JP2003138888A - セグメントにおけるジョイントボックスの穴埋め用充填材の保持構造及び穴埋め施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】穴埋め作業における作業者への負担やコストの
軽減、工期の短縮等の実現。 【解決手段】ジョイントボックス２の底部２１に立設さ
れる保持杆４に、充填材３をジョイントボックス２内に
定着保持する保持材５を装着した充填材３の保持構造と
し、該保持構造を用いてジョイントボックス２の穴埋め
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート製、
鋼製、あるいは耐酸性材料等で成型されたセグメントに
おけるジョイントボックスの穴埋めに用いられる充填材
の保持構造及びジョイントボックスを穴埋めするための
施工方法に関する。

【０００２】

【従来技術】通常セグメント同士の連結は、セグメント
の内側面に窪み状に形成されたジョイントボックス内で
ボルト・ナットにより行っている。そして、連結後に
は、モルタルやコンクリート等の充填材を用いてジョイ
ントボックスを穴埋めすることによって、構成されたト
ンネルの内側面を平坦に仕上げている。

【０００３】ところで、前記したジョイントボックスの
穴埋め作業について、特に、トンネル天井部分に位置す
るジョイントボックスの穴埋めの場合、一気にモルタル
を充填してしまうと、モルタルが硬化する前に自重によ
り落下してしまうため、モルタルを少量ずつ数回に分け
て充填して穴埋めを行っている。しかしながら、このよ
うな穴埋め作業は、手間も時間もかかる上に、困難なも
のであって、作業者に対する負担が大きく、しかも、コ
ストや工期について満足できるものではなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、穴埋
め作業における作業者への負担やコストの軽減、工期の
短縮等の実現を課題とし、この課題を解決できるジョイ
ントボックスの穴埋め用充填材の保持構造と、穴埋め施
工方法の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するために下記の技術的手段を採用する。

【０００６】その技術的手段は、図２及び図３に示すよ
うに、セグメント１同士を連結するための継手空間であ
るジョイントボックス２を穴埋めするための充填材３の
保持構造であって、ジョイントボックス２の底部２１に
立設される保持杆４に、充填材３をジョイントボックス
２内に定着保持する保持材５が装着されてなることを特
徴とする充填材の保持構造にしたことである。（請求項
１）さらに、図４に示すように、セグメント１同士を連
結するための継手空間であるジョイントボックス２を穴
埋めするための充填材３の保持構造であって、ジョイン
トボックス２の底部２１に立設された保持杆４に、ジョ
イントボックス２に遊嵌合して該ボックスとの間に隙間
６が生じるように成型した充填材３が固定され、該充填
材が被覆材７により前記隙間６を塞いだ状態で被覆され
てなることを特徴とする充填材３の保持構造にしたこと
である。（請求項２）

【０００７】又、図２（ａ）〜（ｃ）及び図３（ａ）〜
（ｃ）に示すように、セグメント１同士を連結するため
の継手空間であるジョイントボックス２を穴埋めするた
めの施工方法であって、ジョイントボックス２の底部２
１に立設される保持杆４に、充填材３をジョイントボッ
クス２内に定着保持する保持材５が装着されてなる保持
構造を、ジョイントボックス２内に構成した後に、充填
材３をジョイントボックス２内に充填することを特徴と
する施工方法にしたことである。（請求項３）さらに、
図４（ａ）〜（ｃ）に示すように、セグメント１同士を
連結するための継手空間であるジョイントボックス２を
穴埋めするための施工方法であって、ジョイントボック
ス２の底部２１に保持杆４を立設し、該保持杆にジョイ
ントボックス２に遊嵌合して該ボックスとの間に隙間６
が生じるように成型した充填材３を固定し、該充填材を
被覆材７により前記隙間６を塞いだ状態で被覆すること
を特徴とする施工方法にしたことである。（請求項４）
尚、本発明が対象とするセグメントは、コンクリート
製、鋼製、あるいは耐酸性材料等いずれでもよく、又、
ジョイントボックスに充填する充填材は、コンクリー
ト、モルタル、あるいは耐酸性材料等いずれでもよいも
のである。

【０００８】

【発明の実施の形態】前記保持杆４は、例えば、図２及
び図４に示すボルトが挙げられ、このボルトとする保持
杆４である場合、セグメント１の成型時にジョイントボ
ックス２の底部２１にナット４１を埋設しておき、この
ナット４１に保持杆４をねじ込み固定する。保持杆４が
ボルトである場合、ジョイントボックス２内に充填材を
充填したとき、充填材がボルトのねじ山に引っ掛かるの
で、硬化前の充填材の落下防止において効果的である。
又、図３に示すテーパーピンが挙げられ、このテーパー
ピンとする保持杆４である場合、前記ナット４１と同様
の方法で、テーパーピンの受体４２をジョイントボック
ス２の底部２１に埋設しておき、このナット受体４２に
保持杆４を打ち込み固定する。保持杆４がテーパーピン
である場合、例えば、後述するように保持材５がジョイ
ントボックス２の開口部２２と適合する大きさであっ
て、保持材５を装着した状態でボルトをねじ込み回転さ
せられない場合の保持構造の構成において好適である。
これらの他にも、例えば、タッピングねじのようにジョ
イントボックスの底部に直接埋め込み固定するものを保
持杆としてもよい。（図示せず）

【０００９】前記保持材５は、例えば、図２に示すよう
に、金属材や硬質の合成樹脂材を用いてなる網状板が挙
げられ、この網状板とする保持材５を保持杆４に固定状
に装着する。前記網状板とする保持材５は、図２に示す
ように、ジョイントボックス２の開口部２２の大きさよ
りも若干小さいものや、開口部２２と適合する大きさと
するもの（図示せず）いずれでもよい。この網状板とす
る保持材５によれば、網目５１又は保持材５とジョイン
トボックス２間の隙間から充填材３を注入したとき、該
充填材を保持材５の網目５１に引っ掛かけてジョイント
ボックス２内で保持することによって、硬化前の充填材
３の自重による落下を防止する保持構造が構成されると
共に、ジョイントボックス２の穴埋めを行うことができ
る。

【００１０】又、保持材５は、図３に示すように、金属
材や硬質の合成樹脂材を用いて、ジョイントボックス２
の開口部２２を密閉状に蓋をする板状蓋体が挙げられ
る。板状蓋体とする保持材５には、表面に小径孔５２が
開孔され、この小径孔５２からジョイントボックス２内
に充填材３を注入充填する。この板状蓋体とする保持材
５によれば、ジョイントボックス２の開口部２２を塞い
で充填材３をジョイントボックス２内に保持することに
よって、硬化前の充填材３の自重による落下を防止する
保持構造が構成されると共に、ジョイントボックス２の
穴埋めを行うことができる。

【００１１】請求項３の施工方法は、図２及び図３に示
すように、保持杆４を保持材５が装着された状態で立設
して保持構造を構成してもよいし、保持杆を立設した後
に保持材を装着してもよい（図示せず）。

【００１２】前記した実施の形態は、請求項１及び請求
項３に対応する保持構造及び保持方法であり、この保持
構造により充填される硬化前の充填材を保持するもので
あるが、以下で説明する実施の形態は、請求項２及び請
求項４に対応する保持構造及び施工方法である。本実施
の形態における充填材３は、図４に示すように、コンク
リートやモルタルを用いてあらかじめジョイントボック
スよりも小型に成型した成形品である。これを、ジョイ
ントボックス２の底部２１に立設した保持杆４に固定
し、さらに、ジョイントボックス２と成形品とする充填
材３との隙間をモルタルで充填すると共に、このモルタ
ルで充填材３を被覆して保持構造が構成され、ジョイン
トボックス２の穴埋めができる。本実施の形態における
保持杆４は、前記した請求項１及び請求項３に対応する
実施の形態の保持杆と同様に、ボルトやテーパーピン又
はタッピングねじのようなものでもよい。

【００１３】

【実施例】次に、本発明の第１実施例を図面に基づいて
説明する。図１は、周知のセグメント１をボルト・ナッ
ト１１で連結して構成されたトンネルＡであり、セグメ
ント１に形成されたジョイントボックス２を本発明の請
求項１の保持構造及び請求項３の施工方法で穴埋めした
ものである。

【００１４】本実施例では、図２（ａ）〜（ｃ）に示す
施工方法で充填材３の保持構造を構成している。その施
工方法を詳述すると、先ず、図２（ａ）に示すように、
ジョイントボックス２の底部２１にあらかじめ埋設され
たナット４１にボルトとする保持杆４を立設する。本実
施例では、保持杆４に金属材からなる網状板の保持材５
を固定状に装着した状態で保持杆４を立設する方法を用
いており、このため、保持材５の大きさを、ジョイント
ボックス２内で引っ掛からないように保持杆４を回転さ
せることが可能な大きさにしている。尚、保持材の装着
に関しては前記した方法に限定するものではなく、保持
杆を立設した後に保持材を装着することも任意である。
又、本実施例では、図２（ｂ）及び（ｃ）に示すよう
に、ジョイントボックス２内における保持材５の位置
が、ジョイントボックス２の開口部２２からジョイント
ボックス２内にやや入った位置にしていることにより、
モルタルとする充填材３が硬化したときに、略鉄筋モル
タル構造が構成されて穴埋め部分の一体化が確保され
る。

【００１５】次に、図２（ｂ）に示すように、保持材５
の網目５１又は保持材５とジョイントボックス２間の隙
間から充填材３を打設する。このとき、充填材３の一部
は自重によって落下するが、落下した充填材３は保持材
５に引っ掛かってジョイントボックス２外への落下が防
止される。さらに、充填材３を打設していくと、充填材
３が網目５１に引っ掛かりながら保持材５の表裏全体に
巻きつくことによって保持材５に保持されて、ジョイン
トボックス２内に完全に打設される。（図２（ｃ）参
照）符号３１は、ジョイントボックス２の開口部２２か
ら露出した充填材３の表面を防食シート又は防食樹脂等
の防食材により被覆するライニングである。尚、前記ラ
イニング３１は腐食環境中において充填材３を保護する
ために使用されるが、充填材自体に耐酸材料を使用して
もよい。又、充填材の表面にライニング３１を施すこと
なく完了することも可能である。

【００１６】以下、本発明の第２実施例を説明すると、
図３（ａ）〜図３（ｃ）に示す施工方法で充填材の保持
構造を構成している。その施工方法を詳述すると、先
ず、図３（ａ）に示すように、ジョイントボックス２の
底部２１にあらかじめ埋設されたテーパーピン保持具４
２に、テーパーピンとする保持杆４を打ち込んで立設す
る。本実施例では、保持杆４の先端に、金属材からな
り、ジョイントボックス２の開口部２２を密閉可能な形
状の板状蓋体とする保持材５を固定状に装着した状態で
保持杆４を立設する方法を用いており、このため、保持
杆４を第１実施例のようなボルトではなく、テーパーピ
ンを用いている。又、本実施例の保持材５には、充填材
３打設用の小径孔５２が開孔され、この小径孔５２か
ら、保持材５によって密閉されたジョイントボックス２
内に充填材３を注入して打設する。（図３（ｂ）参照）
打設された充填材３の自重による落下は、保持材５によ
って防止されるので、充填材３はジョイントボックス２
内に保持される。（図３（ｃ）参照）尚、本実施例にお
ける保持材５の表面を防食処理し、腐食環境中において
充填材３を保護する構造にしてもよい。

【００１７】以下、本発明の第３実施例を説明すると、
本実施例は、請求項２及び請求項４を具体的に実施した
例であり、図４（ａ）〜図３（ｃ）に示す施工方法で充
填材の保持構造を構成している。その施工方法を詳述す
ると、先ず、図４（ａ）及び（ｂ）に示すように、充填
材３をコンクリートやモルタルを用いてあらかじめジョ
イントボックス２よりも小型に成型し、この成形品をジ
ョイントボックス２内で保持する。ジョイントボックス
２内での保持は、充填材３の成型時にボルトとする保持
杆４が貫通する貫通孔３２を形成しておき、この貫通孔
３２に保持杆４を貫通させると共に、ジョイントボック
ス２の底部にあらかじめ埋設されたナット４１にねじ込
むことによって固定保持する。（図４（ｂ）参照）そし
て、ジョイントボックス２と充填材３との隙間６をモル
タルを用いた被覆剤で充填すると共に、充填材３を被覆
し、且つ第１実施例におけるジョイントボックス２の開
口部２２から露出した充填材３の表面にライニング３１
を被覆して保持構造を構成する。（図４（ｃ）参照）符
号３３は、充填材３をジョイントボックス２に嵌入する
際に、ジョイントボックス２内に突出する前記ボルト・
ナット１１をよけるための空間である。尚、本実施例の
充填材３は、耐酸材料を用いて成型してもよいものであ
る。又、被覆材も、耐酸材料、又は、樹脂系材料を用い
てもよいものである。

【００１８】

【発明の効果】本発明の保持構造及び施工方法は以上説
明したとおり、セグメントを連結して構成されるトンネ
ルにおける特に天井に位置するジョイントボックスを穴
埋めする充填材の落下を防止しているので、穴埋め作業
における作業者への負担やコストの軽減、工期の短縮等
の実現することができる。又、請求項１の保持構造及び
請求項３の施工方法によれば、充填材を保持する保持材
をジョイントボックス内に保持するための構造が、ジョ
イントボックスの底部に保持杆を立設するという極めて
簡単な方法で構成される。したがって、ジョイントボッ
クスに保持材を取付けるための構造を付加する必要が無
く、通常通りのジョイントボックスであれば保持構造が
構成可能であるので、穴埋め作業における作業者への負
担やコストの軽減、工期の短縮等について大きい効果が
ある。さらに、請求項２の保持構造及び請求項４の施工
方法によれば、充填材があらかじめ成型した成形品であ
り、しかも、成形品を保持杆のみで保持する保持構造で
あると共に、穴埋めの施工方法であるので、穴埋め作業
における作業者への負担やコストの軽減、工期の短縮等
についてさらに大きい効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】セグメントを連結してトンネルを構成した状態
の断面図。

【図２】第１実施例における保持構造及び施工方法を示
す。

【図３】第２実施例における保持構造及び施工方法を示
す。

【図４】第２実施例における保持構造及び施工方法を示
す。

【符号の説明】

１：セグメント ２：ジョイントボックス ２１：底部 ３：充填材 ４：保持杆 ５：保持材 ６：隙間 ７：被覆材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 佳典 千葉県匝瑳郡光町宮川6969−６ テイヒュ ー光寮303 Ｆターム(参考） 2D055 GC05 GC08 LA17

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セグメント同士を連結するための継手空間
   であるジョイントボックスを穴埋めするための充填材の
   保持構造であって、 ジョイントボックスの底部に立設される保持杆に、充填
   材をジョイントボックス内に定着保持する保持材が装着
   されてなることを特徴とする充填材の保持構造。
2. 【請求項２】セグメント同士を連結するための継手空間
   であるジョイントボックスを穴埋めするための充填材の
   保持構造であって、 ジョイントボックスの底部に立設された保持杆に、ジョ
   イントボックスに遊嵌合して該ボックスとの間に隙間が
   生じるように成型した充填材が固定され、該充填材が被
   覆材により前記隙間を塞いだ状態で被覆されてなること
   を特徴とする充填材の保持構造。
3. 【請求項３】セグメント同士を連結するための継手空間
   であるジョイントボックスを穴埋めするための施工方法
   であって、 ジョイントボックスの底部に立設される保持杆に、充填
   材をジョイントボックス内に定着保持する保持材が装着
   されてなる保持構造を、ジョイントボックス内に構成し
   た後に、充填材をジョイントボックス内に充填すること
   を特徴とする施工方法。
4. 【請求項４】セグメント同士を連結するための継手空間
   であるジョイントボックスを穴埋めするための施工方法
   であって、 ジョイントボックスの底部に保持杆を立設し、 該保持杆にジョイントボックスに遊嵌合して該ボックス
   との間に隙間が生じるように成型した充填材を固定し、 該充填材を被覆材により前記隙間を塞いだ状態で被覆す
   ることを特徴とする施工方法。