速度論的分割方法 | |
CA2574625A1 (en) | Process for the preparation of (2r, 3r)-2-hydroxy-3-amino-3-aryl-propionamide and (2r, 3r)-2-hydroxy-3-amino-3-aryl-propionic acid alkyl ester | |
JP3704731B2 (ja) | 光学活性3−ヒドロキシヘキサン酸類の製造方法 | |
JP2002171994A (ja) | 光学活性なテトラヒドロフラン−2−カルボン酸またはその対掌体エステルの製造方法 | |
JP6287528B2 (ja) | 光学活性3,3−ジフルオロ乳酸誘導体の製造方法 | |
JP5329973B2 (ja) | リパーゼ触媒を用いるエナンチオ選択的アシル化とその後の硫酸による沈殿によって、ラセミ体の4−(1−アミノエチル)安息香酸メチルエステルから(r)−および(s)−4−(1−アンモニウムエチル)安息香酸メチルエステル硫酸塩を調製する方法 | |
JP2002065286A (ja) | 光学活性(r)‐1‐インダンアミド誘導体およびその製造方法 | |
JPH08119958A (ja) | 光学活性クロマン化合物の製造方法 | |
JP3010382B2 (ja) | (r)−2−プロポキシベンゼン誘導体の製造法 | |
JP4461642B2 (ja) | 光学活性トランス−2−オキソ−4−オキサゾリジンカルボン酸及びエステル類の製造方法 | |
JP2004321006A (ja) | 光学活性2−ピペラジンカルボン酸の製造方法 | |
JP2010505417A (ja) | (3)−アミノ−3−アリールプロピオン酸エステルのn−非保護(r)−エステルの特異的加水分解 | |
JPH1198999A (ja) | 光学活性2−アルカノールの製造方法 | |
JP2006000006A (ja) | 光学活性2−アルキル−d−システインエステルの製造方法 | |
JP2004350522A (ja) | 光学活性エステルおよび/または光学活性カルボン酸の製造方法 | |
WO2008072764A1 (ja) | 光学活性(r又はs)-ピペリジン-3-カルボン酸化合物及び光学活性(s又はr)-ピペリジン-3-カルボン酸アルキルエステル化合物の製造方法 | |
JPH08119957A (ja) | 光学活性クロマン化合物の製造法 | |
JP2006219494A (ja) | 光学活性3−n置換アミノイソ酪酸類およびその塩ならびにそれらの製造方法 |