JP2003137834A - (メタ)アクリル酸の精製方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の精製方法

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JP2003137834A
JP2003137834A JP2001332008A JP2001332008A JP2003137834A JP 2003137834 A JP2003137834 A JP 2003137834A JP 2001332008 A JP2001332008 A JP 2001332008A JP 2001332008 A JP2001332008 A JP 2001332008A JP 2003137834 A JP2003137834 A JP 2003137834A
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acrylic acid
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purifying
crude
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JP2001332008A
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Shuhei Yada
修平 矢田
Yasuyuki Ogawa
寧之 小川
Kenji Takasaki
研二 高崎
Yoshiro Suzuki
芳郎 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】気相接触酸化で得られた粗(メタ)アクリル酸
に含まれる不純物を蒸留法により容易に除去し、蒸留時
に(メタ)アクリル酸モノマーの重合を抑制することに
よって長期安定運転を行うことができる精製方法の提
供。 【解決手段】気相接触酸化法で得られたアクリル酸又は
メタクリル酸(以下、粗(メタ)アクリル酸という)を
蒸留精製するにあたり、(メタ)アクリル酸銅及びジチ
オカルバミン酸銅から成る重合禁止剤、並びにヒドラジ
ン化合物の存在下、塔底温度110℃以下の温度で蒸留
することを特徴とする(メタ)アクリル酸の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は(メタ)アクリル酸
の精製方法に関するものである。詳しくは、気相接触酸
化法で得られた(メタ)アクリル酸を蒸留により精製す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロピレン又はイソブチレンを接触気相
酸化して(メタ)アクリル酸を製造するプロセスは、工
業的製法としてよく知られた方法である。この製造工程
では、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド
類及び(メタ)アクリル酸の2量体、3量体等が副生す
るので精製する必要がある。精製法としては蒸留法が一
般的であるが、(メタ)アクリル酸は極めて重合しやす
く、その取り扱いが問題であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年(メタ)アクリル
酸は紙おむつ等の吸水性樹脂用の原料としてその需要が
増加している。かかる用途においては高純度品が要求さ
れている。これは上述の気相接触酸化による(メタ)ア
クリル酸中の不純物、特にフルフラールを含有すると、
吸水性樹脂の重合反応時に、反応の遅延、重合度の低
下、重合物の着色等の問題が生じるからである。このた
めに工業的には蒸留又は晶析による(メタ)アクリル酸
の精製が行われている。晶析は、一般に初期投資が大き
く、経済的な面から、蒸留による方法が多く採用されて
いるが、上述の不純物、特にフルフラールは通常の蒸留
による除去が困難である。この問題を解決するために、
(メタ)アクリル酸の精製に際してヒドラジン化合物を
添加する方法が提案されている。この方法は前述の不純
物を除去する点に関しては効果があるものの、精留時に
(メタ)アクリル酸の重合を引き起こすという問題があ
った。重合物の生成は、蒸留塔内での閉塞を引き起こ
し、蒸留塔の能力低下や運転停止を余儀なくされること
となり、かかる重合物の生成を抑制する方法が望まれて
いる。この対策として特開平7−228548号公報で
はジチオカルバミン酸銅を添加して抑制を試みている。
しかし、該方法は短時間の運転では効果が確認されてい
るが、一般の工業的運転に耐える長時間連続運転では、
未だ効果が不充分であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため、各種の検討を行った結果、気相接触
酸化法で得られた(メタ)アクリル酸にヒドラジン化合
物、ジチオカルバミン酸銅、及び銅塩を(メタ)アクリ
ル酸に溶解して得られた液を添加した後で蒸留する方法
が前述の目標を達成することを見出して、本発明に到達
した。即ち、本発明の要旨は、気相接触酸化法で得られ
たアクリル酸又はメタクリル酸を蒸留精製するにあた
り、(メタ)アクリル酸銅及びジチオカルバミン酸銅か
ら成る重合禁止剤、並びにヒドラジン化合物の存在下、
塔底温度110℃以下の温度で蒸留することを特徴とす
る(メタ)アクリル酸の精製方法に存する。以下、本発
明について具体的に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において使用される(メ
タ)アクリル酸は、プロピレン及び/又はアクロレイ
ン、並びにイソブチレン及び/又はメタクロレインを気
相接触酸化することによって得られたものである。例え
ば、プロピレン又はイソブチレンをMo−Bi系複合酸
化物触媒の存在下、気相接触酸化し、アクロレイン又は
メタクロレインを生成し、更にMo−V系複合酸化物触
媒の存在下、気相接触酸化して得られるアクリル酸又は
メタアクリル酸があげられる。この際、プロピレンを酸
化して主としてアクロレインを生成する前段反応とアク
ロレインを酸化して主としてアクリル酸を生成する後段
反応をそれぞれ別の反応器で行うものでも、一つの反応
器に前段反応を行う触媒と後段反応を行う触媒を同時に
充填して反応を行うものでも構わない。これらの粗(メ
タ)アクリル酸は、製造工程で副生する不純物を含有す
るものである。不純物としては、水、フルフラール、ベ
ンズアルデヒド、酢酸等の低沸点不純物、及び(メタ)
アクリル酸の2量体、3量体、無水マレイン酸、β―ヒ
ドロキシプロピオン酸、β―アルコキシプロピオン酸等
の高沸点不純物が挙げられる。
【0006】本発明において使用されるヒドラジン化合
物は、フルフラールのような(メタ)アクリル酸と沸点
の近似する化合物を蒸留分離し易い成分に変換する作用
をするものである。ヒドラジン化合物としては、例え
ば、ヒドラジン、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジ
ン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等が挙げられる。
これらは1種又は2種以上混合して使用される。ヒドラ
ジン化合物の添加量は、除去対象である不純物の量と蒸
留後に得られる高純度アクリル酸に含まれることが許さ
れる不純物の濃度によって適宜に選択される。本発明で
は、原料(メタ)アクリル酸に含まれる除去対象となる
不純物の重量をベースに、通常その1〜10重量倍、好
ましくは2〜5重量倍使用される。粗(メタ)アクリル
酸に対して表現すれば、通常50〜5000ppm、好
ましくは200〜4000ppm使用される。添加量が
少ないと除去対象の不純物が高純度(メタ)アクリル酸
に多く含有されることとなり好ましくない。添加量が多
いと不純物除去には問題ないが、添加効果が飽和する
上、経済的に好ましくない。
【0007】本発明において使用されるジチオカルバミ
ン酸銅は、(メタ)アクリル酸の重合禁止剤(重合防止
剤)として作用するものである。ジチオカルバミン酸銅
としては、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジ
チオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸
銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジアルキルジチ
オカルバミン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テ
トラメチレンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジ
チオカルバミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン
酸銅等の環状アルキレンジチオカルバミン酸銅、オキシ
ジエチレンジチオカルバミン酸銅等の環状オキシジアル
キレンジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。これらは
1種又は2種以上混合して使用される。
【0008】ジチオカルバミン酸銅の添加量は、蒸留塔
に供給される(メタ)アクリル酸に対して1〜100重
量ppm、好ましくは10〜80重量ppmである。添加量が
少ないと重合抑制効果が不十分となる。添加量が多い
と、蒸留塔塔底で装置の腐食を発生させるので好ましく
ない。本発明の蒸留系において、ジチオカルバミン酸銅
は蒸留塔の塔内を流下している液に対する重合抑制より
も塔底液の重合抑制に大きな効果を有するように推察さ
れる。従って、ジチオカルバミン酸銅の添加位置として
は、原料となる粗(メタ)アクリル酸、又は、蒸留塔の
塔底液に添加することが好ましい。
【0009】本発明において使用される(メタ)アクリ
ル酸銅は、ジチオカルバミン酸銅と同様に(メタ)アク
リル酸の重合禁止剤(重合防止剤)として作用し、この
両者が組み合わされて使用されることにより初めて顕著
な効果を奏する。(メタ)アクリル酸銅は、銅の炭酸
塩、塩化物、有機酸塩、水酸化物、或いは銅粉を(メ
タ)アクリル酸に溶解することによって調製できる。特
に炭酸銅が好ましい。塩化物は、(メタ)アクリル酸を
取り扱う蒸留塔が一般にステンレススチール材で建造さ
れるため応力腐食割れを引き起こす恐れがあるので好ま
しくない。本発明で使用される(メタ)アクリル酸銅を
得るために(メタ)アクリル酸に溶解される具体的な物
質は、炭酸塩としては炭酸第2銅、有機酸塩としてはギ
酸銅、酢酸銅、サリチル酸銅、水酸化物としては水酸化
第1銅、水酸化第2銅等である。また銅分を直接(メ
タ)アクリル酸に溶解させても良い。これらは1種又は
2種以上混合して使用される。
【0010】(メタ)アクリル酸銅は、(メタ)アクリ
ル酸を含む溶媒に溶解することによっても得ることがで
きる。この場合の溶媒としては、蒸留塔塔頂より得られ
る高純度(メタ)アクリル酸に溶媒が混入しないよう
に、(メタ)アクリル酸より沸点が高い溶媒を用いるこ
とが好ましい。具体的には、ジフェニルエーテル、o−
フタル酸エステル類、オレイン酸エステル類、アジピン
酸エステル類、中油留分の炭化水素、沸点170℃以上
の伝熱油等1種以上の混合溶剤が使用できる。
【0011】蒸留すべき原料となる粗(メタ)アクリル
酸に水が含まれている場合には、(メタ)アクリル酸よ
り沸点の低い溶媒としては、水も使用可能である。水の
濃度は、得られる高純度(メタ)アクリル酸に許容され
る値、及び(メタ)アクリル酸銅の必要添加量を勘案し
て決定すればよい。粗(メタ)アクリル酸に水が含まれ
ていない場合には、製品規格によっては、再度の脱水が
必要となるので注意を要する。
【0012】(メタ)アクリル酸銅の添加量は、溶解し
た銅が全て(メタ)アクリル酸銅に変化したとして計算
すれば良く、蒸留塔に供給される粗(メタ)アクリル酸
に対して1〜100重量ppm、好ましくは5〜80重量p
pmである。添加量が少ないと重合抑制効果が不十分とな
る。添加量が多いと、蒸留塔塔底で装置の腐食を発生さ
せるので好ましくない。(メタ)アクリル酸銅は、ジチ
オカルバミン酸銅とは異なり、蒸留塔の塔内を流下して
いる状態の液に大きな効果がある。従って、(メタ)ア
クリル酸銅の添加位置としては、原料となる粗(メタ)
アクリル酸、又は、蒸留塔の塔頂液に添加することが好
ましい。
【0013】本発明において、上記のように作用を異に
する2種類の重合禁止剤が使用される。ジチオカルバミ
ン酸銅は、(メタ)アクリル酸に溶解しても本発明の主
眼である(メタ)アクリル酸銅に極めて変化しにくいの
で、本発明のごとく新たに添加する必要がある。
【0014】また本発明においては、ヒドラジン化合
物、ジチオカルバミン酸銅、(メタ)アクリル酸銅の他
にフェノール化合物、および/あるいはフェノチアジン
化合物を添加すると、さらに本発明の効果が向上するの
で好ましい。必要に応じて、更に場合によっては、第3
ブチルニトロオキシド、2,2,6,6-テトラメチル−4−ヒ
ドロキシピペリジル−1−オキシル、2,2,6,6-テトラメ
チルピペリジル−1−オキシル、2,2,6,6-テトラメチル
ピペリジノオキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラ
メチルピペリジノオキシル、4,4',4"−トリス−(2,2,
6,6-テトラメチルピペリジノオキシル)フォスファイト
などのN−オキシル化合物;p−フェニレンジアミンな
どのフェニレンジアミン類;N−ニトロソジフェニルア
ミンなどのニトロソ化合物;尿素などの尿素類;チオ尿
素などのチオ尿素類などを組み合わせて使用することも
できる。
【0015】フェノール化合物としては、ハイドロキノ
ン、メトキノン(メトキシハイドロキノン)、ピロガロ
ール、カテコール、レゾルシン、フェノール、またはク
レゾール等で、1種又は2種以上混合して使用される。
フェノール化合物の添加量は、蒸留塔に供給される粗
(メタ)アクリル酸に対して0〜800重量ppm、好ま
しくは50〜600重量ppmである。添加量が少ないと
重合抑制効果が不十分となる場合がある。添加量が多過
ぎると、重合抑制効果には悪影響を生じないが経済的に
好ましくない。
【0016】フェノチアジン化合物としては、フェノチ
アジン、ビス−(α―メチルベンジル)フェノチアジ
ン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、ビス−(α―
ジメチルベンジル)フェノチアジン等で、1種又は2種
以上混合して使用される。フェノチアジン化合物の添加
量は、蒸留塔に供給される(メタ)アクリル酸に対して
0〜400重量ppm、好ましくは50〜300重量ppmで
ある。添加量が少ないと重合抑制効果が不十分となる場
合がある。添加量が多過ぎると、重合抑制効果には悪影
響を生じないが経済的に好ましくない。
【0017】重合抑制に効果を発揮する(メタ)アクリ
ル酸銅、ジチオカルバミン酸銅、フェノール化合物、フ
ェノチアジン化合物の添加方法は特に制限されるもので
はない。例えば、蒸留塔に供給される(メタ)アクリル
酸、あるいは留出液として還流される(メタ)アクリル
酸液にそれぞれを直接添加する方法、適当な溶媒を用い
て溶解し添加する方法等がある。添加温度も適宜決める
ことができる。
【0018】不純物を除去するためのヒドラジン化合物
もまた添加方法に制限はない。しかしながら除去対象の
不純物と反応することが必要で、ヒドラジン化合物を粗
(メタ)アクリル酸に添加した後蒸留塔塔頂より、精製
された(メタ)アクリル酸が留出物として得られるま
で、好ましくは10分〜5時間、更に好ましくは20分
〜3時間の滞留時間があると良い。反応のための時間が
短いと不純物が十分に反応しない。反応のための時間が
長過ぎると反応物の分解反応により不純物が増加する恐
れがあるので上記範囲から選択される。
【0019】ヒドラジン化合物、アクリル酸銅およびジ
チオカルバミン酸銅が添加された粗(メタ)アクリル酸
は蒸留処理され、除去対象の不純物が取り除かれる。蒸
留方法は特に制限されるものではないが、単蒸留、精密
蒸留等の種々の蒸留方法が適用できる。また該蒸留は連
続式、バッチ式のいずれにおいても適用することができ
るが、本発明の効果が最も顕著に発揮される実施態様
は、工業的、かつ経済的な連続蒸留において長期安定運
転を達成することである。
【0020】蒸留塔としては、多孔板塔、泡鐘塔、充填
塔、あるいはこれらの組合せ型(例えば、多孔板塔と充
填塔との組合せ)などがあり、溢流堰やダウンカマーの
有無は区別されず、いずれも本発明で使用できる。具体
的なトレイとして、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バブル
トレイ、スーパーフラッシュトレイ、マックスフラクス
トレイ、デュアルトレイ等があげられる。充填物として
は、円柱状、円筒状、サドル型、球状、立方体状、角錐
体状など従来から使用されているもののほか、近年高性
能充填物として特殊形状を有する規則的又は不規則的な
充填物が市販されており、これらは本発明に好ましく用
いられる。
【0021】かかる市販品を例示すると、規則充填物と
して、例えば、スルーザーパッキング(スルザー・ブラ
ザーズ社製)、住友スルーザーパッキング(住友重機械
工業社製)、テクノパック(三井物産社)などのガーゼ
型規則充填物、メラパック(住友重機械工業社製)、テ
クノパック(三井物産社)、エムシーパック(三菱化学
エンジニアリング社製)などのシート型規則充填物、フ
レキシグリッド(コーク社製)などのグリッド型規則充
填物等があげられる。その他、ジェムパック(グリッチ
社製)、モンツパック(モンツ社製)、グッドロールパ
ッキング(東京特殊金網社製)、ハニカムパック(日本
ガイシ社製)、インパルスパッキング(ナガオカ社製)
などがある。また、不規則充填物には、ラシヒリング、
ポーリング(BASF社製)、カスケードミニリング
(マストランスファー社製)、IMTP(ノートン社
製)、インタロックスサドル(ノートン社製)、テラレ
ット(日鉄化工機社製)、フレキシリング(日揮社製)
等がある。
【0022】蒸留等を構成する装置の材質は特に限定さ
れないが、(メタ)アクリル酸は腐食性があるのでSU
S304、SUS304L、SUS316、SUS31
6L、SUS317、SUS317L、SUS329J
1、SUS329J2L等のステンレス鋼、あるいはハ
ステロイ類、インコネル類等のニッケル合金類が好まし
い。
【0023】蒸留温度は、本発明で重合抑制効果が向上
するため塔底温度が110℃以下、好ましくは100℃
以下まで使用可能となる。従来(メタ)アクリル酸の蒸
留に際しては100℃以下、特に70℃以下(例えば、
特開平7−228548)で実施されることが多かった
が、本発明によれば顕著に重合抑制がなされ、塔底温度
の運転可能範囲を上げることができる。従って塔底温度
として、好ましくは80〜110℃、特に好ましくは9
0〜105℃で実施することができる。蒸留塔リボイラ
ーの伝熱面積が縮小されることによる経済効果は極めて
大きい。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例に
限定されるものではない。なお、原料アクリル酸及び不
純物の分析は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製
GC14A)により行った。
【0025】<実施例1−4>内径50mm、長さ65
0mmの塔内部にSUS316製の直径3mmのコイル
パックを、濃縮部に300mm、回収部に300mmの
高さまで充填し、塔底に1000ccの3つ口フラスコ
を備えたガラス製蒸留塔を使用した。塔壁面での凝縮を
回避するため塔本体を電気ヒーターで覆い、かつ3つ口
フラスコの下部にも加熱用として電気ヒーターを設置し
て粗アクリル酸の蒸留を行った。粗アクリル酸モノマー
として、アクリル酸98.5重量%、マレイン酸0.3
重量%、アクリル酸ダイマー0.276重量%、フルフ
ラール0.02重量%、ベンズアルデヒド0.004重
量%を含む混合物を使用した。粗アクリル酸モノマーを
蒸留塔に供給するに先立ち、表1に示す割合で、ヒドラ
ジン−水和物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、アクリ
ル酸銅等を混合した。なお、アクリル酸銅は、炭酸第2
銅をアクリル酸に溶解して作成したものを使用し、混合
は20℃で30分間行った。
【0026】運転開始に先立ち、還流槽よりメトキノン
200重量ppmを含有する純度99.8重量%のアクリ
ル酸800gを蒸留塔に供給し、塔内充填物の表面を濡
らした。上記の割合でヒドラジン化合物及び銅化合物を
含む蒸留原液(粗アクリル酸)を、塔中央部から供給す
る一方、塔頂の還流槽にはメトキノンを、塔頂より流出
する高濃度アクリル酸中の濃度が200重量ppmとなる
ように供給した。塔底に流下した液は系外に抜き出し
た。蒸留原液を蒸留塔に供給し、塔底に液面が確認され
た後、塔底部から加熱を開始した。 表1の各条件で
連続運転を実施した。塔頂からは、アクリル酸の純度が
99.5重量%以上で、フルフラール及びベンズアルデ
ヒドはそれぞれ1重量ppm以下の高純度アクリル酸が得
られた。定常運転時の蒸留原液の供給量は265g/h
rであり、高純度アクリル酸の抜き出し量は蒸留原液供
給量の95重量%であり、また塔底からは3つ口フラス
コの液量が一定となるよう連続的に塔底液の抜き出しを
実施した。48時間後に運転を停止し、蒸留塔内部を点
検したが、いずれの場所にも重合物の生成は認められな
かった。
【0027】<実施例5−9>実施例1−4において、
粗アクリル酸モノマーに銅化合物を混合することなく、
抱水ヒドラジンのみを同量混合して蒸留原液とした。代
わりに、ジブチルジチオカルバミン酸銅及びアクリル酸
銅を塔頂液に混合し、還流ラインを通して蒸留塔内に供
給した。 以下、実施例1−4と同様に蒸留を行なっ
た。48時間後に運転を停止し、蒸留塔内部を点検した
が、いずれの場所にも重合物の生成は認められなかっ
た。結果を表1に示した。
【0028】<比較例1−7>実施例1−4において、
粗アクリル酸モノマーに、ジブチルジチオカルバミン酸
銅とアクリル酸銅を併用することなく、どちらか一方の
みを混合して蒸留原液とした。また、ヒドラジン化合物
を添加しない例も行った。以下、実施例1−4と同様に
蒸留を行なったが、塔底液に白濁が生じたり(比較例
1,5,6,7)、塔底の3つ口フラスコ内に重合体の
析出が認められ(比較例1,2,4,5,6,7)、ま
た蒸留塔の回収部にも重合体の析出が認められた(比較
例2,3,4,7)。結果を表2に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】[表2](その1)
【0031】
【表3】[表2](その2)
【0032】<実施例10>実施例8において、3つ口
フラスコを備えたガラス製蒸留塔の代わりに、内径11
00mm、長さ20000mm、内部にノートン社製不
規則充填物(IMTP)を8m充填し、その下部に多孔
板9枚を有するステンレス鋼製(SUS316)の蒸留
塔を使用し、蒸留原液を1300kg/hrで供給し
た。以下、実施例8と同様にして運転を開始し、連続運
転に入った。蒸留塔内の差圧変動もなく安定運転が実施
され、塔頂からは蒸留原液供給量の95%が抜き出さ
れ、アクリル酸の純度が99.5重量%以上で、フルフ
ラール及びベンズアルデヒドはそれぞれ1重量ppm以下
の高純度アクリル酸が得られた。3ケ月後に運転を停止
し、蒸留塔内部を点検したが、いずれの場所にも重合物
の生成は認められなかった。
【0033】
【発明の効果】気相接触酸化で得られた粗(メタ)アク
リル酸に含まれる不純物を蒸留法により容易に除去でき
る。蒸留時に(メタ)アクリル酸モノマーの重合を抑制
することによって長期安定運転を行うことができるの
で、その工業的価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高崎 研二 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 鈴木 芳郎 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4D076 AA07 AA16 BB03 EA12Z FA04 FA12 GA03 HA11 JA02 4H006 AA02 AB46 AB84 AD11 AD41 BC51 BS10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気相接触酸化法で得られたアクリル酸又は
    メタクリル酸(以下、粗(メタ)アクリル酸という)を
    蒸留精製するにあたり、(メタ)アクリル酸銅及びジチ
    オカルバミン酸銅から成る重合禁止剤、並びにヒドラジ
    ン化合物の存在下、塔底温度110℃以下の温度で蒸留
    することを特徴とする(メタ)アクリル酸の精製方法。
  2. 【請求項2】充填塔、多孔板塔又はこれらの組合せから
    成る蒸留塔を使用し、塔底温度を110℃以下の温度に
    保持して連続蒸留することを特徴とする請求項1記載の
    (メタ)アクリル酸の精製方法。
  3. 【請求項3】(メタ)アクリル酸銅を粗(メタ)アクリ
    ル酸及び/又は塔頂液に混合することを特徴とする請求
    項2記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
  4. 【請求項4】ジチオカルバミン酸銅を粗(メタ)アクリ
    ル酸及び/又は塔頂液に混合することを特徴とする請求
    項2又は3記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
  5. 【請求項5】(メタ)アクリル酸銅が、銅粉、炭酸第2
    銅、水酸化第1銅、水酸化第2銅及び酢酸銅から選ばれ
    た1種以上の化合物をアクリル酸に溶解して得られた溶
    液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
  6. 【請求項6】ジチオカルバミン酸銅が、ジメチルジチオ
    カルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプ
    ロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミ
    ン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テトラメチレ
    ンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバ
    ミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸銅又はオ
    キシジエチレンジチオカルバミン酸銅であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の(メタ)ア
    クリル酸の精製方法。
  7. 【請求項7】ヒドラジン化合物が、ヒドラジン、抱水ヒ
    ドラジン、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン又は塩
    酸ヒドラジンであることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
  8. 【請求項8】フェノール化合物の存在下に粗(メタ)ア
    クリル酸を蒸留することを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
  9. 【請求項9】フェノチアジン化合物の存在下に粗(メ
    タ)アクリル酸を蒸留することを特徴とする請求項1〜
    8のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の精製方
    法。
  10. 【請求項10】塔底温度を80℃以上の温度に保持して
    連続蒸留することを特徴とする請求項1〜9のいずれか
    1項に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
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