JP2003133779A - 回路基板と筐体との接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波雑音を発する回路基板と筐体とを接続
した場合に、接続部材を通して回路基板から筐体へ高周
波雑音電流が流れ込むのを抑制し、不要輻射ノイズを低
減する。 【解決手段】 回路基板と筐体とを接続するネジの心材
を絶縁材とし、タップを導電性とすることによって、大
きなインダクタンス成分を有する接続部材にする。この
接続部材によって、回路基板と筐体とを機械的に接続す
ると共に、電気的にはインダクタンスとして、回路基板
から筐体へ流れる高周波雑音電流を抑えるように働か
せ、不要輻射ノイズを低減するよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回路基板と筐体と
の接続構造を有する電子機器装置の不要輻射ノイズ低減
に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は、従来の回路基板と筐体との接続
構造を示す図面である。以下、図５を使って説明する。

【０００３】図５において、１は回路基板、２は筐体、
３はスペーサなどの接続部材、４は回路部品を示す。

【０００４】従来、図５に示すようにして回路基板１の
グランド（シグナルグランド）と筐体２のグランド（フ
レームグランド）とは、スペーサ３などの導体で接続さ
れている。この構造において、シグナルグランドとフレ
ームグランドとを同電位に保つことができ、回路動作の
安定化を実現することが可能となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この構
造においては、回路基板１の上の回路部品４が動作する
ことによって、シグナルグランドに高周波雑音電流、な
らびに電圧が発生し、スペーサ３などの接続部を通って
筐体２、すなわちフレームグランドへ高周波雑音電流が
流れ込み、筐体２および回路基板１全体からなる電気的
共振系を構成し、特定の周波数帯近傍、すなわち共振周
波数において大きな不要輻射ノイズを発生することが問
題になっている。その共振周波数は、たとえば、図５の
ように長方形の回路基板の４辺に接続部を配置した場
合、短辺、ならびに長辺の長さの概略（１／２）＊ｎ波
長（但し、ｎ＝１，２，３・・・）に相当する周波数と
なる。このとき、共振の腹は接続部、すなわちスペーサ
３であり、大きな雑音電流が流れる。この大きな雑音電
流によって大きな磁界および電界が発生することによ
り、大きな不要輻射ノイズが発生する。この課題を解決
するための提案、特開平９−２３０８３号公報によれ
ば、この高周波雑音電流を低減することが可能である
が、金属スペーザのさらに外側を磁性体コアで覆った構
造であるため、磁性体コアの体積が大きくなり、求める
効果に応じて高コストとなるという欠点がある。

【０００６】本出願に係る発明の第１の目的は、接続部
材に流れる高周波雑音電流を抑制し、不要輻射ノイズを
低減することを可能とする回路基板と筐体との接続構造
を提供することである。

【０００７】本出願に係る発明の第２の目的は、上記第
１の目的に加えて、接続部材の電気的特性を調整可能と
し、不要輻射ノイズを低減する効果を高めることを可能
とする回路基板と筐体との接続構造を提供することであ
る。

【０００８】本出願に係る発明の第３の目的は、上記第
１の目的に加えて、不要輻射ノイズを低減する効果を高
めることを可能とする回路基板と筐体との接続構造を提
供することである。

【０００９】本出願に係る発明の第４の目的は、上記第
２の目的に加えて、不要輻射ノイズを低減する効果を高
めることを可能とする回路基板と筐体との接続構造を提
供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記第１の目的を達成す
るため、本出願に係る第１の回路基板と筐体との接続構
造は、接続部材が、導電性のネジ山と、絶縁性の心材
と、前記絶縁性の心材に渦巻状に巻き回された導電性の
タップと、で構成される。

【００１１】上記第２の目的を達成するため、本出願に
係る第２の回路基板と筐体との接続構造は、接続部材
が、導電性の２つのネジと、前記２つのネジをねじ込ん
で固定するために内部に開けた穴にタップを切ってある
２つの導電性の部材と、前記２つの導電性の部材にはさ
まれ固定された絶縁性の心材と、前記絶縁性の心材に渦
巻状に巻き回され、その両端を前記２つの導電性の部材
に接続された導電性のタップと、で構成される。

【００１２】上記第３の目的を達成するため、本出願に
係る第３の回路基板と筐体との接続構造は、接続部材
が、導電性のネジ山と、絶縁性の心材と、前記絶縁性の
心材に渦巻状に巻き回された導電性のタップと、前記絶
縁性の心材の内部に封入された磁性体コアと、で構成さ
れる。

【００１３】上記第４の目的を達成するため、本出願に
係る第４の回路基板と筐体との接続構造は、接続部材
が、導電性の２つのネジと、前記２つのネジをねじ込ん
で固定するために内部に開けた穴にタップを切ってある
２つの導電性の部材と、前記２つの導電性の部材にはさ
まれ固定された絶縁性の心材と、前記絶縁性の心材に渦
巻状に巻き回され、その両端を前記２つの導電性の部材
に接続された導電性のタップと、前記絶縁性の心材の内
部に封入された磁性体コアと、で構成される。

【００１４】（作用）前記第１の構成において、接続部
材に流れる高周波雑音電流を抑制し、不要輻射ノイズを
低減することが可能となる。

【００１５】前記第２の構成において、上記第１の構成
による作用に加えて、接続部材の電気的特性を調整可能
となり、不要輻射ノイズを低減する効果を高めることが
可能となる。

【００１６】前記第３の構成において、前記第１の構成
による作用に加えて、コアの磁気抵抗によって高周波雑
音電流の抑制効果を高め、不要輻射ノイズを低減する効
果を高めることが可能となる。

【００１７】前記第４の構成において、前記第２の構成
による作用に加えて、コアの磁気抵抗によって高周波雑
音電流の抑制効果を高め、不要輻射ノイズを低減する効
果を高めることが可能となる。

【００１８】

【発明の実施の形態】（実施形態１）図１は本出願にか
かる第１の発明の特徴を最も良く表す図面である。以
下、図１を参照して説明する。なお、図５と同じ部分に
は同一符号を付加してある。従来例との違いについての
み説明する。

【００１９】図１は、図５に示す従来の回路基板１と筐
体２との接続構造に対して、回路基板１と筐体２との接
続部を流れる高周波雑音電流成分を抑制することが可能
な接続部材３を加えて構成する。

【００２０】図１において、５は導電性のネジ山であ
り、６は絶縁性の心材であり、７は心材に渦巻状に巻き
つけられ固定された導電性のタップである。

【００２１】回路基板１を筐体２に固定する場合、回路
基板１および筐体２に穴が開けてあり、その内側にタッ
プが切ってある。接続部材３は、図１に示すように、回
路基板１と筐体２を貫く形でねじ込み、接続部材３のネ
ジ山５ならびにタップ７とで回路基板１のシグナルグラ
ンドとの導通がとられ、タップ７で筐体２のフレームグ
ランドとの導通がとられる。

【００２２】本構成において、接続部材３によって、回
路基板１が筐体２に機械的に固定されると共に、電気的
にも回路基板１のシグナルグランドと筐体２のフレーム
グランドとを同電位に保つように働く。接続部材３は、
導電性のタップを渦巻状に巻きまわしているため、回路
基板１のシグナルグランドと筐体２のフレームグランド
との間にインダクタンス成分を挿入した状態である。こ
のインダクタンス成分のインピーダンス特性により、接
続部材３に流れる特定周波数での高周波雑音電流を選択
的に抑制することが可能になる。

【００２３】以上説明したように、本出願に係る第１の
発明によれば、簡単な構成で、接続部材に流れる高周波
雑音電流を抑制することが可能となり、とくに、回路基
板と筐体を含めた全体系での共振現象による特定周波数
での不要輻射ノイズレベルを低減することが可能な、回
路基板と筐体との接続構造を提供することが可能とな
る。

【００２４】（実施形態２）図２は本出願にかかる第２
の発明の特徴を最も良く表す図面である。以下、図２を
参照して説明する。なお、実施形態１に相当する図１と
同じ部分には同一符号を付加してある。

【００２５】実施形態１との違いのみ述べる。図３にお
いて、８はネジであり、９はネジ８をねじ込んで固定す
るために内部に開けた穴にタップを切ってある導電性の
部材であり、１０は絶縁性の心材６の内部に封入または
外部にそって渦巻状に巻き回された導電性の線材であ
る。

【００２６】導電性の部材９は図３のように２つ存在
し、絶縁性の心材６を両側から、はさむ形態で固定さ
れ、導電性の線材１０の両端を電気的に接続している。

【００２７】実施形態１においては、本実施形態と異な
り、１つの部品で効果が得られた一方で、電気的特性す
なわちインダクタンス成分をタップによって実現してい
るために、タップのピッチに制約を受けて、インダクタ
ンス値を大きく任意に変化させることはできない。

【００２８】本構成において、実施形態１と同様の効果
が得られると共に、巻き回す線材１１のピッチや長さを
任意に調整可能であるため、低減したい周波数にあわせ
たインダクタンス値を設定することが可能となる。

【００２９】以上説明したように、本出願に係る第２の
発明によれば、第１の発明の効果、すなわち不要輻射ノ
イズ低減の効果をさらに高めることが可能となる。

【００３０】（実施形態３）図３は本出願にかかる第３
の発明の特徴を最も良く表す図面である。以下、図３を
参照して説明する。なお、実施形態１に相当する図１と
同じ部分には同一符号を付加してある。

【００３１】実施形態１との違いのみ述べる。実施形態
１記載の回路基板と筐体との接続構造に対しての違い
は、絶縁性の心材６の内部に、磁性体コア１１が封入さ
れている点である。

【００３２】本構成において、磁性材コア１１は、磁気
抵抗を有するため周囲を流れる高周波雑音電流によって
熱損失を発生し、高周波雑音電流をさらに抑制するよう
に働く。

【００３３】以上説明したように、本出願に係る第３の
発明によれば、第１の発明の効果、すなわち不要輻射ノ
イズ低減の効果をさらに高めることが可能となる。

【００３４】（実施形態４）図４は本出願にかかる第４
の発明の特徴を最も良く表す図面である。以下、図４を
参照して説明する。なお、実施形態２に相当する図２と
同じ部分には同一符号を付加してある。実施形態２との
違いのみ述べる。実施形態２記載の回路基板と筐体との
接続構造に対しての違いは、絶縁性の心材６の内部に、
磁性体コア１１が封入されている点である。

【００３５】本構成において、磁性材コア１１は、磁気
抵抗を有するため周囲を流れる高周波雑音電流によって
熱損失を発生し、高周波雑音電流をさらに抑制するよう
に働く。

【００３６】以上説明したように、本出願に係る第４の
発明によれば、第２の発明の効果、すなわち不要輻射ノ
イズ低減の効果をさらに高めることが可能となる。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本出願に係る第１
の発明によれば、簡単な構成で、接続部材に流れる高周
波雑音電流を抑制することが可能となり、とくに、回路
基板と筐体を含めた全体系での共振現象による特定周波
数での不要輻射ノイズレベルを低減することが可能な、
回路基板と筐体との接続構造を提供することが可能とな
る。

【００３８】本出願に係る第２の発明によれば、第１の
発明の効果、すなわち不要輻射ノイズ低減の効果をさら
に高めることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態に係る回路基板と筐体
との接続構造を示す図である。

【図２】本発明の第２の実施形態に係る回路基板と筐体
との接続構造を示す図である。

【図３】本発明の第３の実施形態に係る回路基板と筐体
との接続構造を示す図である。

【図４】本発明の第４の実施形態に係る回路基板と筐体
との接続構造を示す図である。

【図５】従来例に係る回路基板と筐体との接続構造を示
す図である。

【符号の説明】

１ 回路基板 ２ 筐体 ３ 接続部材 ４ 回路部品 ５ ネジ山 ６ 絶縁性の心材 ７ 導電性のタップ ８ 導電性のネジ ９ 導電性の部材 １０ 導電性の線材 １１ 磁性体コア

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回路基板と、筐体と、該回路基板と該筐
   体とを電気的および機械的に接続する接続部材と、 で構成される接続構造において、 該接続部材が、導電性のネジ山と、絶縁性の心材と、該
   絶縁性の心材に渦巻状に巻き回された導電性のタップ
   と、で構成され、 該回路基板から該筐体へ流れる高周波雑音電流を抑制す
   ることを特徴とする回路基板と筐体との接続構造。
2. 【請求項２】 回路基板と、筐体と、該回路基板と該筐
   体とを電気的および機械的に接続する接続部材と、 で構成される接続構造において、 該接続部材が、導電性の２つのネジと、該２つのネジを
   ねじ込んで固定するために内部に開けた穴にタップを切
   ってある２つの導電性の部材と、該２つの導電性の部材
   にはさまれ固定された絶縁性の心材と、該絶縁性の心材
   に渦巻状に巻き回され、その両端を該２つの導電性の部
   材に接続された導電性のタップと、で構成され、 該回路基板から該筐体へ流れる高周波雑音電流を抑制す
   ることを特徴とする回路基板と筐体との接続構造。
3. 【請求項３】 請求項１記載の回路基板と筐体との接続
   構造において、絶縁性の心材の内部に磁性体コアを封入
   することを特徴とする請求項１記載の回路基板と筐体と
   の接続構造。
4. 【請求項４】 請求項２記載の回路基板と筐体との接続
   構造において、絶縁性の心材の内部に磁性体コアを封入
   することを特徴とする請求項２記載の回路基板と筐体と
   の接続構造。