JP2003139166A - 一方向クラッチの内輪の製造方法 - Google Patents

一方向クラッチの内輪の製造方法

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JP2003139166A
JP2003139166A JP2001336061A JP2001336061A JP2003139166A JP 2003139166 A JP2003139166 A JP 2003139166A JP 2001336061 A JP2001336061 A JP 2001336061A JP 2001336061 A JP2001336061 A JP 2001336061A JP 2003139166 A JP2003139166 A JP 2003139166A
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inner ring
pulley
roller
carburizing
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Takahiro Ichihara
隆弘 市原
Hideki Fujiwara
英樹 藤原
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Koyo Seiko Co Ltd
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Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストを低減し、部品点数を減少し、一
方向クラッチのための寸法の確保が可能であり、寿命を
向上させることができる一方向クラッチの内輪の製造方
法を提供する。 【解決手段】 冷間鍛造によって外径および内径を加工
する工程と、冷間鍛造工程後に旋削によって外径に軸受
の軌道面を加工する工程と、旋削工程の後に熱処理を行
う工程とを含んでいる。一方向クラッチの内輪と軸受の
内輪とを一体として製造する。熱処理工程は、浸炭処理
または浸炭焼入れ処理を施す第1工程と、焼入れ処理を
施して浸炭層に微細球状炭化物を析出させる第2工程
と、表面部の炭素濃度が上記第1工程で得られた表面部
の炭素濃度よりも高濃度になるように高濃度浸炭焼入れ
処理を施す第3工程とよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、内燃機
関の始動時および内燃機関による補機駆動時の回転力を
ベルトによって伝達するベルト伝動システムにおいて、
ベルト駆動スタータ用プーリユニットに使用される一方
向クラッチの内輪の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一方向クラッチとしては、図6に
示すように、円筒形の外輪(61)と、多角形状に形成され
てこの部分がカム面(63)とされた内輪(62)と、カム面(6
3)と外輪(61)の内周面とで形成された楔状空間(64)に配
置されたころ(65)と、ころ(65)を保持する環状の保持器
(66)と、ころ(65)を楔状空間(64)の狭い側(ロック側)
へ付勢するコイルばね(67)とを備えているものが知られ
ている。コイルばね(67)は、楔状空間(64)方向に突出す
るように保持器(66)に設けられた突起(68)に装着されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の一方向クラ
ッチをベルトを介して始動トルクをクランク軸に伝達す
るスタータモータの一方向クラッチとして適用した場
合、空転状態が極めて長時間行われることから、噛み込
み部材と内輪との接触によって内輪の外周面が摩耗し、
耐久性が低下するという問題がある。
【0004】また、この一方向クラッチは、軸とこれの
周囲に同心状に配されたプーリとの間に設けられること
が好ましいが、軸と一方向クラッチの内輪とが別体の場
合、部品点数が多くなるとともに、軸とプーリとの間に
一方向クラッチを配置するための寸法が確保されないと
いう問題がある。
【0005】軸と一方向クラッチの内輪とを一体として
製造するに際しては、例えば、削り出し加工を行うこと
が考えられるが、この場合には、製造コストが高くつく
という問題が生じる。
【0006】この発明の目的は、製造コストを低減する
ことができる一方向クラッチの内輪を製造する方法を提
供することにある。
【0007】この発明の他の目的は、部品点数を減少す
るとともに、一方向クラッチのための寸法の確保が可能
である一方向クラッチの内輪を製造する方法を提供する
ことにある。
【0008】この発明のさらに他の目的は、寿命を向上
させることができる一方向クラッチの内輪を製造する方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】この発
明による一方向クラッチの内輪の製造方法は、内輪、外
輪、これらの間に配された噛み込み部材および噛み込み
部材を噛み込み方向に付勢する付勢部材を備え、外輪に
カム面が設けられ、遠心力が作用した際に噛み込み部材
と内輪とが非接触となる一方向クラッチで使用される内
輪を製造する方法であって、冷間鍛造によって外径およ
び内径を加工する工程を含んでいることを特徴とするも
のである。
【0010】一方向クラッチとしては、噛み込み部材と
してのスプラグおよびこれを付勢するばねを作動部材と
して備えているスプラグ式のものであってもよく、ま
た、噛み込み部材としてのころおよびこれを付勢するば
ねを作動部材として備えているころ式のものであっても
よい。
【0011】一方向クラッチは、好ましくは、外輪とし
てのプーリの内周面に設けられたカム面と、カム面と内
輪としての軸の外周面とによって形成された楔状空間内
に配置され、軸とプーリとが一の方向(ロック方向)に
相対回転することにより軸とプーリとの間に噛み込み、
他の方向(フリー方向)に相対回転したとき噛み込みを
解除する複数の噛み込み部材としてのころと、ころを噛
み込み方向(楔状空間の狭い側)に付勢する付勢部材と
してのコイルばねとを備えた構成(外輪カム式)とされ
る。
【0012】この発明の一方向クラッチの内輪の製造方
法によると、内輪を削り出しでなく冷間鍛造によって加
工するので、一方向クラッチの製造コストを削減するこ
とができる。
【0013】冷間鍛造工程後に旋削によって外径に軸受
の軌道面を加工する工程をさらに含み、一方向クラッチ
の内輪と軸受の内輪とを一体として製造することが好ま
しい。
【0014】この旋削工程においては、軸受の軌道面の
ほかに、シール部材を嵌め入れるシール溝も加工され
る。軸受は、一方向クラッチを挟んで設けられ、一方が
転動体をころとしたころ軸受、他方が転動体を玉とした
玉軸受とされる。そして、軸の各部分の外径は、ころ軸
受の内輪軌道部外径=一方向クラッチの内輪外径=玉軸
受の内輪軌道肩部外径とされていることが好ましい。
【0015】このようにすると、部品点数が減少すると
ともに、内輪の外径が抑えられることによって一方向ク
ラッチのための寸法の確保が容易となる。
【0016】旋削工程の後に熱処理を行う工程をさらに
含み、熱処理工程は、浸炭処理または浸炭焼入れ処理を
施す第1工程と、焼入れ処理を施して浸炭層に微細球状
炭化物を析出させる第2工程と、表面部の炭素濃度が上
記第1工程で得られた表面部の炭素濃度よりも高濃度に
なるように高濃度浸炭焼入れ処理を施す第3工程とより
なることが好ましい。
【0017】これによって、内輪の硬さ不足が解消さ
れ、内輪の外周面の摩耗が少なくなり、耐久性が向上す
る。
【0018】一方向クラッチの内輪は、浸炭処理を含む
熱処理が施された結果、浸炭層マトリックス中に分散析
出している球状炭化物間の間隔が、好ましくは、最近接
粒子間距離で15μm以下(より好ましくは10μm以
下)となされる。
【0019】球状炭化物間の間隔を、最近接粒子間距離
で15μm以下にすることにより、汚れ油中および清浄
油中における転がり寿命が長くなる。
【0020】球状炭化物間の間隔を、最近接粒子間距離
で15μm以下にするための因子は、これを形成するの
に用いられる鋼材の合金組成や、浸炭処理を含む熱処理
条件にあると考えられるが、これらの合金組成や熱処理
条件が球状炭化物間の間隔にどの様な影響を与えるの
か、明確には分かっていない。
【0021】鋼材としては、たとえばJIS SUJ2、JI
S SCr420、SAE5120等の公知の鋼や、C
0.15〜0.45重量%、Cr1.2〜1.6重量
%、Si0.35〜0.55重量%およびMn0.35
〜0.65重量%を含み、残部Feおよび不可避不純物
からなる鋼が用いられる。
【0022】また、熱処理工程において、上記第3工程
における加熱温度は、上記第2工程の加熱温度以下であ
ることが好ましい。上記第3工程の加熱温度が上記第2
工程の加熱温度よりも高くなると、第2工程において析
出した炭化物の一部がマトリックス中に溶解するおそれ
があるからである。このような方法をより具体的に説明
すると、次の通りである。すなわち、Cを含む浸
炭雰囲気中において930〜950℃の温度で3〜5時
間加熱した後、油冷する第1工程と、800〜840℃
の温度で0.5〜0.8時間加熱した後、油冷する第2
工程と、C を含む浸炭雰囲気中において790〜
840℃の温度でかつ第2工程の加熱温度以下の温度で
3〜5時間加熱した後、油冷する第3工程とよりなる方
法である。上記第3工程において、Cを含む浸炭
雰囲気中において790〜820℃の温度でかつ第2工
程の加熱温度以下の温度で3〜5時間加熱した後、温度
を上げて830〜840℃の温度で0.5〜0.8時間
加熱し、その後油冷することが好ましい。この場合、炭
化物の粗大化を伴わずに、炭化物量を増加させることが
可能になる。
【0023】内輪の表面硬さは、ロックウェルC硬さ
(以下、HRCと称する)で58〜67となされている
ことが好ましい。表面硬さがHRC58未満であると表
面硬さが十分ではなく、この内輪を用いた一方向クラッ
チを異物が混入した汚れ油中で使用した場合に、内輪の
表面に剥離起点となる異物による圧痕等の傷が付き易く
なるとともに耐摩耗性が低下して軸受の寿命が短くなる
からであり、HRC67を越えると靭性が低下するから
である。
【0024】さらに、内輪は、球状炭化物の平均粒径が
5μm以下となされていることが好ましい。球状炭化物
の平均粒径が5μmを越えると、粒径が5μmを越える
球状炭化物が全体の80%程度となり、その結果粒径が
5μmを越えた球状炭化物に応力が集中し、この部分か
ら破壊が生じるおそれがある。したがって、球状炭化物
の平均粒径は5μm以下、好ましくは3μm以下とすべ
きである。また、球状炭化物中の粒径5μm以下のもの
の量が70%未満であると粒径が5μmを越えた球状炭
化物が全体の30%以上となり、場合によっては最大粒
径が10μmとなり、その結果粒径が5μmを越えた球
状炭化物に応力が集中し、この部分から破壊が生じるお
それがある。したがって、球状炭化物中の粒径5μm以
下のものの量は球状炭化物全体の70%以上とするのが
よい。
【0025】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、以下図
面を参照して説明する。
【0026】図1は、この発明による一方向クラッチの
内輪の製造方法で製造される内輪が好適に使用される一
方向クラッチ付きプーリユニットを示している。この一
方向クラッチ付きプーリユニット(1)は、エンジンの駆
動部とスタータモータの回転軸とを連結する部分に配置
されるもので、スタータモータの回転軸(2)に嵌められ
中空軸(3)とこれと同心に配置されたプーリ(4)との間
に、一方向クラッチ(5)が設けられている。プーリ(4)の
外周には、Vリブドベルト(B)が掛け渡されるベルト掛
け渡し部(4a)が設けられている。
【0027】一方向クラッチ(5)は、中空軸(3)とプーリ
(4)の軸方向中間部との間に設けられており、中空軸(3)
とプーリ(4)の各端部寄り部分との間には、ころ軸受(6)
および玉軸受(7)が一方向クラッチ(5)を挟んで設けられ
ている。そして、プーリ(4)と一方向クラッチの外輪と
軸受の外輪とが一体とされるとともに、中空軸(3)と一
方向クラッチの内輪と軸受の内輪とが一体とされてい
る。
【0028】ころ軸受(6)および玉軸受(7)のさらに軸方
向外側には、シール部材(8)(9)がそれぞれ配置されてお
り、プーリユニットの自由端側(図の左側)には、プー
リユニット内部に泥水等の侵入を防止するために、さら
に別のシール部材(10)が配置されている。
【0029】一方向クラッチ(5)は、図2に示すよう
に、プーリ(4)の内周面に設けられたカム面(11)と、カ
ム面(11)と中空軸(3)の外周面とによって形成された楔
状空間(12)内に配置され、中空軸(3)とプーリ(4)とが一
の方向(ロック方向)に相対回転することにより中空軸
(3)とプーリ(4)との間に噛み込み、他の方向(フリー方
向)に相対回転したとき噛み込みを解除する複数の噛み
込み部材としてのころ(13)と、ころ(13)を噛み込み方向
(楔状空間(12)の狭い側)に付勢する付勢部材としての
楕円形のコイルばね(14)と、ころ(13)を楔状空間(12)内
に位置させる保持器(15)とを備えている。
【0030】カム面(11)は、軸心を挟んで対向する平行
2面(11a)(11b)(11c)(11d)が周方向に複数組(この実施
形態では4組)設けられることによって構成されてい
る。平行2面(11a)(11b)(11c)(11d)の各面は、ころ(13)
の中心および軸心を通る法線(19)に対して直角ではな
く、図2の一部を拡大した図3にθで示す角は、直角よ
りも若干小さい鋭角とされている。こうして、プーリ
(4)にカム面(11)が設けられることにより、プーリ(4)に
は、一方向クラッチ(5)の外輪としての機能が付与さ
れ、プーリ(4)と一方向クラッチ(5)の外輪との一体化が
果たされている。これにより、プーリ(4)の外径を抑え
ながら、ころ(13)のP.C.Dを大きくすることがで
き、ころ(13)に働く遠心力が大きいものとなっている。
【0031】平行2面(11a)(11b)(11c)(11d)の楔状空間
(12)の広い側の端部には、横断面が円弧状で遠心力を受
けたころ(13)を停止させる凹面部(16)が設けられてい
る。凹面部(16)は、ころ(13)の外周面の半径とほぼ同じ
半径の円弧状とされている。
【0032】図1に示すように、プーリ(4)の内径は段
付状とされており、プーリ(4)が有しているころ軸受の
外輪、一方向クラッチの外輪および玉軸受の外輪の各機
能に対応する寸法に関して、ころ軸受の外輪軌道部内径
をD1、一方向クラッチの外輪の最小内径(この実施形
態では、外輪カム面(11)の平行2面間距離)をD2、玉
軸受の外輪軌道肩部内径をD3として、D1>D2≧D
3とされている。
【0033】中空軸(3)の外径に関しては、溝を除いて
一定とされており、ころ軸受(6)の内輪軌道部外径=一
方向クラッチ(5)の内輪外径=玉軸受(7)の外輪軌道肩部
外径となっている。
【0034】また、ベルト掛け渡し部(4a)におけるプー
リ外周の最内径部と噛み込み開始位置におけるころ(13)
の中心部との径方向距離T1が、噛み込み開始位置にお
けるころ(13)の中心部と中空軸(3)内周の最小内径部と
の径方向距離T2よりも小さくされている。すなわち、
プーリ(3)および中空軸(3)の実質的な厚みを比較する
と、プーリ(3)の厚みが薄くなされている。これによ
り、プーリ(4)の外径を抑えながら、ころ(13)のP.
C.Dを大きくすることができ、ころ(13)に働く遠心力
がより大きくなっている。
【0035】保持器(15)は、合成樹脂製で、カム面(11)
にほぼ沿った外周形状と中空軸(3)外周面に沿った内周
形状を有しており、カム面(11)内に圧入されている。保
持器(15)と中空軸(3)の外周との間には若干の間隙が設
けられている。保持器(15)には、コイルばね(14)を位置
決めするばね受け凹所(17)が設けられている。
【0036】このばね受け凹所(17)は、カム面(11)の凹
面部(16)に連なってプーリ(4)の内周に設けられた位置
決め面(18)とによってコイルばね(14)の中心軸方向を一
定に保っている。この位置決め面(18)は、カム面(11)と
同様に、軸心を挟んで対向して平行に形成された2面が
周方向に4組設けられることによって構成されている。
コイルばね(14)は、保持器(15)内に収められることによ
って、その径方向内方への移動に対する位置決めがなさ
れ、プーリ(4)の位置決め面(18)によって、その径方向
外方への移動に対する位置決めがなされている。これら
の位置決めによって、コイルばね(14)の中心軸は、図3
に示すように、ころ(13)の中心軸と直交し、カム面(11)
の平行2面(11a)(11b)(11c)(11d)と平行に保たれてい
る。
【0037】図2および図3は、ころ(13)およびコイル
ばね(14)に遠心力が働いていない状態を示しており、こ
の状態で中空軸(3)が反時計方向に回転させられると、
ころ(13)が中空軸(3)とプーリ(4)との間に噛み込み、中
空軸(3)とプーリ(4)とは、一体となって回転する。そし
て、プーリ(4)が高速回転となり、中空軸(3)の回転が停
止させられると、ころ(13)に働く遠心力の方向(符号(1
9)で示す線の外向きの方向)ところ(13)が平行2面(11
a)(11b)(11c)(11d)と接触している点における法線方向
とがずれていることにより、ころ(13)には平行2面(11
a)(11b)(11c)(11d)に沿った方向の力が掛かり、これに
より、ころ(13)は、図4に矢印で示すように、楔状空間
(12)の広い側に移動する。カム面(11)の凹面部(16)がこ
ろ(13)の外周面の半径とほぼ同じ半径の円弧状とされて
いることから、ころ(13)の外周部分がこの凹面部(16)に
ちょうど収まり、中空軸(3)外周ところ(13)との間隙が
確保され、中空軸(3)ところ(13)との非接触状態が達成
される。
【0038】この一方向クラッチ付きプーリユニット
は、次のように動作する。
【0039】まず、始動時においては、スタータモータ
の回転軸(2)と一体の中空軸(3)が反時計回りに回転させ
られる。これにより、一方向クラッチ(5)の楔状空間(1
2)の狭い側にころ(13)が噛み込まれ、駆動力が伝達され
て、中空軸(3)とプーリ(4)とが一体となって回転する。
プーリ(4)はベルトを介してクランクシャフトに接続さ
れており、プーリ(4)の回転によってエンジンが始動す
る。エンジンが始動すると、スタータが停止し、プーリ
(4)は反時計方向の回転を続ける。これにより、ころ(1
3)の噛み込みが解除され、プーリ(4)だけが回転する状
態が継続される。特にエンジンの高速回転時、ころ(13)
は、ころ(13)とほぼ同じ曲率の凹面部(16)によって位置
決めされ、中空軸(3)と非接触状態となる。また、コイ
ルばね(14)は、プーリ(4)の所定回転速度以上による遠
心力によって縮む方向の力を受け、ころ(13)を噛み込み
方向に付勢する弾性力が減少させられ、ころ(13)と中空
軸(3)との間の非接触状態が確保される。遠心力が作用
したときのころ(13)の移動方向とコイルばね(14)の中心
軸方向とが一致していることから、ころ(13)が移動する
際にコイルばね(14)がずれて、プーリ(4)が停止した際
のコイルばね(14)の付勢力方向が変化することはなく、
ころ(13)をうまく噛み込み側へ移動させることができな
いという問題が起こることはない。
【0040】このプーリユニット(1)を組み立てる際に
は、玉軸受(7)の玉および保持器、一方向クラッチ(5)の
コイルばね(14)およびころ(13)、ころ軸受(6)のころお
よび保持器の順に、プーリ(4)と中空軸(3)との間に挿入
すればよい。上述したように、ころ軸受(6)の外輪軌道
部内径(D1)>一方向クラッチ(5)の外輪カム面(11)の平
行2面間距離(一方向クラッチの外輪の最小内径)(D2)
≧玉軸受(7)の外輪軌道肩部内径(D3)であるので、各挿
入作業時において径方向外側に作業用のスペースが確保
され、組立て作業を容易に行うことができる。
【0041】図1に示すように、中空軸(3)の外径に
は、玉軸受(7)の軌道面(7a)および各シール部材(8)(9)
(10)の内径部が嵌め入れられるシール溝(8a)(9a)(10a)
が設けられている。また、中空軸(3)の内径には、スタ
ータモータの回転軸(2)端部に設けられた雄ねじ部にね
じ合わされる雌ねじ部(3a)と、中空軸(3)を回転させて
回転軸(2)端部にねじ合わせる際に使用される六角レン
チが嵌め合わされる六角係合溝(3b)とが設けられてい
る。
【0042】中空軸(3)の外径は、軌道面(7a)およびシ
ール溝(8a)(9a)(10a)を除いて一定とされているので、
削り出しでなく、冷間鍛造によって加工することが可能
であり、これにより、一方向クラッチ付きプーリユニッ
トの加工コストを低減することができる。中空軸(3)の
HRCは、58〜67(例えば64程度)が好ましい。
【0043】中空軸(3)すなわち一方向クラッチの内輪
は、図5に示す工程によって製造される。まず、線材選
定工程では、素材として、例えば鋼材SAE5120が
選定される。ついで、冷間鍛造によって、外径および内
径が加工される。外径は、円筒面とされ、内径には、雌
ねじ部(3a)および六角係合溝(3b)が形成される。つい
で、旋削によって、素材の外径に、玉軸受(7)の軌道面
(7a)とシール部材(8)(9)(10)用のシール溝(8a)(9a)(10
a)とが形成される。ついで、素材に熱処理が施された
後、素材の表面が研磨されて中空軸(3)が得られる。
【0044】熱処理は、流動層炉を用いて行うものであ
り、流動化ガスとしてNガスを供給するとともにC
ガスを供給しつつ、930℃で3時間加熱した後、
80℃に油冷して浸炭焼入れ処理を施す第1工程と、流
動化ガスとしてN2ガスを供給しつつ、840℃で0.
5時間加熱した後、80℃に油冷して焼入れ処理を施す
第2工程と、流動化ガスとしてNガスを供給するとと
もにCガスを供給しつつ、830℃で5時間加熱
した後、80℃に油冷して高濃度浸炭焼入れ処理を施す
第3工程とよりなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明による一方向クラッチの内輪
の製造方法で製造される内輪が使用される一例である一
方向クラッチ付きプーリユニットを示す縦断面図であ
る。
【図2】図2は、同横断面図である。
【図3】図3は、図2の一部を拡大した図で、一方向ク
ラッチの噛み合い状態を示している。
【図4】図4は、図2の一部を拡大した図で、一方向ク
ラッチの噛み合い解除状態を示している。
【図5】図5は、この発明による一方向クラッチの内輪
の製造方法の工程を示すブロック図である。
【図6】図6は、従来の一方向クラッチを示す横断面図
である。
【符号の説明】
(3) 中空軸 (5) 一方向クラッチ (6) ころ軸受 (7) 玉軸受 (12) カム面 (13) ころ(作動部材) (14) コイルばね(作動部材)
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Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪、外輪、これらの間に配された噛み
    込み部材および噛み込み部材を噛み込み方向に付勢する
    付勢部材を備え、外輪にカム面が設けられ、遠心力が作
    用した際に噛み込み部材と内輪とが非接触となる一方向
    クラッチで使用される内輪を製造する方法であって、冷
    間鍛造によって外径および内径を加工する工程を含んで
    いることを特徴とする一方向クラッチの内輪の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 冷間鍛造工程後に旋削によって外径に軸
    受の軌道面を加工する工程をさらに含み、一方向クラッ
    チの内輪と軸受の内輪とを一体として製造することを特
    徴とする請求項1の一方向クラッチの内輪の製造方法。
  3. 【請求項3】 旋削工程の後に熱処理を行う工程をさら
    に含み、熱処理工程は、浸炭処理または浸炭焼入れ処理
    を施す第1工程と、焼入れ処理を施して浸炭層に微細球
    状炭化物を析出させる第2工程と、表面部の炭素濃度が
    上記第1工程で得られた表面部の炭素濃度よりも高濃度
    になるように高濃度浸炭焼入れ処理を施す第3工程とよ
    りなることを特徴とする請求項2の一方向クラッチの内
    輪の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011174505A (ja) * 2010-02-23 2011-09-08 Makita Corp 回転軸の支持構造及び回転軸の支持構造を有する電動工具
JP2017166525A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社ジェイテクト 転がり摺動部材及び転がり軸受
CN113915314A (zh) * 2021-10-22 2022-01-11 瑞安市悦华汽车单向器有限公司 一种改良型汽车发电机单向耦合皮带轮
CN114321209A (zh) * 2021-12-30 2022-04-12 中国航空工业集团公司金城南京机电液压工程研究中心 一种同轴式防低转速离合器

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