JP2003138376A - エアロゾル熱分解法による薄膜形成方法 - Google Patents

エアロゾル熱分解法による薄膜形成方法

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JP2003138376A
JP2003138376A JP2001334460A JP2001334460A JP2003138376A JP 2003138376 A JP2003138376 A JP 2003138376A JP 2001334460 A JP2001334460 A JP 2001334460A JP 2001334460 A JP2001334460 A JP 2001334460A JP 2003138376 A JP2003138376 A JP 2003138376A
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thin film
aerosol
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forming
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JP2001334460A
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Kunisuke Maki
国弼 馬来
Hiroshi Yoshida
博 吉田
Toshiyuki Atami
敏幸 熱海
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Original Assignee
Geomatec Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧下で薄膜形成が可能であり、構造が簡
単な薄膜形成装置による製造コストの低い薄膜形成方法
であって、かつ、均一性の高い良質な金属酸化物薄膜を
大きな堆積速度で形成することが可能なエアロゾル熱分
解法による薄膜形成方法を提供する。 【解決手段】 エアロゾル熱分解法による薄膜形成方法
は、大気圧下で、薄膜材料を溶解した溶媒に超音波振動
を加えてエアロゾルを発生させ、発生したエアロゾルを
熱分解して形成するものである。このエアロゾル熱分解
法による薄膜形成方法は、薄膜材料を溶解した溶媒に超
音波振動を加えてエアロゾルを発生させる工程と、前記
薄膜材料を溶解した溶媒に超音波振動を加えて発生させ
たエアロゾルをマイクロ波で分解する工程と、前記エア
ロゾルを加熱しながら基板に供給する工程から構成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜形成方法に係
り、特にエアロゾル熱分解法による薄膜形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体デバイスや液晶デバイスの
発展にともない、高誘電率や、透明導電性等の優れた物
性を有する各種金属酸化物薄膜の形成方法が研究されて
いる。金属酸化物薄膜の形成方法としては、スパッタリ
ング法、CVD法、パイロゾル法、スプレー熱分解法な
どが知られている。
【0003】スパッタリング法は、高減圧下において金
属あるいは金属酸化物からなるターゲットを高速のイオ
ンで衝突させることにより放出されたターゲット材料を
基板上に堆積させる方法であり、高純度で良質な薄膜が
得られることが知られている。例えば透明導電膜として
知られるIn−Sn−O(ITO)にスパッタリング法
を適用すると抵抗率が1.3〜1.5×10−4Ωcm
程度の比較的良質な金属酸化物薄膜を形成することがで
きることが知られている。しかし、スパッタリング法で
は高減圧を必要とするため、専用の真空チャンバーや真
空ポンプなどの高価な真空装置を必要とし、薄膜形成コ
ストが高くなるという欠点があった。
【0004】CVD法には、熱分解により薄膜形成を行
う熱CVD法、有機金属化合物を原料として用いるMO
CVD法、減圧下で行うプラズマCVD法などがある。
熱CVD法は揮発性の薄膜原料をガス化し、高温に加熱
した基板上に送り込み、基板上で分解、還元、酸化、置
換等を行うことにより薄膜形成を行う方法であり、大気
圧下で薄膜形成を行うことができ、生産性が高いという
利点を有する。
【0005】しかし、一般に数百度を超える温度でなけ
れば薄膜原料の反応が起こらないため、比較的高温の基
板温度を必要とし、低温を要する場合には使用できない
といった欠点があった。また、原料の気化を行うために
特別の気化器を必要とし、構造が複雑になるとともに、
気化器の目詰まりなどの問題が生じる恐れがあった。
【0006】MOCVD法は、有機金属化合物を薄膜原
料として熱CVD法により薄膜を形成する方法であり、
加熱箇所が一箇所で装置構造が簡単であり、制御が容易
である等の利点がある。しかし、反応ガスの引火性、発
火性、毒性が強いことや、原料が比較的高価であるなど
の欠点がある。
【0007】プラズマCVD法は、反応空間にプラズマ
を導入させて、薄膜原料を含む気体を活性化させること
により、熱CVD法より低い基板温度で薄膜の形成を行
う方法である。しかし、プラズマCVD法は真空ポンプ
や、プラズマ源を必要とし、装置が比較的高価であり、
また薄膜成長速度が大気圧CVDに比較して遅いという
問題点があった。
【0008】また、薄膜原料を気化せずに液滴として基
板に供給する方法として、スプレー熱分解法(SPD
法)やパイロゾル法がある。これらの方法は、薄膜原料
液を気化させることなく高温に加熱した基板に直接吹き
付けるため、装置構造が簡単であるという利点がある。
【0009】スプレー熱分解法は薄膜原料液を微細孔か
ら噴霧し加熱した基板に直接吹き付ける方法であり、パ
イロゾル法は薄膜原料液をエアロゾルとして基板に供給
するものであり、金属ハロゲン化物や硫化物等を含む溶
液に超音波振動を加えて発生させたエアロゾルを利用す
るものである。スプレー熱分解法とパイロゾル法とは薄
膜原料液の供給方法において相違しており、パイロゾル
法はスプレー熱分解法に比較してより細かい薄膜原料液
の微粒子をより均一に基板上に供給することが可能であ
る。
【0010】このパイロゾル法を、例えばITO膜に適
用すると1.4×10−4Ωcm程度の低抵抗率を示す
薄膜が得られており、スパッタリング法によって形成さ
れた薄膜に匹敵する良質な金属酸化物薄膜の形成が可能
であることが知られている。
【0011】しかし、スプレー熱分解法やパイロゾル法
は薄膜原料を液体として直接基板に吹き付けるものであ
るため、薄膜原料液の気化潜熱、分解熱により基板温度
が下がることがあり、原料供給量を多くして薄膜成長速
度を早めようとすると安定した薄膜形成が困難となる問
題があった。このため、均一で良質な薄膜を得るために
は薄膜成長速度を遅くする必要があり、生産性の点で問
題があった。
【0012】このようなスプレー熱分解法やパイロゾル
法による欠点を補う方法として、反応管内に筒状のヒー
タを設け、スプレーノズルから噴霧した薄膜原料液をヒ
ータの中央空中部を通過させて加熱気化して基板に供給
する薄膜形成技術が提案されている(例えば特開平5−
175134号公報参照)。このような技術によれば薄
膜原料液の気化による基板温度の低下を避けることが可
能である。
【0013】しかし、薄膜原料液がスプレーノズルによ
って噴霧されるため、薄膜原料液の粒子サイズの制御が
難しく、均一な薄膜原料の供給が困難であること、薄膜
原料液の粒子サイズが比較的大きいため薄膜原料液の一
部が気化せず基板上に直接付着する恐れがあり、強いて
は基板温度の低下や薄膜の均一性に影響を及ぼす可能性
があるといった問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題に
鑑みてなされたものであり、本発明の目的は大気圧下で
薄膜形成が可能であり、構造が簡単な薄膜形成装置によ
る製造コストの低い薄膜形成方法であって、かつ、均一
性の高い良質な金属酸化物薄膜を大きな堆積速度で形成
することが可能なエアロゾル熱分解法による薄膜形成方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明に係
るエアロゾル熱分解法による薄膜形成方法によれば、大
気圧下で、薄膜材料を溶解した溶媒に超音波振動を加え
てエアロゾルを発生させ、発生したエアロゾルを熱分解
して形成する薄膜形成方法において、前記薄膜材料を溶
解した溶媒に超音波振動を加えてエアロゾルを発生させ
る工程と、前記薄膜材料を溶解した溶媒に超音波振動を
加えて発生させたエアロゾルをマイクロ波で分解する工
程と、前記エアロゾルを加熱しながら基板に供給する工
程と、を備えてなること、により解決される。このと
き、加熱には、マイクロ波による加熱がなされるように
構成する。
【0016】このように薄膜原料液に超音波振動を加え
てエアロゾルとした後、マイクロ波で分解し、エアロゾ
ル加熱部により薄膜原料を完全に気化するため、特別な
気化器を必要とせず装置が簡単となるとともに、多様な
原料を使用することができる。また、加熱をマイクロ波
でも行うことにより、従来よりも早い堆積速度で薄膜形
成が可能である。
【0017】このとき、前記薄膜は、薄膜材料として塩
化インジウムと塩化スズを用い、前記溶媒はメタノール
あるいはエタノールとすると好適である。また薄膜とし
ては透明導電膜が好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づいて説明する。なお、以下に説明する材料,部
材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣
旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0019】図1乃至図5は本発明に係るもので、図1
はエアロゾル熱分解法による薄膜形成方法のエアロゾル
の熱分解・膜生成過程のモデルを示す説明図、図2はエ
アロゾル熱分解法による薄膜形成方法に用いる薄膜形成
装置を示す概略図、図3はシリコン単結晶基板上に形成
されたITO透明導電膜の抵抗率の温度依存性を示す説
明図、図4は石英ガラス基板上に形成されたITO透明
導電膜のX線回折パターンを示す説明図、図5はシリコ
ン単結晶基板上に形成されたITO透明導電膜のX線回
折パターンを示す説明図、図6はITO透明導電膜の薄
膜形成方法と抵抗率の比較図である。
【0020】まず、本例における薄膜形成装置について
図2を用いて説明する。本例における薄膜形成装置S
は、主として、薄膜原料のエアロゾルを供給するための
エアロゾル供給部1と、エアロゾルを加熱・分解して基
板に堆積させる薄膜形成部2と、堆積されないガスを排
出する排気ガス除去装置3と、マイクロ波を供給するマ
イクロ波発振器4から構成されている。
【0021】エアロゾル供給部1は、薄膜原料液のエア
ロゾルを供給するものであり、超音波を発生させるため
の超音波発振器10と、薄膜原料液に超音波を照射して
エアロゾルを発生させるための超音波照射部11と、搬
送ガス流量を調節する搬送ガス供給バルブ12と、薄膜
原料液を超音波照射部11へ供給するための薄膜原料液
供給部13と、薄膜形成部2に供給されるエアロゾル量
を調節するための第1エアロゾル調節バルブ14と、搬
送ガス流量を調節するための第2エアロゾル調節バルブ
15とから構成されている。
【0022】薄膜原料液供給部13は、薄膜原料液を収
納し、超音波照射部11に薄膜原料液を供給するもので
ある。薄膜原料液供給部13に収納される薄膜原料液
は、薄膜原料である金属・金属化合物の液体、常温で固
体の薄膜原料である金属化合物を所定の溶媒に溶解させ
た液体、常温で固体の薄膜原料である金属・金属化合物
の微粉末を所定の溶媒に分散させたものである。薄膜原
料液供給部13は薄膜原料液の自然流下やガスによる圧
力、ポンプ等により超音波照射部11に薄膜原料液を供
給する。
【0023】超音波発振器10(HM−2412本多電
子製)は、超音波照射部11で照射する超音波を発生さ
せるためのものであり、振動数2.4MHzの超音波を
発生する。超音波の振動数と発生するエアロゾルのサイ
ズとの関係の理論式によれば、振動数2.4MHzの超
音波により約3μmのサイズのエアロゾルが発生する。
尚、本発明の超音波発振器10の振動数は2.4MHz
に限定されるものではなく、必要とするエアロゾルのサ
イズに応じて適宜変更することができる。
【0024】超音波照射部11は、薄膜原料液供給部1
3から供給された薄膜原料液に超音波を照射して薄膜原
料液の液面から薄膜原料液の微粒子を発生させる。発生
した薄膜原料液の微粒子は、搬送ガス供給バルブ12に
より調節供給された搬送ガスと混合されてエアロゾルを
形成し、搬送ガス流によって第1エアロゾル調節バルブ
14側へ送られる。
【0025】第1エアロゾル調節バルブ14及び第2エ
アロゾル調節バルブ15により、エアロゾル供給量、濃
度、搬送ガス流量の調節が可能であり、適当な条件に調
節されたエアロゾルが通路を介して薄膜形成部2に供給
される。
【0026】薄膜形成部2の主要構成は、エアロゾルを
気化、熱分解させるためのエアロゾル加熱部22と、基
板上に薄膜を形成させる成長室23と、排気管24と、
基板載置台25と、エアロゾル加熱ヒータ26と、基板
加熱ヒータ27と、基板回転装置28などから構成され
ており、エアロゾル加熱部22・成長室23・基板載置
台25は、電気炉2a内に収められている。
【0027】エアロゾル加熱部22は、電気炉2aの上
部側に鉛直方向に配置された筒状部材として構成されて
おり、上端部はマイクロ波発振器4で発生したマイクロ
波を導く導波管と接続されており、下端部は成長室23
の上端と接続されている。エアロゾル加熱部22の周囲
には加熱するためのエアロゾル加熱ヒータ26が配設さ
れている。エアロゾル加熱部22及びエアロゾル加熱ヒ
ータ26の周囲は電気炉2aの断熱材(図示せず)で覆
われている。
【0028】導入管21はエアロゾル加熱部22の上端
側で接続されており、エアロゾル供給部1から供給され
るエアロゾルは導入管21を通ってエアロゾル加熱部2
2に導入される。
【0029】成長室23は上部側部材と、下部側部材と
から構成されている。成長室23の上部側部材は上側に
狭く、下側に広がった略円錐形状又は略四角錐形状から
なり、上端部はエアロゾル加熱部22と接続され、下端
部は成長室23の下部側部材の外側部と当接している。
上部側部材の周囲にはエアロゾル加熱ヒータ26が配設
されており、エアロゾル加熱部11と同じ温度に保たれ
る。下部側部材は上部側部材の底部と同一形状をした皿
状部材であり、下部側部材の周囲には基板を加熱するた
めの基板加熱ヒータ27が設けられている。成長室23
及び基板加熱ヒータ27の周囲は電気炉2aの断熱材
(図示せず)によって覆われている。
【0030】成長室23の下部側部材の底面部中央に
は、薄膜形成に関与しないガスを排気するための排気管
24が設けられている。排気管24は鉛直方向に延びる
筒状部材からなり、下端部側で排気ガス除去装置3につ
ながる配管と接続されている。
【0031】成長室23の下部側部材の皿状凹部には、
基板等の薄膜形成対象を載置するための基板載置台25
が設けられている。基板載置台25は、その底面中央部
を基板回転装置28から伸びる回転シャフトにより支持
されており、基板回転装置28により所定の回転速度で
回転させることが可能なように構成されている。基板回
転装置28は電気炉2aの下部に設けられており、回転
シャフトは排気管24を貫通して構成されている。
【0032】マイクロ波発振器4は、薄膜原料を加熱
し、分解を促進させるためのものである。導波管4a
は、マイクロ波発振器4で発生したマイクロ波を導くも
のであり、電気炉2aの頂部でエアロゾル加熱部22と
連結されている。薄膜原料のエアロゾルは、エアロゾル
加熱部22による加熱と、マイクロ波による加熱により
確実に気化されるとともに、薄膜原料の一部はマイクロ
波により熱分解され、薄膜原料の気体に化学的活性種を
生成させる。
【0033】上記薄膜形成装置による薄膜原料の処理過
程を図1及び図2を参照して説明する。薄膜原料液が充
填された薄膜原料液供給部13から超音波照射部11に
薄膜原料液を供給し、薄膜原料液に2.4MHzの超音
波を照射することにより、約3μmの微粒子からなるエ
アロゾルを発生させる。搬送ガス供給バルブ12から一
定流量の搬送ガスを導入するとともに、第1エアロゾル
調節バルブ14、第2エアロゾル調節バルブ15を調節
することにより、エアロゾルが、薄膜形成部2に搬送さ
れる。エアロゾルは、電気炉2aの導入管21からエア
ロゾル加熱部22に導入され、加熱されながら成長室2
3側へ送られる。
【0034】エアロゾルは、エアロゾル加熱部22及び
成長室23におけるエアロゾルの熱分解の様子を示す図
1のように、エアロゾル加熱部22による加熱により、
エアロゾル中の溶媒が蒸発し溶質からなる微粒子が生
成し、溶質の微粒子が気化し、気化した薄膜原料の
一部が熱分解されて化学的活性種が発生する、といった
変化を経る。
【0035】このとき、マイクロ波発振器4によりエア
ロゾル加熱部22にマイクロ波が供給されると、薄膜原
料が加熱され熱分解がさらに促進され、化学的活性種の
発生量が増大する。この化学的活性種は、基板上に薄膜
が形成される際に活性化エネルギーを供給するため、薄
膜形成を促進する。
【0036】成長室23に供給された薄膜原料を含むガ
スは、成長室23の上部側で拡散しながら、基板上に供
給され、薄膜原料が基板上で選択的に堆積されることに
より薄膜が形成される。基板上に堆積されないガス成分
は排気管24を介して排気ガス除去装置3に導びかれ、
その後排出される。
【0037】次に本例によるエアロゾル熱分解法による
薄膜形成方法によりIn−Sn−O(ITO)からなる
透明導電膜を形成した例について説明する。薄膜原料と
して、塩化インジウム(InCl)の粉末2.6gと
塩化スズ(SnCl)の粉末0.14gを、溶媒であ
るメタノール50mlに溶解し、薄膜原料液とした。
尚、溶媒としてはエタノールを用いてもよい。薄膜原料
液を薄膜原料液供給部13に装填し、この薄膜原料液供
給部13に装填された薄膜原料液を超音波照射部11に
導入し、超音波発振器10を作動させて超音波照射部1
1において薄膜原料液に2.4MHzの超音波を照射す
るとともに、超音波照射部11に、搬送ガス供給バルブ
12を調節して搬送ガスを10l/minの流量で導入
した。
【0038】エアロゾル加熱部22の温度は620℃と
した。また、マイクロ波発振器4によりマイクロ波を発
生させ、エアロゾルに照射した。基板温度は500℃と
し、基板回転装置28により30rpm〜120rpm
で基板を回転させた。基板には単結晶シリコン基板と石
英ガラス基板を用いた。単結晶シリコン基板は自然酸化
膜を有する400面を薄膜成長面とした。
【0039】この結果、基板上にスズを含んだ酸化イン
ジウムからなるITO透明導電膜が約40nm/min
程度の堆積速度で堆積し、30分の薄膜形成時間で膜厚
約1.2μmのITO透明導電膜を得ることができた。
【0040】次に、本例で得られた薄膜の特性の測定結
果を図3乃至図6に基づいて説明する。図3は、シリコ
ン基板上に形成された膜厚約1.2μmのITO透明導
電膜の抵抗率の温度依存性を示す図である。図3及び図
6に示すように本例により形成されたITO透明導電膜
は、室温付近(300K)において1.7×10−4Ω
・cmの抵抗率を示すものであり、スパッタリング法に
よるITO透明導電膜と比較しても遜色のない導電性を
有するものである。
【0041】図4は、石英ガラス基板上に形成された膜
厚約1.2μmのITO透明導電膜の2θスキャンによ
るX線回折パターンを示す図である。図4には、ITO
に由来するピークが見られ、結晶性のITO透明導電膜
が石英ガラス基板上に形成されていることが確認され
た。このように、ガラスのような非晶質材料上であって
も、単相の結晶性ITO透明導電膜の形成が可能である
ことを示すものである。
【0042】図5は、シリコン基板上に形成された膜厚
約1.2μmのITO透明導電膜の2θスキャンによる
X線回折パターンを示す図である。図5に示したよう
に、Si基板上には、一軸配向したITO透明導電膜が
形成されていることが確認された。以上のように本例に
より、優れた構造を有する高品質のITO透明導電膜を
40nm/minといった高い堆積速度で形成可能であ
ることが確認された。
【0043】上記例では、エアロゾルを熱分解するため
に、電気炉2aによる加熱とマイクロ波による加熱を併
用したが、本発明は上記例に限定されるものではなく、
エアロゾル加熱部22による加熱のみによっても薄膜形
成が可能である。この場合には、エアロゾルの熱分解を
促進するためにエアロゾル加熱部22の温度を高くする
と好適である。また、エアロゾル加熱部22による加熱
に換えてマイクロ波による加熱のみを行う構成としても
薄膜形成が可能である。さらに、エアロゾル加熱部22
やマイクロ波による加熱に代えて、赤外線照射、高周波
加熱、火炎による加熱方法を採用することもできる。赤
外線照射の場合にはハロゲンランプ等の赤外線をミラー
で集光してエアロゾルに照射することでエアロゾルを熱
分解すればよい。また、高周波加熱の場合にはエアロゾ
ル加熱部22の周囲に抵抗発熱体に換えて高周波コイル
を配設すればよい。火炎による加熱の場合にはエアロゾ
ル加熱部22に例えば水酸素炎による火炎を吹き込んで
エアロゾルを熱分解させる構成とすれば良い。前記の各
種加熱手段は単独で、あるいは複数組みあわせてもよ
い。要するに、加熱によりエアロゾル中の溶媒を蒸発さ
せるとともに、溶質を分解・気化・酸化させることがで
きるものであれば本発明の加熱手段とすることができ
る。
【0044】また、本発明による薄膜形成方法は、IT
O透明導電膜の形成に限定されるものではなく、例えば
CaTiO、SrTiO、BaTiO、Bi12
SiO20、Bi12GeO20、LaTi
の誘電体、YBaCu 、BiSrCa
10等の超伝導体、希土類鉄ガーネット等の磁気
光学材料、WO、MoO等のフォトクロミック材
料、TiO等の光触媒、PbTiO等の焦電体、
(La,Sr)MnO等の巨大磁気抵抗効果を有する
材料、Al、SiO等のガスバリヤ性に優れる
材料等の薄膜形成にも適用することができる。
【0045】本発明に係る薄膜形成方法によれば、薄膜
原料は最終的に気相として供給されるため、複雑な形状
を有する薄膜形成対象であっても好適に薄膜の形成を行
うことができる。したがって、薄膜を形成させる対象と
しては、シリコンウエハや石英ガラスに限定されるもの
ではなく、材質としては金属、セラミック、樹脂であっ
てもよく、材料の結晶性は単結晶、多結晶、非晶質いず
れでもよく、平滑な平面を持つ基板のみならず繊維状材
料、多孔質材料、粉末、構造体であっても良い。
【0046】搬送ガスとしては、He、Ar等の希ガス
類や、N、CO等の不活性ガス、メタン、エタン、
プロパンなどの有機物ガス、フルオロカーボン類、H
ガス、空気、水蒸気及びこれらの混合ガスを用いること
ができる。尚、搬送ガスとしては、成長室23以外の場
所で薄膜原料との反応を起こさず、また装置を腐蝕しな
いものが望ましい。
【0047】本例に係る薄膜形成方法を適用できる薄膜
原料は、室温で液体または固体のものであればよく、例
えば、薄膜を構成する金属元素のハロゲン化物、カルコ
ゲン化合物、有機化合物、水酸化物、オキソ酸塩、錯体
等にも適用できる。また、薄膜原料液は前記薄膜原料粉
末を所定の溶媒に分散させたものも含み、液相単一相か
ら成るものに限定されない。溶媒としては、例えば水等
の無機溶媒、アルコール類、エーテル、アセトン、有機
酸、ベンゼン、DMSO等の有機溶媒及びこれらの混合
物を用いることができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、大気中で
薄膜形成を行うことができるため、真空ポンプや真空チ
ャンバーなどが不要であるため装置が簡単となり、安価
に薄膜形成を行うことができる。また、本発明は、薄膜
原料液をエアロゾルとした後、エアロゾル加熱部により
薄膜原料を完全に気化するため、特別な気化器を必要と
せず装置が簡単となるとともに、多様な原料を使用する
ことができる。
【0049】そして、薄膜原料は気化された状態で基板
に供給されるため基板温度が低下せず連続的に薄膜形成
を行うことが可能であり、これにより均一で高い品質の
薄膜を生産性良く形成することが可能である。
【0050】さらに、本発明では、加熱をマイクロ波で
も行うことにより、従来よりも早い堆積速度で薄膜形成
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエアロゾル熱分解法による薄膜形
成方法のエアロゾルの熱分解・膜生成過程のモデルを示
す説明図である。
【図2】本発明に係るエアロゾル熱分解法による薄膜形
成方法に用いる薄膜形成装置を示す概略図である。
【図3】本発明に係るシリコン単結晶基板上に形成され
たITO透明導電膜の抵抗率の温度依存性を示す説明図
である。
【図4】本発明に係る石英ガラス基板上に形成されたI
TO透明導電膜のX線回折パターンを示す説明図であ
る。
【図5】本発明に係るシリコン単結晶基板上に形成され
たITO透明導電膜のX線回折パターンを示す説明図で
ある。
【図6】ITO透明導電膜の薄膜形成方法と抵抗率の比
較図である。
【符号の説明】
1 エアロゾル供給部 2 薄膜形成部 2a 電気炉 3 排気ガス除去装置 4 マイクロ波発振器 10 超音波発振器 11 超音波照射部 12 搬送ガス供給バルブ 13 薄膜原料液供給部 14 第1エアロゾル調節バルブ 15 第2エアロゾル調節バルブ 21 導入管 22 エアロゾル加熱部 23 成長室 24 排気管 25 基板載置台 26 エアロゾル加熱ヒータ 27 基板加熱ヒータ 28 基板回転装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熱海 敏幸 神奈川県横浜市西区みなとみらい2−2− 1 ジオマテック株式会社内 Fターム(参考) 4K030 AA03 AA24 BA42 CA04 CA06 EA01 FA14 LA01 4K044 AA12 BA12 BB01 BC14 CA15 CA24 CA44 CA55

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧下で、薄膜材料を溶解した溶媒に
    超音波振動を加えてエアロゾルを発生させ、発生したエ
    アロゾルを熱分解して形成する薄膜形成方法において、 前記薄膜材料を溶解した溶媒に超音波振動を加えてエア
    ロゾルを発生させる工程と、 前記薄膜材料を溶解した溶媒に超音波振動を加えて発生
    させたエアロゾルをマイクロ波で分解する工程と、 前記エアロゾルを加熱しながら基板に供給する工程と、 を備えてなることを特徴とするエアロゾル熱分解法によ
    る薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱には、マイクロ波による加熱を
    含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル熱分
    解法による薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜は、薄膜材料として塩化インジ
    ウムと塩化スズを用い、前記溶媒はメタノールあるいは
    エタノールであることを特徴とする請求項1又は2に記
    載のエアロゾル熱分解法による薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記薄膜は透明導電膜であることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれか記載のエアロゾル熱分
    解法による薄膜形成方法。
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