JP2003139660A - マイクロ流体デバイス及びその製造方法 - Google Patents

マイクロ流体デバイス及びその製造方法

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JP2003139660A JP2001338483A JP2001338483A JP2003139660A JP 2003139660 A JP2003139660 A JP 2003139660A JP 2001338483 A JP2001338483 A JP 2001338483A JP 2001338483 A JP2001338483 A JP 2001338483A JP 2003139660 A JP2003139660 A JP 2003139660A
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孝典 穴澤
Atsushi Teramae
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 マイクロ流体デバイスを構成する少なくとも
2つの部材が接触しているが接着されていない微小な非
接着部を有するマイクロ流体デバイスを提供すること。 【解決手段】 構成要素として含む2つの部材の少なく
とも一方が、少なくとも部材の一方の表面に達し、か
つ、流体の流路をなす欠損部を有し、両部材が欠損部形
成面を接触面として接着され、かつ、前記部材の一方の
非欠損部の一部に対して前記部材の他方が非接着部とさ
れ、常態において、前記非接着部が前記非欠損部の一部
に当接して前記流路を遮断し、該非接着部を変形させた
ときに、該流路が導通する構成とされているマイクロ流
体デバイスを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に微小な流体
流路を有するマイクロ流体デバイス、例えば、化学、生
化学、又は物理化学等の広い分野で用いられる、微小反
応デバイス(マイクロ・リアクター)や、集積型DNA
分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微小クロマトグ
ラフィーデバイスとして有用な、内部に微小な空間を有
し、例えば部材中に流路、反応槽、電気泳動カラム、膜
分離機構、及びセンサーなどの構造が形成された微小分
析デバイス、マイクロアレイ製造用ノズルなどのマイク
ロ流体デバイス、及びその製造方法に関する。
【0002】更に詳しくは、少なくとも2つの部材が接
触しているが接着していない非接着部を有するマイクロ
流体デバイスに関する。本発明は特に、ダイヤフラムや
弁構造を有するマイクロ流体デバイスに関する。
【0003】更に、本発明は、マイクロ流体デバイスを
構成する部材のうち少なくとも1つのエネルギー線硬化
性組成物を素材とする接着性を有する部材、又は、マイ
クロ流体デバイスを構成する部材に塗布して相互に接着
するエネルギー線硬化性組成物を素材とする接着剤を使
用し、両部材を接触させて接着する前に、エネルギー線
硬化性組成物の一部に選択的に活性エネルギー線を照射
して照射部分を非接着性とすることにより、2つの部材
が接触しているが接着していない非接着部を有するマイ
クロ流体デバイスの製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】「サイエンス(SCIENCE)」誌
(第288巻、113頁、2000年)には、熱硬化性
樹脂であるシリコンゴムを使用して、注型法にて表面に
溝を有する部材を形成し、2つの該部材でシリコンゴム
シートを挟んで接着することによって、立体交差する毛
細管状の流路を形成する方法が記載されている。この方
法により製造されるマイクロ流体デバイスでは、シリコ
ンゴムシートを変位させることにより流路の開閉を行う
ようにしている。
【0005】しかしながら、これらの構造はバルブにし
てもポンプにしても、常時開であるため、マイクロ流体
デバイスを多数並列稼働させる際には、非常に多くの駆
動部を常時稼働させておく必要があった。また、これら
の部材は、表面に設けられた欠損部以外の全面で接着し
ており、同様の方法で隣接する部材と接触しているが接
着していない非接着部をその一部に設けることは出来な
かった。即ち、このような積層接着法で、例えば隣接す
る部材と常時接触している弁やダイヤフラムのような構
造を製造することは出来なかった。弁やダイヤフラム
を、隣接する部材と接触しているが接着していない状態
に形成することは、これらが通常の寸法の場合には、非
接着とする部分以外の部分に接着剤を塗布して接着する
ことで目的を達することが出来る。しかし、非接着とす
る部分が微小である場合には、工業的にこの方法を利用
することは実際上不可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、互いに接着されている、マイクロ流体デバ
イスを構成する少なくとも2つの部材が、接触している
が接着していない非接着部を有するマイクロ流体デバイ
スを提供することにある。本発明の課題は、特に、隣接
する部材と接触しているが接着されていない微小な弁や
ダイヤフラム構造を有するマイクロ流体デバイスを提供
することにあり、これらの構造を有するバルブやポンプ
機構が形成されたマイクロ流体デバイスを提供すること
にあり、特に、外部から操作を加えない状態で流路を閉
に保つバルブやポンプ機能を有するマイクロ流体デバイ
スを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する方法について鋭意検討した結果、接触してい
るが接着していない非接着部を形成できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、構成要素として含む2つ
の部材、即ち部材(J)、部材(K)の少なくとも一方、即ち
部材(J)が、少なくとも部材の一方の表面に達し、か
つ、流体の流路をなす欠損部を有し、両部材が欠損部形
成面を接触面として接着され、かつ、前記部材の一方、
即ち部材(J)の非欠損部の一部に対して前記部材の他
方、即ち部材(K)が非接着部とされ、常態において、前
記非接着部が前記非欠損部の一部に当接して前記流路を
遮断し、該非接着部を変形させたときに、該流路が導通
する構成とされていることを特徴とするマイクロ流体デ
バイスを提供する。
【0009】本発明は、前記欠損部が溝、孔、開口部、
切目のいずれかである、マイクロ流体デバイスや、前記
両部材が欠損部形成面を接触面として、エネルギー線硬
化性の接着剤層を介して接着されている、マイクロ流体
デバイスを提供する。また、本発明は、前記両部材、即
ち部材(J)、部材(K)の少なくとも一方がエネルギー線硬
化性樹脂で形成されており、部材(J)の欠損部形成面に
部材(K)が互いに接触して接着剤を用いずに接着されて
いる、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0010】本発明は、接着剤を用いる場合の流路の断
面積が1×10-102 〜1×10- 62である、マイク
ロ流体デバイスや、接着剤を用いない場合の流路の断面
積が1×10-122 〜1×10-62である、マイクロ
流体デバイスを提供する。本発明は、硬化した接着剤層
を介して接着された前記両部材間の接触しているが接着
していない非接着部の面積が、1×10-102 〜1×
10-52である、マイクロ流体デバイスや、部材(J)と
部材(K)との接触しているが接着していない非接着部の
面積が、1×10-102 〜1×10-52である、マイ
クロ流体デバイスを提供する。
【0011】本発明は、構成要素として含む2つの部
材、即ち部材(J)、部材(K)の少なくとも一方が、厚さが
1〜1000μmのシート状の部材である、マイクロ流
体デバイスや、部材(J)、部材(K)の少なくとも一方が、
厚さが1〜1000μmのシート状の部材である、マイ
クロ流体デバイスや、接着剤層の厚さが、該接着剤層に
より接着される部材の厚さの1/10以下である、マイ
クロ流体デバイスを提供する。本発明は、部材(J)と部
材(K)が接触しているが接着していない非接着部が、部
材(J)、部材(K)の一方又は両方に形成された、弁部分又
はダイヤフラム部分である、マイクロ流体デバイスや、
欠損部を有する部材が、部材の一部に、周囲部分の一部
を欠損部とすることにより、弁となる構造が設けられた
部材であり、該部材が他方の部材と接着剤層を介して接
触しているが接着していない非接着部が弁の部分であ
る、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0012】本発明は、部材(K)に、該部材の一部に、
周囲部分の一部を欠損部とすることにより弁となる構造
が設けられており、該部材が部材(J)と接触しているが
接着していない非接着部が弁の部分である、マイクロ流
体デバイスを提供する。本発明は、弁が逆止弁を構成す
る弁である、マイクロ流体デバイスや、逆止弁がダイヤ
フラム式ポンプを構成する逆止弁であるマイクロ流体デ
バイスを提供する。
【0013】本発明は、シート状の部材の、他方の部材
と接着剤層を介して接触しているが接着していない非接
着部がダイヤフラムとなり、該接着していない両部材間
の部分が、常態において体積ゼロであり、ダイヤフラム
の変形によって容積を有する空間となる、マイクロ流体
デバイスや、部材(K)の、部材(J)と接触しているが接着
していない非接着部がダイヤフラムとなり、該接着して
いない両部材間の部分が、常態において体積がゼロであ
り、ダイヤフラムが変形して容積を有する空間となる、
マイクロ流体デバイスを提供する。
【0014】本発明は、ダイヤフラムがダイヤフラム式
ポンプを構成するダイヤフラムである、マイクロ流体デ
バイスや、ダイヤフラムを構成する部材に接着された他
方の部材の、ダイヤフラムに相対する部分に、部材の表
面に達する一つ以上の欠損部を有し、該欠損部の開口部
が、ダイヤフラム室への流入又は流出口、又はその両者
となり、該流入口又は流出口又はその両者が、常態にお
いてダイヤフラムに接していて流路が閉状態であり、ダ
イヤフラムの変形により流路が開となる、マイクロ流体
デバイスを提供する。
【0015】本発明は、ダイヤフラムを構成する部材に
接着された他方の部材の、ダイヤフラムに相対する部分
に、部材の表面に達する2つ以上の欠損部を有し、該欠
損部の部材表面への開口部が、ダイヤフラム室への流入
及び流出口となり、該流入口及び流出口が常態において
ダイヤフラムにより塞がれていて流路が閉状態であり、
ダイヤフラムの変形により流路が開となる、マイクロ流
体デバイスを提供する。
【0016】更に、本発明は、少なくとも部材一方の表
面に達する欠損部を有する部材と、他の部材の、一方又
は両方にエネルギー線硬化性の接着剤を塗布し、接着剤
層の一部に選択的に活性エネルギー線を照射して照射部
分の接着剤層を硬化させて非接着性とし、その後、両部
材を接着剤層を介して接触させ、その状態で活性エネル
ギー線を照射して接着剤を硬化させて、欠損部を接着剤
で閉塞することなく流体の流路と成すと共に、両部材を
接着し、接着面の一部に、硬化した接着剤層を介して両
部材が互いに接触しているが接着していない非接着部を
形成することを特徴とするマイクロ流体デバイスの製造
方法を提供する。本発明は、エネルギー線硬化性の接着
剤が、(メタ)アクリロイル基含有化合物又はマレイミ
ド基含有化合物を含有するものである、マイクロ流体デ
バイスの製造方法を提供する。
【0017】本発明は、(1)(a)エネルギー線硬化
性組成物の賦形物に活性エネルギー線を不十分な量だけ
照射することによって、流動性は喪失するが接着性は残
存している半硬化物として形成し、該半硬化した部材の
一部に、選択的に活性エネルギー線を照射して照射部分
のエネルギー線硬化性組成物を硬化させて非接着性の硬
化部位を形成すること、又は、(b)エネルギー線硬化
性組成物の賦形物の一部に選択的に活性エネルギー線を
照射して照射部分の該賦形物を硬化させて非接着性の硬
化部位を形成し、次いで該賦形物に活性エネルギー線を
不十分な量だけ照射することによって、硬化部位以外の
部分を流動性は喪失するが接着性は残存している半硬化
状態とすること、によって、部材表面の一部に非接着性
の硬化部位が形成された半硬化状態の部材(K)を形成
し、
【0018】(2)その後、該半硬化状態の部材(K)
を、表面に達する欠損部を有する部材(J)の欠損部形成
面に接触させ、その状態で活性エネルギー線を照射し
て、半硬化状態の部材(K)を硬化させて部材(J)と接着
し、非接着性の硬化部位を非接着部位として残すことに
よって、接着面の一部に、両部材が互いに接触している
が接着していない非接着部を形成することを特徴とする
マイクロ流体デバイスの製造方法を提供する。
【0019】本発明は、(1’)(a’)エネルギー線
硬化性組成物の賦形物に活性エネルギー線を不十分な量
だけパターニング照射することによって、照射部分を流
動性は喪失するが接着性は残存している半硬化状態と
し、次いで、該半硬化したエネルギー線硬化性組成物で
形成された部材の一部に、選択的に活性エネルギー線を
照射して照射部分のエネルギー線硬化性組成物を硬化さ
せて非接着性の硬化部位を形成とし、非照射部の未硬化
のエネルギー線硬化性組成物を除去して、部材表面に達
する欠損部を形成すること、
【0020】(b’)エネルギー線硬化性組成物の賦形
物に活性エネルギー線を不十分な量だけパターニング照
射することによって、照射部分を流動性は喪失するが接
着性は残存している半硬化状態とし、非照射部の未硬化
のエネルギー線硬化性組成物を除去して、部材表面に達
する欠損部を形成し、次いで、該半硬化したエネルギー
線硬化性組成物で形成された部材の一部に、選択的に活
性エネルギー線を照射して照射部分のエネルギー線硬化
性組成物を硬化させて非接着性の硬化部位を形成するこ
と、
【0021】(c’)エネルギー線硬化性組成物の賦形
物の一部に選択的に活性エネルギー線を照射して照射部
分のエネルギー線硬化性組成物を硬化させて非接着性の
硬化部位を形成し、次いで該賦形物に活性エネルギー線
を不十分な量だけパターニング照射することによって、
硬化部位以外の照射部分を流動性は喪失するが接着性は
残存している半硬化状態とし、非照射部の未硬化のエネ
ルギー線硬化性組成物を除去して、表面に達する欠損部
を形成すること、のいずれかの方法によって、部材表面
に達する欠損部と、部材表面の一部に非接着性の硬化部
位が形成された部材(J)を形成し、
【0022】(2’)その後、該部材の欠損部形成面に
他の部材(K)を接触させ、その状態で活性エネルギー線
を照射して、半硬化状態の部材(J)を硬化させて両部材
を接着し、接着面の一部に両部材が互いに接触している
が接着していない非接着部を形成することを特徴とする
マイクロ流体デバイスの製造方法、及び上記の本発明の
マイクロ流体デバイスを製造するマイクロ流体デバイス
の製造方法を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のマイクロ流体デバイス
は、少なくとも部材の一方の表面に達し、かつ、流体の
流路をなす欠損部を有する部材、即ち部材(J)の欠損部
形成面に他の部材、即ち部材(K)が接着剤を用いて接着
される方法又は接着剤を用いずに接着される方法により
互いに接着され、部材(J)の欠損部と部材(K)でもって、
流体の流路が形成されている。なお、本発明において
は、二つの部材が接着剤を介して接着されている場合で
あっても、互いに接着されている両部材が「接してい
る」又は「隣接する」と称する場合がある。
【0024】ここで言う流路とは、流体が流れる、或い
は流体を介して圧力が伝達される空間を言い、流体移送
用の流路の他、例えば、流入出口、バルブ室、ポンプ
室、貯液槽、反応槽、液−液接触部、クロマトグラフィ
ーや電気泳動の展開路、加圧タンク、減圧タンク、圧力
検出部、流量検出部、濃度その他の検出部、ベント、な
どの空間として使用するものの全部又は一部であり得
る。流路の形状は、用途目的に応じて任意に設定でき
る。流路は、マイクロ流体デバイス外部に対して開口し
ていても良いし、していなくても良い。流体の進行方向
に直交する流路の断面積は、接着剤を使用しない場合に
は、1×10-122〜1×10-62であることが好ま
しく、1×10-112 〜1×10-72であることが更
に好ましい。流路の断面積が、これより小さいと、形成
が困難となる。接着剤を使用する場合には、1×10
-102 〜1×10-62であることが好ましく1×10
-92 〜1×10-72であることが更に好ましい。こ
れより小さいと接着剤で閉塞し易くなる。また、接着剤
の使用、不使用どちらの場合にも、流路の断面積がこれ
より大きいと、マイクロ流体デバイスとしての利点が失
われがちとなる。流路断面の形状も任意であり、円、矩
形(角の丸い矩形を含む。以下同じ)、台形、半円形、
スリット状などであり得る。
【0025】部材(J)の形状は特に限定する必要はな
く、用途目的に応じた形状を採りうる。例えば、シート
状(フィルム法、リボン状、薄膜状などを含む。以下同
じ)、板状、塗膜状、棒状、チューブ状、その他複雑な
形状の成型物などであり得るが、成形し易く、他の部材
(K)と接着し易いといった面から、接着すべき面が平面
状又は2次曲面状であることが好ましく、シート状又は
板状であることがさらに好ましく、厚さが1〜1000
μmのシート状の部材であることが最も好ましい。
【0026】図1から図4は、この発明に係る第1の実
施形態を示す図である。これらの図に示すマイクロ流体
デバイスは、チェックバルブ又は開閉バルブとして機能
するものであり、それぞれシート状に形成された第1の
部材(1)及び第2の部材(4)を主な構成要素として
いる。第1の部材(1)には、図3に示すように、流体
の流路となる欠損部としての溝(2)、(3)が形成さ
れており、この溝(2)と溝(3)との間には非欠損部
(13)が形成されている。また、第2の部材(4)に
は、図4に示すように、貫通孔(6)、(7)が形成さ
れており、貫通孔(6)、(7)の周辺部には、図1、
図2に示すように、円柱体にフランジ状部が形成されて
いるルアーフィッティング(8)、(9)が接着されて
いる。第1の部材(1)と第2の部材(4)とは、後述
するように、接着剤を用いて接着する方法、又は接着剤
を用いずに接着する方法により互いに接着されている。
ただし、非欠損部(13)近傍においては、非接着部
(5)とされている。これら第1の部材(1)、第2の
部材(4)の少なくとも一方は、後述するように、弾性
変形可能な重合体からなっている。
【0027】この構成からなるマイクロ流体デバイス
は、例えば、図1に示すように、一方の貫通孔(6)か
ら、溝(2)および溝(3)を通じて、他方の貫通孔
(7)に流体を流通又は遮断する際に用いられる。この
マイクロ流体デバイスは、常態において、非接着部
(5)が非欠損部(13)の一部に当接して溝(2)と
溝(3)とに遮断しているため、溝(2)と溝(3)と
の間に流体は流通しない。一方、非接着部(5)を弾性
変形させた際には、溝(2)と溝(3)とが連通するた
め、溝(2)と溝(3)との間に流体の流通が行われ
る。チェックバルブとして機能させる場合には、溝
(2)にある流体に非接着部(5)を弾性変形し得る圧
力をかけることにより、非接着部(5)が弾性変形し、
溝(2)と溝(3)とが連通し、溝(2)から溝(3)
に流体が流れることになる。
【0028】また、開閉バルブとして機能させる場合に
は、図9、図10に示すように、マイクロ流体デバイス
の外部に非接着部(5)を弾性変形させるための駆動機
構(50)により、溝(2)と溝(3)とを連通させ
る。即ち、この駆動機構(50)は、非接着部(5)の
表面に固定された磁性体(51)、磁性体(51)の上
方に配置される磁石(52)および磁石(52)を上下
に駆動するための駆動装置(54)からなっている。こ
の駆動機構(50)を起動することにより、この磁石
(52)が下方に進出して磁性体(51)に接近し、図
10に示すように、磁性体(51)が磁石(52)に吸
着すると共に、非接着部(5)が弾性変形し、溝(2)
と溝(3)とが連通し、溝(2)と溝(3)との間に流
体が流れることになる。
【0029】図5から図8は、この発明に係る第2の実
施形態を示す図である。これらの図に示す実施形態は、
図1から図4に示すマイクロ流体デバイスと基本的構成
が同一であるため、構成要素と同一の部分については同
一の符号を付し、その説明を省略する。この実施形態が
前述した実施形態と異なる点は、マイクロ流体デバイス
は、ダイヤフラム式ポンプとして機能する点にあり、第
2の部材(4)の貫通孔(7)を弁(12)に構成した
点にある。
【0030】即ち、第2の部材(10)のルアーフィッ
ティング(9)が設けられている部分には、欠損部とし
ての切目(11)が形成されており、この切目(11)
により区画された部分が、舌片状の弁(12)を構成し
ている。この弁(12)は、常態において、開口部(1
4)を封止しており、図8に示すように、この弁(1
2)が上方に変形されたときに、この開口部(14)の
上下間が連通し、流体が流通できるようになっている。
この構成においては、図9、図10に示す駆動機構(5
0)が同様に設けられる。ただし、この駆動機構(5
0)を起動させた際には、間欠的に磁性体が上下に移動
することになる。
【0031】この構成からなるマイクロ流体デバイスを
使用する場合には、図9、図10に示す駆動機構(5
0)を起動することにより、非接着部(5)が間欠的に
弾性変形し、弁(12)が変形して流通させ、ルアーフ
ィッティング(8)からルアーフィッティング(9)に
流体が流通することになる。即ち、非接着部(5)を弾
性変形させた際には、溝(2)、(3)内の圧力が低下
すると共に、弁(12)が第1の部材(1)表面に密着
する状態となるため、ルアーフィッティング(8)側か
ら溝(2)、(3)内に流体が流れ込む。この状態か
ら、非接着部(5)を非欠損部(13)に当接させた際
には、図8に示すように、溝(3)内の圧力が上昇する
と共に、弁(12)が上方に変形して、弁(12)の一
部が第1の部材(1)の表面から離間する状態となるた
め、ルアーフィッティング(9)側に流体が流れ出すこ
とになる。なお、溝(2)には流入側の逆向きに作動す
る弁が設けられていないが、非接着部(5)を弾性変形
させた状態から、非接着部(5)を非欠損部(13)に
当接させた際には、溝(2)の圧力損失が十分大きく、
溝(3)内の圧力が上昇するため、上述のように、ルア
ーフィッティング(9)側に流体が流れ出す。
【0032】以下、接着剤を用いて接着する場合につい
て説明する。部材(J)の素材は、エネルギー線硬化性接
着剤で接着可能なものであれば特に制約はない。部材
(J)の素材として使用可能なものとしては、例えば、重
合体、ガラス、石英の如き結晶、セラミック、シリコン
の如き半導体、金属などが挙げられるが、これらの中で
も、易成形性、高生産性、低価格などの点から重合体
(ポリマー)が特に好ましい。
【0033】部材(J)は支持体上に形成されたものであ
ってもよい。この場合の支持体の素材は任意であり、例
えば、重合体、ガラス、セラミック、金属、半導体など
であって良い。支持体の形状も任意であり、例えば、板
状物、シート状物、塗膜、棒状物、紙、布、不織布、多
孔質体、射出成型品等であって良い。該支持体は、本マ
イクロ流体デバイスと一体化されるものであっても、形
成後に除去されるものであっても良い。複数のマイクロ
流体デバイスを1つの部材(J)上に形成することも可能
であるし、製造後、これらを切断して複数のマイクロ流
体デバイスとすることも可能である。
【0034】部材(J)に使用する重合体は、単独重合体
であっても、共重合体であっても良く、また、熱可塑性
重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い。生
産性の面から、部材(J)に使用する重合体は、熱可塑性
重合体又はエネルギー線硬化性の架橋重合体であること
が好ましい。
【0035】部材(J)に使用できる重合体としては、例
えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ
スチレン/マレイン酸共重合体、ポリスチレン/アクリ
ロニトリル共重合体の如きスチレン系重合体;ポルスル
ホン、ポリエーテルスルホンの如きポリスルホン系重合
体;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル
の如き(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系重
合体;ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビスフェ
ノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ系ポリ
カーボネートなどのポリカーボネート系重合体;
【0036】ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4
−メチルペンテン−1の如きポリオレフィン系重合体;
塩化ビニル、塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢
酸セルロース、メチルセルロースの如きセルロース系重
合体;ポリウレタン系重合体;ポリアミド系重合体;ポ
リイミド系重合体;ポリ−2,6−ジメチルフェニレン
オキサイド、ポリフェニレンサルファイドの如きポリエ
ーテル系又はポリチオエーテル系重合体;ポリエーテル
エーテルケトンの如きポリエーテルケトン系重合体;ポ
リエチレンテレフタレート、ポリアリレートの如きポリ
エステル系重合体;エポキシ樹脂;ウレア樹脂;フェノ
ール樹脂;ポリ四フッ化エチレン、PFA(四フッ化エ
チレンとパーフロロアルコキシエチレンの共重合体)な
どのフッ素系重合体、ポリジメチルシロキサン等のシリ
コーン系重合体;本発明で使用するエネルギー線硬化性
組成物の硬化物、等が挙げられる。
【0037】これらの中でも、接着性が良好な点などか
ら、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ポ
リカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリ
エステル系重合体が好ましい。また部材(J)は、エネル
ギー線硬化性樹脂の硬化物であることも好ましい。部材
(J)は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成され
ていても良いし、積層体その他の複合体であっても良
い。更に、部材(J)は、改質剤、着色剤、充填材、強化
材などの添加物を含有しても良い。
【0038】部材(J)に含有させることができる改質剤
としては、例えば、シリコンオイルやフッ素置換炭化水
素などの疎水化剤(撥水剤);水溶性重合体、界面活性
剤、シリカゲルなどの無機粉末、などの親水化剤が挙げ
られる。部材(J)に含有させることができる着色剤とし
ては、任意の染料や顔料、蛍光性の染料や顔料、紫外線
吸収剤が挙げられる。部材(J)に含有させることができ
る強化材としては、例えば、クレイなどの無機粉末、有
機や無機の繊維が挙げられる。
【0039】部材(J)が接着性の低い素材、例えば、ポ
リオレフィン、フッ素系重合体、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリエーテルエーテルケトン等の場合には、部
材(J)の接着面の表面処理やプライマーの使用により、
接着性を賦与或いは向上させることが好ましい。また、
部材(J)の表面にエネルギー線硬化性組成物を塗布し、
活性エネルギー線照射により半硬化させた層を形成し、
これを部材(J)とすることも樹脂層(X)との接着性向上の
為に好ましく、接着性の観点からは、接着する樹脂層
(X)と同様のエネルギー線硬化性組成物を用いることが
更に好ましい。
【0040】また、本発明のマイクロ流体デバイスの使
用に当たって、接着性を向上させる目的の他に、タンパ
ク質などの溶質のデバイス表面への吸着を抑制する目的
で、部材(J)の表面を親水化することも好ましい。
【0041】部材(J)は、少なくとも部材の一方の表面
に達し、かつ、流体の流路をなす欠損部を有する。該欠
損部の寸法、形状は、本発明のマイクロ流体デバイスが
有する流路の寸法、形状と同じであり得る。
【0042】欠損部は、部材(J)表面に形成された凹状
の溝であり得る。ここで、溝とは、細長く形成された窪
みである。部材(J)が部材(K)と接着剤にて接着されるこ
とで、この欠損部は流路を形成することができる。欠損
部は又、部材(J)を貫通する孔であり得る。ここで、孔
とは、突き抜けた穴である。この欠損部の位置、形状、
寸法は、該欠損部が部材(J)表面に開口していること以
外は任意である。部材を貫通する欠損部の形状は、例え
ば丸孔、角孔、スリット状、円錐状、角錐状、樽状、ネ
ジ孔、その他複雑な形状の欠損部であり得る。部材(J)
が部材(K)と接着剤にて接着されることで、この欠損部
は部材(K)の欠損部或いは部材(J)と部材(K)の間の空間
と連絡する流路を形成しうる。この欠損部は、シート状
の部材(J)貫通する欠損部であり、部材(J)の一部に設け
られ、周の一部が途切れた形状であって、欠損部で概ね
囲まれた部分が弁と成る形状であることも好ましい。欠
損部は又、部材(J)内部の空洞状の欠損部表面への開口
部であり得る、部材(J)内部の空洞状の欠損部形状は任
意であり、例えば、部材表面にその一端又は両端が開口
している毛細管状の流路、部材表面にその面積より小さ
な開口部を有する空洞、等であり得る。ここで、空洞と
は、一部が表面に口を開け、他の部分が区画された空間
である。欠損部は更に、常態では断面積ゼロであり、圧
が掛かったときに部材(J)が撓んで流路を形成しうる切
目であり得る。ここで、切目とは、部材の一部を切って
できた跡である。
【0043】部材(J)の欠損部は、他の部材(K)、又は、
さらに異なる他の部材(L)と積層されることにより、或
いは、部材(K)と部材(L)で挟持されることにより、流体
の流路を形成する。本発明のマイクロ流体デバイスは、
部材(J)と部材(K)が欠損部形成面を接触面として、エネ
ルギー線硬化性の接着剤層を介して接着されており、接
着面の一部に、硬化した接着剤層を介して両部材が互い
に接触しているが接着していない非接着部を有する。該
接触しているが接着していない非接着部の面積は、好ま
しくは1×10-102 〜1×10-52、さらに好まし
くは1×10-92 〜1×10-62である。この範囲
未満でも製造可能であるが、有用性が減じ、この範囲を
超えると、マイクロ流体デバイスとしての特長が減じ
る。
【0044】部材(J)が少なくとも弁形成部分において
シート状の部材であり、部材(J)の一部に、弁となる構
造が設けられており、部材(J)と部材(K)が接触している
が接着していない非接着部を、該弁の部分に形成するこ
とが好ましい。弁の形状は、例えば、その一部が固定さ
れたシート状、即ち、舌状、二カ所以上の箇所で固定さ
れた円形のシート状や矩形のシート状であり得る。弁と
なる構造、例えば舌状の弁は、弁となる部分の周囲部分
に馬蹄形の欠損部又は切目を設けることによりが得られ
る。また、部材(J)に、非接着部の中に開口している部
材(K)の欠損部に相対しない位置に孔を穿つことによっ
て、該非接着部を弁とすることも可能である。弁が、隣
接する部材と接触しているが接着していないことによっ
て、弁は逆止弁(一方向には常時開であり、逆方向には
常時閉であるバルブ)やチェックバルブ(一定圧直以下
では閉であり、それを越える圧力で開となるバルブ)を
構成することが出来る。逆止弁は、ダイヤフラム式ポン
プを構成する逆止弁、加圧維持のための逆止弁、減圧維
持のための逆止弁などとして利用することが出来る。
【0045】部材(J)に弁を形成する場合には、部材(J)
は、少なくとも弁の部分において、柔軟な素材で形成さ
れていることが好ましく、部材(K)や部材(L)より低い引
張弾性率の素材で形成されていることが好ましい。弁を
有する部材(J)として使用される素材の好ましい引張弾
性率は1MPa〜1GPa、更に好ましくは10〜50
0MPa、更に好ましくは50〜300MPaである。
この範囲より低いと強度や繰り返し耐久性に劣るものと
なりがちであり、これより高いと開閉が困難となった
り、閉時に漏洩が生じがちとなる。
【0046】弁が形成された部材(J)の厚みは、少なく
とも弁の部分において、好ましくは1〜500μm、更
に好ましくは5〜200μmである。この範囲未満では
製造が困難となり、この範囲を越えると、マイクロでデ
バイスとしてのメリットが低下する。
【0047】部材(J)に弁やダイヤフラムを設ける場合
には、少なくとも弁やダイヤフラムの部分において部材
(J)を構成する素材は、JIS K−7127により測
定された破断伸び率が、好ましくは2%以上、更に好ま
しくは5%以上のものである。破断伸びの上限は、自ず
と限界はあろうが、高いことそれ自身による不都合は無
い為、上限を設けることは要せず、例えば、400%で
ありうる。本発明においては、JIS K−7127に
よる引張試験で2〜5%という低い破断伸び率を示す素
材であっても、本発明の使用方法においては破壊しにく
く、上記試験による破断伸び率以上の歪みを与えても破
壊することなく使用可能である。従って、破断伸びの上
限は、強度の高い素材が選定でき、また、素材選定の自
由度が大きくなることから、30%以下であることが好
ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0048】部材(K)の素材、形状、寸法は、欠損部を
有する必要がないこと以外は部材(J)と同様である。但
し、部材(K)に弁やダイヤフラムを設ける場合には、部
材(K)は可撓性の素材とする必要がある。部材(K)が欠損
部を有する場合には、欠損部に関しては部材(J)の場合
と同様である。部材(L)は本発明のマイクロ流体デバイ
スの必須構成要素ではないが、その素材、形状、寸法
は、欠損部を有する必要がないこと以外は部材(J)と同
様である。また、部材(K)が少なくともダイヤフラム形
成部分に於いてシート状の部材であり、部材(K)と部材
(J)との接着面の中に設けられた、接触しているが接着
していない非接着部をダイヤフラムとし、該接着してい
ない部分を、常態において体積ゼロのダイヤフラム室
(ダイヤフラムに面した空間)とすることも好ましい。
該ダイヤフラム室は、ポンプ室(その容量を変化させる
ことにより、それを駆動力として流体の移送が成される
空間)やバルブ室(その流路断面積や容量が変化するこ
とにより、流量調節や流路の開閉が成される空間)とし
て利用できる。
【0049】例えば、部材(J)の、ダイヤフラムに相対
する部分に、表面に達する1つ以上の欠損部が形成さ
れ、該欠損部が、ダイヤフラム室への流入口又は流出口
又はその両者となり、該流入口又は流出口又はその両者
が、常態においてダイヤフラムに接していて流路が閉状
態であり、ダイヤフラムの変形により流路が開となるバ
ルブ室であることも好ましい。このようなバルブ室は、
チェックバルブ、開閉バルブ、流量領せるバルブとして
利用できる。又、同様の構造をポンプ室とし、任意の構
造の逆止弁と組み合わせてダイヤフラム式ポンプとする
ことも好ましい。このような常時ゼロの容積のポンプ室
を有するポンプは、ダイヤフラムの変形量が極僅かであ
っても効率よく流体を移送することが出来る。
【0050】部材(K)がダイヤフラムを構成する部材で
ある場合には、部材(K)は柔軟な素材で形成されている
ことが好ましく、部材(J)や部材(L)より低い引張弾性率
の素材で形成されていることが好ましい。この場合、部
材(K)として使用される素材の好ましい引張弾性率は、
上記弁やダイヤフラムが形成される部材(J)の場合と同
様である。また、破断伸び率やダイヤフラムの厚みにつ
いても、弁が形成された部材(J)の場合と同様である。
【0051】このダイヤフラムを変形させ、ポンプやバ
ルブを駆動する方法は任意である。例えば、ダイヤフラ
ムに接着された棒状、糸状などの部材の機械的な引張
り、ダイヤフラムに接着された磁石や強磁性物質の磁気
的な吸引または反対側からの反発、ダイヤフラムの反対
側に形成した空間の減圧、などでありうる。これらの方
法によって変形させたダイヤフラムを復帰させる方法
は、これらの力を解除する方法でもよいし、また積極的
に逆向きの力を加える方法、即ち、機械的な力による圧
迫、磁気による反発又は反対側からの吸引、ダイヤフラ
ムの反対側に形成した空間の加圧、などによる方法でも
よい。また、本発明のマイクロ流体デバイスを、チェッ
クバルブ、常時閉のバルブ、常時閉のバルブ機能を持た
せたポンプなどとして使用する際には、機械的な力によ
る圧迫、磁気による反発又は反対側からの吸引、空間の
加圧、などの、ダイヤフラムに常時掛かっている流体の
圧力に抗する補助的な力を常時加えてもよい。
【0052】欠損部を有する部材(J)の製造方法は任意
であり、例えば、射出成形、溶融レプリカ法、溶液キャ
スト法、エネルギー線硬化性組成物を用いたフォトリソ
グラフ法、エネルギー線硬化性組成物を用いたキャスト
成型法、欠損部を有するシートの積層法、光造形法など
により製造できる。光造形法とは、エネルギー線硬化性
組成物の未硬化層にレーザー光線などの活性エネルギー
線をパターニング照射し、未照射部分の未硬化の活性エ
ネルギー線を除去すること無く、その上に活性エネルギ
ー線の第2層を置き(或いは活性エネルギー線の液面下
に、第2層の厚みとなる深さだけ第1層を沈め)第2層
に活性エネルギー線をパターニング照射し、この工程を
繰り返して立体構造を形成する方法を言う。
【0053】エネルギー線硬化性接着剤は、エネルギー
線照射によって硬化する接着剤であり、エネルギー線重
合性化合物(a)[以下、単に「化合物(a)」と略称する場
合もある]を含有するエネルギー線硬化性組成物を用い
ることが出来る。化合物(a)は、活性エネルギー線によ
って重合し硬化するものであれば、ラジカル重合性、ア
ニオン重合性、カチオン重合性等の任意のものであって
よい。化合物(a)は、重合開始剤の非存在下で重合する
ものに限らず、重合開始剤の存在下でのみ活性エネルギ
ー線により重合するものも使用することができる。
【0054】化合物(a)は、付加重合性の化合物である
ことが、重合速度が高いため好ましく、活性エネルギー
線重合性官能基として重合性の炭素−炭素二重結合を有
するものが好ましく、中でも、反応性の高い(メタ)ア
クリル系化合物やビニルエーテル類、また光重合開始剤
の不存在下でも硬化するマレイミド系化合物が好まし
い。
【0055】更に、化合物(a)は、硬化後の強度が高い
点で、重合して架橋重合体を形成する化合物であること
が好ましい。そのために、1分子中に2つ以上の重合性
の炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下「1分子中
に2つ以上の重合性の炭素−炭素二重結合を有する」こ
とを「多官能」と称することがある)であることが更に
好ましい。
【0056】化合物(a)として、好ましく使用できる多
官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス
(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシ
フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)ア
クリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロ
パン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリ
レート、
【0057】ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチ
ルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミド
の如き2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエ
チル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー;ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官
能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレートの如き6官能モノマー等が挙げられる。
【0058】また、化合物(a)として、重合性オリゴマ
ー(プレポリマーを含む。以下同じ)を用いることもで
き、例えば、重量平均分子量が500〜50000のも
のが挙げられる。そのような重合性オリゴマーしては、
例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、
ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
ブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末
端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂
等が挙げられる。
【0059】マレイミド系の化合物(a)としては、例え
ば、4,4′−メチレンビス(N−フェニルマレイミ
ド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−3−チ
エニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン、
1,6−ビスマレイミドヘキサン、トリエチレングリコ
ールビスマレイミド、N,N′−m−フェニレンジマレ
イミド、m−トリレンジマレイミド、N,N′−1,4
−フェニレンジマレイミド、N,N′−ジフェニルメタ
ンジマレイミド、N,N′−ジフェニルエーテルジマレ
イミド、N,N′−ジフェニルスルホンジマレイミド、
【0060】1,4−ビス(マレイミドエチル)−1,
4−ジアゾニアビシクロ−[2,2,2]オクタンジク
ロリド、4,4′−イソプロピリデンジフェニル=ジシ
アナート・N,N′−(メチレンジ−p−フェニレン)
ジマレイミド等の2官能マレイミド;N−(9−アクリ
ジニル)マレイミドの如きマレイミド基とマレイミド基
以外の重合性官能基とを有するマレイミド等が挙げられ
る。マレイミド系のモノマーは、ビニルモノマー、ビニ
ルエーテル類、アクリル系モノマー等の重合性炭素・炭
素二重結合を有する化合物と共重合させることもでき
る。
【0061】これらの化合物(a)は、単独で用いること
も、2種類以上を混合して用いることもできる。また、
エネルギー線重合性化合物(a)は、粘度の調節、接着性
や半硬化状態での粘着性を増すなどの目的で、多官能モ
ノマーと単官能モノマーの混合物とすることもできる。
【0062】単官能(メタ)アクリル系モノマーとして
は、例えば、メチルメタクリレート、アルキル(メタ)
アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ア
ルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレート、フェ
ノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコー
ル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレー
ト、
【0063】ブタンジオールモノ(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレ
ート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、エチレノキサイド変性フタル酸
アクリレート、w−カルゴキシアプロラクトンモノアク
リレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジ
ェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク
酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプロ
ピリヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素置
換アルキル(メタ)アクリレート、
【0064】塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、
スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スル
ホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐
酸エステル基含有(メタ)アクリレート、スルホン酸エ
ステル基含有(メタ)アクリレート、シラノ基含有(メ
タ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基含有
(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモ
ニウム基含有(メタ)アクリレート、(N−アルキル)
アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミ
ド、アクロロイルモリホリン等が挙げられる。
【0065】単官能マレイミド系モノマーとしては、例
えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミドの如き
N−アルキルマレイミド;N−シクロヘキシルマレイミ
ドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベンジルマレイミ
ド;N−フェニルマレイミド、N−(アルキルフェニ
ル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニルマレイミ
ド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、
【0066】2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチ
ルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2
−エチル−6−メチルフェニル)マレイミドの如きN−
(置換又は非置換フェニル)マレイミド;N−ベンジル
−2,3−ジクロロマレイミド、N−(4′−フルオロ
フェニル)−2,3−ジクロロマレイミドの如きハロゲ
ンを有するマレイミド;ヒドロキシフェニルマレイミド
の如き水酸基を有するマレイミド;N−(4−カルボキ
シ−3−ヒドロキシフェニル)マレイミドの如きカルボ
キシ基を有するマレイミド;
【0067】N−メトキシフェニルマレイミドの如きア
ルコキシル基を有するマレイミド;N−[3−(ジエチ
ルアミノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ基を有す
るマレイミド;N−(1−ピレニル)マレイミドの如き
多環芳香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ−4−メ
チル−3−クマリニル)マレイミド、N−(4−アニリ
ノ−1−ナフチル)マレイミドの如き複素環を有するマ
レイミド等が挙げられる。
【0068】エネルギー線硬化性組成物に後述の両親媒
性の化合物(b)を添加する場合には、化合物(a)は疎水性
の化合物(a)を使用することが好ましい。疎水性の化合
物(a)とは、その単独重合体が、60度以上の水との接
触角を示すものを言う。疎水性の化合物(a)としては、
化合物(a)として上に例示した化合物の中から選択使用
できるが、例示した化合物の殆どは疎水性の化合物(a)
である。
【0069】エネルギー線硬化性組成物は、活性エネル
ギー線の照射により硬化樹脂となるものであり、必須成
分として化合物(a)を含有する。エネルギー線硬化性組
成物は化合物(a)単独を含むものであってもよく、複数
種の化合物(a)の混合物でもよい。エネルギー線硬化性
組成物には、必要に応じて他の成分を添加することが出
来る。エネルギー線硬化性組成物に添加しうる他の成分
としては、化合物(a)と共重合性の化合物、活性エネル
ギー線重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤、増粘剤、
改質剤、着色剤、溶剤を挙げることができる。
【0070】エネルギー線硬化性組成物に添加しうる、
化合物(a)と共重合性の化合物は、両親媒性化合物、親
水性化合物、疎水性化合物などであり得る。エネルギー
線硬化性組成物に添加しうる、化合物(a)と共重合性の
親水性化合物は、分子内に親水基を有し、親水性の重合
体を与えるものである。
【0071】このような化合物としては、例えば、ビニ
ルピロリドン;N置換または非置換」アクリルアミド;
アクリル酸;ポリエチレングリコール基含有(メタ)ア
クリレート;水酸基含有(メタ)アクリレート;アミノ
基含有(メタ)アクリレート;カルボキシル基含有(メ
タ)アクリレート;燐酸基含有(メタ)アクリレート;
スルホン基含有(メタ)アクリレートなどを挙げること
ができる。
【0072】エネルギー線硬化性組成物に添加しうる、
化合物(a)と共重合性の疎水性化合物は、分子内に疎水
基を有し、疎水性の重合体を与えるものである。このよ
うな化合物としては、例えば、アルキル(メタ)アクリ
レート;フッ素含有(メタ)アクリレート;(アルキル
置換)シロキサン基含有(メタ)アクリレート等を例示
できる。
【0073】エネルギー線硬化性組成物に添加しうる、
化合物(a)と共重合性の両親媒性の化合物[以下、この
ような化合物を「両親媒性化合物(b)」又は、単に「化
合物(b)」と称する]は、1分子中に1個以上の重合性
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物であることが好ま
しい。両親媒性の化合物(b)はその単独重合体が架橋重
合体となるものであっても、架橋重合体と成らない物で
あっても良いが、架橋重合体と成らない物であること
が、効果が高く好ましい。
【0074】また、両親媒性の化合物(b)は、疎水性の
化合物(a)と均一に相溶するものである。この場合の
「相溶する」とは、巨視的に相分離しないことを言い、
ミセルを形成して安定的に分散している状態も含まれ
る。
【0075】本発明で言う、両親媒性の化合物とは、分
子中に親水基と疎水基を有し、水、疎水性溶媒の両者と
それぞれ相溶する化合物を言う。この場合においても、
相溶とは巨視的に相分離しないことを言い、ミセルを形
成して安定的に分散している状態も含まれる。両親媒性
の化合物(b)は、0℃において、水に対する溶解度が
0.5重量%以上で、且つ25℃のシクロヘキサン:ト
ルエン=5:1(重量比)混合溶媒に対する溶解度が2
5重量% 以上であることが
好ましい。
【0076】両親媒性の化合物(b)としては、例えば、
ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8〜1
7)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロ
ピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリレー
トが好ましい。
【0077】エネルギー線硬化性組成物に添加すること
ができる活性エネルギー線重合開始剤は、本発明で使用
する活性エネルギー線に対して活性であり、化合物(a)
を重合させることが可能なものであれば、特に制限はな
く、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始
剤、カチオン重合開始剤であって良い。活性エネルギー
線重合開始剤は、使用する活性エネルギー線が光線であ
る場合に特に有効である。
【0078】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
【0079】ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメ
チルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ンの如きベンジルケタール類;N−アジドスルフォニル
フェニルマレイミド等のアジドなどが挙げられる。ま
た、マレイミド系化合物などの重合性光重合開始剤を挙
げることができる。
【0080】エネルギー線硬化性組成物に光重合開始剤
を混合使用する場合の使用量は、非重合性光重合開始剤
の場合、0.005〜20重量%の範囲が好ましく、
0.1〜5重量%の範囲が特に好ましい。光重合開始剤
は重合性のもの、例えば、エネルギー線重合性化合物
(a)として例示した多官能や単官能のマレイミド系モノ
マーであっても良い。この場合の使用量は、上記に限ら
れない。
【0081】エネルギー線硬化性組成物に添加すること
ができる重合遅延剤としては、例えばエネルギー線重合
性化合物(a)がアクリロイル基含有化合物の場合には、
スチレン、α−メチルスチレン、α−フェニルスチレ
ン、p−オクチルスチレン、p−(4−ペンチルシクロ
ヘキシル)スチレン、p−フェニルスチレン、 p−
(p−エトキシフェニル)フェニルスチレン、2,4−
ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、4,4′−ジ
ビニルビフェニル、2−ビニルナフタレン等の、使用す
るエネルギー線重合性化合物(a)より重合速度の低いビ
ニル系モノマーを挙げることができる。
【0082】エネルギー線硬化性組成物に添加すること
ができる改質剤としては、例えば、撥水剤として機能す
るシリコンオイルやフッ素置換炭化水素などの疎水性化
合物;親水化剤や吸着抑制剤として機能するポリビニル
ピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアル
コールなどの水溶性重合体;濡れ性向上剤、離型剤、吸
着抑制剤として機能する、ノニオン系、アニオン系、カ
チオン系などの界面活性剤が挙げられる。エネルギー線
硬化性組成物に必要に応じて混合使用することができる
着色剤としては、任意の染料や顔料、蛍光色素、紫外線
吸収剤が挙げられる。
【0083】エネルギー線硬化性組成物に添加すること
の出来る溶剤としては、エネルギー線硬化性組成物の各
成分を溶解して均一な溶液とするものであれば任意であ
り、揮発性の溶剤であることが好ましい。エネルギー線
硬化性組成物の粘度が高い場合、特に薄く塗工する場合
などには、エネルギー線硬化性組成物に溶剤を添加する
ことが好ましい。該溶剤は塗工後に揮発除去される。な
お、ここで言う溶解とは、均一に安定的に分散すること
も含む。
【0084】接着剤を塗布する場所は、部材(J)の欠損
部が漏洩のない流路を形成でき、かつ、接着剤により流
路が閉塞しない場所であれば任意であり、部材(J)の一
表面の全面又は一部への塗布、部材(K)の一表面への全
面または一部への塗布、その両者への塗布であり得る。
塗布方法も任意であり、スピンコート、ディッピング、
スプレー、刷毛塗り、印刷法などを利用できるが、薄い
接着剤層が形成可能で、部材表面に欠損部があってもそ
れを閉塞しないスピンコート法が好ましく、また、接着
剤を溶剤で希釈する方法が好ましい。
【0085】接着剤層の厚みは任意であるが、部材(J)
又は部材(K)に比べて十分に薄い物であり、部材(J)、部
材(K)の薄い方の部材の厚みの1/10以下であること
が好ましい。接着剤層の厚みの下限は、部材(J)が部材
(K)と接着しておれば任意であり、特に限定することを
要しないし、また、非常に薄い場合には測定困難であ
る。接着剤層の厚みは、例えば0.5nm程度であり得
る。
【0086】本発明に用いることのできる活性エネルギ
ー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光
線、放射光の如き光線;エックス線、ガンマ線、放射光
の如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、
重粒子線の如き粒子線が挙げられる。これらの中でも、
取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ま
しく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を
完全に行う目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃
度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気とし
ては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流
中、真空又は減圧雰囲気が好ましい。
【0087】形成したマイクロ流体デバイスは、穿孔、
切断などの後加工することも可能である。また、本発明
のマイクロ流体デバイスは全体が微小な大きさである
為、一枚の樹脂層に多数の部材を同時に作成することが
生産効率、並びに各部材の細部の精度の良い位置決めに
有用である。即ち、複数の微小なマイクロ流体デバイス
を一枚の露光現像版上に作成することにより、再現性良
く、且つ高い精度の寸法安定性を有して多数のマイクロ
流体デバイスを一度に生産することができる。
【0088】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に
限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
て、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、各々
「重量部」及び「重量%」を表わす。
【0089】[活性エネルギー線照射]200Wメタルハ
ライドランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマル
チライト200型露光装置用光源ユニットを用い、36
5nmにおける紫外線強度が100mW/cm2の紫外
線を、室温、窒素雰囲気中で照射した。
【0090】[エネルギー線硬化性組成物の調製] 〔組成物(x-1)の調製〕エネルギー線重合性化合物(a)と
して、平均分子量約2000の3官能ウレタンアクリレ
ートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式会社製の
「ユニディックV−4263」)30部、1,6−ヘキ
サンジオールジアクリレート(日本化薬株式会社製の
「カヤラッドHDDA」)45部、
【0091】両親媒性化合物(b)として、ノニルフェ
ノキシポリエチレングリコール(n=17)アクリレー
ト(第一工業製薬株式会社製の「N−177E」)25
部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュアー
184」)5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェ
ニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社
製)0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物(x
-1)を調製した。なお、エネルギー線硬化性組成物(x-1)
の紫外線硬化物は、引張弾性率が560MPa、水との
接触角が12度であった。
【0092】〔組成物(x-1')の調製〕光重合開始剤の量
が2部であること、及び重合遅延剤を含有しないこと以
外は組成物(x-1)と同様の組成の組成物(x-1')を調製し
た。なお、エネルギー線硬化性組成物(x-1')の紫外線硬
化物は、引張弾性率が580MPa、水との接触角が1
2度であった。
【0093】〔組成物(x-2)の調製〕エネルギー線硬化
性化合物(a)として、ポリテトラメチレングリコール
(平均分子量250)マレイミドカプリエート(特開平
11−124403号公報の合成例13に記載の方法に
よって合成した)75部、両親媒性化合物(b)とし
て、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=1
7)アクリレート(第一工業製薬株式会社製の「N−1
77E」)25部、重合遅延剤として2,4−ジフェニ
ル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)
0.01部を混合して、エネルギー線硬化性組成物(x-
2)を調製した。なお、エネルギー線硬化性組成物(x-2)
の紫外線硬化物は、引張弾性率が610MPa、水との
接触角が19度であった。
【0094】〔組成物(x-2')の調製〕重合遅延剤を含有
しないこと以外は組成物(x-2)と同様の組成の組成物(x-
2')を調製した。なお、エネルギー線硬化性組成物(x-
2')の紫外線硬化物は、引張弾性率が630MPa、水
との接触角が19度であった。
【0095】〔組成物(x-3)の調製〕エネルギー線重合
性化合物(a)として、平均分子量約2000の3官能ウ
レタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業
株式会社製の「ユニディックV−4263」)30部、
ω−テトラデカンジオールジアクリレートとω−ペンタ
デカンジオールジアクリレートを主成分とするアルキル
ジアクリレート(ソマール株式会社製の「サートマーC
2000」)45部、
【0096】及びノニルフェノキシポリエチレングリコ
ール(n=17)アクリレート(第一工業製薬株式会社
製の「N−177E」)25部、光重合開始剤として1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイ
ギー社製の「イルガキュアー184」)5部、及び重合
遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペ
ンテン(関東化学株式会社製)0.1部を混合して、エ
ネルギー線硬化性組成物(x-3)を調製した。なお、エネ
ルギー線硬化性組成物(x-3)の紫外線硬化物は、引張弾
性率が160MPa、水との接触角が14度であった。
【0097】[実施例1]本実施例では、バルブとして
用いられるダイヤフラムを有するマイクロ流体デバイ
ス、及びその製造方法について述べる。
【0098】〔部材(J-1)の作製〕76mm×26mm
×厚さ3mmのポリスチレン(大日本インキ化学工業株
式会社製の「ディックスチレンxC−520」)製の板
(1)とシリコンウェハー製の鋳型(図示せず)をガラ
ス板に挟み、バネ式のクランプで止めて120℃の熱風
炉中で約2時間加熱し、室温で冷却後、剥離することに
より、ポリスチレン板(1)の表面に、幅150μm、
深さ25μm、長さ20mmの2本の溝状の欠損部
(2)、(3)を間隔0.5mmを開けて形成し、部材
(J-1)とした。
【0099】〔部材(K-1)の作製〕塗工支持体(図示せ
ず)に、50μmのバーコーターを用いて組成物(x-3)
を塗布し、フォトマスクを使用せずに10秒間紫外線を
照射して、塗工支持体上に厚み約35μmの硬化塗膜
(4)を形成し、この硬化塗膜を部材(K-1)とした。 〔部材(J-1)と部材(K-1)の接着〕塗工支持体上の部材(K
-1)の上に、エネルギー線硬化性組成物(x-3)の5%アセ
トン溶液をスピンコーターで塗布し、ダイヤフラムとな
る中央部の直径1mmの円形の部分のみに紫外線を10
秒間照射して、照射部分のエネルギー線硬化性組成物(x
-3)を硬化させて非接着性とし、部材(J)の欠損部
(2)、(3)の端が該非接着性部分内に入るように位
置を合わせて部材(J)に積層し、紫外線を30秒間照射
して接着した。その後、塗工支持体(図示せず)を部材
(K-1)から剥離して、部材(J-1)と部材(K-1)の積層体を
得た。即ち、非接着部分の部材(K-1)がダイヤフラム
(5)を構成している。また、接着剤層の厚みは約2μ
mであった。
【0100】〔その他の構造の形成〕その後、欠損部
(2)、(3)の両端部において、部材(K-1)(4)
に、ドリルにより直径0.5mmの孔を穿ち、流入部
(6)および流出部(7)を形成し、その上に、ルアー
フィッティング(8)、(9)を接着して、マイクロ流
体デバイス(D-1)を作製した。
【0101】〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-1)の流
入部(8)のルアーフィッティングに接続したマイクロ
シリンジから水を注入したところ、圧力が約10kPa
未満では水は流通せず、それ以上の圧力を掛けると水は
流通した。即ちチェックバルブとして機能することが確
認された。
【0102】[実施例2]本実施例では、磁力によって
開閉するダイヤフラム式バルブを有するマイクロ流体デ
バイス及びその製造方法について述べる。 〔マイクロ流体デバイスの作製〕部材(K-2)のダイヤフ
ラム(5)部分上に、直径1mmの鋼球(図示せず)を
エネルギー線硬化性組成物(X-3)と紫外線で接着して、
マイクロ流体デバイス(D-2)を作製した。
【0103】〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-1)をダ
イヤフラム側を上にして置き、流入部(8)のルアーフ
ィッティングに接続したマイクロシリンジから圧力約5
kPaで水を注入したところ、水は流通しなかったが、
マイクロ流体デバイス上方かアルニコ磁石を鋼球に近づ
けると水が流通し、下方から近づけると停止した。即ち
開閉バルブとして機能することが確認された。
【0104】[実施例3]本実施例では、弁とダイヤフ
ラムが形成され、ポンプ機能を有するマイクロ流体デバ
イス及びその製造方法について述べる。 〔部材(J-3)の作製〕実施例1と全く同様にして、部材
(J-1)と同じ部材を作製し、部材(J-3)とした。 〔部材(K-3)の作製〕露光が、図7に示された形状の馬
蹄形の非照射部分を有するフォトマスクを使用したこ
と、非照射部分の未硬化のエネルギー線硬化性組成物(x
-3)を50%エタノール水溶液で洗浄除去したこと、及
び図7に示された形状の馬蹄形の欠損部(11)と該欠
損部で慨囲まれた弁(12)が形成されていること以外
は実施例1と同様にして、硬化塗膜(4)の代わりに硬
化塗膜(10)を形成し、この硬化塗膜を部材(K-3)と
した。 〔部材(J-3)と部材(K-3)の接着〕紫外線を部分照射して
非接着性とする部分が、ダイヤフラム(5)と成す部分
と弁(12)と成す部分であること、及び、部材(K-3)
の弁(12)の中心に欠損部(3)の端部を合わせて積
層したこと以外は、実施例1と同様にして、部材(J-3)
と部材(K-3)の積層体を形成した。
【0105】〔その他の構造の形成〕欠損部(3)の端
部においては、部材(K-3)(10)に孔を穿たなかった
こと、及び、部材(K-3)のダイヤフラム(5)部分の上
に、直径1mmの鋼球(図示せず)をエネルギー線硬化
性組成物(x-3)と紫外線で接着したこと、以外は実施例
1と同様にしてマイクロ流体デバイス(D-3)を作製し
た。 〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-3)をダイヤフラム側
を上にして置き、流入部(8)のルアーフィッティング
に接続したマイクロシリンジから水を注入して流出部
[但し、本実施例の場合は(7)の代わりに欠損部(1
1)]までの空間に水を充填した。次いでマイクロシリ
ンジを取り外し、マイクロ流体デバイスの上方からアル
ニコ磁石を鋼球に近づけて上下に運動させたところ、水
は流入部(8)から流出部(11)へと移送され、磁石
の運動を止めると水の移送は停止した。即ちポンプとし
て機能すること、及び、常態において流路が閉の状態と
なるバルブ機能を兼ねることが確認された。
【0106】以下、接着剤を用いずに接着する場合につ
いて説明する。部材(J)、部材(K)の少なくとも一方は、
エネルギー線硬化性組成物の硬化物で形成されている。
他方の部材は、エネルギー線硬化性組成物の硬化物で形
成されていても良いし、他の素材で形成されていても良
い。この場合の他の素材としては、エネルギー線硬化性
組成物と接着可能なものであれば特に制約はない。
【0107】部材(J)の素材として使用可能な、エネル
ギー線硬化性組成物の硬化物以外の素材としては、本発
明の、接着剤を使用する場合の部材(J)と同様である。
また、部材(J)は支持体上に形成されたものであっても
よく、支持体の素材も、本発明の、接着剤を使用する場
合と同様である。
【0108】部材(J)に含有させることができる改質剤
や、部材(J)の表面処理ついても、本発明の、接着剤を
使用する場合と同様である。また、部材(J)は、部材の
表面に達し、かつ、流体の流路をなす欠損部を有する。
部材(J)が有する欠損部の寸法、形状に関しても、本発
明の、接着剤を使用する場合と同様である。
【0109】部材(J)の欠損部は、他の部材(K)と積層さ
れることにより、流体の流路を形成する。部材(K)は、
部材(J)がエネルギー線硬化性組成物の硬化物以外の素
材で形成されている場合には、エネルギー線硬化性組成
物の硬化物で形成される。部材(J)がエネルギー線硬化
性組成物の硬化物で形成されている場合には、部材(K)
の素材は任意である。エネルギー線硬化性組成物その他
の部材(K)を形成しうる素材については、部材(J)につい
て述べたものと同様のものが使用できる。部材(K)の形
状、寸法は、欠損部を有する必要がないこと以外は部材
(J)と同様である。但し、部材(K)に弁やダイヤフラムを
設ける場合には、部材(K)は可撓性の素材とする必要が
ある。部材(K)が欠損部を有する場合には、欠損部の寸
法、形状に関しては部材(J)の場合と同様である。部材
(K)は、特に後述の用に弁やダイヤフラムが形成される
場合には、厚さが1〜1000μmのシート状の部材で
あることが好ましい。
【0110】本発明のマイクロ流体デバイスは、部材
(J)と部材(K)が欠損部形成面を接触面として接着剤を使
用せずに接着されており、接着面の一部に両部材が互い
に接触しているが接着していない非接着部を有する。こ
のような接触しているが接着していない非接着部は、本
発明の製造方法によって好ましく形成することが出来
る。該接触しているが接着していない非接着部の面積
は、好ましくは1×10-102 〜1×10-52、さら
に好ましくは1×10-92 〜1×10-62である。
この範囲未満でも製造可能であるが、有用性が減じ、こ
の範囲を超えると、マイクロ流体デバイスとしての特長
が減じる。
【0111】本発明のマイクロ流体デバイスが有する部
材(J)と部材(K)が接触しているが接着していない非接着
部は、本発明のマイクロ流体デバイスが、部材(J)、部
材(K)の一方又は両方に、弁又はダイヤフラムを可動状
態で形成する構造として特に有用である。部材(K)が少
なくとも弁形成部分においてシート状の部材であり、部
材(K)の一部に、周囲部分の一部を欠損部とすることに
より、弁となる構造が設けらており、該弁の部分を、部
材(K)が部材(J)と接触しているが接着していない非接着
部とすることが好ましい。弁の形状は、部材(J)に設け
ることが出来る弁と同様である。
【0112】弁が、隣接する部材と接触しているが接着
していないことによって、弁は逆止弁(一方向には常時
開であり、逆方向には常時閉であるバルブ)やチェック
バルブ(一定圧直以下では閉であり、それを越える圧力
で開となるバルブ)を構成することが出来る。逆止弁
は、ダイヤフラム式ポンプやシリンダーポンプのような
ポンプを構成する逆止弁、三方活栓を構成する逆止弁、
加圧維持のための逆止弁、減圧維持のための逆止弁など
として利用することが出来るが、微小な弁を形成可能な
ことから、ポンプを構成する逆止弁として特に好適であ
る。
【0113】部材(K)に弁を形成する場合には、部材(K)
は、少なくとも弁の部分において、柔軟な素材で形成さ
れていることが好ましく、部材(J)やより低い引張弾性
率の素材で形成されていることが好ましい。弁を有する
部材(K)として使用される素材の好ましい引張弾性率は
1MPa〜20GPa、更に好ましくは10MPa〜1
GPa、更に好ましくは50MPa〜500MPaであ
る。この範囲より低いと強度や繰り返し耐久性に劣るも
のとなりがちであり、これより高いと開閉が困難とな
り、閉時に漏洩が生じがちとなる。
【0114】弁が形成された部材(K)の厚みは、少なく
とも弁の部分において、好ましくは1〜500μm、更
に好ましくは5〜200μmである。この範囲未満では
製造が困難となり、この範囲を越えると、マイクロでデ
バイスとしてのメリットが低下する。弁が形成された部
材(K)は、全体が同じ厚みのシート状物であることが好
ましい。
【0115】少なくとも弁の部分において部材(K)を構
成する素材は、JIS K−7127により測定された
破断伸び率が、好ましくは2%以上、更に好ましくは5
%以上のものである。破断伸びの上限は、自ずと限界は
あろうが、高いことそれ自身による不都合は無い為、上
限を設けることは要せず、例えば、400%でありう
る。本発明においては、JIS K−7127による引
張試験で2〜5%という低い破断伸び率を示す素材であ
っても、本発明の使用方法においては破壊しにくく、上
記試験による破断伸び率以上の歪みを与えても破壊する
ことなく使用可能である。従って、破断伸び率の上限
は、耐久性の点や素材選定の自由度が高くなる点で、3
0%以下が好ましく、20%以下が更に好ましい。
【0116】また、部材(K)が少なくともダイヤフラム
形成部分に於いてシート状の部材であり、部材(J)と接
触しているが接着していない非接着部をダイヤフラムと
し、該接着していない部分を、常態において体積ゼロで
あり、ダイヤフラムの変形によって正の容積を有する空
間となる部分とすることも好ましい。該空間は、ポンプ
室(その容量を変化させることにより、それを駆動力と
して流体の移送が成される空間)やバルブ室(その流路
断面積が変化することにより、流量調節や流路の開閉が
成される空間)として利用できる。
【0117】例えば、部材(J)の、ダイヤフラムに相対
する部分に、表面に達する1つ以上の欠損部が形成さ
れ、該欠損部が、ダイヤフラム室への流入口又は流出口
又はその両者となり、該流入口又は流出口又はその両者
が、常態においてダイヤフラムに接していて流路が閉状
態であり、ダイヤフラムの変形により流路が開となるバ
ルブ室であることも好ましい。このようなバルブ室は、
チェックバルブ、開閉バルブ、流量調節バルブとして利
用できる。又、同様の構造をポンプ室とし、任意の構造
の逆止弁と組み合わせてダイヤフラム式ポンプとするこ
とも好ましい。このような常時ゼロの容積のポンプ室を
有するポンプは、ダイヤフラムの変形量が極僅かであっ
ても効率よく流体を移送することが出来、また、流体が
気体であっても高い吐出圧を得ることが出来る。
【0118】部材(K)がダイヤフラムを構成する部材で
ある場合にも、部材(K)は柔軟な素材で形成されている
ことが好ましい。これについては、部材(K)が弁を有す
る場合と同様である。
【0119】このダイヤフラムを変形させ、ポンプやバ
ルブを駆動する方法は任意である。例えば、ダイヤフラ
ムに接着された棒状、糸状などの部材の機械的な引張
り、ダイヤフラムに接着された磁石や強磁性物質の磁気
的な吸引または反対側からの反発、ダイヤフラムの反対
側に形成した空間の減圧、などでありうる。これらの方
法によって変形させたダイヤフラムを復帰させる方法
は、これらの力を解除する方法でもよいし、また積極的
に逆向きの力を加えること、即ち、機械的な力による圧
迫、磁気による反発又は反対側からの吸引、空間の加
圧、などによる方法でもよい。また、本発明のマイクロ
流体デバイスを、チェックバルブ、常時閉のバルブ、常
時閉のバルブ機能を持たせたポンプなどとして使用する
際には、機械的な力による圧迫、磁気による反発又は反
対側からの吸引、空間の加圧、などの、ダイヤフラムに
常時掛かっている流体の圧力に抗する補助的な力を常時
加えてもよい。
【0120】欠損部を有する部材(J)がエネルギー線硬
化性組成物以外の素材で形成されている場合には、その
製造方法は任意であり、例えば、射出成形、溶融レプリ
カ法、溶液キャスト法、欠損部を有するシートの積層
法、などにより製造できる。部材(J)がエネルギー線硬
化性組成物で形成されている場合には、パターニング露
光と現像によるフォトリソグラフィーの手法や、光造形
法で製造できる。光造形法とは、エネルギー線硬化性組
成物の未硬化層にレーザー光線などの活性エネルギー線
を走査法等の方法でパターニング照射し、未照射部分の
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を除去すること無
く、その上に活性エネルギー線の第2層を置き(或いは
活性エネルギー線硬化性節の液面下に、第2層の厚みと
なる深さだけ第1層を沈め)第2層に活性エネルギー線
をパターニング照射し、この工程を繰り返して立体構造
を形成する方法を言う。
【0121】部材(J)、部材(K)の少なくとも一方の素材
となるエネルギー線硬化性組成物は、エネルギー線照射
によって硬化する組成物であり、エネルギー線重合性化
合物(a)[以下、単に「化合物(a)」と略称する場合もあ
る]を含有する組成物を用いることが出来る。化合物
(a)に関しては、本発明の、部材(J)と部材(K)を接着剤
で接着する場合と同様である。
【0122】エネルギー線硬化性組成物は、活性エネル
ギー線の照射により硬化樹脂となるものであり、必須成
分として化合物(a)を含有する。エネルギー線硬化性組
成物は化合物(a)単独を含むものであってもよく、複数
種の化合物(a)の混合物でもよい。エネルギー線硬化性
組成物には、必要に応じて他の成分を添加することが出
来る。エネルギー線硬化性組成物に添加しうる他の成分
としては、化合物(a)と共重合性の化合物、活性エネル
ギー線重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤、増粘剤、
改質剤、着色剤、溶剤を挙げることができる。
【0123】エネルギー線硬化性組成物に添加しうる、
化合物(a)と共重合性の化合物に関しては、本発明の、
部材(J)と部材(K)を接着剤で着する場合と同様である。
また、エネルギー線硬化性組成物に添加しうる、化合物
(a)と共重合性の両親媒性の化合物[以下、このような
化合物を「両親媒性化合物(b)」又は、単に「化合物
(b)」と称する]は、本発明の、部材(J)と部材(K)を接
着剤により接着する場合に化合物(b)と同じである。
【0124】エネルギー線硬化性組成物に添加すること
ができる活性エネルギー線重合開始剤、重合遅延剤、重
合近視剤、その他の添加しうる成分に関しても、本発明
の、部材(J)と部材(K)を接着剤で着する場合と同様であ
る。また、本発明に用いることのできる活性エネルギー
線に関しても、本発明の、部材(J)と部材(K)を接着剤で
着する場合と同様である。
【0125】形成したマイクロ流体デバイスは、穿孔、
切断、他の部材の接着などの後加工することも可能であ
る。また、本発明のマイクロ流体デバイスは全体が微小
な大きさである為、一枚の樹脂層に多数の部材を同時に
作製することが生産効率、並びに各部材の細部の精度の
良い位置決めに有用である。即ち、複数の微小なマイク
ロ流体デバイスを一枚の露光現像版上に作成することに
より、再現性良く、且つ高い精度の寸法安定性を有して
多数のマイクロ流体デバイスを一度に生産することがで
きる。
【0126】本発明による製造方法は、本発明によるマ
イクロ流体デバイスを好ましく製造する方法である。本
発明の第1の製造方法は、部材(K)がエネルギー線硬化
性組成物の硬化物で形成されたマイクロ流体デバイスの
製造方法に関する。即ち、エネルギー線硬化性組成物の
賦形物に活性エネルギー線を不十分な量だけ照射するこ
とによって、流動性は喪失するが接着性は残存している
半硬化物と成し、該半硬化物の部材の一部に、選択的に
活性エネルギー線を照射して照射部分のエネルギー線硬
化性組成物を硬化させて非接着性の硬化部位を形成する
ことによって、部材表面の一部に非接着性の硬化部位が
形成された半硬化状態の部材(K)を形成し、その後、該
半硬化状態の部材(K)を、表面に達する欠損部を有する
部材(J)の欠損部形成面に接触させ、その状態で活性エ
ネルギー線を照射して、半硬化状態の部材(K)を硬化さ
せて部材(J)と接着し、非接着性の硬化部位を非接着部
位として残すことによって、接着面の一部に、両部材が
互いに接触しているが接着していない非接着部を形成す
る。
【0127】エネルギー線硬化性組成物の賦形物の形状
は部材(K)の形状とすることが出来、塗工支持体への塗
工、型への注型など任意である。塗工や注型方法は任意
であり、例えば、バーコーター法、ローラー法、印刷
法、浸漬法、スプレー法、ノズルからの押し出し、等を
使用できる。塗工支持体は部材(K)の硬化後に隔離など
によって除去してもよいし、接着されたままマイクロ流
体デバイスとしてもよい。塗工支持体の形状や素材は任
意であり、本発明のマイクロ流体デバイスの項で述べ
た、部材(J)の支持体と同様である。
【0128】使用できるエネルギー線も、本発明のマイ
クロ流体デバイスの項の記述と同様である。活性エネル
ギー線の照射量が不足すると、エネルギー線硬化性組成
物は流動性を失わず、部材(J)と接着する際に、部材(J)
の欠損部を閉塞しがちであるし、活性エネルギー線の照
射量が過剰であると、硬化物が接着性を失い、部材(J)
との接着が不良又は不能となる。好適な活性エネルギー
線照射量は、系によって異なるため一概には規定できな
いが、使用する系における簡単な実験によって最適値を
見つけることが出来る。
【0129】部材(K)の一部に非接着性の硬化部位を形
成するための活性エネルギー線照射は、選択的に照射す
ることが出来れば任意であり、例えば、フォトマスク使
用によるパターニング照射(以下、「パターニング照
射」を「露光」を称する場合がある)、レーザー光線な
どの走査による露光等を挙げることができる。本工程の
活性エネルギー線照射量が不足すると、該部分において
も接着されてしまう。過剰であっても特に大きなデメリ
ットはないが、生産性が低下したり、微少な非接着性部
位の形成が困難となる。本工程に用いる活性エネルギー
線は、半硬化に使用出来る活性エネルギー線として挙げ
た物を使用出来るが、半硬化に用いた活性エネルギー線
と同じである必要はない。
【0130】部材(J)の素材は任意であり、本発明のマ
イクロ流体デバイスにおける記載と同様であるが、部材
(J)もまたエネルギー線硬化性組成物の硬化物であるこ
とが好ましく、半硬化物であることが、高い接着性が得
られるためさらに好ましい。但し、部材(J)に用いるエ
ネルギー線硬化性組成物は、部材(K)に用いる物と同じ
である必要はない。
【0131】本発明の第2の製造方法も、部材(K)がエ
ネルギー線硬化性組成物硬化物で形成されたマイクロ流
体デバイスの製造方法に関し、エネルギー線硬化性組成
物の賦形物の一部に選択的に活性エネルギー線を照射し
て照射部分の該賦形物を硬化させて非接着性の硬化部位
を形成する工程を、半硬化させる工程の前に行うこと以
外は、本発明の第1の製造方法と同様である。本発明の
第1及び第2の製造方法は、部材(K)が特に薄いフィル
ム状や、特に柔軟なフィルム状である場合に、製造が容
易であり好ましい。
【0132】本発明の第3の製造方法は、部材(J)がエ
ネルギー線硬化性組成物の硬化物で形成されたマイクロ
流体デバイスの製造方法に関する。即ち、エネルギー線
硬化性組成物の賦形物に活性エネルギー線を不十分な量
だけパターニング照射することによって、照射部分を流
動性は喪失するが接着性は残存している半硬化状態と
し、次いで、該半硬化したエネルギー線硬化性組成物で
形成された部材の一部に、選択的に活性エネルギー線を
照射して照射部分のエネルギー線硬化性組成物を硬化さ
せて非接着性の硬化部位を形成とし、非照射部の未硬化
のエネルギー線硬化性組成物を除去(即ち、現像)し
て、部材表面に達する欠損部を形成すること、によっ
て、部材表面に達する欠損部と、部材表面の一部に非接
着性の硬化部位が形成された部材(J)を形成し、その
後、該部材の欠損部形成面に他の部材(K)を接触させ、
その状態で活性エネルギー線を照射して、半硬化状態の
部材(J)を硬化させて両部材を接着し、接着面の一部に
両部材が互いに接触しているが接着していない非接着部
を形成する。
【0133】エネルギー線硬化性組成物の賦形の形状は
部材(J)の形状若しくはその一部とすることが出来る。
部材(J)が他の部材の上に形成されていること、即ち、
部材(J)が積層構造を有する部材の最外層として形成さ
れていることも好ましい。部材(J)は一時的な塗工支持
体の上に形成されていてもよい。塗工や注型方法、塗工
支持体、使用出来る活性エネルギー線、照射線量など
は、本発明の第1及び第2の製造方法の記述において、
部材(K)を部材(J)と読み替えたものと同様である。
【0134】部材(J)の一部に非接着性の硬化部位を形
成するための活性エネルギー線照射についても上記本発
明の第1及び第2の製造方法と同様である。部材(K)の
素材は任意であり、本発明のマイクロ流体デバイスにお
ける記載と同様であるが、部材(K)もまたエネルギー線
硬化性組成物の硬化物であることが好ましく、半硬化物
であることが、高い接着性が得られるためさらに好まし
い。但し、部材(K)に用いるエネルギー線硬化性組成物
は、部材(J)に用いる物と同じである必要はない。
【0135】本発明の第4の製造方法は、部材(J)がエ
ネルギー線硬化性組成物の硬化物で形成されたマイクロ
流体デバイスの製造方法に関し、エネルギー線硬化性組
成物の賦形物の一部に選択的に活性エネルギー線を照射
して照射部分の該賦形物を硬化させて非接着性の硬化部
位を形成する工程を、現像の後に行うこと以外は、本発
明の第3の製造方法と同様である。
【0136】本発明の第5の製造方法は、部材(J)がエ
ネルギー線硬化性組成物の硬化物で形成されたマイクロ
流体デバイスの製造方法に関し、エネルギー線硬化性組
成物の賦形物の一部に選択的に活性エネルギー線を照射
して照射部分の該賦形物を硬化させて非接着性の硬化部
位を形成する工程を、半硬化させる工程の前に行うこと
以外は、本発明の第3の製造方法と同様である。
【0137】本発明の第3、第4、第5の製造方法は、
部材(J)に表面に達する欠損部を形成すると同時に接着
剤なしに部材(K)と接着することが出来る長所を有す
る。本発明の製造方法は、流動性を喪失した部材を他の
部材と密着させた状態で活性エネルギー線を照射して硬
化・接着させるため、部材(J)に形成された微小な欠損
部を接着剤で閉塞すること無く製造できるという長所を
有する。本発明の製造方法はまた、半硬化物が通常粘着
性を有するため、部材(J)と部材(k)を接着する際、圧迫
力を保持したままで活性エネルギー線照射を行う必要が
ないため、作業性がよく高い生産性で製造できるという
長所を有する。
【0138】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に
限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
て、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、各々
「重量部」及び「重量%」を表わす。
【0139】[活性エネルギー線照射]200Wメタルハ
ライドランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマル
チライト200型露光装置用光源ユニットを用い、36
5nmにおける紫外線強度が100mW/cm2の紫外
線を、室温、窒素雰囲気中で照射した。
【0140】[エネルギー線硬化性組成物の調製] 〔組成物(x-1)の調製〕エネルギー線重合性化合物(a)と
して、平均分子量約2000の3官能ウレタンアクリレ
ートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式会社製の
「ユニディックV−4263」)30部、ω−テトラデ
カンジオールジアクリレートとω−ペンタデカンジオー
ルジアクリレートを主成分とするアルキルジアクリレー
ト(ソマール株式会社製の「サートマーC2000」)
45部、
【0141】及びノニルフェノキシポリエチレングリコ
ール(n=17)アクリレート(第一工業製薬株式会社
製の「N−177E」)25部、光重合開始剤として1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイ
ギー社製の「イルガキュアー184」)5部、及び重合
遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペ
ンテン(関東化学株式会社製)0.1部を混合して、エ
ネルギー線硬化性組成物(x-1)を調製した。なお、エネ
ルギー線硬化性組成物(x-1)の紫外線硬化物は、引張弾
性率が160MPa、水との接触角が14度であった。
【0142】〔組成物(x-2)の調製〕エネルギー線重合
性化合物(a)として、平均分子量約2000の3官能ウ
レタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業
株式会社製の「ユニディックV−4263」)30部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬株
式会社製の「カヤラッドHDDA」)45部、
【0143】両親媒性化合物(b)として、ノニルフェ
ノキシポリエチレングリコール(n=17)アクリレー
ト(第一工業製薬株式会社製の「N−177E」)25
部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュアー
184」)5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェ
ニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社
製)0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物(x
-2)を調製した。なお、エネルギー線硬化性組成物(x-2)
の紫外線硬化物は、引張弾性率が560MPa、水との
接触角が12度であった。
【0144】[実施例4]本実施例では、バルブとして
用いられるダイヤフラムを有するマイクロ流体デバイス
を、本発明の第2の製造方法で製造する例について述べ
る。
【0145】〔部材(J-1)の作製〕76mm×26mm
×厚さ3mmのポリスチレン(大日本インキ化学工業株
式会社製の「ディックスチレンxC−520」)製の板
(1)とシリコンウェハー製の鋳型(図示せず)をガラ
ス板に挟み、バネ式のクランプで止めて120℃の熱風
炉中で約2時間加熱し、室温で冷却後、剥離することに
より、ポリスチレン板(1)の表面に、幅150μm、
深さ25μm、長さ20mmの2本の溝状の欠損部
(2)、(3)を間隔0.5mmを開けて形成し、部材
(J-1)とした。
【0146】〔部材(K-1)の作製〕塗工支持体(図示せ
ず)に、50μmのバーコーターを用いて組成物(x-1)
を塗布し、フォトマスクを通して、ダイヤフラム(5)
となる中央部の直径1mmの円形の部分のみに紫外線を
10秒間照射して、照射部分のエネルギー線硬化性組成
物(x-1)を硬化させて非接着性とし、次いでフォトマス
クを使用せずに3秒間紫外線を照射して、塗工支持体上
に、中央部に直径1mmの円形の高架部分を有する厚み
約35μmの半硬化塗膜(4)を形成し、半硬化状態の
部材(K-1)とした。 〔部材(J-1)と部材(K-1)の接着〕部材(J-1)の欠損部
(2)、(3)の端が該非接着性部分内に入るように位
置を合わせて部材(J-1)に部材(K-1)を積層し、紫外線を
30秒間照射して、部材(K-1)の半硬化部分を完全に硬
化させると同時に部材(J)と接着し、非接着部分の部材
(K-1)がダイヤフラム(5)を構成している、部材(J-1)
と部材(K-1)の積層体を得た。
【0147】〔その他の構造の形成〕その後、欠損部
(2)、(3)の両端部において、部材(K-1)(4)
に、ドリルにより直径0.5mmの孔を穿ち、流入部
(6)および流出部(7)を形成し、その上に、ルアー
フィッティング(8)、(9)を接着して、マイクロ流
体デバイス(D-1)を作製した。
【0148】〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-1)の流
入部(8)のルアーフィッティングに接続したマイクロ
シリンジから水を注入したところ、圧力が約10kPa
未満では水は流通せず、それ以上の圧力を掛けると水は
流通した。即ちチェックバルブとして機能することが確
認された。
【0149】[実施例5]本実施例では、磁力によって
開閉するダイヤフラム式バルブを有するマイクロ流体デ
バイスの例について述べる。 〔マイクロ流体デバイスの作製〕部材(K-2)のダイヤフ
ラム(5)部分上に、直径1mmの鋼球(図示せず)を
エネルギー線硬化性組成物(X-1)と紫外線で接着して、
マイクロ流体デバイス(D-2)を作製した。
【0150】〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-1)をダ
イヤフラム側を上にして置き、流入部(8)のルアーフ
ィッティングに接続したマイクロシリンジから圧力約5
kPaで水を注入したところ、水は流通しなかったが、
マイクロ流体デバイス上方かアルニコ磁石を鋼球に近づ
けると水が流通し、下方から近づけると停止した。即ち
開閉バルブとして機能することが確認された。
【0151】[実施例6]本実施例では、弁とダイヤフ
ラムが形成され、ポンプ機能を有するマイクロ流体デバ
イスを本発明の第1の製造方法で製造する例について述
べる。 〔部材(J-3)の作製〕実施例4と全く同様にして、部材
(J-1)と同じ部材を作製し、部材(J-3)とした。 〔部材(K-3)の作製〕図7に示された形状の馬蹄形の非
照射部分(11)を有するフォトマスクを使用して紫外
線を3秒間照射して照射部分を半硬化させ、非照射部分
の未硬化のエネルギー線硬化性組成物(x-1)を50%エ
タノール水溶液で洗浄除去して馬蹄形の欠損部(11)
を形成した。次いで、フォトマスクを使用して、ダイヤ
フラム(5)となる中央部の直径1mmの円形の部分、
及び弁(12)となる部分のみに紫外線を10秒間照射
して、照射部分のエネルギー線硬化性組成物(x-1)を硬
化させて非接着性とし、その他の部分は半硬化状態のま
ま残すことによって、図7に示された形状の馬蹄形の欠
損部(11)と該欠損部で慨囲まれた弁(12)が形成
された部材(K-3)(10)を作製した。 〔部材(J-3)と部材(K-3)の接着〕部材(K-3)(10)の
弁(12)の中心に欠損部(3)の端部を合わせて積層
したこと以外は、実施例4と同様にして、部材(J-3)と
部材(K-3)を接着した。
【0152】〔その他の構造の形成〕欠損部(3)の端
部においては、部材(K-3)(10)に孔を穿たなかった
こと、及び、部材(K-3)(10)のダイヤフラム(5)
部分の上に、直径1mmの鋼球(図示せず)をエネルギ
ー線硬化性組成物(x-1)と紫外線で接着したこと、以外
は実施例4と同様にしてマイクロ流体デバイス(D-3)を
作製した。 〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-3)をダイヤフラム側
を上にして置き、流入部(8)のルアーフィッティング
に接続したマイクロシリンジから水を注入して流出部
[但し、本実施例の場合は(7)の代わりに欠損部(1
1)]までの空間に水を充填した。次いでマイクロシリ
ンジを取り外し、マイクロ流体デバイスの上方からアル
ニコ磁石を鋼球に近づけて上下に運動させたところ、水
は流入部(8)から流出部(11)へと移送され、磁石
の運動を止めると水の移送は停止した。即ちポンプとし
て機能すること、及び、常態において流路が閉の状態と
なるバルブ機能を兼ねることが確認された。
【0153】[実施例7]本実施例では、ダイヤフラム
式ポンプを有するマイクロ流体デバイスを、本発明の第
1の製造方法であり且つ第3の製造方法である方法で製
造する例について述べる。 〔部材(J-4)の作製〕76mm×26mm×厚さ3mm
のポリスチレン(大日本インキ化学工業株式会社製の
「ディックスチレンxC−520」)製の板を支持体と
し、その上にエネルギー線硬化性組成物(x-1)を塗布
し、流路(2)及び(3)となる部分以外の部分にフォ
トマスクを通して紫外線を3秒間照射し、照射部位を半
硬化させた。次いで、フォトマスクを使用して、ダイヤ
フラム(5)と接触する中央部の直径1mmの円形の部
分、及び弁(12)と接触する部分のみに紫外線を10
秒間照射して、照射部分のエネルギー線硬化性組成物(x
-1)を硬化させて非接着性とし、50%エタノール水溶
液にて非照射部分の未硬化のエネルギー線硬化性組成物
(x-1)を除去し、支持体に接着して形成された部材(J)
(1)を得た。 〔部材(K-4)の作製と接着〕実施例6と全く同様にし
て、部材(K-3)と全く同じ部材(K-4)を作製した。部材(K
-3)の代わりに部材(K-4)(10)を用いたこと以外は、
実施例6と同様にして、部材(J-4)と部材(K-4)を接着し
た。
【0154】〔その他の構造の形成〕部材(K-3)の代わ
りに部材(K-4)(10)を用いたこと以外は実施例6と
同様にして、マイクロ流体デバイス(D-4)を作製した。 〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-3)の代わりにマイク
ロ流体デバイス(D-4)を用いたこと以外は実施例6と同
様の試験を行い同様の結果を得た。
【0155】[実施例8]本実施例では、ダイヤフラム
式ポンプを有するマイクロ流体デバイスを、本発明の第
3の製造方法で製造する例について述べる。 〔部材(J-5)の作製〕実施例7と全く同様にして、部材
(J-4)と全く同じ部材(J-5)を作製した。 〔部材(K-5)の作製〕図7に示された形状の馬蹄形の非
照射部分(11)を有するフォトマスクを使用した紫外
線照射が10秒間とし、照射部分を接着性を有しない硬
化状態としたこと、ダイヤフラム(5)と成る部分及び
弁(12)となる部分への紫外線照射を行わなかったこ
と、以外は、実施例7と同様にして、全体が硬化した部
材(J-5)を作製した。 〔部材(J-5)と部材(K-5)の接着〕実施例8と同様にし
て、部材(J-5)と部材(K-5)を接着した。 〔その他の構造の形成〕部材(J-5)と部材(K-5)を用いた
こと以外は実施例7と同様にして、マイクロ流体デバイ
ス(D-5)を作製し 〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-4)の代わりにマイク
ロ流体デバイス(D-5)を用いたこと以外は実施例7と同
様の試験を行い同様の結果を得た。
【0156】[実施例9]本実施例では、ダイヤフラム
式ポンプを有するマイクロ流体デバイスを、本発明の第
4の製造方法で製造する例について述べる。 〔部材(J-6)の作製〕ダイヤフラム(5)と接触する中
央部の直径1mmの円形の部分、及び弁(12)と接触
する部分への紫外線照射を、50%エタノール水溶液に
よる非照射部分の未硬化のエネルギー線硬化性組成物(x
-1)除去の後に実施したこと以外は、実施例8と同様に
して、部材(J-5)と同様の部材(J-6)を作製した。 〔部材(K-6)の作製と接着〕実施例8と全く同様にし
て、部材(K-5)と同様の部材(K-6)を作製し、実施例8と
同様にして、部材(J-6)と部材(K-6)を接着した。 〔その他の構造の形成〕部材(J-6)と部材(K-6)を用いた
こと以外は実施例8と同様にして、マイクロ流体デバイ
ス(D-6)を作製した。 〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-5)の代わりにマイク
ロ流体デバイス(D-6)を用いたこと以外は実施例8と同
様の試験を行い同様の結果を得た。
【0157】[実施例10]本実施例では、ダイヤフラ
ム式ポンプを有するマイクロ流体デバイスを、本発明の
第5の製造方法で製造する例について述べる。 〔部材(J-7)の作製〕ダイヤフラム(5)と接触する中
央部の直径1mmの円形の部分、及び弁(12)と接触
する部分への10秒間の紫外線照射を、流路(2)及び
(3)となる部分以外の部分への3秒間の紫外線照射の
前に行ったこと以外は、実施例8と同様にして、部材(J
-5)と同様の部材(J-7)を作製した。 〔部材(K-7)の作製と接着〕実施例8と全く同様にし
て、部材(K-5)と同様の部材(K-7)を作製し、実施例8と
同様にして、部材(J-7)と部材(K-7)を接着した。 〔その他の構造の形成〕部材(J-7)と部材(K-7)を用いた
こと以外は実施例8と同様にして、マイクロ流体デバイ
ス(D-7)を作製した。 〔試験〕マイクロ流体デバイス(D-5)の代わりにマイク
ロ流体デバイス(D-6)を用いたこと以外は実施例8と同
様の試験を行い同様の結果を得た。
【0158】
【発明の効果】本発明は、マイクロ流体デバイスを構成
する部材が互いに接触しているが接着していない非接着
部を有するマイクロ流体デバイスを提供することができ
る。隣接する部材と接触しているが接着されていない構
造は、弁やダイヤフラムとして有用であり、これらの構
造を有するバルブ機構やポンプ機構、特に、多数並列稼
働時に有用な、常時閉のこれらの機構が形成されたマイ
クロ流体デバイス、及びその製造方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態におけるマイクロ流体デバイ
スの立面断面図の模式図である。
【図2】 図1に示すマイクロ流体デバイスの平面図の
模式図である。
【図3】 図1に示すマイクロ流体デバイスにおいて、
第1の部材(部材(J))を、表面に垂直な方向から見た
平面図の模式図である。
【図4】 図1に示すマイクロ流体デバイスにおいて、
第2の部材(部材(K))を、表面に垂直な方向から見た
平面図の模式図である。
【図5】 第2の実施形態におけるマイクロ流体デバイ
スの立面断面図の模式図である。
【図6】 図5に示すマイクロ流体デバイスの平面図の
模式図である。
【図7】 図5に示すマイクロ流体デバイスにおいて、
第2の部材(部材(K))を、表面に垂直な方向から見た
平面図の模式図である。
【図8】 第2の実施形態におけるマイクロ流体デバイ
スの立面断面図の模式図である。
【図9】 本発明のマイクロ流体デバイスにおいて、ダ
イヤフラム部分の駆動方法を示す立面断面図の模式図で
ある。
【図10】 本発明のマイクロ流体デバイスにおいて、
ダイヤフラム部分の駆動方法を示す立面断面図の模式図
である。
【符号の説明】
1 ポリスチレン板;塗膜;部材(J);第1の部材 2 溝状の欠損部;流路;溝 3 溝状の欠損部;流路;溝 4 部材(K);硬化塗膜;樹脂層;第2の部材 5 ダイヤフラム部分;非接着部 6 孔;流入部;貫通孔 7 孔;流出部;貫通孔 10 部材(K);硬化塗膜;樹脂層;第2の部材 11 欠損部;弁の周囲部分;切目 12 弁 13 非欠損部 14 開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 37/00 101 G01N 37/00 101 ZCC ZCC

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成要素として含む2つの部材の少なく
    とも一方が、少なくとも部材の一方の表面に達し、か
    つ、流体の流路をなす欠損部を有し、 両部材が欠損部形成面を接触面として接着され、かつ、
    前記部材の一方の非欠損部の一部に対して前記部材の他
    方が非接着部とされ、常態において、前記非接着部が前
    記非欠損部の一部に当接して前記流路を遮断し、該非接
    着部を変形させたときに、該流路が導通する構成とされ
    ていることを特徴とするマイクロ流体デバイス。
  2. 【請求項2】 前記欠損部が溝、孔、開口部、切目のい
    ずれかである請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
  3. 【請求項3】 前記両部材が欠損部形成面を接触面とし
    て、エネルギー線硬化性の接着剤層を介して接着されて
    いる請求項1又は請求項2に記載のマイクロ流体デバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 前記部材の一方が、部材の表面に達する
    欠損部を有する部材(J)であり、前記部材の他方が部材
    (K)であり、前記両部材の少なくとも一方がエネルギー
    線硬化性樹脂で形成されており、部材(J)の欠損部形成
    面に部材(K)が互いに接触して接着剤を用いずに接着さ
    れている請求項1又は請求項2に記載のマイクロ流体デ
    バイス。
  5. 【請求項5】 流路の断面積が1×10-102 〜1×
    10-62である請求項3に記載のマイクロ流体デバイ
    ス。
  6. 【請求項6】 流路の断面積が1×10-122 〜1×
    10-62である請求項4に記載のマイクロ流体デバイ
    ス。
  7. 【請求項7】 硬化した接着剤層を介して両部材が接触
    しているが接着していない非接着部の面積が、1×10
    -102 〜1×10-52である請求項3に記載のマイク
    ロ流体デバイス。
  8. 【請求項8】 部材(J)と部材(K)が接触しているが接着
    していない非接着部の面積が、1×10-102 〜1×
    10-52である請求項4に記載のマイクロ流体デバイ
    ス。
  9. 【請求項9】 構成要素として含む2つの部材の少なく
    とも一方が、厚さが1〜1000μmのシート状の部材
    である請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
  10. 【請求項10】 部材(J)、部材(K)の少なくとも一方
    が、厚さが1〜1000μmのシート状の部材である請
    求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
  11. 【請求項11】 接着剤層の厚さが、該接着剤層により
    接着される部材の厚さの1/10以下である請求項3に
    記載のマイクロ流体デバイス。
  12. 【請求項12】 部材(J)と部材(K)が接触しているが接
    着していない非接着部が、部材(J)、部材(K)の一方又は
    両方に形成された、弁部分又はダイヤフラム部分である
    請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
  13. 【請求項13】 欠損部を有する部材が、部材の一部
    に、周囲部分の一部を欠損部とすることにより、弁とな
    る構造が設けられた部材であり、該部材が他方の部材と
    接着剤層を介して接触しているが接着していない非接着
    部が弁の部分である、請求項3に記載のマイクロ流体デ
    バイス。
  14. 【請求項14】 部材(K)に、該部材の一部に、周囲部
    分の一部を欠損部とすることにより弁となる構造が設け
    られており、該部材が部材(J)と接触しているが接着し
    ていない非接着部が弁の部分である、請求項12に記載
    のマイクロ流体デバイス。
  15. 【請求項15】 弁が逆止弁を構成する弁である請求項
    13または請求項14に記載のマイクロ流体デバイス。
  16. 【請求項16】 逆止弁がダイヤフラム式ポンプを構成
    する逆止弁である請求項15に記載のマイクロ流体デバ
    イス。
  17. 【請求項17】 シート状の部材の、他方の部材と接触
    しているが接着していない非接着部がダイヤフラムとな
    り、該接着していない両部材間の部分が、常態において
    体積ゼロであり、ダイヤフラムの変形によって容積を有
    する空間となる、請求項9に記載のマイクロ流体デバイ
    ス。
  18. 【請求項18】 部材(K)の、部材(J)と接触しているが
    接着していない非接着部がダイヤフラムとなり、該接着
    していない両部材間の部分が、常態において体積がゼロ
    であり、ダイヤフラムが変形して容積を有する空間とな
    る、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
  19. 【請求項19】 ダイヤフラムがダイヤフラム式ポンプ
    を構成するダイヤフラムである請求項17または請求項
    18に記載のマイクロ流体デバイス。
  20. 【請求項20】 ダイヤフラムを構成する部材に接着さ
    れた他方の部材の、ダイヤフラムに相対する部分に、部
    材の表面に達する一つ以上の欠損部を有し、該欠損部の
    開口部が、ダイヤフラム室への流入又は流出口、又はそ
    の両者となり、該流入口又は流出口又はその両者が、常
    態においてダイヤフラムに接していて流路が閉状態であ
    り、ダイヤフラムの変形により流路が開となる請求項1
    7に記載のマイクロ流体デバイス。
  21. 【請求項21】 ダイヤフラムを構成する部材に接着さ
    れた他方の部材の、ダイヤフラムに相対する部分に、部
    材の表面に達する2つ以上の欠損部を有し、該欠損部の
    部材表面への開口部が、ダイヤフラム室への流入及び流
    出口となり、該流入口及び流出口が常態においてダイヤ
    フラムにより塞がれていて流路が閉状態であり、ダイヤ
    フラムの変形により流路が開となる請求項18に記載の
    マイクロ流体デバイス。
  22. 【請求項22】 少なくとも部材一方の表面に達する欠
    損部を有する部材と、他の部材の、一方又は両方にエネ
    ルギー線硬化性の接着剤を塗布し、接着剤層の一部に選
    択的に活性エネルギー線を照射して照射部分の接着剤層
    を硬化させて非接着性とし、その後、両部材を接着剤層
    を介して接触させ、その状態で活性エネルギー線を照射
    して接着剤を硬化させて、欠損部を接着剤で閉塞するこ
    となく流体の流路と成すと共に、両部材を接着し、接着
    面の一部に、硬化した接着剤層を介して両部材が互いに
    接触しているが接着していない非接着部を形成すること
    を特徴とするマイクロ流体デバイスの製造方法。
  23. 【請求項23】 エネルギー線硬化性の接着剤が、(メ
    タ)アクリロイル基含有化合物又はマレイミド基含有化
    合物を含有するものである請求項21に記載のマイクロ
    流体デバイスの製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項3、請求項5、請求項7、請求
    項9、請求項11、請求項13、請求項15〜請求項1
    7、請求項19、請求項20のいずれかに記載のマイク
    ロ流体デバイスを製造する請求項22に記載のマイクロ
    流体デバイスの製造方法。
  25. 【請求項25】 (1)(a)エネルギー線硬化性組成
    物の賦形物に活性エネルギー線を不十分な量だけ照射す
    ることによって、流動性は喪失するが接着性は残存して
    いる半硬化物として形成し、該半硬化した部材の一部
    に、選択的に活性エネルギー線を照射して照射部分のエ
    ネルギー線硬化性組成物を硬化させて非接着性の硬化部
    位を形成すること、又は、(b)エネルギー線硬化性組
    成物の賦形物の一部に選択的に活性エネルギー線を照射
    して照射部分の該賦形物を硬化させて非接着性の硬化部
    位を形成し、次いで該賦形物に活性エネルギー線を不十
    分な量だけ照射することによって、硬化部位以外の部分
    を流動性は喪失するが接着性は残存している半硬化状態
    とすること、によって、部材表面の一部に非接着性の硬
    化部位が形成された半硬化状態の部材(K)を形成し、
    (2)その後、該半硬化状態の部材(K)を、表面に達す
    る欠損部を有する部材(J)の欠損部形成面に接触させ、
    その状態で活性エネルギー線を照射して、半硬化状態の
    部材(K)を硬化させて部材(J)と接着し、非接着性の硬化
    部位を非接着部位として残すことによって、接着面の一
    部に、両部材が互いに接触しているが接着していない非
    接着部を形成することを特徴とするマイクロ流体デバイ
    スの製造方法。
  26. 【請求項26】 (1’)(a’)エネルギー線硬化性
    組成物の賦形物に活性エネルギー線を不十分な量だけパ
    ターニング照射することによって、照射部分を流動性は
    喪失するが接着性は残存している半硬化状態とし、次い
    で、該半硬化したエネルギー線硬化性組成物で形成され
    た部材の一部に、選択的に活性エネルギー線を照射して
    照射部分のエネルギー線硬化性組成物を硬化させて非接
    着性の硬化部位を形成とし、非照射部の未硬化のエネル
    ギー線硬化性組成物を除去して、部材表面に達する欠損
    部を形成すること、(b’)エネルギー線硬化性組成物
    の賦形物に活性エネルギー線を不十分な量だけパターニ
    ング照射することによって、照射部分を流動性は喪失す
    るが接着性は残存している半硬化状態とし、非照射部の
    未硬化のエネルギー線硬化性組成物を除去して、部材表
    面に達する欠損部を形成し、次いで、該半硬化したエネ
    ルギー線硬化性組成物で形成された部材の一部に、選択
    的に活性エネルギー線を照射して照射部分のエネルギー
    線硬化性組成物を硬化させて非接着性の硬化部位を形成
    すること、(c’)エネルギー線硬化性組成物の賦形物
    の一部に選択的に活性エネルギー線を照射して照射部分
    のエネルギー線硬化性組成物を硬化させて非接着性の硬
    化部位を形成し、次いで該賦形物に活性エネルギー線を
    不十分な量だけパターニング照射することによって、硬
    化部位以外の照射部分を流動性は喪失するが接着性は残
    存している半硬化状態とし、非照射部の未硬化のエネル
    ギー線硬化性組成物を除去して、表面に達する欠損部を
    形成すること、のいずれかの方法によって、部材表面に
    達する欠損部と、部材表面の一部に非接着性の硬化部位
    が形成された部材(J)を形成し、(2’)その後、該部
    材の欠損部形成面に他の部材(K)を接触させ、その状態
    で活性エネルギー線を照射して、半硬化状態の部材(J)
    を硬化させて両部材を接着し、接着面の一部に両部材が
    互いに接触しているが接着していない非接着部を形成す
    ることを特徴とするマイクロ流体デバイスの製造方法。
  27. 【請求項27】 請求項4、請求項6、請求項8、請求
    項10、請求項12、請求項14〜16、請求項18、
    請求項19、請求項21のいずれかに記載のマイクロ流
    体デバイスを製造する請求項25に記載のマイクロ流体
    デバイスの製造方法。
  28. 【請求項28】 請求項4、請求項6、請求項8、請求
    項10、請求項12、請求項14〜16、請求項18、
    請求項19、請求項21のいずれかに記載のマイクロ流
    体デバイスを製造する請求項26に記載のマイクロ流体
    デバイスの製造方法。
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